JPH05162666A - ゴムクロ−ラ用芯金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はゴムクロ−ラに関し、主として建設
機械や土木作業機械の走行に利用されるゴムクロ−ラの
芯金の構造にかかるものである。 【構成】 ゴム弾性体中に埋設される左右の翼部と、こ
れを結ぶ中央部と、当該中央部をはさみ、かつ翼部の幅
よりも前後にずらして突出させた一対の角部と、この角
部の両外側に、翼部の幅よりも前後にずらして突出した
補助突起を形成してなるゴムクロ−ラ用芯金であって、
角部の突出部と、補助突起の突出部との間に隙間を形成
すると共に、反対側より突出した補助突起を前記隙間に
嵌り合う突出部としたことを特徴とするゴムクロ−ラ用
芯金。 【効果】 本発明は、ゴムクロ−ラが傾斜地を走行した
り小石上に乗り上げたりしても脱輪を発生することがな
く、芯金の破損も著しく低減されたゴムクロ−ラ用芯金
となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴムクロ−ラに関し、主
として建設機械や土木作業機械の走行に利用されるゴム
クロ−ラの芯金の構造にかかるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、建設機械や土木作業機械において
鉄シュ−クロ−ラが走行部として用いられていたが、近
年になりゴムクロ−ラがその走行部として採用されるよ
うになってきた。このゴムクロ−ラはゴム弾性体を無端
の帯状としたもので、その幅方向に横並べされた多数の
芯金をゴム中に埋設し、これをスチ−ルコ−ド（抗張
体）にて外囲いした構造であって、ゴム製であるが故に
乗員に対して伝わる振動を低減することとなり、更には
舗装路面を走行しても路面を傷付けることがないため、
好んで使用されることとなったのである。これら建設機
械や土木作業機械において、一般には鉄シュ−クロ−ラ
とゴムクロ−ラがいずれも装着可能となっており、機体
に備え付けられた転輪が、ゴムクロ−ラの内周面に突出
する芯金の角部の頂面上を転動するものである。

【０００３】図１は、建設機械等に用いられているゴム
クロ−ラにおける芯金のうち、代表的な芯金の平面図を
示したものである。即ち、図において、１はゴムクロ−
ラを構成するゴム弾性体中に埋設される翼部であり、２
はスプロケット歯との係合部である。この係合部２は、
一般的にはスプロケット歯に合せて表面を円形となし、
翼部１よりも幅のせまい断面カマボコ型をしている。そ
して、この係合部２をはさんで、ゴムクロ−ラの内面よ
り突出する角部３が一対形成されている。この角部３
は、機体に備えられた転輪４との外れを防止する機能と
共に、角部３の頂面５は転輪４が通過転動する転動面と
なっている。

【０００４】さて、図１にて示す芯金の角部３の頂面５
上を転輪４が転動する際、転輪４が角部３の頂面５に乗
り上げる際にあっては、機体重量を角部の頂面５の特に
膨出部６₁ が受けるために、芯金は片持ち状となり芯金
が傾くことは避けられない。従って、転輪４はこの傾き
と共にやや沈む傾向にある。そして、転輪４が芯金の頂
面５の中央域にある場合には、転輪４は元の高さにもど
ることとなるが、次に、転輪４が転動の結果、芯金の頂
面５の膨出部６₂に達すると、機体重量によって先とは
逆方向に傾くこととなり、転輪４は再度沈みこむことと
なる。

【０００５】以上の現象をまとめてみると、芯金の頂面
を転動する転輪は、浮沈を繰り返すこととなり、上下動
をしながら転動していくことになる。このため、乗員に
対しての振動は常に起こっており、この振動防止の対策
は急務となっていた。即ち、ブルド−ザ−やパワ−ショ
ベルのような大型の機械に用いられるゴムクロ−ラにあ
っては、転輪の通過に伴って芯金がその都度左右に傾く
傾向にあり、これは乗員に対する振動発生源となるばか
りでなく、このため、脱輪を生じる恐れもあり改善が求
められていた。

【０００６】このため、図２に示すように芯金の角部３
の先端をのばすと共に、この先端を前後にて嵌合しあう
ように凹部７、８を形成し、これを隣り合う芯金に用い
て順次角部３の先端を嵌合させることが提案されてい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、このゴムク
ロ−ラにあっては、前記したような転輪の沈み込みはか
なり阻止できるものの別の欠点も指摘されている。即
ち、ゴムクロ−ラが走行中に小石等に乗り上げた場合、
ゴムクロ−ラはクロ−ラの内周面が反り返るいわゆる逆
反り現象を生じる。このことは、角部３、３が相互に離
れる方向に曲げられることであり、このため、前記した
角部３、３の嵌合が解かれ脱輪の原因ともなる。

【０００８】更に、これだけでなく、ゴムクロ−ラが傾
く場合には芯金が横方向にずれることとなり、角部３、
３の先端同士が衝突しあうこととなる。このため、角部
３、３の先端が破損することがあり、転輪４が脱輪して
しまうことともなる。又、ゴムクロ−ラが傾斜地を走行
すれば、芯金はどうしても横方向にずれることとなる
が、図の如き例にあっては、隣り合う芯金間で一点支持
となり、これ又角部の破損を引きおこすこととなる。

【０００９】即ち、図において、芯金Ａに対し芯金Ｂが
Ｘ方向にずれた場合には、芯金Ａの左側の角部３の外側
と、芯金Ｂの左側の角部３の内側面のみが夫々支え合う
こととなり、力がここに集中し、角部３の破損につなが
るのである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、これらの従来
の技術における課題を解決すべくなされたものであっ
て、その発明の要旨は、ゴム弾性体中に埋設される左右
の翼部と、これを結ぶ中央部と、当該中央部をはさみ、
かつ翼部の幅よりも前後にずらして突出させた一対の角
部と、この角部の両外側に、翼部の幅よりも前後にずら
して突出した補助突起を形成してなるゴムクロ−ラ用芯
金であって、角部の突出部と、補助突起の突出部との間
に隙間を形成すると共に、反対側より突出した補助突起
を前記隙間に嵌り合う突出部としたことを特徴とするゴ
ムクロ−ラ用芯金にかかるものであって、一般的には、
前記補助突起は、翼部面よりも***した面を有し、場合
によっては、これが翼部の幅方向略中央にて前後に分断
されているものである。

【００１１】

【作用】本発明は、上記したように芯金の前後に突出し
た角部と補助突起との間の隙間に、隣りに配置された芯
金の補助突起の反対側の先端が嵌り合うようにされてい
るため、例えゴムクロ−ラに横ずれの力が働いても、こ
の嵌り合いがはずれることがなくなるものである。又、
この嵌り合いは、隣り合う芯金間で左右２ケ所あるた
め、ゴムクロ−ラにねじれの力が働いてもこれがはずれ
ることはなく、ゴムクロ−ラと転輪やアイドラ−との間
の脱輪を生ずることはなくなる。

【００１２】又、芯金間での接触が生じたとしても、前
記の２ケ所にて接触するため、接触部における負担荷重
が半分に減少し、損傷も防止できることとなったのであ
る。

【００１３】尚、建設機械や土木作業機械のゴムクロ−
ラに芯金として使用される場合、通常は鉄シュ−クロ−
ラとの交換可能とされるが、この場合、転輪は角部の頂
面を転動することとなるが、転輪の形状によっては、補
助突起の頂面を転動してもよく、場合によっては、角部
の頂面と補助突起の頂面とを同時に転動面としてもよい
ことは勿論である。

【００１４】

【実施例】以下、図面を用いて更に本発明の構成を詳細
に説明する。図３は、本発明のゴムクロ−ラ用芯金の第
１実施例を示す平面図であり、図４は、その側面図であ
る。図にあって、符号１０は芯金を示し、１１、１２は
ゴムクロ−ラの主体となるゴム弾性体中に埋設される左
右の翼部である。１３はこの翼部１１、１２を連結する
中央部であり、一般には駆動力を伝達するスプロケット
（図示せず）との係合部である。このスプロケット係合
部１３をはさんで、翼部１１、１２に角部１４、１５が
形成される。この角部１４、１５は、芯金１０の翼部１
１、１２の幅よりも前後にずらして突出されており、こ
の角部１４、１５の突出部を１４₁ 、１５₂ とする。

【００１５】一方、この角部１４、１５の両外側に補助
突起１６、１７が形成され、この補助突起１６、１７
は、芯金１０の翼部１１、１２の幅よりも前後に突出し
ており、その突出部を１６₁ 、１６₂ 、１７₁、１７₂
とする。図にて分るように、紙面において芯金１０の下
向きに突出している突出部を１６₁ 、１７₁ とし、上向
きに突出している突出部を１６₂ 、１７₂ とする。

【００１６】さて、角部１４の下向きの突出部１４₁
と、補助突起１６の下向きの突出部１６₁ との間に、ほ
ぼ突出部１６₂ の幅が嵌合される程度の隙間１８₁ を形
成し、同様に角部１５の上向きの突起部１５₂ と、補助
突起１７の上向きの突出部１７₂ の間も同様な隙間１８
₂ を形成する。逆に言えば、補助突起の突起部１６₂ 、
１７₁ は前記の隙間１８₁ 、１８₂ の間に嵌り合うだけ
の幅とするものであり、図例にあっては外角部が欠如し
た状態に形成されている。

【００１７】図５は、ゴム弾性体（図示せず）中に埋設
された、芯金１０の状態を示すものである。図からも分
るように、ゴム弾性体中に埋設された芯金１０にあって
は、角部１４と補助突起１６との間にて構成された隙間
１８₁ に、補助突起１６の突出部１６₂ が嵌り、反対側
の角部１５と補助突起１７とで形成された隙間１８₂ に
は、補助突起１７の突出部１７₁ が嵌り合うこととな
る。

【００１８】このように、本発明の芯金にあっては、ゴ
ム弾性体中に隣接して埋設される芯金間で、隙間１８
₁ 、１８₂ と補助突起１６₂ 、１７₁ とが順次嵌り合う
こととなり、このため、ゴムクロ−ラ内で芯金が横ずれ
したり、ねじれたりする力が働いても、その嵌合は容易
にはずれることなく、転輪とスプロケットとの脱輪の発
生は極めてすくなくなったものである。尚、図例のよう
に、角部１４、１５は側面からみて常に重り合っている
のが振動の低減上好ましいものである。

【００１９】図６は、本発明のゴムクロ−ラ用芯金１０
の第２実施例を示す平面図であり、補助突起１６、１７
は、芯金１０の翼部１１、１２の幅方向中央において２
つに分割されている例である。他の構成は前例と同じで
ある。

【００２０】これらの図例で分る通り、ゴム中に埋設さ
れて隣り合う芯金間は、相互の嵌合部分が２ケ所づつ存
在し、接触による負荷は２分されるため、嵌合部分の破
損等も少なくなる。これらの各例にあって、補助突起１
６、１７は転輪の転動面として利用されるよう、翼部１
１、１２よりもやや背が高く形成されており、この突起
１６、１７の頂面はゴムクロ−ラの内周面に露出させる
ように、翼部１１、１２がゴム中に埋設されるものであ
る。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、以上の通りの構成であるため
に、ゴムクロ−ラが傾斜地を走行したり小石上に乗り上
げたりしても脱輪を発生することがなく、芯金の破損も
著しく低減されたゴムクロ−ラ用芯金となったものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は従来のゴムクロ−ラにおける芯金の平面
図である。

【図２】図２は改良型芯金の平面図である。

【図３】図３は本発明のゴムクロ−ラ用芯金の第１実施
例を示す平面図である。

【図４】図４は図３に示す芯金の側面図である。

【図５】図５はゴム弾性体中に埋設された芯金の状態を
示すものである。

【図６】図６は本発明のゴムクロ−ラ用芯金の第２実施
例を示す平面図である。

【符号の説明】

１０‥‥芯金、 １１、１２‥‥芯金の翼部、 １３‥‥芯金の中央部（係合部）、 １４、１５‥‥芯金の角部、 １４₁ 、１５₂ ‥‥角部の突出部、 １６、１７‥‥補助突起、 １６₁ 、１６₂ 、１７₁ 、１７₂ ‥‥補助突起の突出
部、 １８₁ 、１８₂ ‥‥角部の突出部と補助突起の突出部と
の間の隙間。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴム弾性体中に埋設される左右の翼部
   と、これを結ぶ中央部と、当該中央部をはさみ、かつ翼
   部の幅よりも前後にずらして突出させた一対の角部と、
   この角部の両外側に、翼部の幅よりも前後にずらして突
   出した補助突起を形成してなるゴムクロ−ラ用芯金であ
   って、角部の突出部と、補助突起の突出部との間に隙間
   を形成すると共に、反対側より突出した補助突起を前記
   隙間に嵌り合う突出部としたことを特徴とするゴムクロ
   −ラ用芯金。
2. 【請求項２】 前記補助突起は、翼部面よりも***した
   面を有する請求項第１項記載のゴムクロ−ラ用芯金。
3. 【請求項３】 前記補助突起は、翼部の幅方向略中央に
   て前後に分断されている請求項第１項記載のゴムクロ−
   ラ用芯金。