JPH0520307B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子レンジを用いたマイクロ波によ
る加熱の際に、極力突沸を防止しながら、内容物
を均一かつ効率的に加熱できる電子レンジ用加熱
容器に関するものである。

〔従来の技術〕

電子レンジには、ガスレンジやオーブンでの使
用の際に要求されるよりはずつと耐熱性の低い容
器が使用できないこと、短時間で加熱できるこ
と、内容物がこげないこと及び使い易いこと等
種々の利点があるので、家庭用はもとより商業
用、工業用に、広く加温、調理等種々の用途に用
いられる。又電子レンジによる再加熱や調理の前
提とした各種即席食品が販売されるに至つてい
る。

電子レンジで食品を加熱する場合、食品を電子
レンジの金属製のキヤビテイー内におき、その壁
面にある照射口よりマイクロ波を照射すると、マ
イクロ波は壁面の金属によつて反射されるので、
食品は上下左右からマイクロ波の照射を受け、全
体が加熱される。

ところが実際には、例えば第４図に示すような
形状の容器１に液状の食品２を入れてこれを電子
レンジで加熱すると、以下のような現象が発生す
る。

即ち、容器１及び食品２の上面（液面）が接触
する部分３、上面及び側面の二方からのマイクロ
波ａ及びｂの照射を受けることになるが、容器１
内の他の部分では、食品２は上面或いは側面の何
れか一方からしかマイクロ波（ａ或いはｂ）を受
けない。この場合、容器１及び食品２の接触する
部分３のみが過度に加熱され、この部分で沸騰が
起こる。一方、容器１内の他の部分、特に容器食
品は均一に加熱されない。

従来、上記の問題の解決策としては、食品が過
度に加熱される部分の容器の外側にアルミ箔を被
覆することが行なわれている。これは、マイクロ
波がアルミ箔に当たると反射するので、この部分
でマイクロ波の透過を防いで食品の加熱を緩慢に
するためである。さらにこの技術を利用して種々
の改良が行なわれている。例えば、実公昭51−
2367には、蓋の外面又は内面にマイクロ波を反射
する金属皮皮膜を設け、かつ容器の底部にマイク
ロ波を吸収する抵抗皮膜とを設けた茶わん蒸し器
が開示されている。又、実開昭58−189795号及び
実開昭56−32261号には、パツケージの側面にマ
イクロ波を遮断する部材を設けた食品パツケージ
が開示され、特開昭54−126743号には、加熱され
やすい食品の程度に応じて、食品の周囲を金属箔
で被覆することが記載されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の方法は、全て、容器或い
は内容物の多くの部分にわたつてアルミ箔等の金
属を密着させて被覆している。従つて、必要以上
にマイクロ波が遮断されてエネルギー損失が大き
くなり、内容物の昇温が著しく遅れることとな
る。また、食品が金属を被覆した部分で未加熱と
なり易く、このために均一加熱ができない場合が
しばしば発生する。さらに誘導加熱によつてアル
ミ箔の端部が異常昇温し、この部分に接している
容器の一部が溶けたり、又は焦げたりする現象が
生ずる。

従つて、本発明は、局部的な過熱を防止し、内
容物を均一かつ効率的に加熱できる電子レンジ用
加熱容器を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明者らは研究の結果、内容物を収容する容
器本体に於ける内容物上面が容器本体の側面と接
触する部分の近傍を覆う位置にマイクロ波遮断層
を設けることが、内容物の部分的な過熱及び突沸
の防止に最も効果があり、少なくとも上記の位置
に遮断層を設けることによつて内容物の突沸を防
止し、エネルギー損失を極小にして内容物を極め
て効率的に加熱できることを見出した。更に、上
記の場合に、マイクロ波遮断層と容器本体との間
に空気層を介在させることによつて加熱効率が一
層高まり、しかもこの場合には遮断層に発生する
誘導加熱が著しく低減し、たとえ上記誘導加熱が
発生したとしても、これによる内容物及び容器本
体への悪影響を最小限に押さえることができるこ
とを見出した。

従つて、本発明は、マイクロ波遮断層を、内容
物を収容する容器本体に於ける内容物の上面が容
器本体の側面と接触する部分の近傍を少なくとも
覆う位置に空気層を介して設けた電子レンジ用加
熱容器であつて、容器が内容物を収容する容器本
体及び該容器本体の上方開放部を覆う蓋からな
り、該蓋の容器本体側にはりだした部分にマイク
ロ波遮断層が設けられ、同心円的に容器本体をと
り囲んでいることを特徴とする電子レンジ用加熱
容器を提供する。

本発明の容器は、スープ、おしるこ、煮物、各
種医薬品等種々のものを収容できるものである。
該内容物を収容する容器本体は、マイクロ波を透
過し、かつ電子レンジの加熱に耐えうる耐熱性材
料（100℃で溶けないもの）でつくられる。例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリエステル、ナイロン、紙及び前記ポ
リマーをコーテイングした紙が好適に使用され
る。尚、容器本体は、内容物をあらがじめ充填
し、後記する容器の蓋で密封した一体型の容器と
することもできるが、容器の蓋をとりはずし可能
な形態とすると、内容物として固型、粒状、粉状
及びペースト状等のものを入れておき調理の際に
蓋を開けて水又は湯をそそいでから調理できるの
で好ましい。

マイクロ波遮断層は、マイクロ波を透過しない
アルミニウム、ニツケル、クロム、鉄、亜鉛、ス
ズやこれらの合金などの金属材料からなる。上記
マイクロ波遮断層は、適当な手段によつて、内容
物の上面が容器本体の側面の接触する一部分の近
傍を少なくとも覆う位置に空気層を介して設けら
れる。マイクロ波遮断層を容器本体に設けるため
の手段としては、遮断層を上記の位置に設けるこ
とができるものであれば何れでもよく、その部分
に金属の薄膜を接着、ラミネートしたり、金属蒸
着或いは金属印刷等の手段により設けることがで
きるが、その部分全体を金属材料自体で形成して
もよい。尚、遮断層は蓋等の内側及び外側の何れ
に設けてもよい。

本発明に於いて、上記マイクロ波遮断層は、内
容物の上面が容器本体の側面と接触する部分の近
傍を少なくとも覆う位置に空気層を介して設けら
れる。内容物の上面と容器本体の側面との接点
は、内容物を電子レンジで加熱する際の内容物の
上面と容器本体の側面とが接触する箇所の意味で
ある。マイクロ波遮断層は、前記接点付近を覆う
ような上下方向の距離を有し、例えば４mm以上の
距離を有する。上記のようにマイクロ波遮断層が
設けられることにより、内容物の突沸を効果的に
防ぎ、同時にマイクロ波を充分に吸収して内容物
の温度をより高くし、内容物を効率的に加熱する
ことができる。マイクロ波遮断手段の上下方向の
距離を特に８〜65mmとした場合には、上記の高い
加熱効率を達成しながら突沸を防止する効果が総
合的に向上する。

また、マイクロ波遮断層と容器本体との間に設
けられる空気層は、内容物の表面と容器本体との
側面との接点とマイクロ波遮断層との間に、例え
ば水平方向の距離0.5mm以上好ましくは1.5mm以
上、さらに好ましくは2.5〜20mmとなるように設
けられる。上記の場合には、前記の効果に相まつ
て加熱効率が一層高まり、内容物の加熱に要する
時間が更に短縮される。しかも、誘電加熱にマイ
クロ波の熱エネルギーを有効に利用できるため、
マイクロ波遮断層に発生する誘導加熱が著しく低
減し、尚且つ上記誘導加熱が発生したとしても空
気層により熱エネルギーが吸収され、誘導加熱に
よる悪影響が内容物及び容器本体に及ばない。
尚、空気層及び容器本体の厚み、場合によりマイ
クロ波遮断層の容器側に設けられたマイクロ波透
過材の厚みを含めた水平方向の距離を1.8〜20.5
mmとした場合に、内容物の突沸防止及び加熱効率
の向上効果は最大となる。但し、上記距離範囲内
に占める空気層の距離が大きい程、誘導加熱によ
る内容物及び食品への悪影響を防止する効果が大
きくなる。

さらに、容器の蓋にマイクロ波遮断層を設け、
内容物を煮沸又は蒸煮する場合には、電子レンジ
での加熱による容器内の圧力増加を防止したり、
蓋をずらさないようにするために、蓋に開孔部を
設けることもできる。この場合、開孔部の直径は
0.7〜３mmとするのがよい。0.7mm未満だと目詰り
が発生しやすく、３mmを超えると加熱後の蒸らし
効果が期待できないからである。開孔部の構造と
して、容器内の圧力が高まつた時に剥離する程度
の接着剤のついたシートで該開孔部の覆つたり、
蓋の上面又は下面にポリエチンレンなどの易破壊
性の薄いフイルムを貼り合わせて、開孔部をふさ
いだ構造などとすると内部圧力の調整とともに衛
生上等の要求も満たされるので好ましい。

一方、内容物として固型又は粒状のものをあら
かじめ充填しておき、電子レンジで加熱する前に
水や湯などを入れる場合などのために最終液面を
示すための印を容器内に設けておくこともでき
る。

本発明の容器は円錐形、円筒形、立方体形等
種々の形とすることができるが、立方体の様に鋭
角な箇所が存在せず、すべて曲面による形態とす
るのが内容物過熱防止の点から好ましい。そして
本発明の容器は、真空成形、圧縮成形、インジエ
クシヨン成形等公知の成形方法により容易に製造
される。

本発明の容器は、基本的に上記の構成を有する
ものであるが、本発明の範囲内で種々の変形を行
なうことができる。

〔実施例〕

以下図面を参照して、本発明の実施例につき説
明する。

第１図は本発明の容器の断面図を示すものであ
り、容器１１の中に内容物１２を収容し、内容物
１２の上面が容器本体１３の側面と接触する箇所
１４から水平方向に0.5mm以上（l₁）の空気層を介
した位置にマイクロ波遮断層１５が備わつてい
る。マイクロ波遮断層１５は、容器の蓋１６が容
器本体１３の側にはり出した部分１７の１部に設
けられている。第１図に示すようにマイクロ波遮
断層を容器本体に設けると電子レンジで加熱後に
容器をとり出す際熱くなくて好ましいが、蓋の側
部１７自体をマイクロ波遮断材とすることもでき
る。尚、容器本体の厚さを含めた水平距離l₂は1.8
mm以上、マイクロ波遮断材の上下方向の距離ｈは
４mm以上になつている。

第２図は、本発明の容器の別の実施例を示す断
面図を示すものであり、マイクロ波遮断層２５が
蓋の側部２７のみではなくて蓋２６の上面の端部
にまで及んでいる。このような構造とすると上部
からのマイクロ波が遮断されるので沸騰防止効果
がさらに大きくなる。又、蓋の端部だけでなく蓋
の上部全体をマイクロ波遮断層で覆うことも可能
である。容器本体２３に収容されている内容物２
２が固型又は粉体などであつて、電子レンジで加
熱する前に蓋２６をあけて水又は湯をそそぐ場合
の便宜のために、最終的な内容物の上面と容器本
体２３との接点２４を指示する印２８が容器内面
に設けられている。

さらに、電子レンジの加熱による容器内の圧力
の増加を防止するために容器の上面に開孔部２９
が設けられている。

第３図は、第２図Ｃ部の別の態様を示す拡大断
面図であり、容器の蓋３１の開孔部３９を部材３
２でふさぎ、部材３２が容器内の圧力が高まつた
時に剥離する程度の接着力を有する接着剤で蓋に
接着されている。

〔発明の効果〕

本発明によれば、内容物の局部的な過熱を防止
できるので、電子レンジで内容物を短時間加熱す
る場合に効率的かつ均一な加熱を行なうことがで
きる。又、電子レンジで用いるので、簡易な形態
の容器とすることができ、容器中にスープ、おし
るこ等を充填した即席食品入り容器として好適に
使用される。

【図面の簡単な説明】

第１図は及び第２図は本発明に係る容器の断面
図、第３図は第２図Ｃ部の別の態様を示す拡大断
面図を示す。第４図は従来の容器の断面図であ
る。 図中：２，１２，２２……内容物、１５，２５
……マイクロ波遮断層、２９，２５……開孔部、
ａ，ｂ……マイクロ波の流れ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ マイクロ波遮断層を、内容物を収容する容器
   本体に於ける内容物の上面が容器本体の側面と接
   触する部分の近傍を少なくとも覆う位置に、空気
   層を介して設けた電子レンジ用加熱容器であつ
   て、容器が内容物を収容する容器本体及び該容器
   本体の上方開放部を覆う蓋からなり、該蓋の容器
   本体側にはりだした部分にマイクロ波遮断層が設
   けられ、同心円的に容器本体をとり囲んでいるこ
   とを特徴とする電子レンジ用加熱容器。 ２ 水平方向の空気層の長さが0.5mm以上である
   特許請求の範囲第１項記載の容器。 ３ 空気層及び容器本体の厚みを含めた水平方向
   の距離が1.8〜20.5mmの範囲にある特許請求の範
   囲第１項記載の容器。 ４ マイクロ波遮断層の上下方向の距離が４mm以
   上である特許請求の範囲第１項記載の容器。 ５ マイクロ波遮断層の上下方向の距離が８〜65
   mmの範囲である特許請求の範囲第１項記載の容
   器。 ６ 蓋に開孔部が設けられている特許請求の範囲
   第１項記載の容器。