JPH05212062A - 陶歯の製造方法及びその装置 - Google Patents

陶歯の製造方法及びその装置

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JPH05212062A
JPH05212062A JP5682192A JP5682192A JPH05212062A JP H05212062 A JPH05212062 A JP H05212062A JP 5682192 A JP5682192 A JP 5682192A JP 5682192 A JP5682192 A JP 5682192A JP H05212062 A JPH05212062 A JP H05212062A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 陶歯は耐食性金属製の義歯体に陶材を焼成被
覆して、歯牙の美感を表し、う触等による歯牙欠損部を
補綴・整形するものである。義歯体にチタン合金等活性
金属を使用する場合には、従来の空気減圧雰囲気中での
焼成過程で義歯体の裏面や陶材界面に酸化層を形成し
て、陶材の亀裂剥離や、補綴の際の寸法変化を生じる問
題があった。本発明は、焼成過程での酸化を完全に防止
し、かつ、品質及び量産性にすぐれた焼成方法及び焼成
装置を提供するのを目的とする。 【構成】 焼成炉内を不活性ガス導入可能かつ減圧可能
の気密性とし、加熱室内に載置係止した陶歯に不活性ガ
スを吹き付ける不活性ガス噴射感を備えた焼成装置をな
す。焼成工程では、置換した不活性ガス雰囲気を減圧し
て昇温焼成した陶歯に、不活性ガスを噴射して炉内高温
のまま、陶歯のみを急冷し炉外に取出す製造方法とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属製義歯体など歯冠
に陶材を焼き付けて補綴用陶歯を製造する方法及びその
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科の治療分野では、う触等により欠損
した歯牙の一部を補綴するのに、従来は、残存する生活
歯牙根幹に金合金の歯冠を被帽固着して、歯牙に形整す
ることがなされているが、近年は、金合金が高価である
ため、Co−Cr合金又はNi−Cr合金を利用し、そ
の表面色調を天然歯牙の外観に近似させて審美性を付与
するために、酸化物系の陶材を焼き付けて、表面を陶器
質とする方法が広く実用化されている。また、最近は、
これらの合金よりも人体に対する為害性が少ない金属チ
タン又はチタン合金が、耐食性と共に強度、靱性も非常
に良いことから、賞用されている。
【0003】陶歯の製造工程は、チタン製の義歯体を備
えた陶歯を例に採ると、次のようである。 (1)真空アーク溶解により溶解したチタンを、歯冠を
被帽すべき残存歯牙から印象採取して整形した歯牙外形
を備えた鋳型間隙に鋳込んで、義歯体を成型する。
【0004】(2)義歯体のチタン金属表面を、不透明
とするために、専用の陶材を塗布して薄層の焼成下地層
を形成するオペーク処理を行う。 (3)焼成下地層上に陶材スラリーを塗布して焼成し、
透明又は半透明の乳白色層とするボディー処理を行う。
次に形状を研削により修正して最終の寸法調整を行う。 (4)人の歯牙のエナメル質に近い所望の色調に色付け
るため、専用の陶材(ステイン材)を塗布して焼成する
ステイン処理を行う。 (5)ステイン処理後の表面を溶融による平滑化するた
め、焼成によるグレージング処理を行う。
【0005】以上の4処理工程から成る焼成において
は、オペーク処理の焼成が最も高温で実施され、従来は
950℃程度の焼成温度を必要としていた。近年は、低
熔陶材が開発されるに至り、焼成温度も750〜800
℃に下げることができている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の各焼成工程の焼
成では、減圧可能な空気雰囲気の焼成炉を利用して、陶
材を高温焼成して、金属製の義歯体表面に焼き付けて陶
質とするが、この焼成中は、減圧状態に保持することに
より、軟化溶融する陶材中に含まれる気泡を除去して、
陶質の透明度を高め、さらに溶融脱泡後高温に保持すれ
ば陶材が垂下して陶歯外形が崩れるので、脱泡後直ちに
復圧して炉外大気中に取出し急冷する方法が採用されて
いた。
【0007】このような陶歯の焼成方法では、歯冠の金
属材料にチタン又はチタン合金を使用する場合には、低
熔陶材が一般に審美性に劣ることの他に、750〜80
0℃の焼成温度でも、焼成中及び急冷中にチタン金属と
その表面の陶質との間に酸化物層が生成し、その酸化物
層において陶質が亀裂を発生し剥離するという問題があ
った。
【0008】また、陶歯の内側のチタン表面に焼成過程
で酸化皮膜が形成され、内側表面に酸化防止剤を塗布し
ても、酸化皮膜の生成は防止し得なかった。焼成後、わ
ずかな酸化皮膜を除去するために陶歯の内側表面を研削
すると、残存歯牙部表面と陶歯の内側表面との間のクリ
アランスが拡大されて、歯牙部に装着した陶歯が所望の
配置よりずれるために咬合を阻害するという問題も生じ
た。
【0009】上記問題は、金属チタンあるいはチタン合
金が、高温では空気中の酸素及び窒素と化合して表面に
酸化物等を形成し易い性質から生じている。従って、焼
成中の酸化を完全に防止するには、義歯体を炉内に装入
した後、高真空に維持して加熱し、焼成後は真空中炉内
の冷却を待って取り出す他ないが、炉内の熱容量が大き
いので冷却に時間を要し、高温下での溶融陶材の垂れ下
がりは回避できない。
【0010】本発明は、上記問題に鑑み、陶歯の焼成過
程での酸化防止を図り、作業性にすぐれ、製造コストの
安価な陶歯の製造方法及びその製造装置を提供しようと
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の陶歯の製造方法
は、易酸化性金属より成る義歯体表面に塗付された陶材
を加熱炉中で焼付ける陶歯の製造方法であって、加熱炉
内に陶材が塗布された義歯体を装入して後、炉内雰囲気
を非酸化性ガスに置換する置換工程と、当該加熱炉内の
非酸化性ガス雰囲気を減圧して、且つ加熱炉内を昇温し
て陶歯に焼成する焼成工程と、当該陶歯に非酸化性ガス
を吹き付けて、当該陶歯を急速冷却する冷却工程と、当
該義歯体が大気中で酸化しない温度に低下して後、炉内
より当該陶歯を取出す取出工程と、から成ることを特徴
とするものである。
【0012】また、本発明の陶歯の製造装置は、非酸化
性ガスを導入するガス導入配管及び真空配管に接続され
た気密可能な加熱炉本体と、当該加熱炉本体内部に耐火
物の耐熱体で囲繞され且つ発熱体が配置されて成る加熱
室と、当該加熱室で加熱焼成される陶歯を保持する陶歯
保持具と、当該陶歯保持具に保持された陶歯に向けて非
酸化性ガスを噴射するガス噴射管と、から成ることを特
徴としている。この装置は、特に、当該加熱炉体の底部
には、当該加熱室に通ずる炉体開口部が設けられ、当該
陶歯保持具が昇降装置上に保持された基板上に固定され
た耐火物台から成る焼成台であって、当該焼成台が当該
炉体開口部内に装入されると共に、当該基板が当該炉体
開口部の端縁に当接して、開口部を閉止するようにした
ものが、好ましく採用される。
【0013】本発明における易酸化性金属には、金属チ
タン、チタン合金、上述のCo−Cr合金やNi−Cr
合金、その他、高温下で容易に表面酸化層が形成される
様な金属及び合金が含まれる。
【0014】
【作用】まず、製造方法の本発明につき、焼成は、4工
程から成り、第一の置換工程で、通常炉内予熱過程で、
炉内雰囲気が非酸化性ガス、例えば、不活性ガス雰囲気
に置換されるから、以後空気雰囲気に戻されるまでは、
義歯体が金属チタン又はチタン合金であっても、加熱中
に表面酸化は生じない。
【0015】第二の焼成工程は、昇温により陶材が軟化
溶融して陶質となり、不活性ガス雰囲気を減圧するか
ら、軟化溶融の際に陶材中の気泡が減圧雰囲気に容易に
除去される。陶歯の表面層の陶質に気泡が包含されてい
ると、散乱光により濁色不透明となるが、この減圧によ
る脱泡により、冷却後の陶質の透明度が改善されて均質
となる。
【0016】第三の冷却工程は、脱泡されて均質な陶質
を有する高温の陶歯に、非酸化性ガス、例えば、不活性
ガスを吹き付けて冷却する。炉内の熱容量は大きくて
も、義歯体あるいは陶歯は形状寸法が小さく、その熱容
量も小さいから、炉内が高温にあってもガス吹き付けに
よって急速に温度が降下し、吹き付けガスが不活性ガス
等の非酸化性ガスであるから、冷却中に酸化されること
がなく、従って空気に曝露されても酸化しない温度にま
で急速に冷却される。またガス吹き付けによって、同時
に、炉内を大気圧まで復圧してもよい。第四の取出工程
は、空気中で酸化しない温度まで低下した陶歯を炉外に
取出して、放冷する。
【0017】以上の陶歯製造方法は、上述したオペーク
処理、ボディー処理、ステイン処理及びグレージング処
理のいずれにも使用される。完成された陶歯には酸化被
膜は形成されず、また、陶質内には酸化層による剥離層
は形成されない。また、炉内の置換ガスと噴射ガスに
は、不活性ガスに代えて、窒素ガスが使用できる。この
場合、義歯体が金属チタンやチタ合金であっては、表面
に窒化物を形成するが、窒化物は緻密安定で剥離しない
ので、差し支えない。
【0018】次に、陶歯製造方法を実施するための本発
明の装置につき、加熱炉本体は気密可能で、かつ非酸化
性ガス導入管及び真空配管が接続されているから、炉内
を不活性ガス雰囲気或いは窒素ガス雰囲気とすることも
減圧することも可能である。発熱体は、通常電熱体であ
るが、加熱室内、陶歯保持具特に焼成台、陶歯保持具特
に焼成台に載置係止された陶歯を所定温度に加熱する。
【0019】ガス噴射管は、その管端開口部が陶歯保持
具に保持された陶歯に向けて設けてあるから、上記冷却
工程では、不活性ガス或いは窒素ガスを吹き付けて高温
の陶歯を急速に冷却する。当該噴射管が、開口部側に拡
管された拡管部を有し、かつ、整流板を拡管内部に装着
されているときは、不活性ガス又は窒素ガスは整流板周
縁と拡管内壁との間の間隔を流れて、噴射流が広がるの
で、陶歯保持具特に焼成台上に複数載置した陶歯を概ね
均一に冷却する。
【0020】加熱室内が高温にあっても、ガス噴射管
は、陶歯自体を空気中で酸化しない温度まで急速に冷却
するので、直ちに陶歯を炉外へ取り出すことができる。
そこで、陶歯の焼成所要時間を短縮でき、さらに炉内を
冷却することなく次の陶歯の焼成作業に移ることができ
る。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を、先ず、図面に基づき説明
する。図1は、本発明の陶歯焼成装置の断面図を示す
が、本装置は、竪型炉(縦型炉)であって、有底円筒状
の炉殻10の上方は開口されて、その開口端部には炉蓋
11が気密的に載置固定され、また底部101は、その
中央部に開口部102を有している。
【0022】炉殻10の内側には、鋼板の内筒12が固
定され、その内側には、中心方向に向けて、耐火物から
成る中空状の耐熱体23と、その中空部壁に発熱体5
と、その内側に透明な石英管22が配設され、石英管2
2の内側空所が加熱室2とされている。発熱体5は、本
例ではニクロム線のコイルが、当該耐熱体23の中空部
壁に円周方向に多数設けられた縦溝の内側に垂設されて
いる。
【0023】耐熱体23の上面は、耐火ブロック24、
25が積載されて、発熱体5と加熱室22の上部が覆わ
れており、耐火ブロック24、25には、垂直に貫通す
る小孔に、アルゴンガス噴射管4の直管部42が、挿通
されて垂下されている。
【0024】炉底部については、炉殻10の底部101
の開口部102及び石英管22の内側に、耐火物製の焼
成台30が装入され、焼成台30の基板31が、その周
縁上面が、炉殻底部101の開口部底面に気密的に当設
するように、昇降装置(不図示)により保持されてい
る。
【0025】焼成台30の上面には、耐熱性小棒32が
垂設され、被焼成物たる陶歯3は、小棒32の上端に係
止される。装入時には、図1に示すように、焼成台30
上面は、加熱室2内の均熱域に保持されて、上記アルゴ
ンガス噴射管4の噴射口40の直下に配置される。
【0026】アルゴンガス噴射管は、図2に示すよう
に、加熱室2の天井部を成す耐火ブロック24、25を
貫通する石英製の直管部42と、加熱室2内で拡大した
拡管部41とから構成され、石英製の拡管部41の内側
には、石英製の小円板8が拡管部内面を張渡した小径の
石英管81により支持固定され、当該小円板8は、管軸
に共軸にかつ垂直に配置されて整流板8とされている。
これらの部材は、石英製に代えて、耐熱鋼製などとする
ことも可能であるが、炉内の急速均一加熱の点から石英
製とするのがよい。
【0027】図1において、炉蓋部11には、アルゴン
ガス導入口44が、アルゴンガス噴射管4の直管部42
の管端に向けて設けられて、アルゴン配管43に接続さ
れている。また炉蓋部11には、加熱室2内の温度測定
用の熱電対保護管7を固定する端子71と、ニクロム電
熱体5の導線51の端子52とが設けられている。
【0028】また、同図において炉殻10の側壁には、
真空配管6に接続された排気孔61と、覗窓28が設け
られている。
【0029】図3は、本装置の炉底部の部分断面図であ
るが、本例では、焼成台30の基板31が、昇降装置
(不図示)に固定された昇降台(テーブル)33上に、
圧縮スプリング35を介して上方に付勢可能に保持して
おり、昇降台33を上限位置に固定したときは、圧縮ス
プリング35の押伸弾力により、基板31のOリング3
11が炉殻底部101の外底面に押圧されて、基板31
と炉殻10との間が気密状態となる。この状態で、炉内
圧が大気圧以上に高くなれば、炉内圧が基板31を外側
へ、即ち下側へ押圧し、圧縮スプリング35を圧縮し
て、Oリング311が底部101の外面より離れて、図
中矢示するようなガス流通経路を形成し、内圧を低下さ
せる。
【0030】この圧縮スプリングによる逃し弁機構は、
減圧焼成過程から、陶歯へのアルゴン噴射に伴う復圧す
るに際して、炉殻内が大気圧以上の高圧になるのを回避
するものであるが、大気圧以上になっても、噴射管4か
らのアルゴンガスの気流が苦しく変化するのを防止する
機能を有している。
【0031】図4は、本装置の配管系統と制御系を図示
したものである。配管系統は、アルゴンガス導入管43
がアルゴンガスボンベ47から流量計46等を経由した
アルゴン開閉弁45と接続され、アルゴンガス導入口4
4にアルゴンガスが導入される。
【0032】真空配管6は、分岐されて、一管は大気遮
蔽弁64に、他管は真空弁62を経て真空ポンプ63に
接続されている。
【0033】制御系については、設定プログラムを記憶
実行するマイクロコンピュータを内蔵した制御部9に
は、熱電対からの導線に72により温度信号が入力さ
れ、装作部91から指示信号に従って、発熱体5への供
給電力と、上記アルゴン開閉弁45、大気遮蔽弁64及
び真空弁62の開閉操作を行う。
【0034】次に、本発明の製造方法の実施例につき、
説明する。陶歯の製造において、焼成温度が最も高いの
は、オペーク処理であるが、この場合、普通陶材を使用
した場合には最高焼成温度は約950℃となる。この普
通陶材と、金属性の義歯体として金属チタンとを使用し
て陶歯を焼成するプロセスを、図5のフローチャートに
より示す。
【0035】準備の段階では、炉内の発熱体5に通電し
て、焼成台30を上昇した状態で加熱室2内の雰囲気温
度を約450℃に保持してのち、焼成台30を下降さ
せ、上述のように、金属チタン製義歯体に陶材を塗布し
て乾燥させた被焼成物である陶歯一定数個を焼成台30
上面の係止小棒32に係止固定し、次いで焼成台30を
上昇させて、炉内の加熱室2内に陶歯を装入して、予備
乾燥を行う。
【0036】この予備乾燥においては、焼成台30を除
々にあるいは段階的に上昇させ、陶歯を除々に加熱昇温
させて塗布した陶材の脱水乾燥過程での亀裂・剥離を防
止する。
【0037】焼成台30を上限に固定して炉底部の開口
部が密閉された時点から、炉内雰囲気をアルゴンガスに
置換するが、この操作は、真空弁62を開けて真空ポン
プ63により排気して、炉内を10mmHg以下に、特
に0.1mmHg以下の真空に減圧し、次いで、真空弁
を閉止して、アルゴンガス開閉弁45を開けて、炉内に
アルゴンガス導入管43及びアルゴンガス噴射管4を通
じてアルゴンガスを大気圧近くまで導入する。減圧−ア
ルゴン導入のこの置換操作を2回行うと、炉内雰囲気中
のアルゴン濃度は99%以上となり、義歯体のチタンに
有害な酸素及び窒素は1%以下に希釈されている。置換
工程では炉内及び陶歯の温度は、450℃近傍に概ね一
定に保持予熱してある。
【0038】次いで、真空弁62を開けて、炉内のアル
ゴン雰囲気を減圧すると共に、発熱体への供給電力を増
加させて陶歯を焼成するが、炉内雰囲気は50〜100
mmHgの圧力に保持された状態で昇温速度約60℃/
minで950℃まで炉内を急速に加熱する。この焼成
過程で、粉末状の固着した陶材は、軟化溶融し、溶融の
際に発生する気泡は、減圧雰囲気中に逃散消泡し、冷却
後には表面及び内質とも無気泡健全で透明度の高いセラ
ミック質となる。
【0039】炉内温度が陶材の焼成温度950℃に達し
た時点で、直ちにアルゴン開閉弁を開け、アルゴンガス
噴射管4からアルゴンガスを噴射すると、当該噴射管4
の拡管部41から、焼成台30上の陶歯3の表面に冷え
たアルゴンガスが吹き付けられるので、高温の陶歯は高
くとも450℃程度まで急速に冷却される。焼成温度に
達した後もこの温度付近に長く保持すると、溶融した表
面陶材か垂下あるいは滴下して陶歯の陶質を変形してし
まうので、冷却の開始とその後の冷却は速やかに行う必
要がある。この冷却時間は本例では約2.5minであ
る。同時にアルゴンガスの噴射により、炉内圧は大気圧
まで上昇して復圧する。アルゴンガス導入による大気圧
以上の炉内圧に対しては、上述のような焼成台30の基
板31に設けた逃し弁機構が働くので、炉内が高圧にな
ることはない。また大気遮蔽弁64を開放してもよい。
【0040】当該噴射管4の整流板8がないと、図2
(B)のように、直管部42から噴出したアルゴンガス
は、その噴流が直管部42のほぼ内径の太さのまま焼成
台30の方向に流動するが、拡管部41内を広がらず、
従って焼成台30の上面の周囲全域に到達するアルゴン
ガス気流は弱い。しかし、整流板8を適当な間隙80を
設けて取り付けてあると、同図(C)のように、整流板
8の周縁と拡管部41内壁との間の間隙80をアルゴン
ガスが流通して、減圧下では実線の矢示するように拡散
して焼成台30の上面全域に噴射することができる。大
気圧に近づくにつれて、噴流は、図中破線で矢示するよ
うに焼成台30の上面の中心部整流板8直下に迂回する
現象が認められる。整流板8を設けることにより、焼成
台30の上面に多数の陶歯を配置でき、ほぼ同時に冷却
することができるのである。
【0041】陶歯3の温度が450℃以下に低下した時
点で、焼成台30を下降させて、空気中で陶歯を100
℃以下に放冷してのち、陶歯を焼成台30より取外す。
この段階で、炉内雰囲気温度は約450℃に保持されて
いる。
【0042】以上の焼成方法において、陶歯の焼成工程
及びアルゴンガス冷却工程は、真空雰囲気又はアルゴン
置換雰囲気であるから、義歯体のチタンは、950℃も
の高温にあっても表面が酸化されることはない。また、
アルゴンガス噴射中の冷却過程も、焼成台降下後の放冷
過程では450℃以下の低温であるから、空気中放冷に
あっても、表面が酸化されることはない。以上の製造方
法は、陶歯のオペーク処理について述べたが、順次、ボ
ディー処理、ステイン処理及びグレージング処理にも、
同様に実施される。これらの場合に陶材の材質が変ら
れ、その材質により定まった焼成温度で減圧焼成がされ
る。
【0043】以上の実施例は、竪型炉の例であるが、横
型炉であってもよい。この場合は、加熱室を中心軸を水
平と成すような中空状とすれば、陶歯保持具は、例え
ば、当該加熱室に連通する炉殻側壁開口部に備えた開閉
自在の扉の耐火性内面が利用される。義歯体或いは陶歯
は、その耐火性内面に突起した耐火性小棒に係止され、
不活性ガス噴射管は、この耐火性内面に管端開口部の噴
射口が向けられて配置固定されるのである。その他,本
発明の範囲を逸脱しない限り、炉型式、陶歯保持具の構
造、不活性ガス噴射管の構造配置などは適宜変更利用す
ることが可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明の陶歯製造方法及び装置は、陶歯
の予熱、焼成及び冷却の工程において、いずれも不活性
ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気を減圧した減圧雰囲
気中で処理実施されるから、陶歯を構成する義歯体が酸
化性金属であっても、裏面に酸化被膜が形成されること
がなく、また陶質部との境界に酸化層が形成されないの
で、陶歯の陶質部が亀裂を生じ破損することがなく、ま
た陶歯内側の裏面を歯牙部に装着するに際しても、極め
て精度よく装着することができる。
【0045】特に、焼成工程後の冷却過程では、表面が
高温溶融状態にある陶歯に不活性ガス又は窒素ガスを吹
き付けて冷却するので、炉内雰囲気が高温であっても、
熱容量の小さい陶歯は急速に温度を低下させて、炉外に
非酸化状態で速やかに取り出すことができ、従って、陶
歯の表面陶質の溶融垂下による陶歯変形を防止して、且
つ、従来の大気中の放冷による陶歯義歯体の酸化を完全
防止することができる。また、炉内は常時予熱温度に保
持できるから、炉内を冷却することなく、順次陶歯の焼
成が可能であって、陶歯の生産性に優れている。
【0046】ガス噴射管は、噴射口に向けて拡管され、
その拡管内に円板状の熱流板を備えたものであるとき
は、噴射された不活性ガス又は窒素ガスが放射状に拡が
り、焼成台上の複数もしくは多数の陶歯を同時に冷却す
ることができるので、本装置は、多数の陶歯を容易に焼
成することが可能となり、量産性にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】陶歯焼成装置の断面図。
【図2】陶歯焼成装置の加熱室内の部分斜視図(A)と
不活性ガス噴射管からの噴流示す概念図(B,C)。
【図3】陶歯焼成装置の底部の断面図。
【図4】陶歯焼成装置の制御系統図。
【図5】本発明の陶歯製造工程のフローチャート。
【符号の説明】
1 焼成炉本体 2 加熱室 22 石英管 23 耐熱体 3 陶歯 30 焼成台 31 焼成台基板 4 アルゴンガス噴射管 41 拡管部 42 直管部 43 アルゴンガス導入管 5 ニクロム発熱体 6 排気管 8 熱流板 9 制御部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 易酸化性金属より成る義歯体表面に塗付
    された陶材を加熱炉中で焼付ける陶歯の製造方法におい
    て、 加熱炉内に陶歯若しくは陶材が塗布された義歯体を装入
    して後、炉内雰囲気を非酸化性ガスに置換する置換工程
    と、 当該加熱炉内の非酸化性ガス雰囲気を減圧して、且つ加
    熱炉内を昇温して陶歯に焼成する焼成工程と、 当該陶歯に非酸化性ガスを吹き付けて、当該陶歯を急速
    冷却する冷却工程と、 当該義歯体が大気中で酸化しない温度に低下して後、炉
    内より当該陶歯を取出す取出工程と、から成ることを特
    徴とする陶歯の製造方法。
  2. 【請求項2】 非酸化性ガスを導入するガス導入配管及
    び真空配管に接続された気密可能な加熱炉本体と、当該
    加熱炉本体内部に耐火物の耐熱体で囲繞され且つ発熱体
    が配置されて成る加熱室と、当該加熱室で加熱焼成され
    る陶歯を保持する陶歯保持具と、当該陶歯保持具に保持
    された陶歯に向けて非酸化性ガスを噴射するガス噴射管
    と、から成る陶歯焼成装置。
  3. 【請求項3】 当該加熱炉体の底部には、当該加熱室に
    通ずる炉体開口部が設けられ、当該陶歯保持具が昇降装
    置上に保持された基板上に固定された耐火物台から成る
    焼成台であって、当該焼成台が当該炉体開口部内に装入
    されると共に、当該基板が当該炉体開口部の端縁に当接
    して、開口部を閉止するようにした請求項2記載の装
    置。
  4. 【請求項4】 上記ガス噴射管が、当該管端開口部に向
    けて漸拡された拡管部を有し、当該拡管部の内側には、
    当該拡管部の中心軸と垂直な面を有する整流板が、当該
    拡管部内壁との間に所望のガス流通間隔を設けて配置さ
    れている請求項2又は3記載の装置。
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