JPH049163Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、プラスチツク容器に使用する蓋材に
関するものである。

〔従来の技術〕

近年加工食料品その他各種の物品についてプラ
スチツク容器が多用されているが、該容器内に収
納する内容物によつては、ガスバリアー性を要求
するものが多い。

このように、ガスバリアー性を要求するもので
は、長期保存における耐ガスバリアー性を保持す
るため、蓋材としてアルミ箔を積層することによ
つて解決を図つている。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

前記のように、蓋材にアルミニウム箔等の金属
が積層されているものはガスバリアー性に優れて
いる反面、蓋材を取付けたまゝ直接電子レンジに
入れて加熱した場合、アルミニウム箔が積層され
ているものは、その部分で発火し、蓋材が破損す
るおそれがある。

従つて、アルミニウム箔を積層した蓋材の場合
には、予じめアルミニウム箔を取除いた後電子レ
ンジに入れる必要があり、取扱上不便である。

他方、電子レンジ等で直接加熱するとき、内容
物の水分が飛散しないようにするため、蓋材をポ
リエチレン又は塩化ビニリデンフイルムでオーバ
ーラツプしたものもある。しかし、この方法で
は、蓋材を取付けたまゝ電子レンジ等で直接加熱
すると、加熱による容器内部の蒸気圧が急激に高
まり、容器又は蓋等の破損を生じ、内容物が外へ
こぼれてしまう欠点があり、そのため蓋の一部を
開封して加熱しなければならないという欠点があ
る。

本考案は上述従来の欠点を改善するため研究の
結果、耐ガスバリアー性を保持できると共に、直
接電子レンジ等で加熱でき、しかも容器内の蒸気
圧によつて容器、蓋等を破損することのない蓋材
を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、アルミニウム箔とプラスチツクフイ
ルムとの積層体と、アルミニウム箔を積層してい
ないプラスチツクフイルムの積層体とが剥離剤を
介して一体的に積層形成され、アルミニウム箔が
積層されていないプラスチツクフイルムの積層体
で容器のフランジに接着密封するようになつてお
り、他方アルミニウム箔が積層されていないプラ
スチツクフイルムの積層体には、容器のフランジ
に当る部分に剥離用の切れ目を設けると共に、容
器の開放部に当る部分に複数の穴又は切れ目が設
けられており、容器を密封状態で加熱する際、ア
ルミニウム箔とプラスチツクフイルムとの積層体
を上方に引張り、アルミニウム箔の積層されてい
ないプラスチツクフイルムの積層体を剥離用の切
れ目で切取り、かつ、剥離剤の部分で剥離し、ア
ルミニウム箔が積層されていないプラスチツクフ
イルムの積層体のみで密封したまま加熱するよう
に構成されているプラスチツク容器用蓋材であ
る。

〔作用、効果〕

本考案は以上の如き構成のものからなり、アル
ミニウム箔とプラスチツクフイルムの積層体（以
下アルミ入り積層体という）は、基本的にはプラ
スチツクフイルムとアルミニウム箔とが接着剤を
介して積層されたものであり該アルミニウム箔の
裏面はアンカーコート処理し、これにポリエチレ
ンフイルムが積層され、さらにその表面に散点
状、の部分的接着層を介して剥離剤が積層されて
いる。

茲に、プラスチツクフイルムとは、ポリエステ
ル、ナイロン又は配向性ポリプロピレン（OPP）
等の各種が使用できる。また、該プラスチツクフ
イルムには、必要に応じてブランド又は模様等を
印刷することもできる。

尚、前記接着層は、これに代えてプラスチツク
フイルムに適宜アンカーコート処理した後ポリエ
チレン又はアイオノマーエチレンアクリル酸若し
くはエチレンメタアクリル酸等のプラスチツクを
ラミネートしたものであつてもよい。

また、ポリエチレン表面に積層されている剥離
剤は、両面の間に散点状に部分的接着層が形成さ
れており、剥離層と部分的接着層との面積比か
ら、適宜のラミネート強度となるように調整され
ている。

他方、アルミニウム箔の積層されていないプラ
スチツクフイルムの積層体（以下アルミのない積
層体という）は、アルミ入り積層体と同様なプラ
スチツクフイルムと、容器密封用の易開封性シー
ラントとが接着剤を介して積層されている。前記
プラスチツクフイルムには、前記アルミ入り積層
体のプラスチツクフイルムと同様適宜その表面又
は裏面に文字、模様等を印刷することができる
が、望ましくは裏面（即ち接着剤側）に印刷す
る。

また、アルミのない積層体は、所定の形状とし
た後、容器のフランジに当る部分に剥離用の切れ
目が設けられていると共に、容器の開放部に当る
部分に適宜複数の穴又は切れ目が設けられてい
る。

前記２つの積層体は、アルミ入り積層体、アル
ミのない積層体のプラスチツクフイルムとで一体
的に積層されて蓋材とする。

前記蓋材は、最下層の易開封性シーラントで容
器のフランジと接着して密封する。従つて容器
は、蓋材にアルミニウム箔が積層されているた
め、保管又は移送中、充分なガスバリアー性を保
持でき、長期間の保存に耐えることができる。

つぎに、該容器を密封したまゝ電子レンジ等で
直接加熱するときは、上面にあるアルミ入り積層
体を上方へ引張つてアルミのない積層体を剥離用
切れ目で切断すると共に、剥離剤の部分から剥離
して取除き、アルミのない積層体で容器を密封し
たまゝ電子レンジで加熱すればよい。この状態で
はアルミニウム箔がないから発火による容器、蓋
等の損傷は皆無である。

さらに、密封容器内部は、加熱によつて蒸気圧
が高まるが、本考案ではアルミ入り積層体が剥離
され、アルミのない積層体に形成されている穴又
は切れ目が現われるため、蒸気圧は該穴又は切れ
目から外部へ放出され、従つて加熱により容器、
蓋材の破損するおそれも皆無である。尚、電子レ
ンジ等で直接加熱する必要がないものでは、一体
的に積層されている蓋材を易開封性シーラントの
部分で剥離すればよい。

以上の如く本考案は蓋材をアルミ入り積層体と
アルミのない積層体とを離型剤を介して一体的に
積層してあるため、保存中又は移送中のガスバリ
アー性は充分に保たれることができる。

また、電子レンジで直接加熱する場合には、ア
ルミ入り積層体を剥離して加熱するため、アルミ
ニウムによる発火はなく容器、蓋材の損傷は皆無
である。

さらに、アルミのない積層体には適宜穴又は切
れ目が設けられているため、アルミのない積層体
で密封したまゝ加熱しても、該穴又は切れ目から
加熱によつて生ずる蒸気圧を放出できるため、内
部圧の増大に伴なう容器、蓋等の損傷も皆無であ
る。

〔実施例〕

第１図乃至第５図は本考案の一実施例を示した
ものであるが、つぎにこれら図面に基づいて本考
案を具体的に説明する。

蓋材１が、アルミ入り積層体２とアルミのない
積層体３とからなつている。アルミ入り積層体２
は、最上層が、ポリエステル、ナイロン又は
OPP等のプラスチツクフイルム層４で、裏面に
適宜印刷部５が形成され、該印刷部５表面に接着
剤層６を介してアルミニウム箔７が積層され、該
アルミニウム箔７表面にアンカーコート層８が設
けられ、この表面にポリエチレン層９が積層さ
れ、さらにその表面に、散点状に形成した部分的
接着層１０を介して剥離層１１が形成されてアル
ミのない積層体の表面となる。

また、アルミのない積層体３は、前記プラスチ
ツクフイルム層４と同様なプラスチツクフイルム
層１２の表面に剥離層１１と部分的接着層１０を
介して易開封性シーラント１４が積層されてい
る。

尚、前記プラスチツクフイルム層１２の裏面に
は、適宜前記プラスチツクフイルム層４と同様印
刷部５が形成されているが、必らずしも印刷部５
は必要ではない。

前記アルミのない積層体３は、所定の形状とし
た後、第２図及び第３図に示すように、容器１５
のフランジ１６に当る部分に、剥離用の切れ目１
７が設けられており、また、容器１５の開口部に
複数の穴１８が設けられている、尚、該穴１８
は、第２図乃至第５図では説明の都合上拡大され
た状態で示しているが、実際には微小な口径に形
成するものである。

つぎに、前記アルミ入り積層体２の剥離層１１
と、アルミのない積層体３のプラスチツクフイル
ム１２とで一体的に積層接着して蓋材１とする。

本考案の蓋材１は、容器１５内に内容物を収納
した後、アルミのない積層体３の易開封性シーラ
ント１４を容器１５のフランジ１６に接着して密
封する。

本考案の蓋材１は、アルミニウム箔７が介在し
ているため、保存、移送中のガスバリアー性に優
れており、長期保存に耐えることができる。

つぎに、蓋材１で密封されている容器１５を電
子レンジ等で直接加熱する場合には、アルミ入り
積層体２を上方へ引張つてアルミのない積層体３
を剥離用の切れ目１７で切断し、剥離層１１の部
分で剥ぎ取つて、アルミのない積層体３のみで密
封した状態として、電子レンジで加熱する。

即ち、この状態では蓋材１のアルミニウム箔７
が取除かれているから、電子レンジで直接加熱し
ても発火のおそれは全くなく安全に加熱できる。

また、アルミのない積層体３は、容器１５の開
放部に当る部分の穴１８がアルミ入り積層体２の
剥離によつて現われるため、密封して加熱した際
に生ずる蒸気圧は該穴１８から放出できるため、
加熱による蒸気圧の高まりに伴なう容器１５、蓋
材の損傷がさけられる。

尚、内容物が加熱を必要としないものである場
合、内容物を取出すには、蓋材１を易開封性シー
ラント１４で一挙動で剥離すればよく、従つて加
熱を必要とするもの又は加熱を必要としないもの
の何れに対しても適用できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の拡大断面図、第２
図は、容器に取付けた状態の平面図、第３図は、
第２図中−線断面図、第４図は第３図中アル
ミ入り積層体を剥離している状態の断面図、第５
図は、アルミのない積層体で密封した状態の断面
図である。 １……蓋材、２……アルミ入り積層体、３……
アルミのない積層体、４，１２……プラスチツク
フイルム層、５……印刷部、６，１３……接着
層、７……アルミニウム箔、８……アンカーコー
ト層、９……ポリエチレン層、１０……部分的接
着層、１１……剥離層、１４……易開封性シーラ
ント、１５……容器、１６……フランジ、１７…
…剥離用切れ目、１８……穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アルミニウム箔とプラスチツクフイルムとの積
   層体と、アルミニウム箔を積層していないプラス
   チツクフイルムの積層体とが剥離剤を介して一体
   的に積層形成され、アルミニウム箔が積層されて
   いないプラスチツクフイルムの積層体で容器のフ
   ランジに接着密封するようになつており、他方、
   アルミニウム箔が積層されていないプラスチツク
   フイルムの積層体には、容器のフランジに当る部
   分に剥離用の切れ目を設けると共に、容器の開放
   部に当る部分に、複数の穴又は切れ目が設けられ
   ており、容器を密封状態で加熱する際、アルミニ
   ウム箔とプラスチツクフイルムとの積層体を上方
   に引張り、アルミニウム箔の積層されていないプ
   ラスチツクフイルムの積層体を剥離用の切れ目で
   切取り、かつ、剥離剤の部分から剥離し、アルミ
   ニウム箔が積層されていないプラスチツクフイル
   ムの積層体のみで密封したまゝ加熱するように構
   成されていることを特徴とするプラスチツク容器
   用蓋材。