JPH0524351B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車等の車両に搭載される燃料タン
クの燃料吸込装置に関する。

従来の技術 自動車用の燃料タンクの中には、例えば実開昭
57−109921号公報に示されているように、燃料タ
ンクを搭載する部位の構造上の理由によつて、タ
ンク本体の底壁に内側に向けて膨出部を形成し
て、この膨出部によつてタンク本体の底壁と車体
の機能部品との干渉を回避するようにしたものが
知られている。

発明が解決しようとする問題点 タンク本体の底壁に膨出部を形成することによ
つて、タンク本体の略下半部に主室と副室とが隔
成されることから、これら両室の何れか一方に燃
料が残留することのないように、フイードパイプ
を途中から切換弁を介して主室側パイプと副室側
パイプとに分岐させ、主室内の燃料が消費される
と切換弁を作動して、副室内の燃料が供給される
ようにする必要がある。このため、切換弁が必要
となるのみならず、この切換弁を自動的に切換作
動させるために、主室、副室にそれぞれ液位検出
装置が必要となる他、制御ユニツトが必要とな
り、非常に高価となつてしまう不具合が指摘され
ている。

そこで、本発明は切換弁やその作動制御ユニツ
ト等の専用部品を必要とすることがなく、主室、
副室内の燃料を効率よく供給することができる燃
料タンクの燃料吸込装置を提供するものである。

問題点を解決するための手段 タンク本体の略下半部に隔成された主室にフイ
ードパイプの吸込口を配置すると共に、タンク本
体内に突出したリターンパイプの端部にチヤンバ
を形成して、該リターンパイプの端末にチヤンバ
内に突出するノズルを形成し、かつ、該チヤンバ
のノズル下方に絞り部と、該絞り部に続いてテー
パ開口部を形成して、該テーパ開口部を主室内に
配置すると共に、上記リターンパイプに、リター
ンパイプ内の圧力が一定以上となると開いて燃料
をタンク本体内に戻すリリーフ弁を設ける一方、
一端開口部を副室の底部近傍に配置した連通パイ
プを前記チヤンバのノズル周側部に連通、接続
し、該チヤンバと連通パイプとの接続部分にエゼ
クタ部を構成してある。

作 用 フイードポンプが駆動すると、主室内の燃料は
フイードパイプの吸込口から吸い込まれて燃料供
給装置に供給されると共に、余剰の供給燃料はリ
ターンパイプを経由してタンク本体に帰還され
る。このリターンパイプから帰還される余剰燃料
はフイードポンプの吐出圧によりエゼクタ部にお
いてノズルから勢いよく噴出する。この燃料の噴
出によりチヤンバのノズル周側には負圧が生じ、
連通パイプを介して副室内の燃料が該チヤンバ内
に吸引されると共に、前記ノズルからの噴流と共
に絞り部により流速が高められてテーパ開口部か
ら主室内に送給される。

ここで、上記リターンパイプ内の圧力が高まり
一定力以上になると、リリーフ弁が開き、リター
ンパイプ内の燃料をタンク本体内に戻し、リター
ンパイプ内の圧力上昇を防止する。

実施例 以下、本発明の一実施例を図面と共に詳述す
る。

第１，２図において、１はタンク本体を示し、
その底壁の略中央部には内側に向けて膨出部２を
形成してあつて、該タンク本体１の略下半部に主
室３と副室４とが隔成されている。主室３内には
フイードパイプ５の吸込口、例えばフイルタ６を
配置してあつて、タンク本体１外に配設した後述
のフイードポンプの駆動によつて、主室３内の燃
料がフイルタ６により過されて、フイードパイ
プ５を経由して後述の燃料供給装置へ送給される
ようになつている。７はタンク本体１内に突出配
置されて、前記燃料供給装置で消費されない余剰
の燃料をタンク本体１内に帰還させるリターンパ
イプで、該リターンパイプ７の端部にはチヤンバ
９を形成してある。前記リターンパイプ７の端末
にはチヤンバ９内に突出するノズル８を形成して
あり、また、チヤンバ９のノズル８下方には絞り
部１０と、これに続いてテーパ開口部１１を形成
してあつて、このテーパ開口部１１を前記主室３
内に配置してある。

ここで、上記リターンパイプ７の端部近傍には
分岐ポート７ａを設けてあり、この分岐ポート７
ａに、リターンパイプ７内圧力が一定になると開
弁してリターンパイプ７内の燃料を主室３に戻す
リリーフ弁１２を介装してある。

上記リリーフ弁１２は、上記分岐ポート７ａに
挿入されて先端側をＯリング１３でシールし、中
央部に分岐ポート７ａの係合孔７ｂに係着する爪
１４ａを備えたケーシング１４と、ケーシング１
４のシート面１４ｂにスプリング１５により押圧
されて密着する弁本体１６とで構成してあり、上
記スプリング１５を適宜選択することで最適な開
弁圧を設定できるようになつている。

１７は、一端開口部１７ａを副室４の底部近傍
に配置した連通パイプで、この連通パイプ１７は
前記チヤンバ９の上壁部から突出するポート９ａ
に連通、接続してあつて、該チヤンバ９と連通パ
イプ１７との接続部分にエゼクタ部１８を構成し
ている。

また、前記テーパ開口部１１の上側部、具体的
には主室３の最大液面付近に相当する部位にオリ
フイス１９を設けてある。

以上の実施例構造によれば、第６図のフイード
ポンプ２０を駆動すると、主室３内の燃料はフイ
ルタ６により過されてフイードパイプ５より燃
料供給装置２３に供給される。この燃料供給装置
２３ではフイードパイプ５から送給される燃料の
全てが消費される訳ではなく、余剰の燃料はリタ
ーンパイプ７を経由してタンク本体１内に帰還さ
れる。ここで、リターンパイプ７の端末はエゼク
タ部１８を構成するチヤンバ９内でノズル８とし
て形成してあるため、フイードポンプ２０の吐出
圧によつて燃料はノズル８より絞り部１０、テー
パ開口部１１に向けて勢いよく噴出される。

このため、チヤンバ９内のノズル８周囲に負圧
が発生し、この負圧により連通パイプ１７を介し
て副室４内の燃料がチヤンバ９内に吸引されると
共に、前記ノズル８からの噴流と共に絞り部１０
から主室３内に送給され、ここにエゼクタ作用を
生じ、副室４内の燃料は余剰燃料のタンク本体１
内への帰還と共に主室内に移送される。

ここで、上記リターンパイプ７を流れる燃料の
流量が大きい場合、あるいは、燃料が高温となり
燃料ベーパと液相とが混り合つた気液混合状態と
なつた場合に、ノズル８による抵抗が大きくなり
リターンパイプ７内の燃料圧力（バツクプレツシ
ヤ）が一定値以上に上昇した場合には、前記リタ
ーンパイプ７の分岐ポート７ａに設けられたリリ
ーフ弁１２が開き、リターンパイプ７内の燃料を
主室３に戻し、リターンパイプ７内の圧力上昇を
阻止する。

したがつて、気化器仕様車にあつては、ニード
ル弁部あるいは第６図に示すような燃料噴射方式
仕様車にあつてはインジエクタ部の圧力上昇が阻
止され、インテークマニホールドへ供給される燃
料の混合比を一定に保ち、エンジンの円滑な回転
が保障される。

また、搭載するエンジンに応じて各々リターン
パイプ７の流量が異なるが、これに対しては、リ
リーフ弁１２のスプリング１５を交換するだけで
対拠できる。また、スプリング１５交換は、分岐
ポート７ａの係合孔７ｂとケーシング１４の爪１
４ａの係着を解除すれば簡単に行なうことができ
る。

このようにして、リリーフ弁１２を設けること
で、第３，４図に示すように横軸をリターン流
量、縦軸を移送流量あるいは、リターン圧力とし
た場合に、リターン流量がある一定値以上になつ
ても移送流量およびリターン圧力が一定値に保た
れる良好なエゼクタ特性が得られるのである。

なお、万一ノズル８先端に異物が詰つた場合に
は、エゼクタ作用は生じなくなるので、燃料の移
送作用は行なわれなくなるが、リターン流路はリ
リーフ弁１２により確保されるのでエンジンに悪
影響を及ぼさない。

また、上記のような燃料の移送作用が一旦生じ
ると、フイードポンプ２０が停止しても、主室３
側の燃料液位が副室４側の燃料液位よりも低い場
合には、チヤンバ９から連通パイプ１７の系内に
燃料が充満しているためサイフオン作用により、
主室３側の燃料液位が副室４側の燃料液位と同レ
ベルになるまで前述の燃料の移送が継続される。
逆の場合、つまり主室３側の燃料液位が副室４側
の燃料液位よりも高い場合には、チヤンバ９のテ
ーパ開口部１１の上側部にオリフイス１９がある
ためサイフオン作用が生じることがなく、従つ
て、主室３側から副室４側への燃料の逆流はな
い。第６図中２１はフユエルダンパ、２２はフユ
エルフイルタ、２４はプレツシヤレギユレータを
示す。

第５図に示す実施例は、連通パイプ１７の一端
開口部１７ａを副室４の底壁に固定した旋回槽内
に配置したものである。このように連通パイプ１
７の一端開口部１７ａを旋回槽２５に配置するこ
とによつて、燃料残量が少なくなつた場合、車両
の急旋回によつて燃料液面が同図鎖線ａ，ｂで示
すように傾斜しても、旋回槽２５内に吸い込み可
能な燃料量を確保することができ、仍つて、この
急旋回中にも前述した副室４側から主室３側への
燃料の移送を継続できる。

なお、主室３内にフイードポンプを配設してイ
ンタンクポンプタイプの燃料タンクを構成する場
合、フイードパイプの吸込口は、該フイードポン
プのインレツトとなる。また、前記実施例ではチ
ヤンバ９のテーパ開口部１１を主室３内の燃料中
に没しさせてあるが、燃料液面より上位に配置す
ればテーパ開口部１１の上側部に逆流防止用のオ
リフイス１２を設ける必要はない。

発明の効果 以上のように本発明によれば、フイードポンプ
の駆動により、主室内の燃料を燃料供給装置へ導
出すると同時に、エゼクタ部でのエゼクタ作用に
より副室内の燃料を主室側にスムーズに移送する
ことができ、しかも、従来のように専用の電機部
品を必要とすることがないので構造的にも簡単と
なり、さらにエンジン側の圧力上昇をも防止する
ことができるという実用上多大な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す略示的断面
図、第２図はエゼクタ部の拡大断面図、第３，４
図は各々リターン流量と、移送流量あるいはリタ
ーン圧力との関係を示すグラフ図、第５図は他の
実施例の要部断面図、第６図は燃料供給系統図で
ある。 １…タンク本体、２…膨出部、３…主室、４…
副室、５…フイードパイプ、６…吸込口、７…リ
ターンパイプ、８…ノズル、９…チヤンバ、１０
…絞り部、１１…テーパ開口部、１２…リリーフ
弁、１７…連通パイプ、１７ａ…一端開口部、１
８…エゼクタ部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タンク本体の底壁に膨出部を形成して、該タ
   ンク本体の略下半部に主室と副室とを隔成した構
   造において、前記主室の底部近傍にフイードパイ
   プの吸込口を配置すると共に、タンク本体内に突
   出したリターンパイプの端部にチヤンバを形成し
   て、該リターンパイプの端末にチヤンバ内に突出
   するノズルを形成し、かつ、該チヤンバのノズル
   下方に絞り部と、該絞り部に続いてテーパ開口部
   を形成して、該テーパ開口部を主室内に配置する
   と共に、上記リターンパイプに、リターンパイプ
   内の圧力が一定以上となると開いて燃料をタンク
   本体内に戻すリリーフ弁を設ける一方、一端開口
   部を副室の底部近傍に配置した連通パイプを前記
   チヤンバのノズル周側部に連通接続し、該チヤン
   バと連通パイプとの接続部分にエゼクタ部を構成
   したことを特徴とする燃料タンクの燃料吸込装
   置。