JPH05223759A - マグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化判定装置 - Google Patents

マグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化判定装置

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JPH05223759A
JPH05223759A JP3135946A JP13594691A JPH05223759A JP H05223759 A JPH05223759 A JP H05223759A JP 3135946 A JP3135946 A JP 3135946A JP 13594691 A JP13594691 A JP 13594691A JP H05223759 A JPH05223759 A JP H05223759A
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JP
Japan
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crystal
molten metal
magnesium alloy
crystal grain
primary crystal
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Application number
JP3135946A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Iwabori
弘昭 岩堀
Hatsuo Kusakabe
初夫 日下部
Koji Yonekura
浩司 米倉
Takao Miyamoto
孝夫 宮本
Yukio Otsuka
幸男 大塚
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 注湯前のマグネシウム合金溶湯の結晶粒微細
化効果を、簡便にしかも確実に判定することができる結
晶粒微細化判定装置を提供する。 【構成】 マグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化効果を
判定する装置であって、前記マグネシウム合金の微細化
処理前の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開始直
後の冷却速度を検出する手段と、前記マグネシウム合金
の微細化処理後の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝
固開始直後の冷却速度を検出する手段と、前記検出され
た微細化処理前後の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開
始直後の冷却速度,あるいは微細化処理前後の該検出値
の差と予め設定された基準値とを比較し,結晶粒微細化
の程度を判定する手段とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネシウム合金溶湯
の結晶粒微細化判定装置に関するもので、さらに詳しく
は、注湯前の溶湯の結晶粒微細化効果を確実にかつ簡便
に判定できるマグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化判定
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金鋳物の引張強さは、結
晶粒径の増大とともに低下する。このため、鋳造する鋳
物の強度を確保するには、結晶粒の微細化処理が不可欠
となる。マグネシウム合金の微細化処理としては、例え
ば、Mg−Al系合金の結晶粒の微細化方法として、8
50〜900℃の高温度に溶湯を過熱し700℃付近ま
で早く降温させる方法や、ヘキサクロルエタン(C2
6 )を添加する方法が行われているが、操作の容易性
等の利点から後者の方法が一般的に行われている。
【0003】しかし、マグネシウム合金溶湯に結晶粒の
微細化処理が施された溶湯は、その後溶湯を保持する間
に微細化効果が薄れ、結晶粒の粗大化が進行する。この
ため、鋳物の品質を確保するためには、確実な結晶粒微
細化処理を行い、該溶湯の管理を的確に行うことが重要
である。従って、マグネシウム合金溶湯の微細化処理の
効果を簡単に判定できる方法が望まれていた。
【0004】従来より、これらマグネシウム合金溶湯の
結晶粒微細化判定方法としては、鋳造された鋳物の凝固
組織を観察する方法(第1の方法)や、該鋳物の破面を
観察する方法(第2の方法)が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1の方法では、マグネシウム鋳物の結晶粒微細化効果を
的確に判定することができるものの、凝固組織の観察は
頗る煩わしく、また時間がかかるという問題を有してい
た。また、この方法は、マグネシウム合金鋳物の結晶粒
微細化判定には有効であるものの、該合金の溶湯そのも
のの結晶粒微細化を判定するものではないため、溶解処
理現場で判定を行うことができないという問題があっ
た。
【0006】また、前記第2の方法の鋳物の破面観察方
法は、容易に行うことができるが、主観的な判定である
ので判定に個人差がでてバラツキが生じ、必ずしも定量
的、客観的な判定方法とは言えないという問題があっ
た。また、前記第1の方法と同様に、マグネシウム合金
溶湯そのものの結晶粒微細化を判定するものではないた
め、溶解処理現場で判定を行うことができないという問
題があった。
【0007】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0008】本発明の目的は、注湯前のマグネシウム合
金溶湯の結晶粒微細化効果を、簡便にしかも確実に判定
することができる結晶粒微細化判定装置を提供するにあ
る。
【0009】本発明者らは、上述の従来技術の問題に対
して、以下のことに着眼した。すなわち、上記従来技術
は何れもマグネシウム合金鋳物の結晶粒微細化の程度を
判定するものであって、該合金の溶湯そのものの結晶粒
微細化効果を判定するものではない。そこで、該合金の
結晶粒微細化効果の判定を溶解現場でも行えるようにす
るために、すなわち、マグネシウム合金の結晶粒微細化
効果の判定を炉前で行うためには、該合金を溶湯の状態
で結晶微細化の程度を判定する必要がある。そこで、該
合金溶湯の結晶粒微細化処理過程における冷却挙動に着
目した。
【0010】そして、熱分析法等により、結晶粒が粗大
化する精錬溶湯および結晶粒が微細化する微細化処理溶
湯について系統的実験を行い現象解明を行った結果、マ
グネシウム合金溶湯の結晶粒微細化の程度を、溶湯の凝
固挙動、すなわち初晶凝固温度及び/又は冷却速度によ
り判定することができることに着眼し、本発明を成すに
至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のマグネシウム合
金溶湯の結晶粒微細化判定装置は、マグネシウム合金溶
湯の結晶粒微細化効果を判定する装置であって、前記マ
グネシウム合金の微細化処理前の溶湯の初晶凝固温度及
び/又は初晶凝固開始直後の冷却速度を検出する手段
と、前記マグネシウム合金の微細化処理後の溶湯の初晶
凝固温度及び/又は初晶凝固開始直後の冷却速度を検出
する手段と、前記検出された微細化処理前後の初晶凝固
温度及び/又は初晶凝固開始直後の冷却速度,あるいは
微細化処理前後の該検出値の差と予め設定された基準値
とを比較し,結晶粒微細化の程度を判定する手段とから
なることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明のマグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化
判定装置において、先ず、マグネシウム合金の微細化処
理前の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開始直後
の冷却速度を検出する。次いで、前記マグネシウム合金
の微細化処理後の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝
固開始直後の冷却速度を検出する。次に、この検出され
た微細化処理前後の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開
始直後の冷却速度、あるいは微細化処理前後の該検出値
の差と予め設定された基準値との差を算出する。これよ
り得られた算出値の大きさが、前記合金の微細化効果の
有無およびその程度を表すことになる。次いで、該算出
値と、予め設定された前記微細化の有無およびその程度
の基準となる値とを比較することにより、前記マグネシ
ウム合金用溶湯の結晶粒微細化の程度を判定することが
できる。
【0013】
【発明の効果】本発明のマグネシウム合金溶湯の結晶粒
微細化判定装置により、注湯前のマグネシウム合金溶湯
の結晶粒微細化効果を、簡便にしかも確実に判定するこ
とができる。
【0014】
【実施例】以下に、発明をさらに具体的にした具体例に
ついて説明する。
【0015】本発明の具体例を、マグネシウム合金溶湯
としてAZ91合金溶湯を用いた場合の例について説明
する。
【0016】本具体例では、AZ91合金溶湯の結晶粒
微細化効果の判定を、1)第1溶湯状態量検出手段によ
り、結晶粒微細化処理前の熱分析を行い、AZ91合金
の微細化処理前の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝
固開始直後の冷却速度を検出する、2)第2溶湯状態量
検出手段により、前記AZ91合金の微細化処理後の溶
湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開始直後の冷却速
度を検出する、3)結晶粒微細化判定手段により、前記
検出された微細化処理前後の初晶凝固温度及び/又は初
晶凝固開始直後の冷却速度、あるいは微細化処理前後の
該検出値の差と予め設定された基準値とを比較し、結晶
粒微細化の程度を判定することにより行った。
【0017】先ず、第1溶湯状態量検出手段において、
結晶粒微細化前のAZ91合金溶湯を熱分析用鋳型に注
湯し、溶解過程のAZ91合金の熱分析を行う。なお、
熱分析用鋳型には、キャビティ中心部に有機レジンを粘
結剤として熱電対を配設するなど、AZ91合金の微細
化処理前の溶湯の初晶凝固温度及び/又は初晶凝固開始
直後の冷却速度等の第1状態量を検出するためのセンサ
を配設してある。
【0018】このとき、マグネシウム合金溶湯は非常に
燃焼し易いため、十分な防燃雰囲気を作って注湯するこ
とが好ましい。注湯後の熱電対等の第1状態量検出セン
サからの出力は、ペンレコーダ等に記録するか、または
コンピュータの記録部に入力するなどして記録する。得
られた冷却曲線またはこれを示すデータから初晶凝固温
度と初晶凝固開始直後の冷却速度を読み取るか、または
これら情報をコンピュータの演算部等で算出し、これら
情報を一時保存しておく。
【0019】なお、溶湯の冷却速度は、溶湯の種類や熱
分析に使用する鋳型寸法によって異なるため、溶湯の種
類や使用する鋳型に適した冷却速度の取り方をすること
が好ましい。また、結晶粒微細化処理前の溶湯の冷却曲
線は、初晶凝固開始直後に過冷・再熱現象が現れ温度停
滞するため、その温度停滞時間で平均冷却速度を算出す
ると良い。なお、該AZ91合金の精錬溶湯の初晶凝固
開始直後の冷却速度は、0°C/s程度となる。
【0020】次に、第2溶湯状態量検出手段において、
結晶粒微細化後のAZ91合金溶湯を熱分析用鋳型に注
湯し、AZ91合金の熱分析を行う。なお、使用する熱
分析用鋳型は、同じ寸法のものを用いることが好まし
い。また、熱分析用鋳型として、加熱手段を有する鋳型
を用い、第1溶湯状態量検出手段において第1状態量を
検出した後、AZ91合金溶湯を入れたまま、該熱分析
用鋳型内において溶湯の結晶粒微細化処理を施し、その
後に第2溶湯状態量検出手段により、第2状態量を検出
することもできる。なお、熱電対等の第2状態量検出セ
ンサ(第1状態量検出センサと同じでもよい)からの出
力は、ペンレコーダ等に記録するか、またはコンピュー
タの記録部に入力するなどして記録する。得られた冷却
曲線またはこれを示すデータから初晶凝固温度と初晶凝
固開始直後の冷却速度を読み取るか、またはこれら情報
をコンピュータの演算部等で算出し、これら情報を一時
保存しておく。なお、冷却速度は、結晶粒微細化処理前
の溶湯の初晶凝固開始直後の温度停滞時間と同じ時間の
平均冷却速度を取ると良い。
【0021】次に、結晶粒微細化判定手段において、前
記検出された微細化処理前後の初晶凝固温度及び/又は
初晶凝固開始直後の冷却速度、あるいは微細化処理前後
の該検出値の差と予め設定された基準値とを比較し、結
晶粒微細化の程度を判定する。すなわち、前記第1溶湯
状態量検出手段および第2溶湯状態量検出手段において
得られた第1状態量および第2状態量、例えばマグネシ
ウム合金の微細化処理前または/および後の初晶凝固温
度、初晶凝固開始直後の冷却速度、または微細化処理前
後のこれら検出値の差と、それぞれの値に対応して設定
された基準値とを比較し、結晶粒微細化の効果の程度が
十分か、不十分か、またはその程度についてなどの結晶
粒微細化の程度を判定する。
【0022】基準値との比較・判定の具体的一例を示す
と、以下のようである。先ず、初晶凝固温度は、結晶粒
微細化処理前の値と結晶粒微細化処理後の値とを比較
し、初晶凝固温度の差を求める。また、それぞれの結晶
粒微細化処理前後の初晶凝固開始直後の冷却速度を用い
る。そして、これらの値を、予め設定してある結晶粒微
細化のための基準値と比較する。求めた値が基準値を満
足していればこの溶湯は結晶粒微細化効果があると判定
できる。しかし、基準値を満足していない場合は、結晶
粒微細化効果が不十分と判定され、再度の結晶粒微細化
処理が必要となる。再度結晶微細化処理した溶湯は、も
う一度、前記と同様にして結晶粒微細化の判定を行い、
結晶粒微細化の効果を確認する。
【0023】結晶粒微細化の判定に必要な基準値は、次
のようにして求める。先ず、使用する鋳型は、熱分析用
鋳型と同じものを用いる。溶湯は、精錬および精錬後結
晶粒微細化剤の添加量を変えて、または結晶粒微細化処
理後溶湯保持時間を変えてなど、結晶粒微細化の程度が
異なる状態で熱分析をする。得られた冷却曲線から初晶
凝固温度および初晶凝固開始直後の冷却速度を読み取
り、また同時に熱分析した試料の凝固組織観察を行い、
結晶粒径を測定する。そして、初晶凝固温度および初晶
凝固開始直後の冷却速度の変化と結晶粒径の関係を求め
る。結晶粒径は、結晶粒微細化処理後の溶湯の初晶凝固
温度が結晶粒微細化処理前の溶湯の初晶凝固温度より高
くなるとともに小さくなり、所定温度以上になると結晶
粒径は一定となる。また、冷却速度が大きくなるととも
に結晶粒径は小さくなり、所定速度以上で結晶粒径が一
定となる。これらの関係を求めることにより、結晶粒径
が微細一定となる初晶凝固温度および初晶凝固開始前後
の冷却速度を微細化のための基準値として設定する。
【0024】なお、Al−Si−Mg、Al−Si−C
u系合金では、Na、Srなどによる共晶組織微細化の
判定にAEメータが使用されている。これは、熱電対を
設置したシェル鋳型に溶湯を注湯し、得られた冷却曲線
の共晶凝固温度を読み取り、微細化の有無を判定するも
のである。しかし、Al−Si−Mg、Al−Si−C
u系合金の共晶温度は、Si、Cu量によっても変化す
るため、得られた冷却曲線から共晶凝固温度を直読する
だけでは、微細化効果判定の確実性に欠ける。しかし、
本発明では、先に述べたように、結晶粒微細化処理前の
溶湯の熱分析を行い、その後結晶粒微細化処理後の溶湯
の熱分析を行い、必要な値を、同じ溶湯を用いて予め熱
分析データを解析して求めた基準値と比較することによ
り結晶粒微細化効果の程度の判定を行うため、組成変動
からくる凝固温度の違いに影響されず、的確な結晶粒微
細化効果の判定を行うことができる。また、初晶凝固開
始直後の冷却速度には組成変動は影響せず、予め結晶粒
微細化のための基準値を求めておけば、的確にその効果
を判定することができる。
【0025】このように、結晶粒微細化効果の判定は、
初晶凝固温度あるいは初晶凝固開始直後の冷却速度の何
れでも、溶湯の結晶粒微細化効果を判定することが可能
であるが、この二つを同時に基準値として用いれば、微
細化効果判定に二重のチェックを行うことができ、微細
化効果の判定により信頼性を持たせることができる。
【0026】なお、マグネシウム合金は、Mg−Al系
合金のほか、Mg−Zn−R.E.−Zr系合金などの
多種類の合金がある。これらの合金は、何れも結晶粒の
微細化処理が必要であり、その効果の判定は溶解法とと
もに重要な技術であり、熟練した溶解技術者の伎倆にか
かっている。本発明によれば、合金系が異なっても、そ
れぞれの合金で基準値を設けておけば、同様な方法で短
時間に、簡便かつ的確に結晶粒微細化効果を判定するこ
とができる。
【0027】以上の具体例では、溶解過程の精錬直後の
マグネシウム合金溶湯を注湯すると、凝固した鋳物の結
晶粒は著しく粗大となる。しかし、一方、この溶湯に微
細化処理を施すと、鋳物の結晶粒は著しく微細となる。
しかし、結晶粒微細化処理した後、溶湯をそのまま長時
間保持すると溶湯の結晶粒微細化効果が消滅し、鋳物の
結晶粒は粗大となる。これらの溶湯を熱分析し、得られ
た冷却曲線を詳細に検討すると、結晶粒微細化の程度に
よって初晶凝固挙動に変化のあることが認められた。
【0028】図1に、結晶粒が粗大化した精錬溶湯と結
晶粒が著しく微細化した微細化処理直後の溶湯の冷却曲
線の違いを示す。前者の冷却曲線11には、初晶凝固開
始時に過冷・再熱現象が現れる数秒間の温度停滞が現れ
る。後者の冷却曲線12には、初晶凝固開始時に過冷・
再熱現象が現れず、単に凝固開始を示す変曲点が現れる
のみである。
【0029】この冷却曲線の違いから、初晶凝固温度お
よび初晶凝固開始直後の冷却速度の変化を求めると、結
晶粒が微細化した溶湯は微細化しない溶湯に比べ初晶凝
固温度が4〜5°C高くなり、また初晶凝固開始直後の
5秒間の冷却速度も0°C/sから0.7°C/sと大
きくなっていることが認められた。
【0030】すなわち、図2に示すように、溶湯の結晶
粒微細化効果が大きくなる(結晶粒は小さくなる)ほど
初晶凝固温度は高くなり、また冷却速度も大きくなる。
しかし、溶湯の微細化効果は、結晶粒微細化処理後の初
晶凝固開始直後の初晶凝固温度の上昇が4°C以上、冷
却速度が0.4°C/s以上で変わらず一定となる。こ
の場合、マグネシウム合金の微細化処理後の初晶凝固温
度と微細化処理前の初晶凝固温度との差の基準値として
4°C、結晶粒微細化処理後の初晶凝固開始直後の冷却
速度の基準値として0.4°C/sが適当である。従っ
て、熱分析した冷却曲線の変化を的確に読み取ることに
より、溶湯の結晶粒微細化効果を判定することが可能と
なる。
【0031】本具体例の結晶粒微細化判定装置は、約5
0g〜100gの少量溶湯の熱分析をするもので、その
熱分析時間は約3〜5分と短く、簡単である。このた
め、従来方法のように、切断、研磨、腐食、組織観察の
ような煩わしい操作が不要となり、そのため判定に要す
る時間も著しく短縮することができる。また、破面観察
のような主観的要因も排除されるため、初心者でも確実
に注湯直前のマグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化効果
を判定することができる。
【0032】なお、結晶粒微細化効果が不十分と判定さ
れた場合は、再度微細化処理を施し、その溶湯をもう一
度熱分析し、効果を確認した上で注湯することができ
る。このように、短時間で、簡便かつ確実に注湯直前の
溶湯の結晶粒微細効果を判定することができるため、的
確な溶湯管理が可能となり、結晶粒微細化不良に起因す
る部品の強度低下や品質のバラツキを防止することがで
きる。
【0033】なお、前記具体例では、結晶粒微細化前後
のマグネシウム合金溶湯を、別に用意した熱分析用鋳型
に注湯し、該鋳型に設けられた熱電対等の状態量検出セ
ンサにより状態量を検出し、結晶粒微細化判定を行った
例を示した。しかし、マグネシウム合金の微細化処理装
置、あるいは該微細化処理装置を含む装置またはシステ
ムの適切な箇所に状態量検出センサを配設し、前記のよ
うな熱分析用鋳型を用いずに、リアルタイムでマグネシ
ウム合金溶湯の結晶粒微細化判定を行うことができる。
また、基準値も前述の具体例のように予め設定するので
はなく、得られた情報から得ることもできる。なお、こ
れらの場合は、状態量の検出および/または結晶粒微細
化判定にコンピュータを用いて行うことが好ましい。ま
た、該判定結果をコンピュータを用いて、フィードバッ
クし、適切な生産管理を行うこともできる。
【0034】以下に、本発明の実施例を説明する。第1実施例
【0035】Mg−9%Al−1%Zn合金150kg
を溶解し、結晶粒微細化判定装置を用い、該装置の評価
を結晶粒微細化効果の確認試験により行った。
【0036】まず、バーナ加熱炉の中の鉄ルツボ内に、
AZ91マグネシウム合金(Mg−9%Al−1%Zn
合金)を150kg投入し、溶解用フラックスを散布し
て溶解し、溶落後約715°Cの温度で精錬用フラック
スを添加しながら20分間の攪拌精錬を行った。精錬を
終えた溶湯は、熱分析して第1溶湯としての初晶凝固温
度および初晶凝固開始直後の平均冷却速度を求めた。
【0037】本実施例で用いた結晶粒微細化判定装置
は、熱電対を配設した熱分析用鋳型と該熱電対からの出
力を記録し、演算するコンピュータ部と、データや演算
結果等を表示する表示部とからなる。熱電対の起電力
は、コンピュータ部に収録するとともに、その温度変化
を表示部のCRTに描き出す。得られた冷却曲線上の第
1の変曲点を初晶凝固温度として読み取る。次いで、初
晶凝固開始から5秒後の温度を読み取り、その5秒間の
平均冷却速度を計算する。この二つのデータは、そのま
まコンピュータ部の記憶部に記録・保存する。
【0038】一回目の熱分析を終えると、次は、溶湯温
度を740°Cまで昇温させて、同温度でヘキサクロル
エタンを添加し、結晶粒微細化処理を行った。結晶粒微
細化処理を終えた溶湯はそのまま保持し、鋳型の準備が
できたところで、熱分析を行い溶湯の結晶粒微細化効果
を判定した。結晶粒径は、初晶凝固温度の上昇ととも
に、冷却速度の増大とともに微細化するが、本判定装置
では結晶粒径を100ミクロン以下とするための基準値
として、初晶凝固温度の上昇を4°C以上、また冷却速
度を0.4°C/s以上と設定した。
【0039】150kgのAZ91合金を10チャージ
溶解したときの溶湯の結晶粒微細化効果判定結果を、表
1に示す。同表中には、組織観察により測定した結晶粒
径も併せて示した。
【0040】
【表1】
【0041】表1より、結晶粒微細化効果は、3、7チ
ャージ目の溶湯が基準値を下回り、結晶粒微細化効果が
不十分と判定されたが、その他は結晶粒微細化効果あり
と判定された。この判定結果を、結晶粒径を測定して確
認すると、3、7チャージ目の溶湯はそれぞれ120、
150ミクロンで結晶粒の粗大化が進行していたが、そ
れ以外の溶湯は100ミクロン以下であり十分に微細化
されていた。
【0042】すなわち、本実施例の判定装置によれば、
結晶粒径100ミクロンを境にした判定が確実にでき、
極めて有効な判定法であることが確認できた。なお、結
晶粒微細化効果が不十分と判断された3、7チャージ目
の溶湯は、再度の結晶粒微細化処理を施した結果、基準
値を満足した。
【0043】以上より、本実施例の結晶粒微細化判定装
置を用いて注湯前に溶湯の結晶粒微細化効果を判定する
ことにより、確実に鋳造する鋳物の結晶粒微細化が達成
でき、強度不足による品質のバラツキを防止することが
できることが分かった。第2実施例
【0044】結晶粒微細化判定装置により、結晶粒微細
化処理効果の持続時間の確認試験を行った。
【0045】使用した熱分析用鋳型は、前記第1実施例
と同様のものを用いた。溶湯は、AZ91合金90kg
を溶解し、前記第1実施例と同様に精錬、結晶粒微細化
処理を施した。熱分析は、精錬溶湯と結晶粒微細化直後
の溶湯、その後30分後に溶湯を採取して行った。
【0046】図3に、初晶凝固温度と初晶凝固開始直後
の冷却速度の変化を示した。また、同図中には、その時
の鋳物の結晶粒径の変化を併せて示した。結晶粒微細化
直後の溶湯の初晶凝固温度は、精錬溶湯の初晶凝固温度
より5°C上昇し、冷却速度も0.7°C/sと大きく
なっている。この値は、基準値を満足している。溶湯保
持時間120分の溶湯の初晶凝固温度もまだ5°C上昇
しており、この状態でもまだ結晶粒微細化効果がある。
一方、冷却速度は、溶湯保持時間の増加とともに次第に
小さくなっているが、120分保持した後も0.4°C
/sあり、やはり微細化効果があると判定される。しか
し、150分以上保持した溶湯は、初晶凝固温度の上昇
が4°C以下となり、また冷却速度も0.4°C以下と
なり、基準値を満足せず、結晶粒の微細化効果がなくな
ってきていることがわかる。これを測定した結晶粒径で
確認すると、120分までの溶湯は結晶粒径が100ミ
クロン以下であるが、150分以上では結晶粒径が10
0ミクロン以上となり、120分までは溶湯保持しても
溶湯の結晶粒微細化効果があることが分かった。
【0047】なお、比較のために、本溶湯で鋳造した鋳
物を破面観察して結晶粒の微細化効果を判定した。破面
の凹凸は結晶粒微細化直後の鋳物を最小として保持時間
の増加とともに粗くなる傾向が見られたが、結晶粒径1
00ミクロンを境にした微細化効果を判定することは不
可能であった。
【0048】以上より、本実施例の結晶粒微細化判定装
置を用いることにより、溶湯の結晶粒微細化効果の判定
を、短時間、簡便かつ確実にすることができ、極めて有
効な装置であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一具体例における溶湯の冷却曲線を示
す線図である。
【図2】本発明の一具体例における溶湯の初晶凝固温度
または冷却速度と結晶粒径との関係を示す線図である。
【図3】本発明の第2実施例における結晶粒微細化処理
後の溶湯保持時間と温度、粒径速度および結晶粒径との
関係を示す線図である。
【符号の説明】
11 ・・・ 結晶粒が粗大化した精錬溶湯 12 ・・・ 微細化処理直後の溶湯
フロントページの続き (72)発明者 日下部 初夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 米倉 浩司 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 宮本 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大塚 幸男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化効
    果を判定する装置であって、 前記マグネシウム合金の微細化処理前の溶湯の初晶凝固
    温度及び/又は初晶凝固開始直後の冷却速度を検出する
    手段と、 前記マグネシウム合金の微細化処理後の溶湯の初晶凝固
    温度及び/又は初晶凝固開始直後の冷却速度を検出する
    手段と、 前記検出された微細化処理前後の初晶凝固温度及び/又
    は初晶凝固開始直後の冷却速度、あるいは微細化処理前
    後の該検出値の差と予め設定された基準値とを比較し、
    結晶粒微細化の程度を判定する手段と、からなることを
    特徴とするマグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化判定装
    置。
JP3135946A 1991-05-10 1991-05-10 マグネシウム合金溶湯の結晶粒微細化判定装置 Pending JPH05223759A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0776740A (ja) * 1993-09-07 1995-03-20 Ube Ind Ltd 半溶融成形に適したマグネシウム合金鋳造素材の製造方法
JP2001050920A (ja) * 1999-08-11 2001-02-23 Metal Science Kk アルミニウム合金の結晶粒度を推定する方法
CN105806878A (zh) * 2016-03-08 2016-07-27 西北工业大学 一种测定镍基高温合金初熔温度的方法
JP2021171768A (ja) * 2020-04-20 2021-11-01 エコ・システム有限会社 冷却曲線からの結晶粒微細化判定方法

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