JPH05106163A - 炭素繊維ならびにこれを用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂およびプリプレグ - Google Patents

炭素繊維ならびにこれを用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂およびプリプレグ

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JPH05106163A
JPH05106163A JP3292541A JP29254191A JPH05106163A JP H05106163 A JPH05106163 A JP H05106163A JP 3292541 A JP3292541 A JP 3292541A JP 29254191 A JP29254191 A JP 29254191A JP H05106163 A JPH05106163 A JP H05106163A
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JP
Japan
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carbon fiber
thermoplastic resin
carbodiimide
carbodiimide reagent
resin
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JP3292541A
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Kaoru Hashimoto
かおる 橋本
Toshiharu Fukushima
敏晴 福島
Masuhiro Okada
升宏 岡田
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)に
用いられる炭素繊維とマトリックスとなる熱可塑性樹脂
との接着性を高める。 【構成】 炭素繊維の表面にジシクロヘキシルカルボジ
イミドなどのカルボジイミド試薬を付着させる。熱可塑
性樹脂としては、特にポリカーボネート樹脂が有効であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維強化熱可塑
性樹脂(以下、CFRTPと略記する。)の強化材とし
て用いられる炭素繊維に関し、炭素繊維表面にカルボジ
イミド試薬を付着させることにより、炭素繊維とマトリ
ックスとなる熱可塑性樹脂との接着性を高めるようにし
たものである。
【0002】
【従来の技術】CFRTPの強化材として用いられる炭
素繊維とマトリックスとなる熱可塑性樹脂との接着性を
改善する方法としては、例えば炭素繊維表面をポリビニ
ルピロリドンで被覆するもの(特開昭57−56586
号公報参照)、炭素繊維表面をポリウレタン樹脂で被覆
するもの(特開昭58−126375号公報参照)、炭
素繊維表面をアクリロニトリルースチレン共重合樹脂で
被覆するもの(特開昭59−71478号公報参照)、
炭素繊維表面をポリエーテルイミド樹脂でサイジングす
るもの(特開昭62−299580号公報参照)などが
知られている。
【0003】しかしながら、これらの先行技術にあって
は、炭素繊維とマトリックスとなる熱可塑性樹脂との接
着性改善効果は不十分であり、マトリックスがエポキシ
樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる炭素繊維強化プラスチ
ック(CFRP)に比較して機械的強度が劣り、炭素繊
維が有する優秀な機械的特性を十分に生かしきれない不
満がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、マトリックスとなる熱可塑性樹脂との接着
性が良好な炭素繊維、換言すれば接着性を十分に高めう
る炭素繊維の表面処理剤を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、カルボジ
イミド試薬を表面処理剤として用い、炭素繊維表面にこ
れを付着せしめることで解決される。
【0006】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
炭素繊維は、その表面にカルボジイミド試薬が付着した
ものである。ここで使用されるカルボジイミド試薬と
は、下記の一般式(I)で示される構造を有する化合物
で、単にカルボジイミドと呼称されるときもある。 R1−N=C=N−R2 (I) (式中、R1およびR2は、シクロヘキシル等の脂環族置
換基,エチル,メチル,イソプロピル等の脂肪族置換基
およびフェニル,P−トルオイル等の芳香族置換基を示
し、R1およびR2は同一でも異ってもよい。)このカル
ボジイミド試薬の具体的な化合物としては、ジシクロヘ
キシルカルボジイミド,ジ−P−トルオイルカルボジイ
ミド,ジイソプロピルカルボジイミド,ジフェニルカル
ボジイミドなどがある。
【0007】また、本発明で使用される炭素繊維として
は、アクリロニトリル系繊維,レーヨン,ピッチなどを
原料とする高弾性率タイプおよび高強度タイプのもの
で、モノフィラメント,ストランド,ロービング,チョ
ップドストランド,チョップドストランドマット,ロー
ビングクロス,ロービング,平織りクロス,朱子織りク
ロスなどの形態のものなとが用いられる。
【0008】炭素繊維にカルボジイミド試薬を付着させ
る方法としては、カルボジイミド試薬を有機溶媒に溶解
してカルボジイミド試薬溶液となし、この溶液に炭素繊
維を浸漬し、乾燥して溶媒を揮散,除去することにより
行なう方法がある。勿論、上記溶液を炭素繊維に噴霧し
たり、カーテンコータなどで塗布したりする方法も採用
可能である。ここで用いられる有機溶媒としては、カル
ボジイミド試薬を変性,変質させないものであれば特に
限定されないが、好ましいものとしては、ジクロロメタ
ン,トリクロロエタンなどがある。また、上記溶液中の
カルボジイミド試薬濃度は、重量比で0.01〜10
%、好ましくは0.1〜7%であると、1回の浸漬によ
り炭素繊維へのカルボジイミド試薬の付着を充分に行な
うことができる。この範囲外であってもこの発明の効果
は得られる。また、炭素繊維にカルボジイミド試薬を付
着させる他の方法としては、有機溶媒ボジイミド試薬を
単独で溶解した溶液を使用する代りに、有機溶媒にカル
ボジイミド試薬及びCRTPとして補強するマトリクッ
ス樹脂を溶解した溶液を使用して、繊維を浸漬,乾燥す
る等により付着する方法によっても本発明の効果は有効
に得られる。
【0009】また、カルボジイミド試薬の炭素繊維への
乾燥後の付着量は、重量比で0.001〜8%、好まし
くは0.1〜7%とされる。付着量が0.001%未満
では接着性改善効果が得られず、8%を越えると逆に接
着性改善効果が低下してしまう。また、一般の炭素繊維
のロービング、ストランドは、サイジング剤(集束剤)
で表面処理されて市販されているため、このような炭素
繊維を使用する場合には、予め空気中で高温で加熱して
このサイジング剤を燃焼して除去してから、カルボジイ
ミド試薬で処理することが好ましい。さらに、カルボジ
イミド試薬による表面処理に先立って、炭素繊維に表面
活性化処理を施しておくこともできる。この表面活性化
処理としては、過マンガン酸カリウム,硝酸による処
理,電解質溶液中での電気分解処理などの種々の処理方
法が用いられる。
【0010】このようにしてカルボジイミド試薬で表面
が被覆された炭素繊維は、強化材としてマトリックスと
なる熱可塑性樹脂中に分散され、複合化されて、この発
明のCFRTPとなる。このカーボン繊維と組み合せら
れる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ポリカーボネイト樹脂,ポリアミド樹
脂,ポリオキシメチレン樹脂,ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂,ボリブチレンテレフタレート樹脂,ポリエー
テルエーテルケトン樹脂,ポリエーテルケトン樹脂,ポ
リフェニレンスルフィド樹脂,ポリフェニレンオキサイ
ド樹脂などがあり、特に好ましいものとしてポリカーボ
ネイト樹脂がある。
【0011】これら熱可塑性樹脂と上記炭素繊維との複
合化の方法としては、従来周知の種々の方法が用いら
れ、例えばカルボジイミド試薬で処理した炭素繊維スト
ランドを切断してチョップドスランドとし、これを熱可
塑性樹脂ペレットと混合し、押出機で混練し、そのまま
成形品とする方法や押出機で混練して一旦混合ペレット
とし、これを射出成形や押出成形して成形品とする方
法、あるいは表面処理された炭素繊維のマットやクロス
を熱可塑性樹脂のフィルム,シート,織布,不織布など
と交互に積層し、加熱加圧して一体化して成形品を得る
方法、表面処理された炭素繊維のマットやクロスに熱可
塑性樹脂粉末を散布し、加熱して含浸せしめて、プリプ
レグとしたり、同様にこれらマットやクロスに熱可塑性
樹脂溶液あるいは溶融物を含浸してプリプレグとしたり
し、これらプリプレグを用いて成形品とする方法などが
ある。
【0012】このようにして得られるCFRTP成形品
中での炭素繊維含有量は、体積比で30〜65%程度に
すると、成形品の強度が好適に得られるが、成形品の用
途等によっては、この範囲外であってもよい。
【0013】以上のように、この発明の炭素繊維は、そ
の表面にカルボジイミド試薬を付着させたものであるの
で、後述の実施例から明らかなように、炭素繊維の熱可
塑性樹脂に対する接着性が著るしく改善されたものとな
る。よって、この炭素繊維を用いて得られるCFRTP
は、炭素繊維が持つ高度な機械的特性が十分に生され、
高い機械的強度を有する優れた複合材料となる。
【0014】以下、実施例を示して、この発明の作用効
果を明確にする。
【実施例】
1.炭素繊維の表面処理 炭素繊維として、「トレカクロスC06343」(東レ
(株)製、平織りクロス,坪量198g/m2)を用意
し、これを400℃の電気炉中で25分間加熱処理し、
サイジング剤を焼いて除去した。一方、カルボジイミド
試薬として、ジシこれを溶媒のジクロロメタンに溶解
し、種々の濃度のカルボジイミド試薬溶液を調製した。
このカルボジイミド試薬溶液中に、上記加熱処理済炭素
繊維クロスを、室温で10分間浸漬し、ついで40〜5
0℃で約5分間乾燥し、塩化メチレンを揮散させた。こ
の処理前後の重量変化によってジシクロヘキシルカルボ
ジイミドの炭素繊維クロスへの付着量を求めた。
【0015】2.CFRTPの成形 マトリックスとなる熱可塑性樹脂として、ポリカーボネ
ート繊維を織ったクロス(帝人(株)製、坪量100g
/m2、)を用意した。このポリカーボネート繊維クロ
スと上記カルボジイミド試薬処理した炭素繊維クロスと
をそれぞれ複数枚交互に積層し、プレス機にて加熱加圧
して、板状のCFRTP成形品とした。炭素繊維クロス
は、交互にその繊維方向を直交させて積層し、0°方向
及び90°方向強化品とし、成形品中の炭素繊維含量
(Vf)は50体積%とした。また、加熱加圧条件は、
温度250℃、圧力15kgf/cm2、時間10分と
した。
【0016】3.物性評価 上述のようにして得られた板状のCFRTP成形品の物
性評価を三点曲げ試験によって行った。試験片は幅2
5.4mm、長さ60mm、厚さ2mmであり、支点間
距離を40mm、荷重支点の曲率半径を3mm、試験速
度を1mm/分、サンプル数を10個以上とした。結果
を図1に示す。
【0017】図1のグラフは、横軸に炭素繊維に対する
ジシクロヘキシルカルボジイミドの付着量(重量%)
を、縦軸に曲げ強度(kg/mm2)を取ったものであ
る。また、ジシクロヘキシルカルボジイミドの付着量が
0重量%のものは、加熱処理してサイジング剤を除去し
た炭素繊維クロスをそのまま用いて得られた比較例とな
るCFRTP成形品を示す。
【0018】図1のグラフから、ジシクロヘキシルカル
ボジイミドを付着させたものでは、曲げ強度が高く、炭
素繊維とポリカーボネート樹脂との接着性が向上してい
ることが明らかである。また、付着量が8重量%を越え
ると、接着性が低下しはじめることがわかる。
【0019】また、比較として、同様に加熱処理した炭
素繊維クロスにポリカーボネート樹脂溶液(5.0重量
%)を含浸し、加熱,乾燥して、表面処理した炭素繊維
クロスを用いて、同様の板状のCFRTP成形品を製造
したところ、このものの曲げ強度は54.1kg/mm
2であった。また、比較として、同様に加熱処理した炭
素繊維クロスにジシクロヘキシルカボジイミド及びポリ
カーボネート樹脂の両方を溶解させた溶液(ジシクロヘ
キシルカボジイミド2.4重量%,ポリカーボネイト樹
脂1.2重量%)を含浸し、加熱,乾燥して、表面処理
した炭素繊維クロスを用いて、同様の板状のCFRTP
成形品を製造したところ、このものの曲げ強度は63.
6kg/mm2であった。
【0020】図2および図3は、曲げ試験後の試験片の
破壊面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であ
って、図2はジシクロヘキシルカルボジイミドで処理し
た炭素繊維を用いたものの、図3は無処理の炭素繊維を
用いたものの写真である。図2の写真では炭素繊維のモ
ノフィラメントの表面にポリカーボネートが付着してお
り、いわゆる疑集破壊をおこしていることがわかる。ま
た、図3の写真では炭素繊維のモノフィラメントの表面
にはポリカーボネートは残っておらず、いわゆる界面破
壊をおこしていることがわかる。これらの写真からもジ
シクロヘキシルカルボジイミドによる表面処理効果が認
められる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の炭素繊
維は、その表面にカルボジイミド試薬を付着させたもの
であるので、マトリックスとなる熱可塑性樹脂に対する
接着性が大きく改善される。このため、この炭素繊維を
強化材としたCFRTPは、炭素繊維本来の優れた機械
的特性を十二分に生したものとなり、高い機械的強度な
どを持つものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図2】実施例での試験片の破断面における炭素繊維の
繊維組織を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例での試験片の破断面における炭素繊維の
繊維組織を示す電子顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年11月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維強化熱可塑
性樹脂(以下、CFRTPと略記する。)の強化材とし
て用いられる炭素繊維に関し、炭素繊維表面にカルボジ
イミド試薬を付着させることにより、炭素繊維とマトリ
ックスとなる熱可塑性樹脂との接着性を高めるようにし
たものである。
【0002】
【従来の技術】CFRTPの強化材として用いられる炭
素繊維とマトリックスとなる熱可塑性樹脂との接着性を
改善する方法としては、例えば炭素繊維表面をポリビニ
ルピロリドンで被覆するもの(特開昭57−56586
号公報参照)、炭素繊維表面をポリウレタン樹脂で被覆
するもの(特開昭58−126375号公報参照)、炭
素繊維表面をアクリロニトリルースチレン共重合樹脂で
被覆するもの(特開昭59−71478号公報参照)、
炭素繊維表面をポリエーテルイミド樹脂でサイジングす
るもの(特開昭62−299580号公報参照)などが
知られている。
【0003】しかしながら、これらの先行技術にあって
は、炭素繊維とマトリックスとなる熱可塑性樹脂との接
着性改善効果は不十分であり、マトリックスがエポキシ
樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる炭素繊維強化プラスチ
ック(CFRP)に比較して機械的強度が劣り、炭素繊
維が有する優秀な機械的特性を十分に生かしきれない不
満がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、マトリックスとなる熱可塑性樹脂との接着
性が良好な炭素繊維、換言すれば接着性を十分に高めう
る炭素繊維の表面処理剤を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、カルボジ
イミド試薬を表面処理剤として用い、炭素繊維表面にこ
れを付着せしめることで解決される。
【0006】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
炭素繊維は、その表面にカルボジイミド試薬が付着した
ものである。ここで使用されるカルボジイミド試薬と
は、下記の一般式(I)で示される構造を有する化合物
で、単にカルボジイミドと呼称されるときもある。 R1−N=C=N−R2 (I) (式中、R1およびR2は、シクロヘキシル等の脂環族置
換基,エチル,メチル,イソプロピル等の脂肪族置換基
およびフェニル,P−トルオイル等の芳香族置換基を示
し、R1およびR2は同一でも異ってもよい。)このカル
ボジイミド試薬の具体的な化合物としては、ジシクロヘ
キシルカルボジイミド,ジ−P−トルオイルカルボジイ
ミド,ジイソプロピルカルボジイミド,ジフェニルカル
ボジイミドなどがある。
【0007】また、本発明で使用される炭素繊維として
は、アクリロニトリル系繊維,レーヨン,ピッチなどを
原料とする高弾性率タイプおよび高強度タイプのもの
で、モノフィラメント,ストランド,ロービング,チョ
ップドストランド,チョップドストランドマット,ロー
ビングクロス,ロービング,平織りクロス,朱子織りク
ロスなどの形態のものなどが用いられる。
【0008】炭素繊維にカルボジイミド試薬を付着させ
る方法としては、カルボジイミド試薬を有機溶媒に溶解
してカルボジイミド試薬溶液となし、この溶液に炭素繊
維を浸漬し、乾燥して溶媒を揮散,除去することにより
行なう方法がある。勿論、上記溶液を炭素繊維に噴霧し
たり、カーテンコータなどで塗布したりする方法も採用
可能である。ここで用いられる有機溶媒としては、カル
ボジイミド試薬を変性,変質させないものであれば特に
限定されないが、好ましいものとしては、ジクロロメタ
ン,トリクロロエタンなどがある。また、上記溶液中の
カルボジイミド試薬濃度は、重量比で0.01〜10
%、好ましくは0.1〜7%であると、1回の浸漬によ
り炭素繊維へのカルボジイミド試薬の付着を充分に行な
うことができる。この範囲外であってもこの発明の効果
は得られる。
【0009】また、カルボジイミド試薬の炭素繊維への
乾燥後の付着量は、重量比で0.001〜8%、好まし
くは0.1〜7%とされる。付着量が0.001%未満
では接着性改善効果が得られず、8%を越えると逆に接
着性改善効果が低下してしまう。また、一般の炭素繊維
のロービング、ストランドは、サイジング剤(集束剤)
で表面処理されて市販されているため、このような炭素
繊維を使用する場合には、予め空気中で高温で加熱して
このサイジング剤を燃焼して除去してから、カルボジイ
ミド試薬で処理することが好ましい。さらに、カルボジ
イミド試薬による表面処理に先立って、炭素繊維に表面
活性化処理を施しておくこともできる。この表面活性化
処理としては、過マンガン酸カリウム,硝酸による処
理,電解質溶液中での電気分解処理などの種々の処理方
法が用いられる。
【0010】このようにしてカルボジイミド試薬で表面
が被覆された炭素繊維は、強化材としてマトリックスと
なる熱可塑性樹脂中に分散され、複合化されて、この発
明のCFRTPとなる。このカーボン繊維と組み合せら
れる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ポリカーボネイト樹脂,ポリアミド樹
脂,ポリオキシメチレン樹脂,ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂,ボリブチレンテレフタレート樹脂,ポリエー
テルエーテルケトン樹脂,ポリエーテルケトン樹脂,ポ
リフェニレンスルフィド樹脂,ポリフェニレンオキサイ
ド樹脂などがあり、特に好ましいものとしてポリカーボ
ネイト樹脂がある。
【0011】これら熱可塑性樹脂と上記炭素繊維との複
合化の方法としては、従来周知の種々の方法が用いら
れ、例えばカルボジイミド試薬で処理した炭素繊維スト
ランドを切断してチョップドスランドとし、これを熱可
塑性樹脂ペレットと混合し、押出機で混練し、そのまま
成形品とする方法や押出機で混練して一旦混合ペレット
とし、これを射出成形や押出成形して成形品とする方
法、あるいは表面処理された炭素繊維のマットやクロス
を熱可塑性樹脂のフィルム,シート,織布,不織布など
と交互に積層し、加熱加圧して一体化して成形品を得る
方法、表面処理された炭素繊維のマットやクロスに熱可
塑性樹脂粉末を散布し、加熱して含浸せしめて、プリプ
レグとしたり、同様にこれらマットやクロスに熱可塑性
樹脂溶液あるいは溶融物を含浸してプリプレグとしたり
し、これらプリプレグを用いて成形品とする方法などが
ある。
【0012】このようにして得られるCFRTP成形品
中での炭素繊維含有量は、体積比で30〜65%程度に
すると、成形品の強度が好適に得られるが、成形品の用
途等によっては、この範囲外であってもよい。
【0013】以上のように、この発明の炭素繊維は、そ
の表面にカルボジイミド試薬を付着させたものであるの
で、後述の実施例から明らかなように、炭素繊維の熱可
塑性樹脂に対する接着性が著るしく改善されたものとな
る。よって、この炭素繊維を用いて得られるCFRTP
は、炭素繊維が持つ高度な機械的特性が十分に生され、
高い機械的強度を有する優れた複合材料となる。
【0014】
【実施例】以下、実施例を示して、この発明の作用効果
を明確にする。 1.炭素繊維の表面処理 炭素繊維として、「トレカクロスC06343」(東レ
(株)製、平織りクロス,坪量198g/m2)を用意
し、これを400℃の電気炉中で25分間加熱処理し、
サイジング剤を焼いて除去した。一方、カルボジイミド
試薬として、ジシクロヘキシルカルボジイミドを用い
れを溶媒のジクロロメタンに溶解し、種々の濃度のカル
ボジイミド試薬溶液を調製した。このカルボジイミド試
薬溶液中に、上記加熱処理済炭素繊維クロスを、室温で
10分間浸漬し、ついで40〜50℃で約5分間乾燥
し、ジクロロメタンを揮散させた。この処理前後の重量
変化によってジシクロヘキシルカルボジイミドの炭素繊
維クロスへの付着量を求めた。
【0015】2.CFRTPの成形 マトリックスとなる熱可塑性樹脂として、ポリカーボネ
ート繊維を織ったクロス(帝人(株)製、坪量100g
/m2、)を用意した。このポリカーボネート繊維クロ
スと上記カルボジイミド試薬処理した炭素繊維クロスと
をそれぞれ複数枚交互に積層し、プレス機にて加熱加圧
して、板状のCFRTP成形品とした。炭素繊維クロス
は、交互にその繊維方向を直交させて積層し、0°方向
及び90°方向強化品とし、成形品中の炭素繊維含量
(Vf)は50体積%とした。また、加熱加圧条件は、
温度250℃、圧力15kgf/cm2、時間10分と
した。
【0016】3.物性評価 上述のようにして得られた板状のCFRTP成形品の物
性評価を三点曲げ試験によって行った。試験片は幅2
5.4mm、長さ60mm、厚さ2mmであり、支点間
距離を40mm、荷重支点の曲率半径を3mm、試験速
度を1mm/分、サンプル数を10個以上とした。結果
を図1に示す。
【0017】図1のグラフは、横軸に炭素繊維に対する
ジシクロヘキシルカルボジイミドの付着量(重量%)
を、縦軸に曲げ強度(kg/mm2)を取ったものであ
る。また、ジシクロヘキシルカルボジイミドの付着量が
0重量%のものは、加熱処理してサイジング剤を除去し
た炭素繊維クロスをそのまま用いて得られた比較例とな
るCFRTP成形品を示しており、このものの曲げ強度
は50.2kg/mmであった。
【0018】図1のグラフから、ジシクロヘキシルカル
ボジイミドを付着させたものでは、曲げ強度が高く、炭
素繊維とポリカーボネート樹脂との接着性が向上してい
ることが明らかである。また、付着量が8重量%を越え
ると、接着性が低下しはじめることがわかる。
【0019】また、比較として、同様に加熱処理した炭
素繊維クロスにポリカーボネート樹脂溶液(5.0重量
%)を含浸し、加熱,乾燥して、表面処理した炭素繊維
クロスを用いて、同様の板状のCFRTP成形品を製造
したところ、このものの曲げ強度は54.1kg/mm
であった。
【0020】図2および図3は、曲げ試験後の試験片の
破壊面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であ
って、図2はジシクロヘキシルカルボジイミドで処理し
た炭素繊維を用いたものの、図3は無処理の炭素繊維を
用いたものの写真である。図2の写真では炭素繊維のモ
ノフィラメントの表面にポリカーボネートが付着してお
り、いわゆる凝集破壊をおこしていることがわかる。ま
た、図3の写真では炭素繊維のモノフィラメントの表面
にはポリカーボネートは残っておらず、いわゆる界面破
壊をおこしていることがわかる。これらの写真からもジ
シクロヘキシルカルボジイミドによる表面処理効果が認
められる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の炭素繊
維は、その表面にカルボジイミド試薬を付着させたもの
であるので、マトリックスとなる熱可塑性樹脂に対する
接着性が大きく改善される。このため、この炭素繊維を
強化材としたCFRTPは、炭素繊維本来の優れた機械
的特性を十二分に生したものとなり、高い機械的強度な
どを持つものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 11/14 7199−3B // D06M 101:40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボジイミド試薬が表面に付着した炭
    素繊維。
  2. 【請求項2】 カルボジイミド試薬が表面に付着した炭
    素繊維を強化材とした炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
  3. 【請求項3】 カルボジイミド試薬が表面に付着した炭
    素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグ。
JP3292541A 1991-10-11 1991-10-11 炭素繊維ならびにこれを用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂およびプリプレグ Withdrawn JPH05106163A (ja)

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