JPH0514053B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、局部洗浄機能を持つ衛生洗浄装置を
便器本体に一体化した水洗便器に関する。

〔従来の技術〕

腰掛式の洋風水洗便器に衛生洗浄装置を取り付
け、この装置によつて局部洗浄を行うようにした
ものが従来から使用されている。この衛生洗浄装
置は、洗浄水を加熱して洗浄に好適な温度とする
と共に、洗浄位置まで進出するノズル装置によつ
て洗浄水を噴出させるものがその典型的な構造で
ある。

この衛生洗浄装置は、ノズル装置や温水タンク
等の機能部をケーシングに内蔵し、このケーシン
グを便器本体に固定する構造が最も一般的に採用
されている。同ケーシングは、便器本体の後部を
跨ぐようにして配置し、操作部を便器本体の左右
に位置させることによつて、その使い勝手の向上
を図つていた。

しかし、便器本体を跨ぐケーシングであれば、
左右の間口寸法も大きくなり、狭い便所に据え付
ける場合等には適切でない。このため、近来では
便器洗浄用の洗浄水タンクを含めて機能部の全体
をケーシングによつて覆うようにしたものも開発
された。

〔発明が解決しようとする問題点〕

この洗浄水タンクを含めてケーシングによつて
カバーするとき、ケーシング形状を適切にしさえ
すれば、洗浄水タンク周りの空間を有効に利用す
ることができる。このため、左右へケーシングが
突き出ることもなく、据付け条件が緩和される。

しかしながら、洗浄水タンクを含めて収納する
ケーシングを便器本体に一体化する従来のものに
おいても、便器本体周りの空間が有効に利用され
ているかについては、疑問の余地がある。すなわ
ち、従来のものは、便器本体の上部にケーシング
を備えた構造であり、その下部の空間は利用され
ずに死んだ状態である。そして、ケーシングによ
つて洗浄水タンクをも収納するのであれば、便器
本体の前後方向の長さを大きくするので、この増
した部分を機能部の収納等に有効に利用できてい
ない結果ともなり、改良すべき点が残つている。

そこで、本発明は、衛生洗浄装置を備える便器
本体周りの空間を有効に利用することによつて機
能の拡充を図ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の水洗便器は、以上の目的を達成するた
めに、便器本体の後部側の側壁を前部側の側壁部
分よりも中央に向けて凹ませた形状とし、前記便
器本体の後部側の上面に、該便器本体のボール部
に連通する洗浄水タンク及び局部洗浄用の衛生洗
浄装置を配置し、これら洗浄水タンク及び衛生洗
浄装置を収納するケーシングを備え、該ケーシン
グは前記便器本体の後部側の凹ませた側壁に臨む
位置まで被さる外郭形状を持ち、前記ケーシング
の便器本体の上面よりも下レベルまでの部分も含
めて機器の収納用の空間としたことを特徴とす
る。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例により本発明の特徴を
具体的に説明する。

第１図は本発明の水洗便器の斜視図、第２図は
衛生洗浄装置の機能部を取り外した状態を示す斜
視図である。

便器本体１の上部には暖房機能を持つ便座１ａ
を備えると共に便蓋１ｂを取り付けている。そし
て、洗浄水タンクを含んで衛生洗浄装置の機能部
を全体の被覆する上ケーシング２０及び下ケーシ
ング２１を便器本体１の後部側に一体化してい
る。

第２図に示すように、便器本体１の後部上面に
はベース３が固定され、このベース３のほぼ半分
の領域を利用して洗浄水タンク４が据付けられて
いる。そして、洗浄水タンク４の前面側に位置す
る部分を衛生洗浄装置の機能部をセツトする領域
として利用する。

衛生洗浄装置の機能部は、後述するバルブユニ
ツトを除いて全て取付基板５の上に配置されてい
る。すなわち、第２図に示すように、取付基板５
には、洗浄水を噴出するノズル装置６、温風乾燥
のためのヒータ付きフアン７、洗浄水をノズル装
置６へ送るための配管ユニツト８等が適切な位置
にレイアウトされている。また、これらの機器の
他に、制御のための回路部品を取り付けるパネル
９を設けると共に、上ケーシング２０の側部には
操作盤１０を備え、更に便座１ａ及び便蓋１ｂの
基端を連接してこれらを開閉する開閉装置１１等
が設けられる。なお、ベース３には、外部の給水
源に接続されて温水タンク１３に給水するバルブ
ユニツト１２が設けられている。

上ケーシング２０は、第３図に示すように、ベ
ース３の領域全体を含めるように下端を開放した
もので、ビス等によつてこのベース３に一体化さ
れる。そして、洗浄水タンク４及び衛生洗浄装置
の全体を収容できる程度の内部容量を持ち、上端
には洗浄水タンク４の保守点検用としての蓋２０
ａを着脱可能に備えている。

一方、下ケーシング２１は、第４図及び第５図
に示すように、左右に別れて一対配置される。こ
のように分けて左右に設けるのは、第６図に示す
ように便器本体１の後部の中央に突き出るように
形成される排水路１ｃを逃げるためである。そし
て、この下ケーシング２１は、ベース３の下面に
ビス等によつて連結され、ベース３よりも下方の
空間を機能部の収納用として利用できる。

下ケーシング２１によつてできるベース３の下
部の空間には、たとえば第２図に示すように、ノ
ズル装置６に洗浄温水を供給する温水タンク１３
をベース３に開けた孔３ａから吊り下げるような
配置とし、この温水タンク１３の収納用として利
用可能である。したがつて、機能部の中で比較的
に占める容積が大きな温水タンク１３をベース３
より上に配置する代わりに、その下方の空間を有
効に利用することによつて、ベース３の上側の収
納機能に余裕を持たせることができる。その結
果、上ケーシング２０を外して内部の機能部を点
検したり部品交換する場合でも、指先や工具等に
よる作業が簡単に行える。

更に、第６図は全体を第１図とは異なつた方向
から見た側面図であり、下ケーシング２１にはベ
ース３下方の空間を利用して消臭カセツトＳの収
納部が設けられている。この収納部は、第７図の
平面図に示すように、下ケーシング２１を上端が
開放した容器状とし、その内部にリトラクタブル
式のチヤンバ２１ａを消臭カセツトＳの収納用と
したものである。このチヤンバ２１ａは、下ケー
シング２１に開閉自在に取り付けられ、消臭カセ
ツトＳの交換を可能としている。そして、このチ
ヤンバ２１ａ内部を便器本体１のボール部に連通
させ、フアン（図示せず）等によつてボール部に
滞留する臭気を吸引すると共に、消臭カセツトＳ
によつて臭気を除いて外部に放出する。

なお、衛生洗浄装置の各種機能の操作や洗浄水
タンク４から便器本体１のボール部への洗浄水の
供給は、通常は第６図に示すように壁面に設けた
リモートコントローラＰを利用する。このリモー
トコントローラＰは、ワイヤレス式としてもよい
し、又はケーブルを利用する等任意である。ま
た、壁面に固定したハンガー（図示せず）に着脱
自在として利用したり、もしくは壁面に直接固定
することもできる。そして、このリモートコント
ローラＰに代えて、操作盤１０を補助的に使用す
ることもできる。

以上のように、ベース３の下方の空間を下ケー
シング２１によつて覆い、温水タンク１３をこの
空間内に収納配置すると共に、一方の下ケーシン
グ２１にはチヤンバ２１ａ内に消臭カセツトＳを
備えている。したがつて、衛生洗浄装置を載せる
便器本体１の上部のみを利用していたのに比べ
て、ベース３の下部空間をも機能部の収納用とし
て活用できるので、衛生洗浄装置の機能を拡充す
ることができる。たとえば、実施例では温水タン
ク１３及び消臭カセツトＳの収納用としている
が、衛生洗浄装置に必要な洗浄水の配管やその他
の機器を組み込むようにすれば、ベース３上に配
置する機能部のスペースに十分な余裕を持たせる
ことができる。このため、組立や保守点検作業等
の容易化が可能となる。

また、図示のように、上ケーシング２０及び下
ケーシング２１は、便器本体１との一体感が強調
されるように、緩やかな曲面を主体とした外郭形
状となつている。このため、表面に付着した埃等
も簡単に雑巾等で拭い取ることができ、常に衛生
的な環境を保つことができる。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明の水洗便器にお
いては、便器本体の後部側に配置するケーシング
は、便器本体の上面側だけでなくその下レベルの
空間までも含めて機能部の収納用として利用でき
る。このため、従来では衛生洗浄装置を載せた便
器本体の上側のみを機能部の収納に利用していた
のに比べて、便器本体の側壁周りの空間を有効的
に利用できる。したがつて、衛生洗浄装置に付帯
する機能部を拡充できるので製品の付加価値を一
層高めることができるほか、機能部を分散して配
置することもできるので、組立てや保守点検がし
やすく、生産性及びメンテナンス性も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す水洗便器の斜
視図、第２図は衛生洗浄装置を外したときの分解
斜視図、第３図は便器本体を除いた縦断面図、第
４図及び第５図は同背面図及び底面図、第６図は
全体の側面図、第７図は一方の側の下ケーシング
の平面図である。 １：便器本体、３：ベース、４：洗浄水タン
ク、５：取付基板、６：ノズル装置、７：フア
ン、８：配管ユニツト、９：パネル、１０：操作
盤、１１：開閉装置、１２：バルブユニツト、１
３：温水タンク、２０：上ケーシング、２１：下
ケーシング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 便器本体の後部側の側壁を前部側の側壁部分
   よりも中央に向けて凹ませた形状とし、前記便器
   本体の後部側の上面に、該便器本体のボール部に
   連通する洗浄水タンク及び局部洗浄用の衛生洗浄
   装置を配置し、これら洗浄水タンク及び衛生洗浄
   装置を収納するケーシングを備え、該ケーシング
   は前記便器本体の後部側の凹ませた側壁に臨む位
   置まで被さる外郭形状を持ち、前記ケーシングの
   便器本体の上面よりも下レベルまでの部分も含め
   て機器の収納用の空間としたことを特徴とする水
   洗便器。