JPH0510691A - 気体予熱機用シール部材及びこれを用いた気体予熱機用シール構造体 - Google Patents

気体予熱機用シール部材及びこれを用いた気体予熱機用シール構造体

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JPH0510691A
JPH0510691A JP18707391A JP18707391A JPH0510691A JP H0510691 A JPH0510691 A JP H0510691A JP 18707391 A JP18707391 A JP 18707391A JP 18707391 A JP18707391 A JP 18707391A JP H0510691 A JPH0510691 A JP H0510691A
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seal
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glaze
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Withdrawn
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JP18707391A
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Inventor
Shoji Seike
捷二 清家
Shunichi Igami
俊市 伊神
Masao Nishioka
正雄 西岡
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Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度の耐摩耗性、耐腐食性を併せ持ち、なお
かつ熱間状態での水洗に耐えられるような耐熱衝撃性の
高い気体予熱機用シール部材を提供することである。 【構成】 アルミナセラミックス製の本体8の表面に、
このアルミナセラミックスの熱膨張係数よりも小さい熱
膨張係数を有する釉薬からなる被膜3を設ける。好まし
くは、摺動面9からアルミナセラミックスを露出させ
る。本体8の熱膨張係数と被膜3の熱膨張係数との差は
9×10-7/℃以上とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気体予熱機用シール部材
及びこれを用いた気体予熱機用シール構造体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】空気予熱機は、火力発電用ボイラ、船舶
用ボイラ、その他、製油、蒸留、改質炉等の化学装置等
において、排ガスから熱交換により燃焼用空気に熱を回
収し、熱効率を高くするために使用されるものである。
図10は空気予熱機の概略斜視図である。
【0003】ロータハウジング17内にロータ11が回転可
能に収容され、ロータ11の側面にはラジアルシーリング
プレート13が一方のロータ側面ごとに二個毎設けられて
いる。ロータハウジング17は図示しないペデステルによ
り支持され、ロータ11は図示しない駆動装置により矢印
Hのように回転する。
【0004】ロータ11の上側には矢印Dのように熱廃ガ
スが流通され、下側には矢印Fのように空気が対向方向
に流通される。排ガス層と空気層とはラジアルシーリン
グプレート13により遮断される。ロータ11にはヒーティ
ングエレメントが収容され、このヒーティングエレメン
トが熱排ガスDから熱を吸収する。そして、ロータ11が
回転すると、冷空気がヒーティングエレメントを通過す
るときに加熱され、熱空気が矢印Gのようにボイラ等へ
送られる。一方、熱排ガスからは熱が吸収されるので、
冷排ガスが矢印Eのように外気へと排出される。
【0005】こうした空気予熱機においては、ロータ11
の外周部とロータハウジング17との間、ロータ11の側面
とラジアルシーリングプレート13との間に共に間隙が存
在し、排ガス及び空気がこれらの間隙から漏洩し、熱効
率を低下させる。従って、これらの間隙はできるだけ小
さくし、シール効果を高くすることが重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ロータ11外周部とハウ
ジング17との間隙のシール方法としては、その間隙をで
きるだけ小さくすることによって行なう構造的なシール
が実施されている。
【0007】排ガス温度は300 〜400 ℃で、空気は常温
〜100 ℃程度であり、ヒーティングエレメントを収納す
るロータ11は、このような温度変化に対応して変形す
る。構造的なシールでは、このような温度変化による膨
張、あるいは、へたりによって、間隙は大きくなり、シ
ーリング効果が低下する。
【0008】ロータ11側面とラジアルシーリングプレー
ト13との間隙のシール方法としては、ロータ側面に12ま
たは24個に区切ったダイアフラムプレートを設け、これ
と金属から成るラジアルシーリングプレートとの間隙を
できるだけ小さくすることによって行なう、構造的なシ
ールが行なわれている。
【0009】このような単なる構造的なシール方法で
は、シーリング効果に限界があり、構造材料が排ガス成
分によって腐蝕されると、構造材料同士の間隙が大きく
なり、シーリング効果が低下する。これらのことから、
単に構造材料同士の間隙を小さくするだけでなく、例え
ばロータ外周部にシール部材を取り付け、このシール部
材を相手方のハウジングに加圧摺動させれば、シール効
果が向上することが期待される。
【0010】火力発電所等のボイラ燃焼用回転式空気予
熱機に使用される摺動部材としては耐摩耗性、耐蝕性及
び耐熱衝撃性の全てに優れていることが必要であり、従
来のシール部材はSS鋼または耐蝕鋼を用いていたが、
未だ耐摩耗性、耐蝕性が不充分で、頻繁なメンテナンス
が必要であり、特に摺動部材としては満足できないもの
であった。
【0011】即ち、火力発電所等に使用されているボイ
ラ燃焼用回転式空気予熱機においては、ボイラに使用す
る燃料が石炭、重油等のため熱排ガス中にイオウ酸化
物、窒素酸化物等の腐蝕性ガスが含有されており、空気
予熱機の低温部で結露し、空気予熱機の各部品は腐蝕さ
れ易いとの問題があった。
【0012】この問題を解決するため、本出願人は、特
願平1−184493号 (1989年7月19日出願)明細書
において、無機ガラス、耐摩耗性セラミックスからなる
シール部材を開示した。このシール部材は、例えばシー
リングバーへと加圧摺動させることが好ましく、これに
よりシーリング効果を最も有効に発揮させることができ
るものである。
【0013】しかし、本発明者が更に検討を進めたとこ
ろ、未だ問題が残されていることが解った。即ち、ま
た、熱排ガス中の塵芥が空気予熱機のヒートエレメント
等の各部品に付着し空気予熱機の熱交換特性を低下させ
る問題があり、この付着物の除去のために適宜空気予熱
機の水洗が実施されている。この際、火力発電所等のボ
イラは長期連続運転されており、ボイラの休止期間は極
めて短く、このため空気予熱機は充分冷却されないで約
200 ℃の熱間状態で上述の付着物の水洗除去が行われて
いる。このため空気予熱機部品は、例えば170 〜200 ℃
の温度差により過酷な熱衝撃を受ける。従って、例えば
特願平1−184493号明細書に開示したシール部材とし
て、耐摩耗性に極めて優れたアルミナセラミックスを採
用した場合、上記の熱衝撃によってアルミナセラミック
スに破壊が生じるという問題があった。
【0014】更に火力発電所等に使用されるボイラ燃焼
用回転式空気予熱機はロータの直径が1〜20mの大型装
置であり、予熱機に使用する部品は大きく、例えば1個
の大きさが200 ×100 ×50 mm のシール部材が使用され
ている。従って、シール部材に使用されるセラミックス
も必然的に大きくなり、形状効果によって必然的に極め
て熱衝撃に対し脆弱になってしまうという問題があっ
た。
【0015】本発明の課題は、高度の耐摩耗性、耐腐食
性を併せ持ち、なおかつ熱間状態での水洗に耐えられる
ような耐熱衝撃性の高い気体予熱機用シール部材を提供
することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、気体予熱機の
ロータの外周部とハウジングとの間隙又は前記ロータの
側面とラジアルシーリングプレートとの間隙をシールす
る気体予熱機用シール部材であって、アルミナセラミッ
クス製本体の表面に、この本体の熱膨張係数よりも小さ
い熱膨張係数を有する釉薬からなる被膜を設けた気体予
熱機用シール部材に係るものである。
【0017】
【作用】本発明によれば、気体予熱機用シール部材の本
体をアルミナセラミックスによって形成するので、シー
ル部材の摺動面の摩耗量を少なくでき、かつイオウ酸化
物、窒素酸化物による腐食も抑制することができる。即
ち、アルミナセラミックスは、金属に比較して、硬度が
高く、耐摩耗性に優れている。また、例えば空気予熱機
の排ガス中には酸化硫黄、酸化窒素等が含まれ、これら
が水と反応して硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸等を生成す
るが、アルミナセラミックスはこれらに対しても安定で
ある。
【0018】この一方、アルミナセラミックスは、耐熱
衝撃性が低いという欠点を有しており、約 200℃の熱間
状態での水洗に耐えられない。しかし、本発明では、ア
ルミナセラミックス製の本体の熱膨張係数よりも小さい
熱膨張係数を有する釉薬からなる被膜を本体の表面に設
けているので、この釉薬が圧縮釉として働き、アルミナ
セラミックス製本体を、水洗等による熱衝撃に対して保
護する。以上の特異な構成によって、本発明のシール部
材は、非常に高度な耐摩耗性、耐腐食性および耐熱衝撃
性を同時に満足する。
【0019】この作用効果を良好に得るため、本体の熱
膨張係数と被膜の熱膨張係数との差は9×10-7/℃以上
とすることが好ましい。また、本体の耐摩耗製、耐腐食
性を高く保持するためには、本体を構成するアルミナセ
ラミックス中のアルミナ含有量を85重量%以上とする必
要がある。
【0020】こうした条件下で使用可能な釉薬の成分の
一例を下記に示す。 SiO2 60.0 〜74.0 重量% Al2O3 11.0 〜17.0 〃 Fe2O3 <0.7 〃 TiO2 <0.3 〃 CaO 1.0 〜 5.0 〃 MgO 1.0 〜 5.5 〃 K2O, Na2O 3.0 〜 8.0 〃 ZrO2 1.5 〜 3.5 〃 BaO <4.0 重量% MnO, CoO <0.3 〃
【0021】また、上記シール部材の摺動面にアルミナ
セラミックスのみが露出するように構成すれば、アルミ
ナセラミックスの高い耐摩耗性を有効に発揮させること
ができる。この場合、この摺動面以外の表面の総面積の
うち50%以上を釉薬からなる被膜によって覆えば、シー
ル部材の耐熱衝撃性を高めるうえで有効であり、この意
味で被膜の厚さを 100μm 以上とすることも好ましい。
【0022】
【実施例】まず、本発明のシール部材を適用すべき空気
予熱機(気体予熱機の一例)の概略について説明する。
【0023】図6は空気予熱機の概略側面図、図7は同
じく概略正面図である。回転軸14により保持されたロー
タ11がハウジング17の中に収められている。ロータ11は
ダイアフラムプレート12により、12又は24個等に区切ら
れており、その中に、ヒーティングエレメント15が設置
されている。ハウジングは排ガス槽とエア槽に分離され
ており、ロータが回転することにより、排ガス槽中で排
ガスの熱量をヒーティングエレメントに蓄熱し、エア槽
でエアを加熱する。排ガスは、例えば350 ℃、エアは60
℃で、空気予熱機を通過すると排ガスは140 ℃に冷却さ
れ、エアは300℃に加熱される。エアは加圧されてボイ
ラに流入するが、エアと排ガスの圧力差は例えば 2500
mmaq 程度である。したがって、エアが空気予熱機を通
過する時に圧力差により排ガス槽への漏れが多少発生す
る。
【0024】漏れの経路は、1つにはロータの側面でダ
イアフラムプレート12とラジアルシーリングプレート13
の間隙を通して起る。2つ目には、ロータ11の外周部
で、アキジャルシーリングプレート16の間隙を通して起
きる。また、ヒーティングエレメントの間隙に保持され
た排ガスおよびエアは、ロータが回転することによっ
て、各々エア槽および排ガス槽へ流入し、漏れとなる。
【0025】このような漏れをできるだけ小さくするた
めにシール構造が工夫されている。ダイアフラムプレー
ト12とラジアルシーリングプレート13の間隔をできるだ
け小さくすることによってシールをする方法をラジアル
シールBと呼ぶ。ロータ外周に設置したアキジャルシー
リングプレート16とハウジング17の間隔をできるだけ小
さくすることによってシールする方法をアキジャルシー
ルAと呼ぶ。また、ロータ外周とハウジングの間隙へ排
ガスおよびエアが流入することを防止するために、ロー
タ外周部の側面にシール構造18を設置し、ハウジング17
に取り付けたシーリングバー19との間隔をできるだけ小
さくすることによってシールする方法をバイパスシール
Cと呼ぶ。
【0026】ラジアルシールB、アキジャルシールAお
よびバイパスシールCの3ケ所のシール部のうち、少な
くとも1ケ所のシール部に本発明のシール部材を使用す
る。即ち、「気体予熱機のロータの外周部とハウジング
との間隙のシール」はアキジャルシールA、バイパスシ
ールCに該当する。「ロータの側面とラジアルシーリン
グプレートとの間隙のシール」は、ラジアジールBに該
当する。
【0027】バイパスシールCに本発明を適用した例に
ついて述べる。図5は縦軸型の空気予熱機のロータ外周
付近を示す概略図である。本例では、ロータ11外周の縁
部とハウジングとの間のシーリングに本発明を適用し
た。即ち、図5において上側のバイパスシール部分で
は、ホルダー21がシーリングバー19に固定され、シール
構造体1がホルダー21中に保持されている。この際シー
ル構造体1は、ホルダー21中で僅かに上下動可能なよう
になっており、シール構造体1の摺動面が自重によって
ロータタイヤ20に対して当接し、摺動する。シール構造
体1とシーリングバー19との間には若干の隙間があ
る。こうした構造により、ロータ11が熱によって膨脹、
収縮する際、シール構造体1がロータ11の変形に対して
追従する。
【0028】図5において下側のバイパスシーリング部
分では、ホルダー21がロータタイヤ20に固定され、シー
ル構造体1がホルダー21中に保持されている。シール構
造体1は、ホルダー21中で僅かに上下動可能なようにな
っており、シール構造体1の摺動面が自重によってシー
リングバー19に対して当接し、摺動する。
【0029】なお、こうした縦軸型の空気予熱機では、
シール構造体1の自重によってシール構造体1をシーリ
ングバー19又はロータタイヤ20に対して押圧する。これ
に対し、横軸型の空気予熱機の場合には、シール構造体
1の自重を利用できないので、シール構造体1を板バ
ネ、コイルバネ等によって相手部材の方へと向かって付
勢しなければならない。
【0030】このシール構造体1は、中空の枠体に、本
発明のシール部材を取り付けた構造のものである。そこ
で、まず、図1(a) 〜(d) を参照しつつ本発明による空
気予熱機用シール部材の構成例を説明し、次いでこれら
のシール部材を取り付けたシール構造体1の全体の構成
を、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0031】図1(a) 〜(d) に示すように、アルミナセ
ラミックス製本体8は、四角錐台形に形成されており、
その底面及び摺動面9は長方形である。この本体8の表
面は、一対の台形の側面8a、一対の長方形の側面、底面
及び摺動面9からなる。側面8aと8bとの間には、計4つ
の辺部8cが形成され、側面8a, 8bと底面との間には計4
つの辺部8dが形成され、側面8a, 8bと摺動面9との間に
は計4つの辺部8eが形成される。また、側面8a, 8b及び
摺動面9の接する四つの頂部8fと、側面8a, 8b及び底面
の接する四つの頂部8gが形成されている。
【0032】底面と、側面8a, 8bの下部とを、釉薬から
なる被膜3で覆う。摺動面9及び側面8a, 8bの上部には
アルミナセラミックスが露出する。そして、側面8a, 8b
及び底面の総面積のうち、50%を被膜3が覆い、残りの
50%の面積でアルミナセラミックスが露出する。なお、
辺部8c, 8d, 8e及び頂部8f, 8gの曲率半径は2mm以上と
することが好ましい。
【0033】図1(b) に示す例においては、釉薬からな
る被膜3によって、摺動面に接していない辺部8c, 8d及
び頂部8gを覆い、かつ底面を覆う。側面8aからは台形状
にアルミナセラミックスが露出し、側面8bからは長方形
状にアルミナセラミックスが露出する。こうした構成と
すれば、被膜3の圧縮釉としての作用が一層高まる。
【0034】図1(c) に示す例においても、図1(a) の
例と同様に、底面と側面8a, 8bの下部とを釉薬からなる
被膜3で覆う。ただし、摺動面9を除く表面、即ち、側
面8a, 8b及び底面のうち70%の面積が被膜3によって覆
われ、残りの30%の面積でアルミナセラミックスが露出
している。図1(d) に示す例においては、摺動面9では
アルミナセラミックスが露出し、他の表面はすべて被膜
3によって覆われている。
【0035】図2は、図1(d) のシール部材を例えば2
個取り付けたシール構造体1を示す断面図、図3はシー
ル構造体1の要部破断斜視図、図4はシール構造体1の
側面図である。図3,図4においては、被膜3は図示し
ない。
【0036】好ましくは耐蝕鋼によって、略直方体形状
の中空の枠体2を形成し、この枠体2の各頂点部分には
R(アール)を設ける。この枠体2のうち、シーリング
バーと対向すべき側に、長手方向へと向って複数個(本
例では2個)の孔2aを形成する。2個の孔2aの内側に、
抜け防止部材7が溶接等によって固定され、この抜け防
止部材7に、断面台形状の細長いシール部材8が嵌入さ
れている。シール部材のうち、シーリングバーに対して
摺動すべき平坦な摺動面9は露出し、これ以外の部分は
実質的に枠体2、抜け防止部材7によって覆われ、露出
していない。即ち、側面8b、底面8h側は抜け防止部材7
によって覆われ、側面8a側は枠体2によって覆われてい
る。
【0037】本実施例によれば、シール部材8の摺動面
9とシーリングバーとを加圧摺動させているので、アル
ミナセラミックスによる前記効果が大きく、シール部材
の変形、摩耗、腐蝕等を生ずることなく、かつ常に間隙
が生ずるのを防止して熱効率をより一層向上させること
ができる。
【0038】これと共に、アルミナセラミックス製の本
体8の表面に、本体8の熱膨張係数よりも小さい熱膨張
係数を有する釉薬からなる被膜を設けているので、既述
したように、この釉薬が圧縮釉として働き、アルミナセ
ラミックス製の本体8を水洗等による熱衝撃に対して保
護する。しかも、シール部材が、摺動面9を除いてすべ
て耐蝕鋼で囲まれているので、この耐蝕鋼も、水洗等に
よる熱衝撃に対して緩衝体として働く。
【0039】従って、こうしたシール部材によれば、シ
ーリング効果が高く、且つ長寿命となり、例えば火力発
電、船舶用ボイラ等の空気予熱効率を高くすることがで
き、また、製油、蒸留、改質炉等の化学装置に適用する
と、熱回収の効率が高くなる。更に、使用中の安全性が
大きくなり、メンテナンスの頻度も少なくすることがで
きる。
【0040】次いで、更に具体的な実験結果について述
べる。 (実験1)まず、図1(d) に示すシール部材を作製し、
これについて冷熱割れ温度差を測定した。具体的には、
幅45±0.5mm 、高さ20±0.3mm 、長さ42±0.3mm 、頂部
の曲率半径がすべて2mmである本体8を準備した。この
アルミナセラミックス中のAl2O3 含有量は96重量%とし
た。この本体8の摺動面9を除いた他の全表面に、釉薬
の泥しょうを所定厚さとなるようにスプレー塗布し、乾
燥、焼成、冷却し、各試験用試料を作製した。
【0041】焼成後の釉薬から成る被膜の厚さは100 ±
20μmとした。釉薬の組成を変化させることによって、
図8に示すようにアルミナセラミックス製の本体と釉薬
との熱膨張係数の差を種々変化させ、各試料について耐
熱衝撃性試験を実施した。
【0042】具体的には、各試料を各所定温度に十分長
時間保持した後、所定温度の多量の水を入れた水槽中に
一定時間浸漬した。試料を水槽より取り出した後、試料
中の亀裂の発生の有無をフクシン液にてチエックした。
そして、試料に亀裂が発生したときの加熱温度と水温と
の温度差の最小値を、冷熱割れ温度差(℃)として表示
した。この結果を図8に示す。
【0043】図8に示す結果から解るように、釉薬を本
体の表面に施していない試料の冷熱割れ温度差は120 ℃
であるのに対し、釉薬を本体の摺動面以外の全表面に施
した試料の冷熱割れ温度差は、アルミナセラミックスと
釉薬との熱膨張係数の差が大きくなるにつれて、増大し
た。更に具体的には、上記の熱膨張係数の差が9×10-7
/℃の近辺より冷熱割れ温度差が著しく増大し、20×10
-7/℃の近辺からはほぼ平坦となった。
【0044】なお、アルミナセラミックス製本体に釉薬
の泥しょうをスプレー塗布する場合に、本体を約150 ℃
に加熱しておくと、相当の厚みのある釉薬を均一の膜厚
で塗布できるため好ましい。
【0045】(実験2)本体8中のアルミナ成分の含有
量を図9に示すように種々変更し、相手材(SS400,
鉄) に加圧摺動させ、本体8の比摩耗量(×10-11mm2
N)を測定した。図9の結果から解るように、本体8中
のアルミナ成分の含有量が増大するに従って、比摩耗量
が等比級数的に減少した。特に、アルミナ成分の含有量
を85重量%以上とすることで、比摩耗量が30×10-11mm2
/N以下となり、実用上高度の耐摩耗性を付与することが
できる。
【0046】(実験3)釉薬を施さないアルミナセラミ
ックス製本体につき、表1に示すようにアルミナ成分の
含有量を変化させ、冷熱割れ温度差を測定した。表1か
ら解るように、アルミナ成分の含有量が増大するのに従
い、冷熱割れ温度差が減少し、アルミナ成分の含有量が
96重量%になると、冷熱割れ温度差は120 ℃にまで低下
した。
【0047】これに対し、熱膨張係数が69×10-7/ ℃の
釉薬A又は52×10-7/ ℃の釉薬Bを、本体の摺動面を除
く全表面に厚さ550 μm で施して図1(d) に示す試料を
得た。これらの結果も下記表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】これらの試料の冷熱割れ温度差を測定した
結果、表1から判るように釉薬を施すことによって冷熱
割れ温度差は向上した。特にアルミナ含有量が85重量%
よりも多い領域での冷熱割れ温度差の向上は著しく、例
えばアルミナ含有率96%では、熱膨張係数が52×10-7/
℃である釉薬を施すことによって冷熱割れ温度差は88℃
も向上した。したがって高い耐磨耗性および高い耐腐食
性を有するが本来耐熱衝撃性の低いアルミナセラミック
スでも、釉薬を施すことによって170 〜200 ℃差という
熱衝撃に対して十分耐えうることが明らかとなった。
【0050】(実験4)図1(d) に示すようなシール部
材を準備した。ただし、本体8中のアルミナ成分の含有
量は96%とし、本体8と釉薬からなる被膜3との熱膨張
係数の差は26×10-7/℃とした。そして、釉薬の厚さを
増加させて、冷熱割れ温度差を測定したところ、表2の
ような結果を得た。即ち100 μm 以上の厚さの釉薬を施
すことによって冷熱割れ温度差が著しく向上し、シール
部材として供与できる耐熱衝撃性をアルミナセラミック
スに付加することができる。
【0051】 表 2 ──────────────────────────────── 釉薬からなる被膜の厚み(μm) 冷熱割れ温度差(℃) ──────────────────────────────── 0 120 50 130 90 140 100 170 320 182 550 208 780 210
【0052】(実験5)まず、実験1で述べた寸法の本
体8を準備した。ここで、本体8のアルミナ成分の含有
量を96%とし、本体8 と釉薬との熱膨張係数の差を26×
10-7/℃とし、釉薬の厚さを550 μm とした。この本体
8に、それぞれ図1(a) 、(b) 、(c) 、(d) のように施
釉し、各試料を作製した。
【0053】具体的には、図1(a) の例では、摺動面9
を除く全表面のうち50%の面積を、釉薬からなる被覆で
覆った。図1(b) においては、各辺部8c、8dを覆うよう
に釉薬を施すが、この際、各辺部8c、8dに沿って側面8
a、8bに設けた被膜3の幅dは、8mmとした。図1
(c)の例では、摺動面9を除く全表面のうち70%の面
積を、釉薬からなる被覆で覆った。
【0054】これら図1(a) 〜(d) の試料及び釉薬を施
していない試料についてそれぞれ冷熱割れ温度差を測定
したところ、下記の結果を得た。 冷熱割れ温度差 (℃) 釉薬を施していない試料 120 図1(a) の試料 165 図1(b) の試料 178 図1(c) の試料 188 図1(d) の試料 208
【0055】また、図1(a) の被覆パターンを基本的に
使用しつつ、釉薬を施した面積を変え、それぞれについ
て冷熱割れ温度差を測定したところ下記の結果を得た。
【0056】 釉薬を施した面積 (%) 冷熱割れ温度差 (℃) 0 120 40 130 50 165 60 178 70 188 80 208
【0057】(実験6)まず、実験1で述べた寸法の本
体8を準備した。このアルミナ成分の含有量は96%であ
った。この本体8を試料No. 1とした。次いで、この本
体8を、図2〜図4に示すように、シール構造体1中に
取り付けた。ただし、枠体2、抜け防止部材7は、いず
れも厚さ3mmのSUS430 鋼で形成した。これを試料N
o. 2とした。
【0058】次に、本体8の摺動面9を除く全表面に、
厚さ550 ±50μm の釉薬を施した。この釉薬の熱膨張係
数と本体8の熱膨張係数との差は、46×10-7/℃とした
(試料No. 3)次いで、この試料を、図2〜図4に示す
ように、シール構造体1中に取り付けた。ただし、枠体
2、抜け防止部材7は、いずれも厚さ3mmのSUS430
鋼で形成した。これを試料No. 4とした。
【0059】これらの試料No. 1〜4について、冷熱割
れ温度差を測定した結果を以下に示す。 冷熱割れ温度差(℃) 試料No. 1 120 ± 11 試料No. 2 140 ± 14 試料No. 3 208 ± 17 試料No. 4 253 ± 13
【0060】以上の結果から解るように、本発明に従っ
て釉薬を施した試料No. 3では、試料の耐熱衝撃性が著
しく改善されているし、No. 3の試料を金属板で覆った
試料No. 4では、金属板が熱衝撃に対して大きな緩衝効
果をもたらすため、更に耐熱衝撃性が改善されている。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、気体予熱機用シール部
材の本体をアルミナセラミックスによって形成するの
で、シール部材の摺動面の摩耗量を少なくでき、かつイ
オウ酸化物、窒素酸化物によるシール部材の腐食も抑制
することができる。しかも、アルミナセラミックス製本
体の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有する釉薬か
らなる被膜を本体の表面に設けているので、この釉薬が
圧縮釉として働き、アルミナセラミックス製本体を、水
洗等による熱衝撃に対して保護する。これらにより、シ
ール部材に高い耐摩耗性、高い耐腐食性、高い耐熱衝撃
性を同時に付与し、長期間良好なシール性能を維持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a), (b), (c) 及び(d) は、それぞれ空気予熱
機のバイパスシール用に用いるシール部材を示す斜視図
である。
【図2】シール構造体を示す断面図である。
【図3】シール構造体の要部破断斜視図である。
【図4】シール構造体を示す側面図である。
【図5】空気予熱機のロータ外周付近を示す概略図であ
る。
【図6】空気予熱機全体を示す概略側面図である。
【図7】空気予熱機全体を示す概略正面図である。
【図8】アルミナセラミックス製本体と釉薬との熱膨張
係数の差と、冷熱割れ温度差との関係を示すグラフであ
る。
【図9】本体におけるアルミナ成分の含有量と比摩耗量
との関係を示すグラフである。
【図10】空気予熱機の構成を模式的に示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 シール構造体 2 中空の枠体 3 釉薬からなる被膜 7 抜け防止部材 8 アルミナセラミックス製本体 8c, 8d, 8e 辺部 8f, 8g 頂部 9 摺動面 11 ロータ 13 ラジアルシーリングプレート 16 アキジャルシーリングプレート 17 ハウジング 20 ロータタイヤ 21 ホルダー A アキジャルシール B ラジアルシール C バイパスシール

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体予熱機のロータの外周部とハウジン
    グとの間隙又は前記ロータの側面とラジアルシーリング
    プレートとの間隙をシールする気体予熱機用シール部材
    であって、アルミナセラミックス製本体の表面に、この
    本体の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有する釉薬
    からなる被膜を設けた気体予熱機用シール部材。
  2. 【請求項2】 前記本体の熱膨張係数と前記被膜の熱膨
    張係数との差が9×10-7/℃以上であることを特徴とす
    る、請求項1記載の気体予熱機用シール部材。
  3. 【請求項3】 前記本体が、アルミナ含有量が85重量%
    以上であるアルミナセラミックスからなる、請求項1記
    載の気体予熱機用シール部材。
  4. 【請求項4】 前記気体予熱機用シール部材の摺動面に
    アルミナセラミックスのみが露出し、この摺動面以外の
    表面の総面積のうち50%以上が前記被膜によって覆われ
    ている、請求項1記載の気体予熱機用シール部材。
  5. 【請求項5】 前記被膜の厚さが 100μm 以上である、
    請求項4記載の気体予熱機用シール部材。
  6. 【請求項6】 前記本体の辺部及び頂部のうち、前記摺
    動面に接していない辺部及び頂部のすべてが前記被膜に
    よって覆われている、請求項4記載の気体予熱機用シー
    ル部材。
  7. 【請求項7】 前記摺動面以外のすべての表面が実質的
    に金属で囲まれている、請求項4記載の気体予熱機用シ
    ール部材。
  8. 【請求項8】 前記本体の辺部及び頂部の曲率半径が2
    mm以上である、請求項1記載の気体予熱機用シール部
    材。
  9. 【請求項9】 中空の枠体と、この枠体の内側空間に突
    出するように枠体へと固定された抜け防止部材と、この
    抜け防止部材に嵌入された請求項1記載の気体予熱機用
    シール部材とを有し、 この気体予熱機用シール部材の平坦な摺動面が前記枠体
    の開孔から枠体の外側へと向かって露出し、前記気体予
    熱機用シール部材のうち前記摺動面以外の部分が前記枠
    体及び前記抜け防止部材によって覆われている、気体予
    熱機用シール構造体。
JP18707391A 1991-01-14 1991-07-02 気体予熱機用シール部材及びこれを用いた気体予熱機用シール構造体 Withdrawn JPH0510691A (ja)

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US07/818,563 US5234048A (en) 1991-01-14 1992-01-09 Sealing members for gas preheaters, and sealing structures using such sealing members for gas preheaters
DE69201799T DE69201799T2 (de) 1991-01-14 1992-01-13 Dichtung für einen rotierenden Gaserhitzer.
EP92300277A EP0495608B1 (en) 1991-01-14 1992-01-13 Sealing structure for a rotating gas heater
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002198082A (ja) * 2000-12-26 2002-07-12 Denso Corp 回転蓄熱式熱交換装置および燃料電池システム用改質装置

Cited By (2)

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JP2002198082A (ja) * 2000-12-26 2002-07-12 Denso Corp 回転蓄熱式熱交換装置および燃料電池システム用改質装置
JP4696358B2 (ja) * 2000-12-26 2011-06-08 株式会社デンソー 回転蓄熱式熱交換装置および燃料電池システム用改質装置

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