JPH05125490A - 析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents
析出硬化型ステンレス鋼Info
- Publication number
- JPH05125490A JPH05125490A JP31145291A JP31145291A JPH05125490A JP H05125490 A JPH05125490 A JP H05125490A JP 31145291 A JP31145291 A JP 31145291A JP 31145291 A JP31145291 A JP 31145291A JP H05125490 A JPH05125490 A JP H05125490A
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- JP
- Japan
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- stainless steel
- toughness
- strength
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐食性、強度を損なうことなく靱性を向上
させた析出硬化型ステンレス鋼を得る。 【構成】 重量％で、Ｃr ：１２．５〜１３．５％、
Ｎi ：８〜９％、Ｍo ：２．０〜２．５％、Ａl ：０．
７０〜０．９０％未満を含有し、残部がＦe および不可
避的不純物からなり、該不可避的不純物のうち、Ｎの許
容含有量を０．００２％以下に制限したことを特徴とす
る析出硬化型ステンレス鋼 【効果】 析出硬化型ステンレス鋼として従来得られ
ていた強度、耐食性を損なうことなく、靱性を向上させ
ることができる。強靱性が要求される材料への使用も可
能となり、使用分野が拡大する効果がある。
させた析出硬化型ステンレス鋼を得る。 【構成】 重量％で、Ｃr ：１２．５〜１３．５％、
Ｎi ：８〜９％、Ｍo ：２．０〜２．５％、Ａl ：０．
７０〜０．９０％未満を含有し、残部がＦe および不可
避的不純物からなり、該不可避的不純物のうち、Ｎの許
容含有量を０．００２％以下に制限したことを特徴とす
る析出硬化型ステンレス鋼 【効果】 析出硬化型ステンレス鋼として従来得られ
ていた強度、耐食性を損なうことなく、靱性を向上させ
ることができる。強靱性が要求される材料への使用も可
能となり、使用分野が拡大する効果がある。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、優れた耐食性と強度
を損なうことなく、さらに靱性を向上させた析出硬化型
ステンレス鋼に関するものである。
を損なうことなく、さらに靱性を向上させた析出硬化型
ステンレス鋼に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】周知のように、Ｃrを多量に添加したス
テンレス鋼は、他の鉄鋼材料に比べて優れた耐食性を有
しており、腐食環境下で、広く使用されている。ところ
で、一般にステンレス鋼は、マルテンサイト系を除い
て、引張強度は４０〜６０kg/mm2程度であり、引張強度
が５０〜１００kg/mm2程度、あるいはこれ以上の高強度
鋼に比べて、強度の点で劣っている。また、マルテンサ
イト系ステンレス鋼は、高い強度を有するものの、耐食
性の点では、他のステンレス鋼に比べ大きく劣ってい
る。
テンレス鋼は、他の鉄鋼材料に比べて優れた耐食性を有
しており、腐食環境下で、広く使用されている。ところ
で、一般にステンレス鋼は、マルテンサイト系を除い
て、引張強度は４０〜６０kg/mm2程度であり、引張強度
が５０〜１００kg/mm2程度、あるいはこれ以上の高強度
鋼に比べて、強度の点で劣っている。また、マルテンサ
イト系ステンレス鋼は、高い強度を有するものの、耐食
性の点では、他のステンレス鋼に比べ大きく劣ってい
る。
【０００３】これらのステンレス鋼に対し、耐食性の犠
牲をできるだけ小さくして、強度を向上させた材料が望
まれ、その結果、時効硬化を利用して強度を向上させた
析出硬化型ステンレス鋼が開発されている。その一例で
あるマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、優れ
た強度と耐食性を有しており、引張強度は１４０Kg/mm2
以上で、耐食性も１８−８ステンレス鋼と同等のものが
開発されている。そして、このマルテンサイト系析出硬
化型ステンレス鋼は、上記特性を生かして、特に耐食性
が必要で、なおかつ強度が必要な部材の材料として有効
に利用されている。
牲をできるだけ小さくして、強度を向上させた材料が望
まれ、その結果、時効硬化を利用して強度を向上させた
析出硬化型ステンレス鋼が開発されている。その一例で
あるマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、優れ
た強度と耐食性を有しており、引張強度は１４０Kg/mm2
以上で、耐食性も１８−８ステンレス鋼と同等のものが
開発されている。そして、このマルテンサイト系析出硬
化型ステンレス鋼は、上記特性を生かして、特に耐食性
が必要で、なおかつ強度が必要な部材の材料として有効
に利用されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、析出
硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、強度の点で他
の高強度鋼と比べても遜色のない十分に満足できる特性
を有しているが、シャルピー衝撃値で代表される靱性値
においては、他の高強度鋼に比べて、その値はかなり低
く、強靱性の点で高強度鋼よりも劣っている。 このた
め、上記ステンレス鋼は、使用条件の厳しい構造用鋼へ
の採用や大きな衝撃的外力を受ける用途への利用は困難
である。この発明は、上記課題を解決することを基本的
な目的とし、析出硬化型ステンレス鋼として本来有する
耐食性および強度を損なうことなく、靱性を向上させ
て、使用分野の拡大を可能とした析出硬化型ステンレス
鋼を提供するものである。
硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、強度の点で他
の高強度鋼と比べても遜色のない十分に満足できる特性
を有しているが、シャルピー衝撃値で代表される靱性値
においては、他の高強度鋼に比べて、その値はかなり低
く、強靱性の点で高強度鋼よりも劣っている。 このた
め、上記ステンレス鋼は、使用条件の厳しい構造用鋼へ
の採用や大きな衝撃的外力を受ける用途への利用は困難
である。この発明は、上記課題を解決することを基本的
な目的とし、析出硬化型ステンレス鋼として本来有する
耐食性および強度を損なうことなく、靱性を向上させ
て、使用分野の拡大を可能とした析出硬化型ステンレス
鋼を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の析出硬化型ステンレス鋼は、重量％で、
Ｃr：１２．５〜１３．５％、Ｎi：８〜９％、Ｍo：
２．０〜２．５％、Ａl：０．７０〜０．９０％未満を
含有し、残部がＦe および不可避的不純物からなり、該
不可避的不純物のうち、Ｎの許容含有量を０．００２％
以下に制限したことを特徴とするものである。なお、上
記ステンレス鋼に含有されるＮ以外の不可避的不純物と
しては、Ｃ：０．０５％以下、Ｓi ：０．１％以下、Ｍ
n ：０．１％以下、Ｐ：０．０１％以下、Ｓ：０．０１
％以下を例示することができる。但し、不可避的不純物
としては、上記範囲および元素に限定されるものではな
く、要は不可避的に含有される不純物を総称するもので
ある。
め、本願発明の析出硬化型ステンレス鋼は、重量％で、
Ｃr：１２．５〜１３．５％、Ｎi：８〜９％、Ｍo：
２．０〜２．５％、Ａl：０．７０〜０．９０％未満を
含有し、残部がＦe および不可避的不純物からなり、該
不可避的不純物のうち、Ｎの許容含有量を０．００２％
以下に制限したことを特徴とするものである。なお、上
記ステンレス鋼に含有されるＮ以外の不可避的不純物と
しては、Ｃ：０．０５％以下、Ｓi ：０．１％以下、Ｍ
n ：０．１％以下、Ｐ：０．０１％以下、Ｓ：０．０１
％以下を例示することができる。但し、不可避的不純物
としては、上記範囲および元素に限定されるものではな
く、要は不可避的に含有される不純物を総称するもので
ある。
【０００６】
【作用】本願発明のステンレス鋼によれば、耐食性およ
び強度を低下させることなく、靱性を向上させることが
できる。したがって、耐食性、強度、靱性のいずれにも
おいても優れた材料が得られる。以下に、本願発明の成
分組成の範囲限定理由を述べる。
び強度を低下させることなく、靱性を向上させることが
できる。したがって、耐食性、強度、靱性のいずれにも
おいても優れた材料が得られる。以下に、本願発明の成
分組成の範囲限定理由を述べる。
【０００７】Ｃr：１２．５〜１３．５％ Ｃr は耐食性を向上させるために含有させる。ただし、
１２．５％未満では、十分な耐食性を得ることができ
ず、また、１３．５％を超えて含有させると、δ−フェ
ライトの生成が増加する。このδ−フェライトは、材料
の脆化の一原因になると考えられており、その生成の増
加は、結果として材料の靱性を低下させるので１３．５
％を上限とする。Ｎi：８〜９％ Ｎi は、耐食性向上を補佐し、さらに靱性を向上させる
ために、８％以上含有させる。また、その含有量は、マ
ルテンサイト変態点の低下と、残留オーステナイトの生
成を抑えるために、９％以下とする。なお、同様の理由
で８．４０〜８．７０％の範囲が、望ましく、さらに
８．５０％を超えて８．７０％以下とするのが一層望ま
しい。
１２．５％未満では、十分な耐食性を得ることができ
ず、また、１３．５％を超えて含有させると、δ−フェ
ライトの生成が増加する。このδ−フェライトは、材料
の脆化の一原因になると考えられており、その生成の増
加は、結果として材料の靱性を低下させるので１３．５
％を上限とする。Ｎi：８〜９％ Ｎi は、耐食性向上を補佐し、さらに靱性を向上させる
ために、８％以上含有させる。また、その含有量は、マ
ルテンサイト変態点の低下と、残留オーステナイトの生
成を抑えるために、９％以下とする。なお、同様の理由
で８．４０〜８．７０％の範囲が、望ましく、さらに
８．５０％を超えて８．７０％以下とするのが一層望ま
しい。
【０００８】Ｍo：２．０〜２．５％ Ｍo は、引張強度を向上させるために含有させる。ただ
し、２．０％未満の含有では、その効果は不十分であ
り、また２．５％を超えて含有させると、フェライト生
成を促して材料が脆化するので上記範囲とする。Ａl：０．７０〜０．９０％未満 Ａl は、Ｎi と結合して、金属間化合物を形成し、十分
な強度を確保するためには、０．７０％以上含有させる
必要がある。ただし、０．９０％以上含有させると、必
要以上にＡlＮ等の非金属介在物が生成されて靱性が低
下するので上記範囲とする。なお、同様の理由で、０．
７５〜０．９０％未満の範囲がさらに望ましい。Ｎ：０．００２％以下 Ｎは靱性を低下させるＡlＮの生成をなるべく抑制する
ために不可避不純物として、その許容含有量を０．００
２％以下に制限した。
し、２．０％未満の含有では、その効果は不十分であ
り、また２．５％を超えて含有させると、フェライト生
成を促して材料が脆化するので上記範囲とする。Ａl：０．７０〜０．９０％未満 Ａl は、Ｎi と結合して、金属間化合物を形成し、十分
な強度を確保するためには、０．７０％以上含有させる
必要がある。ただし、０．９０％以上含有させると、必
要以上にＡlＮ等の非金属介在物が生成されて靱性が低
下するので上記範囲とする。なお、同様の理由で、０．
７５〜０．９０％未満の範囲がさらに望ましい。Ｎ：０．００２％以下 Ｎは靱性を低下させるＡlＮの生成をなるべく抑制する
ために不可避不純物として、その許容含有量を０．００
２％以下に制限した。
【０００９】
【実施例】以下に、この発明の実施例を、本発明の範囲
外である比較例と比較しつつ、説明する。なお、比較例
の材料は、ＡＳＴＭ規格Ａ６９３−ＸＭ１３番に準じた
成分を有する析出型ステンレス鋼である。表１に示すよ
うに、本発明鋼（供試材Ｎo.１〜４）と、比較鋼（供試
材Ｎo.５，６）とを、真空溶解炉でそれぞれ溶解し、５
０Ｋｇの鋼塊（径１５０mm）を溶製した。得られた鋼塊
を、幅１３０ｍｍ、厚さ３０ｍｍの断面を有する平板に
鍛造した後、溶体化、焼入れ、時効処理からなる熱処理
を施して供試材とした。
外である比較例と比較しつつ、説明する。なお、比較例
の材料は、ＡＳＴＭ規格Ａ６９３−ＸＭ１３番に準じた
成分を有する析出型ステンレス鋼である。表１に示すよ
うに、本発明鋼（供試材Ｎo.１〜４）と、比較鋼（供試
材Ｎo.５，６）とを、真空溶解炉でそれぞれ溶解し、５
０Ｋｇの鋼塊（径１５０mm）を溶製した。得られた鋼塊
を、幅１３０ｍｍ、厚さ３０ｍｍの断面を有する平板に
鍛造した後、溶体化、焼入れ、時効処理からなる熱処理
を施して供試材とした。
【００１０】上記熱処理後の供試材に対し、機械的性質
を調査するために、引張試験およびシャルピー衝撃試験
を行った。なお、シャルピー吸収エネルギは、室温（２
０℃）で測定した。得られた結果は、表２に示すとおり
である。表２から明らかなように、本発明鋼はいずれ
も、比較鋼と同等、もしくはそれ以上の強度を有し、し
かも室温における切欠き靱性は比較鋼よりはるかに優れ
ている（約２倍）。
を調査するために、引張試験およびシャルピー衝撃試験
を行った。なお、シャルピー吸収エネルギは、室温（２
０℃）で測定した。得られた結果は、表２に示すとおり
である。表２から明らかなように、本発明鋼はいずれ
も、比較鋼と同等、もしくはそれ以上の強度を有し、し
かも室温における切欠き靱性は比較鋼よりはるかに優れ
ている（約２倍）。
【００１１】
【表１】
【００１２】
【表２】
【００１３】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明の析出硬
化型ステンレス鋼によれば、析出硬化型ステンレス鋼と
して従来、得られていた強度、耐食性を損なうことな
く、靱性を向上させることができる。その結果、耐食
性、強度に加え、強靱性が要求される材料への使用が可
能となり、使用分野が拡大して、利用の活発化を図るこ
とができる効果がある。
化型ステンレス鋼によれば、析出硬化型ステンレス鋼と
して従来、得られていた強度、耐食性を損なうことな
く、靱性を向上させることができる。その結果、耐食
性、強度に加え、強靱性が要求される材料への使用が可
能となり、使用分野が拡大して、利用の活発化を図るこ
とができる効果がある。
Claims (1)
- 【請求項１】 重量％で、Ｃr ：１２．５〜１３．５
％、Ｎi ：８〜９％、Ｍo ：２．０〜２．５％、Ａl ：
０．７０〜０．９０％未満を含有し、残部がＦe および
不可避的不純物からなり、該不可避的不純物のうち、Ｎ
の許容含有量を０．００２％以下に制限したことを特徴
とする析出硬化型ステンレス鋼
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31145291A JPH05125490A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 析出硬化型ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31145291A JPH05125490A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 析出硬化型ステンレス鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05125490A true JPH05125490A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=18017393
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31145291A Pending JPH05125490A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | 析出硬化型ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05125490A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2012002208A1 (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-05 | 社団法人日本航空宇宙工業会 | 析出強化型ステンレス鋼及びその製造方法 |
| JP2013241670A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-12-05 | Daido Steel Co Ltd | 強度及び靭性に優れた蒸気タービンブレード用鋼 |
| US9982545B2 (en) | 2004-12-08 | 2018-05-29 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Precipitation hardened martensitic stainless steel, manufacturing method therefor, and turbine moving blade and steam turbine using the same |
-
1991
- 1991-10-31 JP JP31145291A patent/JPH05125490A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9982545B2 (en) | 2004-12-08 | 2018-05-29 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Precipitation hardened martensitic stainless steel, manufacturing method therefor, and turbine moving blade and steam turbine using the same |
| WO2012002208A1 (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-05 | 社団法人日本航空宇宙工業会 | 析出強化型ステンレス鋼及びその製造方法 |
| JP4918632B2 (ja) * | 2010-06-28 | 2012-04-18 | 社団法人日本航空宇宙工業会 | 析出強化型ステンレス鋼及びその製造方法 |
| JP2013241670A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-12-05 | Daido Steel Co Ltd | 強度及び靭性に優れた蒸気タービンブレード用鋼 |
| US9416436B2 (en) | 2012-04-27 | 2016-08-16 | Daido Steel Co., Ltd. | Steel for steam turbine blade with excellent strength and toughness |
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