JPH0517631A - 長繊維強化ポリオレフイン樹脂組成物 - Google Patents

長繊維強化ポリオレフイン樹脂組成物

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JPH0517631A
JPH0517631A JP12286991A JP12286991A JPH0517631A JP H0517631 A JPH0517631 A JP H0517631A JP 12286991 A JP12286991 A JP 12286991A JP 12286991 A JP12286991 A JP 12286991A JP H0517631 A JPH0517631 A JP H0517631A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 メルフローレートが30g/10min 以上で
あるポリオレフィン樹脂に、繊維長が5mm以上であって
実質的に互いに平行に並んだ強化用長繊維を20wt%以
上含み、かつ、該強化用長繊維の方向と直交するペレッ
トの断面におけるπ・(5d)2 (d:強化用長繊維の
平均繊維径)の面積を有する単位円内に含まれる強化繊
維の本数nが次式を満たすことを特徴とするペレット状
長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。 【数1】 【効果】 成形時の繊維の開繊性が良好で、比較的練り
の弱い条件で成形することにより、成形品中ての繊維の
分散が均一でかつ折れが少なく、引張強度などの機械的
強度や剛性に優れる一方、アイゾット衝撃強度や落錘衝
撃強度などの衝撃強度にも優れ、しかも強度の異方性や
反り変形がほとんどない成形品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は長繊維強化ポリオレフィ
ン樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、成形品中にお
ける強化用長繊維の分散が均一で優れた落錘衝撃強度を
示し、また強度の異方性や反り変形がきわめて少ないペ
レット状長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術と問題点】ポリオレフィン樹脂などの熱可
塑性樹脂を比較的短い(一般には3mm以下)繊維で強化
した繊維強化熱可塑性樹脂は、優れた引張強度などの機
械的強度や剛性を有するため各種工業部品に好適に使用
されている。ところが、このような繊維強化熱可塑性樹
脂は、通常、樹脂と強化繊維を溶融混練することによっ
て製造されるため、組成物製造の時点で繊維がさらに短
く折れてしまうという問題がある。したがって、繊維が
短いためにアイゾット衝撃強度や落錘衝撃強度などの衝
撃強度に劣るという重大な欠点を有するうえ、成形時の
繊維の配向により成形品の形状によっては強度の異方性
や反り変形を生じたりするという問題もかかえており、
その用途は限定されているのが現状である。
【0003】このような繊維強化熱可塑性樹脂の衝撃強
度を改良したものとして、ポリオレフィン樹脂に繊維長
が5〜50mmのガラス長繊維を5〜60wt%ドライブレ
ンド、もしくはドライブレンド後溶融混練して得られる
加熱圧縮成形用組成物が提案されている(特開昭60−
86139)。この組成物は、機械的強度や剛性に優
れ、なおかつアイゾット衝撃強度にも優れた非常に有用
な材料である。しかしながら、この組成物について検討
したところ以下の問題のあることが判明した。すなわ
ち、この組成物がドライブレンド品である場合には、成
形時のガラス繊維の開繊性が不充分で成形品中のガラス
繊維の均一分散性に劣るということ、また、組成物が溶
融混練品である場合には、その溶融混練時にガラス繊維
がかなりの程度で折れてしまっているということであ
る。このため、いずれの製造方法においても、落錘衝撃
強度や強度の異方性、また反り変形性についてはほとん
ど改良がみられないということがわかった。しかも、こ
の組成物は、成形方法が熱圧縮成形に限定されており、
溶融混練後ペレット化すれば各種成形法に応用可能であ
るが、繊維の折れはさらに顕著になることが判明した。
【0004】また、このほか繊維強化熱可塑性樹脂の衝
撃強度を改良したものとして、ガラス繊維やカーボン繊
維などの強化繊維のロービングを用い、これに樹脂を含
浸させたのち引抜き成形し、所望の長さに切断すること
により製造されるペレット状長繊維強化熱可塑性樹脂組
成物が知られている。この組成物は、ペレット状である
にもかかわらずきわめて長い、すなわち、ペレット長に
等しい長さの強化繊維を有するうえ、ペレット状である
ために、スクリュー可塑化機構を有する一般の射出成形
機や押出成形機などの成形機に供して成形することが可
能である。たとえば、特定粘度の熱可塑性樹脂に30vo
l %(ポリオレフィン樹脂の場合、およそ50〜55wt
%に相当)以上の平行に整列した強化繊維を含む、長さ
2〜100mmのペレット状長繊維強化熱可塑性樹脂組成
物が提案されているが(特開昭63−37694)、こ
の組成物は、機械的強度や剛性に優れるほか、衝撃強度
もアイゾット衝撃強度ばかりでなく落錘衝撃強度にも優
れ、さらに強度の異方性も改良されたきわめて有用なも
のである。
【0005】しかしながら、以上のごときペレット状長
繊維強化熱可塑性樹脂は、次のような問題をかかえてい
る。すなわち、成形時の繊維の開繊性が不充分であり成
形品中で繊維が均一に分散しないということ、および、
ペレット中においては長く保持されている強化繊維も成
形時のスクリューによる可塑化の際には著しく折れてし
まうということである。このため、短い繊維で強化され
た樹脂組成物と比べて、機械的強度や剛性、およびアイ
ゾット衝撃強度などの衝撃強度は改良されるもののいま
だ満足しうるレベルとは言いがたく、落錘衝撃強度や繊
維の配向による強度の異方性、および反り変形性につい
ては改良効果に乏しい。
【0006】ペレット状長繊維強化熱可塑性樹脂を射出
成形する際の繊維の折れを防ぐ方法としては、径が6mm
以上のノズル、および溝深さが5mm以上で圧縮比が1.
8以下のスクリューを有する射出成形機を用い、スクリ
ュー回転数20〜50rpm 、射出速度0.2〜1.0m
/min の条件ににて成形を行う方法が提案されている
(特開平2−292008、特開平2−29200
9)。この方法によれば、成形時の繊維の折れを極力防
ぐことが可能であり、機械的強度、剛性、アイゾット衝
撃強度は向上する。しかしながら、この方法により得ら
れる成形品について検討したところ、繊維の折れを防い
だ結果として開繊性が犠牲となり、成形品中における繊
維の均一分散性が一段と悪化していることが判明した。
このため、小さなテストピースなどの成形では特に問題
は見られないものの、板状の成形品を成形した場合など
には落錘衝撃強度や強度の異方性、および反り変形性の
不満足なものしか得られず、この方法ではおのずと限界
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
成形時の繊維の開繊性が充分に良好で、優れた機械的強
度、剛性を有し、しかもアイゾット衝撃強度ばかりでな
く落錘衝撃強度などの衝撃強度にも優れ、かつ強度の異
方性や反り変形がほとんどない長繊維強化熱可塑性樹脂
組成物が各種工業材料として望まれていながらいまだ充
分に満足なものが得られていないのが実状である。した
がって、本発明の目的は、上述のごとく優れた特性を有
するペレット状長繊維強化熱可塑性樹脂組成物を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特にポリ
オレフィン樹脂の組成物につき鋭意研究の結果、メルト
フローレートが30g/10min 以上であるポリオレフ
ィン樹脂に、繊維長が5mm以上である強化繊維を20wt
%以上含み、かつ繊維に対する樹脂の特定の良好な含浸
性を有する組成物が、本発明の目的の達成に有効である
ことを見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、メルトフロートレー
トが30g/10min 以上であるポリオレフィン樹脂
に、繊維長が5mm以上であって実質的に互いに平行に並
んだ強化用長繊維を20wt%以上含み、かつ、該強化用
長繊維の方向と直交するペレットの断面におけるπ・
(5d)2 (d:強化用長繊維の平均繊維径)の面積を
有する単位円内に含まれる強化繊維の本数nが次式を満
たすことを特徴とするペレット状長繊維強化ポリオレフ
ィン樹脂組成物、を構成する。
【数2】
【0010】本発明において用いられるポリオレフィン
樹脂としては、低密度ポリエチレン、綿状低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン‐1、ポリペンテン‐1,ポリヘキセン‐1、ポリ
‐4‐メチルペンテン‐1などの重合体、またはエチレ
ン、プロピレン、ブテン‐1、ペンテン‐1、ヘキセン
‐1、4‐メチルペンテン‐1などから選択される複数
のオレフィンモノマーより得られる共重合体が挙げられ
る。なかでもポリプロピレン、またはプロピレンを主成
分とするプロピレンとエチレンもしくは他のオレフィン
との結晶性共重合体が好ましい。また、これらポリオレ
フィン樹脂を不飽和カルボン酸もしくはその無水物をグ
ラフト反応させた変性ポリオレフィン樹脂、あるいは、
ポリオレフィン樹脂とこの変性ポリオレフィン樹脂との
混合物であってもかまわない。
【0011】本発明におけるポリオレフィン樹脂は、2
30℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルフローレ
ート(MFR)(g/10min )が30以上、好ましく
は50以上であることが必要である。MFRが30未満
では、良好な含浸性を有する組成物が得にくく、良好な
含浸性が得られない場合、またかりに得られたとして
も、成形時の繊維の開繊性が劣るため成形品中の繊維の
分散が不均一となり、落錘衝撃強度や強度の異方性、お
よび反り変形は改良されない。
【0012】本発明において用いられる強度繊維として
は、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、チタン酸カ
リウム繊維、高分子繊維など、公知のものを幅広く例示
することができる。これらは、単独、または2種以上組
合せて用いられるが、なかでもガラス繊維が補強効果に
優れるため好適である。本発明における強化繊維の繊維
長は5mm以上、好ましくは8mm以上であることが必要で
ある。5mm未満では、アイゾット衝撃強度、落錘衝撃強
度などの衝撃強度や強度の異方性、および反り変形性の
改良効果に乏しいため避けるべきである。また、強化繊
維の含有量は20wt%以上であることが必要である。含
有量が20wt%未満では、引張強度などの機械的強度、
剛性、およびアイゾット衝撃強度や落錘衝撃強度などの
衝撃強度の改良効果に乏しいため避けるべきである。
【0013】本発明の組成物を製造する方法について
は、ロービングタイプの強化繊維にポリオレフィン樹脂
を含浸させたのち引抜成形し、次いで5mm以上の長さに
切断する方法が好ましい。ポリオレフィン樹脂を含浸さ
せる方法については、特に制限はなく、ロービングを樹
脂粉体流動床中に通したのち樹脂の融点以上に加熱する
方法(特公昭52−3985)、クロスヘッドダイを用
いてロービングに溶融ポリオレフィン樹脂を含浸させる
方法(特開昭62−60625、特開昭63−1320
36、特開昭63−264326、特開平1−2081
18)、ポリオレフィン樹脂繊維を用い、これと強化繊
維ロービングを同時に集束したのち樹脂の融点以上に加
熱する方法(特開昭61−118235)など、いずれ
であってもかまわない。
【0014】本発明者らは、ペレット中での強化繊維に
対する樹脂の含浸性が成形品中の繊維の均一分散性や落
錘衝撃強度と密接な関係があることを見出した。すなわ
ち、本発明の目的の達成のためには、ペレットが良好な
含浸性を有するものでなければならず、強化繊維の方向
と直交するペレットの断面におけるπ・(5d)
2 〔d:強化用長繊維の平均繊維径〕の面積を有する単
位円内に含まれる強化繊維の本数nが次式を満たすもの
でなければならない。
【数3】
【0015】本発明でいう良好な含浸性とは、ロービン
グを構成する繊維間のほとんどすべてに樹脂が入り込
み、繊維がモノフィラメントもしくはモノフィラメント
に近い状態で存在しており、ペレット中における繊維の
偏りが極少である状態をいう。上式はこの繊維の偏り程
度を規制したものであり、繊維の本数nが、その含有量
によって決まるある一定のレベル(式の右辺の値)を越
えて1箇所に凝集していてはならないことを示す。した
がって、部分的にはnが0であってもかまわないが、n
の最大値は式を満たすものでなければならない。式が満
たされないものであるとき、成形品中における繊維の分
散は不均一となり、落錘衝撃強度や強度の異方性、反り
変形性は改良されない。
【0016】良好な含浸性を達成するための手段として
は、ロービングを、樹脂粉体流動床通過中に金属バーな
どでしごき、樹脂粉体が付着しやすいようにモノフィラ
メントに近い状態に分散させる(特公昭52−398
5)、クロスヘッドダイ中に設けられた金属バーもしく
は障壁領域でロービングをしごき、溶融樹脂を強制的に
浸透させる(特開昭63−264326)、クロスヘッ
ドダイ中に設けられたロールによりロービングを押圧し
溶融樹脂を強制的に浸透させる(特開昭63−1320
36)、などの方法が挙げられる。
【0017】強化繊維の樹脂によるぬれ性が高い方が、
高い剛性を達成するためには望ましいとの開示もみられ
るが(特公昭63−37694)、ここでいうぬれ性と
は気泡の有無のみを表現したものであり、本発明でいう
ような含浸性や、またこの含浸性と成形品中での繊維の
均一分散性、および落錘衝撃強度との関連は何ら示唆さ
れていない。なお、本発明の組成物は、必要により酸化
防止剤や紫外線吸収剤の安定剤、結晶核剤、帯電防止
剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、顔料などを含むものであっ
てもよい。
【0018】本発明の組成物の成形は、スクリュー可塑
化機構を有する一般の各種成形機に供して行なうことが
できる。本発明の組成物はスクリューの練りが比較的弱
くても成形時の繊維の開繊性が良好であり、従って、む
しろ練りの弱い条件で成形する方が、繊維の折れをでき
るだけ防止する目的から望ましい。すなわち、圧縮比の
高いスクリューを用いることは避け、低スクリュー回転
数で成形するなどの配慮を行なうことが好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものではない。
【0020】(1)MFR JIS-K-7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件
で測定した。
【0021】(2)含浸性 単位円内の繊維の本数nの測定:組成物ペレットをラン
ダムに10個選び、それぞれについてペレットの長さ方
向と直角の方向に100〜200μの薄片を1枚切り出
し、光学顕微鏡により倍率200〜400倍でペレット
の断面を撮影した。繊維の偏りがあった場合には、最も
繊維が集中した部分について撮影した。撮影した写真か
らは、π・(5d)2 [d:強化繊維の平均繊維径]の
面積を有する単位円内に含まれる繊維の本数nを数え
た。繊維の断面が当該円周により分断されるものについ
ては、その繊維断面のうち円内に含まれる部分を目視に
より10分の1本の桁まで読み取った。 nmax :上記10個の測定値nの最大値(表1参照) 強化繊維含有量x:ペレットの2gをるつぼに入れて電
気炉中で焼き、残渣の強化繊維の量を測定して含有量
[wt%]を算出した。 含浸性の測定:nmax が次式を満たす場合には含浸性を
○、満たさない場合には×と判定し、式の計算値とあわ
せて同様に表1に示した。
【0022】
【数4】
【0023】(3)強化繊維均一分散性 成形品平板の表面を目視にて観察した。その典型的な表
面を図1a〜dに示した。図1のaのように開繊してい
ない繊維の束がみられないようなきわめて均一な分散で
ある場合には◎、図1のdのように開繊していない繊維
の束が多数みられるような不均一な分散である場合には
×、◎と×との中間は、◎に近い方を○(図1のb)、
×に近い方を△(図1のc)の2段階で判定した。
【0024】(4)成形後繊維長 成形品平板を電気炉中で2℃/min の昇温速度で600
℃まで加熱することによって繊維を焼ききり、残った繊
維を目視にて観察した。繊維の折れが少なく、長いまま
残った繊維が互いにからみあい、成形品の形がくずれず
にそのまま残っている場合には◎、繊維の折れが著し
く、成形品の形がくずれてしまっている場合には×、◎
と×との中間は、◎に近い方を○、×に近い方を△の2
段階で判定した。
【0025】(5)落錘衝撃強度 ASTM-D-3029 F法に準拠した。成形品より50mm×50
mm(厚さ3.0mm)の試験片を切り出し、一定高さで測
定を行った。打撃子は径12.7mmのもの、試験片支持
台は穴径38.1mmのものを使用し、試験片はクランプ
せずフリーとした。破壊の判定については、試験片にク
ラックが生じた時点を破壊とみなした。
【0026】(6)引張強度 JIS-K-7113に準拠した。成形した平板より、互いに直角
をなす2方向(0度方向、90度方向と表現)に沿って
150mm×10mm(厚さ3.0mm)の試験片を切り出
し、測定を行なった。このうち強度の高い方を、後記表
1および表2中0度方向として示した。
【0027】(7)ノッチ付アイゾット衝撃強度 JIS-K-7110に準拠した。成形した平板より、互いに直角
をなす2方向(0度方向、90度方向と表現)に沿って
JIS 2号A試験片を切り出し、測定を行なった。このう
ち強度の高い方を、後記表1および表2中0度方向とし
て示した。
【0028】(8)反り変形量 成形した平板は、成形後23℃、50%RHの雰囲気で7
2時間放置して状態調節を行なった。この平板を定盤上
に置き、一角をおもりで押さえた時に持ちあがる対角の
定盤からの高さを、位置をかえて測定し、その1枚につ
いて最大のものを反り変形量とした。
【0029】また、成分としては以下のものを用いた。 (イ)ポリプロピレン‐1 MFR0.5g/10min の粉末状プロピレン単独重合
体100重量部、1,3‐ビス(t‐ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン0.09重量部、2,6‐t‐
ブチル‐p‐クレゾール0.1重量部をヘンシェルミキ
サーにてあらかじめドライブレンドし、これをスクリュ
ー径45mm、L/D=30の2軸押出機により200℃
で溶融混練して得られたMFR50g/10min のプロ
ピレン単独重合体(後記表1および表2中、PP-1と略
記)
【0030】(ロ)ポリプロピレン‐2 1,3‐ビス(t‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼンの添加量を0.13重量部とした以外は(イ)と
同様にして得られた、MFR100g/10min のプロ
ピレン単独重合体(表1および表2中、PP-2と略記)。
【0031】(ハ)ポリプロピレン‐3 1,3‐ビス(t‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼンの添加量を0.05重量部とした以外は(イ)と
同様にして得られた、MFR20g/10minのプロピ
レン単独重合体(表1および表2中、PP-3と略記)。
【0032】(ニ)ガラス繊維 テックス番手2200g/km、平均繊維径16μのガラ
ス繊維ロービング。
【0033】(実施例1)MFR50g/10min のプ
ロピレン単独重合体(PP-1)とガラス繊維とをクロスヘ
ッドダイを有する単軸押出機を用いで引抜き成形を行
い、長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを製造し
た。そのクロスヘッドダイは、ガラス繊維ロービングを
しごき、繊維間に樹脂を強制的に浸透させるための金属
バーを設けた構造のものを使用した。繊維含有量は40
wt%、ペレット長は10mmとなるように調整した。得ら
れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットは、含浸性
をチェックするとともに射出成形機に供し、シリンダー
温度250℃、金型温度50℃、およびスクリュー回転
数30rpm にて、150mm×150mm×厚さ3.0mmの
平板を成形した。ゲートは3mmφのセンターゲートとし
た。この平板について、あるいはこの平板よりそれぞれ
所定の寸法に切り出した平板もしくは試験片について、
強化繊維均一分散性、成形後繊維長、落錘衝撃強度、引
張強度(0度、90度)、ノッチ付アイゾット衝撃強度
(0度、90度)、反り変形量の各評価を行なった。以
上の製造条件や成形条件、および評価結果を表1に示し
た。
【0034】(実施例2)MFR100g/10min の
プロピレン単独重合体(PP-2)を使用したほかは、実施
例1と同様にして長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレッ
トの製造、成形、および各種評価を行なった(表1参
照)。
【0035】(実施例3)ペレット長を7mmとしたほか
は、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィン樹
脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なった
(表1参照)。
【0036】(実施例4)ペレット長を20mmとしたほ
かは、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィン
樹脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なった
(表1参照)。
【0037】(実施例5)繊維含有量を20wt%とした
ほかは、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィ
ン樹脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なっ
た(表1参照)。
【0038】(実施例6)繊維含有量を60wt%とした
ほかは、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィ
ン樹脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なっ
た(表1参照)。以上、実施例1〜6より、本発明にか
かる組成物はいずれも、成形品中における繊維の分散が
均一で、かつ繊維の折れが少なく、落錘衝撃強度、引張
強度、アイゾット衝撃強度に優れ、しかも引張強度、ア
イゾット衝撃強度の異方性がほとんどみられず、また反
り変形がきわめて小さいことがわかる。
【0039】(比較例1)MFR20g/10min のプ
ロピレン単独重合体(PP-3)を使用したほかは、実施例
2と同様にして長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット
の製造、成形、および各種評価を行なった(表2参
照)。重合体PP-3のMFRが本発明の範囲外であるため
にペレットの含浸性が劣っており、これによって成形品
中の繊維の分散が不均一となり落錘衝撃強度は改良され
ず、引張強度、アイゾット衝撃強度の異方性や反り変形
も生じている。
【0040】(比較例2)ペレット長を3mmとしたほか
は、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィン樹
脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なった
(表2参照)。これは、ペレット長、つまり強化繊維の
繊維長が短すぎる場合の例であるが、成形品中における
繊維の分散は均一であるものの、落錘衝撃強度、引張強
度、アイゾット衝撃強度に劣っており、また反り変形も
生じている。
【0041】(比較例3)MFR50g/10min のプ
ロピレン単独重合体(PP-1)を、直接射出成形機に供し
た。成形条件や各種評価については実施例2と同様にし
て行なった(表2参照)。これは、強化繊維を含まない
ポリオレフィン樹脂の例であるが、落錘衝撃強度や引張
強度、およびアイゾット衝撃強度がまったく改良されて
いない。
【0042】(比較例4)繊維含有量を10wt%とした
ほかは、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオレフィ
ン樹脂ペレットの製造、成形、および各種評価を行なっ
た(表2参照)。成形品中における繊維の分散は均一で
あるものの、その含有量が少ないために落錘衝撃強度や
引張強度、およびアイゾット衝撃強度の改良が不充分で
ある。
【0043】(比較例5)ガラス繊維ロービングをしご
くための金属バーを有しない構造のクロスヘッドダイを
用いるほかは、実施例2と同様にして長繊維強化ポリオ
レフィン樹脂ペレットの製造、成形、および各種評価を
行なった(表2参照)。ペレットの含浸性が劣るため、
成形時の繊維の分散が不均一で落錘衝撃強度は改良され
ず、引張強度、アイゾット衝撃強度の異方性や反り変性
が生じる。
【0044】(比較例6)比較例5で得られた含浸性に
劣るペレットを使用し、成形品中における繊維の分散を
できるだけ均一にする目的でスクリュー回転数を50rp
m にあげて成形を行ったが、均一分散性は改善されなか
った(表2参照)。
【0045】(比較例7)比較例5で得られた含浸性に
劣るペレットを使用し、スクリュー回転数を200rpm
にあげて成形を行ったが、均一分散の達成が不満足なば
かりか繊維の折れが顕著になり、このため、落錘衝撃強
度、引張強度、アイゾット衝撃強度は低下し、また異方
性や反り変形も改良されなかった(表2参照)。
【0046】
【表1】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂
組成物は、ポリオレフィン樹脂のMFR、およびペレッ
ト中での強化繊維に対する樹脂の含浸性を特定化したこ
とによって、成形時の繊維の開繊性がきわめて良好とな
ったものである。また、強化繊維の繊維長と含有量の特
定化とあいまって、比較的練りの弱い条件で成形するこ
とにより、成形品中ての繊維の分散が均一でかつ折れが
少なく、引張強度などの機械的強度や剛性に優れる一
方、アイゾット衝撃強度や落錘衝撃強度などの衝撃強度
にも優れ、しかも強度の異方性や反り変形がほとんどな
い成形品を得ることが可能となった。したがって、本発
明の組成物は、種々の工業部品、殊に構造部品に好適に
使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形品平板の表面のガラス繊維の分散状態を示
した図である。
【符号の説明】 a ◎と判定するガラス繊維の分散がもっとも良好な成
形品の表面 b ○と判定するガラス繊維の分散が良好な成形品の表
面 c △と判定するガラス繊維の分散がやや悪い成形品の
表面 d ×と判定するガラス繊維の分散が悪い成形品の表面

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 メルフローレートが30g/10min 以
    上であるポリオレフィン樹脂に、繊維長が5mm以上であ
    って実質的に互いに平行に並んだ強化用長繊維を20wt
    %以上含み、かつ、該強化用長繊維の方向と直交するペ
    レットの断面におけるπ・(5d)2 (d:強化用長繊
    維の平均繊維径)の面積を有する単位円内に含まれる強
    化繊維の本数nが次式を満たすことを特徴とするペレッ
    ト状長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。 【数1】
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