JPH0517130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は車両やオフイスなどの室内の空気を
浄化するための脱臭エレメントの改良に関する。

（従来の技術） 最近の車両では、居住性向上のために、後部座
席の後側のパネル内に第４図のようにフイルタｆ
とブロア（図示せず）をダクトｄ中に組み込んだ
空気浄化装置を配設し、車室内の細かな塵埃や煙
草の煙などを除去する一方、フイルタｆの下流側
（図では下側）に脱臭エレメントｅを設けて、車
室内にこもる種々の材料臭、塗料臭、喫煙臭、体
臭などを取り除くようにしている。

そして、これまでに上記脱臭エレメントｅとし
ては、第５図のように熱可塑性の合成せんいから
なる不織布１１と粒状活性炭１２とを交互に積層
し、これをホツトプレスで押し固めてマツト状に
なすと共に不織布１１と粒状活性炭１２とを部分
的に熱溶着し、その表裏全体を同質の不織布１３
ａ，１３ｂで包被して重合部１４を熱シールした
ものが一般に知られている。（実開昭55−141535
号参照） （考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来の脱臭エレメントでは不織
布と粒状活性炭を溶着はするが、部分的で、しか
も溶着部分は粒状活性炭が平坦な不織布に点接触
状態に付着しているだけなので、保持状態が不充
分で剥離し易く、そして、不織布と不織布の間の
層は仕切もなく横に広がるだけなので、遊離した
活性炭が車体の振動や傾きなどによつて移動して
片寄りを生じ、脱臭機能を低下させてしまい、ま
た、活性炭同志がこすれ合つて摩耗し二次公害の
原因になる恐れがあり、粒状活性炭の充てん密度
を大きくできないなどの難点がある。

そこで、この考案は粒状脱臭剤の固定状態が良
好で、振動などが作用しても移動や片寄りの恐れ
なく、脱臭機能を低下させない脱臭エレメントを
提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的のもとにこの考案は、室内空気浄化用
の脱臭エレメントとして、中間不織布と粒状脱臭
剤を複数交互に重ね、その外側を上カバー不織布
と下カバー不織布とで被嵌し、該上、下のカバー
不織布には所要高さの内向き突条を間隔をおいて
縦方向および横方向に複数互いに位置をずらせて
設けて、多数の小室を形成し、該小室内に粒状脱
臭剤を封入して不織布に熱溶着したことを特徴と
している。

（実施例） 第１図および第２図はこの考案に係る脱臭エレ
メントｅの一例を示すもので、ポリプロピレン、
ポリエステルなどの熱可塑性の合成せんいからな
る中間不織布１と、その上に散布される活性炭、
活性アルミナ、ゼオライトなどの粒状の脱臭剤２
の層が複数、交互に重ねられ、その外側に同じ合
成せんいからなる皿状の上カバー不織布３ａと板
状の下カバー不織布３ｂが被嵌され、それらの周
縁が互いに溶着されて扁平なマツト状に形成され
ている。

そして、上カバー不織布３ａと下カバー不織布
３ｂには、エレメントｅの厚さの半分程度の高さ
で内側に突出する突条４と５が複数条、縦、横方
向に所要の間隔をおいて、かつ上、下のものは互
いに位置をずらせて設けられ、それら上下の突条
４，５によつて複数の中間不織布１が縦方向およ
び横方向に波状に屈曲され、各突状４，５の先端
部分においてカバー不織布３ａまたは３ｂと中間
不織布１および中間不織布１同志が熱溶着されて
多数の小室６が形成され、粒状脱臭剤２はそれら
の小室６内に封じ込められて中間不織布１または
上下のカバー不織布３ａ，３ｂに熱溶着されてい
る。

第３図は上記エレメントｅの作り方の概略を示
すものであり、まず、イ図のように底部に複数の
突条４′を有するホツトプレスの下型D₁と、その
突条４′に見合う凹所４″を備えた上型D₂とで上
カバー不織布３ａを圧さくしてロ図のように皿状
に成形し、次いでハ図のようにその内部に粒状脱
臭剤２の散布層と中間不織布１とを交互に積み重
ね、その上に下カバー不織布３ｂをおき、その状
態のものを下型突条４′に対し位置のずれた突条
５′を備えた仕上げ用の上型D₃で所要の温度
（130℃〜200℃程度）に加熱圧さくして第１図の
ようなエレメントｅを形成する。

このようにして形成された脱臭エレメントｅは
そのままあるいは適宜のケースに収容するかして
前記のように空気浄化器のフイルタの下流位置に
取付けて使用され、細かな塵埃の除去に併せて室
内にこもる種々の悪臭を吸収して室内空気を浄化
する。

その際、エレメントｅの内部はカバー不織布３
ａ，３ｂに形成された複数の縦、横方向の突条
４，５によつて複雑に湾曲した多数の小室６に区
分され、その小室６内に粒状脱臭剤２が封入され
ているので、エレメントｅに外部の振動や傾きが
作用したにしても粒状脱臭剤２は移動することな
く片寄りが防止され、脱臭剤２が各部均一に確実
に保持され、脱臭機能を低下させることがない。

なお、図示の例では上カバー不織布３ａを皿状
にし、下カバー不織布３ｂを板状にしたものを示
したが、その形体は逆でも、両者を皿状にしても
差支えなく、また、上下の突条４，５は通気抵抗
との関係で連続するものとしても不連続なものと
してもよい。

そして、この考案は車両に限らず、オフイスや
ホテル、家庭などの室内空気の浄化にも使用する
ことができる。

（考案の効果） この考案は上述したような構成を備えているの
で、粒状脱臭剤は多数の小室内に封じられかつ複
雑に湾曲した不織布に接して溶着されるため、平
坦な不織布に対するよりも接触面積が増加して保
持状態が確実になり、剥離し難く、外部から振動
や傾きが作用したにしても脱臭剤の移動が防止さ
れて片寄りを生ぜず、各部均一に高い脱臭効果を
維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図の−線に沿つた断面図。第
２図はこの考案の実施例の斜視図。第３図イ，
ロ，ハはその製作工程の説明図。第４図は空気浄
化装置の一部の断面側面図。第５図は従来品の切
断斜視図。 図中、１……中間不織布、２……粒状脱臭剤、
３ａ……上カバー不織布、３ｂ……下カバー不織
布、４，５……突条、６……小室、ｅ……脱臭エ
レメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中間不織布１と粒状脱臭剤２を複数交互に重
   ね、その外側を上カバー不織布３ａと下カバー不
   織布３ｂとで被嵌し、該上、下のカバー不織布３
   ａ，３ｂには所要高さの内向き突条４または５を
   間隔をおいて縦方向および横方向に複数互いに位
   置をずらせて設けて多数の小室６を形成し、該小
   室６内に粒状脱臭剤２を封入して不織布に熱溶着
   してなる室内空気浄化用の脱臭エレメント。