JPH05234904A - イオンビーム照射装置 - Google Patents

イオンビーム照射装置

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JPH05234904A
JPH05234904A JP4037389A JP3738992A JPH05234904A JP H05234904 A JPH05234904 A JP H05234904A JP 4037389 A JP4037389 A JP 4037389A JP 3738992 A JP3738992 A JP 3738992A JP H05234904 A JPH05234904 A JP H05234904A
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Japan
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ion beam
ion
substrate
lens
electrode
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Hideo Hirayama
秀雄 平山
Michihiro Aise
路博 合瀬
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオンビームの集束性低下を招くことなく、
低エネルギービームと高エネルギービームとを確実に分
離することができ、イオンビームを被処理基板上で集束
させて照射することのできるイオンビーム照射装置を提
供すること。 【構成】 真空容器10内に配置されたイオン11源
と、イオン源11から放出されたイオンを引出すイオン
ビーム引出し電極12と、引出し電極12により引出さ
れたイオンビームから所定のイオン種を選択する分析マ
グネット13と、分析マグネット13により選択された
イオンビームを減速する減速電極14とを備えたイオン
ビーム照射装置において、減速電極14の後段に、低エ
ネルギービームを反射し高エネルギービームを通過させ
る電界反射型レンズ20を設け、このレンズ20を介し
て得られる低エネルギー又は高エネルギーのイオンビー
ムを被処理基板30に照射することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理基板に所定のイ
オンビームを照射して、成膜,エッチング,イオン注入
等の処理を行うイオンビーム照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、被処理基板に薄膜構成材料種を含
むイオンビームを照射して、該基板上に薄膜を堆積する
方法が提案されている。この方法で用いられるイオンビ
ーム照射装置は、一般に図10に示すように構成されて
いる。
【0003】プラズマイオン源1の直ぐ後ろに加速・減
速電極(イオンビーム引出し電極)2が配置され、ここ
でプラズマからビームを引出す。続いて、磁場型質量分
析分光器(分析マグネット)3により、所望のイオン種
のみを取出し、基板直前で減速電極4により減速して被
処理基板5に照射する。電位的には基板5をアースと
し、イオン源1を正のプラズマ電位とする場合が普通で
ある。
【0004】分析マグネット3は、運動エネルギーが1
0kV以下のビームに対しては寸法が大きくなってしま
い実用的でないことから通常、ビームエネルギーは10
kV以上に加速して使用する。このため、引出し電極2
から基板直前の減速電極4までの長いラインに渡って、
ビームは高いエネルギーを持った状況にある。この間に
電荷を持ったイオンビームが雰囲気中の中性粒子と電荷
交換したり、或いはビームの一部が側壁やスリットに衝
突して中性化すると、基板直前での電場による減速はな
されず、高いエネルギーを持ったままイオンビームが基
板5に叩き込まれる。
【0005】このような高エネルギー粒子は基板や堆積
した膜中に欠陥を導入したり、基板や堆積した膜をスパ
ッタする等の問題を引き起こす原因となる。電荷交換の
断面積はビームエネルギーが数百eV以上になると特に
大きくなるので、エネルギーの高い間の真空度は重要な
ポイントとなる。
【0006】なお、イオンビームが雰囲気中のガスと電
荷交換して中性化する様子は、雰囲気の真空度で決定さ
れる平均自由行程から見積ることができる。図11はビ
ーム長を1mとした場合の真空度と中性化の割合を示し
たもので、横軸は真空度、縦軸はイオンビーム量と中性
化した粒子量の比を表している。例えば、10-6Torrで
はおおよそ0.01%が中性化するので、極僅かである
が引出したビームの一部が高速のまま基板に照射される
ことになる。
【0007】従来、これらの問題に対しての対策とし
て、ビームラインの真空度を極力上げる努力がなされて
いる。即ち、大型のポンプを使って差動排気したり、ビ
ームラインの側壁を液体窒素で冷却して雰囲気中のガス
をトラップする等の方式が取られている。また、図10
に示すように偏向レンズ6を設け、イオンビームの軌道
を減速電極4の直前で曲げて、高エネルギーの中性粒子
とイオンビームを分離する対策も取られている。さら
に、減速電極系に300ガウス程度の磁場をイオンビー
ムの進行方向に対し垂直に与えて、発生した高エネルギ
ーの2次電子をドリフトさせる試みもなされている。
【0008】しかしながら、これらの方法はいずれも減
速電極の前段での処理であるため、偏向電極から減速電
極までの間で電荷交換した中性粒子の影響は避けること
ができない。逆に、偏向レンズを減速電極の後段に設置
すると、減速されたビームは空間電荷効果により広がる
と共に、エネルギー分布もより不均一となるため、ビー
ムの集束性が悪くなる。このため、十分な成膜速度を得
ることができないばかりか、超高真空の雰囲気であって
も膜中への不純物の混入は多くなる等の不都合が生じ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のイ
オンビーム照射装置においては、中性化したイオンビー
ムが減速されずに被処理基板に照射され、低エネルギー
ビームのイオンと共に高エネルギーの粒子が基板に叩き
込まれる。これを防止するために減速電極の前段又は後
段に偏向レンズを設けても、減速電極の前段では偏向レ
ンズから減速電極までの間で中性化したビームに対して
は効果がなく、また減速レンズの後段ではビームの集束
性が悪くなる問題があった。つまり、イオンビームの集
束性を維持し、低エネルギービームと高エネルギービー
ムを確実に分離して被処理基板に照射することは困難で
あった。
【0010】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、イオンビームの集束性
の低下を招くことなく、低エネルギービームと高エネル
ギービームとを確実に分離することができ、面光源であ
るイオンビームを被処理基板上で集束させて照射するこ
とのできるイオンビーム照射装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、電界反
射型のレンズを用いることにより、減速された低エネル
ギーのイオンビームと減速されなかった高エネルギーの
ビームとを分離して取出すことにある。
【0012】即ち本発明は、真空容器内に配置されたイ
オン源と、このイオン源から放出されたイオンを引出す
イオンビーム引出し電極と、この引出し電極により引出
されたイオンビームから所定のイオン種を選択する分析
マグネットと、この分析マグネットにより選択されたイ
オンビームを減速する減速電極とを備えたイオンビーム
照射装置において、減速電極の後段に、低エネルギービ
ームを反射し高エネルギービームを通過させる電界反射
型のレンズを設け、このレンズを介して得られる低エネ
ルギー又は高エネルギーのビームを被処理基板に照射す
ることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明によれば、減速電極の後段に電界反射型
のレンズを設けているので、減速レンズを介して得られ
るイオンビームを、減速された本来のイオンビーム(低
エネルギービーム)と中性化した高速のビーム(高エネ
ルギービーム)とに分離することができる。即ち、減速
されたビームはレンズにおける電界により反射される
が、高速のビームはレンズを通過することになり、この
反射と通過を利用することにより、低エネルギービーム
と高エネルギービームとを分離することができる。
【0014】従って、ビームラインで中性化したイオン
ビームが減速されずに被処理基板に照射され、高いエネ
ルギーを持ったまま基板に叩き込まれる等の不都合を防
止することができる。また、偏向レンズを用いる方法と
は異なり、ビームの集束性が悪くなる問題もない。ま
た、低エネルギービームと高エネルギービームを分離す
ることができることから、高エネルギービームのみを取
出して被処理基板に照射することも可能となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示の実施例によって
説明する。 (実施例1)
【0016】図1は、本発明の第1の実施例に係わるイ
オンビーム照射装置を示す概略構成図である。図中10
は真空容器であり、この容器10内にはイオン源11が
設置されている。イオン源11から放出されたイオン
は、加速・減速電極(イオン引出し電極)12により引
出され、ビームの広がりが平行ビームに修正される。引
出されたイオンビームは、磁場型質量分析分光器(分析
マグネット)13により所望のイオン種が選択され、選
択されたイオンビームのみが減速電極14を通して取出
される。
【0017】ここまでの基本構成は従来装置と同様であ
るが、本実施例ではこれに加え、減速電極14の後方の
成膜室内に電界反射型レンズ20を設置している。そし
て、このレンズ20により低エネルギービームのみを反
射して被処理基板30に照射するものとなっている。な
お、図中15は真空容器10に接続されたビームライ
ン、16はビームラインの終端部側壁周辺に配置された
ファラデーカップ、17は被処理基板30に金属分子等
を供給するためのクヌッセンセル、18は基板30及び
クヌッセンセル17等を収容した成膜室、19はイオン
源11にガスを供給するためのArガスボンベを示して
いる。また、図には示さないが、各電極には従来装置と
同様に所定の電圧が印加されるものとなっている。
【0018】電界反射型レンズ20の具体的構造と使用
する材料について、図2を用いて説明する。図中の2枚
の同心円状の曲面レンズ21,22がレンズ系を構成し
ている。曲面レンズ21,22は絶縁材23により電気
的に分離され、支持体24に固定されている。この支持
体24はX−Yステージ25に接続されて、2次元方向
に移動可能となっている。曲面レンズ21は接地電位と
し、曲面レンズ22は正の電位とする。これら曲面レン
ズ21,22の材料はスパッタ収量,2次電子放出率が
小さく、しかも蒸気圧の低い材料が良く、加工し易いこ
とも考慮にいれると、例えばグラファイトが適切であ
る。
【0019】曲面レンズ21,22は反射しようとする
イオンビームエネルギーよりも大きなエネルギーを持つ
イオンや粒子が通過できるように中央付近に穴を開けて
おくか、或いは耐蝕性の高いステンレス鋼製のメッシュ
状電極とするとよい。穴の場合には、穴の大きさを一様
とせずにテーパを付けて、通過ビームとの接触面積をで
きるだけ小さくすることが望ましい。これは、接触面が
小さいほど、2次電子の放出による電場の乱れが少な
く、また表面の汚れに起因する電場の乱れも避けられる
ためである。
【0020】曲面レンズ21,22間の電界強度は、反
射しようとするイオンビームのエネルギーによって決定
する。電界強度の値はレンズ21,22間の距離と曲面
レンズ22の電位によって決定されるので、これらの値
には自由度を持たせることが望ましい。例えば、大きめ
の電源を用意して印加電位を自由に変えたり、レンズ2
1,22間の距離を真空容器の外から操作して変更でき
るような機構が付加されていることが望ましい。
【0021】電界反射型レンズ20の焦点は曲面レンズ
21,22の曲率半径に依存する。半径の不均一は焦点
のボケと電場の乱れの原因となるので、加工精度はでき
るだけ高く取る。電界反射型レンズ自体はレンズの中心
とイオンビームの中心とをずらして反射ビームが入射ビ
ームから外れたところに焦点を結ぶように設置する。こ
れにより図3に示すように、低エネルギーのビームはレ
ンズ20で反射し、高エネルギーのビームはレンズ20
を通過するようにする。
【0022】通常、10keV以上の電界で引出された
イオンビームは分析マグネット13で所定のイオン種が
選択された後、基板直前まで導かれ、ここで減速電極1
4の電界によって減速される。減速されたビームは電界
反射型レンズ20の曲面レンズ21のアース電位に向か
って進み、この曲面レンズ21とその後方の曲面レンズ
22による電界によって、反射される。反射におけるイ
オンビーム軌道のおおよそは簡単な近軸軌道計算によっ
て求められる。
【0023】下記に示す(表1)は、電界反射型レンズ
20に向かって集束するAr+ イオンビームの速度と集
束の立体角及び電界強度,焦点距離の関係をまとめたも
のである。この表のように反射ビームの集束点は反射電
界への入射ビームの集束性に依存する。エネルギーが反
射電界よりも大きいものは単に軌道が曲げられる程度
で、基本的には反射されずに曲面レンズ22を通過して
いくことになる。
【0024】
【表1】
【0025】次に、本実施例装置を用いて実際に成膜し
た例について述べる。成膜室18内の真空度を1×10
-11 Torrにし、Al分子線とN2 + イオンビームを併用
してSi基板上にAlNを成膜し、膜質と成膜条件の関
係を検討した。プラズマフィラメント型のイオン源11
に流量2.0sccmのArガスを供給してプラズマを生起
し、引出し電極12により、イオンを引き出した後、分
析マグネット13でAr2 + を選択し、減速電極14に
より減速し、さらに反射型レンズ20で低エネルギーの
ビームだけを反射し、基板30上に集束して照射する。
反射型レンズ20の後方にも基板30′をセットし、反
射型レンズ20を通り抜けた粒子が基板30′に入射す
るようにしてある。
【0026】アルミニウムを5cc入れたクヌッセンセル
17を1000℃に加熱して、Al分子線を同時に基板
30及び30′に照射する。プラズマの電位は100
V、基板30,30′及び電界反射型レンズ20の曲面
レンズ21の電位はアース、曲面レンズ22は100V
となっている。このようにして45分間成膜した後の基
板30及び30′について、表面からの深さ方向のオー
ジェ分析の結果を図4及び図5に示す。
【0027】図4は、反射型レンズ20の後方の基板3
0′におけるオージェ分析結果であり、(a)の各点
A,B,CにおけるAl,Nの膜厚方向における量を
(b)に示している。同様に、図5は反射型レンズ20
の前方の基板30におけるオージェ分析結果であり、
(a)の各点A′,B′におけるAl,Nの膜厚方向に
おける量を(b)に示している。これらの図から明らか
なように、反射型レンズ20の後方の基板30′ではビ
ームライン内径にほぼ相当する大きさの領域ではAlの
堆積が見られず、N2 が数10nmの深さまで侵入して
いることが分かる。これは、高いエネルギーを持った粒
子がAl,Siをスパッタすると共に、基板内部に注入
されているからである。これに対し、反射型レンズ20
で反射されたビームにより成膜されたものはAlとNが
ほぼ1:1の割合で存在していることが分かる。
【0028】このように本実施例によれば、減速電極1
4の後段に図2に示す構造の電界反射型レンズ20を設
置しているので、減速電極14にて減速された低エネル
ギーのイオンビームのみを反射して被処理基板30に照
射させることができる。このため、ビームラインで中性
化したイオンビームが減速されずに高いエネルギーを持
ったまま基板30に叩き込まれる等の不都合を防止する
ことができ、良質の薄膜を製造することが可能となる。
また、偏向レンズを用いる方法とは異なり、ビームの集
束性が悪くなる問題もなく、基板30に低エネルギーの
イオンビームを集束して照射することができる。 (実施例2)
【0029】実施例1の装置を改良し、減速電極14の
手前でビームラインを5度曲げて、高速の中性粒子の侵
入を避け、成膜を行った。反射型レンズ20の手前と後
方の基板上に堆積した膜の電気抵抗分布を測定した結果
を、図6に示す。図中○印はは手前に配置したもの、□
は後方に配置したものを示している。
【0030】両者を比較すると、後方に設置した基板3
0′の膜の抵抗は前方に設置した基板30の膜より低
く、また、抵抗の大きい領域が前方の膜に比べ広いこと
が分かる。これは、反射電界により反射されたビームは
通過するビームよりも、エネルギー半値幅が小さく、さ
らにビームの断面径が小さいことに起因していると思わ
れる。このように反射電界を使用した方が従来のビーム
ラインを曲げる方法よりも優れた性質を持つ膜の作成が
可能であることが分かる。 (実施例3)
【0031】実施例2における装置のビームのエネルギ
ー分布を、同軸円筒型静電分光器を用いて測定した。1
00Vのプラズマ電位からAr2 + を引出し減速して、
中心径5cm、電極幅1cm、入口及び出口のスリット
径1mm、出口にはファラデーカップをセットし、電界
強度90V/cmから110V/cmに変えて分析を行
った。その結果を、図7に示す。反射電界レンズ20の
後方と前方を比較すると、エネルギーに大きな差が認め
られ、反射電界レンズ20の前方の方が小さいことが分
かる。 (実施例4)この実施例は、先の第1〜第3の実施例と
は異なり、イオンビームライン側壁の形状を工夫し、高
エネルギービームの影響をなくしたものである。
【0032】図8は、基板30からビームラインへの方
向に、スリットにより制限された立体角αとこの立体角
に含まれる領域Aを示している。いま、領域A内のビー
ムライン側壁に侵入するイオンビームは側壁で電荷を失
い中性化し、反射して基板に直接侵入する可能性が高
い。これを避けるための手段として、次のような構成を
採用した。
【0033】(1) ビームラインを2重構造とし、内側を
多孔質状或いはメッシュ状の電極とし、その外側の電極
とでレンズを形成して、メッシュ状電極を通過したイオ
ンビームの軌道を偏向し、領域Aの外側で反射させる。 (2) 内側の電極表面に凹凸を作り、乱反射して基板に侵
入する確率を減少せしめる。 (3) 反射させた後に、(1) のように軌道偏向する方法に
よって、基板への侵入を避ける。
【0034】ビームラインの2つの電極の電位は、ビー
ム軌道を偏向するための重要なパラメータである。その
値は、侵入するイオンビームの運動エネルギー,侵入す
る角度,侵入位置に依存する。これらの値は、成膜中の
様々な条件によって随時変わるので、電極の電位は可変
できるものとする。最適な条件を見出すためには、図中
のBで示したように領域Aから外れたところの電極のイ
オン電流をモニタし、この値が最大になるように調整す
る。内側のレンズの材料はスパッタ収率の低いこと、2
次電子放出率が小さいこと、さらに蒸気圧が低く加工性
の良いものがよく、例えばグラファイトが適当である。
図9は、本実施例に係わるイオンビーム照射装置を示す
概略構成図である。なお、図1と同一部分には同一符号
を付して、その詳しい説明は省略する。
【0035】分析マグネット13の出口から減速電極1
4までのビームライン15の側壁を2重構造とし、内側
にステンレス鋼製のメッシュ電極41を設置した。外側
の側壁の減速電極14に近いところには、ファラデーカ
ップ16を設置した。また、基板30の直前にシャッタ
42を設置した。
【0036】上記の装置を用い、3インチのシリコン基
板30上にZnO:Zn半導体蛍光体を厚さ5μm塗布
し、これを基板ホルダーに備え付け、ビーム観察に用い
た。プラズマフィラメント型のイオン源11のプラズマ
電位を80Vとし、イオン源11から−20kVでイオ
ンを引き出し、分析マグネット13によりAr2 + を選
択して基板30に導いた。基板直前のシャッタ42に流
れ込む電流は40μAであった。
【0037】基板30の電位を100Vとし、基本的に
は80eVのイオンビームは反射され基板30には到達
しないようにして、基板表面の蛍光体の発光を観察し
た。2重構造としたビームライン15の外側の側壁の電
位を種々変え、そのときの側壁の端にあるファラデーカ
ップ16に流れ込むイオン電流と基板30上の蛍光体の
発光を定性的に下記(表2)にまとめた。
【0038】
【表2】
【0039】この表が示すように、外側の電位を偏向す
ると発光強度とファラデーカップ16に流れ込む電流が
変化し、ファラデーカップ16に流れ込む電流が小さい
ほど発光強度が強くなる傾向が認められた。即ち、2重
構造の電位を適切に設定することによって、ビームライ
ン15の側壁で中和されて生じる中性粒子や発生する2
次電子の基板30への侵入を抑えることが可能となって
いることが分かる。
【0040】このように本実施例によれば、ビームライ
ン15の側壁に衝突して発生する高速の2次電子や側壁
での中性化により発生する高速中性粒子の基板30への
侵入を十分に抑えることができ、エネルギー分布の半値
幅の小さな質の良いイオンビームの照射が可能となる。
【0041】なお、本発明は上述した各実施例に限定さ
れるものではない。実施例では、イオンビームを成膜に
用いたが、エッチングやイオン注入に用いることもでき
る。また、実施例では電界反射型レンズを反射して減速
されたイオンビームを利用したが、逆に電界反射型レン
ズを通過したイオンビームを利用することも可能であ
る。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変
形して実施することができる。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、減
速電極の後段に電界反射型レンズを設置することによ
り、減速された低エネルギーのイオンビームと減速され
なかった高エネルギーのイオンビームとを分離して取出
すことができ、イオンビームの集束性の低下を招くこと
なく、低エネルギービームと高エネルギービームとを確
実に分離し、いずれかのイオンビームを面光源であるイ
オンビームを被処理基板上で集束させて照射することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わるイオンビーム照
射装置を示す概略構成図、
【図2】第1の実施例に用いた電界反射型レンズの具体
的構成を示す斜視図、
【図3】電界反射型レンズによるビームの偏向状態を示
す模式図、
【図4】第1の実施例における薄膜の組成分析結果を示
す特性図、
【図5】第1の実施例における薄膜の組成分析結果を示
す特性図、
【図6】第2の実施例における薄膜の電気抵抗分布を示
す特性図、
【図7】第3の実施例におけるビームエネルギー分布を
示す特性図、
【図8】第4の実施例におけるビームラインの構成を示
す断面図、
【図9】第4の実施例に係わるイオンビーム照射装置を
示す概略構成図、
【図10】従来のイオンビーム照射装置を示す概略構成
図、
【図11】ビームラインにおける真空度と中性化の割合
を示す特性図。
【符号の説明】
10…真空容器、 11…イオン源、 12…イオン引出し電極、 13…磁場型質量分析分光器(分析マグネット)、 14…減速電極、 15…ビームライン、 16…ファラデーカップ、 17…クヌッセンセル、 18…成膜室、 19…Arガスボンベ、 20…電界反射型レンズ、 21,22…曲面レンズ、 23…絶縁材、 24…支持体、 25…X−Yステージ、 30…被処理基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/302 D 7353−4M

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器内に配置されたイオン源と、この
    イオン源から放出されたイオンを引出すイオンビーム引
    出し電極と、この引出し電極により引出されたイオンビ
    ームから所定のイオン種を選択する分析マグネットと、
    この分析マグネットにより選択されたイオンビームを減
    速する減速電極と、この減速電極を通して得られるイオ
    ンビームのうち、低エネルギービームを反射し高エネル
    ギービームを通過させる電界反射型レンズとを具備して
    なり、 前記電界反射型レンズを介して得られる低エネルギービ
    ーム又は高エネルギービームを被処理基板に照射するこ
    とを特徴とするイオンビーム照射装置。
  2. 【請求項2】前記イオンビームが輸送されるビームライ
    ンの側壁を、該側壁に侵入したイオンビームが乱反射す
    るように、メッシュ状,多孔質状又は凹凸状に加工して
    なることを特徴とする請求項1記載のイオンビーム照射
    装置。
JP4037389A 1992-02-25 1992-02-25 イオンビーム照射装置 Pending JPH05234904A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021533572A (ja) * 2018-08-06 2021-12-02 マトソン テクノロジー インコーポレイテッドMattson Technology, Inc. 中性原子ビームを使用した被加工物処理のためのシステムおよび方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021533572A (ja) * 2018-08-06 2021-12-02 マトソン テクノロジー インコーポレイテッドMattson Technology, Inc. 中性原子ビームを使用した被加工物処理のためのシステムおよび方法
JP2022166171A (ja) * 2018-08-06 2022-11-01 マトソン テクノロジー インコーポレイテッド 中性原子ビームを使用した被加工物処理のためのシステムおよび方法

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