JPH047870Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、カムシヤフト軸端にデイストリビユ
ータ用溝を加工するために使用されるカムシヤフ
ト加工用位置決め装置に関するものである。

（従来技術） 一般に、カムシヤフトの一方の軸端には、点火
時期を決定すべく構成されたデイストリビユータ
が連結されるが、このデイストリビユータとのカ
ツプリング用として直径方向の溝が形成されてい
る。該溝の加工方向および加工深さは、カムシヤ
フトとデイストリビユータとの位置関係を決定す
る上で極めて重要である。そのため、カムシヤフ
トにデイストリビユータ用溝を加工するに当たつ
ては、カムシヤフトの位相および軸方向位置を規
定した後に、溝切削加工を施すようにしていた。

従来、上記位相決めおよび軸方向位置決めを行
うに当たつては、カムシヤフトの位相を規定して
デイストリビユータ用溝の加工方向を決定する位
相決めピンとカムシヤフトの軸方向位置を規定し
てデイストリビユータ用溝の加工深さを決定する
加工基準フランジとをカムシヤフトに形成し、こ
れらの位相決めピンおよび加工基準フランジを加
工装置に設けられた固定ガイドに対して手作業で
押し込むことによつて行つていた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来例の如く、カムシヤフトに形成された
位相決めピンおよび加工基準フランジを加工装置
側の固定ガイドに押し込む場合、加工終了後にお
けるカムシヤフトの取り出しが極めて難しく、作
業性に劣るという難点があつた。このため、加工
装置に対するカムシヤフトの自動搬送化を図る上
で大きな障害となつていた。

本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、
カムシヤフトの自動搬送化を図りつつ、位相決め
および軸方向位置決めを円滑に行い得るようにす
ることを目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案では、上記問題点を解決するための手段
として、カムシヤフト軸端にデイストリビユータ
用溝を加工するためのカムシヤフト加工用位置決
め装置を、前記カムシヤフトを加工位置において
保持する受台と、該受台に対してカムシヤフトを
挟圧固定するクランプ部材と、アンクランプ時に
おいて前記受台からカムシヤフトを浮上させるべ
く弾設された浮上台とで構成するとともに、カム
シヤフトの位相を規定してデイストリビユータ用
溝の加工方向を決定すべくカムシヤフトの端部に
偏心して設けられた位相決めピンをクランプ時に
上下方向に案内する位相決めピンガイドと、カム
シヤフトの軸方向位置を規定してデイストリビユ
ータ用溝の加工深さを決定すべくカムシヤフトに
形成された加工基準フランジをクランプ時に上下
方向に案内する加工基準フランジガイドとを付設
している。

（作用） 本考案では、上記手段によつて次のような作用
が得られる。

即ち、浮上台上に載せられたカムシヤフトは、
クランプ部材によるクランプ作用によつて受台に
押し付けられる過程において、位相決めピンおよ
び加工基準フランジがそれぞれ位相決めピンガイ
ドおよび加工基準フランジガイドに案内されつつ
位置決めされることにより自動的に位相決めおよ
び軸方向位置決めされることとなり、この状態で
カムシヤフト軸端にデイストリビユータ用溝が切
削加工されるのである。そして、該切削加工終了
後においては、クランプ部材によるクランプ作用
を解除（換言すれば、アンクランプ）するだけ
で、前記浮上台の上動作用によつてカムシヤフト
が自動的に浮上せしめられる。この時も、位相決
めピンおよび加工基準フランジは、前記と同様に
位相決めピンガイドおよび加工基準フランジガイ
ドにそれぞれ案内されて上方に移動せしめられ
る。つまり、クランプ部材によるクランプおよび
アンクランプ作用と浮上台の上動作用とによつ
て、カムシヤフトの位置決めおよび取り出しが自
動的に行なわれることとなるのである。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本考案の好適な
実施例を説明する。

本実施例にかかるカムシヤフト加工用位置決め
装置２は、第６図図示の如く、カムシヤフト加工
装置Ａにおける基台１の位置決めおよび加工ステ
ーシヨンＣに設けられるものである。該ステーシ
ヨンＣへのカムシヤフト７の搬送は、リフト＆キ
ヤリー方式の搬送装置Ｂにより行なわれるように
なつている。そして、かかる位置決め装置２に位
置決め固定されたカムシヤフト７の一方の軸端に
は、切削装置３のカツター８によつてデイストリ
ビユータ用溝９が切削加工される。該デイストリ
ビユータ用溝９は、カムシヤフト７の軸端にデイ
ストリビユータをカツプリングする用に供せられ
る。

前記位置決め装置２は、第１図図示の如く、前
記搬送装置Ｂによつて搬送されてきたカムシヤフ
ト７の一端側を加工位置において保持する受台４
と、該受台４に対してカムシヤフト７を挟圧固定
するクランプ部材６と、アンクランプ時において
前記受台４からカムシヤフト７を浮上させるべく
弾設された浮上台５とを備えている。前記カムシ
ヤフト７の他端側は、浮上台５とクランプ部材６
とによつて挟圧保持されるようになつている。前
記浮上台５は、前記基台１に上下方向に設けられ
た一対のガイド筒１５，１５に上下動自在に嵌挿
されたロツド１６，１６の上端に設けられてお
り、前記ロツド１６，１６に嵌挿されたスプリン
グ１７，１７によつて上方に付勢されている。該
スプリング１７は、アンクランプ時においてカム
シヤフト７を浮上せしめるに足る付勢力を有して
いることが必要である。また、この浮上台５の上
面には、カムシヤフト７を受けるための円弧上の
受部５ａが形成されている。符号１８および１９
は浮上台５の下動限および上動限を規制するため
のストツパーである。

前記クランプ部材６は、前記基台１に設けら
れ、上下方向に作動するシリンダー２０のピスト
ンロツド２１上端に設けられたＬ字状部材からな
つており、その下面には、カムシヤフト７を受け
るための受部６ａが形成されている（第５図参
照）。

一方、前記カムシヤフト７は、その反溝加工側
軸端に偏心して突設され、該カムシヤフト７の位
相を規定してデイストリビユータ用溝９の加工方
向を決定するための位相決めピン１０と、カムシ
ヤフト７において位相決めピン１０側寄りに形成
され、カムシヤフト７の軸方向位置を規定してデ
イストリビユータ用溝９の加工深さを決定するた
めの加工基準フランジ１１とを有している。前記
位相決めピン１０は、カムシヤフト７のカム片１
２，１２……のノーズ部１２ａ，１２ａ……の向
き（換言すれば、位相）に対応して形成され、前
記加工基準フランジ１１は、カムシヤフトセツト
時においてカムシヤフト７の溝加工側軸端からの
距離を一定とするために形成されるものである。

而して、受台４にセツトされたカムシヤフト７
の位相決めピン１０と対応する位置には、カムシ
ヤフト７のクランプ時において前記位相決めピン
１０を上下方向に案内するための溝状の位相決め
ピンガイド１３が設けられている。該位相決めピ
ンガイド１３は、前記基台１上に立設された支持
部材２２に設けられており、上下方向の切欠溝で
構成されている。また、前記受台４にセツトされ
たカムシヤフト７の加工基準フランジ１１と対応
する位置には、カムシヤフト７のクランプ時にお
いて前記加工基準フランジ１１を上下方向に案内
する加工基準フランジガイド１４が前記受台４に
支持されて設けられている。該加工基準フランジ
ガイド１４は、受台４に固定された固定片１４ａ
と、前記受台４に設けられ、前記固定片１４ａを
貫通する一対のロツド２３，２３に進退自在に支
持された可動片１４ｂとからなつており、該可動
片１４ｂはスプリング２４，２４によつて固定片
１４ａ側に付勢されている。つまり、スプリング
２４，２４の付勢力によつてカムシヤフト７の加
工基準フランジ１１を固定片１４ａと可動片１４
ｂとの間に挟着保持するようになつているのであ
る。なお、固定片１４ａおよび可動片１４ｂの上
端部は、加工基準フランジ１１の挿入を容易なら
しめるための傾斜部とされている。

ついで、図示のカムシヤフト加工用位置決め装
置の作用を説明する。

搬送装置Ｂによつて搬送されてきたカムシヤフ
ト７は、第３図図示の如く、浮上台５，５上に載
せられた後、シリンダー２０，２０の作動による
クランプ部材６，６のクランプ作用によつてスプ
リング１７，１７の付勢力に抗して浮上台５，５
の下動限まで押し下げられて受台４上に保持され
る。この過程においてカムシヤフト７に設けられ
た位相決めピン１０および加工基準フランジ１１
は、それぞれ位相決めピンガイドおよび加工基準
フランジガイド１４に案内されて位置決めされ、
カムシヤフト７は所定の加工位置（即ち、デイス
トリビユータ用溝９の位相および深さが規定され
た位置）に位置決めされる（第２図参照）。この
状態の下に切削装置３のカツター８によつてカム
シヤフト７の軸端にデイストリビユータ用溝９が
切削加工されるのである。そして、切削加工終了
後において、シリンダー２０，２０を作動させて
クランプ部材６，６によるクランプ作用を解除す
る（即ち、アンクランプ状態とする）と、スプリ
ング１７，１７の付勢力に基づく浮上台５，５の
上動作用によのカムシヤフト７が最初の搬送位置
（第３図図示の位置）まで自動的に浮上せしめら
れる。この時も、カムシヤフト７の位相決めピン
１０および加工基準フランジ１１は、それぞれ位
相決めピンガイド１３および加工基準フランジガ
イド１４に案内されて円滑に上方移動せしめられ
る。その後、浮上台５，５上に載せられた状態の
カムシヤフト７を搬送装置Ｂで搬出すると同時に
次に加工されるべきカムシヤフト７が搬送装置Ｂ
によつて浮上台５，５上に載せられることとな
り、自動搬送が可能となるのである。

本考案は、上記実施例に限定されるものではな
く、考案の要旨を逸脱しない範囲において適宜設
計変更可能なことは勿論である。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、カムシヤフト軸
端にデイストリビユータ用溝を加工するためのカ
ムシヤフト加工用位置決め装置を、前記カムシヤ
フトを加工位置において保持する受台と、該受台
に対してカムシヤフトを挟圧固定するクランプ部
材と、アンクランプ時において前記受台からカム
シヤフトを浮上させるべく弾設された浮上台とで
構成するとともに、カムシヤフトの位相を規定し
てデイストリビユータ用溝の加工方向を決定すべ
くカムシヤフトの端部に偏心して設けられた位相
決めピンをクランプ時に上下方向に案内する位相
決めピンガイドと、カムシヤフトの軸方向位置を
規定してデイストリビユータ用溝の加工深さを決
定すべくカムシヤフト適所に形成された加工基準
フランジをクランプ時に上下方向に案内する加工
基準フランジガイドとを付設して、浮上台上に載
せられたカムシヤフトを、クランプ部材によつて
クランプする過程において、位相決めピンおよび
加工基準フランジがそれぞれ位相決めピンガイド
および加工基準フランジガイドに案内されるよう
にしたので、クランプ部材によるクランプおよび
アンクランプ作用と浮上台の上動作用とによつ
て、カムシヤフトの位置決めおよび取り出しが自
動的に行なわれることとなり、カムシヤフト搬送
の自動化が可能になるとともに、位相決めと軸方
向位置決めとを同時に且つ円滑に行うことができ
るという実用的な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかるカムシヤフ
ト加工用位置決め装置を示す一部を断面とした側
面図、第２図は、第１図の要部拡大図、第３図
は、カムシヤフトのアンクランプ時における第２
図相当図、第４図は、第３図の−断面図、第
５図は、第１図のＸ矢視拡大図、第６図は、第１
図図示のカムシヤフト加工用位置決め装置を備え
たカムシヤフト加工装置を示す平面図である。 ４……受台、５……浮上台、６……クランプ部
材、７……カムシヤフト、９……デイストリビユ
ータ用溝、１０……位相決めピン、１１……加工
基準フランジ、１３……位相決めピンガイド、１
４……加工基準フランジガイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カムシヤフト軸端にデイストリビユータ用溝を
   加工するためのものであつて、前記カムシヤフト
   を加工位置において保持する受台と、該受台に対
   してカムシヤフトを挟圧固定するクランプ部材
   と、アンクランプ時において前記受台からカムシ
   ヤフトを浮上させるべく弾設された浮上台と、カ
   ムシヤフトの位相を規定してデイストリビユータ
   用溝の加工方向を決定すべくカムシヤフトの端部
   に偏心して設けられた位相決めピンをクランプ時
   に上下方向に案内する位相決めピンガイドと、カ
   ムシヤフトの軸方向位置を規定してデイストリビ
   ユータ用溝の加工深さを決定すべくカムシヤフト
   に形成された加工基準フランジをクランプ時に上
   下方向に案内する加工基準フランジガイドとを備
   えていることを特徴とするカムシヤフト加工用位
   置決め装置。