JPH05133937A - 電気泳動用支持体およびそれを用いた電気泳動法 - Google Patents

電気泳動用支持体およびそれを用いた電気泳動法

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JPH05133937A
JPH05133937A JP3260296A JP26029691A JPH05133937A JP H05133937 A JPH05133937 A JP H05133937A JP 3260296 A JP3260296 A JP 3260296A JP 26029691 A JP26029691 A JP 26029691A JP H05133937 A JPH05133937 A JP H05133937A
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temperature
electrophoresis
porous
lcst
polymer compound
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Yuichi Mori
森  有一
Masato Mikami
正人 三上
Hiroshi Yoshioka
浩 吉岡
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 従来の電気泳動法では分離することができな
かった荷電量と分子量がともに同じ成分同士を、その疎
水性・親水性の違いを利用して分離することができるよ
うにした電気泳動法を提供する。 【構成】 本電気泳動法は、温度感応性高分子化合物の
水和と脱水和の転移温度(LCST)を有する水不溶化
温度感応性高分子化合物を含有する電気泳動用支持体お
よびそれを利用した電気泳動法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LCSTを有する水不
溶化温度感応性高分子化合物を含有する電気泳動用支持
体に関する。さらに詳しくは温度を変化させることによ
って親水的性質、疎水的性質を変化させることが可能な
電気泳動用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】電気泳動は電荷を有する物質の分析、分
取を目的として開発されたものであり、今日、主として
タンパク質の最も有力な分析手段である。アミノ酸には
酸性、塩基性、中性があり、アミノ酸から構成されるタ
ンパク質は酸性、塩基性、中性タンパク質に分類され
る。タンパク質は溶液中では正又は負に荷電されていて
この溶液のpHを変化させていくと、正電荷と負電化が
全く等しくなるpHがあり、このpHをタンパク質の等
電点と称して、等電点がpH7以下のものを酸性、pH
7以上のものを塩基性またpH7近傍のものを中性タン
パク質とそれぞれ呼んでいる。したがってタンパク質の
荷電は用いられる溶液のpHと等電点との差によって生
じ電気泳動で分離されることになる。
【0003】従来の電気泳動は泳動の場の違いによって
自由電気泳動法と支持体電気泳動法に分類される。自由
電気泳動法には自由界面電気泳動法、電気泳動対流法、
毛細管中での等速電気泳動法などがありいずれも試料を
自由溶液中で泳動させる方法であるがこの方法は、操作
が煩雑で、分析試料の保存が不可能であり、熱対流によ
ってパターンが乱れるなどの多くの欠点を有していて現
在ではほとんど使用されていない。
【0004】一方、上記の欠点を有する自由電気泳動法
にかわって今日、支持体電気泳動法が盛んに用いられて
いる。支持体電気泳動に用いられている支持体としては
寒天ゲル、アガロースゲル、デンプンゲル、ポリアクリ
ルアミドゲルなどのゲル状物質とろ紙、セルロースアセ
テート膜などの多孔性膜が用いられている。これらの支
持体を用いることによって上記の自由電気泳動法の問題
点が解決された。
【0005】一方、支持体電気泳動法の一つであるゲル
電気泳動法の特徴はゲル状物質の分子篩作用を利用して
分子量によってタンパク質を分離することが可能である
ということである。即ちドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)でタンパク質を処理すると、タンパク質の電気泳動
の易動度を左右する2つの因子である電荷と分子量のう
ち電荷を一様化することが可能であり易動度はタンパク
質の分子量のみに依存し分子量による分離が可能とな
る。またこのゲルにpH勾配を作りタンパク質をその等
電点に集束させることで分離する等電点電荷泳動法も可
能である。
【0006】一方、多孔膜電気泳動法の特徴は電荷の差
異に対する分離能が高く、試料が極く微量で良く、泳動
時間が極めて短く、試料の保存が容易であるなどの実際
的な使い易さにある。このため多孔膜電気泳動法は血
清、尿、髄液などの種々の体液中のタンパク分析に適し
ている。したがってゲル電気泳動法は主として医学、生
物学分野の基礎的研究を行うのに対して適しており多孔
膜電気泳動法は主として臨床検査領域における重要な診
断方法として発展してきた。
【0007】すでにのべたようにタンパク質分子の荷電
と分子量は溶液中のタンパク質の構造を決定する重要な
因子であるがさらに重要な因子と考えられているのが疎
水結合である。即ち水を媒体として作用する疎水結合が
タンパク質の安定化に大きく寄与していてタンパク質の
疎水性が高くなる程、疎水結合のタンパク質構造への寄
与が大きいものと考えられている。
【0008】タンパク質を構成するアミノ酸にはすでに
のべた酸性、塩基性、中性といった荷電による分類以外
に親水性、疎水性といった性質による分類がある。即ち
電気的には中性であるが側鎖に疎水性基を有するアラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチ
オニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどは典型
的な疎水性アミノ酸であるのに対して側鎖に親水性基を
有するグリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アス
パラギン、グルタミンなどは典型的な親水性アミノ酸で
ある。したがって一般的には親、疎水性アミノ酸の組成
と比例してタンパク質の親、疎水性度が決まると考えら
れている。
【0009】すでにのべたように従来の電気泳動法では
タンパク質の荷電密度と分子量の違いのみがタンパク質
の分離に利用されていた。そして、もう1つの重要な因
子であるタンパク質の親、疎水性度の違いを利用した分
離は全く行われていなかった。即ち、分子量と荷電密度
は同程度であるが親、疎水的性質が異なるタンパク質は
従来分離することができなかった。したがって従来の電
気泳動法では、特に疎水性の強いリポタンパク質や、膜
内在性タンパク質などの疎水性部分の相違による分離、
また親水性の強い糖タンパク質の親水性部分の相違によ
る分離はほとんど不可能であるという大きな問題点を有
していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の電気泳動法では不可能であった疎水性度あるいは親水
性度のちがいを利用したタンパク質の分離を可能にする
電気泳動用支持体を提供することにある。また、本発明
は、かかる電気泳動用支持体を用いた新しい電気泳動法
を提供することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は新規な電気
泳動用支持体を提供する本発明によって達成された。本
発明の電気泳動用支持体はLCSTを有する水不溶化温
度感応性高分子化合物を含有することを特徴とする。こ
こでLCST(Lower Critical SolutionTemperature)
とは温度感応性高分子化合物の水和と脱水和の転移温度
をいう。
【0012】本発明の電気泳動用支持体はLCSTを有
する水不溶化温度感応性高分子化合物を含有するもので
あり、その構造は特に制限されない。
【0013】LCSTを有する温度感応性高分子化合物
は水の共存下に於いて、LCST以上の温度では疎水的
性質を示し、温度をLCST以下に下げると親水的性質
を示すように変化する。この疎水性と親水性の間の変化
は可逆的である。
【0014】温度感応性高分子化合物の状態変化は、水
和と脱水和によるものとされている。これについては、
Haskins, M.,et al., J. Macromol, Sci,-Chem.,A2(8),
1441, 1968 に、該高分子化合物のひとつであるポリ−
N−イソプロピルアクリルアミド(以下"PNIPAA
m")を例に挙げて説明がなされている。PNIPAA
mは水に対する溶解度温度係数が負の高分子化合物であ
る。そして、低温においては、PNIPAAm分子と水
分子との水素結合に依存する水和物(オキソニウムヒド
ロキシド)が生成している。しかし、これはLCST以
上に温度を上げることによって分離し、脱水和するた
め、結果としてPNIPAAm分子同士が凝集して沈澱
するとされている。
【0015】上記変化は該温度感応性高分子化合物に架
橋構造を導入したもの、また該温度感応性高分子化合物
をグラフト重合したものについても観察される。
【0016】電気泳動用支持体として該温度感応性高分
子化合物を含有する担体を用いると担体の疎水的性質あ
るいは親水的性質を温度によって可逆的に変えて電気泳
動を実施することが可能になる。即ちLCST以上の温
度で電気泳動を行うと、支持体が疎水的であるために疎
水性の強いタンパク質が支持体と疎水結合を形成する。
このため疎水性の強いタンパク質は、支持体との親和性
が高いために泳動が阻止される。一方、LCST以下に
温度を下げると、支持体は親水的になり疎水性タンパク
質との親和性が低下して泳動の阻害が解除される。それ
と同時に親水性の強いタンパク質と支持体との親和力が
高まるため、親水性のタンパク質の泳動は阻止される。
上記のようにLCSTの上下の温度で電気泳動すること
によってたとえ、分子量および荷電量がほぼ同程度であ
り、従来の電気泳動法では分離することが不可能であっ
たタンパク質の場合でも、親・疎水性の違いを利用する
本発明の電気泳動法によって分離が可能になる。
【0017】一方、本発明の水不溶化温度感応性高分子
を含有する支持体を用いて、陽極−陰極間にLCST以
下の温度からLCST以上の温度にわたる温度勾配を作
り電気泳動を行うことも可能である。即ち、陽極側をL
CST以下の温度に陰極側をLCST以上の温度に設定
すると支持体の性質は陽極側では親水的であり陰極側に
向かうにしたがって疎水的となり支持体に疎水性あるい
は親水性の勾配を作製することが可能となる。また同様
に全く逆の勾配を作ることも可能である。本発明書にお
いて「陽極−陰極間にLCST以下の温度からLCST
以上の温度にわたる温度勾配をつくる」という表現は、
これら正逆両方の温度勾配を含むものである。この場
合、支持体の疎水性または親水性を広い温度範囲にわた
って連続的に変化させることが好ましく、これはLCS
Tの異なる複数の水不溶化高分子化合物を組合せて用い
ることにより達成される。上記のように疎水性あるいは
親水性の勾配を有した本発明の支持体を用いて電気泳動
を行うと、たとえ分子量および荷電量がほぼ同程度で従
来の電気泳動法では分離が不可能であったタンパク質で
あっても、疎水性あるいは親水性の相違を利用して分離
することが可能となる。
【0018】また、本発明の電気泳動用支持体に試料を
チャージした後、LCSTの上下で温度を変化させるこ
とによって試料をより確実かつ明確に分離することもで
きる。例えば、LCST以下の温度で試料をチャージ
し、LCST以上の温度で電気泳動を行ったり、逆にL
CST以上の温度で試料をチャージしLCST以下の温
度で電気泳動を行うことが可能である。本発明の電気泳
動法は、これらの例に代表される操作からなる電気泳動
法を含むものである。
【0019】本発明の支持体として使用するに先だって
水不溶化される温度感応性高分子化合物としては、ポリ
N置換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタアクリル
アミド誘導体およびこれらの共重合体、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリエチレンオキサイド、エーテル化メチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物などが
挙げられる。特に好ましいのは、ポリN置換アクリルア
ミド誘導体またはポリN置換メタアクリルアミド誘導体
またはこれらの共重合体、ポリビニルメチルエーテル、
ポリビニルアルコール部分酢化物である。
【0020】好ましい高分子化合物を以下にLCSTが
低い順に列挙する。
【0021】ポリ−N−アクリロイルピペリジン;ポリ
−N−n−プロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−イ
ソプロピルアクリルアミド;ポリ−N,N−ジエチルア
クリルアミド;ポリ−N−イソプロピルメタアクリルア
ミド;ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ
−N−アクリロイルピロリジン;ポリ−N,N−エチル
メチルアクリルアミド;ポリ−N−シクロプロピルメタ
アクリルアミド;ポリ−N−エチルアクリルアミド 上記の高分子は単独でも、他の単量体と共重合してもよ
い。共重合する単量体としては、親水性単量体、疎水性
単量体のいずれも用いることができる。一般的には親水
性単量体と共重合するとLCSTは上昇し、疎水性単量
体と共重合するとLCSTは下降する。従って、これら
を選択することによっても所望のLCSTを有する高分
子化合物を得ることができる。
【0022】親水性単量体としては、N−ビニルピロリ
ドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル
メタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルア
クリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル
酸およびそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチルスルホ
ン酸など、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
アクリルアミドおよびそれらの塩などが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。
【0023】一方、疎水性単量体としては、エチルアク
リレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のアクリレートまたはメタクリレート誘導体、
N−n−ブチルアクリルアミドまたはメタアクリルアミ
ドなどのN置換アルキルアクリルアミドまたはメタアク
リルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロニトリル、ス
チレン、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0024】上記温度感応性高分子化合物を水不溶化す
る方法の一つとして該高分子化合物に架橋構造を導入す
る方法がある。
【0025】例えば、上記温度感応性高分子化合物自身
から電気泳動用支持体を作製する場合、好ましい方法と
して湿式製膜法が用いられる。湿式製膜の条件(溶媒
種、高分子濃度、温度、凝固剤種など)を適宜選択する
ことによって膜の孔径および空孔率を調節することが可
能である。孔径は0.1〜100μm、好ましくは0.1
〜5μm;空孔率は10%〜95%、好ましくは50%
〜90%とすることができる。
【0026】得られた高分子化合物の膜に光、電子線、
γ線照射を行うことによりこれらの高分子化合物の分子
間に架橋を形成することができる。
【0027】温度感応性高分子化合物を水不溶化する別
の方法として、該高分子化合物の形成に用いられる少な
くとも一種の単量体とこれと共重合しうる多官能性単量
体、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ヒ
ドロキシエチルジメタクリレート、ジビニルベンゼン等
を常法により共重合させ架橋構造を有する共重合体を作
製することができる。
【0028】温度感応性高分子化合物を水不溶化する更
に別の方法として、該高分子化合物の水溶液を担体に塗
布し、次いで塗布膜に光、電子線、γ線照射を行うこと
により高分子化合物の分子間に架橋を形成することがで
きる。
【0029】温度感応性高分子化合物を水不溶化する別
の方法として、前記温度感応性高分子化合物の形成に用
いられる少なくとも一種の単量体を担体にグラフト重合
することができる。この場合、通常用いられる方法のう
ち、担体の材質、形状等を考慮した最適の方法が選択さ
れる。例えば、低温プラズマ重合法は板状、フィルム
状、平膜状の担体の表面のみにグラフト重合が可能であ
り、担体のバルクの性質を損なうことが少ない。また、
オゾン酸化法、セリウムイオン法等の通常のグラフト重
合法も用いることができる。
【0030】温度感応性高分子化合物を水不溶化する他
の方法として、前記温度感応性高分子化合物を担体にグ
ラフトすることもできる。
【0031】本発明において使用できる担体としては、
例えば、多孔性アセチルセルロース膜、多孔性ポリプロ
ピレン膜、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリテトラフ
ロロエチレン膜、多孔性ジメチルシロキサン膜、多孔性
ポリカーボネート膜および多孔性メチルメタクリレート
膜等の多孔性担体を挙げることができる。これらの多孔
性担体を使用する場合は、あらかじめ所望の孔径、空孔
率および形状を有するものを用意することが好ましい。
また、これらの多孔性担体に温度感応性高分子化合物を
グラフトする場合、担体の細孔をふさがないよう該温度
感応性高分子化合物の分子量は、数平均分子量が500
以上5,000以下であることが好ましい。このような
分子量の制御された高分子化合物を担体に導入するに
は、連鎖移動反応によって高分子末端に反応活性な官能
基を導入した分子量の制御された高分子(オリゴマー)
を合成し、これとあらかじめ高分子末端の官能基と反応
しうる官能基を表面に導入した担体とを反応結合させれ
ばよい。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明の範囲は特許請求の範囲の項の記
載により定まるものであり、以下の実施例により制限を
受けるものではない。
【0033】市販品セルロースアセテート膜(富士フィ
ルム社製セパラックスS、孔径:約2μm、空孔率:約
80%、サイズ:2×22cm)をチューブ中に入れNI
PAAmモノマ−5g、水30mlを注入し、硝酸第二セ
リウムアンモニウム27mgを溶解した0.1N硝酸水溶
液10mlを滴下し20℃で1時間、窒素気流中でグラフ
ト反応を行った。反応後、水洗し真空乾燥を行った。得
られたポリ−N−イソプロピルアクリルアミドがグラフ
ト重合された多孔膜(以下"CA−graft−PNIPAA
m")のグラフト重合率を反応前の乾燥状態の重量と反
応後の乾燥状態の重量を測定することによって計算した
結果、約5%であった。
【0034】得られたCA−graft−PNIPAAm膜
を用いて通常のセルロースアセテート膜電気泳動装置に
より牛血清アルブミンとオボアルブミンの混合物の分析
を行った。牛血清アルブミンと等量のオボアルブミンを
混合しタンパク質濃度が約10g/dlのPBS溶液を作製
した。コントロール実験としてグラフト重合反応前の市
販品セルロースアセテート膜上に混合タンパク質溶液約
0.5μlを塗布し、温度37℃で0.8mAの定電流を約
45分間印加した後にデカリンを用いて透明化しデンシ
トメトリーによってタンパク質の分析を行った結果、ピ
ークは1本であり牛血清アルブミンとオボアルブミンは
分離されなかった。
【0035】一方、約20℃で約15分間放置すること
により本発明で得られたCA-graft−PNIPAAm膜
を充分に親水的に処理し、試料を塗布した後、37℃で
上記と同様の条件下に電気泳動を行った。その結果、牛
血清アルブミンとオボアルブミンの2つのピークが観察
された。即ち、牛血清アルブミンの移動度がオボアルブ
ミンの移動度よりも大きかった。
【0036】また、該CA−graft−PNIPAAm膜
を用いて陽極側を約37℃に保温し、陰極側を約20℃
に冷却して上記と同様にして電気泳動を行ったところ牛
血清アルブミンとオボアルブミンの2つのピークがより
明確に区別して観察された。以上の結果は、本発明のC
A−graft−PNIPAAm膜を用いることによって従
来の電気泳動法では分離不可能であた疎水性度の異なる
牛血清アルブミンとオボアルブミンを分離することが可
能になったことを示している。
【0037】
【発明の効果】本発明の電気泳動用支持体を用いて電気
泳動を行うことによって、疎水性・親水性の違いを利用
して試料を分離することが可能になった。これによっ
て、従来の電気泳動法では分離することができなかった
荷電量と分子量がともに同じ成分同士を、その疎水性・
親水性の違いを利用して分離することが可能になった。
【0038】また、温度条件の設定・変化に特徴を有す
る本発明の電気泳動法を適用することにより、従来の電
気泳動法よりも容易かつ明瞭に試料を分離することも可
能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/24 LJV 7921−4J (72)発明者 吉岡 浩 神奈川県小田原市小竹815−452

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】LCSTを有する水不溶化温度感応性高分
    子化合物を含有する電気泳動用支持体。
  2. 【請求項2】前記温度感応性高分子化合物が、架橋構造
    を有することを特徴とする請求項1の電気泳動用支持
    体。
  3. 【請求項3】前記温度感応性高分子化合物が、ポリN置
    換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタアクリルアミ
    ド誘導体、これらの共重合体、ポリビニルメチルエーテ
    ルおよびポリビニルアルコール部分酢化物からなる群よ
    り選ばれることを特徴とする請求項2の電気泳動用支持
    体。
  4. 【請求項4】前記温度感応性高分子化合物が多孔性高分
    子担体に担持されていることを特徴とする請求項1の電
    気泳動用支持体。
  5. 【請求項5】前記温度感応性高分子化合物が、多孔性高
    分子担体にグラフトされていることを特徴とする請求項
    4の電気泳動用支持体。
  6. 【請求項6】前記多孔性高分子担体が、多孔性アセチル
    セルロース膜、多孔性ポリプロピレン膜、多孔性ポリエ
    チレン膜、多孔性ポリテトラフロロエチレン膜、多孔性
    ジメチルシロキサン膜、多孔性ポリカーボネート膜およ
    び多孔性メチルメタクリレート膜からなる群より選ばれ
    ることを特徴とする請求項1の電気泳動用支持体。
  7. 【請求項7】前記温度感応性高分子化合物の数平均分子
    量が500乃至5000であることを特徴とする請求項
    6の電気泳動用支持体。
  8. 【請求項8】前記温度感応性高分子化合物が、互いに異
    なるLCSTを有する2種以上の水不溶化温度感応性高
    分子化合物の組み合わせよりなることを特徴とする請求
    項1の電気泳動用支持体。
  9. 【請求項9】請求項1の電気泳動用支持体の陽極−陰極
    間に、LCST以下の温度からLCST以上の温度にわ
    たる温度勾配をつくり電気泳動を行うことを特徴とする
    電気泳動法。
  10. 【請求項10】請求項1の電気泳動用支持体に試料をチ
    ャージした後、LCSTの上下で温度を変化させること
    を特徴とする電気泳動法。
  11. 【請求項11】請求項1の電気泳動用支持体にLCST
    以下の温度で試料をチャージし、LCST以上の温度で
    電気泳動を行うことを特徴とする請求項10の電気泳動
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002534679A (ja) * 1998-12-30 2002-10-15 アンスティテュ キュリィ 分離チャネルにおいて種を分離するための感熱性媒体
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