JPH0519765A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JPH0519765A
JPH0519765A JP3196165A JP19616591A JPH0519765A JP H0519765 A JPH0519765 A JP H0519765A JP 3196165 A JP3196165 A JP 3196165A JP 19616591 A JP19616591 A JP 19616591A JP H0519765 A JPH0519765 A JP H0519765A
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JP
Japan
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tuning
pitch
performance
music
temperament
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JP3196165A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Morokuma
浩志 諸隈
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Publication date
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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 音楽の進行に合わせてリアルタイムに楽器の
調律を変える電子楽器を提供する。 【構成】 鍵盤3から入力されるコード進行に応答し
て、CPU1は入力コード進行を調性分析し、調とコー
ド機能の進行を抽出する。更にCPU1は調性分析結果
から伴奏を形成して演奏し、調の進行から楽器の調律を
適時変更する。演奏される伴奏の音高は各時点の調律に
よって調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電子楽器に関し、特に
演奏中に調律を変更可能な電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、ほとんどの電子楽器の調律は12
等分平均律(twelve equal temper
ament)と呼ばれる音律に固定されている。これは
残念なことであり、演奏者に平均律以外の音律で弾くの
が好ましい音楽のよさを味わう機会を失わせている。
【0003】音律とはオクターブの分割法のことであ
り、オクターブをどのように分割してC〜Bまでの12
の音階音(あるいはそれ以上または以下の数の音階音)
の高さを定めるかということである。
【0004】音楽の歴史をひもとくと、過去に様々な音
律が生まれ、使用されていた。例えばピタゴラス音階
(pythagorean scale)と呼ばれる音
律(調律系)では、完全5度の関係にある音の振動数比
(周波数比)をすべて2:3とする。したがって、Cの
音を基準し、その振動比を1:1とすれば、5度上のG
の音の振動比はC音に対し3/2となり、更にGより5
度上のDの音の振動比は3/2×3/2=9/4であ
り、以下、同様にしてAは27/8、Eは81/16、
Bは243/32、F♯は729/64、C♯は218
7/128となる。逆にCより5度下のFの音の振動比
は2/3、更に5度下のB♭の振動比は4/9となり、
以下同様にしてE♭は8/27、A♭は16/81とな
る。1オクターブの振動比1:2の関係を使って、以上
の音をオクターブ内に入れると、Cは1/1、C♯は2
187/2048、Dは9/8、E♭は32/27、E
は81/64、Fは4/3、F♯は729/512、G
は3/2、G♯は6561/4096、A♭は128/
81、Aは27/16、B♭は16/9、Bは243/
128、オクターブ上のCは2/1となる。
【0005】ピタゴラス音階では完全5度の関係にある
音は同時に鳴らしてもきれいに聞こえるが、近代和声に
特徴的な3度(長3度や長6度)の関係はよくない。純
正律(just intonation)と呼ばれる音
律は、C、E、Gのような3度重なりの和音を鳴らした
場合に、音響的に純粋な響きが生まれるように工夫され
ている。純正律の振動比を示すと、Cが1:1、D♭が
16/15、Dが9/8、E♭が6/5、Eが5/4、
Fが4/3、F♯が45/32、Gが3/2、A♭が8
/5、Aが5/3、B♭が9/5、Bが15/8、その
上のCが2/1である。
【0006】純正律は転調がなければすぐれた音律であ
る。極めて美しい響きを与えるからである。しかし転調
が行われると、その主音に対する短3度上の音の振動
比、完全5度上の音の振動比は上に示した主音をCとし
たときの長3度上の振動比5/4、短3度上の振動比6
/5、完全5度上の振動比3/2をもはや保つことはで
きず、響きが大きく変化する。西洋の調性・和声音楽の
歴史の初期の段階では転調はほとんど近親調に限られて
いた。純正調における転調の欠点を近親調の範囲内で解
消するため、不等分平均律、例えば中全音律(mean
tone temperament)と呼ばれる音律
が工夫された。中全音律によれば、シャープ(♯)が3
つまでの転調、フラット(♭)が2つまでの転調であれ
ば、比較的よい響きを保つことができる。
【0007】しかし、その後、遠隔調への転調を含む音
楽、更にはありとあらゆる転調を含む音楽が作曲され、
演奏され、人々に好まれるようになっていく。ここで広
く使用されるようになったのが12等分平均律である
(1850年ごろから)。12等分平均律ではオクター
ブ内の12音の高さを12等分して定める。即ち、
【数1】 を半音として一律に定義する。これは、ほぼ、1.05
946の値をもつ。12等分平均律によれば、どの調で
弾いても和音の響きは変わらない。いずれの響きも等し
くにごっている。純粋な響きを与えるための単純な整数
比の振動比を12等分平均律はもっていないからであ
る。12等分平均律ではCを除くすべての音の振動比は
無理数である。換言すると、12等分平均律は、一方で
美しい響きを要求する音楽因子と他方で変化(転調)を
要求する音楽因子との間の1つの妥協点である。今日、
12等分平均律は全盛をほこっている。
【0008】以上のような様々な音律と歴史的に使用さ
れてきた楽器であるアコースティック楽器の音楽発生メ
カニズムないし調律とを比べてみると興味深いことがわ
かる。ピアノの場合、調律は鍵盤のすべての鍵、正確に
は各鍵のハンマーが叩く弦(ピアノ線)の各々に対して
行う。調律作業は弦間のうなりや共鳴が生じないように
するためダンパーフェルト、ゴム等を用いて他の弦の振
動を禁止しておき1つ弦だけが振動するような状況をつ
くりながら進められる。この種の調律作業は熟練を要す
るので一般に専門の調律師によって行われている。他の
楽器と合奏する際、他の楽器はピアノの調律に合わせる
ことになる。
【0009】管楽器の場合、基本的な調律は製造段階で
行われる。例えば、笛の調律(音律)は基本的に穴をあ
ける位置で決まる。演奏者は演奏に先立ち、楽器の管長
を調整する部分(例えばトランペットではチューニング
スライド)を操作して最終的な調律を行う。もっとも連
続的に演奏管長を変えられる管楽器、例えば、スライド
トロンボーンでは各種の音律で演奏することは理論的に
は可能である。しかし、通常のトロンボーン奏者はビブ
ラート奏法やポルタメント奏法はよく行うにしても結局
のところ1種類の音律(12等分平均律)に基づく演奏
しかできない(スライドの演奏位置を音律ごとに分けて
記憶し、操作するのは大変なことである)。
【0010】バイオイリン系の弦楽器では演奏者は演奏
に先立ち、各弦間の調律を行う。音律(音階音間の音程
の構造)の制御は演奏者にまかされる。とはいっても、
1種類の音階を正しく弾くだけでも容易ではない。弦を
押さえる位置を正しく憶え、耳で確かめながら正しく操
作しなければならないからである。時折、プロの弦楽団
により、12等分平均律以外の音律、例えば、純正調に
よる演奏が行われことがある。一般の奏者には至難のこ
とである。ギターのようにフレットのついた弦楽器では
音律は基本的に製造段階できまる。つまり、固定フレッ
トの間隔が個々の弦の音律を定める。演奏者は演奏に先
立ち各弦間の調律を行う。
【0011】以上のようにアコースティック楽器では、
音律は、(a)製造段階で決まるか(b)長時間の調律
作業によって決まるか(c)演奏者のコントロールにま
かされるかである。当然ながら(a)、(b)に属する
楽器は演奏前に音律を再調整できない。(c)の場合、
演奏者は長年の練習を経て1つの音律(今日では12等
分の平均律)による奏法を習得するのがせいいっぱいで
ある。したがってアコースティックの楽器に対する演奏
前の調律には音律の変更や再調整は含まれない。常に、
楽器固有の音律の基準点をピアノのような他の楽器の基
準音高、あるいは基準弦の基準音高といったような絶対
ピッチ軸上のどこかに合うように動かすだけである。
【0012】現代の12等分平均律の隆盛を反映してか
ほとんどの電子楽器は12等分平均律を採用している。
しかし、冒頭で述べたようにこれでは表現できる音楽に
限界がある。ごく限られた電子楽器ではあるが、いくつ
かの音律を用意し、演奏者が事前に好ましい音律を、演
奏しようとする音楽の音律として選択できるようにした
ものが知られている。これにより演奏者は各種の音律に
よる音楽演奏を楽しむ機会が与えられた。しかしなが
ら、演奏中に調律(音律)を自動的に変更ないし再調整
する能力をもった電子楽器はいまだ存在しない。まして
や、この発明のように音楽の進行に合わせて楽器の調律
状態を自動的に変化させていく能力を電子楽器にもたせ
るという発想は従来技術にまったくみられない。
【0013】音楽の長い歴史を通じて、音楽とそれを支
えてきたアコースティック楽器とはきってもきれない関
係にある。アコースティック楽器で表現できないような
音楽は無意味であるといわざるを得なかった。音律に関
していえば、アコースティック楽器における音律の変更
の困難性は、音楽作品の途中で音律ないし調律は変更し
ないという制約を音楽に課す。
【0014】純正律を例にとると、純正律には12種類
(C♯とD♭といったものを区別すればそれ以上)の純
正律がある。即ち、主音(振動比が1:1の音)をCと
する純正律(C調の純正律)主音がC♯の純正律等々で
ある。C調の純正律に調律された楽器は演奏の途中で他
の調の純正律に変更することはできない。したがって、
音楽もこの制限を受ける。もし楽器がC調のところでは
C調の純正律で演奏でき、調がDに変化すればD調の純
正律で演奏できるとしたら音楽は美しい響きを保ち続け
ることができ、音楽の世界の長年の夢が達成されること
になる。この発明はこのような長年の課題を電子楽器上
で実現しようとするものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】したがってこの発明の
目的は、演奏される音楽の進行に合わせて楽器の調律状
態を自動的に切り替えることができる電子楽器を提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用】この発明の一態様
によれば、音楽演奏のために演奏者によって操作される
演奏操作手段と、上記演奏操作手段による音楽演奏中
に、その音楽の進行に従って楽器の調律状態を自動的に
変更する調律変更手段と、上記調律変更手段から与えら
れる調律状態に従って演奏中の音楽の音高を調整する音
高調整手段と、を有することを特徴とする電子楽器が提
供される。このような構成を採用することにより、表現
できる音楽の可能性を広めることができる。
【0017】一構成例において、上記演奏操作手段はコ
ード進行を入力する演奏操作子(例えば、伴奏鍵盤、
弦、フレット)で構成される。また、入力コード進行を
分析して調性の進行を抽出する調性進行抽出手段を設け
る。調律変更手段は抽出された調性の進行を音楽の進行
として、その進行に合う調律状態を適時、楽器に再設定
する。この発明のもう1つの態様によれば、楽曲を自動
演奏する自動演奏手段と、上記楽曲の各区間における調
律条件を規定する調律規定手段と、上記楽曲の自動演奏
中に、上記調律規定手段からの調律条件に従って自動演
奏される楽曲の音高を調整する音高調整手段と、を有す
ることを特徴とする電子楽器が提供される。
【0018】この構成は電子楽器の自動演奏装置として
機能する。この構成も音楽の表現可能性を広め、使用者
に様々な音楽演奏を楽しむ機会を与える。なお、このよ
うな自動演奏機能と演奏者自身による演奏とを組み合わ
せ、演奏者自身による演奏(例えば自動演奏される曲に
加えるメロディ演奏)も、自動演奏される曲と同様に調
律を変えて表現することができる。
【0019】一構成例において、自動演奏手段は、楽曲
の演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、記憶さ
れた演奏データを読んで楽曲の演奏を再生する演奏再生
手段とで構成される。また調律規定手段は上記楽曲の各
区間の調を表わす調データを記憶する調進行記憶手段
と、記憶された調データを読んで上記楽曲の各区間の調
律条件を決定する調律進行決定手段とで構成することが
できる。
【0020】演奏データ記憶手段と調律記憶手段は電子
楽器の外部記憶装置(例えば外部ROMパック)上に実
現することができる。調進行記憶手段の代りに楽曲の各
区間の調律を表わす調律データを記憶する調律進行記憶
手段を使用することもできる。調律を変更する条件は必
ずしも調には限られない。例えば、楽節や楽章によって
調律を定めてもよい。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を示
す。図1〜図10にこの発明の電子鍵盤楽器に適用した
第1実施例を示す。この電子鍵盤楽器は複数の音律シス
テムを有しており、演奏者は演奏に先立って複数の音律
システムから所望の音律を選択して電子鍵盤楽器の調律
を設定することができる。更にこの電子鍵盤楽器はコー
ド進行入力に基づく自動伴奏機能を備えている。自動伴
奏モードにおいて伴奏鍵盤からコード進行が入力される
と、電子鍵盤楽器は入力コード進行を調性分析して調と
コード機能の進行を抽出する。電子鍵盤楽器は調性の分
析結果に従って伴奏を形成し、演奏する。更に、電子鍵
盤楽器は抽出した調の進行に合わせて楽器の調律状態を
変更、更新していく。そして、自動演奏される伴奏の各
音の音高をそれぞれの時点での調律状態に従って調整す
る。同様の音高調整はメロディ鍵盤から入力されるメロ
ディの音高に対しても行われる。このようにして、音楽
の進行に合わせて楽器の調律を変化させることができ、
変化する調律によって微調整した音高で音楽を演奏する
ことができる。
【0022】図1に示すように、この電子鍵盤楽器は基
本構成要素として、制御装置であるCPU1、各種プロ
グラムと固定データを記憶するROM2、楽器パネル上
に配置される鍵盤/SW3、ワーキングメモリとしての
RAM4、CPU1の制御の下に電子的に楽音を発生す
る音源5、音源出力から音響信号を再生するための音響
システム6(アンプ、スピーカ等)を含む。また、図2
に示すように、楽器パネルには、鍵盤31、複数の音律
選択スイッチ32、自動伴奏モードスイッチ33、伴奏
スタイル選択スイッチ34、自動伴奏スタート/ストッ
プスイッチ35、その他楽器の制御に必要なスイッチ、
ボリウム類が設けられている。
【0023】音律選択スイッチ32は、複数の音律、例
えば(12等分)平均律、ベルクマイスターの第1の3
技法と呼ばれる音律(well tempered s
caleの一種である)、純正律を選択するためのスイ
ッチである。これに関連して、ROM2には図4に示す
ような音律テーブル21が置かれる。音律テーブル21
は各音律のデータを記憶する。音律テーブルは各音名
(実際には12の音名を用いているが図4では簡単にす
るため、C、D、E、F、G、Aの音名のみ示してい
る)に対するセント表現の音高データで構成される。図
示の3つの音律のうち平均律だけが調に依存しない音律
システムであり、ベルクマイスター第1の3技法と純正
律は調に依存する音律システムである。このため、音律
テーブル21にはこれらの音律においてはそのデータを
C調で書いている。即ち、C調の純正律とC調のベルク
マイスター第1の3技法(ベルク)音律がテーブル21
に書かれている。
【0024】この実施例によれば、他の調の純正律やベ
ルク音律はテーブル21に記憶された特定調(C調)の
音律データから導き出すことができる。これにより音律
テーブル21の記憶容量を節約している。音律選択スイ
ッチ32のいずれかにより音律が特定されると、電子鍵
盤楽器は図5に示すように動作し、指定音律が調に依存
しないのであればその指定音律によって楽器の調律状態
を設定し(5−1、5−2)、指定音律が調に依存する
のであればC調の指定音律によって楽器の調律状態を設
定する(5−1、5−3)。実際にはこの調律設定処理
は、CPU1が音律指定入力に対応する音律テーブル2
1上の音律データの写しをRAM4の調律メモリにとる
ことで行われる(テーブル21には調に依存する音律を
C調で書いてあるので)。
【0025】調律設定後、鍵盤31を弾けば、設定され
た調律で音楽が演奏される。自動伴奏モードでは鍵盤3
1は右側の鍵域がメロディを演奏するためのメロディ鍵
盤として使用され、左側の鍵域がコード進行を入力する
ための伴奏鍵盤として使用される。
【0026】上述したように、この電子鍵盤楽器は入力
コード進行を調性分析して各コードの調とコード機能を
判別する調・機能判別機能(調性分析機能)を備えてい
る。この調性分析機能により、例えば図3に示すよう
に、コード押鍵によりCM→IM→C7→FMのコード
進行が入力されると、調として最初の2つのコードはC
調、次の2つのコードはF調と判定され、コード機能と
して最初のCMはIM、2番目のFMはIVM、3番目
のC7はV7、4番目のFMはIMと判定される。この
電子鍵盤楽器ではこのような調性分析機能をROM2に
置かれる調・機能判定プログラム、プログラムで参照さ
れるコード進行音楽知識データベース(ROM2内)、
及びプログラムの実行主体であるCPU1によって実現
している。
【0027】以下説明するように、入力コード進行の調
性分析結果は自動演奏される伴奏の形成と楽器の調律状
態のリアルタイム制御に利用される。自動伴奏モードに
おいて、伴奏鍵盤からコードを指定する押鍵操作が行わ
れると、CPU1はこれに応答して図6に示す処理を行
う。まず、押鍵情報から新たに指定されたコード(新コ
ード)のルートとタイプを周知の仕方で判別し(6−
1)、次に、新コードまでの入力コード進行を分析して
新コードの調とコード機能とを判別する(6−2)。続
いて、判定したコード機能に合う伴奏パターンを選択す
る(6−3)。ここに、ROM2には伴奏スタイル別、
コード機能別に伴奏パターンを記憶する伴奏メモリが置
かれている。したがって、CPU1は選択されている伴
奏スタイルと今回の判別コード機能との組合わせよって
指定される伴奏パターンを伴奏メモリのなかからロケー
トすることによりこの伴奏パターン選択処理6−3を行
う。このようにして選択された伴奏パターンは、後述す
る伴奏パターンの解読を含む伴奏処理(図9)において
判別調のパターンに移調される。これにより、各コード
の区間においてその調とコード機能に合った伴奏が演奏
されるようにしている。
【0028】伴奏パターンの選択に続いて、CPU1は
指定音律が調に依存する音律かどうかを調べる(6−
4)。調に依存しない音律であれば、楽器の調律状態を
変更する必要はなしとしてそのままコード入力処理を終
える。しかし、指定音律が調に依存する音律(例えば純
正律)であれば、この発明に従い楽器の調律状態を判定
調の音律に合わせるべく変更する(6−5)。このよう
にすることにより、本電子楽器は音楽の進行(この場
合、コード進行から抽出した調の進行)に合わせてその
調律状態を自動的に変更、更新する機能を備えることに
なる。
【0029】調律更新処理6−5の内容を図8に示すテ
ーブル11を参照して説明する。このテーブル11のC
調純正律の欄に示す音律データはROM2(上述した音
律テーブル21)に記憶されているものである。ただ
し、C♯(主音Cに対し増1度)のデータ70.7(単
位はセント)とG♯(主音Cに対し増5度)のデータ7
72.6はC調の純正津による鍵盤演奏では使用されな
い。1オクターブを12番とする鍵盤の構造上、C♯と
D♭(主音に対し短2度)との区別、G♯とA♭(主音
に対し短6度)との区別ができないからである。この1
2音から成るC調の純正律データからD調の純正律デー
タを得ることができる。D調の純正律データをテーブル
11のD調純正律の欄に示す。このD調の純正律を構成
する各音名の音高データを主音Dからの音程で表現する
とテーブル11の主音Dからの音程の欄に示す音程デー
タが得られる。これらの音程データはC調の純正律デー
タを音名Dについて展開したものに相当する。したがっ
て、D調の純正律データはC調の純正律データから次の
ようにして得ることができる。 (a)D調純正律における主音Dの音高データとしてC
調純正律の音名Dの音高データを使用する。 (b)主音Dより上の音名(E♭〜B)の音高データ
は、これらの音名の主音Dに対するスケール度数に相当
するスケール度数を主音Cに対してもつC調純正律上の
音名の音高データを取り出し、その音高データをD調純
正律の音名D(主音D)の音高データに加える。 (c)主音Dより下の音名の音高データは、(B)の方
法で得られる音高データから1オクターブ1200セン
トを引いて求める。 他の調の純正律データも内蔵のC調純正律データから同
様にして生成できる。また、同様の方法で、調に依存す
る他の音律システム(例えばベルグ音律システム)にお
ける所望の調の音律データを記憶される特定の調の音律
データから生成することができる。
【0030】ステップ6−5では以上の方法で判定調の
音律データを生成し、結果をRAM4の調律メモリに設
定することにより、楽器の調律状態を更新している。ス
テップ6−2で実行される調・機能判定プログラムの概
要を図7にフローチャートで示す。図6からわかるよう
にこのプログラムは伴奏鍵盤から新たにコードが入力さ
れたときに実行される。調・機能判定プログラムは最初
に先行調(新コード入力前の調)が確定しているかどう
かを調べる(7−1)。確定していれば、新コードが同
調を維持するかどうかを検査し(7−2)、維持するな
らば(7−3)、判定結果としてレジスタKEYに先行
調をセットし、レジスタFに先行調で評価したコードの
機能をセットしてリターンする(7−4)。同調維持検
査が不成功のときは(7−3)転調の可能性を調べる
(7−5)。転調を検出したら(7−6)、KEYに転
調後の調、Fに転調後の調で評価した新コードの機能を
セットしてリターンする(7−7)。転調を検出できな
かったとき、あるいは先行調がきまっていないときは
(7−1)、新コードまでの入力コードパターンが調の
確立を示唆するかどうかを調べる(7−8)。調の確立
を検出したら(7−9)、KEYに確立した調、Fに確
立した調で評価した新コードの機能をセットしてリター
ンする(7−10)。調の確立を検出できなかったとき
は調を不確定とし、KEYに新コードのルートをセッ
ト、Fに新コードのタイプをセットしてリターンする
(7−11)。
【0031】図9に自動伴奏モードの下で周期的に実行
される伴奏処理ルーチンの概要をフローチャートで示
す。選択伴奏パターン(図6のステップ6−3で選択さ
れた現在のコードの機能に適した伴奏パターン)から音
高データ(例えばC2のようにオクターブと音名とから
成る)を読み出し(9−1)その音高データの発音タイ
ミングであれば(9−2)、判定調で音高データを移調
する(9−3)これにより、現在のコード機能と調に適
した伴奏音高データが得られる。残る問題はこの伴奏音
高データを楽器の調律状態に従って解読して実際の伴奏
音高を表わすデータを得ることである。そこで、この発
明に従い、伴奏処理ルーチンはステップ9−4を実行
し、現在の調律(すなわち、ステップ6−5で生成、更
新した音律データ)に従って音高データを調整する。こ
れは、伴奏パターンメモリからの音高データに含まれ
る、音名データ(ピッチクラスデータ)をRAM4内の
現調律メモリで変換することにより達成される。例えば
音名がAで現在の調律がD調の純正律ならば、音名Aの
音高データとして905.9(セント)が得られる。こ
れにオクターブ値の1200倍を加えれば、実際の伴奏
音高を表わすデータとなる。データを16ビットで表現
すれば、セントまでの精度が数オクターブの音域で十分
得られる。最後に伴奏処理ルーチンは現調律で調整した
伴奏音高データを音源に送って音源の発音処理を行う
(9−5)。現調律による音高調整は自動演奏される伴
奏だけでなく演奏者から入力されるメロディに対しても
行われる。
【0032】すなわち、図10に示すように、メロディ
鍵盤から押鍵があるとその押鍵の音高データ(押鍵によ
って発生し、CPU1に読み取られる押鍵電気信号に含
まれる情報)を現調律に従って調整(解読)し、実際の
メロディ音高を表わすデータを得、これによって音源5
を発音処理する(10−1、10−2)。このようにし
て、第1実施例の電子鍵盤楽器は自動演奏される伴奏の
進行(伴奏の調の進行)に合わせて楽器の調律状態を変
え、伴奏音高とメロディ音高をそれぞれの演奏時点にお
ける調律状態に従って調整することができる。なお、伴
奏の自動演奏は伴奏鍵盤からコード進行をひと通り入力
した後に行えるようにしてもよい。
【0033】次にこの発明の第2実施例を説明する。第
2実施例は図11〜図18に示される。図11に示すよ
うに、この第2実施例では楽曲の演奏データとともに楽
曲の音律進行データとスケール進行データを記憶する外
部ROMパック7を使用する。外部ROMパック7は使
用時に電子鍵盤楽器の外部ROMパック読取装置8に装
着され、その情報が読み取られ、CPU10に渡され
る。動作において、電子鍵盤楽器は外部ROMパック7
の演奏データを再生し、楽音として鳴らして楽曲の自動
演奏を行う。その際、電子鍵盤楽器は音律進行データに
従って楽曲の各演奏区間における楽器の調律状態を適
時、設定、更新し、それによって楽曲の演奏音高を調整
する。あわせて電子鍵盤楽器はスケール進行データから
各演奏時点におけるスケールを選び出し、LEDナビゲ
ータ40(図15)のようなスケール表示装置に表示
し、各演奏時点で使用されるスケールを演奏者に知らせ
る。これをたよりに演奏者は適時、メロディ鍵盤から自
動演奏される楽曲に合うメロディを演奏入力することが
できる。演奏者によって演奏されるメロディの音高も音
律進行データによる調律に従って調整される。
【0034】外部ROMパック7のメモリフォーマット
を図12に示す。図示のように、外部ROMパック7は
ヘッダHと各曲の演奏データメモリS1、S2……とス
ケール名/構成音変換テーブルSCTと音律名/音律デ
ータ変換テーブルINTから成る。ヘッダHにはパック
に収録された曲目数、各曲の演奏データメモリの開始ア
ドレス、スケール名/構成音変換テーブルSCTと音律
名/音律データ変換テーブルINTの開始アドレス等の
目次情報が記憶される。各曲の演奏データメモリSには
曲の演奏データとともにその曲の進行に合うスケール進
行(スケール名の進行)と音律進行(音律名の進行)が
記憶される。スケール名/構成音変換テーブルSCTは
このスケール進行に書かれたスケール名をスケール構成
音に変換するためのものである。音律名/音律データ変
換テーブルINTは音律進行に書かれた音律名を音律デ
ータ(音名ごとにその音律に従う音高データのセット)
に変換するためのものである。
【0035】各曲の演奏データメモリSのフォーマット
を図10に例示する。図示のように1曲分の演奏データ
メモリSは曲のヘッダSHと複数の演奏トラックTr
1、Tr2……とスケール進行トラックS−Trと音律
進行トラックINT−Trとから成る。曲のヘッダSH
には曲のテンポ(演奏速度)、トラック数、各トラック
の開始アドレスの情報が記憶される。個々の演奏トラッ
クTr1、Tr2……には個々の楽器(音色)の演奏デ
ータが記憶される。演奏データのフォーマットは例え
ば、イベントツウイベント(event−to−eve
nt)式である。例えば、ノートAの発音、次にノート
Cの発音、次にノートBとノートCの同時消音といった
ような演奏部分は、ノートAの発音イベントデータ(ノ
ートナンバー、イニシャルベロシティ等)、次のイベン
ト(即ちノートCの発音)までの時間データ、ノートC
の発音イベントデータ、次のイベント(即ちノートCと
ノートAの消音イベント)までの時間データ、ノートC
とAの消音イベントデータ(各ノートナンバーと各リリ
ースベロシティ等)を連続する記憶場所に記憶すること
で表現される。スケール進行トラックS−Trには曲の
スケール名の進行が記憶される。フォーマットは演奏ト
ラックと同時にイベントツウイベント方式である。音律
進行トラックINT−Trには音律名の進行が記憶され
る。フォーマットは同様にイベントツウイベント方式で
ある。
【0036】図14に音律進行トラックINT−Trの
データ例を示す。この場合、楽曲の最初の16小節の音
律がC調純正律、次の8小節がD調純正律、次にG調純
正律が続き、以下、同様に楽曲の進行に合わせた音律の
進行が続く。楽曲の音律進行は楽曲の調性進行の視点か
ら決めるのが1つの有力な方法である。しかしながら、
これには限られない。例えば、純正律のような美しい響
きをもつ音律の長所を最大限引き出すために、音楽のコ
ード進行における各コードの構成音に合わせて音律を決
めコード区間ごとにそのような音律を割り当てるように
することができる。これにより、ハーモニーの響きの美
しさを可能なかぎり保つ音楽を提供することができる。
あるいは、調性の視点に代え(あるいは調性ととも
に)、その他の音楽上の文脈のまとまり(例えば楽節、
楽章)の視点から曲の音律進行を定めるようにしてもよ
い。音楽の文脈が大きく変化する箇所では、例えば、平
均律から純正調と言ったように音律システムの種類を変
えることも可能である。さらに、様々な音楽の表現可能
性をさぐるためにいままで知られていないような音律を
使用することができる。音律進行トラックINT−Tr
の代りに調進行トラックを使用する場合は、音律名/音
律データ変換テーブルINTをなしとし、代りに各曲中
の調名を音律に変換する音律テーブルを外部ROMパッ
ク7にもたせる。また第1実施例のように内部ROM2
0に音律テーブルが用意されており、それを使用できる
のであれば外部ROMパック7には不要である。
【0037】上述したようなフォーマットの外部ROM
パック7を使用する電子鍵盤楽器には、パック10内の
曲目を選択するソングセレクト機能、選択した曲を自動
演奏(再生)する自動演奏機能、曲のスケール進行を読
んで表示するスケール表示機能及び曲の音律進行を読ん
で楽器の調律状態を適時更新し、それによって各演奏の
音高を調整するリアルタイム調律機能が含まれる。曲目
の選択は楽器パネル上に設けた曲目選択スイッチ37を
介して行われる(図15参照)。曲目選択スイッチの入
力に対してCPU10は外部ROMパック7からその曲
目の演奏データをRAM4に取り込む(なお、ヘッダと
スケール名/構成音テーブルと音律名/音律データ変換
テーブルのデータは外部ROMパック7を装着するとC
PU10により自動的にRAM4に取り込まれるように
なっている)。続いて、再生スイッチ38が押されると
CPU10はその曲目の演奏データを解読して再生す
る。再生に並行してCPU10はスケール進行データを
解読し、スケール名が変更される都度、LEDスケール
ナビゲータ40に新たなスケールの表示命令を出す。更
に、再生に並行してCPU10は音律進行データを解読
し、音律名が変更される都度、楽器の調律状態を更新
し、それによって各演奏の音高を調整する。停止スイッ
チ39の操作により楽曲の自動演奏は停止する。自動演
奏中に再生スイッチ38を押したときは曲の初めに戻っ
て再生が繰り返えされる。パネルディスプレイ41には
選択曲のナンバーと音律名が表示される。なお、個々の
演奏トラックのオン/オフ機能を設けて、好みの演奏ト
ラックのみによる自動演奏を楽しむことができるように
してもよい。
【0038】音律進行トラック再生ルーチンを図16に
示す。このルーチンは楽曲の自動演奏モード下で周期的
に実行される。時刻がイベント時刻になり(16−
1)、それが調律変更のタイミングであれば(16−
2)変更に係る音律名を変換テーブルを介して音律デー
タに変換し、結果を調律メモリにセットする(16−
3)。続いて次のイベントタイムまでのタイムデータを
音律進行トラックから読み込み(16−4)、それをテ
ンポで正規化して(16−5)リターンする。イベント
時刻に達してなければ(16−1)、タイムデータ(正
規化されている)をデクリメントして次イベントまでの
残り時間を求める。タイムデータ=0で次イベント時刻
が到来する(16−1)。そこでルーチンは音律進行テ
ーブルからそのイベントデータを読み、それが音律名な
ら再び16−3以下を実行し、そうでなければ(音律進
行トラック終了イベントなら)、再生を終了する。
【0039】図17に個々の演奏トラックの再生ルーチ
ンの概要を示す。このルーチンも自動演奏モード下で周
期的に実行される(上述の音律進行トラック再生ルーチ
ンはこれよりゆっくりした周期、例えば小節の周期で実
行するとよい)。演奏トラック再生処理は図17の記載
から明らかであり、大部分は周知技術であるので、ここ
では要点のみ説明する。演奏トラックの再生中に発音イ
ベントの時刻が到来すると、演奏トラック再生ルーチン
は17−1に示す調律処理を実行して、発音イベントデ
ータに含まれる音高データを調整し、調整した音高で音
源を発音処理する(17−2)。図18に示すように、
音律処理17−1では発音イベントデータに含まれるノ
ートナンバー(オクターブと音名)を現調律メモリにあ
るデータで解読して現調律に合う実音高データを生成す
る。
【0040】他イベント処理17−3には音高の変調処
理(ビブラート処理、ピッチベンド処理、ポルタメント
処理など)、音量の変調処理(トレモロ処理、振幅エン
ベロープの変調処理)音色の変調処理(フィルタ等によ
るスペクトル変調処理)などを含み得る。ビブラートの
ような音高変調は音階音の調律音高を中心として行われ
る(通常、発音開始時の音高は音階音となる)。これに
関連し、演奏トラックの音高データは音階音成分と音階
音からのずれ(ピッチベンド量)を示す成分とに分けて
表現するとよい。このようにして、楽曲の自動演奏が行
われ、その各音は夫々の時点での楽器調律状態に従って
調整される。同様の音高調整が演奏者から入力される付
加パートの各音に対しても行われる。これは既に第1実
施例で説明した図10に示すフローによって達成され
る。
【0041】第2実施例のその他の利点と変形例を以下
に付記する。 (A)楽曲の自動演奏のみに用いるアプリケーションで
は、音律名進行トラックや音律名/音律データ変換テー
ブルを外部ROMパックから削除し、演奏データトラッ
クに演奏の各時点での調律をおりこみずみの音高データ
で音階音の音名あるいは実音高を表現してもよい。もっ
とも、この方法だとかえって記憶容量が増えるので望ま
しいわけではない。例えば、1オクターブ内の12の音
名(音階音名)の区別は4ビットで表現できるが、各音
名の音高をセントまでの精度で表現しようとすれば、1
1ビットが必要である。したがって1音階音につき7ビ
ットが余分に必要となる。 (B)1オクターブに12の鍵しかもたない鍵盤からみ
かけ上12以上の音名を入力できるように変形できる。
その結果、例えばG#の黒鍵があるときには主音から増
5度の音名を指定する鍵として別のあるときには主音か
ら短6度の音名を指定する鍵として機能する。これは、
外部ROMパックの曲の演奏データメモリ内に、曲の各
区間において鍵盤からの各鍵名の意味、即ち各鍵名が指
定する音名をしるした情報を加えることで実現できる。
1つの好ましい実現法として、スケール進行トラックS
−Trに対するスケール名/構成音変換テーブルSCT
にそのような情報を盛り込むことができる。つまりSC
Tにスケール名に対する変換情報としてそのスケールの
構成音の音名と各音名を指定できる鍵盤の鍵名を書き込
んでおくわけである。動作の際、CPU10は鍵盤から
の入力鍵名を、スケール進行トラックからの現スケール
名とSCTにしるされた現スケール名における音名/鍵
名対応表とを用いて、音名に変換する。その後、音名を
その時点の調律状態に従って解読して実音高を求める。
このような構成例においては、曲の演奏データトラック
Tr1、Tr2……にはオクターブに付き12以上の音
名のセットから選んだ音名が書き込まれる。この技術は
1オクターブ内に12の音名指定操作子しかもたないす
べての電子楽器に適用できる。みかけ上、指定可能な音
名の種類を増やすことにより、各音律による最も好まし
い音楽表現を実現することができる。12鍵/オクター
ブの鍵盤楽器で表現できる音楽の限界がこれによって打
破されることになる。
【0042】
【その他の変形例】以上でこの発明のいくつかの実施例
と変形例の説明を終えるがその他種々の変形が容易であ
る。例を挙げると、 (A)この発明は電子鍵盤楽器以外の電子楽器に適用で
きる。例えば、電子ギターや電子管楽器等に適用でき
る。 (B)弦・フレット操作位置検出方式の電子ギターには
ほとんど変形を必要とせずに適用できる。 (C)弦振動数(弦ピッチ)検出方式の電子ギターの場
合、演奏に先立って物理的な調律状態を調べておくのが
望ましい。すなわち、通常の弦操作(ピッチベンドをか
けていない弦操作)を行って弦の状態を調べ、各弦の各
フレット位置での通常操作による弦ピッチを測定し、そ
の結果から、弦ピッチ/音名変換テーブルを作成する。
演奏の際、弦ピッチを検出したら、電子ギターは、弦ピ
ッチ/音名テーブルを参照して検出弦ピッチを音名(音
階音)とピッチベンド成分とに分ける。音名については
この発明による調律処理を施し、結果にピッチベンド値
を加えて実音高データを得る。 (D)電子リード楽器の場合、押えられた操作穴(操作
スイッチ)の組合せを運指表で変換して音名を求める。
歌口(マウスピース)からの信号でピッチベンド値を定
める。以下は(C)の場合と同様である。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明に
よれば、音楽の進行に合わせて楽器の調律状態を適時、
自動的に変える能力をもった電子楽器を提供することが
できる。したがって、電子楽器で表現できる音楽の世界
を広げることができる。電子音楽やコンピュータ音楽の
作曲家によって、このような電子楽器は今日まで音楽を
制約してきた調律固定の観念を打破するものとして存在
し、新しい音楽の地平線が開ける。また、電子楽器の使
用者にはリアルタイム調律制御機能による所望の音楽の
演奏を楽しむことができる。例えば、純正律の音楽のよ
さである美しいハーモニーの響きを極限まで追及した音
楽演奏を使用者に提供することができる。また、この発
明のもう1つの特徴によれば、今日まで12鍵/オクタ
ーブの構造をもつ鍵盤楽器を制限してきた音楽表現の限
界(構造に基因して増5度と短6度を区別して表現でき
ないような限界)を打破することも可能である。すなわ
ち、例えば24鍵/オクターブを機能上(virtua
lに)有する電子鍵盤楽器を提供することができる。こ
れは同様の制限をもつ他の電子楽器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る電子鍵盤楽器のブ
ロック図である。
【図2】図1の楽器のパネルの配置図である。
【図3】電子鍵盤楽器の調性分析機能による分析例を示
す図である。
【図4】電子鍵盤楽器に内蔵される音律テーブルを示す
図である。
【図5】音律指定入力に対する電子鍵盤楽器の応答を示
すフローチャートである。
【図6】コード入力処理ルーチンのフローチャートであ
る。
【図7】調・機能判定プログラムの概要を示すフローチ
ャートである。
【図8】C調純正律からD調純正律を得る手法を説明す
る図である。
【図9】伴奏処理ルーチンの概要を示すフローチャート
である。
【図10】メロディ処理ルーチンの概要を示すフローチ
ャートである。
【図11】この発明の第2実施例に係る電子鍵盤楽器の
ブロック図である。
【図12】第2実施例で使用される外部ROMパックの
メモリフォーマットを示す図である。
【図13】曲の演奏データメモリのフォーマットを示す
図である。
【図14】音律進行トラックのフォーマットを示す図で
ある。
【図15】第2実施例の楽器のパネル配置図である。
【図16】音律進行トラック再生ルーチンのフローチャ
ートである。
【図17】演奏トラック再生ルーチンのフローチャート
である。
【図18】調律処理の内容を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 CPU 2 ROM 3 鍵盤/スイッチ 10 CPU 20 ROM 30 鍵盤/スイッチ/表示 7 外部ROMパック 21 音律テーブル INT 音律名/音律データ変換テーブル INT−Tr 音律進行トラック

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音楽演奏のために演奏者によって操作さ
    れる演奏操作手段と、 上記演奏操作手段による音楽演奏中に、その音楽の進行
    に従って楽器の調律状態を自動的に変更する調律変更手
    段と、 上記調律変更手段から与えられる調律状態に従って演奏
    中の音楽の音高を調整する音高調整手段と、 を有することを特徴とする電子楽器。
  2. 【請求項2】 音楽演奏のために演奏者によって操作さ
    れ、音高情報を含む操作電気信号を発生する演奏操作手
    段と、この演奏操作手段からの操作電気信号に含まれる
    音高情報を楽器の調律状態に従って解読して実際に演奏
    される音楽の音高を表わす実音高信号を発生する実音高
    信号発生手段と、を有する電子楽器において、 上記演奏操作手段による音楽演奏中に、その音楽の進行
    に合わせて上記調律状態を変更する調律変更手段を設
    け、 上記実音高信号発生手段がこの調律変更手段によって変
    更された調律状態に従って上記実音高信号を調整するこ
    と、 を特徴とする電子楽器。
  3. 【請求項3】 コード進行を入力するために演奏者によ
    り操作される演奏操作手段と、 上記演奏操作手段から入力されたコード進行を分析して
    調性の進行を抽出する調性進行抽出手段と、 抽出された調性の進行に従って伴奏を形成し、演奏する
    伴奏形成・演奏手段と、 抽出された調性の進行に従って楽器の調律状態を自動的
    に変更する調律変更手段と、 演奏される伴奏の音高を上記調律変更手段による楽器の
    調律状態に従って調整する音高調整手段と、 を有することを特徴とする電子楽器。
  4. 【請求項4】 楽曲を自動演奏する自動演奏手段と、 上記楽曲の各区間における調律条件を規定する調律規定
    手段と、 上記楽曲の自動演奏中に、上記調律規定手段からの調律
    条件に従って自動演奏される楽曲の音高を調整する音高
    調整手段と、 を有することを特徴とする電子楽器。
  5. 【請求項5】 楽曲の演奏データを記憶する演奏データ
    記憶手段と、 上記楽曲の各区間の調を表わす調データを記憶する調進
    行記憶手段と、 上記調進行記憶手段から調データを読んで上記楽曲の各
    区間の調律条件を決定する調律進行決定手段と、 上記演奏データ記憶手段から上記楽曲の演奏データを読
    んで楽曲の演奏を再生する演奏再生手段と、 上記演奏再生手段により再生される演奏の音高を上記調
    律進行決定手段からの調律条件に従って調整する音高調
    整手段と、 を有することを特徴とする電子楽器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102148026A (zh) * 2010-02-04 2011-08-10 卡西欧计算机株式会社 电子乐器
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