JPH0510059U - 蒸散バルブの燃料タンクへの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸散バルブを、螺子部材を使用しないで鋼
製、樹脂製何れの燃料タンクへも取付け可能の構造を得
ること。 【構成】 燃料タンクの上壁体開口部に立上がる円筒状
壁体上端の燃料タンク鍔部上に蒸散バルブの鍔部を載せ
て蒸散バルブを燃料タンク内に垂下させ、蒸散バルブの
鍔部の上から、筒状部と、該筒状部上端の内側に向って
形成された鍔部とからなる環体を被せ、燃料タンク鍔部
の下縁に沿って環体筒状部に周方向に複数個設けてある
スリット下方の筒状部を内方向に加締める。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の燃料タンク内に発生する燃料蒸気を該燃料蒸気を吸着する キャニスタに導く燃料蒸気通路に配置して、車両の異常な傾斜、旋回又は転倒時 に燃料タンク内の液状燃料が、前記キャニスタに流入するのを防止する蒸散バル ブ（くわしくは蒸散ガス系バルブ類とも呼ぶ）であって前記燃料タンクの上壁体 に取付けられるものの、前記燃料タンクへの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来自動車の燃料タンクは鋼板からなり、ねじ孔の形成が容易なため燃料タン クへの蒸散バルブの取付けは図６に示す様に蒸散バルブの筐体ａに形成された鍔 部ｂを燃料タンクの上壁体ｃに螺子部材ｄによって固定することによって行われ ていた。図には示してないが鍔部ｂと燃料タンクの上壁体ｃとの間にはパッキン が挾持される。

【０００３】 上記構成では螺子部材の緩みによって燃料洩れを起すなどの不安要素があるば かりでなく、最近は車両軽量化のため燃料タンクを樹脂成形する傾向にあり、樹 脂成形の燃料タンクへの蒸散バルブの取付けを螺子部材で行うことは適当でない ので、螺子部材に依存することなく蒸散バルブを燃料タンクに取付ける構造が求 められている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

蒸散バルブを螺子部材を使用しないで燃料タンクの上壁体に取付ける構造を得 ることが本考案の課題である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

下記の構造とすることによって、蒸散バルブを、螺子部材を使用することなく 、鋼板製の燃料タンクにも、樹脂成形の燃料タンクにも取付けることができる。

【０００６】 即ち、蒸散バルブを取付ける燃料タンクの上壁体開口部周縁に沿って円筒状の 壁体を立上らせて該円筒状の壁体の上端部外周に燃料タンク側の鍔部を形成し、 該鍔部と略々同径に前記蒸散バルブ筐体外周に蒸散バルブ側鍔部を形成して該鍔 部を前記燃料タンク側鍔部上に載置し、該蒸散バルブ側鍔部と前記燃料タンク側 鍔部との外周に遊嵌する筒状部と該筒状部の上端に内側に向って形成された鍔部 とからなり、前記筒状部の前記内側に向う鍔部下面から下方に向って前記蒸散バ ルブ側鍔部と前記燃料タンク側鍔部との合計厚さに略々等しい距離の位置におけ る周方向に、間隔を置いて弧状の、複数個のスリットが形成されている環体を前 記蒸散バルブ側鍔部の上面側から配置した後、前記環体の筒状部の前記スリット 下方部分を、該筒状部内周面の内側に加締めによって突出させる構成。

【０００７】

【作用】

燃料タンク鍔部と蒸散バルブ側鍔部とが、環体の内側に向う鍔部と、環体の筒 状部の、周方向に間隔を置いて弧状に形成されたスリットの下方部分の、加締め によって、該筒状部内周面よりも内方に突出させた部分とに挾持されて、蒸散バ ルブは燃料タンクへの取付位置に保たれる。蒸散バルブ側鍔部の下方の蒸散バル ブ筐体外周にＯリング溝を設けてＯリングを配置して、蒸散バルブ筐体と燃料タ ンク上壁面に立上る円筒状壁体内周面との間の気密を保つか、又は蒸散バルブ側 鍔部下面又は燃料タンク側鍔部上面の何れかにＯリング溝を設けてＯリングを配 置し、蒸散バルブ側鍔部下面と燃料タンク側鍔部上面との間の気密を保つことに よって燃料タンクからの燃料洩れを防ぐことができる。

【０００８】

【実施例】

図１は本考案の蒸散バルブの燃料タンクへの取付構造の第１の実施例を示す縦 断面図で、符号１は蒸散バルブの筐体、２は燃料タンクの上壁体、３は燃料タン クの上壁体２の開口部周縁に沿って立上がる円筒状の壁体で、該円筒状の壁体３ の上端部に燃料タンク側の鍔部４が形成されている。５は蒸散バルブの筐体１の 外周に形成された蒸散バルブ側の鍔部、６は環体で筒状部７と、該筒状部７の上 端部に形成された内側に向う鍔部８とからなり、該環体６を蒸散バルブ側鍔部５ の上面側から配置した後、筒状部７に形成した後述するスリットの下方の筒状部 分９を加締めによって内方に突出させる。鍔部４の下方の蒸散バルブ筐体１の外 周面にＯリング溝を設けてＯリング１０を配置し、燃料タンク上壁体２に立上げ られた円筒状の壁体３の内周面と蒸散バルブの筐体１との間の気密を形成して燃 料洩れを阻止する。図１の其の他の符号については後述する。

【０００９】 図２は図１の実施例に使用されている前記環体６の斜視図で、図１中の符号と 同一の符号は同一の部分を示すほか、１１はスリットで、環体６の鍔部８の下面 から下方に向って、前記蒸散バルブ側の鍔部５の厚さと前記燃料タンク側の鍔部 ４の厚さとの合計に略々等しい距離ｌの位置に、筒状部７の周方向に間隔を置い て弧状に形成されている。図１、図２に示す実施例では、前記スリット１１の下 方に、該スリット１１と平行に更に１つのスリット１２を設けた例を示してある 。スリットを平行に２本設けて、該２本のスリット１１、１２の間の部分９を加 締めによって内方に突出させる構成とすると、工数は増加するが加締めを行わな い部分に異常な変形を伴うことなく、加締めを行うことができる。

【００１０】 図３は図１に示した実施例の取付構造によって燃料タンクに取付けられた蒸散 バルブを燃料タンクの上方から見た斜視図、図４は前記２つのスリット１１、１ ２の間の部分９を加締めた後の前記環体６単体を下から見た図であって、図３、 図４中の符号は図１図中の符号と同一の部分を示す。

【００１１】 図５は燃料タンクと蒸散バルブとの間の燃料洩れを防止するＯリング１０を蒸 散バルブ側の鍔部５の下面に設けたＯリング溝に配置した蒸散バルブの取付構造 の第２の実施例を示す図でＯリング１０の取付け位置が異なるほかは第１の実施 例と全く同様であって、図中の符号は図１中の符号と同一の部分を示す。

【００１２】 本考案は蒸散バルブの構成を目的とするものではないが図１、図５に示した蒸 散バルブの構成の概略を説明すると１３は燃料タンク内で発生した燃料蒸気の流 入通路、１４は燃料蒸気の流出通路でキャニスタに接続される。車両の異常な傾 斜、旋回によって燃料タンク内の液状燃料が燃料蒸気の流入通路１３から蒸散バ ルブの筐体１内に流入すると浮子体１５が浮上し、車両が転倒したときは球体１ ６が漏斗状の斜面１７に沿って図で云えば上方に移動して浮子体１５を押上げる から、該浮子体１５と一体に形成されている補助弁体１８を介して弁体１９を押 上げて燃料蒸気通路２０を閉じ、液状燃料がキャニスタに流入するのを防止し、 液状燃料が蒸散バルブの筐体１に流入する条件が消滅して燃料が燃料蒸気流入通 路１３を通って燃料タンクに戻り、浮子体１５が補助弁体１８と共に下降すると 、弁体１９の中心部の透孔１９−１が導通し、たとえ燃料タンク内の圧力が大気 圧より高くなっていても、先ず燃料蒸気又は空気が透孔１９−１から流出して燃 料タンク内の圧力が下がり、弁体１９の上下流側の圧力差が消失又は低下すると 共に浮子体１５の下降によって浮子体１５と弁体１９とが係合し、弁体１９が引 き下げられて確実に燃料蒸気通路２０の導通が回復する。図１、図５に示す蒸散 バルブは二方向弁と一体に形成されていて温度上昇によって燃料タンク内の圧力 が上昇すると燃料蒸気又は空気が燃料蒸気の流入通路１３、燃料蒸気通路２０を 通り、スプリング２１の付勢に抗して二方向弁２２を押上げ離座させて開弁し、 燃料蒸気の流出通路１４を経てキャニスタに流入し、温度低下によって燃料タン ク内の圧力が大気圧よりも低くなると、スプリング２１の付勢によって二方向弁 ２２が着座し、大気がキャニスタ、燃料蒸気の流出通路１４、二方向弁２２の中 心部の小孔２３を通って緩やかに燃料タンク内に流入して燃料タンク内の圧力が 大気圧に回復する。

【００１３】

【考案の効果】

本考案の蒸散バルブの燃料タンクへの取付構造は燃料タンクが鋼製であっても 樹脂製であっても適用が可能であって、取付けのための螺子部材を使用しないか ら螺子部材の緩みによる燃料タンクからの蒸散バルブの脱落、燃料洩れのおそれ がなく、又螺子部材を使用しないから部品点数、作業工数を減少させることがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例の縦断面図

【図２】蒸散バルブの取付けに使用する環体の斜視図

【図３】本考案によって取付けた後の蒸散バルブの斜視
図

【図４】蒸散バルブ取付け後の環体単体を下から見た図

【図５】本考案の第２の実施例

【図６】蒸散バルブを鋼製燃料タンクへ取付ける従来の
構造例を示す斜視図

【符号の説明】

１ 蒸散バルブ筐体 ２ 燃料タンクの上壁体 ３ 円筒状壁体 ４ 燃料タンク側鍔部 ５ 蒸散バルブ側鍔部 ６ 環体 ７ 環体の筒状部 ８ 環体の内側に向う鍔部 ９ スリット下方の筒状部分 １０ Ｏリング １１ スリット １２ スリット １３ 燃料蒸気流入通路 １４ 燃料蒸気流出通路 １５ 浮子体 １９ 弁体 ２２ 二方向弁

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 自動車の燃料タンク内で発生する燃料蒸
   気を該燃料蒸気を吸着するキャニスタに導く燃料蒸気通
   路に配置して、車両の異常な傾斜、旋回又は転倒時に、
   燃料タンク内の液状燃料が、前記キャニスタに流入する
   のを防止する蒸散バルブであって、前記燃料タンクの上
   壁体に取付けられるものにおいて、該蒸散バルブを取付
   ける前記燃料タンクの上壁体（２）開口部周縁に沿って
   円筒状の壁体（３）を立上らせて該円筒状の壁体（３）
   の上端部外周に燃料タンク側の鍔部（４）を形成し、該
   鍔部（４）と略々同径に前記蒸散バルブの筐体（１）の
   外周に蒸散バルブ側鍔部（５）を形成して該鍔部（５）
   を前記燃料タンク側鍔部（４）上に載置し、該蒸散バル
   ブ側鍔部（５）と前記燃料タンク側鍔部（４）との外周
   に遊嵌する筒状部（７）と該筒状部（７）の上端に内側
   に向って形成された鍔部（８）とからなり、前記筒状部
   （７）の前記内側に向かう鍔部（８）下面から下方に向
   って、前記蒸散バルブ側鍔部（５）と前記燃料タンク側
   鍔部（４）との合計厚さに略々等しい距離の位置におけ
   る周方向に、間隔を置いて弧状の、複数個のスリット
   （１１）が形成されている環体（６）を前記蒸散バルブ
   側鍔部（５）の上面側から配置した後、前記環体（６）
   の筒状部（７）の前記スリット（１１）下方部分を、該
   筒状部（７）内周面の内側に加締めによって突出させて
   なる蒸散バルブの燃料タンクへの取付構造。