JPH0522120B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、液化した天然ガス、石油ガス、窒素
ガス、酸素ガス等の低温液化ガスを貯留するタン
クに対して、内部検査を行う装置に関する。

低温液化ガスの断熱タンクは、製作時に完璧な
品質管理体制を確立して、設計、施工、検査に万
全をきし、実際上、一旦クールダウンした後は供
用期間中において内部検査が不要にしてある。

しかし、他方、長期の使用の間には地震等によ
り外力を受ける可能性があり、より一層高度に安
全を図る上から、内部の健全性を確認することが
望ましい場合もある。

そこで、従来常温タンクに対して行われている
ように、低温液化ガスの全量を排出して、断熱タ
ンクをホツトアツプし、作業者が断熱タンク内に
立入る、いわゆる開放検査を行うことも考えられ
るが、ホツトアツプは断熱タンクに悪影響を及ぼ
すと共に、低温液化ガスの排出及び最充填、並び
に、断熱タンクのホツトアツプ及びクールダウに
多大の労力と時間を要し、また、断熱タンクのク
ールダウンに膨大な冷熱エネルギーが消費され、
さらには、断熱タンクの稼動損失に伴う経済的負
担が莫大であり、巨大設備になるほど検査のため
の経費が、例えば数億円というように極めて多く
なる決点がある。

本発明の目的は、上記実情に鑑みて、低温液化
ガスを断熱タンクから排出することなく、さらに
は、断熱タンクからの低温液化ガス供給を停止す
ることなく、極めて簡単、迅速にかつ経費少く、
内部検査ができる装置を提供する点にある。

本発明による低温液化ガス用断熱タンクの内部
検査装置の特徴構成は、縦長の検査装置本体の上
部に、その検査装置本体を断熱タンクに出し入れ
操作するための可撓性の索具を連結し、前記検査
装置本体に、それを低温液化ガスに対して沈降及
び浮上させる浮力調節装置、水平移動用推進装
置、並びに断熱タンク内壁に対する可視センサー
を設け、前記浮力調節装置を、ピストン付きのガ
スタンクで構成して、前記検査装置本体の上部側
に収納するとともに、前記索具によつて前記検査
装置本体をつり下げ支持した状態で前記索具の延
長線上に配置し、前記ピストンの移動法方向が前
記索具の延長方向に一致又はほぼ一致するように
前記ガスタンクを前記検査装置本体に取り付け、
前記浮力調節装置及び推進装置に対する遠隔操作
装置を設け、前記可視センサーからの画像を前記
断熱タンク外から目視する検査装置を設けてある
点にあり、その作用効果は、次の通りである。

つまり、ガスタンクの内部を検査する場合に
は、低温液化ガスになどを収容している断熱タン
ク内に、その頂部を出入り管部又はマンホールか
ら索具でつり下げた縦長の検査装置本体を入れ、
浮力調節装置及び推進装置を遠隔操作して、断熱
タンク内壁の所望位置に検査装置本体を移動さ
せ、可視センサーの位置を定めることによつて行
う。

この場合、検査装置本体を縦長に形成し、浮力
調整装置をピストン付きのガスタンクで構成し
て、前記縦長の検査装置本体の上部側に収納して
あるから、ガスタンクのピストンの移動にともな
つて浮力調節を行つたとしても常に前記検査装置
本体の重心は、ガスタンクの下方にあり、しか
も、前記ピストンは、その移動方向が前記検査装
置本体を吊り下げた状態で前記索具の延長方向に
一致、あるいはほぼ一致するように前記索具の延
長線上に配置してあるから、前記検査装置本体の
重心は索具の延長線上から外れるこがない。従つ
て、低温液化ガスタンク内での前記検査装置本体
は、常に上下方向に沿つた姿勢を維持する。

さらに、検査装置本体は前記可撓性の索具によ
つて吊り下げ支持した状態になつているので、低
温液化ガス中で検査装置本体を水平移動用推進装
置により水平移動させる場合には、たとえ断熱タ
ンクは、入口が狭く奥広がりな構造になつていて
も、断熱タンクの内の、入口の鉛直下方以外のラ
ンク内壁にまで検査装置本体を移動させることが
でき、しかも、前述の様に前記検査装置本体は上
下姿勢を保持したまま平行移動することができる
ので、前記検査装置本体、さらには可視センサー
の位置及び姿勢を確定させやすくできる。

また、例えば断熱タンク内壁に沿つて検査装置
本体を走行させる場合のように、断熱タンク内壁
の凹凸によつて移動が不能あるいは困難になると
いつた不都合を無くすることができて、断熱タン
ク内壁に歪み吸収用凹凸をメンブレン構造の断熱
タンク等にも良好に適用できる。

従つて、上記のように、検視装置によつて断熱
タンク内壁の健全性を確認できるから、内部検査
に際して、断熱タンクの低温液化ガス排出や稼動
停止、及び、断熱タンク内への立入りが不要にな
り、もつて、低温液化ガスの全量排出及び再充
填、断熱タンクのホツトアツプ及びクールタウ
ン、並びに、立入りのための安全処理等に起因す
る多大の労力や作業時間を不要にして、簡単かつ
迅速に検査を行え、かつ、断熱タンクのクールダ
ウンに伴う冷熱エネルギー損失を無くして、省エ
ネルギー面でも有利に検査を行え、さらには、断
熱タンクの稼動停止に伴う経済的負担を無くせ、
全体として、低温液化ガス用断熱タンクを極めて
高度に安全に確保した状態で使用でき、しかも、
検査装置本体は、上下姿勢が安定した状態で、低
温液化ガス中を浮遊させて用いることができるか
ら、断熱タンク内のどこにあつても前記可視セン
サーの位置を確定させやすく断熱タンク内壁全体
を安定した姿勢で検査でき、作業性に優れる。ま
た、断熱タンク内壁に歪み吸収用凹凸を形成した
メンブレン構造の断熱タンク等にも良好に適用で
きるから、汎用性にも優れた低温液化ガス用断熱
タンクの内部検査装置を提供することができた。

次に、実施例を示す。

第１図に示すように、ワイヤー、チエーン等の
断熱タンクＴに対する出し入れ用索具１を検査装
置本体２の頂部に連結し、断熱タンクＴ内の低温
液化ガスを加圧供給する電動式ポンプ３、電磁弁
４、ピストン５付タンク６から成る浮力調節装置
Ａを検査装置本体２に取付け、タンク６のガス室
６ａに収容された窒素ガス等を、タンク６の液室
６ｂに低温液化ガス量調節に伴うピストン５移動
によつて膨張収縮させて、断熱タンクＴ内の低温
液化ガス中において検査装置本体２を沈降及び浮
上操作できるように構成してある。

正逆転切換装置自在な４個の電動式プロペラ７
ａ，７ｂから成る水平移動用推進装置７を検査装
置本体２に取付け、検査装置本体２に対して互に
反対側に位置する２組のプロペラ７ａ，７ａと７
ｂ，７ｂを、互にほぼ直角に向きが異なるように
配置して、検査装置本体２を前後左右に移動操作
できるように構成してある。

ポンプ３、電磁弁８ａ，８ｂ，８ｃ及びシリン
ダー２６により揺動操作自在な６本の脚体９ａ，
９ｂ，９ｃを検査装置本体２に取付け、脚体９
ａ，９ｂ，９ｃの先端に、タンク内壁２１に対す
るプラスチツク製等の吸盤１０を、一定範囲内で
向き変更自在に取付け、電動式バキユームポンプ
１１を吸盤１０に接続し、もつて、吸盤１０の作
用により検査装置本体２をタンク内壁２１に軟着
させて固定できるように、かつ、脚体９ａ，９
ｂ，９ｃの角度設定により検査装置本体２とタン
ク内壁２１の間隔を調整できるように構成してあ
る。

フアイバースコープの対物部やテレビカメラ等
の可視センサー１２を、電動モータ等により向き
変更操作自在に検査装置本体２に取付けて、タン
ク内壁２１の視覚的検査を行えるように構成して
ある。

超音波等の位置検出用信号の発信器１３を検査
装置本体２に取付けて、検査装置本体２の断熱タ
ンクＴ内での位置を検出できるように構成してあ
る。

ポンプ３、プロペラ７ａ，７ｂ、センサー１
２、発信器１３等の電源用ケーブル１４、電磁弁
４，８ａ，８ｂ，８ｃ、プロペラ７ａ，７ｂ、セ
ンサー１２、発信器１３等の制御用ケーブル１５
並びに、可視センサー１２からの光フアイバー１
６を、索具１と共に束ねた状態で、かつ、もつれ
防止用浮き１７を付設した状態で、ケースＣ内の
巻取機１８を介して、遠隔操作装置１９及びフア
イバースコープの接眼部やモニターテレビ等の検
視装置２０に接続してある。

次に、上記検査装置よる低温液化用断熱ガスタ
ンクの内部検査法を、第２図により説明する。

第２図イに示すように、ニツケル鋼やアルミ合
金等の極低温強度が大きい材料から成る断熱タン
ク内壁２１と、鋼板から成る断熱タンク外壁２２
との間に断熱材２３を充填して成る断熱タンクＴ
にその頂部のバルブＶ１を介して、検査装置本体
２を収容した密閉可能なケースＣを接続する。

次に、窒素ガス等の不活性ガスをバルブＶ３か
らケースＣ内に供給して、バルブＶ２からケース
Ｃ内の空気を全て排除し、その後、断熱タンクＴ
内の低温液化ガスをバルブＶ２からケースＣ内に
除々に供給して検査装置本体２等のケース内蔵物
を、その冷却破損か無いようにかつ十分に徐冷す
る。

次に、バルブＶ２，Ｖ３を閉じると、共にバル
ブＶ１を開き、巻取機１８から索具１、ケーブル
１４，１５及び光フアイバー１６を繰出し、バル
ブＶ１を通して検査装置本体２を断熱タンクＴ内
に入れる。

そして、第２図ロに示すように、浮力調節装置
Ａと推進装置７を遠隔操作して、検査装置本体２
を断熱タンク内壁２１の所望位置に移動させ、脚
体９ａと９ｂ又は９ｂと９ｃと吸盤１０によつて
検査装置本体２を断熱タンク内壁２１に固定し、
可視センサー１２の向きを遠隔調整しながら、可
視センサー１２からの画像を断熱タンクＴ外で検
査装置２０によつて視る。

さらに、ケースＣから断熱タンクＴに挿入した
受信器２４によつて発信器１３からの信号を受信
させ、受信器２４の向き検出及び受信強度検出等
に基づいて、断熱タンクＴに対する検査装置本体
２の位置を位置検知器２５によつて検出表示させ
る。

検査が完了すれば、検査装置本体２をケースＣ
に引上げ、バルブＶ１を閉じて、バルブＶ１らケ
ースＣを分離する。

尚、検査中に断熱タンクＴからの低温液化ガス
供給路のバルブＶ４は閉じられても開かれたまま
でもよい。また、低温液化ガスが不燃性の場合、
ケースＣに対する空気排除は不要である。

次に、別の実施例を示す。

浮力調節装置Ａ、推進装置７の具体的構成は適
宜変更でき、また、それらの遠隔操作装置１９は
無線式にしてもよい。

吸盤１０に代えてクツシヨン材等の軟質で滑り
にくい部材を設けてもよく、それらを軟着具１０
と総称する。

可視センサー１２ら検視装置２０の情報伝達は
無線方式でもよく、また、可視センサー１２の他
に探傷装置や内壁厚み検出装置等の適当な検査装
置を検査装置本体２に設けてもよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面と対照を便利に
する為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るの実施例を示し、第１図は
本発明の実施例を示す概略図、第２図イ，ロは
夫々検査状態の説明図である。 １……索具、２……検査装置本体、５……ピス
トン、６……ガスタンク、７……推進装置、１２
……可視センサー、１９……遠隔操作装置、２０
……検査装置、２１…断熱タンク内壁、Ａ……浮
力調節装置、Ｔ……断熱タンク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 縦長の検査装置本体２の上部に、その検査装
   置本体２を低温液化ガス用の断熱タンクＴに出し
   入れ操作するための可撓性の索具１を連結し、前
   記検査装置本体２に、それを低温液化ガスに対し
   て沈降及び浮上させる浮力調節装置Ａ、水平移動
   用推進装置７、並びにタンク内壁２１に対する可
   視センサー１２を設け、前記浮力調節装置Ａを、
   ピストン５付きのガスタンク６で構成して、前記
   検査装置本体２の上部側に収納するとともに、前
   記索具１によつて前記検査装置本体２をつり下げ
   支持した状態で前記索具の延長線上に配置し、前
   記ピストン５の移動方向が前記索具１の延長方向
   に一致又はほぼ一致するように前記ガスタンク６
   を前記探検査装置本体２に取り付け、前記浮力調
   節装置Ａ及び推進装置７に対する遠隔操作装置１
   ９を設け、前記可視センサー１２らの画像を前記
   断熱タンクＴ外から目視する検視装置２０を設け
   てある低温液化ガス用断熱タンクの内部検査装
   置。