JP5238938B2 - 長繊維強化複合樹脂組成物および成形品 - Google Patents

長繊維強化複合樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、長繊維強化複合樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、長繊維の分散がよく、外観に優れ、剛性や耐衝撃性などの機械的強度に優れた、長繊維強化複合樹脂組成物、および、これから得られる成形品に関する。
今日、様々な分野で樹脂製品に高い剛性が求められており、例えば、家電製品などの筐体、建材、自動車向け構造材などの用途では、物性バランスを取りながらより高い剛性を樹脂に付与する試みが多数なされている(特許文献1〜6)。その中の一つとして、樹脂にゴム成分とタルクを配合し、前者で耐衝撃性を、後者で剛性を付与する方法が知られている。この方法によれば、原料が比較的安価なため、製造される製品も安価であること、常温使用条件において延性破壊し得ること、平滑な成形品外観が得られること、等の利点がある。
しかしながら、通常、零下の低温使用条件において脆性破壊が起こること、ゴム成分の組成比が多量になることにより剛性などの物性バランスを取ることが困難であること、経時変化としてゴム成分や相溶化成分などが劣化したり分離したりすること、等の問題がある。
そこで、低温使用条件でも延性破壊し得るように改良するため、ゴム成分を更に大量に配合する試みが多数なされているが、ゴム成分はマトリクス樹脂に比べて高価であり製造される製品の価格も高価になってしまうこと、剛性などの物性バランスを補うため更に大量にフィラー成分などを加えることにより成形加工時の流動性が著しく低下すること、等の別の問題が引き起こされる。
特開昭51−136735号公報 特開昭58−111846号公報 特開昭58−129037号公報 特開昭61−187859号公報 特公昭60−3420号公報 特開平3−250040号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、長繊維の分散がよく、外観に優れ、剛性や耐衝撃性などの機械的強度に優れている、長繊維強化複合樹脂組成物、および、これから得られる成形品を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、プロピレン系樹脂、有機長繊維、タルクを含有して成り、引き抜き成形法で得られた長繊維強化複合樹脂組成物であって、プロピレン系樹脂100重量部に対する、有機長繊維の割合が10〜200重量部、タルクの割合が10〜200重量部であり、前記有機長繊維が表面に極性樹脂を付着させて成る有機長繊維であって極性樹脂の付着量が有機長に存し、本発明の第2の要旨は、上記の長繊維強化複合樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする長繊維強化複合樹脂成形品に存する。
オレフィン系樹脂、有機長繊維、タルクを含有する本発明の樹脂組性物は、有機長繊維が網目状に分散して補強していることと、有機長繊維とマトリクス樹脂との界面接着を弱くさせていることにより、従来公知の長繊維複合樹脂組性物では達成し得ない耐衝撃性などの機械的強度を得ることが出来る。
また、本発明の樹脂組成物を成形して成る成形品は、タルクを含有することにより、有機長繊維の複合により得られる耐衝撃性を低下させることなく剛性を付与することが出来る。これにより、種々の製品用途毎に求められる、耐衝撃性や剛性などの物性バランスをそれぞれ損なうことなく容易に設計することが出来るようになり、ひいては長繊維複合樹脂組成物が適用できる用途範囲を格段に広めることが出来る。
本発明で使用するオレフィン系樹脂としては、特に制限されず、各種のオレフィン系樹脂を使用することが出来る。例えば、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とした、プロピレン、1−ブテン等の他のα−オレフィン等の1種または2種以上との共重合体などのエチレン系樹脂;プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とした、エチレン、1−ブテン等の他のα−オレフィン等の1種または2種以上との共重合体などのプロピレン系樹脂;1−ブテンの単独重合体、1−ブテンを主成分とした、エチレン、プロピレン等の他のα−オレフィン等の1種または2種以上との共重合体などのブテン系樹脂などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂は、単独重合体であっても、共重合体でもよく、また、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。なお、上記の「主成分」とは、オレフィン系樹脂中の当該成分の含有量が通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上であるものを指す。
これらのうち、耐熱性に優れる点から、プロピレン系樹脂が好ましく、その具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂などが挙げられる。なお、オレフィン系樹脂は2種以上を併用してもよい。オレフィン系樹脂の重合様式は、特に限定されないが、気相法または溶液法が好ましい。
オレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定した値)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが0.05g/10分未満の場合は、成形加工性が低下し、得られる成形品の表面外観が不良になり易い傾向にあり、200g/10分を超える場合は、成形品の機械的強度と有機長繊維の分散が不良になり易い傾向にある。
本発明で使用する有機長繊維は、その表面に極性樹脂を付着させておくことが出来る。ここで、極性樹脂とは、非極性であるオレフィン系樹脂より極性の高い樹脂を指す。斯かる極性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂(エポキシ化合物を含む)、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド、ウレタン樹脂、これらの共重合体、変性体などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、飽和ポリエステル、ポリアミド、アクリル系樹脂、これらの共重合体、変性体などの熱可塑性樹脂も挙げられる。極性樹脂としては、特に、取扱・加工性や力学特性の観点から、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂またはウレタン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
すなわち、ジグリシジルエーテル化合物では、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類などが挙げられる。また、ポリグリシジルエーテル化合物では、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、アラビトールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。好ましくは、反応性の高いグリシジル基を有する脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物である。更に好ましくは、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、アルカンジオールジグリシジルエーテル類である。
ところで、本発明において、前記のオレフィン系樹脂としては、例えば、無水マレイン酸で変性された酸変性オレフィン系樹脂などは除くのが好ましい。また、後述する有機長繊維においても酸変性オレフィン系樹脂で表面処理されたものを除くのが好ましい。更に、有機長繊維に付着させる上記の極性樹脂としても酸変性オレフィン系樹脂は除くのが好ましい。斯かる条件を満足することにより、マトリクス樹脂であるオレフィン系樹脂と有機長繊維との界面強度を一層弱くすることが出来、引張破断伸びや耐衝撃性を一層高めることが出来る。
上記の酸変性オレフィン系樹脂としては、(A)オレフィンの単独重合体または2種以上のオレフィンの共重合体、例えば、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したもの、(B)ポリオレフィンの重合原料モノマーである1種または2種以上のオレフィンと1種または2種以上の不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合したもの、(C)上記(B)で得られたものに更に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したもの等が挙げられる。
有機長繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ケナフ、セルロース系繊維などが挙げられる。これらの有機長繊維は2種以上を併用してもよい。これらの中では、取扱・加工性や力学特性の観点から、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(融点260℃、ガラス転移温度67℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維(融点272℃、ガラス転移温度113℃)が好ましい。ポリエステル系繊維は、射出成形品中の分散が良く、繊維としての物性も高いため、良好な機械物性の射出成形品が得られる。
ところで、本発明の樹脂組成物を、射出成形によって成形する場合、オレフィン系樹脂の融点以上の温度で成形するため、有機長繊維としては射出成形の際に溶融しないものを使用するのが好ましい。すなわち、オレフィン系樹脂の融点は、通常70〜170℃、成形温度(成形機の出口温度とする)は通常150〜210℃の範囲から選択される。有機長繊維の融点は、成形温度より、通常10℃以上、好ましくは20℃以上高いことが好ましい。従って、有機長繊維の融点は通常200℃以上の範囲から選択される。
また、有機長繊維の繊維径が太すぎると成形品のアイゾット衝撃強度が低下する。一方、繊維径が細すぎても何ら問題はなく、ナノサイズの繊維まで使用可能と思われ、成形品の用途によっては良好な結果をもたらす。このように繊維径が広範に亘るため、有機長繊維の使用本数は一義的に規定できない。しかしながら、繊維の束の断面積で考えると、通常は、ペレットの繊維と略直行する方向の断面積中5〜60%程度を有機長繊維の断面積が占める程の本数が好ましい。有機長繊維の単糸繊度は、通常1〜20dtex、好ましくは2〜15dtexである。また、有機長繊維の総繊度は、通常150〜3,000dtex、好ましくは250〜2000dtexである。さらに、有機長繊維のフィラメント数は、通常10〜1,000フィラメント、好ましくは50〜500フィラメントである。
有機長繊維に極性樹脂を付着させる方法としては、(A)有機長繊維を製造する工程においてチーズ状に巻き取る前に、オレフィン系樹脂と相溶または反応しない、極性のある化合物を付与する方法、(B)有機長繊維を一旦巻取った後に、オレフィン系樹脂と相溶または反応しない、極性のある化合物を有機長繊維に含浸付与し熱処理する方法が挙げられる。
有機長繊維への極性樹脂の付着量は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜3.5重量%である。極性樹脂の付着量が0.01重量%未満の場合は、有機長繊維とマトリクス樹脂の界面接着を弱くさせる効果が得にくく、また、成形中に繊維同士が絡み合うため、有機長繊維の分散が悪くなり、その結果、外観品位が低下する。一方、極性樹脂の付着量が5重量%を超える場合は、有機長繊維が硬くなりすぎるため、加工性が低下し、有機長繊維との複合化が困難になる。
本発明の樹脂組性物においてペレット中の有機長繊維の長さは、ペレットの長さに相当する。オレフィン系樹脂より成るペレット中に含有された有機長繊維の平均繊維長は、通常4〜50mm、好ましくは4〜20mm、更に好ましくは4〜10mmである。有機長繊維の平均繊維長が4mm未満の場合は耐衝撃性の向上効果が十分に得られず、一方、平均繊維長が50mmを超える場合は成形が困難になる。
本発明で使用するタルクの平均粒径は、通常15μm以下、好ましくは12mμ以下、更に好ましくは10μm以下であり、その下限は通常0.5μmである。平均粒径が15μmを超える場合は製品の耐衝撃性が低下する傾向がある。また、平均粒径が0.5μmの場合は、タルク自体が高価となり、更に、組成物の流動性が著しく低下する。ここでいう平均粒径は液相沈降式光透過法で測定し、粒度累積分布曲線から読み取った累積量50重量%の粒径値である。なお、上記の様な平均粒径のタルクは、一般に乾式粉砕後に乾式分級して製造される。
タルクの比表面積は、通常1.5m/g以上、好ましくは2.0m/g以上、更に好ましくは3.0m/g以上であり、その上限は通常20m/gである。比表面積が1.5m/g未満の場合は、製品の耐衝撃性が不足する傾向がある。また、比表面積が20m/gを超える場合は、タルク自体が高価となり、しかも、組成物の流動性が低下する傾向にある。ここでいう比表面積は空気透過法により測定した値である。
本発明の樹脂組成物は、オレフィン系樹脂、有機長繊維、タルクを含有する。そして、オレフィン系樹脂100重量部に対する割合として、有機長繊維の割合は、10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部であり、タルクの割合は、10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部である。有機長繊維の割合が上記の範囲未満の場合は、補強効果が不十分となる傾向にあり、上記の範囲より多い場合は、成形が困難になり成形品外観も悪くなる傾向にある。一方、タルクの割合が上記の範囲より少ない場合は、所望の剛性を付与できない傾向にあり、上記の範囲より多い場合は、流動性が著しく低下し成形が困難になり成形品外観も悪くなる傾向にあり、また、比重が重くなる傾向にある。
本発明の樹脂組成物(ペレット)は、連続した有機長繊維をクロスヘッドダイを通して引きながら溶融樹脂で含浸する方法(引き抜き成形法)により得られる。例えば、オレフィン系樹脂に必要に応じて樹脂添加剤を加え、有機長繊維をクロスヘッドダイに通して引き抜きながら、オレフィン系樹脂を押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給し、有機長繊維にオレフィン系樹脂を含浸被覆させ、溶融含浸物を加熱し、冷却後、引き抜き方向と直角に切断して得られる。この方法によれば、有機長繊維の損傷を起こすことなく、得られるペレットの長さ方向に有機長繊維が同一長さで平行配列している樹脂組成物(ペレット)が得られる。
引き抜き成形法は、基本的には、連続した強化用繊維束を引き抜きながら樹脂を含浸する方法である。そして、その態様として、クロスヘッドの中に繊維束を通しながら押出機などからクロスヘッドに樹脂を供給して含浸する方法の他、樹脂のエマルジョン、サスペンジョン又は溶液を入れた含浸浴の中に繊維束を通して含浸する方法、樹脂の粉末を繊維束に吹きつけるか又は粉末を入れた槽の中に繊維束を通して繊維に樹脂粉末を付着させた後に樹脂を溶融して含浸する方法などが知られており、本発明では何れの態様も利用できる。特に好ましいのはクロスヘッド方法である。また、これらの引き抜き成形法における樹脂の含浸操作は1段で行うのが一般的であるが、2段以上に分けてもよく、更に、含浸方法を異にして行ってもよい。
なお、オレフィン系樹脂に必要に応じて他の熱可塑性樹脂やゴムの1種または2種以上を補助的に少量併用することも可能である。また、目的に応じ、所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤(染料や顔料)、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤などを更に配合することも可能である。
上記の含浸操作は、通常150〜300℃、好ましくは170〜260℃、更に好ましくは190〜230℃で行われる。また、上記の含浸物は上記の温度で加熱される。加熱温度が低すぎる場合は含浸が不十分になり、高すぎる場合はオレフィン系樹脂の分解が起こる。
溶融含浸物は、加熱反応後、押出されてストランドとなり、切断可能な温度まで冷却され、カッターで切断されてペレットとされる。ペレットの形状としては、円柱状、角柱状、板状、さいころ状などが挙げられる。このようにして得られたペレットでは、有機長繊維が実質的に同じ長さで且つ各繊維の方向が押し出された方向(すなわちペレットの長さ方向)に揃っている。また、上記のペレットは、種類や濃度の異なる2種類以上の有機長繊維を使用したもの、オレフィン系樹脂の混合物を使用したものでもよい。なお、本発明において、「ペレット」は、上記の狭義のペレットの他に、ストランド状、シート状、平板状なども含む広義の意味で使用される。
本発明の樹脂組成物から成るペレットの寸法は、有機長繊維の長さとなり、通常4〜50mm、好ましくは4〜20mm、更に好ましくは4〜10mmである。ペレット中の有機長繊維の長さが短すぎる場合は複合材料としての所望の機械的強度が得られず、一方、長すぎる場合はペレットの射出成形機などへの供給が困難となる。
上記の様にして得られたペレットは、単独で又は他の熱可塑性樹脂、好ましくはオレフィン系樹脂と同じタイプの樹脂で希釈し、射出成形などの原料として使用される。希釈する樹脂の種類および比率は、所望の成形品の物性値により定められる。本発明の樹脂組成物(ペレット)を使用し、射出成形により得られた成形品は、有機長繊維の射出成形時に折損が少なく、有機長繊維が均一に分散している。本発明の樹脂組成物から得られる成形品は、外観に優れ、剛性や耐衝撃性などの機械的強度に優れたものであって、車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに極めて有用である。
なお、本発明においては、前記のように、オレフィン系樹脂、有機長繊維、タルクを含有する樹脂組成物(ペレット)を製造した後に成形して成形品とする他に、オレフィン系樹脂と有機長繊維を含有する樹脂組成物(ペレットA)と、オレフィン系樹脂とタルクを含有する樹脂組成物(ペレットB)を製造した後にペレットAとBとを混合して成形してもよい。すなわち、成形品とした際に本発明の樹脂組成物が完成されていればよい。また、本発明の樹脂組成物(ペレット)は、前述の引き抜き成形法の他、有機長繊維の切断の心配がないため、必要成分の混練処理によって組成物化する方法を採用することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示すとおりである。
成分(a):ポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ノバテックBC10AHA」、メルトフローレート100g/10分(230℃、21.2N荷重)〕
成分(b):エポキシ樹脂としてポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を付着させた、PET長繊維〔帝人ファイバー(株)製「P903AL BHT1670T250」、平均繊維径24μm、エポキシ樹脂付着量=0.2重量%〕
成分(c):タルク〔日本タルク(株)製「K−1」、平均粒径7.4μm、比表面積7.0m/g〕
ガラス長繊維強化ポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製「ファンクスターLR23C」、ガラス含量30重量%〕(比較用材料として使用)
(1)最大曲げ応力および曲げ弾性率:
成形により得られた厚み4mm×幅10mm×長さ80mmのバーについて、JIS−K7171に準拠して下記条件で測定を行った。試験速度は2mm/min、支点間距離は64mmとした。
(2)アイゾット衝撃強度:
成形により得られた厚み4mm×幅12.7mm×長さ63.5mmのバーについて、JIS−K7110に準拠して下記条件で測定を行った。ノッチ加工の回転数は400rpm、ノッチ加工の送り速度は120mm/min、ハンマー容量は5.5J、測定温度は23℃と−40℃とした。
(3)引張破断強度および引張破断伸び:
成形により得られた厚み3.2mm×幅10mmのダンベル型バーについて、JIS−K7161に準拠して試験速度50mm/minで測定を行った。
(4)外観:
成形により得られた100mm×100mm×厚さ3mmの平板の表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:繊維分散が良好で、開繊していない繊維の束が殆ど無く、平板表面も平滑である。
△:開繊していない繊維の束が少し見られるか又は平板表面に少し凸凹がある。
×:開繊していない繊維の束が多数見られ、平板表面が荒れている。
実施例1〜4及び比較例1〜6:
ポリプロピレンとPET長繊維成分とタルクとを表1に示す配合で使用し、引き抜き成形を行い、長繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを製造した。製造装置としては、クロスヘッドダイを有する二軸押出機(日本製鋼所(株)製「TEX30」、L/D=42、シリンダー径30mm、シリンダー温度:190〜220℃、クロスダイヘッド温度:220℃)を使用した。なお、ペレット長は8mmとなるように調節した。次いで、得られた長繊維含有ポリオレフィン系樹脂ペレットを、射出成形機に供し、シリンダー温度210℃、金型温度70℃、背圧10kg/cm、スクリュー回転数50rpmにて、平板およびバーを成形した。評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005238938
Figure 0005238938
表1及び表2より、本発明によれば、外観に優れ、剛性や耐衝撃性などの機械的強度に優れた成形品が得られることが分かる。

Claims (7)

  1. プロピレン系樹脂、有機長繊維、タルクを含有して成り、引き抜き成形法で得られた長繊維強化複合樹脂組成物であって、プロピレン系樹脂100重量部に対する、有機長繊維の割合が10〜200重量部、タルクの割合が10〜200重量部であり、前記有機長繊維が表面に極性樹脂を付着させて成る有機長繊維であって極性樹脂の付着量が有機長繊維に対し0.01〜3.5重量%であることを特徴とする長繊維強化複合樹脂組成物。
  2. 極性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1に記載の長繊維強化複合樹脂組成物。
  3. 有機長繊維の融点が200℃以上である請求項1又は2に記載の長繊維強化複合樹脂組成物。
  4. 有機長繊維がポリエステル繊維またはポリアミド繊維である請求項1〜の何れかに記載の長繊維強化複合樹脂組成物。
  5. 使用するタルクの平均粒径が15μm以下、比表面積が1.5m/g以上である請求項1〜の何れかに記載の長繊維強化複合樹脂組性物。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の長繊維強化複合樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする長繊維強化複合樹脂成形品。
  7. 成形法が射出成形法である請求項6に記載の長繊維強化複合樹脂成形品。
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