JPH05209184A - 自動車用ギヤ油組成物 - Google Patents

自動車用ギヤ油組成物

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JPH05209184A
JPH05209184A JP4871991A JP4871991A JPH05209184A JP H05209184 A JPH05209184 A JP H05209184A JP 4871991 A JP4871991 A JP 4871991A JP 4871991 A JP4871991 A JP 4871991A JP H05209184 A JPH05209184 A JP H05209184A
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JP
Japan
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acid
oil composition
gear oil
sulfur
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JP4871991A
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Toshio Kunugi
俊夫 功刀
Yoshihisa Watanabe
佳久 渡邊
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温での使用に耐え得る優れた耐焼き付き性,
熱安定性,高温酸化安定性を有する自動車用ギヤ油組成
物を提供する。 【構成】基油に、硫黄又はリン系極圧剤(A成分)を
0.1〜10重量%、アルカリ金属ホウ酸塩水和物(B
成分)を1〜20重量%、モノエステル,ジエステル,
ポリオールエステル,アルキルカーボネート,ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルのうちの少なくとも1種(C成
分)を5〜50重量%含むことを特徴とする。ギアの歯
面にA成分とB成分が吸着し、主にA成分が金属面と化
学的に結合して形成する油膜により、焼き付きと摩耗を
主に防止し、この両成分の作用にC成分が関与して、高
温特性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ギヤ油組成物
に関し、詳しくは、耐焼き付き性、高温安定性、特に、
高温での熱安定性及び酸化安定性を向上させた自動車用
ギヤ油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用ギヤは、高速回転,高負荷条件
にさらされるため、これらに用いられるギヤ油は、焼き
付き防止性や摩耗防止性に優れたものが必要である。現
在のところ、焼き付き防止性を高めるために硫黄系の添
加剤を、摩耗防止性を高めるためにリン系の添加剤(す
なわち、硫黄,リン系極圧剤)を使用したギヤ油が主流
を占めている。従来、この硫黄系の添加剤として代表的
には硫化オレフィン系等が、リン系の添加剤として代表
的にはリン酸エステルあるいはリン酸エステルのアミン
塩等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ユーザーニーズ
の多様化と高速交通網の発達とにより、自動車の高性能
化,高速化への要求が急速に高まっている。この要求に
応えるべく、エンジンの高出力化が進み、空力特性の改
善からギヤ部の遮蔽化が図られ、また省燃費・省資源の
観点からギヤの小型化やオイルの低粘度化・ロングドレ
ン化が図られている。これらに伴い、トランスミッショ
ンやデファレンシャルギヤ等自動車用ギヤ油への熱負荷
は増大する傾向にあり、該ギヤ油には、焼き付き防止性
や摩耗防止性に加えて、耐熱性をも持たせることが重要
な課題となってきている。前述の従来の硫黄,リン系極
圧剤(以下、SP系極圧剤ともいう)を使用したギヤ油
は、高温条件下において、熱分解が促進され、スラッジ
が発生し、焼き付きや摩耗の増大を生じさせるのみなら
ず、金属表面の腐食摩耗の原因ともなる等の問題があっ
た。従って、従来のギヤ油の使用限界温度は,せいぜい
120〜130℃とされていた。一方、特開昭62−2
40385号公報にはポリα−オレフィンを用いた潤滑
油組成物が開示され、同62−201995号公報には
ポリグリコールを用いた潤滑油組成物が開示されている
が、これらの潤滑油は、高温清浄性が悪い等の欠点が残
っているばかりか、高価である上、依然として要求特性
を満足するものではなかった。また、特公昭54−22
201号公報では、ホウ酸塩含有潤滑剤により耐摩耗性
や極圧性を改善する技術が開示されているが、油温上昇
による潤滑剤の劣化抑制については直接的な改善策は講
じられていない。
【0004】本発明は、以上の従来のSP系極圧剤を用
いたギヤ油よりも更に高温での使用に耐え得る優れた熱
安定性と高温酸化安定性を有する自動車用ギヤ油組成物
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために鋭意研究を行った結果、硫黄又はリ
ン系極圧剤とアルカリ金属ホウ酸塩水和物と特定の含酸
素化合物との間に、該極圧剤の優れた焼き付き防止性を
維持しつつ、耐熱性を向上させる相互作用があることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明の自動車用ギヤ油組成物は、この知
見に基づくもので、基油に、(A)成分として硫黄又は
リン系極圧剤を0.1〜10重量%、(B)成分として
アルカリ金属ホウ酸塩水和物を1〜20重量%、(C)
成分としてモノエステル,ジエステル,ポリオールエス
テル,アルキルカーボネート,ポリオキシエチレンアル
キルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテルより選ばれる少なくとも1種を5〜50重量%
配合してなることを特徴とする。
【0007】本発明組成物を更に詳述すると、その1つ
の好ましい実施態様は、100℃における粘度が約1〜
50cStの鉱物性潤滑油あるいはその精製品(以下、
鉱油という)及び100℃におけ粘度が約1〜50cS
tの合成潤滑油基材の中から選ばれる潤滑油に対し、
(A)成分を0.1〜10重量%好ましくは約0.5〜
5重量%、(B)成分を1〜20重量%好ましくは約5
〜15重量%、(C)成分を5〜50重量%好ましくは
約5〜20重量%の割合で混合したものである。
【0008】上記(A)成分のうちの硫黄系極圧剤とし
ては、一般式 R1−Sx−(R2−Sxn−R2 (1) (式中、R1は一価の炭化水素基、R2は二価の炭化水素
基、xは1以上の整数であり繰り返し単位中において夫
々のxは同一又は異なる数であり得る。nは0又は1以
上の整数である。)で示される炭化水素硫化物、油脂と
硫黄の反応生成物である硫化油脂、硫化テルペン等が用
いられる。
【0009】一般式(1)で示される硫黄化合物におい
て、基R1としては、炭素数2〜20の直鎖状又は分枝
状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキ
ル基、アルケニル基)、炭素数6〜26の芳香族炭化水
素基が挙げられ、具体的には、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテ
ニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ヘキシル
フェニル基等が挙げられる。基R2としては、炭素数2
〜20の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和脂肪族炭化
水素基、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基が挙げら
れ、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、フェニレン基等が挙げられる。一般式(1)の硫黄
化合物の代表的なものは、硫黄オレフィン、及び一般式
1−Sx−R2(xは2以上の整数)で示されるポリサ
ルファイド化合物であり、具体的には、ジイソブチルジ
サルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジターシ
ャリノニルポリサルファイド、ジターシャリブチルポリ
サルファイド、ジベンジルポリサルファイド、そしてポ
リイソブチレン、テルペン類等のオレフィン類を硫黄等
の硫化剤で硫化した硫化オレフィン類等が挙げられる。
油脂と硫黄の反応生成物である硫化油脂は、油脂として
ラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油等の
動植物油脂を使用したものであり、この反応生成物は、
化学構造が単一ではなく種々の混合物であり、化学構造
そのものは明確ではない。
【0010】上記(A)成分のうちのリン系極圧剤とし
ては、一般式 (R3a3-a3PXb (2) (式中、R3は、一価の炭化水素基、aは1,2又は
3、bは0又は1、Xは酸素原子又は硫黄原子であ
る。)で示されるリン酸エステル、亜リン酸エステル、
チオリン酸エステル、ジチオリン酸エステル等が用いら
れる。基R3としては、炭素数5〜20の直鎖状又は分
枝状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アル
キル基、アルケニル基)、炭素数6〜26の芳香族炭化
水素基、シクロアルキル基が挙げられ、具体的には、リ
ン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸トリオク
チル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸トリオクチル、チ
オリン酸ジオクチル、チオリン酸トリオクチル、リン酸
ジデシル、亜リン酸ジデシル、リン酸ジドデシル、リン
酸トリドデシル、亜リン酸ジドデシル、亜リン酸トリド
デシル、チオリン酸トリデシル、リン酸トリヘキサデシ
ル、亜リン酸トリヘキサデシル、チオリン酸トリヘキサ
デシル、リン酸トリオクタデセニル、亜リン酸トリオク
タデセニル、チオリン酸トリオクタデセニル、リン酸ト
リ(オクチルフェニル)、亜リン酸トリ(オクチルフェ
ニル)、チオリン酸トリ(オクチルフェニル)、リン酸
トリ(オクチルシクロヘキシル)、ジチオリン酸トリデ
シル等が挙げられる。また、リン系極圧剤は、上記
(2)式で示される酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸
エステル、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸
エステルのアルキルアミン塩等も使用することができ
る。これらの化合物の具体例としては、ブチルアシッド
ホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェー
ト、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッド
ホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、トリー
ルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらを中和
するためのアルキルアミンは、一般式NR45
6(R4、R5及びR6は一価の炭化水素基又は水素原子で
あり、そのうち少なくとも1つは炭化水素基)で表さ
れ、これらの化合物の具体例は、ジブチルアミン、オク
チルアミン、ジオクチルアミン、ラウリルアミン、ジラ
ウリルアミン、ココナッツアミン、牛脂アミン等が挙げ
られる。
【0011】上記の硫黄又はリン系極圧剤は、上記のよ
うな硫黄化合物(硫黄極圧剤)とリン化合物(リン系極
圧剤)とを併用することもできる。この場合の混合割合
は、任意の値をとることができる。
【0012】また、(B)成分であるアルカリ金属ホウ
酸塩水和物は、例えば、特公昭53−9763号公報や
米国特許第3929650号明細書等に開示されている
方法により製造することができる。すなわち、ホウ素/
カリウムが原子比で2.0〜4.5になるように水酸化
カリウム及びホウ酸の水溶液を、中性のアルカリ土類金
属スルフォネート又はコハク酸イミド系無灰型分散剤を
含む油溶液に加え、激しく攪拌して油中水型エマルジョ
ンを作り、それを脱水して得たホウ酸カリウム水和物の
微粒子分散体を用いることができる。更に、別の製法と
して、アルカリ金属又はアルカリ土類金属中性スルフォ
ネートをアルカリ金属水酸化物の存在下において炭酸化
して超塩基性スルフォネートを得、これにホウ酸を反応
させて得られるアルカリ金属ホウ酸塩の微粒子分散体を
用いることもできる。この場合の炭酸化反応は、コハク
酸イミドのような無灰型分散剤の共存下で行うこともあ
る。本発明組成物におけるアルカリ金属ホウ酸塩水和物
として、より好ましくは、中性カルシウムスルフォネー
ト及びコハク酸イミド等の無灰型分散剤を出発原料とし
て製造されるホウ酸カリウム又はホウ酸ナトリウム分散
体を挙げることができ、これらの方法で得られたアルカ
リ金属ホウ酸水和物は、例えば、式K2O・3B23
3.2H2OあるいはNa2O・B23・2.0H2Oで
表される。
【0013】更に、(C)成分の1つであるモノエステ
ルは、例えば、炭素数7〜18のアルコールと炭素数1
0〜22のモノカルボン酸との反応によって作られる。
このときのアルコールとしては、2−エチルヘキサアル
コール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコー
ル等を用いることができ、酸としては、ラウリル酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、牛脂脂肪酸
等を用いることができる。
【0014】ジエステルは、例えば、炭素数7〜30の
アルコールと炭素数12〜24のジカルボン酸との反応
によって作られる。このときのアルコールとしては、上
記のモノエステルで使用したものを用いることができ、
酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等
を用いることができる。ジエステルの具体例としては、
アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピ
ン酸ジ−イソデシル(DIDA)、アジピン酸ジ−イソ
ノニル(DINA)、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキ
シル(DOZ)、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル
(DOS)等がある。
【0015】ポリオールエステルは、炭素数5〜9のネ
オペンチル型ポリオールと炭素数4〜18の有機酸との
反応によって作られる。このネオペンチル型ポリオール
は、ネオペンチル構造を有する多価アルコールであり、
例えば、2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジオー
ル(すなわち、ネオペンチルグリコール)、2−エチル
−2−ブチル−プロパン−1,3−ジオール、2,2−
ジエチル−プロパン−1,3−ジオール、2−メチル−
2−プロピル−プロパン−1,3−ジオール、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロー
ルブタン、ペンタエリスリトール等が使用でき、好まし
くはネオペンチルグリコール、2−メチル−2−プロピ
ル−プロパン−1,3−ジオール、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトールであり、特に好ましくはネ
オペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトールである。
【0016】また、上記の有機酸は、例えば、n−ブタ
ン酸、2−メチルプロパン酸、n−ペンタン酸、3−メ
チルブタン酸、n−ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、
i−ヘキサン酸、ヘキサヒドロ安息香酸、n−ヘプタン
酸、2−メチルペンタン酸、メチルヘキサヒドロ安息香
酸、n−オクタン酸、ジメチルヘキサン酸、2−エチル
ヘキサン酸、2,4,4−トリメチルペンタン酸、3,
5,5−トリメチルヘキサン酸、n−ノナン酸、2−ブ
チルオクタン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ヘキ
サデカン酸、オクタデカン酸等が使用でき、好ましくは
n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン
酸である。
【0017】上記のネオペンチル型ポリオールと有機酸
とからのネオペンチル型ポリオールエステルの合成は、
従来から知られている方法、例えば、酸性触媒の存在下
で脱水縮合する方法によって行うことができる。ネオペ
ンチル型ポリオールエステルの具体例としては(以下、
ネオペンチルグリコールをNPG、トリメチロールプロ
パンをTMP、ペンタエリスリトールをPEと略す)、
例えば、NPG・ジ−(ヘプタノエート)、NPG・ジ
−(2−エチルブチレート)、NPG・ジ−〔混合(ヘ
キサノエート、ヘプタノエート)〕、TMP・トリ−
(ペンタノエート)、TMP・トリ−(ヘキサノエー
ト)、TMP・トリ−〔混合(ブチレート、オクタデカ
ノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ヘキサノエー
ト、ヘプタノエート、オクタノエート)〕、PE・テト
ラ(ペンタノエート)、PEと炭素数4〜8の直鎖状又
は分枝状カルボン酸の混合物とのエステル等が挙げられ
る。また、NPG、TMP及びPE以外のネオペンチル
型ポリオール、すなわち2−メチル−2−プロピル−プ
ロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチル−プロパ
ン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールヘキサンと上記の有機酸の単独又は混合体との
ネオペンチル型ポリオールエステル等を挙げることもで
きる。
【0018】アルキルカルボネートは、R7−O−CO
−O−R8で示される。ここで、R7,R8は共に炭素数
5〜22、好ましくは12〜20のアルキル基である。
アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい
が、炭素数が少な過ぎると高温での熱安定性や酸化安定
性が悪くなり好ましくない。アルキルカーボネートは、
グリニャール試薬を用いたアルコールとケトンとの反
応、塩化カルボニルとアルコールとの反応、あるいはハ
ロゲン化アルキルと炭酸塩との反応等公知の方法によっ
て製造することができる。
【0019】ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、
9O(CH2CH2O)nHで示される。ここで、R
9は、直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、炭素数は
5〜20、好ましくは8〜15である。nは、エチレン
オキサイドの付加数で、2〜7であることが好ましい。
nが大き過ぎると、油に難溶となり不適である。ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルは、炭素数5〜20の脂
肪族アルコールに、アルカリ触媒を使用し、酸化エチレ
ンを付加重合させて得ることができる。この脂肪族アル
コールとしては、ラウリル、セチル、オレイル、牛脂ア
ルコール等の動植物系アルコール、オキソアルコール等
の合成アルコール等が使用される。
【0020】ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テルは、
【化1】 で表される。式中、R10は、直鎖状又は分枝状のアルキ
ル基であり、炭素数5〜20好ましくは8〜15であ
る。nは、エチレンオキサイドの付加数で、2〜7であ
ることが好ましい。nが大き過ぎると油に難溶となり不
適である。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ルは、アルキルフェノールに、アルカリ触媒を使用し、
酸化エチレンを付加重合させて得ることができる。
【0021】上記の(A)成分、(B)成分、(C)成
分は、いずれも配合割合が少な過ぎると焼き付き性、高
温安定性、特に高温での熱安定性及び酸化安定性の向上
効果が薄れ、逆に多過ぎてもコスト高となり不利であ
る。
【0022】また、本発明組成物では、上記の(A)、
(B)、(C)3成分の他に、必要に応じて公知の添加
剤、例えば、金属型清浄剤、無灰型分散剤、摩耗防止
剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度指数向
上剤、流動点降下剤、消泡剤等が添加される。金属型清
浄剤としては、アルカリ土類金属スルフォネート、アル
カリ土類金属フェネート等が、無灰型分散剤としては、
アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステ
ル、長鎖脂肪酸とポリアミンとのアミド(アミノアミド
型)等が、摩耗防止剤としては、ジアルキルジチオリン
酸亜鉛等が、摩擦調整剤としては、脂肪酸、有機モリブ
デン化合物等が、酸化防止剤としては、アミン系、フェ
ノール系酸化防止剤等が、腐食防止剤としては、ベンゾ
トリアゾール、アルケニルコハク酸エステル等が、粘度
指数向上剤としては、ポリメタクリレート、オレフィン
コポリマー等が、流動点降下剤としては、ポリメタクリ
レート等が、消泡剤としては、シリコン化合物、エステ
ル系消泡剤等が、夫々挙げられる。
【0023】
【作用】本発明組成物では、(A)、(B)、(C)各
成分の個々の作用は明らかでないが、先ず、自動車用ギ
ヤの歯面に(A)成分と(B)成分が物理的に競争吸着
し、次いで、歯車の接触面の高温・高圧条件で、主に
(A)成分が金属面と化学的に結合して形成する油膜に
より、焼き付きと摩耗を主に防止しているものと推測さ
れる。そして、この(A)、(B)両成分による作用に
(C)成分が関与していることが、後述の実施例から明
らかなように、従来の2成分系〔(A)成分と(B)成
分〕のものに比して、本発明組成物による効果が顕著で
あることから、明白である。但し、その作用の詳細は、
現時点では不明である。また、上記の(A)、(B)、
(C)各成分の作用は、高温下での耐熱性、酸化安定性
についても同様で、(A)、(B)成分と共に(C)成
分が、本発明組成物の熱分解、酸化劣化物の生成を抑制
する作用をなしていると推測される。
【0024】
【実施例】以下に、本発明組成物の実施例及び比較例を
挙げるが、本発明組成物は、これらの実施例に制限され
るものではない。 実施例1〜11、比較例1〜5 表1の1〜表1の2に示す11種の本発明組成物と、表
2に示す5種の比較組成物を調製した。これら本発明組
成物及び比較組成物の一般性状値は、いずれも40℃の
粘度が210〜220cSt、100℃の粘度が18.
8〜19.5cSt、粘度指数が99〜100の間であ
った。
【0025】上記の本発明組成物及び比較組成物につい
て、次のような試験を行った。高温での熱安定性試験と
して、次のようなホットチューブ試験を行った。すなわ
ち、空気を送り込んでいる270℃、280℃又は29
0℃に加熱したガラス管中に試料油を0.3ml/hで
注入する。注入された試料油は、ガラス管中を上下しな
がら少しづつ上部出口から排出される。16時間後、ガ
ラス管を取り出し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥してガ
ラス管壁内に付着したラッカーを評点付けする。評点
は、ラッカーが付着していない無色透明を10点、黒色
不透明を0点とした。酸化安定性試験として、内燃機関
用潤滑油酸化安定度試験法(JIS K 2514)に
準拠し、170℃、72時間の条件で行った。耐摩耗性
試験として、シェル四球摩耗試験機を用い、回転数18
00rpm、荷重40Kgの条件下で、30分間試験
し、試験用鋼球の摩耗痕の直径で評価した。チムケン摩
擦試験機を用い、回転数2000rpm、10分間の条
件下での焼き付き荷重で評価した。以上の試験結果を、
表3の1〜表3の2及び表4に併せて示した。
【0026】表3の1〜表3の2及び表4から明らかな
ように、本発明組成物は、(C)成分を含んでいない比
較組成物(比較例1,2)、(B)成分を含んでいない
比較組成物(比較例3)、(A)成分を含んでいない比
較組成物(比較例4)、及び市販のSP系ギヤ油(比較
例5)のいずれと比べても、高温での熱安定性、酸化安
定性、耐摩耗性が優れていることが判る。
【0027】
【表1】の1
【0028】
【表1】の2
【0029】
【表2】
【0030】表1の1〜表1の2及び表2における1)
〜10)は、次の通りである。 1)S量46.4重量% 2)硫化オレフィン(67重量%)+酸性リン酸エステ
ルのココナッツアミン塩(33重量%) 3)2−エチルヘキシルアシッドフォスフェート 4)ラウリルアシッドフォスフェートのココナッツアミ
ン塩 5)K2O・3B23・3.2H2O 6)Rの炭素数12、エチレンオキサイドの付加数5 7)Rの炭素数12、エチレンオキサイドの付加数3 8)消泡剤及び流動点降下剤からなる 9)ISO VG100(50重量部)とISO VG
460(50重量部)との混合基油(ISO VG;国
際標準化機構の粘度グレード) 10)SP系化合物混合体(S量23.3重量%、P量
1.4重量%)を含有する市販の自動車用ギヤ油(GL
−5)(GL−5;American Petorol
eum Instituteのサービス分類)
【0031】
【表3】の1
【0032】
【表3】の2
【0033】
【表4】 表3の1〜表3の2及び表4における11)は、n−ペ
ンタンである。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の自動車用
ギヤ油組成物は、基油に、(A)成分として硫黄又はリ
ン系極圧剤を、(B)成分としてアルカリ金属ホウ酸塩
水和物を、(C)成分としてモノエステル,ジエステ
ル,ポリオールエステル,アルキルカーボネート,ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルより選ばれる少なくとも1
種を、夫々特定量で配合させたため、各々の成分が単独
で示す優れた焼き付き防止性、高温での熱安定性及び酸
化防止性をはるかに上回る性能を発揮する。これは三者
の相乗作用によるものであり、これにより近年の自動車
の高性能・高速化に伴う自動車用ギヤ油の熱負荷の増大
に充分に対処でき、安定な走行を確保できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 137:08 125:26 129:70 129:72 129:74 129:84) (C10M 161/00 135:22 137:04 137:08 125:26 129:70 129:72 129:74 129:84 107:34) C10N 30:06 30:08 30:10 40:04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基油に、(A)硫黄又はリン系極圧剤を
    0.1〜10重量%、(B)アルカリ金属ホウ酸塩水和
    物を1〜20重量%、(C)モノエステル,ジエステ
    ル,ポリオールエステル,アルキルカーボネート,ポリ
    オキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレ
    ンアルキルフェニルエーテルより選ばれる少なくとも1
    種を5〜50重量%、配合してなること特徴とする自動
    車用ギヤ油組成物。
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