JPH05207883A - 魚類の新規成長ホルモンポリペプチド - Google Patents

魚類の新規成長ホルモンポリペプチド

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JPH05207883A
JPH05207883A JP4204982A JP20498292A JPH05207883A JP H05207883 A JPH05207883 A JP H05207883A JP 4204982 A JP4204982 A JP 4204982A JP 20498292 A JP20498292 A JP 20498292A JP H05207883 A JPH05207883 A JP H05207883A
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growth hormone
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Moriyuki Sato
盛幸 佐藤
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菁莪 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 魚類の新規成長ホルモンポリペプチドをコー
ドするDNA、該DNAを組み込んだ組換え体DNA、
該組換え体DNAを含む微生物。 【効果】 魚類の新規成長ホルモンポリペプチドをコー
ドするDNAを組み込んだ組換え体DNA、該組換え体
DNAを含む微生物が得られ、これらは魚類の新規成長
ホルモンポリペプチドの大量生産に利用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は魚類の新規成長ホルモン
ポリペプチドをコードするDNA、該DNAを組み込ん
だ組換え体DNA、該組換え体DNAを含む微生物に関
する。魚類の成長ホルモンは魚類の養殖産業分野におい
て広い用途が期待される。
【0002】
【従来の技術】哺乳類の成長ホルモンは脳下垂体におい
て生産されるが、それらの活性ならびに構造は公知であ
る。たとえば、ヒト成長ホルモンについては、ユー・ジ
ェイ・レビィス(U.J.Lewis)らによってジャーナル・オ
ブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエテイ( J.Am.Che
m.Soc.), 80 , 4429(1958)に、エイ・エス・ハートリ
ー(A. S. Hartree)によってバイオケミカル・ジャーナ
ル(Biochem.J.), 100 ,754(1966)に、シー・エイチ・
リー(C.H.Li) らによってアーチブス・オブ・バイオケ
ミストリイ・アンド・バイオフィジクス・(サプルメン
ト)〔Arch.Biochem.Biophys. (Suppl.)〕, ,327 (1
962)に報告されている。
【0003】魚類の成長ホルモンについても、これまで
に単離されたという報告は多く見られるが、その生理活
性と蛋白化学的な性質で信頼性のあるものは数が少な
い。信頼性のある報告の例には次のようなものがある。 ティラピアよりの単離例:エス・ダブリュ・ファーマー
(S. W. Farmer)ら、ジエネラル・アンド・コンパラテ
イブ・エンドクリノロジイ(Gen. Comp. Endocrin.,
30, 91(1976). チョウザメよりの単離例:エス・ダブリュ・ファーマー
(S. W. Farmer)ら、エンドクリノロジイ(Endocrinol
ogy), 108, 377(1981). コイよりの単離例:エイ・エフ・クック(A. F. Cook)
ら、ジエネラル・アンド・コンパラテイブ・エンドクリ
ノロジイ(Gen. Comp. Endocrin.),50, 335(1983). 一方哺乳動物の成長ホルモン遺伝子についてはラット成
長ホルモン遺伝子〔ピー・エイチ・シーバーグ(P.H. S
eeburg)ら:ネイチャー(Nature) 270, 486(1977)
〕,ウシおよびブタの成長ホルモン遺伝子〔ピー・エ
イチ・シーバーグ(P.H. Seeburg)ら:デイー・エヌ・
エイ(DNA), , 37 (1983)〕、ヒト成長ホルモン遺伝
子〔ジエイ・エイ・マーシャル(J. A. Martial)ら:サ
イエンス(Science), 205,602(1979)〕などがすでに知
られており、魚類の成長ホルモン遺伝子についても本発
明者らにより既に単離されている〔特願昭59-134536 お
よび同59-213360 〕。該遺伝子によりコードされる魚類
成長ホルモンポリペプチドは、川内らにより先にサケ脳
下垂体より調製され、硬骨魚類における成長促進効果を
有することも確認されているサケ成長ホルモンポリペプ
チド〔特願昭59-68670〕で、N末端(40個)、C末端
(21個)のアミノ酸配列が完全に一致していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】魚類の成長ホルモンは
魚類の成長促進効果を有するので、養魚用餌料の組成物
として有用であるが、魚類の脳下垂体からの採取は供給
量が限られている。従って魚類の成長ホルモンを安価に
大量に供給する方法の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、組換えD
NA技法により魚類の成長ホルモンを製造する方法につ
いて研究を行った。その結果、魚類の成長ホルモン製造
に使用することができる、魚類の成長ホルモンポリペプ
チドに相補的なDNAの採取ならびにこれを含む組換え
体DNAおよび微生物の製造に成功した。即ちサケ脳下
垂体からメッセンジャーRNA(mRNA)を抽出し、これと
相補的なDNA(cDNA)を合成し、次いでサケの成長ホル
モンのN末端付近のアミノ酸配列に対応するDNAプロ
ーブを合成し、このDNAとハイブリダイズするcDN
Aを選択することにより、サケ成長ホルモン遺伝子をク
ローン化することに成功し、すでに特許出願した(特願
昭59-134536 および同59-213360)。さらにいくつかのサ
ケ成長ホルモン遺伝子を詳細に検討する過程で、先に特
許出願したものと相関性の高い別の遺伝子があることが
わかり、そのcDNAの全塩基配列を決定した。本発明
者らはさらに研究を進め、該新規サケの成長ホルモンを
コードするDNAを組み込んだ組換え体DNAを含む微
生物を培養することにより、培養物中にサケ成長ホルモ
ンポリペプチドが著量生成蓄積することを見い出し、本
発明を完成するに到った。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明
は、魚類の新規成長ホルモンポリペプチド、とくに配列
番号1に示されたペプチド配列を有するポリペプチドを
提供する。該ポリペプチドは、組換えDNA技法を用い
て下記のごとく製造することができる。即ち、魚類成長
ホルモンのmRNAを鋳型として用いて該mRNAに相
補性を示すDNA(cDNA)を調製し、該cDNAを組み
込んだ組換え体プラスミドを調製する。さらに、該組換
え体プラスミドを宿主微生物に挿入する。該DNAおよ
び組換え体プラスミドは、とくにエッシエリヒア・コリ
のような細菌中で新規成長ホルモン遺伝子の増幅に使用
することができる。該組換え体プラスミドを有する微生
物は魚類の新規成長ホルモンポリペプチドを安価に大量
に製造するために有用である。
【0007】従って、本発明は、魚類の新規成長ホルモ
ンポリペプチドをコードするDNA、該DNAを組み込
んだ組換え体DNA、該組換え体DNAを含む微生物お
よび該微生物を用いる新規成長ホルモンポリペプチドの
製造法を提供する。本発明のDNAと組換え体プラスミ
ドは下記の一般的手法で調製される。シロザケ脳下垂体
より全RNA を調製し、これをオリゴ(dT)セルロース〔ol
igo(dT)cellulose〕カラムを通すことによりポリアデニ
ル酸〔ポリ(A) 〕を有するRNA〔ポリ(A) RNA〕を
分離する。
【0008】このポリ(A) RNAを鋳型とし、逆転写酵
素により二重鎖DNAを合成する。組換え体は試験管内
DNA組換え技法を用い、大腸菌のプラスミドDNAの
ようなベクターDNAに該合成DNAを挿入して得られ
る。次に本発明のDNAおよび組換え体プラスミドの製
法について具体的に説明する。
【0009】捕獲されたシロザケより脳下垂体を摘出
し、即座に液体窒素中にて凍結する。この凍結脳下垂体
にグアニジウム・イソチオシアネート(guanidium isot
hiocyanate) を加え破砕し、可溶化する。次いでCsC
l溶液層に重層し、超遠心後、沈殿物とし全細胞質RN
Aを得る。またグアニジウム・イソチオシアネート可溶
化物にLiClを加えてRNAのみを沈殿させ回収する
こともできる。
【0010】抽出したRNAをNaClまたはKClの
高塩濃度(たとえば0.5M)溶液に溶解し、オリゴ (d
T) セルロースのカラムに通塔してポリ(A)を有する
mRNAをカラムに吸着させる。水、10mMトリス−
HCl緩衝液のような低塩濃度溶液を用いて溶出し、ポ
リ(A)を有するmRNAを単離する。以下、オカヤマ
−バーグ(Okayama-Berg)の方法〔オカヤマ・アンド・
バーグ(Okayama & Berg);モレキュラー・アンド・セ
ルラー・バイオロジイ(Mol.Cell.Biol.),161(198
2)〕に従い、cDNA の合成および、そのベクターへの組
み込みを行う。
【0011】まずベクタープライマーを合成する。ベク
ターとしてはたとえばpCDV1を適当な溶液、たとえ
ばトリス−HCl緩衝液(たとえば pH7.5, 10mM), M
gCl2(たとえば6mM),NaCl(たとえば10m
M)を含む溶液中でKpnIで 処理し、pCDV1の
KpnI部位を切断する。このDNAをトリス−HCl
緩衝液(たとえばpH 6.8, 30mM), カコジル酸ナトリウ
ム(たとえば140mM),CoCl2(たとえば1m
M),ジチオスレイトール(たとえば0.1mM)および
dTTP(たとえば0.25mM)中、ターミナルデオキ
シヌクレオチジルトランスフェラーゼとともに一定温度
(たとえば37℃)で一定時間(たとえば20分間)イ
ンキュベートし、ベクターDNAの両3’末端に60個
前後のチミジル残基を付加する。さらにこのDNAをト
リス−HCl緩衝液(たとえばpH7.5,10mM)、M
gCl2 (たとえば6mM),NaCl(たとえば10
0mM)を含む溶液中EcoRIで切断後、低融点アガ
ロースゲル電気泳動〔ラルス・ウイスランダー(Lars W
ieslander ): アナリティカル・バイオケミストリイ
(Analytical Biochemistry,)98,305(1979)〕にて
分画し、約3.1 キロベースの断片を回収する。次いで該
DNAをNaClまたはKClの高塩濃度(たとえば0.
5M)溶液に溶解し、ポリ(dA)セルロースカラムに
通塔してポリ(T)を有するベクタープライマー分子の
みをカラムに吸着させる。水、10mMトリス−HCl
緩衝液のような低塩濃度溶液を用いて溶出し、ポリ
(T)の付加したベクタープライマー分子のみを単離す
る。
【0012】次にリンカーDNAを合成する。たとえば
pL1DNAを適当な溶液、たとえばトリス−HCl緩
衝液(たとえばpH7.5,10mM),MgCl2 (たと
えば6mM),NaCl(たとえば50mM)を含む溶液
中でPstIで処理し、pL1のPstI部位を切断す
る。このDNAを、dTTPの代わりにdGTPを加え
る以外はベクタープライマー合成の場合と同様に処理
し、15個前後のオリゴ(dG)鎖を付加する。該DNAを
適当な溶液、たとえばトリス−HCl緩衝液(たとえば
pH7.5,10mM),MgCl2(たとえば6mM),
NaCl(たとえば60mM)を含む溶液中HindII
I にて切断する。アガロースゲル電気泳動にて約0.5キ
ロベースのDNA断片を分画し、DEAEペーパーにて
回収する。このようにしてリンカーDNAを得る。
【0013】以上のようにして得たポリ (A)RNA,ベ
クタープライマー,リンカーDNAを用い、cDNA合
成を行う。ポリ (A)RNA,ベクタープライマーDNA
をトリス−HCl緩衝液(たとえばpH8.3,50m
M),MgCl2 (たとえば8mM),KCl(たとえ
ば30mM),ジチオスレイトール(たとえば0.3m
M),dATP,dTTP,dCTP,dGTP(たと
えば各々2mM)を含む溶液中、逆転写酵素を一定温度
(たとえば37℃)、一定時間(たとえば40分間)反
応させる。こうして得たRNA−DNA二重鎖の3’末
端に、dTTPがdCTPに変わる以外はベクタープラ
イマーに(dT)鎖を付加した条件と同様の操作でオリゴ(d
C)鎖を15個前後付加する。
【0014】このDNAをトリス−HCl緩衝液(たと
えばpH7.5,10mM),MgCl2(たとえば6mM),
NaCl(たとえば60mM)を含む溶液中Hind
IIIで切断する。このDNAに、先に調製したリンカー
DNAを混合し、トリス−HCl緩衝液(たとえばpH7.
5,20mM),MgCl2 (たとえば4mM),(N
4)2 SO4 (たとえば10mM),KCl(たとえば
0.1M),β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(β−NAD)(たとえば0.1mM)を含む溶液中、大腸菌
DNA リガーゼとともに一定時間(たとえば16時間)、
一定温度(たとえば12℃)でインキュベートする。こ
うしてcDNAとリンカーDNAとの環状化が行われ
る。この反応液にdATP,dTTP,dGTP,dC
TPを各々、終濃度40μMとなるよう加え、大腸菌D
NAリガーゼ、大腸菌DNA ポリメラーゼI、大腸菌リボ
ヌクレアーゼHを加え、RNA部分をDNAに変換する
ことにより、完全な二重鎖cDNAを含む組換えプラス
ミドを得る。
【0015】こうして得た組換えプラスミドを用い大腸
菌、たとえば大腸菌c600SF8株を、たとえばスコ
ット(Scott)らの方法〔重定勝哉:細胞工学
, 616(1983) 〕により形質転換する。上記で得た組換
え体プラスミド上にはアンピシリン耐性遺伝子が存在す
るため、形質転換した大腸菌はアンピシリン耐性を示
す。以下の手法はこれらアンピシリン耐性(Apr )菌
株から魚類の成長ホルモンmRNAに相補性を示す遺伝
子を持つ新規組換え体プラスミドDNAを保有する菌株
を選択するのに一般的に用いられる。すなわち、上記で
得られた形質転換株をニトロセルロースフィルター上に
固定し、既知のシロザケ成長ホルモンのアミノ酸配列よ
り予想されるDNA配列を有する合成DNAプローブと
会合させ、強く会合するものを選択する〔グルンステイ
ン−ホグネス(Grunstein - Hogness)の方法、プロシー
デイング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・
サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci)., USA., 72, 3961(1
975)〕。プローブDNAは通常のトリエステル法〔ジヤ
ーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエテイ
(J.Am. Chem. Soc.), 97 ,7327(1975)〕で合成され
る。合成DNAプローブによる選択はサザーン(Southe
rn)らの方法〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイ
オロジイ(J. Mol. Biol.), 98, 503 (1975)〕によって
さらに確実にでき、この方法でシロザケ成長ホルモンm
RNAに相補性を示す遺伝子を有する組換え体プラスミ
ドDNAを同定できる。
【0016】このようにして得られる組換え体プラスミ
ドの1例がpSGH14である。このプラスミドをサケ
成長ホルモンをコードするDNAの供給源として用いる
ことができる。微生物中でのサケ成長ホルモンをコード
するDNAの発現による魚類の成長ホルモンポリペプチ
ドの生産:サケ成長ホルモンをコードするDNAを含む
プラスミドから該DNAを切り出し、これをベクターD
NAに組み込み、得られる組換え体DNAを微生物に導
入し、得られる形質転換体を培養することによってサケ
成長ホルモンポリペプチドを培養物中に生成蓄積させ、
これを採取することによってサケ成長ホルモンポリペプ
チドを製造することができる。
【0017】サケ成長ホルモンをコードするDNAを含
むプラスミドとしては、上記pSGH14が好適な例と
してあげられる。ベクターDNAとしては、挿入したD
NAを微生物中で発現させることができるものなら、い
かなるものでも用いることができる。好ましくは、適当
なプロモーター、たとえばトリプトファン(trp)系、ラ
クトース(lac) 系、PL系などのプロモーターを持ち、そ
の下流にDNAを挿入でき、しかも内在するシャインダ
ルガーノ配列(以下SD配列と略記する)と翻訳開始コ
ドン(ATG)との間を適当な距離たとえば6〜18塩
基対に調 節したベクターDNAが用いられる。具体的
に好適なベクターDNAとしては、プラスミドpGEL1 を
あげることができる。pGEL1は図4に示すプラスミ
ドで、それを含む大腸菌はEscherichia coli IGE
L1(FERM BP−629)として昭和59年10
月6日付で工業技術院微生物工業技術研究所(微工研)
に寄託されている。ポリペプチドをコードするDNAと
ベクターDNAとの組換えは、制限酵素を用いて両DN
Aを消化後、T4DNAリガーゼを用いて結合する一般
的組換えDNA手法を用いて行うことができる。
【0018】具体例として示したpSGH14とpGEL1の場合
は図4に示したごとく2段階の造成を行う。すなわちpS
GH14よりサケ成長ホルモン成熟ペプチドN末端付近をコ
ードする MboII-PvuII断片と、cDNA の残りの部分およ
びベクター部分を含む PvuII−HindIII 断片を別々に得
る。一方、以下のような合成DNAリンカーを作製す
る。
【0019】
【化1】
【0020】上記DNA断片と合成DNAリンカーとを
T4DNAリガーゼで結合し、図4に示した組換え体プ
ラスミドpSGHIIB9を得る。次にpSGHIIB9よりサケ成長ホ
ルモン成熟ペプチドをコードするHindIII −BamHI 消化
断片を得、pGEL1 からはトリプトファンプロモーターを
含むHindIII −BamHI 消化断片を得る。上記2つのDN
A断片をT4DNAリガーゼで結合し、図4に示した組
換え体プラスミドpSGHIIC2を得る。本プラスミドはトリ
プトファンプロモーター下流に、成熟サケ成長ホルモン
をコードする領域が連結した形を有する。
【0021】上記組換え技法における反応の条件は、一
般的に下記のとおりである。DNAの制限酵素による消
化反応は、通常0.1〜20μgのDNAを2〜200m
M(好ましくは10〜40mM)のトリス−HCl(p
H6.0〜9.5好ましくはpH7.0〜8.0)、0〜200
mMのNaCl、2〜30mM(好ましくは5〜10m
M)のMgCl2 を含む反応液中で、制限酵素0.1〜1
00単位(好ましくは1μgのDNA に対して1〜3単
位)を用い、20〜70℃(至適温度は用いる制限酵素
により異なる)において、15分間〜24時間行う。反
応の停止は、通常55〜75℃で、5〜30分間加熱す
ることによるが、フェノールまたはジエチルピロカーボ
ネートなどの試薬により制限酵素を失活させる方法も用
いることができる。
【0022】制限酵素消化によって生じたDNA断片の
精製は、低融点アガロースゲル電気泳動法〔エル・ウイ
スランダー(L.Wieslander):アナリテイカル・バイオケ
ミストリイ(Analytical Biochemistry) 98 ,305(197
9), 以下LGT法という〕やポリアクリルアミドゲル電
気泳動法などによって行う。DNA断片の結合反応は、
2〜200mM(好ましくは10〜40mM)のトリス
−HCl(pH6.1〜9.5、好ましくはpH7.0〜8.
0)、2〜20mM(好ましくは5〜10mM)のMg
Cl2 、0.1〜10mM(好ましくは0.5〜2.0mM)
のATP、1〜50mM(好ましくは5〜10mM)の
ジチオスレイトールを含む反応液中で、T4DNAリガ
ーゼ0.3〜10単位を用い、1〜37℃(好ましくは3
〜20℃)で15分間〜72時間(好ましくは2〜20
時間)行う。結合反応によって生じた組換え体プラスミ
ドDNAは、必要によりCohen らの形質転換法〔エス・
エヌ・コーエン(S.N. Cohen)ら:プロシーテイング・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンス
(Proc. Natl. Acad. Sci.), USA 69, 2110(1972)〕に
よって、大腸菌に導入する。
【0023】組換え体プラスミドDNAを持つ大腸菌か
ら該DNAの単離は、後に述べる実施例1に示した方法
あるいはバーンボイム( Birnboim )らの方法〔エイチ
・シー・バーンボイム(H.C.Birnboim)ら:ヌクレイッ
ク・アシド・リサーチ(Nucleic Acids Res.),1513
(1979)〕などを用いて行う。プラスミドDNAを1〜1
0種類の制限酵素で消化後アガロースゲル電気泳動ある
いはポリアクリルアミドゲル電気泳動により切断部位を
調べる。さらにDNAの塩基配列を決定する必要がある
時はマキサム・ギルバード法〔プロシーデイング・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンス(Pr
oc. Natl. Acad. Sci.), 74, 560 (1977)〕またはM13
ファージを用いたサンガー(Sanger)法〔サンガー(Sa
nger)らプロシーデイング・オブ・ザ・ナショナル・ア
カデミイ・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sc
i.)USA,74, 5463(1977); アマーシャム(Amersham)社
M13クローニング・アンド・シークエンシング・ハンド
ブック(cloning and sequencing handbook)〕によって
決定する。以上のような条件で組換え体プラスミドDN
Aを製造することができる。
【0024】本発明の魚類の成長ホルモンペプチドは以
下のとおりに製造できる。すなわち、プラスミド(例え
ばpSGHIIC2) を用いて大腸菌K−12 HB101を形質
転換させ、アンピシリン耐性のコロニーの中からpSGHII
C2を有する大腸菌を選びだす。pSGHIIC2を有する大腸菌
を培地に培養することにより培養物中に魚類の成長ホル
モンポリペプチドを生成させることができる。
【0025】ここで用いる培地としては大腸菌の生育な
らびに魚類の成長ホルモンポリペプチドの生産に好適な
ものならば合成培地、天然培地のいずれも使用できる。
炭素源としては、グルコース,フラクトース,ラクトー
ス,グリセロール,マンニトール,ソルビトールなど
が、窒素源としては、NH4 Cl,(NH4)2 SO4
カザミノ酸,酵母エキス,ポリペプトン,肉エキス,バ
クトトリプトン,コーン・スティープリカーなどが、そ
の他の栄養源としては、K2 HPO4 ,KH2 PO4
NaCl,MgSO4 ,ビタミンB1 ,MgCl2 など
が使用できる。
【0026】培養はpH5.5〜8.5,温度18〜40℃
で通気攪拌培養により行われる。培養5〜90時間で培
養菌体中にシロザケ成長ホルモンポリペプチドが蓄積す
るので、培養物から菌体を集菌し、菌体をリゾチーム処
理後、凍結、融解を繰り返して菌体を破砕し、遠心して
えられる上清から通常のポリペプチドの抽出方法に従っ
てポリペプチドを採取する。
【0027】また該ポリペプチドの検出は培養菌体を直
接レムリ(Laemmli )のサンプルバッファー〔レムリ(L
aemmli),ネイチャー( Nature), 227 , 680 (1970) 〕
に加熱,溶解後、SDS−ポリアクリルアミドゲル〔レ
ムリ(Laemmli )の方法:同上文献〕にかけ、クマシー
ブリリアントブルー染色によって行う。以下に本発明の
実施例を示す。
【0028】
【実施例】
実施例1 シロザケ脳下垂体よりのポリ(A)RNAの
調製:シロザケ脳下垂体よりグアニジウムチオシアネー
ト−セシウムクロライド法〔マニアティス( Maniatis
)ら編, モレキュラー・クローニング(Molecular Clo
ning), p196, コールド・スプリング・ハーバー( Cold
Spring Harbor )刊;重定勝哉,細胞工学,2 ,616(19
83)〕に従いポリ(A)を有するRNAを下記のごとく
調製した。
【0029】シロザケの凍結脳下垂体2g(約30個体
分)を4Mグアニジウムチオシアネート、0.5%ザルコ
シン、5mMクエン酸ナトリウム(pH7)および0.1
Mβ−メルカプトエタノールからなる溶液10ml中でテ
フロンホモゲナイザー(5rpm)にて破砕し可溶化し
た。このホモジネートを18G注射針に数回通してDN
Aを分断した。5.7M CsCl、0.1M EDTA
(pH8)の溶液各1.2mlを超遠心管中に分注してお
き、前記ホモジネートを重層した。Hitachi RPS40
ローターにて35,000rpm 、15時間遠心後、RNAを沈
殿として回収した。RNAの沈殿を1mM EDTAを
含むトリス−HCl(pH8.0)溶液10mlに溶解し、フ
ェノール−クロロホルムで抽出後、エタノール沈殿によ
り回収した。得られたRNA約1mgを10mMトリス−
HCl(pH8.0)および1mM EDTAからなる溶
液1mlに溶かした。65℃、5分間インキュベートし、
0.1mlの5M NaClを加えた。混合物をオリゴ(dT)
セルロース・カラム(P−LBiochemicals社製)クロマ
トグラフィー(カラム体積0.5ml)にかけた。吸着した
ポリ(A)を有するmRNAを10mMトリス−HCl
(pH7.5)および1mMEDTAからなる溶液で溶出し0.
2mlずつ分画した。3〜5番目の画分を回収し、ポリ
(A)を有するmRNA約10μgを得た。
【0030】実施例2 cDNA合成と該DNAのベク
ターへの挿入:オカヤマ−バーグ(Okayama-Berg)の方
法〔モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジイ
(Mol.Cell.Biol.), 2 ,161(1982)〕に従い、cDNA
の合成とそれを組み込んだ組換え体プラスミドの造成を
行った。その工程の概略を図1および図2に示す。
【0031】pCDV1〔オカヤマ・アンド・バーグ
(Okayama & Berg ): モレキュラー・アンド・セルラ
ー・バイオロジイ(Mol. Cell.Biol.), 3, 280 (198
3) 〕400μgを10mMトリス−HCl(pH7.
5)、6mM MgCl2 および10mM NaClから
なる溶液300μlに加え、さらに500単位のKpn
I(宝酒造社製,以下特記しない限り制限酵素はすべて
宝酒造社製)を加えて、37℃、6時間反応させ、プラ
スミド中のKpnI部位で切断した。フェノール−クロ
ロホルム抽出後、エタノール沈殿によりDNAを回収し
た。KpnI切断した該DNA約200μgを40mM
カコジル酸ナトリウム、30mMトリス−HCl (pH
6.8),1mM CaCl2 および0.1mM ジチオスレ
イトール(以下DTTと略記する)からなる緩衝液(以
下TdT緩衝液と略記する)にdTTPを0.25mMと
なるよう加えた溶液200 μlに加え、さらに81単位の
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ
(以下TdT と略記する)(P−LBiochemicals 社製)
を加えて、37℃11分間反応させた。ここで、pCD
V1のKpnI切断部位の3’末端にポリ(dT)鎖が約67
個付加された。該溶液からフェノール−クロロホルム抽
出、エタノール沈殿により、ポリ(dT)鎖の付加したpC
DV1DNA約100μgを回収した。該DNAを10
mMトリス−HCl(pH 7.5)、6mM MgCl2,
100mM NaClからなる緩衝液150μlに加
え、さらに360単位のEcoRIを加え、37℃2時
間反応させた。該反応物をLGT法で処理後、約3.1K
bのDNA断片を回収し、約60μgのポリ(dT)鎖付加p
CDV1を得た。該DNAを10mMトリス−HCl
(pH8.0)および1mM EDTAからなる溶液50
0μl に溶解し、65℃5分間インキュベート後、氷冷
して50μl の5M NaClを加えた。混合物をオリ
ゴ(dA)セルロースカラムコラボラテイブリサーチ社製)
クロマトグラフィーにかけた。ポリ(dT)鎖長が充分なも
のはカラムに吸着し、これを10mMトリスーHCl(p
H8.0)および1mMEDTAからなる溶液で溶出し、ポ
リ(dT)鎖の付加したpCDV1(以下ベクタープライマ
ーと略記する)27μgを得た。
【0032】次にリンカーDNAの調製をなう。pL1
〔オカヤマ・アンド・バーグ(Okayama & Berg): モレ
キュラー・アンド・セルラー・バイオロジイ(Mol. Cel
l.Biol.), , 280(1983) 〕約14μgを10mMトリス
ーHCl(pH7.5),6mM MgCl2 および50mM
NaClからなる緩衝液200μlに加え、さらに5
0単位のPstIを加え、37℃4時間反応させ、pL
1DNA中のPstI部位で切断させた。該反応物をフ
ェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈殿を行
い、PstIで切断したpL1DNA約13μgを回収し
た。該DNA約13μgをTdT緩衝液に終濃度0.25
mMのdGTPを含む溶液50μlに加え、さらにTdT
(P-L Biochemicals社製)54単位を加えて37℃13分
間インキュベートし、pL1のPstI切断部位3’末
端に(dG)鎖を約14個付加した。フェノール−クロロホ
ルム抽出後エタノール沈殿にてDNAを回収した。該D
NAを100μlの10mMトリス−HCl(pH7.
5)、6mM MgCl2 および60mM NaClか
らなる緩衝液100μlに加え、さらに80単位のHind
III を加えて37℃3時間インキュベートし、pL1D
NAのHindIII 部位で切断した。該反応物をアガロ
ースゲル電気泳動にて分画し、約0.5KbのDNA断片
をDEAEペーパー法〔ドレツェン(Dretzen)ら,アナ
リテイカル・バイオケミストリイ(Anal. Biochem.),
112, 295(1981) 〕にて回収し、オリゴ(dG)鎖付きのリ
ンカーDNA(以下単にリンカーDNAと略記する)を
得た。
【0033】上記で調製したポリ(A)RNA約2μ
g,ベクタープライマー約1.4μgを50mMトリス−
HCl(pH8.3)、8mM MgCl2 ,30mM
KCl,0.3mM DTT,2mM dNTP(dAT
P,dTTP,dGTPおよびdCTP)および10単
位のリボヌクレアーゼインヒビター(P−L Biochemi
cals社製) からなる溶液22.3μlに溶解し、10単位
の逆転写酵素(生化学工業社製)を加え、37℃40分
間インキュベートし、mRNAに相補的なDNAを合成
させた。該反応物をフェノール−クロロホルム抽出、エ
タノール沈殿を行ない、RNA−DNA二重鎖の付加し
たベクタープライマーDNAを回収した。該DNAを6
6μMdCTPおよび0.2μgポリ(A)を含むTdT
緩衝液20μlに溶かし、14単位のTdT(P−L
Biochemicals社製) を加えて37℃8分間インキュベー
トし、cDNA3’末端に12個の(dC)鎖を付加した。
該反応物をフェノール−クロロホルム抽出し、エタノー
ル沈殿により(dC)鎖の付加したcDNA−ベクタープラ
イマーDNAを回収した。該DNAを10mMトリス−
HCl(pH7.5)、6mM MgCl2 および60m
M NaClからなる液400μlに溶かし、20単位
のHindIII を加え、37℃2時間インキュベート
し、HindIII 部位で切断した。該反応物をフェノー
ル−クロロホルム抽出、エタノール沈殿して0.5pmole
の(dC)鎖付加cDNA−ベクタープライマーDNAを得
た。該DNA0.08pmoleおよび前記のリンカーDNA
0.16pmoleを10mMトリス−HCl(pH7.5)、
0.1M NaClおよび1mM EDTAからなる溶液
40μlに溶かし、65℃,42℃,0℃でそれぞれ1
0分,25分,30分間インキュベートした。20mM
トリス−HCl(pH7.5)、4mM MgCl2, 10mM (N
H4)2SO4 ,0.1M KClおよび0.1mM β−NAD
の組成で、全量400μlとなるよう反応液を調製し
た。該反応液に10単位の大腸菌DNAリガーゼ(New
England Biolabs 社製)を加え、11℃で一夜インキュ
ベートした。該反応液を各40μMのdNTP,0.15
mM β−NADとなるよう成分を追加調製し、5単位
の大腸菌DNAリガーゼ、7単位の大腸菌DNAポリメ
ラーゼI(P-L Biochemicals社製)および2単位の大腸
菌リボヌクレアーゼH(P-L Biochemicals社製)を加
え、12℃,25℃で順次1時間ずつインキュベートし
た。上記反応で、cDNAを含む組換えDNAの環状化
と、RNA−DNA二重鎖のRNA部分がDNA に置換さ
れ、完全な二重鎖DNAの組換え体プラスミドが生成し
た。
【0034】実施例3 シロザケ成長ホルモンcDNA
を含む組換えDNAの選択:実施例2で得た組換え体プ
ラスミドを用い、大腸菌c600SF8 株〔カメロン(Camero
n): プロシーデイング・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミイ・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.)US
A, 72 ,3416(1975) 〕をスコット(Scott)らの方法〔重
定勝哉:細胞工学, 2,616(1983) 〕に従い形質転換し
た。得られた約1万個のコロニーのうち 4800 個をニト
ロセルロース上に固定した。シロザケ成長ホルモンのN
末端から23番目−28番目のアミノ酸配列に対応する
合成DNA、すなわち
【0035】
【化2】
【0036】(3番目の塩基はAまたはG,9番目はT
またはC,12番目はCまたはT,15番目はCまたは
Tであり、組み合わせて16通りの合成DNAの混合物
となる)を32Pで標識したプローブに40℃で強く会合
した8菌株を選んだ〔グルンステイン−ホグネス(Grun
stein-Hogness )の方法,プロシーデイング・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンス( Proc.
Natl.Acad. Sci.) USA,72,3961(1975) 〕。得られた
8菌株についてサザーン(Southern)の方法〔ジャーナ
ル・オブ・モレキュラー・バイオロジイ(J.Mol.Bio
l.), 98, 503(1975)〕により、上記プローブおよびC末
端付近のアミノ酸配列に対応する合成DNAプローブ
【0037】
【化3】
【0038】(3番目の塩基はCまたはT、6番目はA
またはG、9番目はA,T,G,Cのいずれか、12番
目はGまたはAであり、組み合わせて32通りの合成D
NAの混合物となる)とも会合が確認された。これらの
プラスミドはpSGH1,3,6,8,9,10,14, 17と命
名したが、いずれも、シロザケ成長ホルモンのアミノ酸
配列から予想されるDNA配列を有することから成長ホ
ルモンcDNAを含んでいるものと考えられた。
【0039】実施例4 該プラスミドpSGH14の塩基配
列:上記で得られたプラスミド8種につき、種々の制限
酵素で消化し、cDNA部分の切断地図を決定した。制限酵
素部位の存在位置から、得られたプラスミドは3群に分
類でき、pSGH1,6,9,10,17の群、pSGH 3の群、pS
GH8,14の群と分けられた。それぞれの群の制限酵素地
図を図3に示す。
【0040】これらのうち、pSGH1 の群のプラスミド、
とくにpSGH1 についてはすでに全塩基配列が決定されて
おり、そのcDNA配列から予想されるアミノ酸配列
は、シロザケ成長ホルモンペプチドから決定されている
N末端付近およびC末端付近のアミノ酸配列と完全に一
致し、該cDNAはシロザケ成長ホルモンをコードしている
ことが確認されている〔特願昭59-134536 および同59-2
13360 〕。
【0041】さらにこの群とは制限酵素切断部位の異な
るプラスミドであるpSGH8,pSGH14のうち、ほぼ完全長
を有すると思われるより長いcDNAを含むpSGH14につい
て、その翻訳領域の全ヌクレオチド配列をM13ファー
ジを用いたサンガー法〔サンガー(Sanger) ら、プロシ
ーデイング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ
・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci.),USA, 74 , 54
63(1977):アマーシャム(Amersham)社 M13クロー
ニング・シークエンシング・ハンドブック(cloning an
d sequencing handbook )〕に従って決定した。配列を
配列番号1に示す。
【0042】配列番号1の塩基配列中、既知のシロザケ
成長ホルモンとの比較から、塩基数1−66がシグナル
ペプチドを、67−630がシロザケ新規成長ホルモン
の成熟ペプチドをコードすると考えられる。該cDNAによ
りコードされるポリペプチドは、pSGH1 によりコードさ
れるポリペプチドとはシグナルペプチドの22個のアミ
ノ酸配列は完全に一致しているが、成熟ペプチド部分で
は、188個中、配列番号1に示したアミノ酸配列にお
いて下線で示してある12個のアミノ酸が異なってい
る。またシロザケ成長ホルモンポリペプチドから決定さ
れたN末端40個のアミノ酸配列に限っても5個のアミ
ノ酸が明らかに異なっており、pSGH14に含まれるcDNAは
pSHG1 の群とは異なる魚類の新規成長ホルモンをコード
していると考えられる。pSGH14を組込んだ組換え体プラ
スミドを含む大腸菌はEscherichia coli ESGH14(FERM
BP-611) として微工研に昭和59年9月20日付で寄託
してある。
【0043】実施例5 新規シロザケ成長ホルモンをコ
ードする組換え体プラスミドの造成: (1) pSGH14 から成熟シロザケ成長ホルモンをコードす
る組換え体プラスミドpSGHIIB9の造成:新規シロザケ成
長ホルモンをコードする DNAを含むプラスミド pSGH14
5μgを20mMトリス−HCl(pH7.5),10mM MgC
2 、および10mM NaClを含む溶液100μl に溶
かし、制限酵素MboII(New England Bio Labs社製)
10単位を加え、37℃3時間消化反応を行った。続い
てNaCl濃度を50mMとなるよう調製し、PvuII
10単位を加え、37℃3時間消化反応を行った。この
反応液をポリアクリルアミドゲル電気泳動後、DEAE
ーペーパー法によりN末端付近に相当する108bpのDN
A 断片約0.05μg を得た。
【0044】次にpSGH14 5μg を20mMトリス−HCl
(pH7.5)、10mM MgCl2 および50mM NaClを含
む溶液(以下“Y−50緩衝液”と略記する)40μl に
溶かし、PvuII ,HindIII 各々10単位を加え、37℃
3時間消化反応を行った。該反応液からLGT法によ
り、pSGH14でコードされる成長ホルモンのC末端側、
3’−非翻訳領域およびベクター部分を含む約3.3 Kbの
DNA断片約0.5μg を得た。
【0045】一方成熟シロザケ成長ホルモンをコードす
るDNAの発現に必要な翻訳開始コドンATGを付加
し、さらにベクターDNAと上記DNAを連結する目的
で下記のDNAリンカーを合成した。
【0046】
【化4】
【0047】まず一本鎖DNA、14mer と9mer を通常
のトリエステル法〔アール・クレア(R.Crea) ら:プロ
シーデイング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オ
ブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad.Sci.) USA., 75, 57
65(1978)〕により合成した。14mer および9mer の一本
鎖DNA各々39pmole を50mMトリス−HCl(pH 7.5)
、10mM MgCl2 ,10mMジチオスレイトールおよび
1mM ATPを含む溶液20μl に溶かし、T4ポリヌクレ
オチドキナーゼ(宝酒造社製)6単位を加え、37℃,
60分間リン酸化反応を行った。
【0048】上記で得たpSGH 14 由来の MboII-PvuII断
片(108bp)0.08pmole, PvuII−HindIII 断片(約3.7Kb)
0.02 pmole を50mMトリス−HCl(pH 7.5),10mM
MgCl2 ,10mMジチオスレイトールおよび1mMATP
を含む溶液30μl に溶かし、これに上記の合成DNA
リン酸化反応液5μl を加えた。この混合液にT4DN
Aリガーゼ6単位を加え、4℃,18時間結合反応を行
った。
【0049】該反応液を用いて大腸菌HB101〔ボリ
バー(Bolivar)ら、ジーン(Gene,,75(1977)〕株を形
質転換しApr のコロニーを得、このコロニーよりプラス
ミドDNAを回収し、図4に示したpSGHIIB9を得た。pS
GHIIB9の構造はHindIII ,XbaI, BglII,BamHI で切断
してアガロースゲル電気泳動にて確認した。
【0050】(2) pSGHIIB9の成熟シロザケ成長ホルモ
ンをコードする領域の発現ベクターpGEL1 への組み込
み:pSGHIIB9 5μg を40μl のY−50緩衝液に溶
かし、BamHI とHindIII を各々10単位加え、37℃3
時間消化反応を行った。該反応液からLGT法により、
成熟シロザケ成長ホルモン全体をコードする約1200bpの
DNA断片約0.1μg を得た。
【0051】別にpGEL1 5μg を40μl のY−50緩
衝液に溶かし、BamHI とHindIII とを各々10単位加
え、37℃3時間消化反応を行った。この反応液からL
GT法によりトリプトファンプロモーターを含む約2.7
KbのDNA断片約0.1μg を得た。上記で得たpSGHIIB9
のHindIII −BamHI 断片(約1200bp)0.01μg とpGEL
のHindIII −BamHI 断片(約2.7Kb)0.015μg を5
0mMトリス−HCl(pH7.5),10mM MgCl2 ,10
mMジチオスレイトールおよび1mM ATPを含む溶液3
0μl に溶かし、T4DNAリガーゼ(宝酒造社製)6
単位を加え、4℃,18時間結合反応を行った。
【0052】該反応液を用いて大腸菌HB101株を形
質転換しApr のコロニーを得、このコロニーよりプラス
ミドDNAを回収し、図4に示したpSGHIIC2を得た。pS
GHIIC2の構造はEcoRI,HindIII ,ClaI,BglII ,BamHI
で切断してアガロースゲル電気泳動にて確認した。pSGH
IIB9,pSGHIIC2を含む大腸菌菌株は Escherichia coli
ESGHIIC2 FERMBP-708 および同ESGHIIB9 FERM BP-70
7として、それぞれ微工研に寄託されている。
【0053】実施例6 pSGHIIC2を含む大腸菌によるシ
ロザケ新規成長ホルモンペプチドの生産:実施例5で得
た組換え体プラスミドpSGHIIC2を用い常法により大腸菌
W3110strA株(FERM BP-732)を形質転換した。得
られたApr コロニーを8mlのMCG培地〔0.6% Na2HP
O4, 0.3 % KH2PO4, 0.5% NaCl ,0.1 % NH4Cl, 0.
5% グルコース,0.5 % カザミノ酸,1mM MgSO4
4μg /mlビタミンB1 ,pH 7.2〕に接種し、30℃で
18時間培養した。得られた培養液を8,000 rpm,10分
間遠心して菌体を回収した。この菌体を Laemmliのサン
プルバッファーに懸濁後、SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動を行い、クマシーブリリアントブルーにて
染色して、分子量約 25,000 の部位にポリペプチドバン
ドを検出した。このバンドは該プラスミドを含まない大
腸菌を用いた場合には存在しなかった。この結果、pSGH
IIC2を保有する大腸菌はシロザケ成長ホルモンポリペプ
チドを大量に生産していることがわかった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、魚類の新規成長ホルモ
ンポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ組換え
体DNA、該組換え体DNAを含む微生物が得られ、こ
れらは魚類の新規成長ホルモンポリペプチドの大量生産
に利用することができる。
【0055】
【配列表】
【0056】配列番号:1 配列の長さ:630 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:シロザケ 組織の種類:脳下垂体 配列の特徴 1..66 S sig peptide 67..630 S mat peptide 配列 ATG GGA CAA GTG TTT CTG CTG ATG CCA GTC TTA CTG GTC AGT TGT TTC 48 Met Gly Gln Val Phe Leu Leu Met Pro Val Leu Leu Val Ser Cys Phe -20 -15 -10 CTG AGT CAA GGG GCG GCG ATG GAA AAC CAA CGG CTC TTC AAC ATC GTG 96 Leu Ser Gln Gly Ala Ala Met Glu Asn Gln Arg Leu Phe Asn Ile Val -5 1 5 10 GTC AAC CGG GTG CAA CAC CTC CAC CTA TTG GCT CAG AAA ATG TTC AAC 144 Val Asn Arg Val Gln His Leu His Leu Leu Ala Gln Lys Met Phe Asn 15 20 25 GAC TTT GAA GGC ACC CTG TTG TCT GAT GAA CGC AGA CAG CTG AAC AAG 192 Asp Phe Glu Gly Thr Leu Leu Ser Asp Glu Arg Arg Gln Leu Asn Lys 30 35 40 ATA TTC CTG CTG GAC TTC TGT AAC TCT GAC TCC ATC GTG AGC CCC ATC 240 Ile Phe Leu Leu Asp Phe Cys Asn Ser Asp Ser Ile Val Ser Pro Ile 45 50 55 GAC AAG CAG GAG ACT CAG AAG AGT TCA GTC CTG AAG CTG CTC CAT ATC 288 Asp Lys Gln Glu Thr Gln Lys Ser Ser Val Leu Lys Leu Leu His Ile 60 65 70 TCT TTC CGC CTG ATT GAA TCC TGG GAG TAC CCT AGC CAG ACC CTG ACC 336 Ser Phe Arg Leu Ile Glu Ser Trp Glu Tyr Pro Ser Gln Thr Leu Thr 75 80 85 90 ATC TCC AAC AGC CTA ATG GTC AGA AAC TCC AAC CAG ATC TCT GAG AAG 384 Ile Ser Asn Ser Leu Met Val Arg Asn Ser Asn Gln Ile Ser Glu Lys 95 100 105 CTC AGC GAC CTC AAA GTG GGC ATC AAC CTG CTC ATC GAG GGG AGC CAG 432 Leu Ser Asp Leu Lys Val Gly Ile Asn Leu Leu Ile Glu Gly Ser Gln 110 115 120 GAA GGG GTA CTG AGC CTG GAT GAC AAT GAC TCT CAG CAT CTG CCC CCC 480Glu Gly Val Leu Ser Leu Asp Asp Asn Asp Ser Gln His Leu Pro Pro 125 130 135 TAC GGG AAC TAC TAC CAG AAC CTG GGG GGC GAC GGC AAC GTC AGG AGG 528 Tyr Gly Asn Tyr Tyr Gln Asn Leu Gly Gly Asp Gly Asn Val Arg Arg 140 145 150 AAC TAC GAA CTG TTG GCC TGC TTC AAG AAG GAC ATG CAT AAG GTT GAG 576 Asn Tyr Glu Leu Leu Ala Cys Phe Lys Lys Asp Met His Lys Val Glu 155 160 165 170 ACC TAC CTG ACC GTC GCT AAG TGC AGG AAG TCA CTG GAG GCC AAC TGC 624 Thr Tyr Leu Thr Val Ala Lys Cys Arg Lys Ser Leu Glu Ala Asn Cys 175 180 185 ACTCTGTAA 633 ThrLeu
【図面の簡単な説明】
【図1】オカヤマーバーグ法によるcDNA合成と該DNA
を含む組換え体プラスミドの造成過程の概略を示した図
である。
【図2】オカヤマ−バーグ法によるcDNAを含む組換え体
プラスミドの造成過程の概略を示した図である。
【図3】pSGH1, pSGH3, pSGH14に含まれるcDNAの制限酵
素地図を示した図である。
【図4】組換え体プラスミドpSGHIIB9,pSGHIIC2の造成
過程を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23K 1/165 B 9123−2B A61K 35/74 AER G 7431−4C 37/36 8314−4C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示したペプチド配列を有す
    る魚類の新規成長ホルモンポリペプチドをコードするD
    NA。
  2. 【請求項2】 配列番号1に示したペプチド配列を有す
    る魚類の新規成長ホルモンポリペプチドをコードするD
    NAを組み込んだ組換え体DNA。
  3. 【請求項3】 プラスミドpSGH14と名づけた請求
    項2記載の組換え体DNA。
  4. 【請求項4】 配列番号1に示したペプチド配列を有す
    る魚類の新規成長ホルモンポリペプチドをコードするD
    NAを組み込んだ組換え体DNAを含む細菌。
  5. 【請求項5】 該細菌がエッシェリヒア・コリに属する
    請求項4記載の細菌。
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