JPH05258740A - 電池用セパレーター - Google Patents

電池用セパレーター

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JPH05258740A
JPH05258740A JP4268013A JP26801392A JPH05258740A JP H05258740 A JPH05258740 A JP H05258740A JP 4268013 A JP4268013 A JP 4268013A JP 26801392 A JP26801392 A JP 26801392A JP H05258740 A JPH05258740 A JP H05258740A
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polymer
film
porous
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battery
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JP4268013A
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Tsutomu Takeuchi
勉 竹内
Manabu Yamazaki
学 山崎
Yuichi Mori
森  有一
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WR Grace and Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定の温度以上に加熱されるとそのイオン透
過性を失い電流を遮断するという性質を有する電池用セ
パレーターを提供する。 【構成】 本発明に係る電池用セパレーターは、所定の
溶融温度を有する第1のポリマーにより構成され、その
内部に微細孔を有する多孔質ポリマー層、及び、該多孔
質ポリマー層の微細孔内部に存在しており第1のポリマ
ーの溶融温度よりも低い所定の溶融温度を有する第2の
ポリマーから構成されており、該第1のポリマーに対す
る該第2のポリマーの相対量は、一定温度以上に加熱す
る前においては該第2のポリマーが該微細孔を閉塞せし
めない状態で存在するが、一定の温度以上に加熱される
と該第2のポリマーが溶融して該微細孔内部を閉塞し、
そのイオン透過性を消失せしめ、電流を遮断することを
特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばリチウム電池の
ような一次電池及び二次電池において用いるセパレータ
ーに関するものである。より詳しくは、本発明は、電池
内の温度が所定の温度を超えて異常に上昇した場合にそ
のイオン透過性を失うという性質を有することを特徴と
する電池用セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】バッテリ
ー、リチウム電池、電解コンデンサー等に使用されてい
る電解液セパレーターは、古くはクラフト紙やマニラ麻
等の電解紙が多く用いられていたが、最近では、より強
度が高く、ショート(極間短絡)率が低い不織布や多孔
質ポリオレフィン膜などが使用されるようになってい
る。
【0003】ここで、特にリチウム電池等においては高
密度の電流を流すように設計されているため、電極間の
短絡が起きた場合などには電池内の温度が急激に上昇す
る。これは、短絡によって過電流が流れるためと、かか
る過電流によって陰極における化学反応が加速するため
である。この電池内における急激な温度上昇は非常に危
険であり、保護機構を有しない高速電池においては14
0℃を超える温度に迅速に到達し、電解液に使用されて
いる有機溶媒の蒸気の排出による火災の危険や、電池の
爆発といった危険性を引き起こす。かかる危険性を回避
するために色々な対策が必要となっており、安全第一の
原則からかかる対策に対する市場の要求が非常に高くな
っている。
【0004】かかる問題点を解決するための手段として
は、セパレーターとしての強度を保ちつつ、その融点以
上に加熱されると融着する材料をセパレーターとして用
いることにより、異常加熱時にはセパレーター材料自体
が融着することによりその微細孔が閉塞してイオン透過
性が失われ、これによりイオン、即ち電流の流路を閉ざ
して過電流が流れないようにするという方法が考えられ
ている。かかる目的で用いられる材料としてはポリオレ
フィン類が考えられるが、ポリオレフィンは融点が低く
なるとその機械的強度も低下するため、現実にセパレー
ター材料として用いることのできるものはポリプロピレ
ンや高密度ポリエチレンなどの溶融温度が130℃以上
のものである。これらの材料を用いた場合には、電池内
の温度が実際に130℃以上に到達した後もイオンの流
路は完全には閉ざされておらず、電流は流れ続けてい
る。これでは異常加熱による火災、爆発等の危険性が高
く、とても実用に耐えるものではない。
【0005】また、最近になって、高い融点を有するポ
リマーの多孔質膜を支持層として用い、該支持層上に低
い融点を有するポリマーの多孔質膜を積層して、該低融
点ポリマーの融点以上の温度においては該低融点ポリマ
ーが溶融して不透過性の層を形成するという多層構造の
セパレーターが考えられている。かかる構造のセパレー
ターの例としては、特開昭62−10857号公報にお
いてポリオレフィン系の多層化した多孔質膜によって構
成されている電池用セパレーターが、また、特開平3−
59947号公報においては架橋ポリエチレンフィルム
と未架橋ポリエチレンフィルムとを積層した電池用セパ
レーターが開示されている。米国特許第4,741,9
79号においては、不織布上にワックスを被覆した電池
用セパレーターが開示されている。また、特開平2−7
5152号公報においては、多孔性又は微多孔性ポリマ
ーの支持体上に可融性不織布の層を熱融着して多層化し
た多孔質膜によって構成されているリチウム電池用セパ
レーターが開示されている。参考までに、これら多層多
孔質膜、即ち、支持層としての多孔質ポリマー層の上に
可溶融性の多孔質ポリマー層を積層した多層構造の多孔
質膜の断面構造の概略を図2に示す。
【0006】しかしながら、これら従来の多孔質ポリマ
ー膜により構成される電池用セパレーターにおいては、
次のような問題点があった。
【0007】即ち、リチウム電池等の小型電池において
は市場の要求から、重量、体積当たりのエネルギー密度
を高めるためにセパレーターの膜厚を薄くし、しかもそ
の膜厚を均一にすることが求められるが、上記の多層構
造のものにおいては、多層化したことによって膜厚が厚
くなったり、膜厚を均一にすることが困難であるという
問題がある。また、これら多層構造のものにおいては、
膜の張り合わせ時に、熱収縮率の違いにより多層化した
膜が一方へ湾曲したり、剥がれたりする問題が多かっ
た。また、温度が上昇する際に、膜の熱膨張率の違いに
より膜にしわがよったり膜間の剥がれが生じる等、膜の
状態に問題が生じることが多かった。更に、それぞれ溶
融温度の異なる多孔質膜同士を張り合わせる際に、接着
の際の加熱によって膜間にスキン層が生じて多層膜の透
過性が失われたり、かかるスキン層によって微孔が閉塞
してしまうという事態が生じる場合もあった。更に、所
定の膜厚を維持しつつセパレーターとしての強度を上げ
るためには、支持層として高分子量のポリオレフィンを
使用しかつ支持層の膜厚を厚くすることが必要なため、
結果として低溶融温度層の膜厚を極めて薄くする必要が
あるが、非常に薄い多孔質膜を均一に張り合わせるとい
うことは技術的に極めて困難であった。
【0008】
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電池内部
の温度が所定温度以上に異常上昇するとそのイオン透過
性が消失し、電流の流路を遮断するという性質を具備す
る電池用セパレーターの開発にあたって、上記したよう
な従来の問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、所
定の溶融温度を有する第1のポリマーにより構成され、
その内部に微細孔を有する多孔質ポリマー層、及び、該
多孔質ポリマー層の微細孔内部に存在しており第1のポ
リマーの溶融温度よりも低い所定の溶融温度を有する第
2のポリマーから構成されており、該第1のポリマーに
対する該第2のポリマーの相対量は、一定温度以上に加
熱する前においては該第2のポリマーが該微細孔を閉塞
せしめない状態で存在するが、一定の温度以上に加熱さ
れると該第2のポリマーが溶融して該微細孔内部を閉塞
しその透過性を消失せしめるような量であることを特徴
とする単一層構造の多孔質ポリマー膜によりセパレータ
ーを形成することにより、上記の所望の性質が得られか
つ上記の種々の問題点も解決することができることを見
出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】即ち、本発明の電池用セパレーターは、所
定の溶融温度を有する第1のポリマーにより構成され、
その内部に微細孔を有する多孔質ポリマー層、及び、該
多孔質ポリマー層の微細孔内部に存在している、第1の
ポリマーの溶融温度よりも低い所定の溶融温度を有する
第2のポリマーから構成されている単一層構造のもので
あることを特徴としており、一定温度以上に加熱する前
は該第2のポリマーは該微細孔を閉塞せしめないような
状態で存在しているが、一定の温度以上に加熱されると
該第2のポリマーが溶融して該微細孔内部を閉塞し、該
セパレーターの透過性を消失せしめ、電流の流路を遮断
するという性質を有するものである。
【0010】図1に、本発明の単一層の多孔質膜により
形成される電池用セパレーターの断面の概略を示す。該
図から明らかなように、本発明に係る電池用セパレータ
ーにおいては、該セパレーターを構成する所定の溶融温
度を有する第1のポリマーによる多孔質ポリマー層の内
部に存在する微細孔の壁部に、第1のポリマーの溶融温
度よりも低い所定の溶融温度を有する第2の可溶融性ポ
リマーの層が、該微細孔を閉塞せしめない程度の量付着
せしめられている。通常の状態においては該微細孔を通
してイオンが陽極/陰極間を移動することができるが
(図1−a)、温度が異常に上昇して第2の可溶融性ポ
リマーの融点以上になると、第2のポリマーが溶融して
流動状態となって微細孔を閉塞し、該微細孔を通るイオ
ンの移動が遮断される(図1−b)。
【0011】本発明の電池用セパレーターにおいて多孔
質ポリマー層を構成する第1のポリマーとして用いられ
るものは、電池用セパレーターとしての使用に耐え得る
程度の高い溶融温度を有するものであればいかなるもの
を用いることもできると考えられるが、その結晶性が高
く、膜にした際に引張強度の高いものが好ましい。ま
た、本発明の目的に反しない限り、架橋することによっ
てその強度や剛性などを向上せしめることは一向に差し
支えない。電池用セパレーターにおける多孔質ポリマー
層は、耐熱性を有しかつ強度が高いことが望ましいの
で、結晶性を高くしたり、分子量を高めたり、物理的架
橋を導入したりすることは好ましいと考えられる。但
し、分子量や架橋度をあまり高くすると製膜できないこ
ともあるので望ましくない。なお、架橋方法としては、
公知の電子線や放射線による架橋のほか、シランカップ
リング剤や過酸化物による架橋も利用可能である。
【0012】かかる性質を有する第1のポリマーの例と
しては、150〜180℃の融点を有する分子量約3
0,000〜800,000のポリプロピレン、例えば
三井日石ポリマー(株)製の商品名ハイポール、三井東
圧化学(株)製の商品名ノーブレン、チッソ(株)製の
商品名チッソポリプロ、出光石油化学(株)製の商品名
出光ポリプロ、三菱油化(株)製の商品名三菱ポリプ
ロ、東燃化学(株)製の商品名東燃ポリプロ等を挙げる
ことができるが、本発明のセパレーターが用いられる電
池の種類等により、上記の性質を具備する他のポリマー
を幅広く用いることができることはいうまでもない。
【0013】本発明において、可溶融相を構成する第2
のポリマーは、セパレーターのイオン透過性を消失せし
めるべき温度によって選択され、かかる観点より選択さ
れる第1のポリマーの溶融温度よりも低い所定の溶融温
度を有するものであれば、該セパレーターが用いられる
電池の構成等によって幅広いものを用いることができ
る。例えば、有機溶媒を用いるリチウム二次電池用のセ
パレーターとして用いる場合には、80〜120℃の溶
融温度を有するものを第2のポリマーとして用いること
が望ましい。また、溶融温度の条件を満足することを前
提に、各種組成の共重合体を用いることもできる。かか
る第2のポリマーの例としては、ポリエチレン及びその
共重合体、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、例
えば、三菱化成(株)製の商品名三菱ポリエチ−LD、
三井石油化学工業(株)製のミソラン、住友化学(株)
製の商品名スミカセン、三井石油化学工業(株)製の商
品名ウルトゼックス、住友精化(株)製の商品名フロー
セン、日本石油化学(株)製の商品名日石レクスロン
等、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、例えば、
住友化学(株)製の商品名スミカセン−L、出光石油化
学(株)製の商品名出光ポリエチレン−L、日本石油化
学(株)製の商品名リニレックス等、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレ
ン−ペンタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸共
重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチ
レン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポ
リマー(EPDM)、エチレン−無水マレイン酸及びそ
の他のモノマーとのターポリマー等が挙げられる。
【0014】本発明のセパレーターを用いる電池におい
て要求されるセパレーター自体の強度、耐熱性等の各種
特性やそのイオン透過性を消失することが要求される温
度及び該電池が通常用いられる温度等に応じて、上記の
第1及び第2のポリマーを適宜組み合わせて選択して本
発明のセパレーターを形成することができる。例えば、
リチウム二次電池用のセパレーターとして本発明の単一
層多孔質ポリマー膜を用いる場合には、第1のポリマー
として130℃以上の溶融温度を有するポリプロピレン
を用い、第2のポリマーとして約95〜120℃の溶融
温度を有する密度0.91〜0.94g/ccの低密度
ポリエチレンを用いると、セパレーター自体の強度等も
好ましく、また所定の危険温度で速やかに透過性を失う
極めて有用なセパレーターが得られる。
【0015】本発明のセパレーターを形成する単一層多
孔質ポリマー膜を構成する第1のポリマーと第2のポリ
マーの量比は、通常の状態においては第1のポリマーに
より構成される多孔質膜の微細孔が第2のポリマーによ
って閉塞されず、かつ第2のポリマーが溶融することに
よって該微細孔が閉塞されるようなものであることが必
要である。かかる望ましい比は、多孔質膜の厚さ、膜中
の微細孔の寸法、形状等や、多孔質膜の製造方法、第2
のポリマーを微細孔中に導入せしめる方法等によって変
化するが、当業者であれば、実験等により最適な比を決
定することができる。例えば、第1のポリマーによる多
孔質膜として空孔率50%、厚さ25μmのものを用い
た場合には、第1のポリマー対第2のポリマーの比は、
50/50〜95/5(重量比)が望ましい。
【0016】また、第1のポリマーと第2のポリマーと
の結着性を高めるために、ポリオレフィンに不飽和カル
ボン酸を共重合したポリマー、例えば住友化学(株)製
の商品名ボンダインや三菱油化(株)製の商品名ユカロ
ン、ポリオレフィンのグラフト体である三井石油化学
(株)製の商品名アドマーや住友化学(株)製の商品名
スミファーム、旭化成工業(株)製の商品名ライネック
ス等の成分を結着剤として添加してもよい。更に、本発
明に係る第1及び第2のポリマーに、必要に応じて酸化
防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等
の各種の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加
することができる。
【0017】上記の第1及び第2のポリマーにより本発
明の電池用セパレーターを製造する方法は、当該技術に
おいて公知の種々の方法を用いることができる。以下
に、本発明の電池用セパレーターを製造するための方法
の例を示すが、これらは代表例に過ぎず、これ以外にも
本発明の電池用セパレーターを製造するために幅広い種
々の方法を用いることができる。
【0018】本発明の電池用セパレーターを形成する単
一層多孔質膜を構成する第1及び第2のポリマーと、更
に、これらに相溶しない第3のポリマーとを溶融混練し
て製膜することにより、ポリマー分子同士が相互に絡み
合った連続層をもつIPN(interpenetrating polymer
network)構造を有するポリマー膜を得る。次に、第3の
ポリマーのみを溶解する溶剤を用いて第3のポリマーの
みを抽出することにより、本発明の構造に係る単一層多
孔質ポリマー膜を製造することができる。この方法によ
れば、極めて簡単に本発明の単一層多孔質ポリマー膜で
形成される電池用セパレーターを得ることができる。参
考として、ポリマーアロイ(共立出版刊、高分子学会編
集、井上隆、市原祥次著)第3頁の図1.3に、IPN
構造の概念図が示されている。
【0019】かかる方法に用いる第3のポリマー材料と
しては、本発明のセパレーターを形成する多孔質膜を構
成する2種類のポリマーのいずれにも相溶せず、しかも
これらのポリマーとIPN構造を形成し、かつ、特定の
溶剤によってそれのみを抽出除去することのできるポリ
マーであればいかなるものを用いることもできる。ここ
で、特定の溶剤とは、所定の温度、例えば50℃におい
て第1及び第2のポリマーを溶解することなく第3のポ
リマーのみを溶解することのできる溶剤をいう。当業者
であれば、第1及び第2のポリマーの特定の組合せに対
して用いることのできる第3のポリマー及び該組合せに
用いることのできる溶剤を、実験的、経験的に決定する
ことができる。ここで、第3のポリマーとして用いるこ
とのできるものの具体例としては、スチレン・水添ブタ
ジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、例え
ばシェル化学(株)製のクレイトンG(商品名)や、ス
チレン・水添イソプレン・スチレン及びスチレン・水添
イソプレンブロック共重合体(SEPS)、例えばクラ
レ(株)製のセプトン(商品名)などが挙げられる。S
EBS及びSEPSの構造式を図3に示す。これらSE
BSやSEPSは、ポリプロピレンやポリエチレンなど
のポリオレフィンと溶融混練するとIPN構造を形成
し、かかる混練物を用いて製膜した後に特定の溶剤でS
EBS又はSEPSのみを抽出することにより、貫通孔
を有する多孔質膜を調製することができる。該方法にお
ける特定の溶剤として、SEPS又はSEPSに関して
用いることのできるものとしては、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルエ
チルケトン、四塩化炭素、クロロホルムなどが挙げられ
る。更に、これらの溶剤の他に、溶解度パラメーターの
値が7.5〜9.3の溶剤がおおよそこの目的に合致す
る溶剤と考えられる。
【0020】上記に、本発明の単一層多孔質膜で形成さ
れる電池用セパレーターの製造方法の代表的な例を二つ
挙げたが、この他にも、インフレーション法やTダイ法
等による押出し法、キャスティング法等の公知のプラス
チックフィルム成膜技術を採用することができる。ま
た、最終的に得られる多孔質膜の強度を上げる為に、延
伸を行うこともできる。例えば、所定の製膜法によって
製造したフィルムを、第1のポリマーのガラス転移点以
上でかつ融点よりも低い温度で延伸し、その後、必要に
応じて延伸時の温度よりも高い温度でアニーリングする
ことによってフィルム内部の残留応力を緩和し、続いて
溶剤を用いて第3のポリマーのみを抽出除去することに
より強度の高い多孔質膜を形成させることができる。こ
の際の延伸倍率は、1.1倍〜20倍、特に1.1倍〜
5倍が望ましい。
【0021】本発明の電池用セパレーターを構成する多
孔質ポリマー膜の空孔率は、80%以下が好ましく、4
0〜70%が特に好ましい。空孔率が30%以下では、
セパレーターとして用いた場合に電解液の保持性が低下
してドライアップする可能性が大きくなり、また空孔率
が80%をこえると膜の強度が急激に低下し、セパレー
ターとして実際の使用に耐えなくなる。さらに、空孔率
が80%を超えると、第2のポリマーの溶融によって多
孔質層の微細孔を閉塞せしめるためには第2のポリマー
の量を多くしなければならず、第1のポリマーと第2の
ポリマーとの組成バランスが完全に崩れてしまい、大部
分が第2のポリマーから構成されるようになってしま
う。これでは多孔質膜の強度が得られず、負極に発生す
るデンドライトによる突き破りや押し付けによる電極間
の短絡が発生し易くなる。
【0022】なお、空孔率は以下の式で表される。
【0023】 空孔率=(空孔容積/多孔質膜容積)×100 [ここで、 空孔容積=(含n-ブチルアルコール多孔質膜重量−絶対
乾燥多孔質膜重量)/0.81 である]多孔質膜の空孔率は、配合中の第3のポリマー
の添加量で調節する。これは、第3のポリマーが膜形成
後に抽出除去されてその後に空孔を形成するためであ
る。ここで、第3のポリマーは、第1のポリマー及び第
2のポリマーの合計量に対して0.5倍量から9倍量ま
で添加して多孔質膜を得ることが望ましい。第3のポリ
マーの量が第1のポリマー及び第2のポリマーの合計量
に対して0.5倍量以下では空孔率が低くなって所望の
空孔率が得られず、また第3のポリマーの量が第1のポ
リマー及び第2のポリマーの合計量に対して9倍量を超
えると多孔質膜としての強度が保てず、実用的でない。
【0024】また、第1のポリマー、第2のポリマー及
び第3のポリマーから構成される膜を第2のポリマーの
溶融温度以下の温度でアニールすることによって、アニ
ールしないものに比べて空孔率を上げることができる。
これは、膜をアニールすることにより各々のポリマーの
製膜時のストレスを緩和し、膜から第3のポリマーを抽
出除去した後の厚み方向の収縮を減少させることができ
るからである。
【0025】また、本発明のセパレーターを構成する多
孔質ポリマー膜の望ましい平均空孔径は、0.05μm
〜10μmが好ましく、0.1μm〜5μmが更に好ま
しい。平均空孔径が0.05μmよりも小さいと、等価
直列抵抗が大きくなり電池の性能を十分に発揮できなく
なってしまい、また10μmより大きいとデンドライト
の発生により電極間短絡の発生率が飛躍的に増大してし
まう。該多孔質膜の空孔径は、溶融混練時に第1のポリ
マーと第2のポリマーの混合物に対して第3のポリマー
がどの程度細かく分散されるかで決定される。則ち、各
々のポリマーの分離相の構造周期を如何に小さくするか
で空孔径が決定する。これは、第3のポリマーが膜形成
後に抽出除去されてその後に空孔を形成するためであ
る。したがって、多孔質膜の空孔径は、溶融混練時の温
度及び剪断応力、第1のポリマー、第2のポリマー及び
第3のポリマーの溶融粘度を変化させることによって調
整することができる。例えば、第1のポリマー、第2の
ポリマー及び第3のポリマーをニーダーで溶融混練する
際に、混練温度を下げて各ポリマーの溶融粘度が高い状
態で溶融混練を行うことによって本発明の多孔質膜の空
孔径を小さくすることができる。逆に溶融混練時の温度
を上げると得られる多孔質膜の空孔径は大きくなる。ま
た、溶融混練時の剪断応力を強くすると得られる多孔質
膜の空孔径は小さくなり、逆に弱くすると得られる多孔
質膜の空孔径は大きくなる。また、第3のポリマーとし
て分子量の高いものを使用して溶融粘度を上昇させる
と、空孔径の小さな多孔質膜が得られる。逆に第3のポ
リマーとして分子量の小さいポリマーを使用して溶融粘
度を下げると空孔径の大きな多孔質膜が得られる。これ
らの事象を組み合わせることによって、得られる多孔質
膜の空孔径を容易に変化させることができる。
【0026】また、本発明の電池用セパレーターを構成
する多孔質ポリマー膜の膜厚は、15〜200μmが好
ましく、特に20μm〜120μmが好ましい。膜厚が
15μmよりも薄いと、セパレーターの強度が著しく低
下してデンドライトの押し付けや突き破りによる電極間
短絡のトラブルが発生し易くなり、また、膜厚が200
μmよりも厚いと電池内部でのセパレーターの占有体積
が大きくなり、小型化、高エネルギー密度化等の市場の
要求に合致しなくなる。
【0027】本発明の電池用セパレーターを用いて各種
の電池を製造することができる。特に、電池内部の温度
が一定の温度以上に異常上昇した場合に電流の流路を遮
断して火災や爆発の危険を防止することが求められてい
る電池において本発明のセパレーターを用いると極めて
有用である。
【0028】この意味で、現在のところ、有機電解液を
用いるリチウム電池において本発明のセパレーターの有
用性が最も効果的に発揮されると考えられる。かかるリ
チウム電池における、陽極材料、陰極材料及び電解液等
の組合せは当該技術において周知のものであり、これら
構成要素の任意の組合せに対して本発明のセパレーター
を用いることができる。かかるリチウム電池において用
いることのできる好ましい有機電解液としては、炭酸プ
ロピレン及び1,2−ジメトキシエタンの混合液に過塩
素酸リチウムを溶解したものが挙げられる。また、その
他の溶媒と電解質の好ましい組合せとしては、溶媒とし
てブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメトキシエタ
ン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメ
トキシプロパン又は通常リチウム陽極を有する電池の形
成に用いられているその他の任意の有機溶媒が、該溶媒
中に溶解するリチウム塩としてリチウムトリフルオロメ
タスルホネート(CF3SO3Li)、LiAsF6、LiB
4、LiClO4などが例示される。また、有用な陰極材
料としては、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合
金、リチウム−珪素合金、リチウム−ホウ素合金及び1
A及び2A族の金属などが挙げられる。集電体及び支持
体として用いることのできる金属としてはニッケル、ス
テンレス、アルミニウム及びチタン等が挙げられる。ま
た、広範囲の各種陽極活性材料を用いることができ、例
としてはMnO2、TiS2、FeS2、FeS、MoS2、Cu
O、V613、Bi23及び各種形態のポリフルオロカー
ボン等が挙げられる。
【0029】勿論、本発明のセパレーターを上記の構成
のもの以外のリチウム電池や、リチウム電池以外の他の
電池においても用いることができることは上記した通り
である。
【0030】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0031】以下の実施例において用いた種々の試験の
詳細を以下に示す。
【0032】膜厚はダイヤルゲージで測定したものであ
り、平均孔径は走査型電子顕微鏡により得られた表面及
び断面の写真から求めたものであり、また、空孔率は、
20mm×20mmに切り取った多孔質ポリマー膜試料
をn−ブチルアルコールを用いて含浸させた時の重量と
該試料を絶対乾燥状態にしたときの重量をそれぞれ求
め、以下の式により得られた値である。
【0033】 空孔率=(空孔容積/多孔質膜容積)×100 [ここで、 空孔容積=(含n-ブチルアルコール多孔質膜重量−絶対
乾燥多孔質膜重量)/0.81 である]また、第2のポリマーの溶融による多孔質膜の
微細孔内部の閉塞の状態は、イオンの透過性によって調
べた。則ち、得られた多孔質膜を、所定温度で所定時間
加熱した後、図4に示す装置に配置してイオンの透過を
調べた。図4に示す装置は、二つの容器の間に多孔質膜
を配置できるようになっており、一方の容器には純水
を、他方の容器には塩化ナトリウムの1%溶液に界面活
性剤を添加して表面張力を多孔質膜の臨界表面張力より
下げた溶液を、それぞれ50ccずつ入れた。二つの溶
液間において濃度差があるために、多孔質膜を介してイ
オンが純水の方に移行していく。この純水中に移行する
イオンの流れを導電率計で経時的に測定し、加熱前のイ
オン透過量と比較して、加熱後にイオンの透過が阻止さ
れるかどうかによって、第2のポリマーが溶融し多孔質
膜の微細孔内部が閉塞したかどうかを判断した。また、
多孔質膜の断面を、溶融試験の前後において走査型電子
顕微鏡によって観察して、ポリマーが溶融しているかど
うかを判断した。
【0034】
【実施例1】溶融温度169℃のポリプロピレン(三井
日石ポリマー株式会社製、商品名ハイポールB200、
メルトフローレイト0.5g/10分、密度0.91g
/cm3)50重量部、溶融温度109℃の低密度ポリ
エチレン(日本石油化学株式会社製、商品名日石レクス
ロンL501、メルトフローレイト7.0g/10分、
密度0.917g/cm3)50重量部、スチレン−水
添イソプレン−スチレンブロックポリマー(株式会社ク
ラレ製、商品名セプトン2007、メルトフローレイト
4g/10分、密度0.93g/cm3)100重量部
を、ニーダーを使用して200〜220℃で十分に溶融
混練し、Tダイによる押出し成形によりフィルムを作製
した。更に、このフィルムを180℃、200kg/c
2の条件で1分間プレスにかけ、膜厚150μmのフ
ィルムを作製した。このフィルムをシクロヘキサンに浸
漬して、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック
ポリマーを完全に抽出除去し、更に新しいシクロヘキサ
ンでフィルムの表面を洗浄して、ポリプロピレンとポリ
エチレンとから構成される単一層の多孔質膜を得た。こ
のフィルムは、抽出の前後での重量の変化によって、ス
チレン−水添イソプレン−スチレンブロックポリマーの
含有量分の重量減少を示した。また、IR分析によって
も、この多孔質膜にスチレン成分が含まれておらず、ポ
リプロピレン及びポリエチレンから構成される単一層多
孔質膜が得られたことが分かった。得られたフィルムの
性状を表1に示した。イオンの透過性試験の結果は表2
に示した。表2の結果から、115℃に加熱した膜はイ
オン透過性を失っていることが分かった。115℃での
加熱試験前及び加熱試験後の多孔質膜の断面の電子顕微
鏡写真をそれぞれ図5−a及び図5−bに示す。これら
の写真により、加熱後において多孔質膜の微細孔が閉塞
していることが観察される。
【0035】
【実施例2】実施例1と同様にして、ポリプロピレン
(B200)60部、ポリエチレン(L501)40
部、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックポリ
マー(セプトン2007)100部から構成されるフィ
ルムを作製し、シクロヘキサンでスチレン−水添イソプ
レン−スチレンブロックポリマーを抽出除去して本発明
の多孔質膜を得た。このフィルムは、抽出の前後での重
量の変化によって、スチレン−水添イソプレン−スチレ
ンブロックポリマーの含有量分の重量減少を示した。ま
た、IR分析によっても、この多孔質膜にスチレン成分
が含まれておらず、ポリプロピレン及びポリエチレンか
ら構成される単一層多孔質膜が得られたことが分かっ
た。得られたフィルムの性状を表1に示した。イオンの
透過性試験の結果は表2に示した。表2の結果から、そ
れぞれの温度での加熱試験後において多孔質膜がイオン
透過性を失っていることが分かった。また、115℃で
の加熱試験前及び加熱試験後の多孔質膜の断面の電子顕
微鏡写真をそれぞれ図6−a及び図6−bに示す。これ
らの写真により、加熱後において多孔質膜の微細孔が閉
塞していることが観察される。
【0036】
【実施例3】実施例1と同様にして、ポリプロピレン
(B200)70部、ポリエチレン(L501)30
部、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックポリ
マー(セプトン2007)100部から構成されるフィ
ルムを作製し、シクロヘキサンでスチレン−水添イソプ
レン−スチレンブロックポリマーを抽出除去して本発明
の多孔質膜を得た。このフィルムは、抽出の前後での重
量の変化によって、スチレン−水添イソプレン−スチレ
ンブロックポリマーの含有量分の重量減少を示した。ま
た、IR分析によっても、この多孔質膜にスチレン成分
が含まれておらず、ポリプロピレン及びポリエチレンか
ら構成される単一層多孔質膜が得られたことが分かっ
た。得られたフィルムの性状を表1に示した。イオンの
透過性試験の結果は表2に示した。表2の結果から、1
15℃及び130℃に加熱した後においてはイオンの透
過量が著しく減少していること、則ちイオンの透過性を
失っていることが分かった。
【0037】
【実施例4】実施例1と同様にして、ポリプロピレン
(B200)80部、ポリエチレン(L501)20
部、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックポリ
マー(セプトン2007)100部から構成されるフィ
ルムを作製し、シクロヘキサンでスチレン−水添イソプ
レン−スチレンブロックポリマーを抽出除去して本発明
の多孔質膜を得た。このフィルムは、抽出の前後での重
量の変化によって、スチレン−水添イソプレン−スチレ
ンブロックポリマーの含有量分の重量減少を示した。ま
た、IR分析によっても、この多孔質膜にスチレン成分
が含まれておらず、ポリプロピレン及びポリエチレンか
ら構成される単一層多孔質膜が得られたことが分かっ
た。得られたフィルムの性状を表1に示した。イオンの
透過性試験の結果は表2に示した。表2の結果から、加
熱後においてイオンの透過量がわずかに減少しているこ
とが分かった。しかしながら、実施例1〜3のような著
しい減少はみられなかった。
【0038】
【実施例5】実施例1と同様にして、ポリプロピレン
(B200)70部、ポリエチレン(東ソー株式会社
製、ペトロセン356、メルトフローレイト100、密
度0.914g/cm3)30部、スチレン−水添イソ
プレン−スチレンブロックポリマー(セプトン200
7)100部から構成されるフィルムを作製し、シクロ
ヘキサンでスチレン−水添イソプレン−スチレンブロッ
クポリマーを抽出除去して本発明の多孔質膜を得た。こ
のフィルムは、抽出の前後での重量の変化によって、ス
チレン−水添イソプレン−スチレンブロックポリマーの
含有量分の重量減少を示した。また、IR分析によって
も、この多孔質膜にスチレン成分が含まれておらず、ポ
リプロピレン及びポリエチレンから構成される単一層多
孔質膜が得られたことが分かった。得られたフィルムの
性状を表1に示した。イオンの透過性試験の結果は表2
に示した。表2の結果から、105℃及び115℃での
加熱後においてイオンの透過量が著しく抑えられたこと
が分かった。
【0039】
【実施例6】溶融温度130℃以上のポリプロピレン
(三井日石ポリマー(株)製、商品名ハイポールF60
0)80重量部、溶融温度104℃の低密度ポリエチレ
ン(住友精化(株)製の商品名フローセンG801)2
0重量部、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロッ
クポリマー((株)クラレ製、商品名セプトン200
6)100重量部を、ニーダーを使用して220℃で十
分に溶融混練し、Tダイによる押出し成形によりフィル
ムを作成した。次に、フィルムをシクロヘキサンに1時
間浸漬してスチレン−水添イソプレン−スチレンブロッ
クポリマーを完全に抽出し、更に新しいシクロヘキサン
でフィルムの表面を洗浄して、ポリプロピレンとポリエ
チレンとから構成される単一層多孔質膜を得た。このフ
ィルムは、抽出の前後での重量の変化によって、スチレ
ン−水添イソプレン−スチレンブロックポリマーの含有
量分の重量減少を示した。また、IR分析によっても、
この多孔質膜にスチレン成分が含まれておらず、ポリプ
ロピレン及びポリエチレンから構成される単一層多孔質
膜が得られたことが分かった。得られたフィルムの性状
を表1に示す。
【0040】この多孔質膜を、ポリオレフィンの貧溶媒
である炭酸プロピレンに浸漬し、100℃で3分間加熱
した後のフィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察した
ところ、微孔内部の状態が加熱前とは異なり、熱によっ
て微孔が閉塞していることが分かった。本実施例によっ
て得られた多孔質膜の、加熱試験前及び加熱試験後の断
面の電子顕微鏡写真をそれぞれ図7及び図8に示す。
【0041】また、得られた膜のイオンの透過性試験の
結果を表2に示す。表2の結果より、115℃での加熱
試験でイオンの透過量が著しく抑えられたことが分かっ
た。 表1:各多孔質膜の性状 ─────────────────────────────── 実施例 1 2 3 4 5 6 ─────────────────────────────── PE量(%) 50 40 30 20 30 20 空孔率(%) 33.2 38.9 40.8 45.2 35.6 50 孔径(μm) 1 0.8 0.8 0.8 0.9 1.2 膜厚(μm) 120 120 120 120 120 100 ─────────────────────────────── 表2:加熱前後の導電率の時間変化 ──────────────────────────────────── 導電率(μS/cm) ─────────────────────────────── 時間(hr) 0 1 2 3 ──────────────────────────────────── 実施例1 加熱前 1.24 303 619 894 115℃加熱後 1.24 6.55 5.14 5.47 ──────────────────────────────────── 実施例2 加熱前 1.42 177 368 543 105℃加熱後 0.77 3.82 7.8 11.05 ─────────────────────────────── 加熱前 1.42 145 338 514 115℃加熱後 0.77 2.53 2.93 3.76 ─────────────────────────────── 加熱前 1.42 276 593 903 130℃加熱後 0.77 5.72 4.85 4.87 ──────────────────────────────────── 実施例3 加熱前 1.42 211 407 590 105℃加熱後 0.77 59.8 124 195 ─────────────────────────────── 加熱前 1.42 159 351 504 115℃加熱後 0.77 11.3 29.6 44.9 ─────────────────────────────── 加熱前 0.77 127 276 415 130℃加熱後 0.77 9.74 7.58 11.35 ──────────────────────────────────── 実施例4 加熱前 1.51 290 630 888 120℃加熱後 1.3 222 496 689 ─────────────────────────────── 加熱前 1.51 306 760 1112 140℃加熱後 1.9 165 382 610 ──────────────────────────────────── 実施例5 加熱前 1.25 229 430 705 105℃加熱後 1.62 12 21.7 31.7 ─────────────────────────────── 加熱前 1.25 189 347 547 115℃加熱後 1.25 14.2 20.2 28.5 ─────────────────────────────── 加熱前 1.62 205 394 580 130℃加熱後 1.39 54.8 125 202 ──────────────────────────────────── 実施例6 加熱前 1.30 386 801 1179 115℃加熱後 1.30 5.44 8.09 12.4 ──────────────────────────────────── ※加熱時間=実施例1、2、3、5、6は1分、実施例4は10分。
【発明の効果】上記に説明したように、本発明に係る電
池用セパレーターは、常温におけるイオン透過性は良好
であるが、所定の温度以上に加熱されると、その内部の
微細孔が閉塞してイオン透過性を失い電流の流路を遮断
するという性質を有しており、例えばリチウム二次電池
用の対異状加熱安全性を有するセパレーターとして極め
て有用である。また、従来この目的で用いられている多
層構造の膜と比較しても、これら従来のものが包含する
種々の問題点を解決するものであり、また、所定温度に
おける電気抵抗値の上昇が極めてシャープであるので、
極めて有用なものである。本発明に係る電池用セパレー
ターは、一定温度以上で電流を遮断することが所望され
る種々の電池において極めて有用であり、その工業的価
値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電池用セパレーターを構成する単
一層多孔質ポリマー膜の断面の構造の概略を示す図であ
る。図1−aは所定温度に加熱する前の通常の状態を示
すものであり、図1−bは所定温度に加熱した後の微細
孔が閉塞した状態を示すものである。
【図2】従来の、可融性層を有する多層化された多孔質
膜からなる従来のセパレーターの断面の構造の概略を示
す図である。
【図3】スチレン・水添ブタジエン・スチレンブロック
共重合体(SEBS)及びスチレン・水添イソプレン・
スチレンブロック共重合体(SEPS)の構造を示す図
である。
【図4】イオンの透過を測定し、多孔質膜が閉塞したか
どうかを判断するための装置の概略図である。
【図5】実施例1において得られた本発明の単一層多孔
質膜の繊維の形状を示す倍率5000倍の電子顕微鏡写
真である。図5−aは当該多孔質膜を115℃に加熱す
る前、図5−bは当該多孔質膜を115℃に加熱した後
における繊維の形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例2において得られた本発明の単一層多孔
質膜の繊維の形状を示す倍率5000倍の電子顕微鏡写
真である。図6−aは当該多孔質膜を115℃に加熱す
る前、図6−bは当該多孔質膜を115℃に加熱した後
における繊維の形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例6において得られた本発明の単一層多孔
質膜の100℃に加熱する前の繊維の形状を示す倍率2
000倍の電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例6において得られた本発明の単一層多孔
質膜の100℃に加熱した後の繊維の形状を示す倍率2
000倍の電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 有一 神奈川県横浜市金沢区釜利谷町1642−212 B−4

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の溶融温度を有する第1のポリマー
    により構成され、その内部に微細孔を有する多孔質ポリ
    マー層、及び、該多孔質ポリマー層の微細孔内部に存在
    しており第1のポリマーの溶融温度よりも低い所定の溶
    融温度を有する第2のポリマーから構成されており、該
    第1のポリマーに対する該第2のポリマーの相対量は、
    一定温度以上に加熱する前においては該第2のポリマー
    が該微細孔を閉塞せしめない状態で存在するが、一定の
    温度以上に加熱されると該第2のポリマーが溶融して該
    微細孔内部を閉塞しその透過性を消失せしめるような量
    であることを特徴とする単一層構造の多孔質膜によって
    形成されている電池用セパレーター。
  2. 【請求項2】 所定の溶融温度を有する第1のポリマ
    ー、第1のポリマーの溶融温度よりも低い所定の溶融温
    度を有する第2のポリマー、及び該第1及び第2のポリ
    マーに相溶しない第3のポリマーを溶融混練して製膜す
    ることにより、ポリマー分子同士が相互に絡み合った連
    続層をもつIPN(interpenetrating polymer networ
    k)構造を有するポリマー膜を製造し、次に、第3のポリ
    マーのみを溶解する溶剤を用いて第3のポリマーのみを
    抽出することを特徴とする請求項1記載の電池用セパレ
    ーターの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電池用セパレーターを具
    備することを特徴とする電池。
JP4268013A 1991-12-27 1992-09-10 電池用セパレーター Pending JPH05258740A (ja)

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CA002085380A CA2085380C (en) 1991-12-27 1992-12-15 Porous membrane having single layer structure, battery separator made thereof, preparations thereof and battery equipped with same battery separator
US07/992,181 US5453333A (en) 1991-12-27 1992-12-17 Porous membrane having single layer structure, battery separator made thereof, preparations thereof and battery equipped with same battery separator
EP92311791A EP0550262B1 (en) 1991-12-27 1992-12-24 Porous membrane having single layer structure, battery separator made thereof, preparations thereof, and battery equipped with same battery separator
DE69218750T DE69218750T2 (de) 1991-12-27 1992-12-24 Poröse Membran, die aus einer einzigen Schicht aufgebaut ist, daraus hergestellter Batterieseparator, Herstellungsverfahren davon und Batterie, die mit diesem Batterieseparator ausgestattet ist
BR9205173A BR9205173A (pt) 1991-12-27 1992-12-28 Membrana porosa tendo estrutura de camada unica,separador de bateria feito da mesma,preparacoes desta e bateria equipada com o mesmo separador da mesma

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013509674A (ja) * 2009-10-29 2013-03-14 リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー 電気化学エネルギー貯蔵器ならびに電気化学エネルギー貯蔵器の熱的安定化のための方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013509674A (ja) * 2009-10-29 2013-03-14 リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー 電気化学エネルギー貯蔵器ならびに電気化学エネルギー貯蔵器の熱的安定化のための方法

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