JPH05163556A - タービンロータ - Google Patents

タービンロータ

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JPH05163556A
JPH05163556A JP32762791A JP32762791A JPH05163556A JP H05163556 A JPH05163556 A JP H05163556A JP 32762791 A JP32762791 A JP 32762791A JP 32762791 A JP32762791 A JP 32762791A JP H05163556 A JPH05163556 A JP H05163556A
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JP
Japan
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turbine rotor
test
stress corrosion
corrosion cracking
notch toughness
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Application number
JP32762791A
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English (en)
Inventor
Shuichi Inagaki
修一 稲垣
Masayuki Yamada
政之 山田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、切欠靭性、耐食性および耐応力腐食
割れ性に優れたタービンロータを提供することにある。 【構成】本発明のタービンロータは、重量比で、C:0.
05〜0.30%,Si:1.0%以下,Mn:1.0 %以下,N
i:0.3 〜3.0 %,Cr:8.0 〜13.0%,Mo:0.3 〜
2.0 %,V:0.10〜0.35%,NbおよびTaのうち少な
くとも1つ:0.01〜0.15%,N:0.01〜0.10%,Cu:
0.1 〜1.0 %,残部がFeおよび付随的不純物からなる
か、さらにB:0.0003〜0.0030%およびW:0.1 〜2.0
%のうち少なくとも1つ含む合金組成を用いたことを特
徴としているので、従来のタービンロータよりも切欠靭
性、耐食性および耐応力腐食割れ性にすぐれたタービン
ロータを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切欠靭性、耐食性およ
び耐応力腐食割れ性に優れたタービンロータに関する。
【0002】
【従来の技術】地熱発電は地中から噴出する地熱蒸気を
利用して蒸気タービンを回転させるものである。このよ
うな蒸気温度の低い条件で使用されるタービンロータは
脆性破壊に対する安全性を確保するために一般には3〜
4%NiCrMoV鋼や熱処理条件を改良して靭性を向
上させた1%CrMoV鋼が使用されている。しかし、
地熱蒸気環境中には腐食性物質として硫化水素ガスとと
もに塩素イオン、硫酸イオン、砒素などを含んだ熱水も
含んでいるため、腐食によるタービンロータの長期間の
運用に支障をきたしている。特に、砒素が含有されてい
る地熱蒸気環境下においては、タービンロータに応力腐
食割れが生じ、問題となっている。これは地熱蒸気中に
含まれていた砒素がスケールとして堆積し、応力腐食割
れを起こしたと考えられる。
【0003】次に、砒素による応力腐食割れ発生機構に
ついて説明する。環境より水素原子がタービンロータ材
に侵入すると、タービンロータ材は脆化し、引張応力下
で応力腐食割れを起こす。環境より侵入する水素源とし
ては、タービンロータ材の主要構成元素である鉄の腐食
反応(アノード反応) Fe → Fe2++2e に伴うカソード反応があげられる。 (a) 2H+ +2e → 2Hads (b) 2Hads → H2
【0004】一般には、反応(a)に続いて反応(b)
によりタービンロータ表面の水素原子Hads の大部分は
分子半径の大きい水素分子H2 となり、タービンロータ
に水素が侵入することはない。しかし、砒素がタービン
ロータ表面に堆積していると、(b)の反応が抑制さ
れ、タービンロータに原子半径の小さい水素原子が侵入
し、応力腐食割れを起こすことになる。また、このよう
な応力腐食割れをできるだけ防止するためには、タービ
ンロータの基本的な材料特性として切欠靭性や耐食性に
優れていることが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記タービンロータの
応力腐食割れを防止するためには、まず、タービンロー
タ材の主要構成元素である鉄の腐食反応(アノード反
応)を最小限にする。すなわち、タービンロータ材の耐
食性を良好にし、それに伴うカソード反応を防ぐことが
重要である。さらに、カソード反応が生じた場合には、
反応(b)を速やかに促進し、原子半径の小さい水素原
子を水素ガスに変換することにより、水素原子がタービ
ンロータに侵入するのを防ぐことが肝要である。さら
に、水素原子がタービンロータに侵入し、タービンロー
タ材が脆化したとしても応力腐食割れが生じないように
十分な切欠靭性を有していることが重要である。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は切欠靭性、耐食性および
耐応力腐食割れ性に優れたタービンロータを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のタービンロータは以下の請求項1乃至請求
項4に記載した合金組成を用いたことを特徴とする。す
なわち、請求項1の発明は、重量比で、C:0.05〜0.30
%,Si:1.0 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:0.3
〜3.0 %,Cr:8.0 〜13.0%,Mo:0.3 〜2.0 %,
V:0.10〜0.35%,NbおよびTaのうち少なくとも1
つ:0.01〜0.15%,N:0.01〜0.10%,Cu:0.1 〜1.
0 %,残部がFeおよび付随的不純物からなるか、さら
にB:0.0003〜0.0030%およびW:0.1 〜2.0 %のうち
少なくとも1つ含む合金組成を用いたことを特徴とす
る。
【0008】請求項2の発明は、重量比で、C:0.10〜
0.35%,Si:0.3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:
2.0 〜4.5 %,Cr:1.0 〜2.5 %,Mo:0.3 〜1.0
%,V:0.10〜0.20%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部がF
eおよび付随的不純物からなるか、さらにB:0.0003〜
0.0030%およびAl:0.02〜0.10%のうち少なくとも1
つ含む合金組成を用いたことを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、重量比で、C:0.10〜
0.35%,Si:0.3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:
0.3 〜2.0 %,Cr:0.5 〜3.0 %,Mo:0.3 〜2.0
%,V:0.10〜0.35%,Nb:0.01〜0.15%,Cu:0.
1 〜1.0 %,残部がFeおよび付随的不純物からなる
か、さらにW:0.1 〜2.0 %,N:0.01〜0.10%,B:
0.0003〜0.0030%およびAl:0.02〜0.10%のうち少な
くとも1つ含む合金組成を用いたことを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、重量比で、C:0.10〜
0.35%,Si:0.3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:
0.3 〜2.0 %,Cr:0.5 〜3.0 %,Mo:0.3 〜2.0
%,V:0.10〜0.35%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部がF
eおよび付随的不純物からなるか、さらにB:0.0003〜
0.0030%およびAl:0.02〜0.10%のうち少なくとも1
つ含む合金組成を用いたことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明のタービンロータによれば、従来のター
ビンロータよりも切欠靭性、耐食性および耐応力腐食割
れ性にすぐれたタービンロータを提供することができ
る。
【0012】本発明者は種々の合金組成から製作された
タービンロータを試作、実験した結果、次の如き知見が
得られた。 (1)C(炭素) 炭素は焼入れ時におけるオーステナイト相を安定にし、
さらに炭化物を生成して強度を高めるが、そのためには
0.05%以上は必要である。しかし、0.35%を越えると炭
化物が過剰となり、かえって強度を低下させるだけでな
く、切欠靭性を低下させる。よって炭素の量は0.05〜0.
35%とするが、好ましくは0.10〜0.25%である。
【0013】(2)Si(シリコン) シリコンは溶解時の脱酸剤として添加されるが、これを
多量に添加するとその一部が酸化物として鋼中に残留し
切欠靭性に悪影響を及ぼす。従って、シリコンの添加量
は1.0 %以下とするが、好ましくは0.3 %以下である。
【0014】(3)Mn(マンガン) マンガンはシリコンと同様に、溶解時の脱酸・脱硫剤と
して添加されるが、これを多量に添加すると切欠靭性が
低下するので、添加量は1.0 %以下とするが、好ましく
は0.3 〜0.8 %である。
【0015】(4)Ni(ニッケル) ニッケルはオーステナイト生成元素であり、焼入加熱時
のオーステナイト相を安定にし、また、焼入冷却時にフ
ェライト相の生成を防止するのに有効であるが、そのた
めには0.3 %を越える添加が必要である。しかし、4.5
%を越えて添加すると、変態温度が下がり好ましくはな
いので、添加量は0.3 〜4.5 %とするが、好ましくは0.
5 〜2.0 %である。
【0016】(5)Cr(クロム) クロムは酸化を防止するとともに、強度の向上を図るの
に必要な元素である。この目的のためには0.5 %以上の
添加が必要であるが、13.0%を越えると切欠靭性や強度
が低下するので、0.5 〜13.0%の範囲とするが、好まし
くは請求項1の発明では9.5 〜11.5%であり、請求項2
〜4の発明では0.8 〜2.0 %である。
【0017】(6)Mo(モリブデン) モリブデンは強度の向上を図り、また、脆化を防止する
のに有効な元素である。そのためには少くとも0.3 %以
上の添加が必要であるが、2.0 %を越えると切欠靭性や
強度が低下するので、0.3 〜2.0 %の範囲とするが、好
ましくは0.7 〜1.5 %である。
【0018】(7)V(バナジウム) バナジウムは強度を向上させるのに有効な元素である。
この目的のためには0.10%以上の添加が必要であるが、
0.35%を越えると切欠靭性や強度が低下するので、0.10
〜0.35%の範囲とするが、好ましくは0.15〜0.20%であ
る。
【0019】(8)N(窒素) 窒素は強度の向上に有効な元素である。0.01%未満では
その効果が乏しく、一方0.10%を越えて添加すると切欠
靭性が低下するので、0.01〜0.10%の範囲とするが、好
ましくは0.03〜0.08%である。
【0020】 (9)Nb(ニオブ)またはTa(タンタル) ニオブまたはタンタルは類似の性質を有する元素で、結
晶粒の微細化に効果がある。また、炭素や窒素と炭・窒
化物を生成して強度向上に寄与する。その効果を発揮さ
せるためには、ニオブ、タンタルの少なくとも1つ以上
について0.01%以上の添加が必要である。しかし、0.15
%を越えて添加すると、逆に粗大な炭・窒化物を形成し
て切欠靭性を低下させるので、0.01〜0.15%の範囲とす
るが、好ましくは0.02〜0.10%である。
【0021】(10)Cu(銅) 銅は比較的少量でも耐食性を著しく改善するのに有効な
元素である。また、カソード反応が生じた場合でも、銅
はカソード反応(b)を速やかに促進し、原子半径の小
さい水素原子を水素ガスに変換する作用があるので、水
素原子がタービンロータに侵入することはなく、タービ
ンロータの応力腐食割れを防止することができる。この
目的のためには0.1 %以上の添加が必要であるが、1.0
%を越えると切欠靭性や強度が低下するので、0.1 〜1.
0 %の範囲とするが、好ましくは0.3 〜0.8 %である。
【0022】(11)W(タングステン) タングステンは固溶強化により、強度の向上に有効な元
素である。その効果を発揮させるためには、0.1 %以上
の添加が必要である。しかし、2.0 %を越えて添加する
と切欠靭性を低下させるので、0.1 〜2.0 %の範囲とす
るが、好ましくは0.3 〜1.0 %である。
【0023】(12)B(ボロン) ボロンは焼入れ性を向上させるとともに、切欠靭性を向
上させるのに有効な元素である。0.0003%未満ではその
効果が十分ではなく、0.0030%を越えて添加すると切欠
靭性が低下するとともに、製造加工中に割れが生じやす
くなるため、添加量は、0.0003%〜0.0030%とするが、
好ましくは0.0008〜0.0020%である。
【0024】(13)Al(アルミニウム) アルミニウムは脱酸剤、脱窒剤として有効な元素であ
り、切欠靭性を向上させるが、0.02%未満ではその効果
が十分ではなく、また、0.10%を越えて添加すると切欠
靭性が低下するため、添加量は0.02%〜0.10%とする
が、好ましくは0.05〜0.08%である。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例について詳
細に説明する。 (実施例1〜6)実施例1〜6の合金鋼は、表1に示す
ような所定の合金組成になるように原料を配合して高周
波真空溶解で溶解後、金型に鋳込んでインゴットを得
た。このインゴットの表面を機械加工で削り落した後、
重油炉に装入し、1200℃に加熱してプレス鍛造を行
い、直径30mmの丸棒に鍛伸した。なお、比較のために
用いた比較例1の組成も表1に示すものであり、本実施
例と同様な製法によって直径30mmの丸棒を得た。この
比較例1は従来より火力発電の高温用タービンロータに
使用されている12%Cr鋼に相当する。熱処理条件を表
2に示す。
【0026】次に、それぞれの供試材を機械加工して試
験片を作製し、引張試験、シャルピー衝撃試験および応
力腐食割れ試験を行った。引張試験およびシャルピー衝
撃試験結果を表3に、また、応力腐食割れ試験結果を表
4に示す。引張試験は室温で行い、表3には破断後の伸
び、絞りも合わせて示してある。また、シャルピー衝撃
試験は室温から200℃までの範囲の複数の温度で実施
し、破面遷移温度を求めた。応力腐食割れ試験は試験片
に60kgf /mm2 の応力をかけ、地熱環境中に6ケ月間
曝露して割れの有無を評価した。
【0027】表3に示した試験結果から、本発明にかか
る実施例1〜6は比較例1に比べて同等以上の良好な切
欠靭性を有している。また、表4に示した試験結果か
ら、本発明にかかる実施例1〜6は比較例1に比べて格
段に良好な耐応力腐食割れ性を有している。
【0028】本実施例1〜6のタービンロータは、耐応
力腐食割れ性が従来のタービンロータに比べて格段に優
れているだけでなく、良好な切欠靭性を有しているた
め、火力発電の高温用タービンロータや高低圧一体型タ
ービンロータとしても使用可能である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】(実施例7〜11)実施例7〜11及び比
較例2は表5に示すような所定の合金組成になるように
原料を配合して高周波真空溶解で溶解後、金型に鋳込ん
でインゴットを得た。このインゴットの表面を機械加工
で削り落した後、重油炉に装入し、1200℃に加熱し
てプレス鍛造を行い、直径30mmの丸棒に鍛伸した。な
お、比較例2の組成は従来より火力発電の低温用タービ
ンロータに使用されている3.5 %NiCrMoV鋼に相
当する。表6に熱処理条件を示す。
【0034】次に、それぞれの供試材を機械加工して試
験片を作製し、引張試験、シャルピー衝撃試験および応
力腐食割れ試験を行った。引張試験およびシャルピー衝
撃試験結果を表7に、また、応力腐食割れ試験結果を表
8に示す。引張試験は室温で行い、表7には破断後の伸
び、絞りも合わせて示してある。また、シャルピー衝撃
試験は室温から200℃までの範囲の複数の温度で実施
し、破面遷移温度を求めた。応力腐食割れ試験は試験片
に60kgf /mm2 の応力をかけ、地熱環境中に6ケ月間
曝露して割れの有無を評価した。
【0035】表7に示した試験結果から、本発明にかか
る実施例7〜11は比較例2に比べて同等以上の良好な
切欠靭性を有している。また、表8に示した試験結果か
ら、本発明にかかる実施例7〜11は比較例2に比べて
格段に良好な耐応力腐食割れ性を有している。
【0036】本実施例7〜11のタービンロータは、耐
応力腐食割れ性が従来のタービンロータに比べて格段に
優れているだけでなく、良好な切欠靭性を有しているた
め、火力発電の低温用タービンロータとしても使用可能
である。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】(実施例12〜18)実施例12〜18及
び比較例3,4は表9に示すような所定の合金組成にな
るように原料を配合して高周波真空溶解で溶解後、金型
に鋳込んでインゴットを得た。このインゴットの表面を
機械加工で削り落した後、重油炉に装入し、1200℃
に加熱してプレス鍛造を行い、直径30mmの丸棒に鍛伸
した。なお、比較例3の組成は従来より火力発電の高温
用タービンロータに使用されている1%CrMoV鋼に
相当する。また、比較例4の組成は従来より地熱発電の
タービンロータに使用されている1%CrMoV鋼に相
当する。熱処理条件を表10に示す。次に、それぞれの
供試材を機械加工して試験片を作製し、引張試験、シャ
ルピー衝撃試験および応力腐食割れ試験を行った。引張
試験およびシャルピー衝撃試験結果を表11に、また、
応力腐食割れ試験結果を表12に示す。引張試験は室温
で行い、表11には破断後の伸び、絞りも合わせて示し
てある。また、シャルピー衝撃試験は室温から200 ℃ま
での範囲の複数の温度で実施し、破面遷移温度を求め
た。応力腐食割れ試験は試験片に60kgf /mm2 の応力
をかけ、地熱環境中に6ケ月間曝露して割れの有無を評
価した。
【0042】表11に示した試験結果から、本発明にか
かる実施例12〜18は比較例3や比較例4に比べて同
等以上の良好な切欠靭性を有している。また、表12に
示した試験結果から、本発明にかかる実施例12〜18
は比較例3,4に比べて格段に良好な耐応力腐食割れ性
を有している。
【0043】本実施例12〜18のタービンロータは、
耐応力腐食割れ性が従来のタービンロータに比べて格段
に優れているだけでなく、良好な切欠靭性を有している
ため、一般には耐食性や耐応力腐食割れ性が地熱発電に
おけるほどは必要とされない火力発電の高温用タービン
ロータや高低圧一体型タービンロータとしても使用可能
である。
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
【表11】
【0047】
【表12】
【0048】(実施例19〜23)実施例19〜23及
び比較例5,6は表13に示すような所定の合金組成に
なるように原料を配合して高周波真空溶解で溶解後、金
型に鋳込んでインゴットを得た。このインゴットの表面
を機械加工で削り落した後、重油炉に装入し、1200
℃に加熱してプレス鍛造を行い、直径30mmの丸棒に鍛
伸した。なお、比較例5の組成は従来より火力発電の高
温用タービンロータに使用されている1%CrMoV鋼
に相当する。また、比較例6の組成は従来より地熱発電
のタービンロータに使用されている1%CrMoV鋼に
相当する。熱処理条件を表14に示す。次に、それぞれ
の供試材を機械加工して試験片を作製し、引張試験、シ
ャルピー衝撃試験および応力腐食割れ試験を行った。引
張試験およびシャルピー衝撃試験結果を表15に、ま
た、応力腐食割れ試験結果を表16に示す。引張試験は
室温で行い、表15は破断後の伸び、絞りも合わせて示
してある。また、シャルピー衝撃試験は室温から200
℃までの範囲の複数の温度で実施し、破面遷移温度を求
めた。応力腐食割れ試験は試験片に60kgf /mm2 の応
力をかけ、地熱環境中に6ケ月間曝露して割れの有無を
評価した。
【0049】表15に示した試験結果から、本発明にか
かる実施例19〜23は比較例5や比較例6に比べて同
等以上の良好な切欠靭性を有している。また、表16に
示した試験結果から、本発明にかかる実施例19〜23
は比較例5,6に比べて格段に良好な耐応力腐食割れ性
を有している。
【0050】本実施例19〜23にかかるタービンロー
タは、耐応力腐食割れ性が従来のタービンロータに比べ
て格段に優れているだけでなく、良好な切欠靭性を有し
ているため、一般には耐食性や耐応力腐食割れ性が地熱
発電におけるほどは必要とされない火力発電の高温用タ
ービンロータや高低圧一体型タービンロータとしても使
用可能である。
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】
【表16】
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のタービン
ロータは、良好な切欠靭性を有するとともに耐食性や耐
応力腐食割れ性が極めて優れているため、地熱発電のよ
うな腐食環境で使用可能であり、タービンロータの長時
間安定運用に大いに寄与することができる。また、火力
発電の高温用タービンロータや高低圧一体型タービンロ
ータとしても使用可能であり、その場合、切欠靭性が良
好であるため破壊に対する抵抗が大きくなり、長時間運
用に対する信頼性が著しく向上するという優れた効果を
奏する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:0.05〜0.30%,Si:1.
    0 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:0.3 〜3.0 %,C
    r:8.0 〜13.0%,Mo:0.3 〜2.0 %,V:0.10〜0.
    35%,NbおよびTaのうち少なくとも1つ:0.01〜0.
    15%,N:0.01〜0.10%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部が
    Feおよび付随的不純物からなるか、さらにB:0.0003
    〜0.0030%およびW:0.1 〜2.0 %のうち少なくとも1
    つ含む合金組成を用いたことを特徴とするタービンロー
    タ。
  2. 【請求項2】 重量比で、C:0.10〜0.35%,Si:0.
    3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:2.0 〜4.5 %,C
    r:1.0 〜2.5 %,Mo:0.3 〜1.0 %,V:0.10〜0.
    20%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部がFeおよび付随的不
    純物からなるか、さらにB:0.0003〜0.0030%およびA
    l:0.02〜0.10%のうち少なくとも1つ含む合金組成を
    用いたことを特徴とするタービンロータ。
  3. 【請求項3】 重量比で、C:0.10〜0.35%,Si:0.
    3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:0.3 〜2.0 %,C
    r:0.5 〜3.0 %,Mo:0.3 〜2.0 %,V:0.10〜0.
    35%,Nb:0.01〜0.15%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部
    がFeおよび付随的不純物からなるか、さらにW:0.1
    〜2.0 %,N:0.01〜0.10%,B:0.0003〜0.0030%お
    よびAl:0.02〜0.10%のうち少なくとも1つ含む合金
    組成を用いたことを特徴とするタービンロータ。
  4. 【請求項4】 重量比で、C:0.10〜0.35%,Si:0.
    3 %以下,Mn:1.0 %以下,Ni:0.3 〜2.0 %,C
    r:0.5 〜3.0 %,Mo:0.3 〜2.0 %,V:0.10〜0.
    35%,Cu:0.1 〜1.0 %,残部がFeおよび付随的不
    純物からなるか、さらにB:0.0003〜0.0030%およびA
    l:0.02〜0.10%のうち少なくとも1つ含む合金組成を
    用いたことを特徴とするタービンロータ。
JP32762791A 1991-12-11 1991-12-11 タービンロータ Pending JPH05163556A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1996021747A1 (en) * 1995-01-13 1996-07-18 Hitachi Metals, Ltd. High hardness martensitic stainless steel with good pitting corrosion resistance
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