JPH05214653A - 水流交絡不織布の製造法 - Google Patents

水流交絡不織布の製造法

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JPH05214653A
JPH05214653A JP1707692A JP1707692A JPH05214653A JP H05214653 A JPH05214653 A JP H05214653A JP 1707692 A JP1707692 A JP 1707692A JP 1707692 A JP1707692 A JP 1707692A JP H05214653 A JPH05214653 A JP H05214653A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】多成分からなり繊維を発生する複合繊維を様々
な状態に分割し、抄造したウェブから、地合が良好で、
肌触り、ドレープ性、強度に優れた水流交絡不織布の製
造法を提供することを目的とする。 【構成】多成分からなり繊維を発生する複合繊維を、様
々な状態に分割し、抄造したウェブを、単層以上積層
し、高圧柱状水流を噴射し、繊維を3次元的に交絡する
ことを特徴とする水流交絡不織布の製造法。複合繊維よ
り発生する繊維は0.5デニール以下の極細繊維が好ま
しい。また、アスペクト比は800〜4000の範囲が
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は湿式抄造法で得たウェブ
より、地合が良好で、肌触りが良く、ドレープ性、風合
い、強度に優れた水流交絡不織布を製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、織布に代わり不織布が多くの分野
で広く用いられてきている。低コストで生産性が高いこ
とから、従来の織布の代用物としての用途、あるいは織
布では得られない性能を付与できることから、機能性不
織布としての用途が考えられる。さらに、従来、紙パル
プを素材とした分野にも不織布の機能性を生かし、高性
能材料としての供給が盛んとなってきた。
【0003】特に、高圧水流をウェブに噴射し、ウェブ
を形成する繊維を3次元的に交絡する方法を用い得られ
た不織布は、布に近い風合いをもち、肌触りが良好で、
ドレープ性に優れることから、注目を集めている。この
方法は水流交絡法等の名称で呼ばれている。水流交絡法
はウェブに強度等の特性を付与する方法であるため、ウ
ェブを供給する必要がある。
【0004】ウェブ形成法として代表的なものは、乾式
法、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式法が例示さ
れる。これらのウェブを単独で、あるいは積層し、高圧
水流を噴射し、水流交絡不織布を得ることが可能であ
る。また、種類の異なる方法で得られたウェブを積層
し、あるいはウェブと編織布を積層し、水流を噴射し複
合化の試みがなされている。
【0005】乾式法としてはカード法、エアレイ法が例
示される。カード法では0.5デニール以下の極細繊維
はカーディングローラーの針に繊維が巻き付き、繊維を
開繊できないため、ウェブの製造が困難である。エアレ
イ法でも極細繊維の均一分散は困難である。また、これ
らの方法で得られたウェブは地合が悪いという欠点があ
る。スパンボンド法も0.5デニール以下の極細繊維ウ
ェブの製造が困難で、地合が悪いという欠点がある。ま
た、連続繊維であるため、繊維の切断末端がなく、3次
元交絡による繊維同士の絡み合いをもたせることが難し
い。メルトブロー法により得られたウェブは、繊維径が
極めて細く、ウェブも極めて緻密である。しかしなが
ら、ウェブを形成する繊維径にばらつきが大きく、ウェ
ブの地合は悪く、さらに製造速度が極めて遅く、高価で
ある。
【0006】これに対し、湿式法は、乾式法やスパンボ
ンド法では利用できない繊維径の細い繊維を利用でき
る。また、複数の繊維を任意の割合で混合でき、均一な
分散が可能で、坪量、厚みむらが少なく、地合が極めて
良好である。また、上記の方法に比べ生産速度が速く、
生産性が極めて高いことが挙げられる。
【0007】一方、乾式法、スパンボンド法を用いて
も、極細繊維交絡不織布を効率的に生産しようという試
みもなされている。特公平1−40151号公報では、
極細繊維を発生させる複合繊維からなるウェブをカード
等を用い製造し、ニードルパンチし、さらに高速流体処
理を施し、複合繊維の極細化、3次元交絡を行う方法が
開示されている。特開昭63−152450号公報で
は、複数の成分からなる海島型複合繊維や分割割繊可能
型複合繊維からなる長繊維のシートを用いる方法が開示
されている。特開平3−33252号公報では、分割繊
維を含有するウェブをカードを用い製造し、これより太
繊度の繊維ウェブを積層し、高圧柱状水流で、細繊化、
交絡を行う方法が例示されている。
【0008】特開昭62−28479号公報では、極細
化可能な繊維を乾式法を用い製造した不織布を編織布に
積層し交絡したものに、弾性高分子を含浸し、極細繊維
化したシート状物の製造法が開示されている。特開昭5
3−28709号公報では、自己接着性繊維、割繊性繊
維からなるシートを湿式抄造法を用い製造し、編織布と
積層し、割繊(極細化)後、編織布と交絡する方法が開
示されている。
【0009】しかしながら、カード等による乾式法や長
繊維を用いたスパンボンド法により製造されたウェブを
用いているため、地合が悪く、坪量のふれや厚みむらが
大きく、繊維の分割、極細化が均一に内部まで行われな
い。そのため、これらの方法で製造した不織布、シート
は、極細化されていない未分割、未分散の束状の繊維と
極細化された繊維が混在する形をとるものが多い。これ
は、極細繊維発生可能な複合繊維の性能を十分発揮させ
たものとは言えず、分割が均一に行われたものに対し、
ドレープ性、肌触り等が劣ったものとなる。また、高価
な編織布が使用されているため、得られたシート状物は
高価なものとなり好ましくない。
【0010】一方、特公平3−1426号公報では、分
割型複合繊維を延伸後に捲縮を付与する工程に於て、分
割フィブリル化させると同時に油剤を付着させ、カード
でウェブとし、交絡を行っている。この方法では、上記
の方法より、繊維の分割性に関し良好で、肌触りの柔ら
かい不織布が得られるとあるが、カード法特有の地合の
悪さを解決するには至っていない。
【0011】このように、極細繊維を発生する複合繊維
を用い、安価で、均一な、ドレープ性、肌触りに優れた
シートあるいは不織布は得られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するものであり、複合繊維を用い、その性能
を効果的に発揮させる方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討した。その結果、繊維発生型
の複合繊維を、複合繊維、繊維が発生した状態の複合繊
維、複合繊維から発生した繊維が混在するよう、離解分
散し、湿式抄造法により得たウェブを用い、水流交絡不
織布を製造するのに非常に効果的であることを見いだし
た。本発明はこれらの知見により達成されたものであ
る。
【0014】すなわち本発明は、互いに相溶性の異なる
2種類以上の成分からなる複合繊維(以下、繊維A)
で、少なくとも1本の該繊維Aから2本以上の繊維(以
下、繊維B)を発生しうる繊維Aを用いた水流交絡不織
布の製造法において、下記の工程からなる水流交絡不織
布の製造法である。 (1)繊維Aを水中で離解、分散しながら、繊維Bを発
生させ、同時に繊維Aから繊維Bが発生しつつある状態
の繊維(以下、繊維C)を発生させる工程。 (2)繊維A、繊維B、繊維Cが混在し、均一に分散し
たスラリーを調製する工程。 (3)(2)で調製したスラリーを用い、湿式抄紙法に
よりウェブ製造する工程。(4)(3)で製造したウェ
ブを、単層あるいは複数層積層し、支持体上に積載し、
高圧柱状水流を噴射し、繊維A、繊維Cより繊維Bを発
生させ、繊維Bを相互に3次元的に交絡し、乾燥する工
程。 また、繊維Bのアスペクト比が800〜4000である
水流交絡不織布の製造法である。また、繊維Bの繊度が
0.5デニール以下である水流交絡不織布の製造法であ
る。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用する繊維を発生する複合繊維とは、次のような繊維
が例示される。 (1) 溶解性の異なる2種類以上のポリマーから製造
された多芯型の複合繊維で、いわゆる海島型繊維と呼ば
れる繊維で、海成分を除去することで島部分が独立し、
極細繊維を発生する複合繊維(例えば特公昭43−74
11号公報)。 (2) 溶解性の異なる2種類以上のポリマーから製造
された複合繊維で、一つのポリマーを除去することで、
残りの成分が、極細繊維を発生する複合繊維(例えば特
公昭40−2791号公報)。 (3) 互いに相溶性の小さい2種類以上の成分が接合
された繊維で、機械的作用や膨潤剤の作用により、容易
に割繊し、極細繊維を発生する複合繊維(例えば特公昭
48−28005号公報)。 以上の複合繊維から繊維を発生させることを、以下、便
宜上、分割させると表現する。
【0016】これら複合繊維を構成する成分は、ポリエ
ステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ
ビニルアルコール、ポリアミド、再生セルロース等の有
機成分が用いられる。これらの成分を溶解性、相溶性を
考慮し、組み合せて用いることが可能である。また、同
一系の成分でも、重合度を変化させたり、他の成分と混
合したり、化学修飾を施すことで、溶解性、相溶性を変
化させ、複合繊維とすることも可能である。
【0017】以上、繊維を発生させる複合繊維に付いて
説明を行ったが、次に本発明の水流交絡不織布の製造法
につき説明を行う。本発明の水流交絡用不織布は湿式抄
造法を用いて抄造したウェブを用い、製造される。湿式
抄造法は他のウェブ形成法に比べ、格段に、ウェブが均
一で、地合が良好であることを特徴とする。本発明の水
流交絡不織布は、該ウェブから製造され、ウェブが均一
なため水流による繊維への衝撃が均一にまんべんなく伝
わりやすく、複合繊維の極細化、極細繊維の3次元交絡
を均一に行うことができるという特徴がある。
【0018】本発明では、繊維Aを分割させ抄造する。
分割の方法は、繊維Aを完全に分割するのではなく、繊
維A、繊維B、繊維Cが混在した形になるよう、抄紙工
程中に分割を行うのである。特に繊維Cが存在すること
を特徴とする。繊維Cの分割としては、以下のようなも
のが一例として示される。 (1)松葉のように先端から剥離し分割したもの。 (2)繊維の腹の部分が剥離したもの。 (3)繊維Aから繊維Bが束の状態で分割したもの。 (4)(1)〜(3)の状態の繊維が混在したもの。
【0019】このような状態の繊維Cが混在したスラリ
ーを調製し抄造すると、スラリー調製中に繊維がもつれ
ることなく、ワイヤーパート上で、繊維Aや繊維Bが繊
維Cの隙間に入り込み、あるは繊維C同士が絡みあうウ
ェブが形成される。このようなウェブを交絡した場合、
単に繊維Aのみを用いたウェブを交絡した場合、あるい
は繊維Bの状態で交絡した場合より、繊維間の交絡が複
雑で強固に行われ、水流交絡不織布の強度がアップする
という予想外の効果が見いだされた。
【0020】それは以下のような理由によると考えられ
る。複合繊維を未分割の状態でウェブを製造したとき
は、まず、繊維を分割し、交絡する必要がある。交絡処
理と分割処理を同時に行う場合、未分割の複合繊維が分
割しているのみで、交絡に関与していない繊維が多数混
在する。また交絡前に繊維の分割化を行う方法において
も、交絡前は繊維が束の状態であり、交絡処理を行って
も、繊維の束が残存する。以上のような方法では、複合
繊維の特徴を充分活かしたものとはいえない。分割後、
ウェブ化する方法は、湿式抄造法が一般的であるが、離
解分散中に分割の工程で分割の度合が進んでくると、繊
維径が細く、繊維長が長い、すなわちアスペクト比が大
きい繊維が多数現れて来るので、分割の工程で繊維がも
つれるという問題点がある。
【0021】そこで、本発明の方法により、繊維A、繊
維B、繊維Cが混在するような状態で分割処理を終了し
た場合、繊維のもつれは最小限に留まると考えられる。
さらに、抄紙工程中、スラリーをヘッドボックスから抄
紙ワイヤー上に導入し、水を除去する工程で、繊維Cと
繊維A又は繊維B、あるいは繊維C同士が繊維間に入り
込んだ、あるいは絡みが生じたウェブが抄造される。ま
た、たとえ未分割でも、繊維Aは離解分散中、分割を目
的としたシェアを与えられているため、始めの状態より
分割が容易であると考えられる。以上の理由から、この
ウェブは比較的低圧での分割交絡が容易、すなわち非常
に繊維の交絡が容易な状態となっている。そのため、交
絡し得られた不織布は地合が良好で、均一な、強度の大
きいものである。また、交絡前に、残存した繊維の分割
化を行うことで、より効率的に交絡の容易なウェブを提
供することが出来るのはいうまでもない。
【0022】本発明で用いる複合繊維自体の繊度は、
0.5〜8デニール(以下dと略記)で、さらに好まし
くは、0.5〜6dである。8dより太い複合繊維を用
いると、離解分散工程で、繊維が太いため、シートの破
断を生じない程度の離解では、衝撃が繊維中央まで達し
ないため、分割が困難になり、良好な水流交絡不織布を
製造できないため好ましくない。
【0023】また、複合繊維は、従来極細繊維ウェブを
簡便な方法で製造するために開発されたもので、複合繊
維の特徴を生かすためにも、上記の複合繊維から発生し
た繊維は、繊度が0.5d以下の極細繊維と呼ばれるも
のが好ましい。
【0024】また、発生した繊維のアスペクト比は80
0〜4000の範囲が好ましい。分割前の複合繊維を用
いた場合、強度の点から、この値は2000を超える値
が好ましかったが、本発明の方法を用いた場合は、80
0以上で充分であるが、800より小さいと、交絡が不
十分で強度や良好な触感が得られない。逆に4000よ
り大きいと、分割の工程で繊維がもつれやすく好ましく
ない。
【0025】複合繊維の分割の方法としては、複合繊維
に機械的せん断力を加える方法、熱や薬品により分割す
る方法、複合繊維に易溶解成分を用い、易溶解成分を除
去する方法等が例示される。具体例として、一例を示す
と、剥離分割型の複合繊維を水中に分散し、パルパーや
ビーター等で離解する方法がある。このとき、予備実験
等で本発明の条件の離解分散条件を見つける必要があ
る。
【0026】次に本発明の湿式抄造ウェブおよび水流交
絡不織布の製造法について述べる。まず、水流交絡用ウ
ェブについては、先に述べたように離解、分散に特殊な
装置、方法は必要なく、通常の湿式抄造工程で、用いる
離解、分散装置を用いることができる。複合繊維が離解
分散しにくい時は、分散剤を離解、分散工程中に適宜添
加することができる。
【0027】離解分散を行った繊維は、新たな分割がで
きるだけ生じないような条件、すなわち緩やかな撹拌等
で、均一分散を行う。このとき、高分子ポリエチレンオ
キサイド、高分子ポリアクリルアミド水溶液等の抄紙用
粘剤を添加することは効果的である。なお、スラリー調
製が終了した段階で、繊維Aが残る割合は、おおよそ1
0%以下が好ましい。複合繊維の種類にもよるが、10
%を超える場合は、強度、触感等が劣ったものになる。
【0028】このように調製したスラリーを用い、湿式
抄造法を用い、ウェブを得ることができる。必要であれ
ば、少量のバインダーを用い、ウェブの仮接着を行って
もよい。
【0029】このようにして得られたウェブを用い、高
圧柱状水流で3次元交絡を行う。交絡方法は、ウェブあ
るいはシートを単層あるいは複数枚積層し、50〜20
0メッシュ程度の支持体上に載せ、上方から水流を噴射
し、繊維の3次元交絡を行う。
【0030】以下に交絡を強固にかつ目的に応じて適性
に行うための条件を述べる。水流を噴射するためのノズ
ルの径は10〜500μmの範囲が好ましい。ノズルの
間隔は10〜1500μmが好ましい。
【0031】これらのノズルは抄造方向に対し、直交方
向は加工を行うシートの幅をカバーする範囲が必要で、
抄紙方向に対しては、ウェブの種類、坪量、加工速度、
水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノズルヘッ
ドの数を変え、用いることができる。また、交絡回数も
任意に選ぶことができる。
【0032】水圧は10〜250kg/cm2の範囲で用い
ることが好ましい。さらに好ましくは50〜250kg/
cm2の範囲である。10kg/cm2未満では十分な繊維の交
絡は得られない。250kg/cm2より大きいとウェブか
らの繊維の脱落が著しく、シートの破損が生じる。ただ
し、坪量の大小、繊維の剛性の大小で、交絡する水圧の
上限が変化することを付け加え述べでおく。本発明の条
件では、坪量が50g/m2以上の場合、少なくとも1列
以上のノズルから140kg/cm2の圧力で交絡を行うこ
とが強度の面から効果があった。
【0033】ウェブの搬送速度は5〜200m/分の範
囲で用いることが可能である。搬送速度が遅いと、ウェ
ブに当たる水流でウェブが破損する可能性があり、ま
た、生産効率上好ましくない。搬送速度が速すぎると、
ウェブの交絡に必要なエネルギーを与えることができな
いため、交絡を強固に行うことができない。
【0034】ノズルを段階的に並べ、水圧を加工初期か
ら終盤にかけて順次圧力を上げて行くことで、ウェブに
与えるダメージを少なくし、交絡を適性に行うことがで
きる。また、面質が向上する点からも好ましい。同様
に、ノズル径またはノズル間隔を、もしくは両方を順次
小さくすることは、交絡を適正に行うことができ、不織
布の面質が向上する点から好ましい。
【0035】また、ノズルのヘッダーを回転運動させる
こと、左右に振動させること、あるいはウェブの支持ワ
イヤーを左右に振動させることで、さらに面質を改良す
ることができる。さらに、交絡後、ノズルとウェブの間
に40〜100メッシュの金網を挿入し、柱状水流を散
水化しウェブに噴射することでも面質改良を行うことが
できる。
【0036】交絡方法は片面のみ、あるいは両面交絡を
行うことができる。また、交絡を行った後、さらにウェ
ブ等を積層し、交絡を行うことも可能である。
【0037】このようにして三次元交絡処理を施された
ウェブは、交絡中あるいは交絡後に、余分な水分を吸引
あるいはウェットプレスなどの方法で取り除いた後、エ
アードライヤー、エアースルードライヤー、あるいはサ
クションドラムドライヤー等を用い、乾燥を行うことが
できる。
【0038】当然、該不織布に乾式不織布などの他の不
織布、パルプシート、本発明の請求項から外れる繊維を
含有する湿式不織布等を片面、両面、サンドイッチで交
絡することは可能であるが、本発明の目的を阻害する範
囲であってはならないのは言うまでもない。
【0039】以上のような方法で得られた、本発明の水
流交絡不織布は柔軟剤、樹脂、撥水剤を付与することも
可能で、これにより新たな性能を付与することができ
る。また、切断、折り曲げ等の加工にも問題はない。
【0040】本発明の製造法で得られた水流交絡不織布
はドレープ性に富み、ソフトで肌触りが良く、繊維径、
交絡水圧、支持体を変えることで、空隙径等のコントロ
ールが容易である。
【0041】本発明の不織布の用途としては、医療・衛
生材料用、液体・気体フィルター用、合成皮革・人工皮
革用基布、サーフェス材等が考えられる。以上、本発明
の不織布の利用の一例を示したが、用途はこれらに限定
されるものではないことを述べておく。
【0042】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
実施例において、記載の部、%はすべて重量によるもの
である。また、繊度はおおよその値を示したものであ
る。未分割繊維はスラリーを採取し、光学顕微鏡で観察
したものである。
【0043】実施例で示された、引張強度は20mm幅、
ゲージ間隔10cmで200mm/分の速度で引っ張り、試
料が切断するまでの最大強度とした。剛軟度は、JIS
−L1096に記載された45度カンチレバー法を用い
測定し、縦横の平均値を示した。また、不織布の地合は
目視により、◎が大変良い、○良い、△やや悪い、×悪
いの4段階で評価した。不織布の肌触り(触感)も手触
りにより、◎が大変良い、○良い、△やや悪い、×悪い
の4段階で評価した。これらの測定値を表1に記載す
る。
【0044】実施例1 繊度3d、繊維長10mmの、ポリエチレンとポリエステ
ルを成分とし、16分割し、平均0.2dの極細繊維
(L/D=4000)を発生する剥離分割型複合繊維を
用い、ナイアガラビーターで5分離解した。未分割繊維
は全体の10%であった。このスラリーをノニオン系界
面活性剤と共にさらに希釈し、高分子ポリアクリルアミ
ド溶液を添加し、均一分散を行い、湿式抄造法を用い、
乾燥時の坪量が50g/m2になるようにウェブを製造し
た。
【0045】ついで、連続的にこのウェブを2枚積層
し、ステンレス製の100メッシュの支持体上に配置
し、下記の水流下、3次元交絡を行った。交絡にはノズ
ルヘッドを5ヘッド用いた。第1ヘッドのノズルはノズ
ル径120μm、ノズル間隔1.2mm、2列で水圧30k
g/cm2、第2ヘッドはノズル径120μm、ノズル間隔
1.2mm、2列で水圧60kg/cm2、第3ヘッドはノズ
ル径120μm、ノズル間隔0.6mm、2列で水圧10
0kg/cm2、第4ヘッドはノズル径100μm、ノズル間
隔0.6mm、1列で水圧80kg/cm2、第5ヘッドはノ
ズル径100mm、ノズル間隔0.6mm、1列で水圧30
kg/cm2である。片面から交絡を行った後、もう一方の
面を上に向けさらに交絡を行った。交絡の速度は20m
/分で行った。交絡が終了後、サクションスルードライ
ヤーを用い、110℃で乾燥を行い、水流交絡不織布を
得た。実質上、無孔の不織布が得られた。この不織布の
データを下記に示す。 坪量 99.5g/m2 厚み 590μm 引張強度 縦10.5kgf/20mm、横6.9kgf/20
mm カンチレバー 58mm 地合 ◎ 触感 ◎
【0046】実施例2 繊度3d、繊維長20mmの、ポリエチレンとポリプロピ
レンを成分とし、16分割し、平均0.2dの極細繊維
(L/D=4000)を発生する剥離分割型複合繊維を
用い、パルパーで15分離解した。未分割繊維は全体の
5%であった。以下、実施例1と同様の方法で不織布を
得た。但し、抄造したウェブの乾燥重量は約40g/m2
であった。この不織布のデータを下記に示す。 坪量 82.5g/m2 厚み 450μm 引張強度 縦12.2kgf/20mm、横9.7kgf/20
mm カンチレバー 57mm 地合 ◎ 触感 ◎
【0047】実施例3 繊度2.5d、繊維長5mmで、ポリエステルとナイロン
を成分とし、6分割し、平均0.4dの極細繊維(L/
D=1000)を発生する剥離分割型繊維を用い、ホモ
ジナイザーで1分撹拌した。未分割繊維は全体の7%で
あった。以下、実施例1と同様の方法で不織布を得た。
この不織布のデータを下記に示す。 坪量 97.4g/m2 厚み 490μm 引張強度 縦7.0kgf/20mm、横5.9kgf/20mm カンチレバー 52mm 地合 ◎ 触感 ◎
【0048】比較例1 実施例1で用いたのと同じ繊維で、45mmのものを用
い、カード、クロスラッパーを用い、ウェブを製造し、
実施例1と同じ方法で交絡を行った(L/D=680
0)。この不織布のデータを下記に示す。 坪量 101.1g/m2 厚み 500μm 引張強度 縦6.8kgf/20mm、横9.9kgf/20mm カンチレバー 62mm 地合 × 触感 △
【0049】比較例2 分割せず湿式抄造を行う以外は実施例1と同じ方法で行
った。この不織布のデータを下記に示す。 坪量 98.9g/m2 厚み 650μm 引張強度 縦4.8kgf/20mm、横3.9kgf/20mm カンチレバー 70mm 地合 ○ 触感 △
【0050】比較例3 実施例1の繊維を完全に分割し抄紙を試みたが、離解の
途中に繊維がもつれだまが多発し、地合が良好なウェブ
を抄造することが出来なかった。また、離解の工程で繊
維が傷つき、切断する繊維も見られた。このウェブを用
い実施例1と同様の方法で交絡を行った。その結果、交
絡後の不織布の坪量が減少しており、繊維の脱落が著し
かった。この不織布のデータを下記に示す。 坪量 83.1g/m2 厚み 490μm 引張強度 縦6.1kgf/20mm、横4.9kgf/20mmカンチレバー 62mm 地合 × 触感 △
【0051】実施例4 実施例2と同じ繊維97部に対し、繊維状ポリビニルア
ルコールバインダー(VPW107-1、クラレ社製)3部
を用い、湿式抄造法を用い、坪量40g/m2のウェブを
製造した後、100℃で乾燥した。このウェブを2枚積
層し、実施例1と同じ方法で交絡を行った。ただし、交
絡前に前処理として、水中へサチュレートした。また、
交絡水圧は第1〜5ヘッドへ、順に50、80、12
0、100、30kg/cm2で行った。この不織布のデー
タを下記に示す。 坪量 97.5g/m2 厚み 480μm 引張強度 縦13.4kgf/20mm、横9.7kgf/20
mm カンチレバー 59mm 地合 ◎ 触感 ◎
【0052】実施例1〜3、4と比較例1〜2の水流交
絡不織布の、断面の走査電子顕微鏡写真を比べたとき、
本実施例の複合繊維は均一に分割し、3次元交絡がなさ
れていた。しかしながら、比較例では部分的に分割され
ない複合繊維が残っていたり、分割されているものの繊
維束の状態のまま、交絡が行われていた。
【0053】
【本発明の効果】本発明の方法では、多成分からなる複
合繊維を用いた、地合が良好で均一な水流交絡不織布を
効率的に生産できる。特に、極細繊維の水流交絡不織布
の製造に効果的である。本発明の方法を用いることで、
水流等により分割、交絡を行う方法、湿式抄造法により
完全に分割を行った後、交絡を行う方法では、得ること
が困難な、地合、均一性に優れ、強度的にも優れた不織
布を製造可能である。また、本発明の方法で得られた不
織布はドレープ性、触感等に優れている。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 8/00 7199−3B D04H 1/46 A 7199−3B C 7199−3B D06N 3/00 DAA 7141−4F D21H 27/34 (72)発明者 重松 俊広 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱 製紙株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに相溶性の異なる2種類以上の成分
    からなる複合繊維(以下、繊維A)で、少なくとも1本
    の該繊維Aから2本以上の繊維(以下、繊維B)を発生
    しうる繊維Aを用いた水流交絡不織布の製造法におい
    て、下記の工程からなる水流交絡不織布の製造法。 (1)繊維Aを水中で離解、分散しながら、繊維Bを発
    生させ、同時に繊維Aから繊維Bが発生しつつある状態
    の繊維(以下、繊維C)を発生させる工程。 (2)繊維A、繊維B、繊維Cが混在し、均一に分散し
    たスラリーを調製する工程。 (3)(2)で調製したスラリーを用い、湿式抄紙法に
    よりウェブ製造する工程。(4)(3)で製造したウェ
    ブを、単層あるいは複数層積層し、支持体上に積載し、
    高圧柱状水流を噴射し、繊維A、繊維Cより繊維Bを発
    生させ、繊維Bを相互に3次元的に交絡し、乾燥する工
    程。
  2. 【請求項2】 繊維Bのアスペクト比が800〜400
    0である請求項1記載の水流交絡不織布の製造法。
  3. 【請求項3】 繊維Bの繊度が0.5デニール以下であ
    る請求項1または2記載の水流交絡不織布の製造法。
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