JPH0494890A - 耐エロージョン性被覆材とその形成方法 - Google Patents

耐エロージョン性被覆材とその形成方法

Info

Publication number
JPH0494890A
JPH0494890A JP21032990A JP21032990A JPH0494890A JP H0494890 A JPH0494890 A JP H0494890A JP 21032990 A JP21032990 A JP 21032990A JP 21032990 A JP21032990 A JP 21032990A JP H0494890 A JPH0494890 A JP H0494890A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
powder
erosion
carbide
coating material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21032990A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Usami
宇佐美 賢一
Hiroshi Takayasu
博 高安
Koji Sato
晃二 佐藤
Hiroshi Fukui
寛 福井
Joshiro Sato
佐藤 譲之良
Keizo Kikuchi
菊地 啓造
Makoto Hiraga
平賀 良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP21032990A priority Critical patent/JPH0494890A/ja
Publication of JPH0494890A publication Critical patent/JPH0494890A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐エロージョン性被覆材に係り、特に粉体、
土砂水、油、水滴、蒸気、スラリーキャビテーションの
衝突、衝撃、切削作用により損傷される機器部材表面に
粉体溶融による溶接肉盛層を形成し、その損傷を防止す
る耐エロージョン性被覆材に関する。
〔従来の技術〕
液体、気体、固体及びこれらの混和流を取扱う機器はこ
れらの媒体流動による衝突、ffft1 撃、切削や引
っかき作用によってエロージョン損傷をうける。その損
傷部位は媒体と接する局部的及び全面にわたる。このよ
うなエロージョン損傷をうける機器及び部位を取扱う媒
体別に分類すると下記のようになる。
液体:蒸気タービンの羽根、飛行機の翼、石油燃焼装置
、熱交換器伝熱管、曲り管等 気体−液体:水カタービン、バルブ、ポンプ、船の翼、
ベンチュリー管等 気体−固体:粉粒体の空気輸送管、各種集塵機、航空機
のタービンの羽根、微粉炭及び流動床ボイラ、石炭ガス
化装置等 液体−固体:スラリ輸送管、サンドポンプ、スラリポン
プ、石炭転換プロセスの各装置、機器等 固体:ザンドブラストのノズル、ショツトブラストのイ
ンペラとライナ、ホッパ、空気輸送装置のブロータンク
の排出管、ベンド部等 これら機器及び部材のエロージョン防止対策としては、
構造の変更及び耐エロージョン性祠料の適用による方法
がとられている。特に材料についてみると、エロージョ
ン損傷を防止する材料技術としては、材料の硬度向上が
最も一般的なものである。そのため、超硬合金やセラミ
ックス等が使用されるようになってきた。しかし、この
ような高硬度材料を適用ず場合、それ自身で構造部材と
して供給できる可能性は小さG)。そのため、構造基材
と接合し、エロージョンを防止する方法として適用され
る傾向が強い。
超硬合金の接合は、基材とのロー付、及びそれ自身を基
材上に肉盛溶接する方法がとられる。
また、セラミックスは現状では大形一体物としての供給
がむずかしいため、小片を基材上に貼合せる方法、小径
管のものであれば鋼管内外への合せ管として適用化を図
っている。
しかしながら、大型構造物への適用を考慮すると、超硬
合金では施工性、特に肉盛溶接による割れ等の問題があ
り、さらにセラミックスの適用は施工上むずかしい。特
に問題になるのは回転機器への適用であり、このような
合金やセラミックス構造体は非常に困難となる。
このような回転体として、特にエロージョン損傷が問題
となる機器としては、水力機器としての水車のランナや
バケット、蒸気タービンのブレード、船のスクリュー、
スラリーやザンドポンプのインペラ等がある。
特に、水力発電機器用水車ランナ、ガイドベーン、ステ
ーベン、バケット、ノズル等の流水接触部材はその河川
水中に含まれる土砂によって、土砂摩耗による損傷、並
びにその部材の形状や流速などの関係によりキャビティ
ーの衝撃によるキャビテーション損傷をうける。
このキャビテーション損傷に対しては、古くから流水接
触部の母材表面に耐」・ヤビテーション・エロージョン
性の優れたステンレス鋼系材料を肉盛し、損傷を抑制し
ようとする金属肉盛溶接材料が開発されてきた。これら
の溶接材料の組成は、特開昭57−152447号公報
、特開昭57−156894号公報、特開昭57199
593号公報に開示され、ステンレス鋼系材料が用いら
れてきた。そのキャビテーションによる損傷を抑制する
金属材料としては、高強度かつ高硬度(ビッカース硬さ
二350〜450)のものか、衝撃圧力を利用して流水
表面層の加工硬化が期待されるオーステナイト系の肉盛
溶接材料である。
しかし、土砂摩耗に関しては、国内はもちろん特に土砂
を多量に含んでいる河川水を利用する中華人民共和国や
インド等の水車構成部材の損傷が問題となっている。こ
れは、水車の構成部材より硬度が高い土砂(主成分は5
102とAl203)による切削作用等により侵食され
るためである。
従って、耐キヤビテーシヨン性材料でも必ずしも耐土砂
摩耗が良いとは限らない。これは損傷機構が異なるため
である。
一方、!気タービンのエロージョンが特に問題となるの
は高圧第1段ノズル、再熱第1段ノズルと動翼、主蒸気
止め弁である。この侵食はボイラーの過熱器、再熱器よ
り排出される酸化スケール(Fe203 、 Fe30
4)が影響するためである。そのためこれらを防止する
ためには、硼化処理やCrパック処理等の表面処理材が
良いとされている。また、低圧最終段動翼は湿り蒸気中
の水滴によりエロージョンを受ける。これらの防止策と
しては、水滴が衝突する動翼背側前縁部の焼入硬化処理
やCoベース材料、銀ロー付等による貼付や肉盛法がと
られている。しかしながら、原子力タービンはCOの低
減化が図られており、新しい材料の開発が望まれている
一方、このようなキャビデイ−や水滴の衝突によるエロ
ージョン並びに土砂、スケールあるいは粉体による切削
作用的な摩耗を防止するための施工法としては、各種の
方法がある。しかし、特に回転物への適用は基材との接
合強度が必要であることから、主に溶接肉盛法がとられ
ている。この方法には被覆アーク溶接、’l’ I G
溶接、粉体プラズマ溶接、エレクトロスラグ溶接等があ
り、それぞれ特徴をもっている。
これらの溶接においては最近、複合肉盛溶接材料が研究
開発されている。その1つの被覆アーク溶接肉盛用材料
としてCo基超超耐熱合金粉末セラミックス粉末との混
合粉末により基材表面に肉盛層を設ける技術が特開昭6
1−134193号公報に示されている。さらに、この
ような粉末を利用したプラズマアーク肉盛溶接材料によ
る研究が公表されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の金属溶接材料は、前節に示した例としての水車材
料で述べたように、キャビテーション、エロージョンと
土砂による摩耗とはその損傷機構が異なることにより、
必ずしも同一材料で相方のエロージョンを防止できない
。即ち、前者は高速水中で発生したキャビティーが材料
表面で衝突、崩壊するときの衝撃圧により侵食するもの
で、後者は主として土砂による切削作用により侵食する
現象である。そのため、単に硬さを高めるのみでは有効
でない。その例として、セラミックスがある。
これらは、硬さが高いため耐土砂摩耗性は非常に優れて
いるが、耐キャビテーション性はそれ程優れていない。
すなわち、切削的作用には強いが、衝撃的作用には弱い
ことを物語っている。そのため、土砂や粉体による摩耗
、特に、液体一固体による材料の損傷を考慮すると、耐
キャビテーション性と土砂や粉体による耐摩耗性の相方
を兼ね備えた材料が有望と考える。従って、超硬合金や
セラミックス等を構造部材表面に施工しても、必ずしも
良い結果を得られず信頼性の点で問題がある。従って、
相方の特性を有する材料の開発が重要となった。
そこで、それらの施工法を考慮した結果、被覆アーク溶
接棒を用いた肉盛層等は、基材との希釈が大きく、その
肉盛量を厚くする必要があること、硬度の高い材料は製
造が難かしく、溶接割れ感受性が高くなることが判明し
た。しかし、粉体を利用するプラズマアーク溶接は基材
との希釈が少ないため、薄い肉盛量ですむことが明らか
となった。そこ−で、この溶接法を用い1ま た場合、耐キャビテーション性と耐土砂摩耗性の両方を
付与するためには、硬さのみを向上するのではなく、マ
トリックス中に網目上に析出物を現出させることが有効
であることが判明した。
本発明の目的は、特に、液体と固体及び気体との混和流
中で使用され、この混和流体と接触する機器基村上にキ
ャビティーの衝撃、崩壊によるキャビテーション損傷と
、固体による引っかき及び切削作用等による摩耗損傷を
同時に抑制し、かつ施工性の容易な耐エロージョン性肉
盛層を設けた被覆材とその形成方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明では、Fe、N1の
少なくとも1種を主成分とし4Crを重量%で15〜3
0%を含む合金からなる金属基体の表面の溶接肉盛層で
ある被覆材において、該合金のマトリックス中に、クロ
ム炭化物又はクロムを主体とする複合炭化物が網目状に
晶出した金属組織を有し、ビッカース硬度(Hv)50
0以下である耐エロージョン性被覆材としたものであり
、また、本発明では、Fe、 Niの少なくとも1種を
主成分とし4Crを重量%で15〜30%を含む合金か
らなる金属基体の表面の溶接肉盛層である被覆材におい
て、該合金のマ)IJフックス中、クロム炭化物又はク
ロムを主体とする複合炭化物が網目状に晶出した金属組
織を有し、珪素を3〜10重量%含有することを特徴と
する耐エロージョン性被覆材としたものである。
上記の他の目的を達成するために、本発明では、重量%
でC:0.15%以下、sl:0.2〜1.0%、Mn
:15%以下、Ni:50%以下4Cr:15〜30%
及び残りFeである合金粉末と、5〜15重量%のSi
C粉末よからなる耐エロジョン性溶接材としたものであ
る。
さらに、本発明では、前記被覆材の形成方法として、前
記溶接肉盛層は、金属炭化物の粉末粒径(S)とオース
テナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金の粉末
粒径(M)が、それぞれ10〜200μmの範囲でかつ
粒径比S/Mが1以下で構成された混合粉末をプラズマ
アーク溶接で機器部材表面に積層し、少なくともその厚
さが5 mm以下となるように形成することとしたもの
である。
上記溶接肉盛層は、オーステナイト系ステンレス鋼ある
いはニッケル基合金の粉末と金属炭化物粉末との混合粉
末をプラズマアークによって溶融し、被溶接部分に供給
することにより肉盛溶接して得られた層であり、晶出炭
化物は、該混合金属炭化物が残存し構成するものではな
く、オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基
合金を構成している合金元素による新相として生成する
ことを特徴とする。この溶接法は被溶接部分に溶湯のプ
ールを作りながら所望の厚さの肉盛溶接層を形成するこ
とを特徴とする。
さらに、金属炭化物は、晶出させるクロム炭化物より炭
化物の標準生成自由エネルギーが高いSiC、FE!3
C、Ni3C4C02Cあるいは84Cで、かつ前記溶
接肉盛層中に1〜50容量%含まれることが好ましい。
特に炭化物形成傾向(Nb>’ri>v >w >Mo
>Cr>Mn>Re>Ni>Co>Si)が小さく、少
なくとも、炭素と解離してマトリックス中に混入し他の
元素の炭化物生成を増進するSlを含む炭化物SiCが
好ましい。
この晶出、析出される炭化物の含有量は面積率で1〜5
0%が好ましい。特に流水による強い衝撃を受はキャビ
テーション損傷のみを受ける部分では肉盛溶接層として
靭性が高いものが良く、1〜20%が好ましい。また、
流動媒体中に含まれる固形物等により摩耗が支配する部
分では20〜50%が好ましい。なお、キャビテーショ
ン損傷と固形物等による摩耗の複合的損傷される部分で
は15〜30%が好ましい。
肉盛層の硬さとしてはビッカース硬さ(11ν)で30
0〜700特にHvで500以下のものが好ましい。炭
化珪素や珪素を含む炭化物の添加量と肉盛溶接層中に含
有される析出、晶出炭化物の面積率との関係は、炭化珪
素に対し晶出炭化物が10容量%のとき20%、25容
量%のとき40%、40容量%のとき60%となる。
この溶接肉盛層の形成に使用した複合粉末は、炭化珪素
あるいは珪素を含む炭化物の粉末粒径(S)とオーステ
ナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金の粉末粒
系(M)が、それぞれ10〜200μmの範囲で、がっ
粒径比S/Mが1以下で、炭化珪素あるいは珪素を含む
炭化物が、1〜50容量%溶接肉盛層中に含まれること
が好ましい。
また、前記オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッ
ケル基合金としてはAl5I 304 、316゜31
08 、683 、690等が使用できる。即ち、本発
明は肉盛溶接層中にクロム炭化物あるいはクロムを主体
とする複合炭化物を析出、晶出させるため、重量でCr
:15〜30%を含む合金をベースとする。好ましくは
重量%で4C’:0.15%以下、Si:0.2〜1.
0%、Mn:15%以下、Ni:50%以下を含有し、
更に、これにMo:5%以下、N:0.3%以下4Co
:20%以下、Nb:5%以下、Ti:5%以下、A1
:5%以下、B: 0.01%以下及びW:5%以下の
少なくとも1つを含有し残部がFe及び同伴する不可避
的不純物からなる組成がよい。
一方、本発明はオーステナイト系ステンレス鋼あるいは
ニッケル基合金と炭化珪素あるいは珪素を含む炭化物粉
末を溶融させることにより、珪素と炭素を分解し、合金
中に添加することにより、珪素が該炭化物よりも炭化物
生成反応の標準エネルギーが高い、特にクロム炭化物及
びクロムを主体とする炭化物を析出、晶出するものであ
る。したがって、合金中にこれら炭素及び珪素を高めた
合金粉末を単独で溶融し、機器基村上に溶接肉盛層を形
成させても同じ効果を示す。すなわち、前記に示したオ
ーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金の
組成に対し、炭素と珪素を高めた合金である。この含有
量は重量%テC:0.3〜2.0%、sl:3〜10%
が好ましい。この粉末粒径は10〜200μmが好まし
い。
また、前記オーステナイト系ステンレス鋼、ニッケル基
合金、炭素と珪素含有量を高めた合金および炭化珪素あ
るいは珪素を含む炭化物のいずれの粉末形状も、丸形、
角形、丸角形又はこれらの混合物が好ましく、かつ、ガ
ス含有量が低いガスアトマイズによる製法によって作ら
れた粉末が好ましい。そして、前記肉盛溶接層はプラズ
マアーク溶接により形成され、その厚さが5 mm以下
であることが好ましい。
本発明の耐エロージョン性被覆層は、粉体、土砂水、油
、水滴、蒸気、スラリ等の雰囲気で使用される機器部材
上に適用され、キャビテーション損傷や固形物等による
摩耗又はそれらの複合的損傷を抑制するものである。
〔作用〕
次に本発明の耐エロージョン性被覆層の作用について説
明する。
クロム炭化物又はクロムを主体とする炭化物を、少なく
とも網目状に析出、晶出させた金属組織を有する溶接肉
盛層において、ステンレス鋼やニッケル基合金より密度
が小さく、かつ、前記析出、晶出させるクロム炭化物等
より、炭化物生成反応の標準エネルギーが高い炭化珪素
を選定し、オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッ
ケル基合金粉末と混合し、複合粉末とし、これをプラズ
マ肉盛溶接により、機器基祠上に肉盛溶接層を形成し、
その結果として、クロム炭化物あるいはクロムを主体と
した複合炭化物が網目状に析出、晶出した凝固組織とな
る。
そのためにオーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッ
ケル基合金と炭化珪素の粒径は10〜200μmが好適
である。これらの粒径を大きくすると未溶解の金属粉末
と炭化珪素の粒子が残存する。しかし、金属と炭化珪素
粉末の融点は炭化珪素の方が高いため、これらの複合粉
末を溶接するには、金属粉末より炭化珪素粉末の粒径を
小さくしたほうが、プラズマアークによる融解が容易に
なり、従って前記のように87Mを1以下にすることが
好ましい。
また、炭素及び珪素を高めたオーステナイト系ステンレ
ス鋼あるいはニッケル基合金粉末のみによる場合の粒径
は10〜200μmが好適である。この場合は前記に壮
べ、金属粉末より密度が小さい炭化珪素粉末を混合しな
いため、溶接施工性は容易である。
さらに、使用する粉末は両者ともに丸形、角形、丸角形
及びこれらの混合形であっても良く、通常の粉末冶金技
術によって製造されたものでよいが、粒子中のガス含有
量を少なくするガスアトマイズ法により製造された粉末
が良い。また、実際に機器部材表面に形成された肉盛溶
接量は、その肉盛量が多い程良いが、これらの延性、靭
性を考慮し、さらに基材との希釈による混合層がほとん
ど形成されないので、5 +r++n以下であれば充分
であり、耐キャビテーション性、固形物等による耐摩耗
性あるいはこれらの耐複合損傷性性能が発現できる。
なお、粉体、土砂水、水滴等による衝撃及び切削現象を
受ける機器部材表面への肉盛施工は、被覆アーク、TI
G、MIG溶接等の通常の溶接方法で行うことができる
。しかし、本発明のように金属粉末と炭化珪素粉末との
複合粉末、または炭素と珪素の含有量を高めた合金粉末
をこれらの方法で肉盛溶接するのは比較的むずかしい。
従って、粉末同志を混合、あるいは単独で溶接可能なプ
ラズマアーク溶接により効果的に実施できる。
本発明によれば、耐エロージョン性被覆層は、粉体、土
砂水、水滴、スラリー等の流動媒体と接触する機器部材
表面の少なくとも一部分に20Cr−4Ni−6Co−
1,5Mo−10Mn−0,2Nオーステナイト系ステ
ンレス鋼と、ステンレス鋼より融点及び硬度が高い炭化
珪素の金属炭化物系セラミックスとの複合粉末を、プラ
ズマアーク溶接により肉盛溶接層を形成する。この肉盛
溶接層はオーステナイト系ステンレス鋼のマトリックス
にクロムを主体とする複合炭化物が網目状に分布した組
織を有し、この組織によりキャビテーション損傷、固形
物等による摩耗損傷、及びこれらの複合的損傷を抑制す
ることができ、信頼性の高いシステムを構成することが
できる。また、前記オーステナイト系ステンレス鋼に炭
素及び珪素を添加した1、 2C−3,5Si−20C
r−4Ni−6Co−1,5M。
10Mn−0,2N粉末での肉盛溶接層も同じ効果を示
す。
次に、本発明の主要な構成要件である耐エロージョン性
被覆層が適用される1幾器部祠について示す。
第12−A図はフランシス型水車の断面図を示し、第1
2−A図でX方向に見た時のランナ部の斜視図を第12
−B図に示す。本水車の動翼であるランナ本体はクラウ
ン1.シュラウド2との間に複数の羽根3が設けられ、
ランナコーン4.ガイドベーン5.ステーベン6、ラン
ナライナ7及びシートライナ8で構成されており、ステ
ーベン6を通った土砂を含む流水はガイドベーン5から
、羽根3に流れ、ランナ羽根に回転エネルギーを与えて
下方に落下する。9はバンドを示す。
この羽根3は、一般に通常の溶解・鋳造によって得られ
た含Ni13Cr鋳鋼9によって構成されている。しか
し、この流水との接触表面には、キャビテーションによ
る損傷を考え、従来はオーステナイト系ステンレス鋼の
肉盛溶接(ステンレス鋼JISD308 、 D309
Mo等)を施すことによりその防止対策が図られていた
。しかしながら、これらの材料は土砂摩耗に関しては必
ずしも良い結果を示さないことが判明した。そこで、高
硬度を有する肉盛溶接金属材料を検削したが、必ずしも
満足すべき摩耗特性が得られないとともに、肉盛部に割
れが発生するなど、母材との関連から限界があることが
知られた。そこで、種々検討した結果、オーステナイト
系肉盛溶接材は溶接割゛れも少なく、施工性も容易であ
ることに着目し、耐キャビテーション性がJISD30
8及びD309Moより優れている結果を得た。20C
r4Ni−6Co−1,5Mo−10Mn−0,2Nオ
ーステナイト系ステンレス鋼の粉末を製造し、この粉末
に炭化珪素粉末を混合した混合粉末をプラズマ肉盛溶接
して得られる層を形成した。この層は、オーステナイト
系ステンレス鋼マトリックスとこのマトリックスに分散
して存在する炭化物とを備えた金属組織を有し、耐キャ
ビテーション性、耐土砂摩耗性が優れていることが明ら
かとなった。
その肉盛溶接層の厚さは5 +++n+以下で多層でも
よいが1層形成されるだけで充分効果を発揮でき、好ま
しくは1〜3 mmである。なお、本発明における粉末
は粉末冶金の技術で通常行われている製造法によって得
られるものが使用できる。
また、プラズマ肉盛溶接に使用される混合粉末のベース
材料に前述のオーステナイト系ステンレス鋼粉末を用い
ているが、これは溶接性が良くかつ耐キャビテーション
性が優れており、本発明の耐エロージョン被覆層の金属
粉末として供給できるためである。
次に夫々の成分限定理由について述べる。なお、組成は
重量%を示す。
金属系粉末について、 Cは強力なオーステナイト生成元素でり、第−ステナイ
トの安定化及び基地の強化に寄与している。炭化珪素等
との複合粉末として供給する場合のオーステナイト系ス
テンレス鋼及びニッケル基合金粉末は特殊な溶解法によ
り極力少なくするのでなく、通常のAl51304等に
規定されている範囲、すなわち0.03〜0.15%の
範囲が好適である。一方、炭素と珪素含有量を増し、金
属粉末のみによって本発明を達成させる場合は、0.2
5%以下では効果がなく、あまり多くすると遊離Cが遊
離する組織を示したり、溶接割れ感受性を増大するため
4Cは0.3〜2.0%の範囲が好適である。
Slは鋼材の溶製時に脱酸のために加えるもので、0.
2%未満ではこの脱酸効果が不十分であ゛る。しかし、
粉末を製造する場合の含有量は通常添加されている程度
で良く、その範囲は0.2〜1.0%が好適である。一
方、炭化珪素等の複合粉末による方法ではなく、炭素と
珪素量を増した金属粉末のみによって行う場合4Cと同
様、本目的を達成させる主要成分となる。そのためには
、脱酸効果を与える程度の範囲では効果がない。多く添
加すると他の耐食性を向上させる効果を示すが、より多
量に添加すると凝固粒界等の脆化を起こすとともに、晶
出、析出させるクロム炭化物等の生成効果が変化しなく
なるため、Slは3〜10%の範囲が好適である。
Mnは通常の鋼材の脱酸脱硫のために2%以下が添加さ
れる。この元素はN固溶量増加に寄与するとともに、N
i及びCOとオーステナイト組成を安定化させ、さらに
オーステナイト基地を軟化させるが、加工硬化性を増大
させるので耐キャビテーション性を顕著に高める。さら
に、Mn添加量を増すと切削抵抗を増す効果を示すため
、固形物等による耐摩耗性が付与される。この加工硬化
性を得るためには、Ni等との成分バランスにもよるが
7%以上必要である。しかし、Mnを過剰に添加すると
湯流れ性を悪くし、溶接時のヒユームの増加を招き、溶
接作業性を低下する。そのため、本発明による範囲は加
工硬化性、耐摩耗性を考慮し、Mn量の上限を15%と
した。
Niはオーステナイト生成元素であり、Mn及びCoと
あいまってオーステナイトを安定化させ、延性及び靭性
を向上する。そのため、溶接肉盛層に延性、靭性を付与
するためには不可欠の元素である。
しかし、溶接用オーステナイト系ステンレス鋼線材には
Niが20〜22.5%、耐食耐熱合金板や高温高強度
合金として、本発明に必要なCr量を含有しているニッ
ケル合金は最大40〜45%を含んでいる。そのため、
本発明では、Cr量との関係4C,Mn4Co等とのバ
ランスを考え最大量を40%とした。
Crは、オーステナイト系ステンレス鋼やニッケル基合
金に含まれなければならない元素である。この元素は水
中や高温における耐食性向上、本発明におけるクロム炭
化物等を析出、晶出させる重要元素である。その量が1
5%以下では析出物が網目状にならず、耐キャビテーシ
ョン性は向上しても耐摩耗性に劣る。30%以」二にな
ると網目状に析出しても基地がもろくなり、耐キャビテ
ーション性を低下させる。本発明の耐キャビテーション
性、耐摩耗性を付与する添加量は15〜30%がよく、
特に17〜25%が好適である。
CoはMn及びNiと共にオーステナイトを適度に安定
化させ、特に耐土砂摩耗性、耐キャビテーション・エロ
ージョン性を向上するので12%以下含有゛させるのが
好ましい。10%を超えると基地の強化が進み延性及び
靭性を低下させる。
特にCOは6〜10%の範囲が耐土砂摩耗性に好適であ
るが、耐キャビテーション性との関係から10%と限定
した。
Moは基地を強化する他、耐食性を改善し、耐土砂摩耗
性、耐キャビテーション・エロージョン性改善に効果が
ある。しかし、5%を超えるとδフエライト生成量を増
し、靭性を低下する。
したがってMoは5%以下の範囲が好適である。
NはCとあいまってオーステナイトを安定化させ、特に
低C鋼ではオーステナイト生成のために不可欠な元素で
ある。また、耐土砂摩耗性等の改善にも効果があるが、
過剰に添加すると窒化物を形成して靭性を害するため、
Nを0.3%以下にすることが好適である。より好まし
くは0.05〜0.2%である。
Cuはオーステナイト地に固溶し、基地を強化し、土砂
摩耗性、耐キャビデージョン性を向」ニさせる。しかし
、あまり添加量を増すと溶接による割れを増長するため
その範囲は0.1〜5%が好ましい。
Nb、Ti、W、Vは結晶粒微細化や炭化物形成元素で
あり、この系の炭化物セラミックスを用いない場合は、
分解溶融したCと反応し、炭化物を形成し延性や靭性を
向上させる。しかしあまり添加すると溶接性を低下する
ため、0.1〜5%の範囲が好ましい。
A1は耐食性特に高温での耐酸化性を向」ニするのに有
効であるが、あまり多量に添加すると酸化物を形成し、
粉体によるプラズマ溶接性をそこなうため3%以下が好
ましい。
残部はPe及び同伴する不純物からなり、不純物として
P、Sおよびそのた?lv As 、 Sbなどがある
が、これらの元素は、延性、靭性を害するとともに溶接
性を低下させるため極力少ない方が望ましい。
金属炭化物系セラミックスについて、 炭化物系セラミックスのSiC粉末をステンレス鋼粉末
に混合し、この混合粉末から肉盛溶接層を作ることによ
り、オーステナイトステンレス鋼およびニッケル基合金
マトリックスにクロム炭化物及びクロムを主体とした炭
化物が晶出した金属組織が得られ、これにより、キャビ
テーション、固形物等による摩耗及びこれらの複合損傷
を抑制するものである。これらの耐損傷性は炭化物系セ
ラミックスをステンレス鋼及びNi基合金に対し1容積
%を混合しないとその効果は発揮されない。しかし、オ
ーステナイト系ステンレス鋼に対しては40容積%以」
二添加すると、このステンレス鋼においては、割れ感受
性が高くなるため、その混合量はステンレス鋼粉末量に
対し1〜40容積%が良い。一方、ニッケル基合金粉末
に対しては、オーステナイト生成元素であるニッケル量
が増加するためその混合量は50容積%まで添加できる
なお、本発明において、SiCを選んだのは結晶構造が
ステンレス鋼と同様に立法晶系でること、回転部におい
ては、その遠心力による応力を緩和するということを考
慮し、ステンレス鋼に比べ密度が低いこと、さらに、S
iCは炭化物生成反応の標準エネルギーが高く、Slと
Cを分離させることによりSiが他の元素の炭化物生成
を増進させ、網目状に析出、晶出させる効能を見い出し
たためである。この網目状に生成する効果はCr炭化物
において発揮されるためである。
方、これらの肉盛層は、その表面にショットピーニング
処理等により圧縮残留応力を付与することにより、効果
的に耐エロージョン性を発揮させることができる。更に
、ピーニング等による表面処理のままでは、処理による
金属粉等が肉盛層表面に巻き込等で残存するので表面層
を除去することにより、さらに効果的に耐損偏性を発揮
できる。この場合、押伺力の人きいエメリー紙等で表面
層を切削除去すると切削面には圧縮残留応力が残り、さ
らに耐損傷性を例外するのに効果的であり、その表面あ
らさは10μm以下とすべきである。
なお、本発明の耐エロージョン性被覆層は、特に水車を
考えた場合、河川水中には定常状態で土砂を1%以下含
有しているが、蒸気被覆層は重量で10%以下の土砂を
含む流水に対して有用である。
固液混相流動媒体中で使用される機器は、少なくとも水
車のランナ、ライナやノズル、蒸気り・−ビンブレード
、船舶プロペラ、サンドポンプのインペラやライナ、ス
ラリー輸送ポンプや配管及びそれらの媒体を取り扱う部
材表面に対し有効である。
一方、本発明の耐エロージョン性被覆層を形成させる母
材としては、溶接施工性が良い鋼種であれば施工が容易
であるが通常の炭素鋼、低合金鋼、マルテンサイト系ス
テンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼の鋳鋼、鍛
鋼が好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は
これらに限定されない。
実施例1 第1表は、表中に示したオーステナイト系ステンレス鋼
粉末又はニッケル基合金粉末の成分組成(残りRe)に
、SiC粉末(ともに平均粒径149μm)を種々の容
積比で混合した配合組成を示す。
この混合物を粉体プラズマ肉盛溶接装置により、アーク
電流220〜25OA、アーク電圧32〜35V、)−
チウィビング幅94mmで回数15〜16サイクル/分
、A「ガス送給量(β7分)をプラズマ3、キャリア5
、シールド15とした溶接条件で3 ++++++−層
肉盛をした。
得られた肉盛溶接層は、マトリックス中にクロムを主体
とする複合炭化物が網目状に析出、晶出した凝固組織構
造を有していた。第2図は前記の第1表のNo、3(第
2−A図)とNo、4(第2−B図)を用いた肉盛層の
顕微鏡写真(倍率400倍)で、金属組織を示す、Si
C粒子は認められなかった。
第1図に、第1表のNo、 1のオーステナイト系ステ
ンレス鋼粉末と種々の金属炭化物粉末とを用いた肉盛層
のビッカース硬度と添加量の関係を示す。
また、第7図は同じ肉盛層を用いた硬さと摩耗量の関係
を示す。同じ硬さでは、SiCが一番摩耗量が少ない。
第18図は、市販のプラズマ肉盛溶接装置の概要断面図
である。作動開始時にプラズマガス(Ar)33を導入
してW電極(−)31と母料(+)32との間に電流を
流すことによりパイロットアークを発生させ、次にシー
ルドガス(Ar)34を流し電極31と被溶接物32と
の間に電圧を加えプラズマアークを発生させた。
そして粉体(パウダー)送給装置から粉体(ステンレス
鋼粉末+セラミックス粉末)とキャリアガス(Ar)と
の混合物35をプラズマアーク36に供給して、プラズ
マ熱にて粉体を母相32表面に溶融して母)1に溶着し
肉盛溶接層を作った。
また、比較のために従来の肉盛溶接層を次のようにして
施工した。第2表は従来行われている被覆アーク溶接に
使用した溶接棒の化学組成を示す。
溶接条件は棒径4 mmφ、電流150A、電圧23V
1人熱16 、KJ/ cmの条件で3 mm−層肉盛
した。
なお、本発明の肉盛溶接層及び比較材肉盛溶接層の施工
において、両溶接とも母材には含N113Cr鋳鋼(成
分は第2表のN013と同じ)製で25 txl OO
mmxl 50mmの寸法の板を供した。溶接後、キャ
ビテーション試験片(22φ:損傷面)と水中土砂摩耗
試験片(5tX20mmX50mm)を採取し、試験表
面をエメリー紙#1200で仕上げて試験に供した。
実験における耐キャビテーション性の比較は、磁歪振動
式キャビテーション試験機を用い、周波数6.5 KH
z 、振幅120μm、試験温度25℃の条件下で水道
水中2時間試験後の減量を密度で除した体積減量(cm
3)で評価した。
一方、耐土砂摩耗性は土砂含有水噴流式試験装置により
下記条件で試験し評価した。噴流速度40 m / S
 %衝突角度45 deg 、土砂は平均粒径8μmの
Al2O2でその含有量は30g/j2、試験時間は4
時間とした。試験後の摩耗量は減量を密度で除した体積
減量(cm3)で表わした。
なお、本装置は水中に土砂含有水が噴射出来る方式を採
用したものであり、キャビテーションを発生することが
可能なものである。そこで、次式で表現できるキャビテ
ーション係数KO012とK = 0.6で試験した。
この条件はキャビテーションと土砂摩耗の複合損傷を生
しさせうるものである。
但し、 V :平均噴流速度(m/s) g:重力の加速数(m/52) Pa:大気圧(mAg) Pv:蒸気圧(mAg) Pg:流体圧力(mAg) すなわち、K = 0.6は土砂摩耗のみによって損傷
される条件であり、K=0.12は土砂摩耗とキャビテ
ーションが相乗した条件である。
第3図はキャビテーション係数KO06と0.12の条
件下で、SiC含有量と土砂による摩耗量との関係を示
し、図中1〜6は第1表のNo、 1〜6に相当し、曲
線AはK = 0.6、曲線BはKO112の場合を表
わす。
第4図は磁歪振動式キャビテーション試験機によるSi
C添加量とキャビテーション減量との関係を示す。図中
1〜6は第1表のNo、 1〜6である。SiCの添加
量が多くなる程、硬さを向」ニし、摩耗量及びキャビテ
ーション減量が減少する傾向を示した。ベース材料(点
1)と比較するとその耐損傷性が非常に向上しているこ
とが分る。なお、SiC40容量%において、ビッカー
ス硬さ約700が得られ、これ以上添加すると硬さを向
上するが割れを起こしやすいため、本発明は40容量%
を限度として示した。
第5図及び第6図は第1表に示す本発明肉盛溶接層と第
2表に示す比較材肉盛溶接層とを4・ヤビテーション係
数0.12の条件下での土砂摩耗試験とキャビテーショ
ン試験した結果を示し、第1表、第2表のサンプルNo
を横軸にとり土砂による摩耗量とキャビテーション減量
を示す。
本発明肉盛り溶接層No、 2〜12は比較材No、 
1.13〜17に比べ摩耗量が著しく小さい。従って本
発明肉盛溶接層はキャビテーションや固形物による損傷
が問題となる構成機器部側として十分に効果を果し得る
ことが明らかである。
また、第19図及び第20図の模式図に示すような水車
のガイドベーン5、シートライナ8の5Ni13Cr鋳
鋼の機器部材上に、本発明のSiCの容積40%含有の
混合粉末を用い、プラズマ肉盛溶接によって肉盛溶接層
lOを設け、これを550〜650℃焼鈍し、その後所
定厚さ(1〜3mm)に機械加工して被覆層10を形成
した。また水車ランナ、カバーライナにも同様に肉盛溶
接層を形成した。この肉盛溶接層を形成することにより
、土砂による摩耗、キャビテーションによる侵食及びこ
れらの複合損傷を防ぐことができた。
実施例2 第3表はCとSi量を高めたステンレス鋼粒体(粒径1
49μm)の組成を示す。
この粉体をプラズマ肉盛溶接装置により、アーク電流2
20〜25OA、アーク電圧32〜35V、)−チウィ
ビング幅94mmで回数15〜16サイクル/分、Ar
ガス送給量(,11!/分)をプラズマ3、キャリア5
、シールド15とした溶接条件で3mll1肉盛し、容
易に肉盛溶接層を成形した。なお、母材には含Ni13
Cr (成分は第2表のNo、 13と同じ)鋳鋼(2
5tX]00mmX150mm)を用いた。その結果、
実施例1と同様、マトリックスにクロムを主体とする複
合炭化物が網目状に析出、晶出した凝固組織構造を有す
る肉盛溶接層が得られた。
得られた本発明の肉盛溶接層について実施例1と同様に
キャビテーション係数に=0.12でキャビテーション
と土砂摩耗の複合損傷を生じさせ、摩耗試験を行った。
第8図はC添加量、第9図はSi添加量と土砂による摩
耗量を示す。C及びSiともその添加量を増すほど土砂
摩耗量は減少する。C量は0.3%以上、Si量は3%
以上で効果が大きくなる。
しかし4Cを2.5%、Siを10%以上とすると硬さ
がビッカース硬さでHv= 1000以上を示し、さら
に溶接割れ感受性を大きくするため本発明はC量が2.
5%、Si量が10%を限度として示した。
第10図と第11図は本発明の肉盛溶接層(第3表のサ
ンプルNO19〜22と24〜29と比較材肉盛溶接層
(第2表のサンプルN013〜17、第3表のN018
とNo、 23 )の土砂による摩耗量とキャビテーシ
ョン減量を示す。本発明肉盛溶接層は耐摩耗性及び耐キ
ャビテーション性ともに比較材に比べ耐損傷性が優れて
いることが明らかである。
実施例3 第12−A図及び第12−B図に示される水車を製作し
た。第12−A図に示される水車ランナの水と接触する
面(作用面P)側(第13B図)に関し、羽根3の両人
口端(A、B)のそれぞれを中心として羽根人口長さ(
L、)(約165+++m)の1/2〜115を半径と
した扇形範囲(10)に肉盛溶接層10を設けた。第1
2B図に示される水車ランナの作用面の裏面(反作用面
(R)側)(第13−A図)については、羽根3の両人
口端(C,D)の各々を中心として羽根人口長さ(L、
)(約165mm)の1/2〜115を半径とする扇形
範囲に肉盛溶接層11を設け、且つ羽根3の出口外方端
(E)(第12A図と第13−A図に示す)から幅(W
)50〜150mmで羽根出口長さL2の1/2〜2/
3の範囲の長さ(1)の範囲で肉盛溶接層12を設けた
。これらの肉盛溶接層は、実施例2の条件と同じ溶接条
件を使用し且つ第3表のNo、 20の混合粉末を使用
して肉盛溶接した層を作り、次にこの層550℃〜65
0℃で焼鈍し、次にこれを厚さ1〜3 mmに機械加工
することにより作った。羽根3の作用面側人口端(A、
B)を中心とする扇形部分(10)は土砂を含む流水に
よる摩耗が大きい部分であり、羽根3の反作用面側人口
端(C,D)を中心とする扇形部分(11)外方出口端
(E)から延在する肉盛溶接層(12)に対応する部分
との両者はキャビテーションによる損傷を受は易い部分
である。
ガイドベーン及びシートライナは、実施例1に示したも
のと同じものを作った。次にこれらの部品を組立て水車
を製作した。
この水車を土砂を含む流水で実際に運転したところ優れ
た耐摩耗性と耐キャビテーションの両方を示した。
実施例4 第14図に示すペルトン水車を製作した。第14図に示
される含有土砂水20を噴射するニードルバルブ17と
ノズルバルブ18の先端部円周面とその噴射水を受ける
バケット15の内周面に、溶接肉盛層19を設けた。第
15図と第16図にその状況を示す。これらの肉盛溶接
層は、実施例1と同じ溶接条件を使用し且つ第1表のN
o、 5の混合粉末を使用して肉盛溶接した層を作り、
次にこの層を550℃〜650℃で焼鈍し、次にこれを
厚さ1〜3 mmに機械加工するように作った。このニ
ードルバルブ17とノズルバルブ18の合せ空間面及び
バケット15の内面は土砂を含む流水による摩耗が大き
い部分である。
この水車を土砂を含む流水で実際に運転したところ優れ
た耐土砂摩耗性と耐」−ヤビテーション性の両方を示し
た。
実施例5 第17−A図及び第17、−B図は蒸気タービン動翼の
構造概略図を示す。この低圧タービン最終段の動翼21
は水滴による浸食を受は易い動翼先端部22にステライ
ト板を溶接するか、その先端部をガス炎等により加熱し
硬度を向上させるフレームハードニング処理を適用して
いた。しかし、タービンの大容量化、超翼化により益々
水滴によるエロージョンが問題となっている。そこで、
第17−B図に示すように本発明の実施例2の第3表に
示すNo、 25の粉末を実施例1に示した溶接条件で
肉盛被覆層23を設けた動翼を製作しこれを組立てた。
溶接肉盛後は550℃〜650℃に再加熱し焼鈍処理を
施し、厚さ1〜3 mmに機械加工した。
この動翼を実際に運転したところ優れたエロージョン性
が得られた。
〔発明の効果〕
本発明の水車の耐エロージョン性被覆層は粉体、土砂水
、水滴、スラリー等によりキャビテーション、固形物に
よる摩耗及びこれらの複合によって損傷される機器部材
等を対象とし、オーステナイト系ステンレス鋼あるいは
ニッケル基合金粉末とSiC粉末の混合粉末、又はCと
Siを高めたオーステナイト系ステンレス鋼あるいはニ
ッケル基合金粉末による肉盛溶接層中に、クロム炭化物
又はクロムを主体とする複合炭化物を網目状に析出、晶
出させた凝固組織構造を有する肉盛層を機器部材表面に
形成させるため、キャビテーション、土砂等による摩耗
、水滴によるエロージョンが抑制でき、従って、機器が
侵食されるのを防止し、運転効率の低下を軽減でき、か
つその寿命向上に大きな効果をあげることが出来た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、金属炭化物(容量%)と硬さ(llv)の関
係を示すグラフ、第2図は、肉盛溶接層の断面の金属組
織を示す顕微鏡写真、第3図は、SiC添加量と土砂に
よる摩耗量を示すグラフ、第4図は、SiC添加量とキ
ャビテーション減量との関係を示すグラフ、第5図は、
本発明肉盛溶接層と比較材との土砂による摩耗量を比較
したグラフ、第6図は、本発明肉盛溶接層と比較材との
キャビテーション減量を比較したグラフ、第7図は、各
種金属炭化物の添加による硬さと摩耗量の関係を示すグ
ラフ、第8図は4C含有量と土砂による摩耗量の関係を
示すグラフ、第9図は、S1含有量と土砂による摩耗量
の関係を示すグラフ、第10図は本発明肉盛溶接層と比
較材との土砂による摩耗量を比較したグラフ、第11図
は本発明肉盛溶接層と比較材とのキャビテーション減量
を比較したグラフ、第12A図は本発明に関する肉盛溶
接層が適用されるフランシス水車の主要部を示す断面図
、第12B図は第12−A図をX方向から見た斜視図、
第13−A図及び第13−B図は、本発明の実施例のフ
ランシス水車の羽根において被覆層が設けられた個所を
示す図、第14図は、本発明に関する肉盛溶接層が適用
されるペルトン水車の主要部を示す断面図と平面図、第
15図及び第16図は本発明肉盛溶接層を形成したペル
トン水車構成機器部材の模式図、第17−A図は本発明
肉盛溶接層を形成した蒸気タービン動翼の模式図、第1
7−B図は、第17−A図の部分拡大図、第18図は肉
盛溶接層を設ける時に使用したプラズマアーク溶接装置
の概略図、第19図及び第20−A図、第20−B図は
本発明肉盛溶接層を形成したフランシス水車構成機器部
材の模式図である。 1・・・クラウン、2・・・シュラウド、3・・・羽根
、4・・・ランナコーン、5・・・ガイドベーン、6・
・・ステーベン、7・・・ランナライナ、8・・・シー
1〜ライナ、10・・・肉盛溶接層、15・・・バケッ
ト、17・・・ニードル、18・・・ノズル、19・・
・肉盛溶接層、・・・動翼、 2・・・侵食部、 3・・・肉盛溶接層

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、Fe、Niの少なくとも1種を主成分とし、Crを
    重量%で15〜30%を含む合金からなる金属基体の表
    面の溶接肉盛層である被覆材において、該合金のマトリ
    ックス中に、クロム炭化物又はクロムを主体とする複合
    炭化物が網目状に晶出した金属組織を有し、ビッカース
    硬度(Hv)500以下である耐エロージョン性被覆材
    。 2、Fe、Niの少なくとも1種を主成分とし、Crを
    重量%で15〜30%を含む合金からなる金属基体の表
    面の溶接肉盛層である被覆材において、該合金のマトリ
    ックス中に、クロム炭化物又はクロムを主体とする複合
    炭化物が網目状に晶出した金属組織を有し、珪素を3〜
    10重量%含有することを特徴とする耐エロージョン性
    被覆材。 3、前記被覆材は、オーステナイト系ステンレス鋼ある
    いはニッケル基合金粉末と金属炭化物粉末との混合粉末
    を溶接して得られた層であり、晶出炭化物は、オーステ
    ナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金を構成し
    ている合金元素による新相として生成したものである請
    求項1記載の耐エロージョン性被覆材。 4、前記金属炭化部は、晶出させるクロム炭化物より炭
    化物の標準生成自由エネルギーが高いSiC、Fe_3
    C、Ni_3C、CO_2CあるいはB_4Cから選ば
    れた1種以上で、かつ前記溶接肉盛層中に1〜50容量
    %含まれる請求項3記載の耐エロージョン性被覆材。 5、前記オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケ
    ル基合金粉末は、重量%でC:0.15%以下、Si:
    0.2〜1.0%、Mn:15%以下、Ni:50%以
    下及びCr:15〜30%を含み、又はこれにCo:2
    0%以下、Mo:5%以下、Nb:5%以下、Cu:5
    %以下、Ti:5%以下、W:5%以下、V:5%以下
    、Al:5%以下、N:0.3%以下及びB:0.01
    %以下の少なくとも1つを含有し、残部がFe及び同伴
    する不可避的不純物からなる請求項3記載の耐エロージ
    ョン性被覆材。 6、重量%でC:0.15%以下、Si:0.2〜1.
    0%、Mn:15%以下、Ni:50%以下、Cr:1
    5〜30%及び残りFeである合金粉末と、5〜15重
    量%のSiC粉末とからなる耐エロージョン性溶接材。 7、前記溶接肉盛層は、金属炭化物の粉末粒径(S)と
    オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金
    の粉末粒径(M)が、それぞれ10〜200μmの範囲
    でかつ粒径比S/Mが1以下で構成された混合粉末をプ
    ラズマアーク溶接で機器部材表面に積層し、少なくとも
    その厚さが5mm以下となるように形成する請求項1〜
    5記載の耐エロージョン性被覆材の形成方法。 8、前記オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケ
    ル基合金の粉末粒径は10〜200μmである請求項7
    記載の耐エロージョン性被覆材の形成方法。 9、請求項1〜5のいずれか1項記載の耐エロージョン
    性被覆材を、固体と液体あるいは気体との混相流に接す
    る流体機器部材表面に形成したことを特徴とする流体機
    器部材。 10、請求項1〜5のいずれか1項記載の耐エロージョ
    ン性被覆材を、水力機械としての水車ランナブレード、
    バケット、ライナ、ガイドベーン、ノズル、ニードル又
    はシール、蒸気タービンのブレード又はノズル、石炭、
    砂又は泥水のスラリー輸送用ポンプのインペラ、ライナ
    、配管又はバルブ、石炭粉砕機、石炭だきボイラの再熱
    器、加熱器又は通風器、圧延用ロール、船舶用スクリュ
    ウ、産業機械又は建設機械のショベル、バケットシェル
    、ティースチップ、掘削刃、打撃刃、ブルドーザのロー
    ラ、排土板、爪、油圧機器及びその他、粉体、土砂水、
    水滴、油、蒸気、スラリ、水溶液、キャビテーションに
    よる衝突、衝撃、切削や引っ掻き作用によりエロージョ
    ン損傷を受ける機器部材表面の一部及び全面に、Crを
    重量%で15〜30%を含むオーステナイト系ステンレ
    ス鋼あるいはニッケル基合金粉末と金属炭化物の少なく
    ともSiC粉末との混合粉末をプラズマアークによって
    溶融し、被溶接部分に供給し、その溶融プールを作りな
    がら所望の厚さに形成したことを特徴とする各種機器部
    材。
JP21032990A 1990-08-10 1990-08-10 耐エロージョン性被覆材とその形成方法 Pending JPH0494890A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21032990A JPH0494890A (ja) 1990-08-10 1990-08-10 耐エロージョン性被覆材とその形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21032990A JPH0494890A (ja) 1990-08-10 1990-08-10 耐エロージョン性被覆材とその形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0494890A true JPH0494890A (ja) 1992-03-26

Family

ID=16587620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21032990A Pending JPH0494890A (ja) 1990-08-10 1990-08-10 耐エロージョン性被覆材とその形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0494890A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06297188A (ja) * 1993-04-13 1994-10-25 Daido Steel Co Ltd 肉盛用Fe基合金
US7029760B2 (en) * 2003-05-14 2006-04-18 Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. Plated material and method of manufacturing the same, terminal member for connector, and connector
JP2010269342A (ja) * 2009-05-21 2010-12-02 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 溶接材料の選定方法及び発電用プラント
JP2021004683A (ja) * 2019-06-25 2021-01-14 三菱パワー株式会社 ボイラ火炉およびそれに用いられるボイラ炉壁パネル、ならびにボイラ炉壁の硬化処理方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06297188A (ja) * 1993-04-13 1994-10-25 Daido Steel Co Ltd 肉盛用Fe基合金
US7029760B2 (en) * 2003-05-14 2006-04-18 Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. Plated material and method of manufacturing the same, terminal member for connector, and connector
JP2010269342A (ja) * 2009-05-21 2010-12-02 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 溶接材料の選定方法及び発電用プラント
JP2021004683A (ja) * 2019-06-25 2021-01-14 三菱パワー株式会社 ボイラ火炉およびそれに用いられるボイラ炉壁パネル、ならびにボイラ炉壁の硬化処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Vilar Laser cladding
Jiang et al. Microstructure, hardness and cavitation erosion resistance of different cold spray coatings on stainless steel 316 for hydropower applications
US5879132A (en) Stainless steel type 13Cr5Ni having high toughness, and usage of the same
JP2018537291A (ja) 酸化抑制ツインワイヤーアークスプレー材料
JP2019520473A (ja) 高マンガン鋼スラリーパイプラインのための現場での円周溶接技術
CN102021559A (zh) 用于汽轮机末级叶片激光熔覆的钴基合金粉末
JPH06170584A (ja) 高C高Si含有溶接金属粉体及びその被覆層を持つ機器部材
CN102069318A (zh) 一种耐汽蚀不锈钢焊丝及其焊接方法
Sashank et al. Weldability, mechanical properties and microstructure of nickel based super alloys: A review
CN102079021B (zh) 一种用于水轮机转轮抗气蚀堆焊的管状焊丝
US5938403A (en) Runner, water wheel and method of manufacturing the same
JPH0494890A (ja) 耐エロージョン性被覆材とその形成方法
JP3080380B2 (ja) 水車及び機器とその製造方法
US5030064A (en) Water turbine and moving blade of water turbine
JPH08254173A (ja) 水車及びその製造方法
Shivamurthy et al. Laser surface modification of steel for slurry erosion resistance in power plants
JP3099104B2 (ja) ニードルバルブ
US3794445A (en) Water turbine runner
EP2671957A2 (en) Cast superalloy pressure containment vessel
JPH03107577A (ja) 水車及び水車動翼
JP2005120457A (ja) 耐食性及び耐摩耗性を有する被覆用合金
JPH0512420B2 (ja)
JP3220329B2 (ja) 流体機器
JP2571432B2 (ja) 耐キャビテーション・耐土砂摩耗用複合材料
Larouche et al. Comparative Study of Ni-, Co-and Fe-Based Laser Cladding Coatings for Wear and Corrosion Resistance