JPH05116271A - スリーブ方式印刷機の印刷胴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スリーブ方式印刷機に使用する印刷胴の回転支
軸を、印刷胴から簡単に取り外しできるようにすること
によって、印刷胴１を軽量化し、その印刷胴側壁部３
（偏平部分）を上下側にして垂直に安定して載置保存で
きるようにする。 【構成】テーパー状円柱体２１の左右両側壁部２３に、
該円柱体を回転可能に支持するための支軸装着孔２４を
設け、該テーパー状円柱体２１の少なくとも最外周構造
体２２内に、大径側の側壁部２３ｂから最外周構造体２
２外方に向かって気体を送流可能な気体入口２７と気体
流路２５と気体出口２８を設けたことを特徴とするスリ
ーブ方式印刷機の印刷胴。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テーパー状の印刷版胴
若しくは印刷圧胴の外周に、内周面がテーパー状の円筒
スリーブ状印刷版又は印刷版用ベース材、若しくは円筒
スリーブ状印刷圧胴用材を嵌合して印刷するスリーブ方
式印刷機の印刷胴に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６（ａ）〜（ｃ）は、従来の上記スリ
ーブ方式印刷機の印刷胴１を説明する側断面図であり、
図６（ａ）に示すように、印刷胴１（円筒スリーブ状印
刷版を装着するための印刷版胴、若しくは円筒スリーブ
状印刷圧胴用材を装着するための印刷圧胴）は、全体に
テーパー状であり、内部が中空のテーパー状の外周壁部
２と、該外周壁部２の小径側端部２ａと大径側端部２ｂ
とを閉塞して円筒状内部を密封空間とするためのそれぞ
れ側壁部３，３と、該円筒状側壁部２の回転中心相当部
に沿って前記側壁部３，３の外側に回転支軸４（小径側
端部２ａ側の支軸４ａ，大径側端部２ｂ側の支軸４ｂ）
とを一体に備える。

【０００３】又、上記テーパー状印刷胴１の大径側端部
２ｂ側の回転支軸４ｂの内部には気体流路５を孔設して
あり、該流路５は印刷胴１の中空部６内に連通してい
る。又、図６（ａ）における上記印刷胴１の外周壁部２
の概略中央部には、中空部６と連通する気体噴出口７を
孔設してあるものである。

【０００４】次に、図６（ｂ）に示すように、上記テー
パー状印刷胴１外周には、小径側端部２ａ側より大径側
端部２ｂ方向に、外周壁部２に沿って、円筒スリーブ状
印刷版又はスリーブ状印刷圧胴用材１０（ポリエステル
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂、ＦＲＰ樹脂、ネオプレンゴ
ム、アクリル系ゴム、アクリル−ニトリル系ゴム、ある
いはこれらの複合材を素材とする）を嵌合するものであ
る。

【０００５】該スリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷圧
胴用材１０の互いに対向する外表面１１はパラレルの関
係にあり、一方、互いに対向する内面１２は、前記印刷
胴１の外周壁部２のテーパーに対して順方向に嵌合する
テーパー状になっている。

【０００６】前記スリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷
圧胴用材１０を、印刷胴１外周に沿って回転支軸４方向
に平行に、大径側端部２ｂ側の支軸４ｂ方向に向かって
ある程度（途中）まで押し込んで嵌合させ、外周壁部２
とスリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷圧胴用材１０の
内面との間を、タイトに概略密着状態にした後は、図６
（ｃ）に示すように大径側端部２ｂ側の支軸４ｂに孔設
してある前記気体流路５より、所定圧力にて気体ａ（例
えば空気、又はＮ₂ など不活性気体）を注入して、外周
壁部２の気体噴出口７より前記圧入気体ａを中空部６内
より外側に向かって噴出させながら、前記外周壁部２と
スリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷圧胴用材１０の内
面との間の概略密着状態部分に気体膜を形成し、該外周
壁部２とスリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷圧胴用材
１０の内面との間の滑性度を上げることによって、前記
スリーブ状印刷版又はスリーブ状印刷圧胴用材１０を外
周壁部２に沿って滑り込ませることによって、印刷胴１
に前記印刷版又は印刷圧胴用材１０を装着するものであ
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の印刷胴１
は、該印刷胴１の大径側の回転支軸４ｂに気体注入用の
孔設部５を備え、該孔設部５を備えた前記支軸４ｂを介
して印刷胴１の中空部６内に気体を圧入する方式を取っ
ている。従って、前記印刷胴１の回転支軸４ａ，４ｂ、
特に少なくとも回転支軸４ｂは、気体の漏洩がなく密封
性が保持されるように、印刷胴１に対して簡単には取り
外しができない一体構造にして設置する必要があった。
そのため、印刷胴１本体を所定位置に保存する場合に
は、印刷胴１の支軸方向（例えば印刷胴１の長手方向）
を垂直にしてそのまま安定状態に立設することは困難で
あり、従って、保存する場合には、外周壁部２を水平状
態にして、床面、あるいはパレットなどに載置する保存
方式をとっており、この場合、印刷胴１の外周壁部２に
直接的に荷重が掛かって該外周壁部２面に損傷を生じた
り、汚損し易いものであった。

【０００８】本発明は、スリーブ方式印刷機に使用する
印刷胴の回転支軸を、印刷胴から簡単に取り外しできる
ようにすることによって、印刷胴１を、比較的軽量にし
て、運搬し易くするとともに、その印刷胴側壁部３（偏
平部分）を上下側にして垂直に安定して載置保存できる
ようにすることを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、テーパー状円
柱体２１の左右両側壁部２３に、該円柱体を回転可能に
支持するための支軸装着孔２４を設け、該テーパー状円
柱体２１の少なくとも最外周構造部２２内に、大径側の
側壁部２３ｂから最外周構造部２２外方に向かって気体
を送流可能な気体入口２７と気体流路２５と気体出口２
８を設けたことを特徴とするスリーブ方式印刷機の印刷
胴である。

【００１０】

【実施例】本発明を実施例に従って詳細に説明する。図
１は、本発明印刷胴２０の側断面図であり、該印刷胴２
０は、テーパー状円柱体２１であって、少なくとも、該
円柱体２１の最外周構造部２２（円柱体１の外周部、あ
るいは外周壁部を構成する部分）と、各々左右側壁部２
３，２３を備えるものである。前記テーパー状円柱体２
１の平坦な（あるいは概略平坦な）左右側壁部２３，２
３には、その円柱体２１の回転中心線部（中央部）Ｌを
中心として所定直径の支軸装着孔２４，２４を備える。
前記円柱体２１の内部には、図１に示すように、必要に
応じて適宜容積の中空部２６を備えることができる。

【００１１】なお、図１においては、前記孔設部２４，
２４は中空部２６と連通させた構造になっており、該孔
設部２４，２４間に、前記回転中心線部Ｌを軸中心とす
るシャフト状の回転支持用支軸（図示せず）を装着し
て、印刷胴２０を軸支するものであるが、本発明におい
てはこれに限定されず、中空部２６は、孔設部２４に対
して閉塞した構造であってもよい。又、前記テーパー状
円柱体２１の最外周構造部２２は、その回転中心線Ｌ方
向に徐々に直径が一次関数的に減少又は増大するもので
あり、小径側端部２２ａと大径側端部２２ｂとを備える
ものである。

【００１２】前記テーパー状円柱体２１の少なくとも前
記外周壁部２２を構成する構造体内には、図１に示すよ
うに、大径側端部２２ｂの側壁部２３ｂに孔設する気体
入口２７と、最外周構造部２２表面に孔設する気体出口
２８との間を連通する気体流路２５を孔設する。前記気
体入口２７には嵌合用孔（又は嵌合用管）などの接続部
２７ａを備え、後述の気体供給手段の気体供給ノズル
（又は気体供給孔）と接続可能になっている。

【００１３】図２は、本発明印刷胴２０の最外周構造部
２２に、円筒スリーブ状印刷版３０（又は円筒スリーブ
状印刷圧胴用材であり、ポリエステル樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ＦＲＰ樹脂、ネオプレンゴム、アクリル系ゴ
ム、アクリル−ニトリル系ゴム、あるいはこれらの複合
材を素材とする）を、小径側端部２２ａ側から嵌合（図
２の点線で示すスリーブ状印刷版３０）して、装着終了
した状態（図２の実線で示すスリーブ状印刷版３０）を
説明する側面図である。

【００１４】図２に示すように、前記円筒スリーブ状印
刷版３０（又は円筒スリーブ状印刷圧胴用材）の互いに
対向する外周面３１は、互いに平行であるが、その内周
面３２は、印刷胴２０のテーパー円柱体２１最外周構造
部２２に順方向に沿う形状にテーパー状になっている。

【００１５】該スリーブ状印刷版３０（又は円筒スリー
ブ状印刷圧胴用材）を、前記印刷胴２０の最外周構造部
２２に嵌合装着する場合には、まず、大径側端部２２ｂ
側の側壁部２３ｂに備える接続部２７ａ（図２では、嵌
合用孔）に気体供給手段４０の気体供給ノズル４１を嵌
合して接続固定する。前記接続部２７ａに気体供給ノズ
ル４１を接続固定した後は、気体供給管４２を介して適
宜気圧の気体ａをノズル４１より噴出させ、気体流路２
５を経由して気体出口２８より気体ａを噴出させて、外
周壁部２２とスリーブ状印刷版３０（又はスリーブ状印
刷圧胴用材）内周との間に気体膜を形成してその間の滑
性度を上げながら、前記印刷版３０を大径側端部２２ｂ
方向に押し込み、小径側端部２２ａ側の印刷版３０端縁
部が、印刷胴２０の側壁部２３ａに到達、乃至は外周壁
部２２表面に到達することによって、該スリーブ状印刷
版３０（又はスリーブ状印刷圧胴用材）の装着操作を終
了する。

【００１６】装着を終了した後のスリーブ状印刷版３０
（又はスリーブ状印刷圧胴用材）の外周面は、印刷胴２
０の回転中心線Ｌに対して平行な状態になる。なお、前
記接続部２７ａとノズル４１の接続固定方式は、螺着方
式、又は差込みと回転の二段動作によるフック係止方式
などが適当であるが、本発明においてはこれに限定され
るものではない

【００１７】上記のように、テーパー状印刷胴２０の最
外周構造部２２にスリーブ状印刷版３０（又はスリーブ
状印刷圧胴用材）を装着した印刷胴２０は、印刷機本体
に搬入されて、該印刷機に装備されている印刷胴回転支
持用の両側支軸５０，５１に、その側壁部２３に備える
支軸装着孔２４，２４を嵌合することによって支持さ
れ、該支軸５０，５１のいずれか一方を他方側にエアー
シリンダー又は油圧シリンダー等にて押圧動作させて各
支軸５０，５１と印刷胴２０とを確実に一体的に固定支
持させ、且つ、前記他方側の支軸を駆動回転させること
によって印刷胴２０を回転させ、該印刷胴２０の印刷版
３０（又は印刷圧胴用材）に対して所定の印圧にて対向
押圧する印刷圧胴（又は印刷版胴）（図示せず）との間
に印刷用シート（又はウエブシート）を導入して印刷を
行うものである。

【００１８】上記図１、図２に示した本発明印刷胴１の
一実施例における前記気体出口２８は、印刷胴１の最外
周構造部２２の回転中心線Ｌ方向の概略中央部に１個乃
至複数個を設けたものであるが、この他に、例えば図３
に示すように、印刷胴１の回転中心線Ｌ方向に対して最
外周構造部２２の中央部とその両端部に１個乃至数個の
気体出口２８を孔設するなど、前記回転中心線Ｌ方向に
沿って適宜複数個所に孔設するようにしてもよい。

【００１９】又、図１、図２に示した本発明印刷胴１の
一実施例における前記気体流路２５及び気体出口２８
は、その印刷胴１の回転方向（円周方向）に沿って対向
する位置２個所に設置し、各々気体流路２５の側壁部２
３部分には、各々気体入口２７を設置するものである。

【００２０】図４（ａ）は、前記図１、図２、図３に示
すそれぞれ大径側壁部２３ｂ側から見た印刷胴１の側面
図であり、該印刷胴１の円周方向の対向する位置２個所
に気体流路２５，２５とその気体入口２７と気体出口２
８を設置したものであるが、この他に、例えば図４
（ｂ）に示すように、印刷胴１の円周方向に沿って互い
に対向する位置に等間隔に４個所に気体流路２５を設置
し、該気体流路２５のいずれか１個所乃至２個所に気体
入口２７を設置し、４個所の各々気体流路２５に対応し
て気体出口２８を孔設するようにしてもよい。あるいは
又、４個所以上設置することも可能である。なお、図４
（ｂ）において、２５ａは、各々気体流路２５の間を結
ぶ連絡流路（又は気体送流中空部）である。

【００２１】図５は、本発明の他の実施例であり、本発
明の印刷胴２０において、テーパー状円柱体２１の最外
周構造部２２の構造体内に、比較的大容積の気体流路２
５（中空部分）を設け、大径側端部２２ｂ側の側壁部２
３ｂに、該気体流路２５と連通する気体入口２７を孔設
し、両側壁部２３ａ，２３ｂに、回転中心線Ｌを中心と
する回転支軸５０，５１（図２参照）の嵌合するそれぞ
れ孔設部２４を備えるものである。

【００２２】なお、上記図５の他の実施例において印刷
胴２０の荷重を軽量化するために、回転中心線Ｌを含む
前記円柱体２１の内部には、同図５に示すように、比較
的大容積の気体流路２５（中空部分）よりも中心線Ｌ側
に、必要に応じて中空部２６を備えるようにしてもよ
い。

【００２３】

【作用】本発明スリーブ方式印刷機の印刷胴２０は、回
転支持する支軸を印刷胴２０に対して簡単に取付け切り
離して可能にしたので、スリーブ状印刷版、スリーブ状
印刷圧胴用材３０を印刷胴２０に対して取付ける場合、
あるいは取り外す場合、又、取り外した後の印刷胴２０
本体の収納保管においては、印刷胴２０を、その印刷胴
２０の回転中心方向を垂直に立設してスリーブ状印刷版
３０（又はスリーブ状印刷圧胴用材）の取付け、取り外
し作業ができ、あるいは印刷胴２０の保管ができる。

【００２４】そのため、スリーブ状印刷版（又はスリー
ブ状印刷圧胴用材）の取付け、取り外し作業は、該印刷
胴２０の平坦な側壁部２３を活用して安定して作業でき
る。又、印刷胴２０の保管においては、例えば、印刷胴
２０の回転中心方向の長さがその直径に対して長い場合
などでは、印刷胴を垂直に立設して保管することによっ
て保管スペースが節約でき、又、保管において印刷胴２
０の最外周構造部２２表面が保管台面に直接的に接触し
て印刷胴２０表面を損傷したり、汚損するような心配が
ないものである。

【００２５】

【発明の効果】本発明スリーブ方式印刷機の印刷胴は、
スリーブ状印刷版、又はスリーブ状印刷圧胴用材の取付
け、取り外しが容易であり、保管においては、保管スペ
ースが節約でき、彫刻版、樹脂版、ゴム版などを用いる
グラビア印刷機、あるいはフレキソ印刷機の印刷胴（印
刷版胴、印刷圧胴）として顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例におけるスリーブ方式印刷機
の印刷胴の正面断面図である。

【図２】本発明の一実施例におけるスリーブ方式印刷機
の印刷胴にスリーブ状印刷版を取り付けた状態、及び、
印刷機本体の支軸に該印刷胴を支持した状態を示す正面
図である。

【図３】本発明の一実施例におけるスリーブ方式印刷機
の印刷胴において、気体出口を回転中心線Ｌ方向に複数
孔設した場合の印刷胴の正面図である。

【図４】（ａ）本発明の一実施例におけるスリーブ方式
印刷機の印刷胴を示す側面図である。 （ｂ）本発明の一実施例におけるスリーブ方式印刷機の
印刷胴において、気体流路と気体出口とを円周方向に沿
って複数設置した場合における印刷胴の側面図である。

【図５】本発明の他の実施例におけるスリーブ方式印刷
機の印刷胴を説明する正面断面図である。

【図６】従来のスリーブ方式印刷機の印刷胴を説明する
正面断面図である。

【符号の説明】

１…印刷胴 ２…外周壁部 ２ａ…小径側端部 ２ｂ…
大径側端部 ３…側壁部 ４…回転支軸 ４ａ…小径側端部の支軸 ４ｂ…大径側
端部の支軸 ５…気体入口 ６…中空部 ７…気体出口
１０…スリーブ状印刷版（又はスリーブ状印刷圧胴用
材 １１…外周面 １２…内周面 ２０…印刷胴 ２１
…円柱体 ２２…最外周構造部 ２２ａ…小径側端部
２３ｂ…大径側端部 ２３…側壁部 ２３ａ…小径側壁
部 ２３ｂ…大径側壁部 ２４…支軸装着孔 ２５…気
体流路 ２５ａ…連絡流路 ２６…中空部 ２７…気体
入口 ２７ａ…接続部 ２８…気体出口 ３０…スリー
ブ状印刷版（又はスリーブ状印刷圧胴用材） ３１…外
周面 ３２…内周面 ４０…気体供給手段 ４１…供給ノズル
４２…気体供給管５０，５１…印刷機本体支軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テーパー状円柱体２１の左右両側壁部２３
   に、該円柱体を回転可能に支持するための支軸装着孔２
   ４を設け、該テーパー状円柱体２１の少なくとも最外周
   構造部２２内に、大径側の側壁部２３ｂから最外周構造
   部２２外方に向かって気体を送流可能な気体入口２７と
   気体流路２５と気体出口２８を設けたことを特徴とする
   スリーブ方式印刷機の印刷胴。