JPH05154624A - 溶湯供給ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 均等な湯流を得る。 【構成】 一対の平行な鋳造ロール上に配置され、上部
へ供給された金属湯流６５を内部に形成された送湯路６
２を介して下部の送出溝６９から鋳造ロールのロール間
隙へ注入するようにした供給ノズル１９において、上部
に金属湯流６５を受ける樋６１を設けると共に、該樋６
１の一方の側壁面６４に、垂直に落下してきた金属湯流
６５が鋭角に衝突するよう傾斜した面を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は金属ストリップの鋳造に
使用される溶湯供給ノズルに関するものである。また、
本発明はとくに鉄金属ストリップの鋳造に応用される
が、それに限定されるものではない。

【０００２】

【従来の技術】アルミニウムのような非鉄金属の鋳造で
は、双ロール鋳造機による連続鋳造が知られている。回
転中の一対のロール表面にそれぞれ湯を凝固させ、それ
をロール間隙で１つに合せ、さらにロール間隙の出口で
凝固したストリップ製品となるよう、冷却された一対の
互いに逆方向に回転する水平鋳造ロールの間に湯を送り
込む。このロール間隙への注湯は、タンディッシュと、
タンディッシュからの湯流を受けとめ、それをロール間
隙へ導くようタンディッシュの下に配置した溶湯供給ノ
ズルとによって行うことができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】双ロール鋳造機は冷却
によって急速に凝固する非鉄金属の鋳造に応用され、か
なりの成果を上げているが、この技術を鉄金属の鋳造に
応用する場合にはいくつかの問題がある。このような問
題の１つとしてとくに、鉄金属の鋳造では小さな湯流の
むらでも欠陥につながるおそれがあるため、ロール間隙
の幅全体にわたって非常に均等に湯流を配分しなければ
ならない。以前の提案では、必要とされる均等な湯流を
達成するため、溶湯供給ノズル内にバッフル（阻流板）
やフィルタを備え付けることによって落下湯流の運動エ
ネルギーを減少させ、ノズル送出口から滑らかで均等な
湯流を供給する。これらの提案はある程度の成功は収め
たものの、一般に非常に狭い送出口を通じて鋳造ロール
間隙の湯溜へ湯を供給するため、湯流を細く制限する必
要がある。本発明では、適度に滑らかで均等な湯流を得
るための代替技術を提供する。この技術を用いれば、湯
流の調節がこれまでよりも容易になり、また、ノズル送
出口を従来より広い幅の溝とすることができる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、一対
の平行な鋳造ロール上に配置され、上部へ供給された金
属湯流を内部に形成された送湯路を介して下部の送出溝
から鋳造ロールのロール間隙へ注入するようにした溶湯
供給ノズルにおいて、上部に金属湯流を受ける樋を設け
ると共に、該樋の一方の側壁面に、垂直に落下してきた
金属湯流が鋭角に衝突するよう傾斜した面を形成したこ
とを特徴とする溶湯供給ノズルにかかるものである。

【０００５】請求項２の発明は、樋の傾斜した側壁面
を、垂直方向と成す角度が下方へ進むに従い大きくなる
湾曲面とした溶湯供給ノズルにかかるものである。

【０００６】請求項３の発明は、樋と送出溝とを結ぶ送
湯路に、樋の傾斜した側壁面に沿って流れて来た金属湯
流を反転させる上方湾曲部と、金属湯流を垂直下方へ導
く下方垂直部とを形成した溶湯供給ノズルにかかるもの
である。

【０００７】請求項４の発明は、送湯路と送出溝との間
に段差部を形成した請求項１記載の溶湯供給ノズルにか
かるものである。

【０００８】請求項５の発明は、樋の傾斜した側壁面
に、水平方向へ伸びる起伏部を形成した溶湯供給ノズル
にかかるものである。

【０００９】

【作用】請求項１の発明によれば、金属湯流を受ける樋
の一方の側壁面に形成された傾斜した面に、垂直に落下
してきた金属湯流が鋭角に衝突すると、金属湯流が傾斜
面によって横へ広げられると共に、傾斜面に沿って流さ
れ、この時、金属湯流の持つ運動エネルギーが減少され
る。

【００１０】請求項２の発明によれば、樋の傾斜した側
壁面を、垂直方向と成す角度が下方へ進むに従い大きく
なる湾曲面としたことにより、金属湯流の持つ運動エネ
ルギーが徐々に減少されるようになる。

【００１１】請求項３の発明によれば、樋と送出溝とを
結ぶ送湯路に形成された上方湾曲部により、樋の傾斜し
た側壁面に沿って流れて来た金属湯流が反転される時
に、金属湯流の持つ運動エネルギーが更に減少される。

【００１２】請求項４の発明によれば、送湯路と送出溝
との間に形成された段差部により、金属湯流の持つ運動
エネルギーが更に減少される。

【００１３】請求項５の発明によれば、樋の傾斜した側
壁面に、形成された水平方向へ伸びる起伏部により、金
属湯流の持つ運動エネルギーが更に減少される。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００１５】図１〜図５は、本発明の一実施例である。

【００１６】図示する鋳造機は、工場の床１２の上で機
械全体を支える主機械フレーム１１を備えている。主機
械フレーム１１は、組立ステーション１４と鋳造ステー
ション１５の間を水平方向に移動可能な鋳造ロール台車
１３を支持する。鋳造ロール台車１３には、鋳造作業中
に取瓶１７からタンディッシュ１８および溶湯供給ノズ
ル１９を通じて注湯を受ける、一対の平行な鋳造ロール
１６が取り付けられている。鋳造ロール１６は、回転中
の各ロール表面に湯が凝固され、それがロール間隙で１
つに合せられ、さらにロールの出口から凝固した製品金
属ストリップ２０となって出てくるよう水冷式とする。
この金属ストリップ２０は標準的なコイラ２１で巻き取
り、場合によっては後で第２のコイラ２２に巻きかえ
る。主機械フレーム１１には鋳造ステーション１５に隣
接して容器２３が取り付けてあり、タンディッシュ１８
の溢流口２４を通じて、また、鋳造作業中に金属ストリ
ップ２０の重大な形成不良や他の重大な動作不良が生じ
た場合にはタンディッシュ１８側面の緊急プラグ２５を
抜き取ることによって、この容器２３へ湯を流し込むこ
とができる。

【００１７】鋳造ロール台車１３は主機械フレーム１１
の一部に沿って延びるレール３３上に車輪３２によって
配置された台車フレーム３１より構成され、鋳造ロール
台車１３全体はレール３３に沿って移動可能なように取
り付けられている。台車フレーム３１にはロール受けが
備えてあり、ここへ鋳造ロール１６を回転可能なように
取り付ける。鋳造ロール台車１３は、組立ステーション
１４と鋳造ステーション１５の間を鋳造ロール台車１３
が往復運動できるよう鋳造ロール台車１３の駆動ブラケ
ット（腕木）４０と主機械フレーム１１とを接続する複
動式油圧ピストンおよびシリンダ装置３９の作用によっ
て、レール３３に沿って移動することができる。

【００１８】鋳造ロール１６は、台車フレーム３１に取
り付けた電動モータとトランスミッション（動力伝達装
置）によって駆動軸４１を通じて互いに逆方向に回転す
る。鋳造ロール１６は、銅製の外壁と、縦方向に延び、
円周方向に間隔をおいて並んだ冷却水路を備えており、
回転パッキン押さえ４３を通じて給水ホース４２と接続
した駆動軸４１内の給水路から鋳造ロール１６端部を通
じてここへ冷却水が供給される。鋳造ロール１６は、幅
１３００ｍｍの金属ストリップ２０が製造できるよう、
直径を約５００ｍｍ、長さを１３００ｍｍとするのが一
般的である。

【００１９】取瓶１７は完全に従来通りの構造であり、
また、給水ステーションから作業位置まで取瓶１７を移
動できる天井クレーンとヨーク（二又フレーム）４５を
通じて連結されている。取瓶１７にはサーボシリンダに
よって作動する湯止め棒４６が備えてあり、これによっ
て取瓶１７からタンディッシュ１８へ送出ノズル４７お
よび耐熱シュラウド（囲み板）４８を通じて湯を供給す
る。

【００２０】タンディッシュ１８も従来通りの構造であ
る。タンディッシュ１８は、防食裏張りとともに鋳造可
能な高アルミナのような耐熱材によって、幅の広い皿と
して形成されている。タンディッシュ１８の一方の側へ
は取瓶１７から湯が供給されるが、この側面には前述の
溢流口２４と緊急プラグ２５が備えられている。タンデ
ィッシュの１８の他方の側には、縦方向に間隔をおいて
注湯口５２が並んでいる。タンディッシュ１８の下部に
はタンディッシュ１８を台車フレーム３１に取り付ける
ための取り付けブラケット５３が備えてあり、さらにこ
の取り付けブラケット５３には、タンディッシュ１８の
位置を正確に定めるため台車フレーム３１の位置合わせ
ペグ（突出部）５４とかみ合わせる開口部が設けられて
いる。

【００２１】溶湯供給ノズル１９は、アルミナ黒鉛のよ
うな耐熱材によって細長い形状に形成する。溶湯供給ノ
ズル１９の下部は、鋳造ロール１６の間のロール間隙へ
突出するよう、内側および下方へ向かって先細りになっ
ている。溶湯供給ノズル１９を台車フレーム３１上で支
持するために取り付けブラケット６０を備え、さらに溶
湯供給ノズル１９上部に外側へ突き出たサイド・フラン
ジ（つば）５５を設けて、これを取り付けブラケット６
０上に配置する。

【００２２】溶湯供給ノズル１９は、タンディッシュ１
８の注湯口５２を通じて下方へ流れ落ちる湯を受けとめ
るために上方が開いた樋６１と、樋６１の底から下方の
送出溝６９まで伸びる送湯路６２を有し、送出溝６９は
さらに鋳造ロール１６の間のロール間隙へと縦に伸び
る。本発明に従えば、事実上垂直な側壁面６３と送湯路
６２の上端まで下方に傾斜する反対側の側壁面６４との
間が樋６１となる。従って、樋６１の底と送湯路６２の
上端は、送出溝６９を含む溶湯供給ノズル１９の中心面
より側方へずれて位置する。

【００２３】湯は複数の垂直な金属湯流６５となってタ
ンディッシュ１８の注湯口５２から自由落下し、樋６１
の傾斜した側壁面６４にぶつかるが、その際の衝突角は
湯が傾斜した側壁面６４に密着してそこで広がり、シー
ト状の湯流７０となって下方へ流れるよう鋭角とする。
側壁面６４の位置と傾斜が適切であれば、湯流７０はし
ぶきや乱流をほとんど生じずに素早く円滑に側壁面６４
に密着し、下方へ流れることがわかった。さらに厳密に
いえば、湯流７０の衝突角が１０〜５０度、望ましくは
２０〜４０度の範囲内にあると、湯とノズル耐熱材との
間に働く凝集力によってそこに適切な「湿潤」作用が生
じ、湯が側壁面６４に素早く円滑に密着して溶湯供給ノ
ズル１９の長さに沿って円滑に流れるシート状の湯流７
０が形成されるため、落下する湯流７０の運動エネルギ
ーが急速にしかも円滑に減少することがわかった。

【００２４】樋６１の側壁面６４はシート状の湯流７０
が送湯路６２の上端まで流れるよう内側下方へ向かって
湾曲するが、その際には垂直方向と側壁面６４が成す傾
斜角を徐々に大きくし、シート状の湯流７０の運動エネ
ルギーが徐々に低下するようにする。さらに厳密には、
垂直方向と側壁面６４が成す角度は、側壁面６４上端で
は約２０度に、樋６１の底では約７０度となるよう徐々
に大きくする。金属湯流６５は、衝突角が約３０度とな
る側壁面６４中間部で受け止める。

【００２５】送湯路６２は、樋６１内の湯流７０とは逆
の方向にノズル中間面へ向かって湾曲する上方湾曲部６
６を有する。上方湾曲部６６は、送出溝６９へ伸びる下
方垂直部６７と円滑に連続する。湯流７０の運動エネル
ギーは、溶湯供給ノズル１９内を流れる湯流７０を樋６
１とは逆の横方向に導く送湯路６２の上方湾曲部６６に
よってさらに減少する。運動エネルギーはこの後、送湯
路６２の下方垂直部６７に備えた明確な段差部６８によ
ってさらに減少する。

【００２６】図示した溶湯供給ノズル１９の場合には、
運動エネルギーは３段階にわたって減少する。第１段階
では、湯流７０を側壁面６４でシート状に受け止め、湯
と側壁面６４との間に働く湿潤作用または凝集力によっ
て、また同時に湯流７０を垂直方向から横へそらすこと
によって運動エネルギーを減少させる。第２段階では、
湯流７０を樋６１の流れとは逆の横方向へ導くことによ
って運動エネルギーを減少させる。第３段階では、送出
溝６９の上に位置する送湯路６２の段差部６８によって
さらに運動エネルギーを減少させる。このように運動エ
ネルギーを漸進的段階的に減少させると、鋳造ロール間
隙に湯溜を形成するのに送出溝６９を狭くする必要がな
くなり、これまでよりも広い送出溝６９でも装置の運転
が可能になることがわかった。さらに、従来の装置では
耐熱材の予熱時に送出溝が局所的に広がり、湯流が不均
等となって欠陥が生じる場合があったが、送出溝６９の
幅が広げられることによってそのような欠陥も防止でき
る。

【００２７】本発明に従って構成した典型的な鉄金属鋳
造機においては、タンディッシュ１８の注湯口５２は５
０ｍｍ間隔で並んだ直径８ｍｍの円形の開口部である。
また、送湯路６２の幅は、通常、上端で１０ｍｍ、その
後は徐々に広がって段差部６８では１５ｍｍとなり、送
出溝６９で１〜７ｍｍに減少する。

【００２８】図６および７は、溶湯供給ノズル１９に修
正を加えた他の実施例を示したものであり、落下する金
属湯流６５に対して横方向に樋６１に沿って複数の平行
な波形または起伏部６４ａを側壁面６４に備えている。
起伏部６４ａは、側壁面６４上で湯流７０が全体的な流
れに対して横に広がるのを促進し、従って連続的なシー
ト状の湯流７０のすみやかな形成と湯流７０がもつ運動
エネルギーの減少を補助する働きをする。前述した実施
例と同様、側壁面６４は垂直方向に対する角度を徐々に
増しながら樋６１の下方へ傾斜しており、起伏部６４ａ
を除けば、溶湯供給ノズル１９は図４および図５に示し
た実施例と全く同じである。

【００２９】尚、本発明は、上述の実施例にのみ限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内に
おいて種々変更を加え得ることは勿論である。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１〜５の発
明によれば、均等な湯流を得ることができるという優れ
た効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従って構成され、作動する装置が一体
化した連続ストリップ鋳造機について示した図である。

【図２】本発明に従って構成した溶湯供給ノズルを含
む、図１に示した鋳造機の重要な構成部分の垂直断面図
である。

【図３】図２の断面に対して直交する方向に切断した鋳
造機の重要な構成部分のさらに別の垂直断面図であり
る。

【図４】溶湯供給ノズルの拡大横断面図である。

【図５】複数の落下湯流がノズルの傾斜側壁面に衝突
し、１つのシート状湯流となって側壁面を流れる様子を
示した溶湯供給ノズルの部分斜視図である。

【図６】本発明に従って構成した溶湯供給ノズルの他の
実施例の横断面図である。

【図７】図６のノズルの作動中にシート状湯流が１つに
まとまりやすくなる様子を示した部分斜視図である。

【符号の説明】

１６ 鋳造ロール １９ 溶湯供給ノズル ６１ 樋 ６２ 送湯路 ６４ 側壁面 ６４ａ 起伏部 ６５ 金属湯流 ６６ 上方湾曲部 ６７ 下方湾曲部 ６８ 段差部 ６９ 送出溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィリアム ジョン フォルダ オーストラリア国 ニュー サウス ウェ ールズ ノース ウォロンゴン オーシャ ン ストリート ７／11 (72)発明者 ジョン フリーマン オーストラリア国 ニュー サウス ウェ ールズ カヒバー レマナ プレイス ７

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の平行な鋳造ロール上に配置され、
   上部へ供給された金属湯流を内部に形成された送湯路を
   介して下部の送出溝から鋳造ロールのロール間隙へ注入
   するようにした溶湯供給ノズルにおいて、上部に金属湯
   流を受ける樋を設けると共に、該樋の一方の側壁面に、
   垂直に落下してきた金属湯流が鋭角に衝突するよう傾斜
   した面を形成したことを特徴とする溶湯供給ノズル。
2. 【請求項２】 樋の傾斜した側壁面を、垂直方向と成す
   角度が下方へ進むに従い大きくなる湾曲面とした請求項
   １記載の溶湯供給ノズル。
3. 【請求項３】 樋と送出溝とを結ぶ送湯路に、樋の傾斜
   した側壁面に沿って流れて来た金属湯流を反転させる上
   方湾曲部と、金属湯流を垂直下方へ導く下方垂直部とを
   形成した請求項１記載の溶湯供給ノズル。
4. 【請求項４】 送湯路と送出溝との間に段差部を形成し
   た請求項１記載の溶湯供給ノズル。
5. 【請求項５】 樋の傾斜した側壁面に、水平方向へ伸び
   る起伏部を形成した請求項１記載の溶湯供給ノズル。