JPH0514654U - ２方向差動クラツチの過負荷入力防止構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過負荷入力時における２方向差動クラッチの
破損を防止することを目的とする。 【構成】 インプットギヤの回転が速い時のみスプラグ
を介しインプットギヤの回転を回転軸に伝える２方向差
動クラッチの前記回転軸１に係入穴１ｂを形成し、この
係入穴１ｂに係合するチェックボール１３と、チェック
ボール１３を押圧するコイルスプリング１２を内装した
盲穴９ａを内周面に有するアウトプットギヤ９を前記回
転軸１の外周に設けて構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、２方向差動クラッチにおける過負荷入力を防止する構造に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

従来、自動車等の動力伝達径路内に用いられる２方向差動クラッチは図３に縦 断面図で、又、図４に図３のＡ−Ａ線半断面図で示すような構造となっており、 軸受を介し回転可能に設けられた回転軸１の外周には、隙間をおいて回転可能に 軸受を介しインプットギヤ２が配設されており、回転軸１の外周面と前記インプ ットギヤ２の内周面間には所定間隔で複数のスプラグ８，８，８が介装されてお り、この各スプラグ８，８，８は前記インプットギヤ２の内周面にピン７を介し 固設された外側保持部材６のポケット部と、前記回転軸１の外周に摺動移動可能 に配設された内側保持部材４のポケット間に介装されたものであり、内側保持部 材４はサブギヤ３に皿バネ５を介し圧着されており、このサブギヤ３と前記イン プットギヤ２は、例えばエンジン側のギヤに噛み合わされており、エンジンの回 転力がインプットギヤ２とサブギヤ３に入力されるものとなっている。ところで 、サブギヤ３の歯数はインプットギヤ２の歯数よりも多くされており、そのため 、サブギヤ３の回転はインプットギヤ２の回転よりも遅れるように設定されてお り、図５に示すように、サブギヤ３に圧接されている内側保持部材４はインプッ トギヤ２の回転に対して差速を生じ、内側保持部材４のストッパー１０が外側保 持部材６のポケットの端部に当接するまで図示左方向に内側保持部材４は相対回 転し、これに伴い各スプラグ８が傾動するように構成されており、この場合、回 転軸１の回転の方がインプットギヤ２の回転よりも速ければ、スプラグ８は起立 して回転軸１は空転することとなるが、回転軸１の回転が遅くインプットギヤ２ の回転の方が速い場合には、スプラグ８の傾動によりインプットギヤ２の内周面 と回転軸１の外周面が連結されて、インプットギヤ２の回転が回転軸１に伝えら れる。即ち、この２方向差動クラッチは正逆回転に係わらず、インプットギヤ２ の回転の方が回転軸１の回転よりも速い場合にのみインプットギヤ２の回転力を 回転軸１に伝える構造となっている。 このような回転軸１の外周にはスプライン嵌合によりアウトプットギヤ９が外 嵌されており、このアウトプットギヤ９には例えば車輪側のギヤが噛み合わされ て回転力が車輪側へ伝えられる構造となっている。

【０００３】 このような従来構造においては、回転軸１に対しアウトプットギヤ９は固定さ れているため、過負荷が入力された時に、２方向差動クラッチの内部が破損する ことがあるという問題点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、過負荷入力による破 損を良好に防止し得る構造を提供せんことを目的とし、その要旨は、回転軸の外 周面と、該回転軸の外周に回転可能に配設されたインプットギヤの内周面間に複 数のスプラグを介装させ、前記インプットギヤが前記回転軸よりも速く回転する 時のみ前記スプラグを介しインプットギヤの回転を前記回転軸に伝える２方向差 動クラッチにおいて、前記回転軸の外周に所定間隔で複数の係入穴を形成すると ともに、該係入穴に係合するチェックボールと、該チェックボールを押圧するコ イルスプリングを内装した盲穴を内周面に所定間隔で複数形成してなるアウトプ ットギヤを前記回転軸の外周に緩嵌したことである。

【０００５】

【作用】

インプットギヤからスプラグを介し回転軸に回転が伝えられ、通常は係入穴内 にチェックボールが押圧状に係入されており、回転軸の回転がアウトプットギヤ に伝えられて、アウトプットギヤは回転軸とともに回転し外部に回転力を伝える 。しかし、過負荷が入力された場合には回転軸の係入穴からチェックボールが抜 脱してアウトプットギヤに対し回転軸が空回り状態となり、過負荷はアウトプッ トギヤに伝わらず２方向差動クラッチの破損が良好に防止される。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は前記図３で示した２方向差動クラッチの回転軸の右端部の断面拡大構成 図である。 図に示すように、回転軸１の右端部は小径に形成した小径部１ａとなっており 、この小径部１ａの外周には図２の断面図で示すように、所定間隔で４個のＶ字 状の断面をなす係入穴１ｂ，１ｂ，１ｂ，１ｂが形成されている。

【０００７】 この小径部１ａの外にはアウトプットギヤ９が回転可能に緩嵌されており、ア ウトプットギヤ９の内周面には前記係入穴１ｂに対応する位置に４個の盲穴９ａ ，９ａ，９ａ，９ａが形成されており、この各盲穴９ａ内にはコイルスプリング １２が内装され、コイルスプリング１２の内端側にはチェックボール１３が設け られており、このチェックボール１３が前記コイルスプリング１２の押圧力によ り前記各係入穴１ｂ，１ｂ，１ｂ，１ｂ内に係合された状態となっている。 従って、インプットギヤ２が速く回転してスプラグ８を介し回転軸１にインプ ットギヤ２の回転力が伝えられた場合に、通常の負荷状態では回転軸１の回転は チェックボール１３が係入穴１ｂ内に係合されているためアウトプットギヤ９に 良好に伝えられて、アウトプットギヤ９を介し外部に回転力が伝えられる。

【０００８】 しかし、２方向差動クラッチに過負荷が加わった場合には、前記チェックボー ル１３が係入穴１ｂから抜脱してアウトプットギヤ９に対し回転軸１が空回り状 態となり、過大なトルクがアウトプットギヤ９に伝わることがなく、過負荷時に ２方向差動クラッチの破損が良好に防がれる。

【０００９】

【考案の効果】

本考案は、回転軸の外周面と、該回転軸の外周に回転可能に配設されたインプ ットギヤの内周面間に複数のスプラグを介装させ、前記インプットギヤが前記回 転軸よりも速く回転する時のみ前記スプラグを介しインプットギヤの回転を前記 回転軸に伝える２方向差動クラッチにおいて、前記回転軸の外周に所定間隔で複 数の係入穴を形成するとともに、該係入穴に係合するチェックボールと、該チェ ックボールを押圧するコイルスプリングを内装した盲穴を内周面に所定間隔で複 数形成してなるアウトプットギヤを前記回転軸の外周に緩嵌したことにより、過 負荷入力時に回転軸の係入穴からチェックボールが抜脱してアウトプットギヤに 対し回転軸が空回り状態となり、過負荷がアウトプットギヤ側に伝わることがな く、過負荷時における２方向差動クラッチの破損が良好に防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】回転軸とアウトプットギヤの取付構造の断面拡
大構成図である。

【図２】図１のＢ−Ｂ線断面構成図である。

【図３】従来の２方向差動クラッチの全体縦断面図であ
る。

【図４】図２のＡ−Ａ線半断面図である。

【図５】２方向差動クラッチの作動説明図である。

【符号の説明】

１ 回転軸 １ａ 小径部 １ｂ 係入穴 ２ インプットギヤ ３ サブギヤ ４ 内側保持部材 ６ 外側保持部材 ８ スプラグ ９ アウトプットギヤ ９ａ 盲穴 １２ コイルスプリング １３ チェックボール

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸の外周面と、該回転軸の外周に回
   転可能に配設されたインプットギヤの内周面間に複数の
   スプラグを介装させ、前記インプットギヤが前記回転軸
   よりも速く回転する時のみ前記スプラグを介しインプッ
   トギヤの回転を前記回転軸に伝える２方向差動クラッチ
   において、前記回転軸の外周に所定間隔で複数の係入穴
   を形成するとともに、該係入穴に係合するチェックボー
   ルと、 該チェックボールを押圧するコイルスプリングを内装し
   た盲穴を内周面に所定間隔で複数形成してなるアウトプ
   ットギヤを前記回転軸の外周に緩嵌したことを特徴とす
   るとする２方向差動クラッチの過負荷入力防止構造。