JPH05175031A - 磁性複合材およびその製造方法 - Google Patents

磁性複合材およびその製造方法

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JPH05175031A
JPH05175031A JP3356531A JP35653191A JPH05175031A JP H05175031 A JPH05175031 A JP H05175031A JP 3356531 A JP3356531 A JP 3356531A JP 35653191 A JP35653191 A JP 35653191A JP H05175031 A JPH05175031 A JP H05175031A
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magnetic
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acid
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JP3356531A
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English (en)
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Tomoyasu Taki
智靖 滝
Hiroyuki Yanagi
裕之 柳
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ラジカル重合体などの高分子母材中に、鉄、
ニッケルなどの金属、あるいはマグネタイトなどのフェ
ライトからなる強磁性体微粒子の線状凝集体が複数、ほ
ぼ同一方向に配列した状態で含有されてなる磁性複合材
である。該磁性複合材は、ラジカル重合性単量体に界面
活性剤で処理した強磁性体微粒子と光重合開始剤を分
散、混合し、次いで磁場の印加下に光照射して重合させ
て製造する。 【効果】 強磁性体微粒子を高度に分散、且つほぼ同一
方向へ線状に配列して含有する材料であり、磁気シール
ド材として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気シールド材などに
好適に用いられる強磁性体微粒子と高分子からなる磁性
複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微粒子を含有する複合材の開発に
おいては母材中における微粒子の分布性が常に問題とな
ってきた。特に母材と微粒子の比重差が大きい高分子/
金属微粒子、高分子/酸化物などの系、あるいは微粒子
同士で凝集が起こり易い強磁性微粒子を用いた系などで
重要な問題であった。これらの系では微粒子の沈降およ
び凝集による分散ムラが起こり易く、微粒子の均一な分
散は非常に困難である。高分子を母材とする場合、成形
時に含有させる場合であっても重合時に含有させる場合
であっても分散ムラの問題は生じる。分散ムラを抑える
ため重合時および成形時の母液の粘度を高める、分散剤
を添加するなどの対策が行われているが根本的な原因の
解決とはなっていない。又、帯電防止や電磁波シールド
効果のある高分子を得る方法として、ステンレス、鋼、
アルミニュウムなどの金属あるいは導電性酸化チタンな
どの酸化物などの微粒子・繊維を含むペレットを予め成
形するマスターペレット方式が主に用いられている。こ
の方式ではペレット作製時に比重の異なるペレットが混
在するという問題点が指摘されている。比重の異なるペ
レットを用いて成形を行うと、製品中の分散ムラが起こ
る。
【0003】一方、軽量な磁気シールド材として、強磁
性体微粒子を含有する高分子が出されている。微粒子と
して鉄、ニッケル、コバルトなどの金属あるいはマグネ
タイト、Baフェライト、Mnフェライト、Znフェラ
イトなどのフェライトが用いられている。用いる粒子の
粒径は0.1μmから数mmと用途により異なる。通
常、磁性を示さない微粒子はその粒径を小さくすること
でペレット間の比重差が減少し、材料中における粒子の
分散ムラは軽減される傾向にある。しかしながら、強磁
性体微粒子を用いる場合は粒径の小さい粒子であっても
粒子同士で凝集構造を形成して凝集体として振舞うた
め、高分子中における分散ムラは容易に解消されない。
この現象は透磁率の高い強磁性体微粒子を用いるほど顕
著になる。分散ムラの有る磁気シールド材は均一な磁気
シールド効果を示さないと考えられている。また、成形
物の重量にばらつきが生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、強磁性体微粒
子を分散ムラのない状態で均一に分散させた高分子複合
材の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、高度の
分散性と配列性を有する磁性複合材料を開発すべく研究
を重ねた結果、界面活性剤で処理した強磁性体微粒子を
ラジカル重合性単量体に分散、混合させて重合、特に磁
場の印加下に光重合することにより、目的の磁性複合材
が得られることを見出し本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は、高分子母材中に、強磁性体微粒子の線状
凝集体が複数、ほぼ同一方向に配列されてなることを特
徴とする磁性複合材である。
【0006】他の発明は、ラジカル重合性単量体に界面
活性剤で処理した強磁性体微粒子と光重合開始剤を分
散、混合し、次いで磁場の印加下に光照射して重合させ
ることを特徴とする上記磁性体複合材の製造方法であ
る。更に他の発明は、界面活性剤で処理された強磁性体
微粒子をラジカル重合体単量体に分散させ、次いで重合
することを特徴とする磁性複合材の製造方法である。本
発明に用いる強磁性体微粒子としては、公知のものが制
限なく採用される。具体的にはFe、Ni、Coあるい
はこれらの合金、マグネタイト、Baフェライト、Mn
フェライト、Znフェライトなどのフェライトが挙げら
れる。
【0007】これら強磁性体微粒子の粒径は、後述のラ
ジカル重合性単量体中に均一に分散させるために、50
0nm以下、特に100nm以下であることが好まし
い。500nmを越えると、ラジカル重合性単量体中に
分散させた場合不規則な形状の凝集体を形成する傾向に
ある。強磁性体微粒子の配合量は、磁性複合材全量に対
して0.1〜50重量%の範囲が採用される。これより
少ない範囲では、磁場を印加しても強磁性体微粒子凝集
体が形成されず、これより多い範囲では、強磁性体微粒
子が安定に分散しない。
【0008】本発明において、ラジカル重合性単量体に
前記強磁性体微粒子を凝集させることなく均一に分散さ
せるために、以下に示す界面活性剤を用いて予め強磁性
体微粒子を処理しておくことが必要である。この界面活
性剤としては、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、
陽イオン界面活性剤、および非イオン界面活性剤のなか
から、強磁性体微粒子の種類に応じて好ましいものを選
択して使用すればよい。
【0009】例えば、強磁性体微粒子としてフェライト
微粒子を使用する場合は、陰イオン界面活性剤、特にオ
レイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸系
が好適であり、強磁性体微粒子の0.05〜5重量倍
量、好ましくは0.1〜3重量倍量使用する。非イオン
界面活性剤も使用できるが、単独で使用するより上記陰
イオン界面活性剤と併用する方が好ましい。該非イオン
界面活性剤の使用量は、強磁性体微粒子に対し0.5〜
5重量倍量、好ましくは0.5〜3重量倍量の範囲であ
る。非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ステアリルエーテル等のエーテル型;ポリオキシエチレ
ングリセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノパルミチン酸エステル等のエーテ
ルエステル型;ポリエチレングリコールモノラウリル酸
エステル、モノパルミチン酸ソルビタン、ソルビタント
リオレート等のエステル型;ポリオキシエチレンステア
リン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイルアミン等の
含窒素型が例示される。
【0010】強磁性体微粒子が金属の場合は、陰イオン
界面活性剤、特にN−アシルサルコシン、N−アシル−
N−メチル−βアラニン等のN−アシルアミノ酸が好適
である。更に、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
2−ラウリル−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキ
シエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤
や、N−オレイルトリメチレンジアミン、塩化ステアリ
ルジメチルベンジルアンモニウム、2−メチル−N−ラ
ウリル−N−メチルイミダゾリウムクロライド等の陽イ
オン界面活性剤も好適に使用できる。これら、陰イオン
界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および両性界面活性
剤は、強磁性体微粒子の0.05〜5重量倍量、好まし
くは0.1〜3重量倍量の範囲で用いられる。
【0011】上記界面活性剤の使用量は、その範囲より
少ないとラジカル重合性単量体中に安定に分散させるこ
とが困難であり、その範囲を越えると重合による硬化が
不十分となり実用的な硬化体が得られない。界面活性剤
による強磁性体微粒子の処理方法は、公知の磁性流体の
製造工程における処理方法が採用できる。例えば、強磁
性体微粒子としてFe,Ni,Coあるいはこれらの合
金を用いる場合は、界面活性剤の存在下において該金属
のカルボニル錯体を熱分解あるいは光分解する方法が挙
げられる。熱分解による界面活性剤で処理されたFe微
粒子の製造方法を例示すると以下の通りである。Fe2
(CO)9 あるいはFe3 (CO)12などのFeのカル
ボニル錯体、界面活性剤、小量のトルエンなどの溶媒を
不活性ガスの雰囲気下において混合し、これらの混合液
をその錯体の分解温度以上に加熱することでFe微粒子
を得る。副生成物のFe(CO)5 及び溶媒を蒸発除去
することで目的物が得られる。光分解による界面活性剤
で処理されたNi微粒子の製造方法を例示すると以下の
通りである。紫外線が透過可能な石英などの容器を用い
てNi(CO)4 、界面活性剤、小量のトルエンなどの
溶媒を不活性ガスの雰囲気下において混合し、これらの
混合液に紫外線を照射することでNi微粒子を得る。原
料のNi(CO)4 及び溶媒を蒸発除去することで目的
物が得られる。
【0012】強磁性体微粒子としてマグネタイト、Ba
フェライト、Mnフェライト、Znフェライトなどのフ
ェライトが用いる場合は、水溶液中で共沈法によりフェ
ライトコロイドを合成したのち界面活性剤で処理する方
法、粒径の大きなフェライト粒子をボールミル中で界面
活性剤と共に粉砕する方法等が挙げられる。共沈法によ
る界面活性剤で処理されたマグネタイト微粒子の製造方
法を例示すると以下の通りである。第一鉄塩と第二鉄塩
からなる水溶液を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶
液と反応させることでマグネタイトの微粒子を生成す
る。その後、界面活性剤を反応液に加えて加熱処理する
ことで界面活性剤を微粒子表面に吸着させる。界面活性
剤として不飽和脂肪酸塩を用いた場合は塩酸などの酸を
さらに添加することで不飽和脂肪酸塩を不飽和脂肪酸に
かえる。水洗、乾燥することで目的物が得られる。粉砕
法による界面活性剤で処理されたマグネタイト微粒子の
製造方法を例示すると以下の通りである。粒径の大きな
フェライト粒子をボールミル中で界面活性剤である不飽
和脂肪酸、水などの溶媒と共に2週間ほど粉砕する。得
られた微粒子を水洗、乾燥することで目的物が得られ
る。更に界面活性剤として非イオン界面活性剤を添加す
る場合は、不飽和脂肪酸で処理されたマグネタイト微粒
子を非イオン界面活性剤を含んだラジカル重合性単量体
中に混合することで行うことができる。
【0013】本発明で用いるラジカル重合性単量体は、
前記界面活性剤によって処理された強磁性体微粒子を均
一に分散できて、重合時に液状を示すものであれば公知
のものが使用できる。但し、図1〜図8に示すように、
本発明の磁性複合材が、強磁性体微粒子を線状凝集体と
して複数、ほぼ同一方向に配列された状態で含有するた
めには、ラジカル重合性単量体の沸点が80℃以上、出
来れば100℃以上であることが好ましい。80℃より
低い沸点のラジカル重合性単量体を用いると、後述の磁
場の印加中、あるいは重合中に蒸発が起こり、強磁性体
微粒子凝集体の配列が乱れ、強磁性体微粒子が線状凝集
体となってほぼ同一方向に複数含む上記磁性複合材を得
るのが困難となる。尚、本発明において、ほぼ同一方向
とは、幾何学的に厳密に一方向に配列された状態を指す
ものではなく、顕微鏡等で視覚的に一方向に配列されて
いると判断されるものを称する。
【0014】本発明に用いるラジカル重合性単量体を以
下、具体的に示す。一般に好適に使用さるラジカル重合
性単量体は、下記のアクリル基及び/又はメタクリル基
を有する(メタ)アクリレート化合物である。 (a)1官能性単量体 アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリ
ル酸ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘプチ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキ
シル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、ア
クリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
トリデシル、アクリル酸ベンジル、メトキシジエチレン
グリコールアクリレート、アクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル
酸グリシジル、あるいはこれらのメタクリル酸エステ
ル。 (b)2官能性単量体
【0015】2,2−ビス(アクリロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス〔4−(3−アクリロキシ)−2
−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−
ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシテトラエト
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロ
キシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニ
ル)プロパン、2(4−アクリロキシエトキシフェニ
ル)−2(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロ
パン、2(4−アクリロキシジエトキシフェニル)−2
(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、
2(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)−2(4
−アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−アクリロキシイソプロポキシ
フェニル)プロパン、あるいはこれらのメタクリル酸エ
ステル。
【0016】1,3−ブタンジオールジアクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオール
ジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレ
ート、ネオぺンチルグリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、プロピレングリコールジアクリレート、ブチルグリ
コールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、あ
るいはこれらのメタクリル酸エステル。 (c)3又は4官能性単量体 トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールト
リアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、あるい
はこれらのメタクリル酸エステル。
【0017】上記(メタ)アクリレート化合物以外のラ
ジカル重合性単量体としては、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、イソブチル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどのアルケニルベ
ンゼン類なども好適に使用できる。これらラジカル重合
性単量体は、単独のみならず複数組合せて使用される。
例えば、ラジカル重合性単量体が室温で粘度が極めて高
いもの、あるいは固体である場合には、低粘度の単量体
と組合せて使用する方が好ましい。この組合せは2種類
に限らず、3種類以上であってもよい。又、単官能性ラ
ジカル重合性単量体だけからなる重合体は架橋構造を有
さないので、一般に重合体の機械的強度が劣る傾向にあ
る。そのために、単官能性ラジカル重合性単量体を使用
する場合は多官能性ラジカル重合性単量体と共に使用す
るのが好ましい。
【0018】前記界面活性剤で処理した強磁性体微粒子
とラジカル重合性単量体に均一に分散混合して、いわゆ
る磁性流体と称する液状物を調製する。両成分の代表的
分散、混合方法としては、強磁性体微粒子を直接ラジカ
ル重合性単量体中に添加し、次いで攪拌、ホモジナイザ
ー、超音波照射、振動ボールミルなどにより分散、混合
した後、遠心分離により分散性の不良な粒子を取り除い
て調製する方法や、まず、強磁性体微粒子を、ヘキサン
やクロロオルムなどの低沸点の溶媒に添加し、攪拌、ホ
モジナイザー、超音波照射、振動ボールミルなどにより
混合する。次いで遠心分離により分散性の不良な粒子を
取り除いた後、この液をラジカル重合性単量体中に添加
し、蒸発などにより溶媒を除去することで、強磁性体微
粒子の分散した磁性流体を得る方法等がある。得られた
磁性流体は、遠心あるいは長時間放置して、沈澱が生成
しない状態であることを確認する。顕微鏡観察により分
散性を調べてもよい。スライドグラスとカバーグラスの
間に磁性流体を入れて対物レンズ40倍、接眼レンズ1
0倍程度の倍率で観察することで凝集物の何も見あたら
ない状態であれば、本発明に用いることが可能である。
目視により沈澱の有無を確認することも可能であるが、
粒子濃度の高い磁性流体は非常に濃い黒色であるため確
認が難しい。
【0019】上記磁性流体に、熱重合開始剤、レドック
ス系重合開始剤、光重合開始剤などを溶解させた後重合
を行う。通常は、磁性流体を調製した後これら開始剤を
添加して溶解させる方法が好ましく採用されるが、重合
の進行を抑制できる条件下であれば、予めラジカル重合
性単量体中にこれら開始剤を含有させておいて、界面活
性剤で処理した強磁性体微粒子と分散、混合する方法も
採用できる。重合開始剤を溶解させた磁性流体を、常
温、加熱又は光照射下に重合することにより、強磁性体
微粒子が高分子母材中に均一に、凝集することなく微分
散した磁性複合材が得られる。
【0020】高分子母材中に強磁性体微粒子が凝集する
ことなく均一に分散していることは、透過型電子顕微鏡
による観察で確認できる。熱重合開始剤を含む磁性流体
は、常圧あるいは加圧下にて50〜200℃に加熱し
て、重合硬化される。重合時間は10分〜数時間でよ
い。加熱重合は窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性
気体中にて行う方が好ましい。レドックス系重合開始剤
を用いる場合には、本発明の磁性流体に有機過酸化物を
添加したものと、第三級アミンを添加したものの両者を
混合し、重合硬化させる方法が一般に採用される。空気
と接することのない密閉容器中で重合を行うか窒素、ヘ
リウム、アルゴンなどの不活性気体中にて重合を行う方
が好ましい。
【0021】熱重合開始剤としては、具体的にベンゾイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t
−ブチルパーベンゾエート等の有機過酸化物、2,2′
−アゾビスイソブチロニトリル、4,4′−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,
1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2′
−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)2,2′−アゾ
ビス(2−シクロブチルプロピオン酸)2,2′−アゾ
ビス〔2−(3−ヒドロキシフェニル)酪酸〕、2,
2′−アゾビス(4−ニトロ吉草酸)2,2′−アゾビ
ス(4−クロロ吉草酸)等のアゾ化合物が好適に使用さ
れる。レドックス系重合開始剤としては上記有機過酸化
物と後述の第3級アミンの系が好適に使用することが出
来る。代表的なレドックス系重合開始剤を例示すれば、
ベンゾイルパーオキサイドとN,N−ジヒドロキシエチ
ル−p−トルイジンあるいはベンゾイルパーオキサイド
とN,N−ジメチル−p−トルイジンである。
【0022】前述の図1〜図8に示すような、強磁性体
微粒子を線状凝集体として含有する特定構造の磁性複合
材を製造するためには、光重合開始剤を使用して、磁場
の印加下に光重合することが必須である。例えば、重合
開始が重合開始剤と重合性単量体の混合と同時に起こる
系は、規則的な線状凝集構造が形成される前に硬化が進
行し適当でない。このような系としてはアニオン重合、
カチオン重合、レドックス開始剤によるラジカル重合等
が挙げられる。重合開始剤と重合性単量体の混合時には
重合が開始されず、加熱と共に重合が開始される系も、
加熱と同時に分散媒の熱運動が激しくなり線状凝集構造
の配列が乱されるので適当ではない。このような系とし
ては熱分解性過酸化物によるラジカル重合などが挙げら
れる。
【0023】光重合開始剤としては、公知のものが制限
なく使用できるが、沸点が80℃以上、出来れば100
℃以上が好ましい。80℃より低い沸点の光重合開始剤
では磁場の印加中あるいは硬化中に蒸発が起こり、強磁
性体微粒子凝集体の配列を乱す傾向にある。また、可視
光線照射により励起され重合を開始するものが特に適す
る。光重合開始剤は、一般に光増感剤と光重合促進剤と
を組合せて使用される。光増感剤として好適に用いられ
るものを例示すれば、ベンジル、カンファーキノン、α
−ナフチル、アセトナフセン、p,p′−ジメトキシベ
ンジル、p,p′−ジクロロベンジルジアセチル、ペン
タンジオン、1,2−フェナトンレンキノン、1,4−
フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノ
ン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等
のα−ジケトン類である。これら光増感剤は、単独のみ
ならず2種以上混合して用いることもできる。カンファ
ーキノンが最も好適に使用される。
【0024】光重合促進剤としてはN,N,−ジメチル
アニリン、N,N,−ジエチルアニリン、N,N,−ジ
−n−ブチルアニリン、N,N,−ジベンジルアニリ
ン、N,N,−ジメチル−p−トルイジン、N,N,−
ジエチル−p−トルイジン、N,N,−ジメチル−m−
トルイジン、p−ブロモ−N,N,−ジメチルアニリ
ン、m−クロロ−N,N,−ジメチルアニリン、p−ジ
メチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノア
セトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッ
ド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエ
ステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミ
ノエステル、N,N,−ジメチルアンスラニリックアシ
ッドメチルエステル、N,N,−ジヒドロキシエチルア
ニリン、N,N,−ジヒドロキシエチル−p−トルイジ
ン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジ
メチルアミノスチルベン、N,N,−ジメチル−3,5
−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N,
−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N,−ジメチル
−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピ
ルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N,−ジ
メチルヘキシルアミン、N,N,−ジメチルドデシルア
ミン、N,N,−ジメチルステアリルアミン、N,N,
−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N,−ジ
エチルアミノエチルメタクリレート、2,2′−(n−
ブチルイミノ)ジエタノール等の第3級アミン類;5−
ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバ
ルビツール酸、等のバルビツール酸類等が代表的に例示
される。
【0025】第3級アミン類を促進剤として用いる場合
には、特に芳香族基に直接窒素原子が置換した、N,
N,−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N,
−ジメチル−p−トルイジンなどの第3級アミン類がよ
り好適に用いられる。さらに光重合促進能の向上のため
に、第3級アミンに加えてクエン酸、リンゴ酸、酒石
酸、グリコール酸、グリコン酸、α−オキシイソ酪酸、
2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン
酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン
酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類
の添加が効果的である。これら重合開始剤は、磁性流体
中に0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜
3重量%の範囲で溶解させるとよい。さらに、2−ヒド
ロキシ−4−メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収
剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテ
ル、2,5−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等
の重合禁止剤の成分を必要に応じて添加できる。光重合
開始剤を含有させた磁性流体に磁場を印加する代表的方
法について以下説明する。
【0026】まず、該磁性流体を空気と接することがな
いよう密閉容器に挿入する。密閉容器の材質は光照射面
が光重合で用いる光を透過可能であることが要求され
る。光重合で用いる光が紫外線である場合は石英、可視
光線である場合はガラスや透明性のプラスチックが最適
である。光照射面以外の部分の材質は強磁性体以外であ
れば金属でも良好な結果が得られる。磁場印加前及び磁
場印加中は密閉容器に光重合可能な光が照射されないこ
とが望ましい。暗所下で操作することが特に望ましい。
尚、電磁石は振動のない場所に設置することが望まし
く、除振台の使用が特に望ましい。この容器を平行磁場
を形成可能な電磁石の磁極間に配置する。容器内の磁性
流体が静置された後、磁場を印加することで強磁性体微
粒子の線状凝集体を形成する。印加する磁場の強度は微
粒子の分散状態により異なる。すなわち、安定に分散し
ている微粒子は強い磁場を印加しないと凝集体を形成し
ないのに対して、沈澱物を含んでいるなど分散性の不安
定な粒子は僅かの磁場でも凝集体を形成する。このため
一概に磁場強度を決めることはできないが10エルステ
ッド〜5,000エルステッドの範囲内で最適な磁場強
度を用いるとよい。凝集体の配列性を高めるためには、
安定に分散している粒子を用いることが重要である。ま
た、磁場と凝集体生成の関係における一般的な傾向とし
て次の事が挙げられる。印加磁場の強弱で生成する凝集
体の直径はそれほど大きな変化を示さないが、凝集体の
線長・本数は大きく変わる。磁場の強度が強くなるに従
い線長は長くなり、本数も増加する傾向にある。磁場の
印加時間は磁場強度・磁性流体の粘度などにより異なる
が、通常1秒〜数10分の範囲内で最適な印加時間を選
択するとよい。強い磁場、低粘度ほど短時間で凝集体が
形成される。
【0027】次に、線状の凝集構造が形成された磁性流
体に光を照射することで重合、硬化を行う。磁場印加は
光照射開始時には必須である。光照射の間も引き続き継
続することが望ましいが、硬化がそこそこ進行すれば磁
場の印加を止めてもよい。先に例示した光重合開始剤を
含有する磁性流体は、390〜700nm好ましくは4
00〜600nmの範囲の光を照射することで重合、硬
化可能である。この波長範囲の光源としてはハロゲンラ
ンプ、キセノンランプ、レーザー、螢光灯、太陽などが
挙げられるが、光の照射による磁性流体の温度上昇が小
さいことが重要である。光源から輻射熱の赤外線による
磁性流体の発熱は、磁場の印加により形成された線状の
強磁性体微粒子凝集体の配列を乱す原因となるからであ
る。光源からの直射光よりも光ファイバーや赤外線フィ
ルターを通過した光を用いる方が望ましい。照射時間は
用いたラジカル重合性単量体の種類や照射光の強度など
により異なるが、一般に10秒〜数時間の範囲で最適な
照射時間を選択するとよい。磁性流体の硬化が終了した
後に、磁場の印加を解除し目的とする磁性複合材を得
る。
【0028】本発明の、高分子母材中に強磁性体微粒子
の線状凝集体が複数、ほぼ同一方向に配列された状態で
含有されてなる磁性複合材の代表的構造は、図1〜図8
に例示される。磁場の印加方法の項で詳述したように、
主として印加磁場の強弱により凝集体の線長や本数は大
きく変化する。例えば、図1に示すように、磁性複合材
の一端から他端へほぼ完全に連続した線長の線状凝集体
を含む複合材が得られる一方、ラジカル重合性単量体の
種類と印加磁場の強さを変えて得られた図5の磁性複合
材においては、線状凝集体の線長は比較的短く複合材の
一端から他端へ完全に連続していないものの、それらは
いづれもほぼ一方向に且つ略平行に配列して含有されて
いる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を更に具体的に説明するために
は実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。 実施例1 窒素下においてFeSO4 ・7H2 OとFe2 (S
4 3 ・nH2 Oの1モル水溶液各50mlを混合し
て、これに6NのNaOH水溶液を攪拌しながらpHが
11.5になるまで添加した。これを60℃に加温、1
0分間攪拌して十分マグネタイトコロイドを生成させ
た。一方、リノール酸7.3gを窒素下で別の容器に計
りとり、これに3NのNaOH水溶液8.8mlを加え
攪拌しながら水50mlを加えて、60℃に加温した。
生じたリノール酸ナトリウムの白色沈澱が溶解した後こ
の全量を先に作成したマグネタイト懸濁液に加え、攪拌
しながら80℃に30分間保った。これを冷却後、1N
のHCl水溶液を加えてpH5.5とし、懸濁質を凝集
させた。凝集物は水洗を繰り返すことで電解質を除き、
最後に真空濾過で得た固形分を90℃、真空下で一晩乾
燥した。室温まで放冷した後、乾燥器から取り出した。
得られた黒色の粘土状の粗生成物は14.8gであっ
た。
【0030】この粗生成物を6.80g計りとりヘキサ
ン50mlを加えた。乳化器で十分混合した後、800
0Gの遠心力下で20分間遠心分離した。その上澄み液
を取り、更にヘキサンを加えて容積を50mlに合わせ
た。沈澱物の真空乾燥後の重量は4.11gであった。
この沈澱物はヘキサン分散不可能な界面活性剤が吸着し
たマグネタイト微粒子である。同じ操作で得た分散液に
100mlのイソプロピルアルコールを添加すると沈澱
が生じる。2000Gの遠心力下だ5分間遠心分離し、
沈澱と上澄みに分離する。沈澱物の真空乾燥後の重量は
1.13gであり、上澄みからはイソプロピルアルコー
ルとヘキサンの除去により1.56gの粘性の液体が得
られた。この操作で得られた沈澱物はヘキサンに分散可
能な界面活性剤が吸着したマグネタイト微粒子である。
元素分析による炭素含有量から求めた吸着界面活性剤の
量は12重量部であった。また透過型電子顕微鏡で観察
したところその粒径は約10nmであった。粘性の液体
はヘキサン中に溶解していたリノール酸である。よっ
て、50mlのヘキサンには12重量部の界面活性剤が
吸着したマグネタイト微粒子1.13gとリノール酸
1.56gが分散及び溶解している。
【0031】このヘキサン分散液0.93mlに表1に
示す各種ラジカル重合性単量体0.95gを添加し、真
空下でヘキサンの除去を行うことでラジカル重合性単量
体をベース液とした磁性流体を得た。これらのラジカル
重合性単量体中では界面活性剤の吸着したマグネタイト
微粒子は安定に分散し、顕微鏡下の観察でも凝集物は見
られなかった。同様にヘキサン分散液3.72mlとラ
ジカル重合性単量体0.30gからも安定に分散した単
量体をベース液とした磁性流体を得ることができた。遮
光下に於て、前者の磁性流体に重合開始剤であるカンフ
ァーキノン0.02gとp−ジメチルアミノベンゾイッ
クアシッドエチルエステル0.02gを溶解させること
で磁性複合材の原料とした。
【0032】遮光下に於て、スライドグラス上に上記原
料を1滴滴下し、その上にカバーグラスを乗せた。除振
台を備えた電磁石の磁極間にこのスライドグラスを10
分間静置した。スライドグラスはその液面と磁場方向が
平行になるように設置した。その後、各々表1に示す磁
場を10分間印加した後、磁場の印加を継続したまま光
の照射を行った。光ファイバー式冷光照明装置を用いて
スライドガラス面における照度が50,000lxの光
を1官能性ラジカル重合性単量体及びジビニルベンゼン
に対しては1時間、1官能性と2官能性の混合ラジカル
重合性単量体に対しては10分間照射した。照射終了
後、磁場印加を解除した。得られた各磁性複合材の透過
型光学顕微鏡観察写真を図1〜図8に示す。これらの写
真から、磁性複合材中に線状の強磁性体微粒子凝集体が
形成され、各凝集体が一定方向に配列して含まれている
ことが認められる。また、得られた磁性複合材を磁場の
ない状態で長時間放置しても凝集体の配列に変化は認め
られなかった。これは、いづれのラジカル重合性単量体
から得られた磁性複合材においても観察された。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2 窒素下においてMnSO4 ・4〜5H2 O、ZnSO4
・7H2 O、Fe2 (SO4 3 ・nH2 Oの1モル水
溶液をMn2+: Zn2+: Fe3+=0.5:0.5:2、
全量が100mlとなるように分取混合し、これに6N
NaOH水溶液を攪拌しながらpHが10になるまで
添加した。これを80℃に加温、10分間攪拌してマン
ガン亜鉛フェライトのコロイドを生成させた。一方、リ
ノール酸7.3gを窒素下で別の容器に計りとり、これ
に3NのNaOH水溶液8.8mlを加え攪拌しながら
水50mlを加えて、60℃に加温した。生じたリノー
ル酸ナトリウムの白色沈澱が溶解した後この全量を先に
作成したマンガン亜鉛フェライト懸濁液に加え、攪拌し
ながら80℃に30分間保った。これを冷却後、1Nの
HCl水溶液を加えてpH5.5とし、懸濁質を凝集さ
せた。凝集物は水洗を繰り返すことで電解質を除き、最
後に真空濾過で得た固形分を90℃、真空下で一晩乾燥
した。室温まで放冷した後、乾燥器から取り出した。得
られた黒色の粘土状の粗生成物は15.5gであった。
【0035】該粗生成物と表2に示す各種ラジカル重合
性単量体を用いた以外は実施例1と同様に行って単量体
をベース液とした磁性流体を調製した。ラジカル重合性
単量体中にフェライト微粒子が5重量%となるように混
合したところ、顕微鏡による観察でも凝集物は見られな
かった。同様にフェライト微粒子が40重量%となるよ
うに混合したところ、安定に分散した単量体をベース液
とした磁性流体を得ることができた。遮光下に於て、前
者の磁性流体に重合開始剤であるカンファーキノン0.
02gとp−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチ
ルエステル0.02gを溶解させることで磁性複合材の
原料とした。遮光下に於て、スライドグラス上に上記の
原料を1滴滴下し、その上にカバーグラスを乗せた。除
振台を備えた電磁石の磁極間にこのスライドグラスを1
0分間静置した。スライドグラスはその液面と磁場方向
が平行になるように設置した。その後、200エルステ
ッドの磁場を10分間印加した後、磁場の印加を継続し
たまま光の照射を行った。光ファイバー式冷光照明装置
を用いてスライドガラス面における照度が50,000
lxの光を1官能性ラジカル重合性単量体及びジビリル
ベンゼンに対しては1時間、1官能性と多官能性の混合
ラジカル重合性単量体に対しては10分間照射した。照
射終了後、磁場印加を解除した。得られた磁性複合材の
透過型光学顕微鏡観察の結果を表2にまとめた。実施例
1と同様に線状の強磁性体微粒子凝集体が形成され、且
つ各凝集体が一定方向に配列された状態で含有されてい
た。また、この磁性複合材を磁場のない状態で長時間放
置しても凝集体の配列に変化は認められなかった。
【0036】
【表2】
【0037】実施例3 Fe2 (CO)9 35.0gをアルゴン雰囲気下にお
いて還流冷却器の付いた3Lナス型フラスコに計り取っ
た。この容器にN−アシル−サルコシン10.7g、ト
ルエン100mlを更に加えた。オイルバスを用いてバ
ス温度130℃で3時間加熱を続けた。冷却後、減圧蒸
留を行い、トルエンと副生生物であるFe(CO)5
除去した。トルエンを継ぎ足し減圧蒸留を繰り返すこと
で、副生生物を完全に除去した。19.9gの粗生成物
が得られた。この粗生成物10.0gと100mlのク
ロロホルムを乳化器で十分混合した。8,000Gの遠
心力下で20分間遠心分離した。その上澄み液を取り、
さらにクロロホルムを加えて容積を100mlに合わせ
た。沈澱物の真空乾燥後の重量は2.6gであった。鉄
微粒子の分散したクロロホルム分散液と表3に示す各種
ラジカル重合性単量体を用いて実施例1と同様に行って
単量体をベース液とする磁性流体を調製した。
【0038】ラジカル重合性単量体中に鉄微粒子が5重
量%となるように混合したところ、顕微鏡による観察で
も凝集物は見られなかった。同様に鉄微粒子が40重量
%となるように混合したところ、安定に分散した単量体
をベース液とした磁性流体を得ることができた。遮光下
に於て、前者の磁性流体に重合開始剤であるカンファー
キノン0.02gとp−ジメチルアミノベンゾイックア
シッドエチルエステル0.02gを溶解させることで磁
性複合材の原料とした。遮光下に於て、スライドグラス
上に上記の原料を1滴滴下し、その上にカバーグラスを
乗せた。除振台を備えた電磁石の磁極間にこのスライド
グラスを10分間静置した。スライドグラスはその液面
と磁場方向が平行になるように設置した。その後、50
0エルステッドの磁場を10分間印加した後、磁場の印
加を継続したまま光の照射を行った。光ファイバー式冷
光照明装置を用いてスライドガラス面における照度が5
0,000lxの光を1官能性ラジカル重合性単量体及
びジビリルベンゼンに対しては1時間、多官能性の混合
ラジカル重合性単量体に対しては1分間照射した。照射
終了後、磁場印加を解除した。得られた磁性複合材の透
過型光学顕微鏡観察の結果を表3にまとめた。実施例1
と同様に線状の強磁性体微粒子凝集体が形成され、且つ
各凝集体が一定方向に配列された状態で含有されてい
た。また、この磁性複合材を磁場のない状態で長時間放
置しても凝集体の配列に変化は認められなかった。
【0039】
【表3】
【0040】実施例4 表4に示す界面活性剤を用いた以外は実施例1と同様に
行った。オレイン酸とリノレン酸の使用量は実施例1で
用いたリノール酸と同じ重量で用いた。オレイン酸とポ
リオキシエチレノニルフェニルエーテルを用いた場合
は、オレイン酸の使用量は3.6gでありポリオキシエ
チレノニルフェニルエーテルの使用量は3.4gであ
る。ポリオキシエチレノニルフェニルエーテルとヘキサ
ンと粗生成物の混合時にこれらと一緒に混合した。用い
たラジカル重合性単量体はアクリル酸−2−エチルヘキ
シル80重量%1,9−ノナンジオールジメタクリレー
ト20重量%からなる混合単量体である。200エルス
テッドの磁場を10分間印加し、磁場印加を継続しなが
ら50,000lxの光を10分間照射した。照射終了
後、磁場印加を解除した。得られた磁性複合材の透過型
光学顕微鏡観察の結果を表4にまとめた。実施例1と同
様に線状の強磁性体微粒子凝集体が形成され、且つ各凝
集体が一定方向に配列された状態で含まれていた。ま
た、この磁性複合材を磁場のない状態で長時間放置して
も凝集体の配列に変化は認められなかった。
【0041】
【表4】
【0042】実施例5 表5に示す各種ラジカル重合性単量体を用いた以外は実
施例3と同様に行った。500エルステッドの磁場を1
0分間印加し、磁場印加を継続しながら50,000l
xの光を照射した。1官能性ラジカル重合性単量体に対
しては1時間、多官能性のラジカル重合性単量体あるい
はそれらの混合物に対しては1分間照射した。照射終了
後、磁場印加を解除した。得られた複合材の顕微鏡観察
の結果を表5にまとめた。実施例1と同様に線状の強磁
性体微粒子凝集体が形成され、且つ各凝集体が一定方向
に配列された状態で含まれていた。また、この磁性複合
材を磁場のない状態で長時間放置しても凝集体の配列に
変化は認められなかった。
【0043】
【表5】
【0044】実施例6 表6に示す各種光増感剤を用いた以外は実施例1と同様
に行った。用いた単量体はアクリル酸−2−エチルヘキ
シル80重量%1,9−ノナンジオールジメタクリレー
ト20重量%からなる混合単量体である。200エルス
テッドの磁場を10分間印加し、磁場印加を継続しなが
ら50,000lxの光を10分間照射した。照射終了
後、磁場印加を解除した。得られた磁性複合材の透過型
光学顕微鏡観察の結果を表6にまとめた。実施例1と同
様に線状の強磁性体微粒子凝集体が形成され、且つ各凝
集体が一定方向に配列された状態で含まれていた。ま
た、この磁性複合材を磁場のない状態で長時間放置して
も凝集体の配列に変化は認められなかった。
【0045】
【表6】
【0046】実施例7 表7に示す光重合促進剤を用いた以外は実施例1と同様
に行った。用いたラジカル重合性単量体はアクリル酸−
2−エチルヘキシル80重量%1,9−ノナンジオール
ジメタクリレート20重量%からなる混合単量体であ
る。200エルステッドの磁場を10分間印加し、磁場
印加を継続しながら50,000lxの光を10分間照
射した。照射終了後、磁場印加を解除した。得られた磁
性複合材の透過型光学顕微鏡観察の結果を表7にまとめ
た。実施例1と同様に線状の強磁性体微粒子凝集体が形
成され、且つ各凝集体が一定方向に配列された状態で含
まれていた。また、この磁性複合材を磁場のない状態で
長時間放置しても凝集体の配列に変化は認められなかっ
た。
【0047】
【表7】
【0048】応用例1 実施例3に従いネオペンチルグリコールジメタクリレー
トをベース液とし鉄微粒子が40重量%である磁性複合
材の原料を得た。遮光下に於て、直径3cm、深さ2m
mの穴を有するアルミニュウム製割型に上記の原料を填
入し、ポリプロピレン製フィルムで圧接した。除振台を
備えた電磁石の磁極間にこの割型を10分間静置した。
割型はその圧接面と磁場方向が平行になるように設置し
た。その後、500エルステッドの磁場を10分間印加
した。磁場の印加を継続したまま光の照射を行った。光
ファイバー式冷光照明装置を用いてスライドガラス面に
おける照度が50,000lxの光を1時間照射した。
照射終了後、磁場印加を解除した。その後、硬化体を割
型から取り外しメタノールで洗浄することで目的とする
複合材を得た。電磁石とガウスメーターからなる図9の
装置を用いて磁気シールド効果を調べた。ガウスメータ
ーの値が100Gaussとなるように電磁石の電流値
を調整した。プローブと電磁石の間に上記の磁性複合材
を挿入したところガウスメーターの値は50Gauss
に減少した。プローブと電極を結ぶ線と磁性複合材の平
面が垂直となるように設置した。
【0049】実施例8 実施例1で得られた界面活性剤で処理されたマグネタイ
トのヘキサン分散液0.93mlに、アクリル酸−2−
エチルヘキシル0.95gを添加し、実施例1と同様に
してマグネタイト微粒子が安定に分散した磁性流体を得
た。この磁性流体にカンファーキノン0.02gとp−
ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル
0.02gを溶解させて磁性複合材の原料とした。スラ
イドグラス上に上記の原料を1滴滴下し、その上にカバ
ーグラスを乗せた。このスライドグラスを50℃に加温
しながら光ファイバー式冷光照明装置を用いてスライド
ガラス面における照度が50,000lxの光を1時間
照射した。得られた磁性複合材の破断面を透過型電子顕
微鏡で観察したところ粒径が約10nmの微粒子が母材
中に分散されているのみで凝集体は観察されず、微粒子
は分散状態を保持していた。
【0050】実施例9 実施例1で得られた界面活性剤で処理されたマグネタイ
トのヘキサン分散液0.93mlにアクリル酸ドデシル
0.95gを添加し、真空下でヘキサンの除去を行うこ
とで単量体をベース液とした磁性流体を得た。単量体中
では界面活性剤の吸着したマグネタイト微粒子は安定に
分散し、顕微鏡下の観察でも凝集物は見られなかった。
遮光下に於て、この磁性流体に熱重合開始剤であるアゾ
ビスイソブチロニトリル0.02gを溶解させて磁性複
合材の原料とした。内容約3mlのガラスアンプルに上
記の原料を全量加えて、窒素置換したのちアンプルを溶
封した。これを80℃の静置下で5時間加熱した。その
後、冷却して開封し、アンプルを破壊することで複合材
を得た。得られた複合材の破断面を透過型電子顕微鏡で
観察したところ粒径が約10nmの微粒子が母材中に分
散されているのみで凝集体は観察されず、微粒子は分散
状態を保持していた。
【0051】
【発明の効果】本発明によって得られる磁性複合材は、
強磁性体微粒子を高度に分散、或いは更にほぼ同一方向
へ線状に配列して含有する材料であり、磁気シールド材
などに好適な材料となりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1No1の磁性複合材中の強磁性体微粒
子の凝集状態を示す透過型光学顕微鏡写真である。
【図2】同じく実施例1No2の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図3】同じく実施例1No3の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図4】同じく実施例1No4の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図5】同じく実施例1No5の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図6】同じく実施例1No6の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図7】同じく実施例1No7の磁性複合材の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図8】同じく実施例1No8の磁性複合体の透過型光
学顕微鏡写真である。
【図9】磁束密度を測定する状況を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電磁石のN極 2 電磁石のS極 3 ガウスメーターのプローブ 4 磁性複合材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/22 KAE 7167−4J H01F 1/04 H05K 9/00 H 7128−4E // C01G 49/00 B 9151−4G 49/08 A 9151−4G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子母材中に、強磁性体微粒子の線状
    凝集体が複数、ほぼ同一方向に配列されてなることを特
    徴とする磁性複合材。
  2. 【請求項2】 ラジカル重合性単量体に界面活性剤で処
    理した強磁性体微粒子と光重合開始剤を分散、混合し、
    次いで磁場の印加下に光照射して重合させることを特徴
    とする請求項1の磁性複合材の製造方法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤で処理した強磁性体微粒子を
    ラジカル重合体単量体に分散させ、次いで重合すること
    を特徴とする磁性複合材の製造方法。
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