JPH0480137B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔発明の技術分野〕 本発明は、紡糸口金から紡出中のマルチフイラ
メント糸条をエジエクタを利用して直接繊維ウエ
ブを製造する装置に関するものである。 〔従来技術〕 紡出中のマルチフイラメント糸条をエジエクタ
で吸引しながら開繊を行い、直接繊維ウエブを製
造する場合、その生産性の向上を図るために、エ
ジエクタに供給する圧空圧力を高くして紡出糸条
の吸引速度を高めてやることが考えられる。ま
た、吸引速度の高速化はマルチフイラメント糸条
の単糸繊度を極細化させることができるため、繊
維ウエブにしたのちの品位の向上に有利である。
しかし、吸引速度の高速化は単に従来のエジエク
タに対する供給圧空の圧力を高めるだけでは、
高々4000m／分程度までが限界である。したがつ
て、従来の装置ではさらに4000m／分を越える高
生産性と、さらに一層の細デニール化を図ること
による高品位化には限界があつた。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、吸引速度の高速化による高い
生産性と単糸繊度の細デニール化による繊維ウエ
ブの高品質化とを同時に可能にする繊維ウエブの
製造装置を提供せんとすることにある。 〔発明の構成〕 マルチフイラメント糸条を紡出する多数の吐出
孔を有する紡糸口金と、該紡糸口金の下方に一定
距離を隔てて設けられた前記マルチフイラメント
糸条を圧空により吸引するベンチユリ部を有する
エジエクタと、該エジエクタの下流側に接続され
た一定長さの延伸用管路と、該延伸用管路から噴
射されたマルチフイラメント糸条を開繊する衝突
板と、該衝突板で開繊されたマルチフイラメント
糸条を補集する手段とを備えた繊維ウエブの製造
装置において、 前記延伸用管路の下端部に圧空を強制吸引する
排気筒を設けると共に、前記エジエクタ内のベン
チユリ部の喉部から該排気筒上端までの長さを少
なくとも400mmとしたことを特徴とするものであ
る。 〔発明の実施例〕 以下、本発明を図に示す実施例により説明す
る。 第１図において、１は多数の吐出孔をもつ溶融
紡糸口金であつて、この紡糸口金１からマルチフ
イラメント糸条Ｙが溶融紡出される。紡糸口金１
の周囲には加熱装置保温筒２が囲むように設けら
れており、溶融粘度を低下させることにより曳糸
性を高めるようにしている。３は詳細を後述する
エジエクタであり、圧空のエジエクタ効果により
紡糸口金１から溶融紡出されたマルチフイラメン
ト糸条Ｙを高速吸引する。このエジエクタ３の下
流側には延伸用パイプ４が接続されており、この
延伸用パイプ４はエジエクタ３から噴射される圧
空を加速しながらマルチフイラメント糸条を随伴
牽引し、かつその牽引力により高度の延伸を行わ
せる。 延伸用パイプ４の下端部には詳細を後述する排
気筒５が設けてある。この排気筒５はブロア（図
示せず）等の強制吸引手段に接続されており、こ
の強制吸引手段により排気筒５から圧空を強制吸
引排気することにより、延伸用パイプ４内の流速
を一層加速して吸引力を高めるようにしている。
このようにして圧空に随伴吸引されたマルチフイ
ラメント糸条Ｙは、排気筒５下方のスライドパイ
プ１６ａから圧空と共に噴出され、斜設された衝
突板６に衝突する。この衝突によりマルチフイラ
メント糸条Ｙは方向転換を行い、その方向転換を
するとき開繊かつ拡開される。 上記衝突板６は、第２図に示すように各紡糸頭
毎の複数のものが列状にコンベア７を横切るよう
に並べられ、かつそれぞれが左右に首振り運動を
行うようになつている。複数の衝突板６は左右に
首振運動をしながら、衝突により方向転換するマ
ルチフイラメント糸条Ｙをさらに幅広く拡開さ
せ、下方のコンベア７上に均一な厚さのシート状
繊維ウエブＷを形成させる。 上述のエジエクタ３は、第３，４図に示すよう
に本体８の中に圧空室９を形成し、この圧空室９
の側部に圧空ポンプ（図示せず）に連通する圧空
供給管１０を接続している。圧空室９に続いてベ
ンチユリ部１１が設けられ、このベンチユリ部１
１の喉部１１ａに対向するように導糸管１２の先
端が臨み、その先端周囲に流路の絞られた環状の
噴射ノズル１３を形成している。この噴射ノズル
１３の上流側には多数のノズル１４ａを有する整
流機構１４が設けられている。多数のノズル１４
ａは円周方向に沿つてほゞ等間隔に配列され、上
記噴射ノズル１３の環状スリツトに均等に対応し
ている。このため圧空室９に供給された圧空は整
流機構１４において整流され、噴射ノズル１３の
環状スリツトに対して空気密度の疎密斑のない均
等な分布を行う。したがつて、噴射ノズル１３か
ら噴出した圧空はほゞ真直ぐな直噴流となり、旋
回することはない。そのためマルチフイラメント
糸条Ｙに仮撚が与えられることはなく、その上流
側において融着を発生することはない。この効果
は、従来装置では不可能であつた100フイラメン
ト以上の多フイラメントであつても奏することが
できる。 エジエクタ３に接続された延伸用パイプ４はベ
ンチユリ分岐管１１の喉部１１ａから排気筒５の
上端までの長さ₁（以下、単に延伸バイプの長
さ₁と称する）が少なくとも400mmとなるように
してある。このように400mm以上の長さに設定し
た管路に、上述の整流機構１４により矯正された
直噴流を流すことにより流速は加速され、
4000m／分以上の高速度が可能になる。このため
圧空の吸引力は高まり、マルチフイラメント糸条
Ｙは高度に延伸されるようになり、従来装置では
得られないような極細デニール化が可能になる。 この400mm以上の延伸用パイプ４による流速ア
ツプの効果は、その下端部に設けた排気筒５から
強制吸引排気することにより一層高められる。こ
れは排気筒５からの強制吸引排気により延伸用パ
イプ４内の静圧が低下し、動圧が高くなるからで
ある。この排気筒５の効果により、マルチフイラ
メント糸条の単糸繊度は、さらに一層極細化され
ることになる。このような極細化されたマルチフ
イラメント糸条は繊維ウエブの目付を小さくし、
その繊維ウエブの品位を著しく高めることができ
る。 また、上記排気筒５から圧空を強制吸引排気す
ることにより、下部のスライドパイプ１６ａから
マルチフイラメント糸条Ｙと共に噴出する圧空量
は低減する。そのため、衝突板６に衝突したのち
コンベア７上へ向かう圧空の流出量も少なくな
る。これによつて、コンベア７上に積層されたシ
ート状の繊維ウエブＷが圧空によつて無用に乱さ
れなくなり、繊維ウエブの均一性が向上する。ま
た、スライドパイプ１６ａから噴出する圧空量が
少ないため、衝突板６から再びスライドパイプ１
６ａの下端に反転する圧空のバツクプレツシヤも
小さくなり、そのためこのバツクプレツシヤに起
因する吸引速度低下も防止される。 第５，６図は上述した排気筒５の詳細を示すも
ので、本体ケース１５の上板には上部側の延伸用
パイプ４の下端が貫通固定され、また底板には案
内パイプ１６の上端が貫通固定されており、案内
パイプ１６には下部側のスライドパイプ１６ａが
スライド可能に嵌合している。延伸用パイプ４の
下端と案内パイプ１６の上端との間は長さ₂で
開口する排気口１９となつており、その排気口１
９には、複数枚の環状板１７が小間隙を介して組
重ねられた整流機構１８が設けられ、さらにこの
整流機構１８の外周を囲んで円筒状の多孔性フイ
ルタ２０が設けられている。本体ケース１５の側
部には排気管２１が設けられ、この排気管２１は
上述したようにブロワ等の強制吸引手段（図示せ
ず）に接続されている。 上記強制吸引手段により排気管２１から強制吸
引を行うと、多孔性フイルタ２０の整流作用に呼
応して、整流機構１８では環状板１７，１７間の
スリツトから延伸用パイプ４の圧空が半径方向に
向けて円周全体にわたり均一に排気される。この
ような均一排気によりマルチフイラメント糸条Ｙ
は延伸用パイプ４内において一方に偏寄するよう
な不都合を生ずることがない。また、上述したよ
うに、強制排気により延伸用パイプ４内の静圧が
低下し、圧空の流速を高め吸引力の向上を図るこ
とがきる。 整流機構１８におけるスリツト形状は実施例の
ような横方向に代り、縦方向のスリツトであつて
もよく、また整流機構１８自体を多孔の円筒で構
成するようにしてもよい。 上述した排気筒５からの強制吸引排気を、最初
の紡出糸を糸掛けするときにおいても行うと、最
初の紡出糸は糸条の張力が低い状態あるため整流
機構１８のスリツトに糸条が引つ掛るおそれがあ
る。上記排気筒５は下部側のスライドパイプ１６
ａがスライド可能であり、これを上昇させること
により、第５図に鎖線で示すようにその上端を上
部側の延伸用パイプ４の下端に接当させて排気口
１９をクローズできる。したがつて、糸掛時はこ
のスライドパイプ１６ａを鎖線で示す位置まで上
昇させ、排気口１９をクローズすることにより整
流機構１８のスリツトへの糸条の引つ掛りを防止
することができる。 実施例１〜４、比較例１ 第１図〜第６図に示す繊維ウエブ製造装置にお
いて、溶融紡糸口金１の吐出孔数を81個、延伸用
パイプ４の長さ₁を300mm、その内径を10mm、排
気筒５の排気口１９の長さ₂を150mmに設定し
た。 この装置の溶融紡糸口金１からポリエチレンテ
レフタレートを口金１個当たり225g／分の量吐
出し、エジエクタ３の圧空供給管１０から圧空を
２Kg／cm²・Ｇの圧力で約490N／分の消費量と
なるように供給しながら、排気筒５の排気管２１
からブロワにより強制吸引排気し、繊維ウエブを
製造した。この時の紡糸速度Ｖ１（ｍ／分）及び
上記装置から排気筒５のみを取り外した時の紡糸
速度Ｖ２（ｍ／分）を測定し、その結果を下表に
比較例１として示した。 次に、上記装置において、延伸用パイプ４の長
さ₁をそれぞれ400mm、600mm、900mm、1600mmに
変更した以外は、上記装置と同一の装置を用い
て、同一条件で紡糸し、その時の紡糸速度Ｖ１及
びこの装置から排気筒５のみを取り外した時の紡
糸速度Ｖ２を測定した。測定結果を下表に示し
た。

〔発明の効果〕

上述したように本発明の繊維ウエブの製造装置
は、エジエクタの下流に接続した延伸用管路を、
エジエクタ内のベンチユリ部喉部からの長さが少
なくとも400mmであるようにし、しかもその下端
部に強制吸引排気する排気筒を設けたため、延伸
用管路内の静圧を低下させ、それによつて吸気速
度を著しく向上させることができ、これと相俟つ
て生産性を向上することができる。したがつて、
この吸引速度の高速化により高い生産性と単糸繊
度の細デニール化による繊維ウエブの高品質化と
を同時に可能にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例による繊維ウエブ製造
装置の概略側面図、第２図は同装置における延伸
用パイプの下端より下流の部分を示す平面図、第
３図は同装置に設けたエジエクタ部分を示す縦断
面図、第４図は第３図の−矢視による断面
図、第５図は同装置に設けた排気筒部分の縦断面
図、第６図は第５図の−矢視による断面図で
ある。 １……紡糸口金、３……エジエクタ、４……延
伸用パイプ（延伸用管路）、５……排気筒、６…
…衝突板、７……コンベア、１１……ベンチユリ
部、１１ａ……喉部、１６ａ……スライドパイ
プ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ マルチフイラメント糸条を紡出する多数の吐
   出孔を有する紡糸口金と、該紡糸口金の下方に一
   定距離を隔てて設けられた前記マルチフイラメン
   ト糸条を圧空により吸引するベンチユリ部を有す
   るエジエクタと、該エジエクタの下流側に接続さ
   れた一定長さの延伸用管路と、該延伸用管路から
   噴射されたマルチフイラメント糸条を開繊する衝
   突板と、該衝突板で開繊されたマルチフイラメン
   ト糸条を補集する手段とを備えた繊維ウエブの製
   造装置において、 前記延伸用管路の下端部に圧空を強制吸引する
   排気筒を設けると共に、前記エジエクタ内のベン
   チユリ部の喉部から該排気筒上端までの長さを少
   なくとも400mmとしたことを特徴とする繊維ウエ
   ブの製造装置。