JPH0516061U - 自動正・逆回転ねじ立て盤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 減速及び切り込み機能を備えて、各種回転式
工作機械に装着して加工作業を行なうことができ、且つ
ねじ立て加工サイズの適用範囲を広めた自動正・逆回転
ねじ立て盤を提供することを目的とする。 【構成】 そのハウジング（１）頂端部に中空テーパシ
ャンク（２）を枢着し、該テーパシャンク（２）の回転
速度を減速する減速ギアセット（３）及び、該ハウジン
グ（１）下部内周面に沿って滑動する滑り座（41）と、
該滑り座（41）を押し上下動させる操作棒（43）と、該
操作棒（43）を復帰させる復元ばね（44）とからなる切
り込み制御装置（４）並びに、該滑り座（41）内部に上
記減速ギアセット（３）よりの出力を変換制御するベベ
ルギア（52，53）よりなる正・逆回転ギアセット（５）
と更に、その下端にねじタップ（Ｔ）を固持し、頂端に
上記ベベルギア（52，53）と係合して正または逆回転す
る出力軸（63）を備えたクラッチ逆転装置（６）より構
成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動正・逆回転ねじ立て盤に関し、特に減速及び切り込み機能を備え て、各種回転式工作機械に装着して加工作業を行なうことができ、且つねじ立て 加工サイズの適用範囲を広めた自動正・逆回転ねじ立て盤に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ねじ立て加工は、良く常用される機械加工の一種であり、主として、回転する ねじタップを工作物のきりもみされた孔に切り込ませて雌ねじのねじ立てをする もので、古くから特定の部品専用ねじ立て盤には、例えば、ナットねじ立て盤な どがあるが、この類いの専用ねじ立て盤は高価なうえ機能が専一かつ特定されて おり、そのため、特定の製品加工だけに適し、多様な加工を施す作業には適用し 難い。それで、一般のボール盤など回転式工作機械に取付け、該回転式工作機械 の回転及び切り込み機能を利用して、特定製品のねじ立て加工を行なうと共に、 多様なねじ立て加工にも適用できるねじ立て盤が開発されたわけであるが、一般 のねじ立て加工作業の切削屑の発生によるねじタップの破損を防止するため、作 業中切削屑を取り出すことが必要であり、そのため、ねじタップを手動進退させ ていたが、手動では動作が確実でなく熟練を要旨し、ねじタップを破損し易いこ とに着眼し、ついに、この頻繁に行なわれる進退反覆動作を半自動的に行なう正 逆回転のねじ立て盤が出回るとなった。その主な構成は、例えば図21に示す如く 、その伝動軸Ａをボール盤にスピンドルと連結して駆動されるようにボール盤の 把持具に連結し、そのハウジングＣを該ボール盤のフレームに上下動操作可能に 、かつ回転しないように保持させる。そして、該ハウジングＣ内に挿入した伝動 軸Ａに、その下方に駆動凸起Ｄ１を備えた主動歯車Ｄを一体回転するように設け 、該主動歯車Ｄに第１の遊動歯車Ｆが“反転”されるように噛み合わせると共に 、該第１の遊動歯車Ｆに第２の遊動歯車Ｇが“正回転”するように噛み合い、更 に該第２の遊動歯車Ｇには、その上方に駆動凸起Ｈ１を備えて反転するように従 動歯車Ｈが噛合し、そして、該従動歯車Ｈ芯部には、その頂端周壁に従動凸起Ｂ １を設けた出力軸Ｂが遊嵌し、該出力軸Ｂを上下動手段の操作により該従動凸起 Ｂ１を上記駆動凸起Ｄ１またはＨ１に係着させることから、該出力軸Ｂが正また は逆回転出来るようにし、他方、該出力軸Ｂの上記主動歯車Ｄと従動歯車Ｈとの 間に上下動手段を構成する復元ばねＩを外嵌して、通常は出力軸Ｂを主動歯車Ｄ 側に付勢当接させて、該従動凸起Ｂ１を駆動凸起Ｄ１内に嵌着係止させて正回転 し、上下動手段がばねに抗して出力軸Ｂを上下動させると、従動凸起Ｂ１と駆動 凸起Ｈ１が互いに係合して逆転するようにする。すなわち、この種のねじ立て盤 の正・逆転駆動装置は、１正転歯車、１逆転歯車、及び２つの遊動歯車から構成 され、該２つの遊動歯車を該正・逆転歯車の間に噛合せて出力軸Ｂの正・逆転を 制御するのであり、ギア比が旨い具合に正回転の速度が遅く逆転の速度が速いよ うな特性を備え、上下動手段の下動手段としては、主として一般ボール盤の手動 レバーを押して出力軸Ｂを下降させ、該出力軸Ｂ先端に装着させた工具を回転切 り込み及びねじ立て作業を行なわせ、所定深さに至ってレバーを放しても工具が 工作物に食い込んで上動せず、出力軸Ｂが復元ばねＩを圧着して、上記従動凸起 Ｂ１に駆動凸起Ｈ１を嵌着係止させて、自動的に逆転してねじタップを捩り出す のである。言換えると、この種ねじ立て盤は正・逆転伝動装置及び工具が工作物 に引っ付けられる作用を利用した自動クラッチ装置を設けており、ねじ立て加工 を所定の深さまで行なった後、ねじタップが逆転してねじ孔から捩り出させるよ うにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし乍ら、このような従来の半自動的な正・逆回転ねじ立て盤には、尚も、 次のような問題点がある。即ち、その歯車セットの減速比は範囲が限られている ので好ましい低速が得難く、その結果、大きいトルクを得られず、加工可能な範 囲が狭く作業能率が低いし、逆に回転を速めると熟練を要し、失敗が多くなると 共に工具の破損率も高くなる。

【０００４】 この考案は、上記従来のねじ立て盤における問題点に鑑み、減速及び切り込み 機能を備えて、自動的に正・逆回転でき、各種回転式工作機械に適用して、その 加工範囲を大幅に広めたねじ立て盤を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記の目的を達成するために、そのハウジング頂端部に中空テー パシャンクを枢着しており、その入力端部を該テーパシャンク内部に嵌挿して、 該テーパシャンクの回転速度を減速する減速ギアセットと；該ハウジング下部内 周面に沿って滑動する滑り座と、該滑り座を押して上下動させる操作棒と、該操 作棒を付勢して滑り座と共に原状に回転復帰させる復元ばねとからなる切り込み 制御装置及び、該滑り座内部に設けられて、上記減速ギアセットよりの正回転出 力を適時に正または逆回転に変換制御するよう軸向きに相対したベベルギアとこ れらベベルギアの間にアイドルベベルギアを介装してなる正・逆回転ギアセット 並びに、その下端にねじタップを固持し、頂端に上記相対するベベルギアの何れ かと係合して正または逆回転する出力軸を備えたクラッチ逆転装置を、それぞれ 該ハウジング内部又は適所に設けた構成を提供する。

【０００６】 そして、上記減速ギアセットを、上記テーパシャンク下端に軸着されて入力端 となる中心太陽歯車と、上記ハウジング上側内周壁に固着される外周太陽歯車と 、該中心太陽歯車と外周太陽歯車に噛合して遊星歯車キャリヤに枢着された複数 の遊星歯車とで形成し、及び上記滑り座が滑動する上記ハウジング内周面に軸向 きにラックを装設し、該ハウジング外周壁に該ラックと噛合する駆動ピニオンギ アを設ければ一層好ましい。

【０００７】

【作用】

上記のように構成された、この考案は、そのハウジング頂端面に装着されたテ ーパシャンクを工作機械の駆動軸に結合させれば、該工作機械駆動軸の回転作動 にともないテーパシャンクが正回転をすると共に、該テーパシャンク下端内部に 嵌挿した減速ギアセットの入力端も正回転をなし、更に該減速ギアセットによっ て減速された出力が、ハウジング内周壁に沿って滑動する滑り座内に設けられた 正・逆回転ギアセットに伝動され、該正・逆回転ギアセットの複数ベベルギアを 適宜に配置することにより、上記減速ギアの出力に駆動される上側ベベルギアは 正回転するが、該上側ベベルギアに対応した下側ベベルギアは逆回転をなすよう に構成され、上記滑り座の上下滑動を制御する切り込み制御装置を適宜に作動す ることにより、該滑り座が上昇または下降滑動して、その下端にねじタップを固 持したクラッチ逆転装置の出力軸頂端を、該滑り座内に設けられた上記相対する ベベルギアの何れかに係合させれば、該出力軸下端のねじタップが正または逆回 転をすることができ、該減速ギアセットによって工作機械からの回転速度を減速 してねじり強さを増大すると共に、切り込み制御装置により滑り座が切り込みや 原位置に自動復帰できる。

【０００８】 そして、上記減速ギアセットを、上記テーパシャンク下端に軸着されて入力端 となる中心太陽歯車と、上記ハウジング上側内周壁に固着される外周太陽歯車と 、該中心太陽歯車と外周太陽歯車に噛合して遊星歯車キャリヤに枢着された複数 の遊星歯車とで形成し、及び上記滑り座が滑動する上記ハウジング内周面に軸向 きにラックを装設し、該ハウジング外周壁に該ラックと噛合する駆動ピニオンギ アを設けられると、上記の減速や正・逆回転、または滑り座に対する制御がより 確実になる。

【０００９】

【実施例】

この考案の上記またはその他の目的、特徴および利点は、図面を参照しての以 下の実施例の詳細な説明から一層あきらかとなろう。

【００１０】 図１〜４に示す如く、この考案は、ハウジング１、テーパシャンク２、減速ギ アセット３、切り込み制御装置４、正・逆回転ギアセット５、クラッチ逆転装置 ６などを組合せてなり；そのうち、図５〜８も一緒に参照すれば分かるように、

【００１１】 該ハウジング１は、上側ハウジング11と下側ハウジング12を嵌接して組合せら れて、工作機械のフレームなど固定機構と定まった向きに当接して静止固定され 、かつ該下側ハウジング12内周面に沿って軸心線向きの滑り溝13を設け、該滑り 溝13と相対する該下側ハウジング12周壁に接して、図３に示すように、軸心線向 きと直交するギア室14を該下側ハウジング12内側の一箇所に開口するように取付 けている。

【００１２】 該テーパシャンク２は、上記上側ハウジング11頂端面中央に枢着し、その外周 壁21がテーパ周面に形成されると共に、該テーパ外周壁21底端に相対する扇形の 嵌着体22からなる連結部23を形成して、ねじ立て盤の動力受入端部として回転式 工作機械主軸の把持孔に固持され、該工作機械主軸の駆動を受けてハウジング１ に対して回転し、かつ、その軸心線に沿って軸孔24が貫設されている。

【００１３】 そして、図７に示すように、該減速ギアセット３は、遊星歯車セットで形成さ れ、中心太陽歯車31、外周太陽歯車32、複数の遊星歯車33、及び遊星歯車キャリ ヤ34などを含み、該中心太陽歯車31は直接上記テーパシャンク２下端に一体軸装 されて、該テーパシャンク２の伝動によって入力端部となり、該外周太陽歯車32 は上記上側ハウジング11内周壁に固着され（図示では、該外周太陽歯車32を直接 該上側ハウジング11内周壁に一体成型している）、該複数の遊星歯車33は等間隔 に該遊星歯車キャリヤ34に枢支され、それぞれ中心太陽歯車31と外周太陽歯車32 に噛合して自転しながら、該中心太陽歯車31を公転するように該両太陽歯車31， 32の間を回転移動し、更に、該遊星歯車キャリヤ34を駆動して回転軸心を所定の 減速比の出力端部に形成し、回転速度を低めて出力すると共に、トルク出力の適 用可能な範囲を拡大してねじ立て加工の範囲を大きくし、かつ上記テーパシャン ク２の軸孔24に対応して、その中心部に軸心線方向のスプライン35を設ける。

【００１４】 図８に示す如く、上記上下動手段をなす該切り込み制御装置４は、上記下側ハ ウジング12内周面に沿って滑動する滑り座41と、上記下側ハウジング12の滑り溝 13に対応して該滑り座41周壁に軸心線向きの滑動キー411 を凸設して、該滑り座 41が該ハウジング１内で滑り作動するようにガイド規制する。そして、上記ギア 室14の内側開口に臨んで軸線方向に沿ってラック412 を設けて、該ギア室14内に 回転自在に装着された駆動ピニオンギア42に噛合わせ、該滑り座41をハウジング １内で上下滑動できるように回転駆動する。他方、該ギア室14より突出した駆動 ピニオンギア42軸端に操作棒43を装着して、該駆動ピニオンギア42を回動させる ことにより該滑り座41が滑動するようにし、及び復元ばね44の両端をそれぞれ該 駆動ピニオンギア42とギア室14内周壁に固着して、その捩れ弾力により自動的に 該駆動ピニオンギア42と操作棒43が本来の位置に回転復帰できるようにし、かつ 該滑り座41も連動されて自動的に元来の位置に上昇回復できるようにする。また 、第１図に示す如く、該駆動ピニオンギア42を枢着したハウジング１のギア室14 端縁に切り込み深度表示目盛り45を形成して、切り込み深度（即ち、滑り座41の 滑動距離）を読み取ることができ、観察できるようにすれば使用者が便利である 。

【００１５】 続いて、図２〜４を参照すれば分かるように、該正・逆回転ギアセット５は、 上記切り込み制御装置４の滑り座41内部に設けられて、該滑り座41に随って上下 に移動するようにされ、主として、上記減速ギアセット３の出力スプライン35に 嵌合して、該減速ギアセット３に対して従動回転と軸線方向に上下滑動可能な入 力スプライン軸51と、支承座521 の螺着固定により該滑り座41に枢着把持され、 かつ該入力スプライン軸51下端に一体連結される正回転ベベルギア52と、同様に 、該支承座521 によって上記正回転ベベルギア52に対向して該滑り座41に枢着さ れる逆回転ベベルギア53と、上記正・逆回転ベベルギア52，53ともに噛合して、 該減速ギアセット３の出力を同時に同一軸に軸着して異なる方向に回転する正・ 逆回転ベベルギア52，53に伝動する、少なくとも一個または一個以上の等径アイ ドルベベルギア54とからなり、そのうち、該入力スプライン軸51及び正・逆回転 ベベルギア52，53の中心部に、それぞれ軸孔511 や522, 532を穿設して上記テー パシャンク２の軸孔24と連通するように形成されている。

【００１６】 該クラッチ逆転装置６は、図２〜６に示す如く、上記正・逆回転ベベルギア52 ，53の互いに相対する面上に、それぞれに従動して正・逆回転する係合体61，62 に固設し、該係合体61，62の軸心にそれぞれ係合凹み612, 622を備えた伝動軸孔 611, 621を開設すると共に、該両伝動軸孔611, 621の間及び上記軸孔511, 522, 532 との間を滑動し且つハウジング１底端より伸出する出力軸63を設け、更に該 出力軸63底端に把持具631 を装設してタッピングチャック65を挿着固持し、該タ ッピングチャック65によってねじタップＴを挟持できるようにする。そして、該 出力軸63上端縁の上記正・逆回転の係合体61，62に対応する箇所に、上記係合凹 み612, 622に嵌着する一対の係合ブロック632 を径方向に向けて凸設し、かつ該 出力軸63頂端面よりその長さが軸心線に沿って上方へ伸出して軸孔511 を縦貫し て入力スプライン軸51頂端部上方に至る連結ボルト633 を螺締し、そのボルトヘ ッド下底と入力スプライン軸51との間にクラッチばね64を周設して、弾力拡張す る作用によりボルト633 を介して出力軸63の係合ブロック632 が上向きに復帰し て正回転の係合体61の係合凹み612 内に嵌着し、該出力軸63を伝動して正回転を なさせるようにすると共に、滑り座41が下動されると一体に該出力軸63がボルト 633 を介しクラッチばね64を圧縮して下に移動する時、その係合ブロック632 も 下に移動して逆回転係合体62の係合凹み622 に嵌着して、該出力軸63が自動的に 逆回転できるようにする。

【００１７】 上記のように組立られた、この考案の実施例におけるねじ立て盤の使用操作は 、図９に示すように、先ず、テーパシャンク２の連結部23を回転式工作機械（例 えば、フライス盤など）の主軸の把持孔内に挿着固持させ、次にハウジング１を 定まった向きに工作機械のフレームなどに当接させて静止固定し、かつタッピン グチャック65を出力軸63の把持具631 に嵌挿し、並びにねじタップＴを該タッピ ングチャック65に装着して、最後に加工物を定位置にバイスで取付けた後、工作 機械を始動してテーパシャンク２を回転させる。この際、図８に示すように、復 元ばね44及びクラッチばね64の作用により切り込み制御装置６の出力軸63の係合 ブロック632 は、正回転係合体61の係合凹み612 に当接係止した連動位置に付い て、その伝動経路は、正回転のテーパシャンク２→正回転の太陽歯車31→正回転 かつ減速をなす遊星歯車キャリヤ（図７の如く）→正回転の入力スプライン軸51 →正・逆回転ベベルギア52，53→正・逆回転の係合体61，62→正回転の出力軸63 →正回転のタッピングチャック65→正回転のねじタップＴのコースを経由し、即 ち、該出力軸63はねじタップＴを正回転に連動させてねじ立て加工の方向に回転 する。

【００１８】 若し、ねじ立て加工の際、切り込み操作をさせる場合は、図10〜13に示すよう に、操作棒43を回動させれば（図10に示す如く）駆動ピニオンギア42及び滑り座 41が連動されて下方に移動し、そのため、滑り座41内の正・逆回転ギアセット５ とクラッチ逆転装置６も一体に下方移動し（図１に示す如く）、この際、操作棒 43の押す力は滑り座41の下方移動に伴って出力軸63に伝達すると共に、クラッチ ばね64の拡張弾力作用により、切り込み加工中、該クラッチ逆転装置６の出力軸 63は持続的に正回転の係合体61と当接係止（図12，13に示す如く）し、そして、 それによりねじタップＴが持続的に正回転をしながら下方に移行してねじ立て加 工を遂行する。また、そのねじ立て加工中、ねじタップＴはそれ自体のねじ立て 成型したねじ山にガイドされて持続的に切り込み進むので、操作上、もう圧力を タップＴに加える必要がなく、持続的に切り込みねじ立て作動を保ち、他方、操 作棒43を回動してねじ立て切り込み作業を進める際、第１図に示すように、切り 込み深度表示目盛り45を装備して、先ずねじ立て深度を設定してからねじ立て加 工を行ない、随時ねじ立て深度を確認できるようにする。

【００１９】 そして、図14，15，16に示す如く、ねじタップＴが所定の深度まで切り込んだ 時（例えば、毎３回転切り込むと１回転捩り返す作業操作の３回転切り込んだ時 、或いはねじタップＴ先端が所定深度に達した時）、図10に示す如く、該操作棒 43を緩め放すと、復元ばね44の回復弾力（図８の如く）から滑り座41が小幅に上 昇付勢され、この際、ねじタップＴは尚も加工物の中に停滞しているので、出力 軸63は該滑り座41に伴って上昇せず、即ち、該滑り座41に相対して下降したもの となり、クラッチばね64を圧縮して係合ブロック632 が正回転の係合体61から離 脱し、それ故、この時ねじタップＴは空転をなして切り込みも捩り戻しもしない 。

【００２０】 更に、図17〜19に示す如く、ねじタップＴを所定深度まで切り込ませ、並びに 操作棒43を緩め放して（図10に示すように）、該出力軸63を滑り座41に相対して 下降させて空転（上記作動ステップに継続して）をなすようにした後も、該出力 軸63は持続的に滑り座41に相対して下降（実際は、出力軸63は不動で滑り座41が 上昇している）し、それにより係合ブロック632 が迅速に逆回転の係合体62に嵌 合係着して、該出力軸63が自動的にねじタップＴを連動して逆転捩り戻し動作を なす。

【００２１】 他方、図20に示す如く、上記自動逆転捩り戻し作動において、該ねじタップＴ の捩り戻しは、やはり既にねじ立て成形したねじ山に沿って漸次捩り出されるも ので、切り込み制御装置４の復元ばね44（図８の如く）の弾力は持続的にピニオ ンギア42を介して滑り座41を引き上げ、この弾力は更に出力軸63に伝達されて、 そのねじタップＴを捩り戻し上げるように付勢する。しかしながら、復元ばね44 の弾性係数はクラッチ逆転装置６のクラッチばね64より大きくされており、従っ て、復元ばね44の反動力から出力軸63がクラッチばね64を弾圧屈伏させることが でき、逆回転の係合体62との嵌合係着が保持され得て、持続的に逆回転の捩り戻 し作動を行なう。そして、出力軸63が段々とねじタップＴを捩り上げ、該滑り座 41が最頂端部に上昇復帰すれば、復元ばね44は出力軸６に対して弾力作用を解消 するものとなるが、クラッチばね64は尚も出力軸63に当接係止しているので、そ れが滑り座41に相対して上昇し、係合ブロック632 が段々と逆回転の係合体62か ら離脱して空転状態を呈し、更に元来の位置に復帰上昇して正回転の係合体61に 嵌合係着する（図11に示す如く）と共に、出力軸63が再び正回転して次の切り込 み作動に備えるのである。

【００２２】

【考案の効果】

この考案を実施することにより次の効果を奏する。 （１）減速ギアセットを増設しているので、回転式工作機械の駆動回転数を低 減してその捩り作動力を強め、比較的硬い材料の加工にも使用でき、並びにより 大きい孔径の加工作業にも適用できることとなり、従って、その加工できる範囲 が拡大されて多種の加工に適応できる。例えば、若しその減速比を１：２に設定 すれば、一般の回転式工作機械の最低駆動回転数60〜80Ｒ，Ｐ，Ｍを、更に30〜 40Ｒ，Ｐ，Ｍまでに低減させ、かつそのねじ立て可能な孔径を約24mmの範囲まで に拡張できる。

【００２３】 （２）自体に独立した切り込み制御装置を設けているので、一般の各種回転式 工作機械に適用することができ、かつ操作上、工作機械の膨大な切り込み機構を 反覆して動かす必要がなく操作が敏活軽快である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の立体表面図である。

【図２】該実施例の部分立体分解図である。

【図３】図２のＩ部位に接続する部分の立体分解図であ
る。

【図４】図３のII部位に接続する部分の立体分解図であ
る。

【図５】図１における III−III 線の断面表示図であ
る。

【図６】図１におけるIV−IV線の断面表示図である。

【図７】図６におけるＶ−Ｖ線の断面表示図である。

【図８】図６におけるVI−VI線の断面表示図である。

【図９】本考案の実施例の伝動状態表示図である。

【図10】本考案の実施例における切り込み制御装置の作
動表示図である。

【図11】本考案の実施例における切り込み作動表示図で
ある。

【図12】本考案の実施例の切り込み過程における自動ク
ラッチ逆転装置の作動表示図である。

【図13】図12におけるXI−XI線の断面表示図である。

【図14】本考案の実施例における空転状態表示図であ
る。

【図15】本考案の実施例が空転している際におけるクラ
ッチ逆転装置の作動表示図である。

【図16】図15における XIV−XIV 線の断面表示図であ
る。

【図17】本考案の実施例におけるタップ捩り戻し状態表
示図である。

【図18】本考案の実施例のタップ捩り戻しの際における
クラッチ逆転装置の作動表示図である。

【図19】図18におけるXVII−XVII線の断面表示図であ
る。

【図20】本考案の実施例の捩り戻し過程の際におけるク
ラッチ逆転装置の作動表示図である。

【図21】従来のねじ立て盤の構造概略図である。

【符号の説明】

１…ハウジング ２…テーパシャンク ３…減速ギアセット 31…中心太陽歯車 32…外周太陽歯車 33…遊星歯車 34…遊星歯車キャリヤ ４…切り込み制御装置 41…滑り座 412 …ラック 42…駆動ピニオンギア 43…操作棒 44…復元ばね ５…正・逆回転ギアセット 52，53…ベベルギア 54…アイドルベベルギア ６…クラッチ逆転装置 63…出力軸 Ｔ…ねじタップ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 そのハウジング（１）頂端部に中空テー
   パシャンク（２）を枢着しており、その入力端部を該テ
   ーパシャンク（２）内部に嵌挿して、該テーパシャンク
   （２）の回転速度を減速する減速ギアセット（３）を備
   え、該ハウジング（１）下部内周面に沿って滑動する滑
   り座（41）と、該滑り座（41）を押して上下動させる操
   作棒（43）と、該操作棒（43）を付勢して滑り座（41）
   と共に原状に回転復帰させる復元ばね（44）とからなる
   切り込み制御装置（４）を有し、該滑り座（41）内部に
   設けられて、上記減速ギアセット（３）よりの正回転出
   力を適時に正または逆回転に変換制御するよう軸向きに
   相対したベベルギア（52，53）とこれらベベルギア（5
   2，53）の間にアイドルベベルギア（54）を介装してな
   る正・逆回転ギアセット（５）を設け、その下端にねじ
   タップ（Ｔ）を固持し、頂端に上記相対するベベルギア
   （52，53）の何れかと係合して正または逆回転する出力
   軸（63）を備えたクラッチ逆転装置（６）を配設し、前
   記それぞれの装置を該ハウジング（１）内部又は適所に
   設けてなることを特徴とする自動正・逆回転ねじ立て
   盤。
2. 【請求項２】 上記減速ギアセット（３）を、上記テー
   パシャンク（２）下端に軸着されて入力端となる中心太
   陽歯車（31）と、上記ハウジング（１）上側内周壁に固
   着される外周太陽歯車（32）と、該中心太陽歯車（31）
   と外周太陽歯車（32）との間に噛合して遊星歯車キャリ
   ヤ（34）に枢着された複数の遊星歯車（33）とで形成し
   てなることを特徴とする請求項１記載の自動正・逆回転
   ねじ立て盤。
3. 【請求項３】 上記滑り座（41）が滑動する上記ハウジ
   ング（１）内周面に軸向きにラック(412）を装設し、該
   ハウジング（１）外周壁に該ラック(412）と噛合する駆
   動ピニオンギア（42）を設けてなることを特徴とする請
   求項１または２のいづれか１項に記載の自動正・逆回転
   ねじ立て盤。