JPH0516405U - 回転軸のシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】回転機械の回転軸が停止した際に、ダストスロ
ワーで保護されているオイルシール部分に汚水や油が侵
入してこのオイルシールを損傷することを防止する。 【構成】回転軸３、あるいはこの回転軸３と共に回転す
る部材にオイルシール５が嵌入されているボス部分を覆
うように碗形のダストスロワー９を設け、更にこのダス
トスロワー９の内面に、水または油を吸収してボス部分
側に膨潤して突出する発泡体１０を取付けた回転軸のシ
ール構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業用の利用分野】

本考案は、内燃機関や車両などの外部から水、汚水、油などの異物の浸入する 恐れのある回転軸のシール部分にシール部材と共に使用されるダストスロワーを 併設した回転軸のシール構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、内燃機関のクランク軸のシール構造は、図２に示すようにシリンダブ ロック１の下方に設けられている軸受２にクランク軸３を支持し、前面の開口部 をカバー４で閉止し、このカバー４をクランク軸３が貫通する部分にオイルシー ル５を嵌着し、更に前記クランク軸３側にハブ６を取付け、このハブ６にフアン ７やプーリ８を取付けいる。そしてこのハブ６にダストスロワー９（或いはスト リンガー）が前記オイルシール５側を覆うように設けられており、クランク軸３ と共にこのダストスロワー９を回転させてこれの遠心力によってオイルシール５ に浸入する水、油、ダスト、汚水などの異物をはねとばすようにしている。

【０００３】 このようなダストスロワー９は機関が作動中はその機能を発揮するが、機関が 停止すると図３に示すようにカバー４の表面に付いた流動性の泥水その他の異物 が伝わり落ちてきて、ダストスロワー９とカバー４との間の隙間Ｓを通過し、オ イルシール５の部分に侵入するという問題がある。この異物がオイルシール５に 侵入するという問題は、前記間隙Ｓを隙間を狭めることで多少なりとも改善され るが、部品精度などの点からこれにも自ずから限界がある。

【０００４】 一方、このような泥水等の侵入により軸受２の損傷および潤滑油の劣化を防止 する装置として実開昭61-134404 号公報によってアクスルシール構造が提案され ている。この装置は内側部材または外側部材のいずれか一方を車輪に固定し、他 方をブレーキプレートに固定すると共に、補強用の金属環を有する弾性体よりな るシール本体を外側部材の一端内周面に圧入固定した弾性体よりなるリップを内 側部材に摺接させている。そしてシール本体の金属環を延長させて形成したわん 曲折曲片にて外側部材の外周端部を覆ったオイルシールを設け、前記ブレーキプ レートの周縁を折曲げて形成した筒状部およびわん曲折曲片に、少なくとも一方 を弾性体にて製作した環状リップを間隔を置いて対向させて設けてラビリンスを 構成させたものである。

【０００５】 しかしながら、この公知の装置は複類の環状リップや内側部材に摺接させるリ ップが必要となるため、構造が著しく複雑で、かつその取付けや調整が煩雑であ るという問題がある。

【０００６】

【考案の解決しようとする課題】

本考案は前記従来の問題点を解決するためになされたものであり、内燃機関の ような回転機械の停止時に、カバーの表面を伝って侵入してくる泥水や油などの 異物がオイルシールに侵入するのを防止すると共に、通常時にはダストスロワー として機能できる回転機械用ダストスロワーを提供することを目的とするもので ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するための本考案に係る回転軸のシール構造は、回転機械のカ バーから突出する回転軸、あるいはこの回転軸と共に回転する部材とカバーとの 間にオイルシールを設け、この回転軸、あるいはこの回転軸と共に回転する部材 にオイルシールが嵌入されているボス部分を覆うように碗形のダストスロワーを 設け、更にこのダストスロワーの内面に、水または油を吸収してボス部分側に膨 潤して突出する発泡体を取付けて構成されている。

【０００８】 この発泡体はダストスロワーとオイルシールが設けられている部材との間の間 隙を狭めるように設けられるものであって、この間隙内に侵入する泥水等のオイ ルシールに損傷を与える恐れがあるものを受けて、これを吸収して膨潤すること によって前記間隙を実質的に狭める性質を持つものである。この発泡体はスポン ジゴムやＣＲゴムからなるものが適しており、泥水や油などに膨潤して体積を膨 張させる性質を有するものが使用される。

【０００９】

【作 用】

回転機械の回転軸と共に回転するダストスロワーの内面に水または油などに対 し膨潤する発泡体を取付けているので、回転機械が停止すると泥水や油などがダ ストスロワー内に落ちてくると、この発泡体がそれを吸収して膨潤し、ダストス ロワーとカバー部材との間の隙間を狭めることになり、泥水や油などの新たな浸 入を防ぐことになる。

【００１０】

【実 施 例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。図１は本考案の回転機械の 回転軸のシール装置の要部を示す断面図、あって、ダストスロワーの一実施例に おけるダストスロワー周辺要部の側断面図である。 まず、図１に示す実施例は、図２および図３で示す従来例と同様に、回転機械 として内燃機関のクランク軸３の支持部分を示したものであり、クランク軸３と 共に回転する部材、あるいはクランク軸３とカバー４との間にオイルシール５が 設けられており、このオイルシール５の前面にダストスロワー９が設けてある点 と従来の装置と同一の構造である。このダストスロワー９は、クランク軸３の回 転時にその遠心力によってオイルシール５に浸入してくる水、油、泥水その他の 異物をはね飛ばす機能をもたせている。

【００１１】 そこで、本考案では、ダストスロワー９の先端部９ａの内面に発泡体１０をリ ング状に設けている。この発泡体１０は水、または油などに対して膨潤する性質 を有するものであって、この実施例ではスポンジゴム８の紐状物を接着により取 付けている。 なお、上記の発泡体としては、スポンジゴム８の他、ＣＲゴム、更には木綿や 麻等の紐や布状物など、水または油などに対して膨潤するものであれば何を使用 してもよい。

【００１２】

【考案の効果】

本考案に係る回転軸のシール構造は、回転機械のカバーから突出する回転軸、 あるいはこの回転軸と共に回転する部材とカバーとの間にオイルシールを設け、 この回転軸、あるいはこの回転軸と共に回転する部材にオイルシールが嵌入され ているボス部分を覆うように碗形のダストスロワーを設け、更にこのダストスロ ワーの内面に、水または油を吸収してボス部分側に膨潤して突出する発泡体を取 付けて構成されている。

【００１３】 従って、ダストスロワーはその回転機械の回転時には、オイルシールに浸入し てくる水、油、ダスト、汚水などの異物をはね飛ばす通常のダストスロワーとし ての機能を発揮する。そして回転機械の回転停止時には、オイルシールを設けて いるカバーなどを伝って落ちてくる汚水や油などを発泡体が吸収し、そして発泡 体が膨潤することでダストスロワーとカバーとの間の隙間を狭め、新たな異物の 浸入を防止することができる。

【００１４】 また、本考案は、従来からあるダストスロワーの内面に、対面する部材との間 の間隙を狭めるように発泡体を取付けるだけで充分にその効果を発揮することが できるので、本考案を簡単に実施することができるので、そのコストも極めて安 く、その取付も容易であるという利点がある。 なお、本考案を適用する回転機械として、特に車両などの内燃機関用のクラン ク軸、その他の回転体のダストスロワーとして有効に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の回転機関用ダストスロワーの一実施例
の要部側断面図である。

【図２】従来のダストスロワーを取付けた内燃機関の要
部側断面図である。

【図３】内燃機関のクランク軸の先端部の支持構造を示
す概略側断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダブロック ２ クランク軸 ４ カバ
ー ６ ハブ ９ ダストスロワー １０ 発泡体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転機械のカバーから突出する回転軸、
   あるいはこの回転軸と共に回転する部材とカバーとの間
   にオイルシールを設け、この回転軸、あるいはこの回転
   軸と共に回転する部材にオイルシールが嵌入されている
   ボス部分を覆うように碗形のダストスロワーを設け、更
   にこのダストスロワーの内面に、水または油を吸収して
   ボス部分側に膨潤して突出する発泡体を取付けた回転軸
   のシール構造。