JPH05124888A - 単結晶引上装置 - Google Patents

単結晶引上装置

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JPH05124888A
JPH05124888A JP22913291A JP22913291A JPH05124888A JP H05124888 A JPH05124888 A JP H05124888A JP 22913291 A JP22913291 A JP 22913291A JP 22913291 A JP22913291 A JP 22913291A JP H05124888 A JPH05124888 A JP H05124888A
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JP
Japan
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crucible
susceptor
single crystal
sealed container
shield
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JP22913291A
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English (en)
Inventor
Koichi Sasa
紘一 佐々
Takashi Atami
貴 熱海
Takaharu Shirata
敬治 白田
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Japan Science and Technology Agency
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Research Development Corp of Japan
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ルツボ内の融液上面に半径方向外方に向けて
正の温度勾配を生じさせ、メニスカスによる結晶形状制
御効果を向上して、円筒度が高く転位欠陥の少ない良好
な単結晶を得る。 【構成】 内部空間が気密的に封止された円筒状の密封
容器1と、密封容器の内部に配置されたルツボ7と、こ
のルツボ7を保持するサセプター6と、このサセプター
6を回転させるルツボ回転手段8と、密封容器1を加熱
する加熱手段と、ルツボ7内の原料融液Yに種結晶を浸
漬して単結晶Tを引き上げる引上機構12とを具備し、
サセプター6には、径方向外方に延び、密封容器1の内
径よりも小さい外径を有する円環状の遮蔽用鍔部20が
設けられている。遮蔽用鍔部20の代わりに、環状の遮
蔽体23,25を密封容器の内壁に固定してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高解離圧化合物単結晶
の製造に適した単結晶引上装置に係わり、特に、ルツボ
内壁面と原料融液面の間に生じるメニスカスを安定化す
ることによる結晶径制御の高精度化を図るための改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、GaAs等の高解離圧化合物半導
体単結晶をチョクラルスキー法 (CZ法)により製造す
る場合には、ルツボを不活性ガスで満たした容器内に配
置すると共に、ルツボ内の原料融液にB23等の液体封
止材を浮かべ、原料融液からの揮発成分(例えばAs)の
飛散を防ぎながら単結晶を引き上げる、いわゆるLEC
法が多用されている。
【0003】ところが、このLEC法では、原料をチャ
ージして成長を開始した後は融液組成の制御ができない
うえ、液体封止剤から引き上げた結晶表面からの高解離
圧成分の飛散を押えるために結晶は極力早く冷却する必
要があり、固液界面直上の温度勾配を小さくできず、熱
歪や非ストイキオメトリに由来する転位が高密度に発生
し、単結晶の高品質化を阻害する欠点を有していた。
【0004】そこで最近では、液体封止剤で原料融液を
覆う代わりに、密封容器内に高解離圧化合物中の揮発元
素(この場合As)の蒸気を満たし、その蒸気圧を制御
することにより上記問題の解決を図る方法が開発されて
いる。
【0005】そのための単結晶引上装置の一例を図5に
示す。この装置は特公昭63−41879号公報に記載
されたもので、図中符号1は密封容器、2はこの密封容
器1を収容した外側容器である。密封容器1は、容器上
部1Aおよび容器下部1Bとから構成され、これらの接
合部にはシール材3が介装されている。また、容器下部
1Bの押し上げ下軸4にはスプリング等の応力緩衝機構
5が設けられ、シール材3を圧迫している。
【0006】密封容器1の内部中央にはルツボ7が配置
され、サセプタ6を介して回転軸8の上端に支持されて
いる。また、密封容器1は、外側容器2内に上下2段に
分かれて配置されたヒータ9により所定の温度分布にな
るように全体が加熱される。
【0007】一方、容器上部1Aには蒸気圧制御部10
が設けられ、この部分の内壁温度を容器壁で最も低いか
つ適切な一定温度に制御することにより、この内壁に高
解離圧成分を凝結させ、その蒸気圧を調整して原料融液
Yの組成を制御するようになっている。
【0008】また、容器上部1Aを貫通して引上軸12
が配置され、その下端には種結晶13が固定されてお
り、この種結晶13を原料融液Yに浸漬した後、回転し
ながら引き上げることにより単結晶Tを引き上げる。1
1は内部観察用のビューロッドである。
【0009】このような装置を使用すれば、前述したL
EC法に比して、原料融液Yの結晶成長界面において鉛
直方向の温度勾配を小さくすることができ、引き上げた
単結晶T中の転位密度を減らすことが可能である。
【0010】ところで、上記の引上装置で結晶製造を行
う場合に問題になるのは、単結晶Tの形状制御である。
上記の装置では、通常の引上装置と同様に、引上軸12
または回転軸8に設けた重量センサー(ロードセル)に
より、単結晶Tの重量を計測し、その変化量からヒータ
ー9への通電量をフィードバック制御しているが、ヒー
ター9と単結晶Tの間には密封容器1が介在しているた
め、その分熱伝達が遅れて温度制御性が悪いうえ、現状
では重量センサーのS/Nも十分とはいえず、引き上げ
た単結晶の外周面にくびれ(凸凹)が生じ易い。
【0011】このような単結晶の形状不良は収率を悪化
させるだけでなく、結晶中の転位密度にも悪影響を及ぼ
し好ましくない。単結晶成長界面における上下方向の温
度勾配を特に小さくして引き上げを行った場合には、単
結晶形状制御がさらに困難になり、単結晶Tの曲がりや
捻れが起きるおそれも有する。
【0012】そこで、上記のような単結晶の形状不良を
防ぐために、本発明者らは特願平1−171438号に
おいて、図6に示すような引上方法(以下、MACC法
と称する)を提案した。
【0013】このMACC方法では、ルツボ7として、
原料融液Yに対する濡れ性の悪い材質を使用するととも
に、ルツボ7の内径を、製造すべき単結晶Tの目標径に
対し特定の範囲に入る値に設定し、単結晶Tの外周面
と、ルツボ7の内壁面との間隙量Cが所定の範囲に納ま
るように制御しつつ引き上げを行う。原料融液に濡れな
い材質とは、例えばGaAsに対してpBN等である。
【0014】上記の単結晶引上方法によれば、引き上げ
につれて単結晶Tが拡径しようとする力と、メニスカス
Mのルツボ7の内壁面に接する部分に働く表面張力によ
る反発力とを平衡させ、メニスカスMの形状を安定化さ
せて、単結晶Tの直胴部の直径変動を防ぎ、くびれが少
なく円筒度の高い単結晶Tを育成することが可能であ
る。
【0015】したがって、従来のCZ法ではくびれや円
筒度低下が生じやすい低温度勾配下での単結晶育成また
は高速引き上げを行った場合にも、単結晶Tの歩留まり
や品質が向上できるという効果を奏する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記MAC
C法では、結晶成長界面Sを含む融液上面において半径
方向外方に向けて僅かに正の温度勾配をつけ、ルツボ7
の内壁近傍での融液温度が、結晶成長部での融液温度よ
りも若干高くなるように設定することが望ましい。この
ような温度分布に設定すると、ルツボ内壁に近づくにつ
れ単結晶の拡径力が小さくなるので、メニスカス自身の
持つ反発力と相乗してメニスカス形状を安定化すると考
えられる。
【0017】しかし実際には、融液面上の半径方向の温
度分布が均一になってしまう場合が多く、単結晶の拡径
力がメニスカスによる規制力に打ち勝って、メニスカス
による形状規制効果が低下し、単結晶の円筒度が悪化し
たり、単結晶がルツボ7の内壁面に接触して多結晶化し
たりする問題があった。また、極端な場合には、温度均
一状態を通り越して、ルツボ内壁近傍の温度が逆にルツ
ボ中心部より下がることがあり、結晶成長の途中でルツ
ボ内壁から核発生して多結晶化するなどの問題が生じ
た。
【0018】上記のように融液の半径方向の温度分布が
均一になる、あるいは周辺部の温度が中心部より下がる
原因としては、以下のような場合が考えられる。
【0019】 融液内の対流が活発化した場合:融液
中の自然対流は、融液内の上下温度差が大きくなると激
しくなり、対流域の温度分布を均一化し、ひいては融液
面の半径方向の温度分布を均一化する。対流の発生状態
はサセプターへの入熱の仕方によって異なり、融液中央
部で上昇し周辺部で下降する対流が生じる場合、その逆
向きの対流が生じる場合、融液の上部周辺に局部的に停
滞する対流が生じる場合があるが、このうち特に、融液
の上部周辺に局部的な対流が生じた場合には、融液の周
辺部で温度が低下することがコンピューター解析から判
明している。また、MACC法では、ルツボへの多結晶
充填量を増やすとルツボ高さが必然的に大きくなるの
で、必然的に融液内の上下温度差が大きくなり、上記の
対流による表面温度の均一化が一層起き易くなる。
【0020】 密封容器1の内径に比してルツボ7の
外径が小さすぎる場合:密封容器1の内壁面とサセプタ
ー6との間隙Dが広いと、次の理由により原料融液Yの
上面温度分布がほぼ均一になると推測される。すなわ
ち、図5の装置では、サセプター6が密封容器1の最高
温部の近傍に位置し、最高温部からの輻射熱を主に受け
るのに対し、ルツボ7内の中央部では、ルツボ側壁の高
温部からの輻射熱を受けると同時に、密封容器1の上側
低温部へ輻射熱を放射し冷却する。したがって、前記間
隙Dが十分に狭ければ、必然的に融液上面において半径
方向外方に向け正の温度勾配が生じるのであるが、間隔
Dが広いと、サセプター6が密封容器1の内壁面低温部
を見込む(臨む)割合が増え、かつ、前記間隙D内で高
解離圧成分ガスの対流が生じてサセプター6とルツボ7
の上部が冷やされる。その結果、融液上面の周辺部の温
度が下がり、融液上面における温度分布が均一になった
り、周辺部の温度が中心部より下がるのである。
【0021】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたもので、上記,のいずれが原因である場合に
も、融液液面における温度分布の均一化傾向を修正し
て、ルツボ内壁近傍において融液温度が相対的に高くな
るようにし、この部分での結晶の拡径力を弱め、メニス
カスによる形状規制効果を高めることを課題としてい
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
装置は、内部空間が気密的に封止された円筒状の密封容
器と、この密封容器の内部に同軸に配置されたルツボ
と、このルツボを収容し保持するサセプターと、このサ
セプターを軸線回りに回転させるルツボ回転手段と、前
記密封容器を加熱する加熱手段と、ルツボ内に保持され
る原料融液に種結晶を浸漬して単結晶を引き上げる引上
機構とを具備し、サセプターには、サセプターの半径方
向外方に延び、かつ前記密封容器の内径よりも小さい外
径を有する円環状の遮蔽用鍔部が設けられていることを
特徴とする。なお、遮蔽用鍔部は、軸線方向に間隔を空
けて2以上設けられていてもよい。
【0023】また、本発明の請求項3の装置は、密封容
器の内壁には、内周縁が前記サセプターの外周面近傍に
位置するように、前記サセプターの外径よりも大きい内
径を有する環状の遮蔽体が設けられていることを特徴と
する。この場合にも、遮蔽体は密封容器の軸線方向に間
隔を空けて2以上設けられていてもよい。
【0024】
【作用】本発明の請求項1ないし4記載の単結晶引上装
置によれば、サセプターに設けた円形の遮蔽用鍔部、あ
るいは密封容器の内壁に設けた遮蔽体により、密封容器
の内壁とサセプターとの間の間隙がほぼ塞がれるため、
サセプターから密封容器の上側低温部への輻射熱が一部
遮断されるうえ、この間隙での高解離圧成分ガスの対流
が阻止されてガスによるサセプターの冷却量が低減す
る。
【0025】これにより、サセプターの外周部は密封容
器の内壁面の水平に対向する高温部分とほぼ同じ温度に
保たれる一方、融液上面の中央部には放射冷却が生じる
から、結果として融液上面には半径方向外方に向けて正
の温度勾配が生じ、メニスカスによる結晶形状制御効果
が向上できる。
【0026】
【実施例】図1は、本発明に係わる単結晶引上装置の第
1実施例を示す断面図であり、先の図5および図6と構
成が等しい部分には同一符号を付している。
【0027】図中符号1は、容器上部と容器下部に分割
可能な密封容器であり、この密封容器1は図示しない外
側容器内に収容されている。密封容器1の内部には有底
円筒状のルツボ7が同軸に配置され、有底円筒状のサセ
プター6内に収容されるとともに、サセプター6の下端
はルツボ回転軸(ルツボ回転手段)8の上端に固定され
ている。
【0028】密封容器1は、外側容器内に配置されたヒ
ータにより、所定の温度分布、すなわちサセプター6と
対向する領域で最高温度となるように全体が加熱され
る。密封容器1の天板部を貫通して引上軸(引上機構)
12が配置され、その下端には種結晶13が固定されて
おり、この種結晶13を原料融液Yに浸漬した後、回転
しながら引き上げることにより単結晶Tが育成される。
なお、この装置の図示していない他の部分は図5の装置
と同様でよい。
【0029】この実施例の特徴点は、サセプター6の上
端に、円環板状の遮蔽用鍔部20を水平かつ同軸に固定
したことにある。遮蔽用鍔部20の内径はルツボ7の外
径にほぼ等しい。遮蔽用鍔部20の外径は密封容器1の
内径よりも若干小さく設定され、密封容器1との間に、
サセプター6の回転および昇降を阻害しないだけの間隙
が形成されている。具体的な間隙量としては0.5〜5
mm程度が好適である。なお、この実施例では遮蔽用鍔
部20を水平に固定しているが、本発明はそれに限ら
ず、これを傾斜させて固定してもよい。
【0030】遮蔽用鍔部20の位置はサセプター6の上
端に限定されないが、遮蔽用鍔部20を1枚だけ設ける
場合には、図示のようにサセプター6の上端位置が適し
ている。ただし、必ずしも上端には限定されず、必要に
応じては下方に移動させてもよい。
【0031】遮蔽用鍔部20の材質としては、pBN,
AlN,Mo,W,Nbなど、高純度でかつ砒素等の高
解離圧成分ガスと反応しない物質か、反応しても強度が
保たれる物質が適している。また、遮蔽用鍔部20の厚
さは引上温度において十分な強度が得られる程度とされ
る。また、カーボンや石英も、導電性結晶のように、純
度にそれ程敏感でない目的には用いることができる。
【0032】上記構成からなる単結晶引上装置によれ
ば、サセプター6の上端に設けた円形の遮蔽用鍔部20
が、密封容器1の内壁とサセプター6との間の間隙を塞
ぐため、サセプター6の外周面から密封容器1の上側低
温部への輻射熱量が低減されるとともに、この間隙にお
けるガスの対流が阻止され、ガスを媒介とするサセプタ
ー6の冷却量が低減できる。
【0033】これにより、サセプター6の外周部は、密
封容器1の内壁面の対応部分とほぼ同じ高い温度に保た
れる一方、融液上面中央部の冷却条件は従来装置と変わ
らず、この中央部には上側低温部への放射冷却が生じる
から、結果として融液Yの上面には半径方向外方に向け
て正の温度勾配が生じ、メニスカスMによる結晶形状制
御効果が向上でき、円筒度が高く転位欠陥の少ない良好
な単結晶が得られる。
【0034】次に、図2は本発明の第2実施例を示して
いる。この例では、サセプター6の外周面に軸方向等間
隔に計5枚の遮蔽用鍔部20,22を設けたことを特徴
とする。遮蔽用鍔部20,22はいずれも互いに外径が
等しい。この例によれば、1枚の場合に比して、ガス対
流および上側低温部への輻射の双方を低減する効果が増
し、本発明の効果がいっそう高まる。
【0035】なお、遮蔽用鍔部20,22の枚数は2〜
4枚であってもよいし、6枚以上でもよい。また、遮蔽
用鍔部は完全な平板状でなくてもよく、密封容器1の内
壁面高温部の位置に合わせて、上方または下方に向けて
窄むテーパ状としてもよいし、その他にも装置各部の構
成・形状は必要に応じて適宜変更してよい。
【0036】一方、上記各実施例のように円形の遮蔽用
鍔部20をサセプター6に取り付ける代わりに、密封容
器1の内壁に遮蔽体を固定することも可能である。図3
はそのような実施例を示し、この例では、密封容器1に
内接して固定されているライナー管24の上端面上に、
環状の遮蔽板(遮蔽体)23を載置することにより、密
封容器1とサセプター6の間隙をほぼ塞いでいる。遮蔽
板23の外径は密封容器1の内径にほぼ等しく、遮蔽板
23の内径はサセプタ6の外径より若干大きい。これに
より、遮蔽板23の内周縁とサセプタ6の外周面との間
には、サセプタ6の回転および昇降を阻害しないだけの
間隙が形成されている。
【0037】この例の遮蔽板23は、下方に窄むテーパ
状に形成されているが、これは平板状であってもよい
し、上方に窄むテーパ状であってもよい。
【0038】この実施例によれば、第1実施例と同様の
効果が得られるだけでなく、結晶成長操作の間、ルツボ
7内での融液面の下降に合わせてルツボ上昇量を制御す
ることにより、遮蔽板23と成長界面Sとの相対位置を
常に一定に保つことが可能である。これにより、サセプ
ター6の遮蔽板23より下方の部分を保温し、融液面の
ルツボ内壁近傍部を常に重点的に加熱することが可能と
なる。これに対し、前述した図1および図2の実施例で
は、単結晶Tの成長に伴って成長界面Sが下降し、遮蔽
用鍔部20から遠ざかるので、遮蔽用鍔部20の効果は
徐々に低下する可能性がある。
【0039】なお、遮蔽体23の固定方法としては、図
3のようにライナー管24の上端に固定する代わりに、
密封容器1の内壁に環状突起等の係合部を設け、その上
に載置しても良いし、その他の固定構造を採ってもよ
い。
【0040】さらに、図4に示すように、遮蔽板を軸線
方向に間隔を空けて2枚以上設けてもよい。この例で
は、前述の遮蔽板23の下方に、平板円環状の遮蔽板2
5を軸線方向等間隔に4枚配置し、それぞれをライナー
管4に固定している。なお、遮蔽板の固定方法として
は、溶接やビス止め等によりライナー管に一体的に固定
する方法のみならず、ライナー24の上端上にスペーサ
と遮蔽板とを交互に積み上げ、相互に固定する方法も可
能である。
【0041】この実施例のように遮蔽板23,25の枚
数を増やした場合、密封容器1の内壁からの熱量があま
り分散しないまま、サセプター6の外周面の対向部位に
移行する傾向が高まるため、図3の場合よりも加熱効果
を向上することが可能である。
【0042】
【実験例】次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証す
る。 (比較例1)図6に示す装置において、密封容器1の内
径を190mm、ルツボ7の外径を4インチ(100m
m)、サセプター6の外径を110mm、単結晶Tの径
を3インチに設定した。ルツボ内で6kgのGaAs多
結晶原料を溶かし、密封容器内を約1気圧の砒素蒸気で
満たした。次いで、ヒーターの出力を下げながら種結晶
を浸漬した後、種結晶を徐々に引き上げて単結晶の肩形
状を作り、結晶径をルツボ内径に近付けた。しかし、単
結晶の増径傾向は止まらず、単結晶がルツボ内面に接触
し、この接触点から多結晶化してしまった。
【0043】(比較例2)比較例1と同じ装置におい
て、ルツボ7を外径5インチ(125mm)、サセプタ
ー6を外径135mmのものに変更し、8kgの多結晶
原料を溶解して4インチ径の単結晶を引き上げたが、上
記比較例1と同様に多結晶化した。
【0044】(実験例1)比較例2と同じ装置(5イン
チ径ルツボ)において、図1に示すように遮蔽用鍔部2
0をサセプター6の上端に固定したうえ、8kgの多結
晶原料を溶解して、比較例2と同じ条件で単結晶の引き
上げを行った。遮蔽用鍔部20は、外径186mm、内
径130mm、厚さ2mm、材質はpBNであり、ルツ
ボ7の外周にはめ込んだうえ、サセプター6の上端に載
せて固定した。
【0045】その結果、単結晶Tの外径がメニスカスの
作用により制御でき、径変動の極めて少ない直胴部を持
つ単結晶(110±1.5mm径、長さ80mm)が得
られた。しかし、80mmを過ぎたところで径制御が悪
化して単結晶が急に太くなり、ルツボ7内面に接触して
多結晶化した。
【0046】(実験例2)比較例1と同じ装置(4イン
チ径ルツボ)において、実験例1と同様の構造でサセプ
ター6の上端に遮蔽用鍔部20を固定したうえ、6kg
のGaAs多結晶原料を溶解し、比較例1と同じ条件で
引き上げを行った。この遮蔽用鍔部20は、外径186
mm、内径110mm、厚さ2mm、材質はMoであ
り、サセプター7の内側からビスで固定した。
【0047】その結果、遮蔽用鍔部20を使用しないと
きに比べ、メニスカスの作用により結晶径を制御できた
が、結晶径の制御性は実験例1(5インチ径ルツボ)の
場合に比して劣り、結晶径は85±5mmとなって径変
動が大きかった。
【0048】(実験例3)そこで、実験例2の装置にお
いて、図2に示すように遮蔽用鍔部(20,22)の枚
数を5枚に増やし、前記同様の引き上げを行った。その
結果、直胴部が83±1mm、長さ140mmの単結晶
が得られ、遮蔽用鍔部が1枚の場合に比べ結晶径変動が
小さくなった。
【0049】(実験例4)比較例2と同じ装置(5イン
チ径ルツボ)において、図3に示すように、密封容器1
の内壁を構成するライナー管24の上端にテーパ付円環
状の遮蔽板23を溶接固定した。この遮蔽用鍔部23
は、外径188mm、内径114mm、厚さ0.5m
m、材質はニオブであり、軸線方向の高さは30mmと
した。そして8kgの多結晶原料を溶解し、比較例2と
同一の条件で単結晶引き上げを行った。結晶成長の間、
ルツボ位置を常に調整し、成長界面Sが常に遮蔽板23
の内周端の下方約1.5mmの位置にあるように設定し
た。
【0050】その結果、単結晶Tの外径がメニスカスに
より制御でき、径変動の極めて少ない直胴部を持つ単結
晶(径110±1.5mm、長さ100mm)が得ら
れ、単結晶長において実験例1よりも改善された。
【0051】(実験例5)実験例4の装置(5インチ径
ルツボ)において、図4に示すように、ライナー管24
にさらに4枚の環状遮蔽板25を固定した。これら遮蔽
板25はニオブ製で平板状をなし、内径および肉厚は遮
蔽板23と同じであり、ライナー管24の内面に溶接固
定した。この装置を用い、比較例2と同一の条件で単結
晶を引き上げた結果、径変動は実験例3とほぼ同じであ
ったが、単結晶長をさらに改善でき、120mmまで延
ばすことができた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる単
結晶引上装置によれば、サセプターに設けた円形の遮蔽
用鍔部、あるいは密封容器の内壁に設けられた遮蔽体
が、密封容器の内壁とサセプターとの間の間隙をほぼ塞
ぐため、サセプターから密封容器の上側低温部への輻射
熱が低減されるうえ、この間隙での高解離圧成分ガスの
対流が阻止されてガスによるサセプターの冷却量が低減
する。
【0053】これにより、サセプターの外周部は密封容
器の内壁面の水平に対向する高温部分とほぼ同じ温度に
保たれる一方、融液上面の中央部には放射冷却が生じる
から、結果として融液上面には半径方向外方に向けて正
の温度勾配が生じ、メニスカスによる結晶形状制御効果
が向上でき、円筒度が高く全長の長い高品質の単結晶を
製造することが可能である。
【0054】また、密封容器の内壁に遮蔽体を設けた場
合には、結晶成長に伴う融液面の下降に合わせてルツボ
上昇量を制御し、遮蔽体と結晶成長界面との相対位置を
常に一定に保つことが可能であるから、融液面のルツボ
内壁近傍部を常に重点的に加熱することができ、上記効
果が高められる。さらに、遮蔽用鍔部あるいは遮蔽体を
2以上設ければ、上記効果が一層顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる単結晶引上装置の第1実施例の
要部を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の要部を示す縦断面図であ
る。
【図3】本発明の第3実施例の要部を示す縦断面図であ
る。
【図4】本発明の第4実施例の要部を示す縦断面図であ
る。
【図5】従来の単結晶引上装置を示す縦断面図である。
【図6】従来装置の要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 密封容器 6 サセプター 7 ルツボ 8 ルツボ回転軸(ルツボ回転手段) 12 引上軸(引上機構) 13 種結晶 20 遮蔽用鍔部 22 遮蔽用鍔部 23 環状遮蔽板(遮蔽体) 24 ライナー管 25 環状遮蔽板(遮蔽体) T 単結晶 Y 原料融液 S 結晶成長界面
フロントページの続き (72)発明者 熱海 貴 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社化合物半導体センター 内 (72)発明者 白田 敬治 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社化合物半導体センター 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部空間が気密的に封止された円筒状の
    密封容器と、この密封容器の内部に同軸に配置されたル
    ツボと、このルツボを収容し保持するサセプターと、こ
    のサセプターを軸線回りに回転させるルツボ回転手段
    と、前記密封容器を加熱する加熱手段と、ルツボ内に保
    持される原料融液に種結晶を浸漬して単結晶を引き上げ
    る引上機構とを具備する単結晶引上装置において、 前記サセプターには、サセプターの半径方向外方に延
    び、かつ前記密封容器の内径よりも小さい外径を有する
    円環状の遮蔽用鍔部が設けられていることを特徴とする
    単結晶引上装置。
  2. 【請求項2】 前記遮蔽用鍔部は、前記ルツボの軸線方
    向に間隔を空けて2以上設けられていることを特徴とす
    る請求項1記載の単結晶引上装置。
  3. 【請求項3】 内部空間が気密的に封止された円筒状の
    密封容器と、この密封容器の内部に同軸に配置されたル
    ツボと、このルツボを収容し保持するサセプターと、こ
    のサセプターを軸線回りに回転させるルツボ回転手段
    と、前記密封容器を加熱する加熱手段と、ルツボ内に保
    持される原料融液に種結晶を浸漬して単結晶を引き上げ
    る引上機構とを具備する単結晶引上装置において、 前記密封容器の内壁には、内周縁が前記サセプターの外
    周面近傍に位置するように、前記サセプターの外径より
    も大きい内径を有する環状の遮蔽体が設けられているこ
    とを特徴とする単結晶引上装置。
  4. 【請求項4】 前記遮蔽体は、前記密封容器の軸線方向
    に間隔を空けて2以上設けられていることを特徴とする
    請求項3記載の単結晶引上装置。
JP22913291A 1991-03-22 1991-09-09 単結晶引上装置 Withdrawn JPH05124888A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002055765A2 (en) * 2001-01-09 2002-07-18 Memc Electronic Materials, Inc. Crystal puller and method for growing single crystal semiconductor material

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WO2002055765A2 (en) * 2001-01-09 2002-07-18 Memc Electronic Materials, Inc. Crystal puller and method for growing single crystal semiconductor material
WO2002055765A3 (en) * 2001-01-09 2003-01-30 Memc Electronic Materials Crystal puller and method for growing single crystal semiconductor material

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