JPH0513304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば、口紅などの棒状化粧料を回
転操作によつて繰り出すようにした繰出容器の改
良に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、この種の繰出し容器は、内周面に螺旋
溝が形成された螺旋筒と、この螺旋筒内に回転自
在に挿入され軸線方向に沿う長孔が形成されたガ
イド筒と、このガイド筒の長孔を介して前記螺旋
溝に係合する突起が形成された受皿とから構成さ
れ、受皿にたとえば口紅を嵌着させておいて、螺
旋筒とガイド筒とを相対回転させると受皿に保持
された口紅が容器の先端部から繰り出されるよう
にしたものである。

第３図および第４図はこのような繰出容器の一
構造例を示すものである。

すなわち、第３図に示す繰出容器は、内周面に
螺旋溝１が形成された螺旋筒２と、この螺旋筒２
内に回転自在に挿入され上下方向（第３図上下方
向）に延びる長孔３が形成されたガイド筒４と、
このガイド筒４の長孔３を介して螺旋溝１に係合
する突起５が形成された中皿６とから構成され、
図示例のように中皿６に棒状固形化粧料Ａ（例え
ば口紅）を嵌着させておき、螺旋筒２およびガイ
ド筒４を相対的に回転させた際に中皿６を繰り出
し得るようにしたものである。

ところで、ガイド筒４の長孔３は外観を重要視
する化粧品容器の場合、図示しない外筒を繰出容
器に取付けた後、上方よりのぞいても見えないよ
うにすることが望ましいものである。一方、組立
て作業的には長孔３は上端面まで達して開口して
いた方が、中皿６の突起５を嵌合させるのに極め
て能率的であるといえる。したがつて、ガイド筒
４の長孔３の端部の位置については、これらの要
求を満足するように設計するのが理想的である
が、相反する要求であるため、実現できず、両要
求を半々考慮して、一方の長孔４のみを上端面ま
で開口させていた。

しかしながら、一方の長孔４が開口しているこ
とは、外観的に満足できるものではない。また、
組立て作業においても、開口部より長孔４を広げ
て中皿６を嵌挿した後、再びその開口部を狭め
て、長孔４の径を小さくして螺旋筒２の中に嵌挿
しなければならず、まだ作業上支障をきたすもの
である。

第５図ないし第７図に示す繰出容器はガイド筒
に対する上記の相反する要求をともに満足させる
ために考案されたものである。

すなわち、第５図に示す繰出容器は、実公昭58
−9533号公報に開示されたものであり、これは、
ガイド筒４の２本の長孔３を上端面に開口させ
ず、２本とも下端面に開口させて中皿６の突起５
を嵌合させやすくするとともに、２本の長孔３に
より分割されたガイド筒４の各分割下端に半径方
向外向きに突設した係止突起７を設け、この係止
突起７と係脱可能に係合する孤状穴８を下端コー
ナー部に有する底蓋９をガイド筒４の下部外周に
嵌挿し、長孔３の開口が上方より見えないように
したものである。

このように構成された繰出容器はガイド筒４の
長孔３が上端面に達していないので、外筒に入れ
て上方よりのぞいても長孔３が全く見えないもの
となつている。また組立てに際しても、ガイド筒
４の２本の長孔３がともに下端面まで達し開口し
ているので、従来の如く、長孔３を開かなくと
も、中皿６の突起５を長孔３に容易に嵌合でき、
組立作業性が良いものとなつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、前記構成の繰出容器は、上方からの
外観を満足することができるがその反面、ガイド
筒４の下端に係止突起７を設け、この突起７に係
合する孤状穴８を底蓋９の下端コーナー部に形成
した構成としたので、下方からの外観が損なわれ
てしまい、そのため容器全体の外観が満足し得な
いものとなつている。したがつて、外観を重要視
する化粧品等の容器には適したものとは言えな
い。

本考案の繰出容器は上記事情に鑑みてなされた
ものであり、上方からのみならず下方からをも含
めた容器全体の外観および組立作業性の双方を満
足できる繰出容器を提供することを目的としてい
る。

「問題点を解決するための手段〕 本考案の繰出容器は、先端に棒状化粧料の繰出
口を有し、かつ、周壁に軸線方向に延び下端に達
し開口する長孔が形成されたガイド筒と、このガ
イド筒の外周に軸回りに回転自在に挿入され内周
に螺旋溝が形成された螺旋筒と、前記ガイド筒内
に昇降自在に挿入され長孔を介して螺旋溝に係合
する突起を持つた化粧料保持用中皿と、前記螺旋
筒の下端に当接する段部および前記ガイド筒の内
周に嵌挿される小径部をそれぞれ有する底蓋とを
具備し、かつ、前記ガイド筒外周面には係止孔が
形成され、前記小径部の外周面には前記係止孔に
係止する係止突起と、これら両者の係止状態にお
いて前記長孔に嵌合するガイド突起とが設けられ
ていることを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の繰出容器の一実施例を第１図お
よび第２図を参照して説明する。

図中、符号１０はガイド筒、符号１１はガイド
筒１０の外周に回転自在に挿入される螺旋筒、符
号１２はガイド筒１０内に昇降自在に挿入されガ
イド筒１０と螺旋筒１１との相対回転によりガイ
ド筒１０の軸方向（第１図上下方向）に移動させ
られる中皿、符号１３は螺旋筒１１に当接しガイ
ド筒１０の内周に嵌挿される底蓋であり、これら
符号１０ないし１３によつて本考案の繰出容器の
主要部材を構成している。

前記ガイド筒１０は合成樹脂などによつて円筒
状に形成され、先端に棒状化粧料Ａの繰出口１４
を有するものである。

このガイド筒１０の上端部外周には前記螺旋筒
１１の上方への移動を防止する係止片１４ａが設
けられている。また相対向する外周壁には軸線方
向（上下）に伸長する２本の長孔１５が設けられ
ている。これらの長孔１５の上端は行止りとな
り、そこには円周方向を向いた係止溝１５ａが連
設されている。そして、それら長孔１５の下端の
うち一方はガイド筒１０の下端面にまで達して開
口しており、その途中には円周方向を向いた係止
溝１５ａが連設されている。また、ガイド筒１０
の下端部には下方から嵌入される底蓋１３を係止
する係止孔１６が形成されている。

このガイド筒１０の外周に嵌挿される螺旋筒１
１の内周には螺旋溝１７が形成されている。

棒状化粧料Ａを保持する前記中皿１２には、相
対向する上部外周面に前記長孔１５を介して螺旋
溝１７に係合する突起１８が２個突設されてい
る。この中皿１２の下部は下面が底蓋１３の上面
に当接しないように縮径されている。

前記底蓋１３は上から順に小径部１３ａと中径
部１３ｂと大径部１３ｃとから構成されているも
のである。この底蓋１３はその小径部１３ａがガ
イド筒１０の下部内周に中径部１３ｂの上面（段
部）１３ｄを螺旋筒１１の下面に当接させた状態
で嵌入されている。

前記小径部１３ａの外周面にはガイド筒１０の
係止孔１６に係合する係止突起１９と、これら両
者の係止状態において長孔１５に嵌合するガイド
突起２０とがそれぞれ設けられている。また前記
中径部１３ｂの外周面には上方から嵌着される図
示しない筒状蓋体を係止する係止リブ２１が設け
られている。

次にこのように構成された繰出容器の作用につ
いて説明する。

第１図に示すように、ガイド筒１０、螺旋筒１
１、中皿１２、底蓋１３等の各部材を組み込み、
棒状化粧料Ａを中皿１２に収容させ、これをガイ
ド筒１０内に繰り入れた状態にして、棒状化粧料
Ａを収容した繰出容器の組立を完成する。

中皿１２内に装着した棒状化粧料Ａを使用する
場合は、螺旋筒１１を持つて底蓋１３を回転させ
ることにより、これら螺旋筒１１とガイド筒１０
を相対回転させ、螺旋溝１７により中皿１２の突
起１８を上方に押し、中皿１２を先端方向に移動
させて、棒状化粧料Ａを繰り出せば良い。

なお、前記操作とは逆に螺旋筒１１を持つて底
蓋１３を逆回転させることにより、これら螺旋筒
１１とガイド筒１０とを相対回転させると、螺旋
溝１８が中皿１２の突起１８を下端方向に押すか
ら中皿１２に一体に取り付けられた化粧料Ａが下
端方向にもどされて、ガイド筒１１内に収容され
る。

以上説明したように、本実施例の繰出容器は、
ガイド筒１０の下端部に係止孔１６を形成し、底
蓋１３の小径部１３ａの外周面に係止孔１６に係
止する係止突起１９とこれら両者の係止状態にお
いて長孔１５に嵌合するガイド突起２０とを設け
た構成としている。したがつて、この繰出容器を
組み立てると前記係止突起１９およびガイド突起
２０はともに外からは全く見えず、外観を損なう
ことなく、ガイド筒１０と底蓋１３とが回転不能
かつ上下離脱不能となし得る。そのため外観を重
要視する化粧品の容器に好適な容器であるといえ
る。また、組立てに際してもガイド筒１０の長孔
１５が下端面まで達し開口しているので、中皿１
２の突起１８を長孔１５に容易に嵌合できる。そ
のため、組立て作業性が良い。

したがつて、本実施例の繰出容器は外観および
組立て作業性をともに満足することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、繰出容器
のガイド筒の外周面に係止孔を形成し、底蓋の小
径部の外周面に係止孔に係止する係止突起とこれ
ら両者の係止状態においてガイド筒の長孔に嵌合
するガイド突起とを設けたので前記係止突起とガ
イド突起とはともに外からは全く見えず、外観を
損なうことがない。そのため、外観を重要視する
化粧品の容器に好適な容器であるといえる。

また組立てに際してもガイド筒の長孔が下端面
まで達し開口しているので、中皿の突起を長孔に
容易に嵌合できる。そのため、組立て作業性が良
い。

したがつて、この考案の繰出容器は外観および
組立て作業性をともに満足することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の繰出容器の一実
施例を示すもので、第１図は分解斜視図、第２図
は縦断面図、第３図および第４図は従来の繰出容
器の第１例を示すもので、第３図は分解斜視図、
第４図は縦断面図、第５図ないし第７図は従来の
繰出容器の第２例を示すもので、第５図は分解斜
視図、第６図は縦断面図、第７図は第６図−
で切断した場合の縦断面図を示すものである。 １０……ガイド筒、１１……螺旋筒、１２……
化粧料保持用中皿、１３……底蓋、１３ａ……小
径部、１３ｄ……段部、１４……繰出口、１５…
…長孔、１６……係止孔、１７……螺旋溝、１８
……突起、１９……係止突起、２０……ガイド突
起、Ａ……棒状化粧料。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端に棒状化粧料Ａの繰出口１４を有し、か
   つ、周壁に軸線方向に延び下端に達し開口する長
   孔１５が形成されたガイド筒１０と、このガイド
   筒１０の外周に軸回りに回転自在に挿入され内周
   に螺旋溝１７が形成された螺旋筒１１と、前記ガ
   イド筒１０内に昇降自在に挿入され長孔１５を介
   して螺旋溝１７に係合する突起１８を持つた化粧
   料保持用中皿１２と、前記螺旋筒１１の下端に当
   接する段部１３ｄおよび前記ガイド筒１０の内周
   に嵌挿される小径部１３ａをそれぞれ有する底蓋
   １３とを具備し、かつ、前記ガイド筒１０の外周
   面には係止孔１６が形成され、前記小径部１３ａ
   の外周面には、前記係止孔１６に係止する係止突
   起１９と、これら両者の係止状態において前記長
   孔１５に嵌合するガイド突起２０とが設けられて
   いることを特徴とする繰り出し容器。