JPH0522504U - 長距離ランナー用のストツキング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ストッキングでもって膝を強制的に伸ばし、
軽快にしかもスピードを速くして楽に走行できるように
する。 【構成】 ストッキングは、パンティー部１からアキレ
ス腱の部分まで延長して丸編されている。ストッキング
のｂ点、ｃ点、ｂ₁点、ｄ点、ｆ点、ｇ点の押圧力は、
図１の曲線ａと曲線ｂとで囲まれる範囲に設定されてい
る。ｆ点とｄ点の間の長さ方向の弾性係数は０．５ｋｇ
／ｃｍ〜８ｋｇ／ｃｍの範囲に設定されている。 【効果】 この考案のストッキングを履くと、足の動き
が軽くなり、疲れが減少する。さらに、足の屈伸をスピ
ーディーにしてスピードを速くできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ジョギングやマラソン等の長距離ランナーに使用されるストッキ ングに関する。

【０００２】

【従来の技術】

スポーツ用のストッキングは開発されている。実開平５８−４２１０５号公報 には、足を部分的に緊締するスポーツ用のサポーターが記載されている。このサ ポーターは、血行を良くして、疲労回復の健康面に寄与できる特長がある。

【０００３】 また、実開平２−６６６０６号公報には、履き口からかかと部に向かって足の 押圧力を強くし、また、かかと部と足先部とをパイル織りしたスポーツソックス が記載されている。このスポーツソックスは、靴の内部で靴下が滑り移動するこ とによって足に与える障害を可及的に防止できる特長がある。

【０００４】 さらにまた、実開平２−１４３０７号公報には、腰部と膝部と脛部とからなり 、腰部を平織りまたはスパイラルメッシュ柄に編成し、膝部パイル編とし、脛部 に弾性糸を挿通して編成した膝パイルタイツが記載されている。このタイツは、 膝回りに保持効果を付与するとともに、膝部に締め付け効果を付与できる特長が ある。

【０００５】 さらに、実開平２−１７７２０４号公報にも、腰部と膝部と脛部とからなって 、腰部をスパンデックス（登録商標）糸を使用して編成し、脛部に弾性糸を挿通 して編成した膝パイルタイツが記載されている。このタイツは、運動中または歩 行中にズリ落ちることがなく、また血行を阻害することもない特長がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

これらの公報に記載されるストッキングは、足の血行を改善し、また、疲れを 少なくできる効果はある。しかしながら、これ等のストッキングは、長距離走行 に使用して足の運びを軽くする作用を期待できない。本考案者は、マラソンやジ ョギング等の長距離走行時における足の屈伸運動と、筋肉の作用に付いて究明し た。長距離ランナーは、膝を曲げ伸ばしして前進する。膝を曲げる状態と、足に 力を入れる状態とを観察した結果、速く走るためには、足はふたつの動作を速く することが要求されることがわかった。それは、図２に示すように、足で地面を 後方に蹴って体を前方に加速するときと、図３に示すように曲げた足を前方に伸 ばすときとである。この動きは両方とも、曲げた足を伸ばす過程である。すなわ ち、長距離ランナーは、膝を折り曲げる動作は比較的ゆっくりとするが、膝を伸 ばすときには、筋肉に力を入れて速く動作することが要求される。

【０００７】 この考案の長距離ランナー用のストッキングは、ストッキングに独得の構成を 持たせることによって、長距離走行時における足の動きを補助するように構成し たもので、この考案の重要な目的は、ストッキングでもって膝を強制的に伸ばし 、軽快にしかもスピードを速くして走行できる長距離ランナー用のストッキング を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案の長距離ランナー用のストッキングは、前述の目的を達成するために 、下記の構成を備えている。長距離走行時にズレ落ちて、足に対する位置が変化 しないように、ストッキングは、パンティー部１からアキレス腱の部分まで延長 して丸編されている。さらに好ましくは、アキレス腱から先端の足先まで丸編さ れている。

【０００９】 長距離ランナーの足に密着して、良くフィットさせ、さらに足の血液循環を良 好にし、また、走る毎にアキレス腱を刺激できるように、アキレス腱部分のｂ点 と、下腿部の最も太い部分のｃ点と、ｃ点とｂ点の中間に位置するｂ₁点と、膝 から多少足先に位置するこむら骨頂頭部のｄ点と、膝の上方１５ｃｍのｆ点と、 股下１０ｃｍのｇ点の押圧力が、図１の曲線ａと曲線ｂとで囲まれる範囲に設定 している。

【００１０】 ストッキングのｂ点と、ｃ点と、ｂ₁点と、ｄ点と、ｆ点と、ｇ点の押圧力は 、これを挿入する足の太さによって変化する。したがって、この明細書において 、ストッキングの各点の押圧力は、足の太さが次の値である標準の足型に挿入し て測定した数値とする。 ｂ点…………２２ｃｍ ｃ点…………２９．５ｃｍ ｂ₁点……… ３６ｃｍ ｄ点…………３４．５ｃｍ ｆ点…………４９ｃｍ ｇ点…………５３ｃｍ

【００１１】 さらにまた、折曲した足を、弾性的な引張力で強制的にまっすぐに伸ばし、屈 伸する足の動き、とくに筋肉に力を入れて速く動かせる運動を補助するために、 ｆ点とｄ点の間の長さ方向の弾性係数を０．５ｋｇ／ｃｍ〜８ｋｇ／ｃｍの範囲 に設定している。この弾性係数は、さらに好ましくは、０．７ｋｇ／ｃｍ〜６ｋ ｇ／ｃｍの範囲に設定される。弾性係数が小さすぎると、足を曲げるのが重くな り、反対に弾性係数が大きすぎると足をまっすぐに伸ばす力が少なくなる。弾性 係数は、足を曲げやすく、しかも、曲げた足を強制的にまっすぐに伸ばすことが できるように、前述の範囲に調整される。

【００１２】 この明細書において、ストッキングのｆ点とｄ点の間の縦方向の弾性係数は、 ストッキングに足を入れない状態で、長さが１５ｃｍの部分を測定したものとす る。それは、ストッキングに入れる足の太さで弾性係数が変化することが理由で ある。

【００１３】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。但し、以下に示す実施例 は、この考案の技術思想を具体化する為の装置を例示すものであって、この考案 の装置は、構成部品の材質、形状、構造、配置を下記の構造に特定するものでな い。この考案の装置は、実用新案登録請求の範囲に於て、種々の変更を加えるこ とができる。

【００１４】 更に、この明細書は、実用新案登録請求の範囲を理解し易いように、実施例に 示される部材に対応する番号を、「実用新案登録請求の範囲」、および「課題を 解決する為の手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、実用新案登録請 求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。

【００１５】 図４に示す長距離ランナー用のストッキングは、パンティー部１と脚部２とを 一体構造として丸編している。脚部２は、アキレス腱の部分まで延長されている 。図示しないが、脚部２は足先まで延長することもできる。

【００１６】 脚部２は、ランナーの足にフィットして密着し、さらに足の血液循環を良好に し、さらにまた、走る毎にアキレス腱を押圧して刺激できるように、下方に向か って足の押圧力を強く設計している。足の押圧力は、部分的なバランスと、押圧 力の程度とを調整することが大切である。このため、アキレス腱部分のｂ点と、 下腿部の最も太い部分のｃ点と、ｃ点とｂ点の中間に位置するｂ₁点と、膝から 多少足先に位置するこむら骨頂頭部のｄ点と、膝の上方１５ｃｍのｆ点と、股下 １０ｃｍのｇ点の押圧力を、図１の曲線ａと曲線ｂの間に設定している。

【００１７】 ストッキングのｂ点と、ｃ点と、ｂ₁点と、ｄ点と、ｆ点と、ｇ点の押圧力は 、これを挿入する標準の足の太さによって変化する。したがって、ストッキング の押圧力は、足の各点の太さ、すなわち外周を、下記の値とする標準の足型に挿 入して測定した。 ｂ点…………２２ｃｍ ｂ₁点……… ３６ｃｍ ｃ点…………２９．５ｃｍ ｄ点…………３４．５ｃｍ ｆ点…………４９ｃｍ ｇ点…………５３ｃｍ

【００１８】 また、ストッキングを挿入して押圧力を測定した標準の足型は、ｂ、ｂ₁、ｃ 、ｄ、ｆ、ｇ点間の間隔を次の値とした。 ｂとｂ₁の間隔…… ８ｃｍ ｂ₁とｃの間隔…… １１ｃｍ ｃとｄの間隔………８ｃｍ ｄとｆの間隔………２１ｃｍ ｆてｇの間隔………１２ｃｍ

【００１９】 さらにまた、ストッキングは、折曲した足を、弾性的な引張力で強制的にまっ すぐに伸ばし、屈伸する足の動き、とくに筋肉に力を入れて速く動かせる運動を 補助するために、ｆ点とｄ点の間の長さ方向の弾性係数を０．５ｋｇ／ｃｍ〜８ ｋｇ／ｃｍの範囲に設定している。この弾性係数は、さらに好ましくは、０．７ ｋｇ／ｃｍ〜６ｋｇ／ｃｍの範囲に設定される。ただし、ストッキングのｆ点と ｄ点の間の縦方向の弾性係数は、ストッキングに足を入れない状態で、長さが１ ５ｃｍの部分を測定した。

【００２０】 弾性係数が大きいストッキングは、伸び難く、一定の長さを伸ばすために、強 い力を必要とする。反対に、弾性係数が小さいストッキングは、弱い力で伸ばす ことができる。ストッキングは、膝部分の弾性係数が大きすぎると、足を曲げる のが重くなり、反対に弾性係数が小さすぎると、足をまっすぐに伸ばす復元力が 低下する。ストッキングの弾性係数は、足を曲げやすく、しかも、曲げた足を強 制的にまっすぐに伸ばすことができるように、前述の範囲に調整される。

【００２１】 さらに、理想的なストッキングは、引張力によって弾性係数が変化するもので ある。引張力が弱いときには弾性係数が小さくて伸び易く、引張力が所定の力以 上になると弾性係数が大きくて伸び難いものがよい。このストッキングは、引張 力が２〜５ｋｇを境にして弾性係数を変更するのがよく、引張力が２〜５ｋｇ以 下では弾性係数を０．５〜２ｋｇ／ｃｍの範囲とし、引張力が２〜５ｋｇ以上で は、弾性係数を３〜８ｋｇ／ｃｍとするものがよい。このストッキングは、足を 入れるときに多少伸びるので履き易く、履いた状態では足を曲げると伸びた側を 引っ張って足を直線状に復元させようとする力が効果的に作用する。とくに、足 を大きく曲げた状態では足を直線的に復元させる力が強く、楽にジョギングする ことができる。

【００２２】 ストッキングのｆ点とｄ点の間の引張力に対する伸びの一例を図５に示してい る。この図に示すストッキングは、引張力が３ｋｇ以下では、弾性係数が約１ｋ ｇ／ｃｍであり、引張力が５ｋｇ以上では弾性係数が４ｋｇ／ｃｍであった。ま た、この図に示す弾性係数のストッキングの各点の押圧力は図１の鎖線ｃに示し ている。

【００２３】 ストッキングの押圧力と弾性係数とは、使用する糸の種類と、丸編機の糸の張 力で調整できる。使用する糸は、通常４０〜２００デニールの弾性糸、例えばス パンデックス（登録商標）を使用する。太い糸を使用すると、ストッキングの押 圧力と弾性係数とを大きくできる。反対に細い糸のストッキングは、押圧力と弾 性係数とが小さくなる。さらに、丸編機の糸のテンションを強くすると、編目が 小さくなって、押圧力と弾性係数とを大きくでき、反対に丸編機の糸のテンショ ンを弱くすると押圧力と弾性係数とを小さくできる。

【００２４】 図４に示すストッキングは、左右を別々に丸編して、中央で縫着して製造して いる。

【００２５】

【考案の効果】

この考案の長距離ランナー用のストッキングは、足の動きを軽くして、疲れを 減少し、さらに、足の屈伸をスピーディーにしてスピードを速くできる特長があ る。それは、パンティー部１からアキレス腱に向かって足の表面を押圧する圧力 を強くして、足の静脈に停滞する血液を強制的に心臓に循環させて筋肉に新鮮な 血液を供給することに加えて、膝の屈伸運動を、ストッキングの弾性で補助する ことが理由である。すなわち、この考案のストッキングは、足を曲げるときに蓄 えた弾性のエネルギーを、足を強制的に伸ばす力に利用して、長距離ランナーの スピードを向上している。

【００２６】 １００メートルの短距離を速く走る時には、いかに足を速く動かせるかが大切 である。しかしながら、マラソンのように長距離競争でスピードを上げるために 大切なことは、足を軽く運動できることも大切であるが、とくに、筋肉に負荷が かかる足を伸ばす動作で、動きを速くして疲れを少なくすることが大切である。 この考案のストッキングは、足を曲げるときに蓄えた弾性のエネルギーを有効に 利用して、足に伸ばすのに利用している。図６はストッキングが足を伸ばす原理 を示している。この図に示すように、足を後方に折曲すると、ストッキングは前 側が長く伸びて矢印で示す引張力が作用する。ストッキングは、膝の部分の縦方 向の弾性係数を特定している。このため、図に示すように足を折り曲げると、前 後の伸びの差と弾性係数の積に比例する回転モーメントが作用して、この回転モ ーメントは足の筋肉を補助して足をまっすぐに伸ばそうとする力が働く。このた め、ストッキングの弾性エネルギーによって足を伸ばす動きをスピーディにして 、長距離ランナーは速く走ることができる。ただ、ストッキングの前後張力差に よる回転モーメントは、足を曲げようとするときにも作用する。この時の力は、 足の動きを遅くする。しかしながら、長距離ランナーの足を曲げる動きは、足を 伸ばすときに比較して動きが遅く、また、筋肉にも大きな負荷がかからない。そ れは、足を曲げる運動が、足を伸ばして体を加速したのち、前に運ぶ途中の運動 であるからである。すなわち、この考案のストッキングは、足の筋肉に負担がか からない運動でエネルギーを蓄え、このエネルギーを筋肉に負荷がかかるときに 放出して走行スピードを速くしている。

【００２７】 さらに、この考案のストッキングは、パンティー部１から次第に細くなるアキ レス腱まで延長された形状となっており、また、アキレス腱に向かって表面押圧 力を強くしているので、足を屈伸運動してもストッキングと足との相対位置がず れることがなく、長時間にわたって屈伸運動におけるエネルギーの吸収と放出と を効率よくでき、これによって足の動きを速く、また、疲れを少なくできる特長 も実現する。

【００２８】 さらにまた、この考案のストッキングは、アキレス腱を強い力で押圧している ので、走るときにこの部分が刺激され、もうろうとする感覚に刺激を与えて、疲 れを少なく出来る特長も実現する。さらに、この考案のストッキングは、足全体 を強く緊締し、また、縦方向にも弾性的に引っ張っているので、走行中に足を筋 肉や骨の損傷から保護できる特長も実現する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のストッキングの各点の押圧力を示す
グラフ

【図２】走行時における足の動きを示す概略側面図

【図３】走行時における足の動きを示す概略側面図

【図４】この考案の一実施例を示すストッキングの正面
図

【図５】引張力に対する伸びを示すグラフ

【図６】足を屈げた状態でストッキングが足を伸ばす状
態を示す側面図

【符号の説明】

１…パンティー部 ２…脚部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記の（ａ）ないし（ｃ）の全ての構成
   を有することを特徴とする長距離ランナー用のストッキ
   ング。 （ａ） パンティー部１からアキレス腱の部分まで延長
   して丸編されている。 （ｂ） アキレス腱部分のｂ点と、下腿部の最も太い部
   分のｃ点と、ｃ点とｂ点の中間に位置するｂ₁点と、膝
   から多少足先に位置するこむら骨頂頭部のｄ点と、膝の
   上方１５ｃｍのｆ点と、股下１０ｃｍのｇ点の押圧力
   が、図１の曲線ａと曲線ｂとで囲まれる範囲に設定され
   ている。 （ｃ） ｆ点とｄ点の間の長さ方向の弾性係数が０．５
   ｋｇ／ｃｍ〜８ｋｇ／ｃｍの範囲に設定されていること
   を特徴とする長距離ランナー用のストッキング。