JPH0477153B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明の内燃機関の点火時期制御装置に関す
るものである。

ガソリンのオクタン価は内燃機関における耐ノ
ツク性に強い相関があることがよく知られてい
る。すなわち、オクタン価の高いガソリンほどノ
ツクしにくいものである。第１図は市販のレギユ
ラガソリンとプレミアムガソリン（レギユラガソ
リンよりもオクタン価が高い）とを使用した場合
のある内燃機関における点火時期一出力軸トルク
特性を示したものである。Ａ点はレギユラガソリ
ン使用時のノツク限界点、Ｂ点はプレミアムガソ
リン使用時のノツク限界点、Ｃ点は最大出力点
（MBT）であり、ノツク限界点よりも点火時期
を進角させるとノツクが発生する。第１図による
と、プレミアムガソリン使用時には点火時期をＢ
点まで進角することができるため、レギユラガソ
リン使用時に対し、出力軸トルクを向上すること
が可能になる。第２図及び第３図は第１図のＡ
点、Ｂ点及びＣ点の点火時期をそれぞれ内燃機関
の回転数（第２図）と負荷（第３図）に対して表
わした点火時期特性図である。

以上のことから、このような特性を持つ内燃機
関において、レギユラガソリンからプレミアムガ
ソリンに転換する場合、点火時期を進角すれば機
関の出力を向上することが可能になる。

〔従来技術〕

ところで従来の点火時期制御装置においては、
点火時期特性が所定のガソリン、例えばレギユラ
ガソリンに対してのみ設定されているため、プレ
ミアムガソリン使用時にはそのままでは機関の出
力向上は期待できず、何らかの方法で点火時期を
進角側に再設定しなければならなかつた。また、
再設定する場合には、第２図と第３図に示すよう
にノツク限界とMBTとの進角特性が異なるた
め、レギユラガソリン用とは違つた進角特性にす
る必要がある。

〔発明の概要〕

そこで、本発明は上記の点に関してなされたも
のであり、ノツクセンサを用いてノツク発生を検
出し、その検出値により使用中のガソリンがレギ
ユラガソリンであるか、プレミアムガソリンであ
るかを判定し、その判定結果により点火時期を進
角側あるいは遅角側に切り換え、運転状態に応じ
て切換量を設定することにより、自動的にガソリ
ンの種類を判別し、点火時期をガソリンの種類に
応じた最適な進角特性に切り換えることを目的と
するものである。

〔発明の実施例〕

第４図にこの発明の一実施例を示す。第４図に
おいて、１は機関に取り付けられ、機関のノツク
を検出するノツクセンサである。２はノツクセン
サ１の出力信号からノツク発生の有無を判別する
ノツク判別部であり、バンドパスフイルタ２１、
ノイズレベル検出器２２、比較器２３により構
成される。バンドパスフイルタ２１の入力はノツ
クセンサ１に接続され、出力は比較器２３の一
方の比較入力及びノイズレベル検出器２２に接続
される。そして、ノイズレベル検出器２２の出力
は比較器２３の他方の比較入力に接続される。
３は点火時期切換判定部であり、遅角制御電圧発
生器３１、比較器３２、フリツプフロツプ３
３、リセツト回路３４により構成される。遅角制
御電圧発生器３１は比較器２３の出力に接続さ
れる。比較器３２は遅角制御電圧発生器３１の
出力電圧を所定の電圧レベルV_THと比較し、その
比較出力はフリツプフロツプ３３のセツト入力に
接続される。また、リセツト回路３４の出力はフ
リツプフロツプ３３のリセツト入力に接続され
る。４は点火時期切換量決定部であり、アナログ
スイツチ４１と関数発生器４２により構成され
る。アナログスイツチ４１の制御入力はフリツプ
フロツプ３３の出力に接続され、関数発生器４２
の出力はアナログゲート４１を経て後述する点火
時期移相器５の遅角制御入力に接続される。９は
圧力センサであり機関の吸気マニホールド圧力を
検出し、機関の運転負荷に応じた電圧を出力す
る。１０は周波数−電圧Ｆ／Ｖ変換器であり、後
述する点火時期移相器５の出力する点火信号を入
力し、その点火信号の周波数を電圧値に変換する
ことにより、機関の回転数に対応した電圧を出力
する。圧力センサ９とＦ／Ｖ変換器１０の出力は
関数発生器４２の入力に接続される。５は点火時
期移相器であり、基準点火時期信号発生器６の出
力する基準点火時期信号を遅角制御電圧発生器３
１の出力電圧とアナログスイツチ４１を経た関数
発生器４２の出力電圧とに従つて遅角移相し、遅
角移相した点火時期を示す点火信号を点火装置７
に出力する。そして、点火装置７は点火コイル８
により機関の点火に必要な高電圧を発生させる。

次に各部の動作を説明する。第５図はノツク判
別部２の各部の動作を示す。ノツクセンサ１は一
般によく知られている振動加速度センサであり、
機関のシリンダブロツク等に取り付けられ、機関
の機械的振動を電気信号に変換し、第５図ａに示
すように振動波信号を出力する。ハンドパスフイ
ルタ２１はノツクセンサ１の出力信号からノツク
特有の周波数成分のみを通過させて、ノツク以外
のノイズ成分を抑圧し、第５図ｂのイに示すよう
にＳ／Ｎの良い信号を出力する。ノイズレベル検
出器２２は例えば半波整流回路、平均化回路、増
幅回路等で構成することができ、バンドパスフイ
ルタ２１の出力信号（第５図ｂのイ）を半波整流
及び平均化により直流電圧レベルに変換し、所定
の増幅度で増幅し、第５図のロに示すようにバン
ドパスプイルタ２１の出力信号（第５図ｂのイ）
のノイズ成分よりは高く、ノツク成分よりは低い
レベルの直流電圧を出力する。比較器２３はバン
ドパスフイルタ２１の出力信号（第５図ｂのイ）
とノイズレベル検出器２２の出力信号（第５図ｂ
のロ）とを比較し、ノツクが発生しない場合（第
５図Ｃ部）にはバンドパスフイルタ２１の出力信
号（第５図ｂのイ）がノイズレレベル検出器２２
の出力信号（第５図ｂのロ）を越えないため何も
出力せず、一方ノツクが発生した場合（第５図Ｄ
部）にはバンドパスフイルタ２１の出力信号（第
５図ｂのイ）がノイズレベル検出器２２の出力信
号（第５図ｂのロ）を越えるため第５図ｃに示す
ようにパルス列を出力する。従つて、比較器２３
の出力からのパルス列（第５図ｃ）の出力有無に
よりノツク発生の判別ができる。

第６図は点火時期切換判定部３の動作を示す。
遅角制御電圧発生器３１は例えば積分回路で構成
することができ、比較器２３から第６図ａのよ
うなパルス列が出力されると、そのパルス列を積
分し、第６図ｂのように出力電圧を上昇させる。
また、比較器２３からパルス列が出力されない
場合には遅角制御電圧発生器３１の出力は所定の
速度で徐々に下降する。すなわち点火時期をノツ
ク限界点まで遅角させる遅角制御電圧をリアルタ
イムに発生する。そして、点火時期移相器５は遅
角制御電圧を入力し、点火時期を遅角制御するこ
とにより即ちにノツク発生を抑制する。

一方、比較器３２は遅角制御電圧発生器３１
の出力する遅角制御電圧がV_TH以上になれば第６
図ｃのように出力を低レベルから高レベルに反転
させる。フリツプフロプツ３３は比較器３２の
出力が高レベル時にセツト（フリツフロツプ３３
の出力が高レベルになる）され、リセツト回路３
４の出力が低レベル時にセツト（フリツプロツプ
３３の出力が低レベルになる）される。リセツト
回路３４は例えば機関の始動時に高レベルのパル
スを出力するものであり、第６図ｄにリセツト回
路３４の出力パルスを示す。また、第６図ｅにフ
リツプフロツプ３３の出力動作を示す。まず、機
関の始動時にフリツプフロツプ３３はリセツト回
路３４によりリセツトされ、出力が低レベルにな
る。つまり、運転モードを切換えないモード（プ
レミアムガソリンモード）になる。そして、比較
器３２の出力が第６図ｃのように高レベルを出
力すると、フリツプフロツプ３３の出力は高レベ
ルに切換わる。つまり、基準点火時期を切換える
モード（レギユラガソリンモード）になる。それ
以降は機関が停止するまでレギユラガソリンモー
ドが保持される。なお、当然のことなから比較器
３２の出力が機関の始動以降に高レベルを出力
しない場合にはフリツプフロツプ３３の出力は低
レベル（プレミアムガソリンモード）のままであ
る。

上述のように点火時期切換判定部３は遅角制御
電圧発生器３１の出力電圧から使用ガソリンがレ
ギユラガソリンであるかプレミアムガソリンであ
るかを判定し、判定結果を記憶するものである。

点火時期切換量決定部４は機関の運転状態から
点火時期切換量を決定し、点火時期切換判定部３
の判定結果に従つて点火時期切換のための電圧を
点火時期移相器５に出力するものである。関数発
生器４２は圧力センサ９とＦ／Ｖ変換器１０の出
力電圧により第７図と第８図に示すように機関の
負荷（第７図）及び回転数（第８図）に対して、
第２図と第３図の特性から得られる所定の関数に
対応する電圧をそれぞれ発生し、それらを加算し
た電圧を出力する。そして、フリツプフロツプ３
３の出力が高レベル（レギユラガソリンモード）
時にはアナログスイツチ４１がONモードにな
り、関数発生器４２の出力電圧が点火時期移相器
５に入力される。フリツプフロツプ３３の出力が
低レベル（プレミアムガソリンモード）時にはア
ナログスイツチ４１がOFFモードになり、点火
時期移相器５には何も入力されにない。

そして、点火時期移相器５はアナログスイツチ
４１を経た関数発生器４２の出力電圧と前述の遅
角制御電圧発生器３１の出力電圧とに従つて、基
準点火時期信号発生器６の出力する基準点火時期
信号を遅角側に移相制御し、ガソリンの種類に対
応した最適な点火時期特性の点火信号を出力す
る。この点火時期移相器５については点火時期制
御装置において周知の技術であり、ここでは説明
を省略する。ここで、基準点火時期信号発生器６
は機関の運転状態、つまり回転数や負荷によつて
設定された基準点火時期信号を出力する。この基
準点火時期特性は例えばデイストビユータの遠心
ガバナや圧力ダイヤフラムの動作特性で形定さ
れ、あるいは電子進角制御装置においてはメモリ
に記憶される。

〔発明の効果〕

以上説明したとおり、本発明によればレギユラ
ガソリンとプレミアムガソリンとを転換使用する
場合、ノツクセンサにてノツクを検出し、ノツク
発生の検出量から使用ガソリンがレギユラガソリ
ンであるか、プレミアムガソリンであるかを判定
し、その判定結果により基準の点火時期特性をレ
ギユラガソインを用あるいはプレミアムガソリン
用に自動的に切換えることができるという効果が
ある。

又、ノツクセンサ出力により決定される遅角制
御量によつて点火時期をフイードバツク制御して
いるため、上記の基準点火時期の切替制御だけで
は抑制できない様々なノツク発生要因によるノツ
ク発生に対しても応答性良く抑制でき、しかもこ
の際、上記基準点火時期が燃料のオクタン価に対
応して変更されているため遅角制御量によるフイ
ードバツク制御幅は小さくても点火時期は最適に
制御できる。

さらに、機関の運転状態に応じて点火時期の切
換量を設定することによりレギユラガソリン用あ
るいはプレミアムガソリン用に最適な点火時期特
性を得ることが可能になるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は機関の点火時期一出力軸トルク特性
図、第２図及び第３図はそれぞれ機関の回転数と
負荷に対する点火時期特性図、第４図は本発明の
実施例を示すブロツク構成図、第５図と第６図は
第４図の実施例における動作説明図、第７図と第
８図はそれぞれ機関の負荷と回転数に対する関数
発生器４２の出力電圧特性図であり、第４図にお
いて１はノツクセンサ、２はノツク判別部、３は
点火時期切換判定部、４は点火時期切換量決定
部、５は点火時期移相器、６は基準点火時期信号
発生器、７は点火装置、８は点火コイル、９は圧
力センサ、１０はＦ／Ｖ変換器である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内燃機関のノツチを検出するノツクセンサ
   １、ノツクセンサの出力からノツク発生の有無を
   判別するノツク判別手段２、ノツク判別手段の出
   力からノツク発生を抑制するための点火時期遅角
   制御量を決定する遅角制御量決定手段３１、この
   遅角制御量決定手段の出力値に応じて点火時期を
   遅角制御する遅角制御手段５、上記遅角制御量決
   定手段の出力値から基準の点火時期切換の要否を
   判定する基準点火時期切換判定手段３、基準点火
   時期切換判定手段の出力に従つて基準点火時期を
   切り換える基準点火時期切換手段５、及び機関の
   運転状態に応じて上記基準点火時期切換手段によ
   る基準点火時期の切換量を変更制御する手段４を
   備えた内燃機関の点火時期制御装置。