JPH05201724A - 結晶質炭酸カルシウムのエチレングリコール分散体および結晶質炭酸カルシウム - Google Patents

結晶質炭酸カルシウムのエチレングリコール分散体および結晶質炭酸カルシウム

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JPH05201724A
JPH05201724A JP17694892A JP17694892A JPH05201724A JP H05201724 A JPH05201724 A JP H05201724A JP 17694892 A JP17694892 A JP 17694892A JP 17694892 A JP17694892 A JP 17694892A JP H05201724 A JPH05201724 A JP H05201724A
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Japan
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calcium carbonate
slurry
ethylene glycol
crystalline calcium
raw material
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JP17694892A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Tanabe
克幸 田辺
Masaharu Umebayashi
正治 梅林
Atsushi Ukago
敦 鵜籠
Masashi Asaba
誠志 浅場
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Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステルフィルムや繊維の摩擦係数を改
善し、滑性を向上させるための添加剤として、また各種
の顔料、充填剤、触媒担体、機能性粉体として実用上利
用価値の高い結晶質炭酸カルシウムのエチレングリコー
ル分散体および当該分散体から得られる結晶質炭酸カル
シウムを提供する。 【構成】 カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カ
ルシウムハロゲン化物から選択されるカルシウム化合物
あるいは金属カルシウムの少なくとも1種を、エチレン
グリコールを80重量%以上含有する媒体系内で炭酸化
反応させて熟成を経て結晶質炭酸カルシウムのエチレン
グリコール分散体を得る。また当該分散体から濾過・洗
浄・乾燥等して結晶質炭酸カルシウムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶質炭酸カルシウム
のエチレングリコール分散体および当該分散体から得ら
れる結晶質炭酸カルシウムに関するもので、さらに詳し
くは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート
フィルムや繊維の摩擦係数を改善し滑性を向上させるた
めの添加剤として、また化粧品、紙、塗料の顔料、ゴ
ム、プラスチック、シーラント等の高分子材料の充填
剤、歯磨剤、医薬品、触媒担体、各種の機能性粉体とし
て実用上利用価値の高い結晶質炭酸カルシウムのエチレ
ングリコール分散体および当該分散体から得られる結晶
質炭酸カルシウムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成炭酸カルシウムには、工業的に良く
知られているものとして、紡錘状、コロイド状、立方体
状、柱状のものがあり、いずれも水系で炭酸化反応させ
て製造されている。これらの炭酸カルシウムは結晶構造
上、カルサイトまたはアラゴナイトに属するものである
が、バテライトあるいは非晶質の炭酸カルシウムも知ら
れており、これらを製造するにあたって、アルコール類
あるいはアルコール類を添加した系での炭酸化反応が提
案されている。例えば、特公平2−16244号公報に
開示された、アルコール媒体系内で炭酸化反応をさせて
アモルファス炭酸カルシウムを製造する方法、日本接着
協会誌Vol.21,No.10(1985)に開示さ
れた、メタノール系内でのバテライトの合成方法、特開
昭63−103824号公報に開示された、有機媒体を
添加した系内でのバテライト系炭酸カルシウムの製造方
法があげられる。
【0003】一方、本発明の最も有望な利用分野の一つ
であるポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート
は、力学的、化学的に優れた特性を有し、フィルム、繊
維、容器等に広く使用されている。中でも磁気テープ用
においては、最近、高品質化、長時間録音に対応して薄
く表面の平滑なフィルムが要求される一方、製造工程や
製品自体での滑性不良による作業性の悪化、商品価値の
低下といった問題を抱えている。
【0004】従来より、かかる問題を解決するために、
エチレングリコール等のグリコール中に炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、シリカ、タルク等の無機微粒子を分散
させ、ポリエステル中に配合することにより、フィルム
表面に突起を形成させ滑性を改善する方法がとられてい
る。これら微粒子が満足すべき条件としては、(1)粒
子径が0.1〜2.0μmの範囲にあり、粒度分布がシ
ャープであること、(2)グリコール媒体中で分散性が
良好であること、(3)ポリエステルとの親和性が良好
であること等があげられる。
【0005】このような目的に使用される炭酸カルシウ
ムの製造方法としては、1次粒子径が0.1μm以上で
基準以上の分散度を有する沈降製炭酸カルシウムを、あ
る条件範囲のもとにグリコール系内で湿式粉砕すること
により製造する方法が、特公平2−48174号公報等
に開示されている。また特開平1−4239号公報、特
開平1−4240号公報では、上記沈降製炭酸カルシウ
ムにあらかじめα-、β-モノエチレン性不飽和カルボン
酸系の共重合物による表面処理を施すことにより、グリ
コール中での分散性やポリエステルとの親和性を改善す
る方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法により製造される炭酸カルシウムのグリコール系
分散体は、いずれにしても水系で合成された沈降製炭酸
カルシウムをグリコール中における粉砕工程を経て分散
させるため、製造工程が複雑になるばかりでなく、粗大
粒子、過粉砕粒子の混入は避けがたく、粒子の形状や粒
度分布において充分に満足なものが得られるに至ってい
ないのが現状である。
【0007】このような事情に鑑み、本発明者らは鋭意
研究の結果、エチレングリコールを主体とする媒体系内
でカルシウム化合物あるいは金属カルシウムを原料とし
て炭酸化反応させ、その後熟成させるという従来とは全
く異なった方法により、乾燥工程および粉砕工程を必要
としない2次粒子径が0.1〜2.0μmの新規な形状
とシャープな粒度分布、これらに由来する特性を備えた
炭酸カルシウムのエチレングリコール分散体を製造でき
ることを見出し、さらに鋭意研究の結果本発明に到達し
たもので、本発明の課題はポリエステルフィルムや繊維
の摩擦係数を改善し滑性を向上させるための添加剤とし
て、また各種の顔料、充填剤、触媒担体、機能性粉体と
して実用上利用価値の高い結晶質炭酸カルシウムのエチ
レングリコール分散体および当該分散体から得られる結
晶質炭酸カルシウムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題
を、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウ
ムハロゲン化物から選択されるカルシウム化合物あるい
は金属カルシウムの少なくとも1種を、エチレングリコ
ールを80重量%以上含有する媒体系内で炭酸化反応さ
せ、熟成を経て製造した結晶質炭酸カルシウムのエチレ
ングリコール分散体により解決した。
【0009】2次粒子径が0.1〜2.0μmの範囲に
あり、比表面積がBET法で20〜300m2/gの範
囲にあれば、好適である。
【0010】また、上記分散液から製造した結晶質炭酸
カルシウムも、上記課題を解決する。
【0011】
【作用】本発明の結晶質炭酸カルシウムは、従来の方法
で得られるものとは異なり、エチレングリコール分散体
で得られることから、ポリエステルに添加するに際して
は乾燥・粉砕の工程を必要とせず、乾燥時の凝集による
粗大粒子や過粉砕による微細粒子の混入の心配が全くな
い。特に、原料として酸化カルシウムを使用し製造した
際には、当該分散体は、エチレングリコールと炭酸カル
シウムのみから構成されるため、乾燥することなくポリ
エステル等に使用する際、ポリマーに悪影響を及ぼすこ
とがない。また粒子の形態は球状を主体とし、その粒子
径も0.1〜2.0μmと目的の粒子径に極めてよく合
致している。更にはカルサイトの結晶構造をとっている
ことから、製造工程あるいは製品中において極めて安定
な無機粉体といえる。従って本発明の結晶質炭酸カルシ
ウムは、ポリエステルフィルムおよび繊維の滑性を向上
させる無機微粒子として極めて優れた特徴を有している
とともに、当該結晶質炭酸カルシウムは、塗料、シーラ
ント等の顔料や充填剤をはじめ、化粧品、歯磨剤、さら
にはBET値が20〜300m2/gと高いという特徴
を生かした触媒担体や機能性粉体として利用することも
可能である。
【0012】なお、本発明の上記構成とその作用の顕著
性は、以下の説明から一層明確に理解されよう。
【0013】本発明の結晶質炭酸カルシウムは、原料と
してカルシウム化合物あるいは金属カルシウムをエチレ
ングリコールを主体とする媒体系内で炭酸化反応させ、
その後一定期間の熟成を経ることにより製造される。炭
酸化反応に使用する原料は、酸化カルシウム(生石
灰)、水酸化カルシウム、塩基性炭酸カルシウム、塩化
カルシウム等のカルシウム化合物および金属カルシウム
で特に制限はない。これらの原料の1種または2種以上
をエチレングリコールに懸濁させて原料スラリーを調整
する。この時のエチレングリコールには、合計で20重
量%以下の水あるいはエチレングリコール以外のアルコ
ール類等の含有は許容されるが、望ましくは10重量%
以下である。エチレングリコール以外の溶媒の混入が多
すぎると目的の形状や特性を有する炭酸カルシウムが得
られないばかりでなく、炭酸カルシウムをエチレングリ
コールから分離乾燥せずにポリエステル等に使用した場
合、ポリマーに悪影響を及ぼす。またスラリーのカルシ
ウム濃度は、金属量に換算して10重量%以下で製造が
可能である。濃度が高すぎると炭酸化終了前にスラリー
がゲル化し固結するため完全に炭酸化し終えることがで
きず、一方濃度が低すぎると製造効率が悪い。このこと
から、スラリーのカルシウム濃度は1.0〜5.0重量
%が望ましいといえる。炭酸化反応は炭酸ガスを使用し
てもよいし炭酸塩化合物を利用してもよい。炭酸ガスを
使用する場合は、ボンベから得られる純ガスでもよい
が、一般に工業的に利用されている生石灰製造時のキル
ンからの廃ガスを利用することも可能である。炭酸塩化
合物としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等を例示できる。この
場合はガス撹拌が行なわれないので、機械撹拌が必要と
なる。これらの炭酸化反応時の温度には特に制限はな
く、製造の容易な0〜70℃で行なえば良い。このよう
な条件の下で炭酸化反応を行なうと、原料スラリーはp
Hが7〜8まで低下しゲル化する(原料のスラリー濃度
が低い場合はゾルとなるが、以下においては実施例の箇
所を除きゲルで代表する)。このゲルのX線回折パター
ンには、顕著なピークは認められないことから非晶質相
と考えられる。
【0014】次にゲルの熟成(結晶化)を行なう。熟成
においても特に温度の制限はないが、一般に温度が高い
ほど短時間でゲルは崩壊してスラリー化して熟成は完了
する。例えば、常温で2〜3日、60〜110℃では1
〜24時間を要する。このようにして得られた炭酸カル
シウムのX線回折パターンは、ほとんどがカルサイトの
回折ピークで構成されており、バテライトの回折ピーク
は認められないか僅かに認められる程度である。透過型
電子顕微鏡で観察される形態は、エチレングリコールの
濃度や不純成分の違いにより若干変化が認められ、通
常、1次粒子が0.01μm以下から0.06μmの微
細粒子からなる炭酸カルシウムが放射状、あるいは粒子
径0.1〜2.0μmの菱面体状粒子が放射連晶状等の
独特な様式で集合した2次粒子径が0.1〜2.0μm
の球状〜亜球状あるいは2球状の形態を有している。さ
らにBET法により比表面積を測定すると、20〜30
0m2/gの値が得られる。
【0015】かくして上述したように本発明の結晶質炭
酸カルシウムは、従来の方法で得ていたものとは異な
り、エチレングリコール分散体で得られることから、ポ
リエステルに添加するに際しては乾燥・粉砕の工程を必
要とせず、乾燥時の凝集による粗大粒子や過粉砕による
微細粒子の混入の心配が全くない。特に原料として酸化
カルシウムを使用し製造した際には、当該分散体は、エ
チレングリコールと炭酸カルシウムのみから構成される
ため、乾燥することなくポリエステルに使用する際、水
分等によりポリマーが悪影響を受けることがない。また
粒子径も0.1〜2.0μmと目的の粒子径に極めてよ
く合致している。さらにはカルサイトの結晶構造をとっ
ていることから、製造工程あるいは製品中において極め
て安定な無機粉体といえる。このように本発明の結晶質
炭酸カルシウムのエチレングリコール分散体は、ポリエ
ステルフィルムおよび繊維の滑性を向上させる無機微粒
子として極めて優れた特徴を有していると共に、当該分
散体から取り出して得られた結晶質炭酸カルシウムは、
塗料、シーラント等の顔料や充填剤をはじめ、BET値
が20〜300m2/gと高いという特徴を生かした触
媒担体や機能性粉体として利用することも可能である。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例をあげて
さらに具体的に説明する。
【0017】実施例1 エチレングリコール2kgを入れた容量3リットルの筒
型フラスコに、撹拌しながら、工業用消石灰を100g
投入し、原料スラリーを調整した。この時、スラリーの
温度は30℃、pHは12.0、導電率は2.8mS/
cmであった。この原料スラリーを撹拌しながら、純度
100%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し
た。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電
率は徐々に低下した。67分後、pHが7.4、導電率
は0.4mS/cmまで低下し、スラリーはゲル化し
た。その時の温度は40℃であった。
【0018】このゲルをフラスコに入れたまま、60℃
の恒温水槽で加温した。2〜3時間でゲルはほぼ崩壊
し、再びスラリー化した。24時間後、このスラリーを
濾過して、メタノールで洗浄し、さらに110℃で乾燥
して得られた粉末のX線回折を行なったところ、僅かに
バテライトのピークが見られたほかは、カルサイトピー
クであり、BET法にて比表面積を測定したところ、1
41m2/gの値が得られた。また透過型電子顕微鏡で
観察した結果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状
に集合した、2次粒子径が0.3〜1.0μmの球状な
いし亜球状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。図1
に、倍率20,000倍で見た炭酸カルシウムの粒子構
造を示す。
【0019】実施例2 実施例1と同一の条件で製造したゲルを常温にて静置し
た。2日後、ゲルが崩壊してできたスラリーを濾過し
て、メタノールで洗浄し、さらに110℃で乾燥して得
られた粉末のX線回折を行なったところ、僅かにバテラ
イトのピークが見られた他は、カルサイトのピークであ
り、BET法にて比表面積を測定したところ、165m
2/gの値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察し
た結果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合
した、2次粒子径が0.5〜1.2μmの球状ないし亜
球状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0020】実施例3 実施例1と同一の条件で製造したゲルをビーカーに10
0gとり、110℃に維持した乾燥機中で加温したとこ
ろ、1時間でゲルは崩壊し、スラリー化した。このスラ
リーを濾過して、メタノールで洗浄し、さらに110℃
で乾燥して得られた粉末のX線回折を行なったところ、
僅かにバテライトのピークが見られた他は、カルサイト
のピークであり、BET法にて比表面積を測定したとこ
ろ、93m2/gの値が得られた。また透過型電子顕微
鏡で観察した結果、径0.01μm程度の1次粒子が放
射状に集合した、2次粒子径が0.5〜1.5μmの球
状ないし亜球状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0021】実施例4 エチレングリコール2.0kgを入れた容量3リットル
の筒型フラスコに、工業用消石灰を700℃で3時間焼
成して得られた生石灰75gを撹拌しながら投入し、原
料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は28
℃、pHは11.3、導電率は2.9mS/cmであっ
た。この原料スラリーを撹拌しながら、純度100%の
炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。炭酸化過
程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電率は徐々に低
下した。63分後、pHが7.2、導電率が0.5mS
/cmまで低下し、スラリーはゲル化した。この時の温
度は39℃であった。
【0022】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、132m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.2〜0.7μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0023】実施例5 実施例4と同一の条件で製造したゲルを常温にて静置し
た。2日後、ゲルが崩壊してできたスラリーを濾過し
て、メタノールで洗浄し、さらに110℃で乾燥して得
られた粉末のX線回折を行なったところ、カルサイトの
ピークのみから構成されており、BET法にて比表面積
を測定したところ、168m2/gの値が得られた。ま
た透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01μm程
度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が0.2
〜0.7μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カルシウ
ムが確認された。
【0024】実施例6 実施例4と同一の条件で製造したゲルをビーカーに10
0gとり、110℃に維持した乾燥機中で加温したとこ
ろ、1時間でゲルは崩壊し、スラリー化した。このスラ
リーを濾過して、メタノールで洗浄し、さらに110℃
で乾燥して得られた粉末のX線回折を行なったところ、
カルサイトのピークのみから構成されており、BET法
にて比表面積を測定したところ、106m2/gの値が
得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径
0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次
粒子径が0.3〜1.1μmの球状ないし亜球状の結晶
質炭酸カルシウムが確認された。
【0025】実施例7 エチレングリコール2.0kgを入れた容量3リットル
の筒型フラスコに、工業用消石灰を700℃で3時間焼
成して得られた生石灰150gを撹拌しながら投入し、
原料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は3
0℃、pHは12.2、導電率は2.8mS/cmであ
った。この原料スラリーを撹拌しながら、純度100%
の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。炭酸化
過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電率は徐々に
低下した。70分後、pHが10.4のまま、スラリー
はゲル化した。
【0026】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、113m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.2〜0.7μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0027】実施例8 エチレングリコール2.0kgを入れた容量3リットル
の筒型フラスコに、工業用消石灰を700℃で3時間焼
成して得られた生石灰40gを撹拌しながら投入し、原
料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は28
℃、pHは11.5、導電率は2.3mS/cmであっ
た。この原料スラリーを撹拌しながら、純度100%の
炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。炭酸化過
程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電率は徐々に低
下した。36分後、pHが7.1、導電率が0.5mS
/cmまで低下し、スラリーはゲル化した。この時の温
度は37.5℃であった。
【0028】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、125m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.2〜0.7μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0029】実施例9 エチレングリコール2.0kgを入れた容量3リットル
の筒型フラスコに、−200meshに粉砕した工業用生石
灰を撹拌しながら投入し、原料スラリーを調整した。こ
の時、スラリーの温度は26℃、pHは11.4、導電
率は3.0mS/cmであった。この原料スラリーを撹
拌しながら、純度100%の炭酸ガスを1リットル/分
の速度で導入した。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を
示したが、導電率は徐々に低下した。70分後、pHが
7.3、導電率が0.6mS/cmまで低下し、スラリ
ーはゲル化した。この時の温度は37℃であった。
【0030】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、81m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
〜0.02μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2
次粒子径が0.1〜1.3μmの球状ないし亜球状の結
晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0031】実施例10 エチレングリコール20kgに工業用消石灰を700℃
で3時間焼成して得られた生石灰750gを投入撹拌
後、容量30リットルのステンレス製反応容器に移し、
原料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は3
0℃、pHは11.3、導電率は3.3mS/cmであ
った。この原料スラリーに炭酸ガス濃度30容量%の空
気との混合ガスを66.7リットル/分の速度で導入し
た。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電
率は0.6mS/cmまで徐々に低下し、60分後、p
Hが7.3でスラリーはゲル化した。その時の温度は4
0℃であった。
【0032】このゲルの全量を60℃に加温した。2〜
3時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化した。24
時間後、このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄
し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折
を行なったところ、カルサイトのパターンに一致し、B
ET法にて比表面積を測定したところ、158m2/g
の値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結
果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合し
た、2次粒子径が0.2〜0.8μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0033】実施例11 エチレングリコール20kgに、−200meshに粉砕し
た工業用生石灰1kgを投入撹拌後、容量30リットル
のステンレス製反応容器に移し、原料スラリーを調整し
た。この時、スラリーの温度は28℃、pHは11.
4、導電率は3.5mS/cmであった。この原料スラ
リーに炭酸ガス濃度30容量%の空気との混合ガスを6
6.7リットル/分の速度で導入した。炭酸化過程では
pHはほぼ一定値を示したが、導電率は0.5mS/c
mまで徐々に低下し、64分後、pHが7.5でスラリ
ーはゲル化した。その時の温度は40℃であった。
【0034】このゲルの全量を60℃に加温した。2〜
3時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化した。24
時間後、このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄
し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折
を行なったところ、カルサイトのパターンに一致し、B
ET法にて比表面積を測定したところ、145m2/g
の値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結
果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合し
た、2次粒子径が0.1〜1.5μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0035】実施例12 エチレングリコール800kgに工業用消石灰を700
℃で3時間焼成して得られた生石灰30kgを投入撹拌
後、容量1.8m3のステンレス製反応容器に移し、原
料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は30
℃、pHは12.0、導電率は3.5mS/cmであっ
た。この原料スラリーに炭酸ガス濃度30容量%の空気
との混合ガスを2700リットル/分の速度で導入し
た。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電
率は1.0mS/cmまで徐々に低下し、55分後、p
Hが7.8でスラリーはゲル化した。その時の温度は4
5℃であった。
【0036】このゲルの全量を60℃に加温した。2〜
3時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化した。24
時間後、このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄
し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折
を行なったところ、カルサイトのパターンに一致し、B
ET法にて比表面積を測定したところ、133m2/g
の値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結
果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合し
た、2次粒子径が0.2〜0.8μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0037】実施例13 容量3リットルの筒型フラスコに、エチレングリコール
1.8kgとジエチレングリコール0.2kgを混合
後、工業用消石灰を700℃で3時間焼成して得られた
生石灰75gを撹拌しながら投入し、原料スラリーを調
整した。この時、スラリーの温度は30℃、pHは1
1.7、導電率は2.1mS/cmであった。この原料
スラリーを撹拌しながら、純度100%の炭酸ガスを1
リットル/分の速度で導入した。炭酸化開始後58分
で、スラリーはゲル化し、この時のpHは7.3、導電
率は0.4mS/cm、温度は41℃であった。
【0038】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。4時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化
した。このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄し、
さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折を行
なったところ、カルサイトのピークのみが認められ、B
ET法にて比表面積を測定したところ、54m2/gの
値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、
径0.01〜0.04μm程度の1次粒子の集合体から
なる2次粒子径が0.4〜0.9μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムであった。
【0039】実施例14 エチレングリコール2kgを入れた容量3リットルの筒
型フラスコに、撹拌しながら工業用消石灰を200g投
入し、原料スラリーを調整した。この時、スラリーの温
度は30℃、pHは12.0、導電率は3.0mS/c
mであった。この原料スラリーを撹拌しながら、純度1
00%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。
炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電率は
徐々に低下した。68分後、pHは10.4のままスラ
リーはゲル化した。
【0040】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。2〜3時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリ
ー化した。24時間後、このスラリーを濾過して、メタ
ノールで洗浄し、さらに110℃で乾燥して得られた粉
末のX線回折を行なったところ、カルサイトの回折ピー
クのみが認められ、BET法にて比表面積を測定したと
ころ、127m2/gの値が得られた。また透過型電子
顕微鏡で観察した結果、径0.01μm程度の1次粒子
が放射状に集合した、2次粒子径が0.5〜1.5μm
の球状ないし亜球状の結晶質炭酸カルシウムが確認され
た。
【0041】実施例15 エチレングリコール2kgを入れた容量3リットルの筒
型フラスコに、撹拌しながら工業用消石灰を50g投入
し、原料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度
は30℃、pHは12.6、導電率は3.0mS/cm
であった。この原料スラリーを撹拌しながら、純度10
0%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。炭
酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電率は徐
々に低下した。35分後、pHが7.8、導電率が0.
8mS/cmまで低下し、スラリーはゾル状態に変化し
た。その時の温度は37℃であった。
【0042】このゾルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。1時間でゾルはほぼもとのスラリー状態にも
どった。このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄
し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折
を行なったところ、僅かにバテライトのピークが見られ
た他は、カルサイトのピークであり、BET法にて比表
面積を測定したところ、278m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.5〜1.0μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0043】実施例16 エチレングリコール1.8kgに水0.2kgを混合し
た容量3リットルの筒型フラスコに、工業用消石灰を5
00℃で3時間焼成して得られた生石灰75gを撹拌し
ながら投入し、原料スラリーを調整した。この時、スラ
リーの温度は35℃、pHは12.2、導電率は4.0
mS/cmであった。この原料スラリーを撹拌しなが
ら、純度100%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で
導入した。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示した
が、導電率は徐々に低下した。50分後、pHが7.
0、導電率が0.6mS/cmまで低下し、スラリーは
ゲル化した。この時の温度は46℃であった。
【0044】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、37m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、菱面体状の
カルサイト粒子が放射連晶状に集合した、2次粒子径が
0.6〜1.0μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0045】実施例17 エチレングリコール1.8kgに水0.2kgを混合し
た容量3リットルの筒型フラスコに、試薬金属カルシウ
ム25gと、試薬消石灰を500℃で3時間焼成して得
られた生石灰40gを撹拌しながら投入し、原料スラリ
ーを調整した。この時、スラリーの温度は38℃、pH
は12.5、導電率は3.9mS/cmであった。この
原料スラリーを撹拌しながら、純度100%の炭酸ガス
を1リットル/分の速度で導入した。炭酸化過程ではp
Hはほぼ一定値を示したが、導電率は徐々に低下した。
50分後、pHが7.2、導電率が0.6mS/cmま
で低下し、スラリーはゲル化した。その時の温度は48
℃であった。
【0046】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、110m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.5〜0.9μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0047】実施例18 エチレングリコール1.8kgを入れた容量3リットル
の筒型フラスコに、塩化カルシウム150gを撹拌しな
がら投入し懸濁させた。次に炭酸アンモニウム98gを
水200gに溶解し、塩化カルシウムのエチレングリコ
ールスラリー中に500rpmで撹拌しながら徐々に添
加し、炭酸化を行なった。炭酸アンモニウム添加終了2
分後、スラリーはゲル化した。
【0048】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。熟成後に生成した炭酸カルシウムのX線回折
ピークは、カルサイトのものに一致し、BET法にて比
表面積を測定したところ、98m2/gの値が得られ
た。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、径0.01
μm程度の1次粒子が放射状に集合した、2次粒子径が
0.7〜1.7μmの球状ないし亜球状の結晶質炭酸カ
ルシウムが確認された。
【0049】実施例19 エチレングリコール4kgに工業用消石灰1kgを投入
撹拌後、容量30リットルのステンレス製反応容器に移
し、さらにエチレングリコールを15kgを加えて、原
料スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は30
℃、pHは12.4、導電率は3.3mS/cmであっ
た。この原料スラリーに炭酸ガス濃度30容量%の空気
との混合ガスを66.7リットル/分の速度で導入し
た。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示したが、導電
率は0.8mS/cmまで徐々に低下し、40分後、p
Hが8.0でスラリーはゲル化した。その時の温度は3
8℃であった。
【0050】このゲルの全量を60℃に加温した。2〜
3時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化した。24
時間後、このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄
し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折
を行なったところ、カルサイトのパターンに一致し、B
ET法にて比表面積を測定したところ、163m2/g
の値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結
果、径0.01μm程度の1次粒子が放射状に集合し
た、2次粒子径が0.3〜1.0μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムが確認された。
【0051】実施例20 容量3リットルの筒型フラスコに、エチレングリコール
1.8kgとメタノール0.2kgを混合後、工業用消
石灰200gを撹拌しながら投入し、原料スラリーを調
整した。この時、スラリーの温度は30℃、pHは1
2.0、導電率は3.0mS/cmであった。この原料
スラリーを撹拌しながら、純度100%の炭酸ガスを1
リットル/分の速度で導入した。炭酸化開始後54分
で、スラリーはゲル化し、この時pHは10.8であっ
た。
【0052】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。2時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化
した。このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄し、
さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折を行
なったところ、カルサイトのピークのみが認められ、B
ET法にて比表面積を測定したところ、54m2/gの
値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、
径0.01〜0.04μm程度の1次粒子の集合体から
なる径が0.5〜1.0μmの球状ないし亜球状の結晶
質炭酸カルシウムであった。
【0053】実施例21 容量3リットルの筒型フラスコに、エチレングリコール
1.8kgとジエチレングリコール0.2kgを混合
後、工業用消石灰200gを撹拌しながら投入し、原料
スラリーを調整した。この時、スラリーの温度は30
℃、pHは12.0、導電率は2.0mS/cmであっ
た。この原料スラリーを撹拌しながら、純度100%の
炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入した。炭酸化開
始後51分で、スラリーはゲル化し、この時のpHは1
1.0、導電率は2.0mS/cm、温度は51℃であ
った。
【0054】このゲルの熟成を実施例1と同様の条件で
行なった。4時間でゲルはほぼ崩壊し、再びスラリー化
した。このスラリーを濾過して、メタノールで洗浄し、
さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回折を行
なったところ、カルサイトのピークのみが認められ、B
ET法にて比表面積を測定したところ、44m2/gの
値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察した結果、
径0.01〜0.04μm程度の1次粒子の集合体から
なる2次粒子径が0.7〜1.0μmの球状ないし亜球
状の結晶質炭酸カルシウムであった。
【0055】比較例1 容量3リットルの筒型フラスコに、エチレングリコール
1kgと水1kgを混合後、工業用消石灰200gを撹
拌しながら投入し、原料スラリーを調整した。この時、
スラリーの温度は24.5℃、pHは12.0、導電率
は5.6mS/cmであった。この原料スラリーを撹拌
しながら、純度100%の炭酸ガスを1リットル/分の
速度で導入した。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値を示
したが、導電率は徐々に低下した。70分後、pHが
7.2、導電率は0.2mS/cmまで低下したが、特
にスラリーの性状に変化は観察されなかった。またその
時の温度は44℃であった。
【0056】このスラリーを濾過して、メタノールで洗
浄し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回
折を行なったところ、回折パターンはカルサイトに一致
したが、BET法にて比表面積を測定したところ、18
2/gの値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察
した結果、径0.02〜0.2μmのカルサイトが凝集
した柱状の炭酸カルシウムであった。
【0057】比較例2 エチレングリコール1.4kgに水0.6kgを混合し
た容量3リットルの筒型フラスコに、工業用消石灰20
0gを撹拌しながら投入し、原料スラリーを調整した。
この時、スラリーの温度は20℃、pHは13.0、導
電率は4.4mS/cmであった。この原料スラリーを
撹拌しながら、純度100%の炭酸ガスを1リットル/
分の速度で導入した。炭酸化過程ではpHはほぼ一定値
を示したが、導電率は徐々に低下した。70分後、pH
が7.2、導電率は1.2mS/cmまで低下したが、
特にスラリーの性状に変化は観察されなかった。またそ
の時の温度は43℃であった。
【0058】このスラリーを濾過して、メタノールで洗
浄し、さらに110℃で乾燥して得られた粉末のX線回
折を行なったところ、カルサイトの回折パターンに一致
したが、BET法にて比表面積を測定したところ、8m
2/gの値が得られた。また透過型電子顕微鏡で観察し
た結果、長径1.0〜2.5μmの紡錘状の炭酸カルシ
ウムであった。
【0059】比較例3 ジエチレングリコール2kgを入れた容量3リットルの
筒型フラスコに、工業用消石灰100gを撹拌しながら
投入し、原料スラリーを調整した。この時、スラリーの
温度は30℃、pHは13.5、導電率は0.0mS/
cmであった。この原料スラリーを撹拌しながら、純度
100%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し
た。しかしながら、3時間炭酸ガスを導入しても温度、
pH等の変化は見られず、ゲル化も認められなかった。
このスラリーを濾過して、110℃で乾燥した固形分の
X線回折を行なったところ、水酸化カルシウムの回折パ
ターンを示した。
【0060】比較例4 プロピレングリコール2kgを入れた容量3リットルの
筒型フラスコに、工業用消石灰100gを撹拌しながら
投入し、原料スラリーを調整した。この時、スラリーの
温度は30℃、pHは13.0、導電率は0.1mS/
cmであった。この原料スラリーを撹拌しながら、純度
100%の炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し
た。しかしながら、3時間炭酸ガスを導入しても温度、
pH等の変化は見られず、ゲル化も認められなかった。
このスラリーを濾過して、110℃で乾燥した固形分の
X線回折を行なったところ、水酸化カルシウムの回折パ
ターンを示した。
【0061】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明は以下の効果を奏するものである。
【0062】本発明の結晶質炭酸カルシウムは、従来の
方法で得ていたものとは異なり、エチレングリコール分
散体で得られることから、ポリエステルに添加するに際
しては乾燥・粉砕の工程を必要とせず、乾燥時の凝集に
よる粗大粒子や過粉砕による微細粒子の混入の心配が全
くない。また粒子の形態は球状を主体とし、その粒子径
は0.1〜2.0μmと目的の粒子径に極めてよく合致
している。さらにはカルサイトの結晶構造をとっている
ことから、製造工程あるいは製品中において極めて安定
性に優れている。特に原料として酸化カルシウムを使用
し製造した際には、当該分散体はエチレングリコールと
炭酸カルシウムのみから構成され他の成分を含有しない
ため、乾燥することなくポリエステル等に使用した際、
ポリマーに悪影響を及ぼすことがない。更に当該分散体
から炭酸カルシウムを高濃度であるいは乾燥粉として取
り出した後のエチレングリコールの再利用においては、
水分等の不純分の増加がないことが必須の条件となり、
原料として酸化カルシウムを使用することの効果は顕著
である。
【0063】本発明の結晶質炭酸カルシウムは、ポリエ
ステルフィルムや繊維の摩擦係数を改善し、滑性を向上
させるための添加剤として極めて優れた特徴を有してい
る。更に、エチレングリコール分散体から取り出し、乾
燥して得られる結晶質炭酸カルシウムは、上記用途のみ
ならず、各種の顔料、充填剤、触媒担体、機能性粉体と
しても有望で実用上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した炭酸カルシウムの粒子構造
を示す倍率20,000倍の透過型電子顕微鏡写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅場 誠志 神奈川県横須賀市津久井840

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム酸化物、カルシウム水酸化
    物、カルシウムハロゲン化物から選択されるカルシウム
    化合物あるいは金属カルシウムの少なくとも1種を、エ
    チレングリコールを80重量%以上含有する媒体系内で
    炭酸化反応させ、熟成を経て製造した結晶質炭酸カルシ
    ウムのエチレングリコール分散体。
  2. 【請求項2】 2次粒子径が0.1〜2.0μmの範囲
    にあり、比表面積がBET法で20〜300m2/gの
    範囲にある請求項1に記載の結晶質炭酸カルシウムのエ
    チレングリコール分散体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の分散体から製造
    した結晶質炭酸カルシウム。
JP17694892A 1991-07-04 1992-07-03 結晶質炭酸カルシウムのエチレングリコール分散体および結晶質炭酸カルシウム Pending JPH05201724A (ja)

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