JPH0470235B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明はエレベータの主ロープ掛け工法、特に
エレベータの据付時における足場なし据付工法に
最適なエレベータの主ロープ掛け工法に関するも
のである。

＜従来の技術＞ エレベータの据付に際しては、昇降路内におい
て一端につり合い重りを連結した主ロープを、昇
降路上端部の機械室に配設された巻上機のシーブ
に巻回し、主ロープの他端を昇降路下端部に配さ
れたかご側に送り込んで、主ロープとかごとを連
結する主ロープ掛け作業が必要である。

この主ロープ掛け作業を行なう場合に、昇降路
内に足場を組むことなしにかごに対して主ロープ
を連結する工法として従来用いられている主ロー
プ掛け工法は、第２図に示すようなものであつ
た。

この従来の主ロープ掛け工法では、昇降路１の
上端部の機械室５に配設される巻上機のシーブ６
に主ロープ７が巻回される。この主ロープ７の一
端には、昇降路１の下端部において、つり合い重
り４が連結されている。

一方、前述のつり合い重り４には吊り上げロー
プ１１の一端が連結され、吊り上げロープ１１は
昇降路１内を上方に延長され、機械室５に設けら
れているそらせ車１５に巻回されて、昇降路１内
を下方に延長される。

このようにして昇降路１内を下方に延長された
吊り上げロープ１１は、昇降路１内に設けられて
いるそらせ車１６に巻回されて昇降路１外に導出
される。昇降路１外に導出された吊り上げロープ
１１の他端側はウインチ１０に巻き付けられる。
このウインチ１０は、昇降路１の下端部に配され
るかご２の上部に組立てられる作業床３とほぼ同
一高さに据付けられている。

また、巻上機のシーブ６に巻回された前述せる
主ロープ７の他端には、主ロープ７をかご２に連
結させるための重り８が取り付けられている。

前述の設定現場において、ウインチ１０の操作
を行なう作業者１２をウインチ１０のそばに配置
させ、主ロープ７の送り込みを行なう作業者１３
を機械室５内に配置させる。

作業者１２がウインチ１０を操作して吊り上げ
ロープの他端側を巻き取ると、主ロープ７の一端
側、つり合い重り４及び吊り上げロープ１１の一
端側で構成される吊り上げ系が、昇降路１内を上
方に移動する。この移動によつて巻上機のシーブ
６に巻回されている主ロープ７がたるむので、機
械室５内の作業員１３は、前述せる吊り上げ系の
移動距離に対応して主ロープ７を、かご２に対し
て送り込む。

このようにして、作業員１２によるウインチ１
０の操作と、機械室５内の作業員１３による主ロ
ープ７の送り込み操作とのタイミングを合せるこ
とにより、主ロープ７の他端を昇降路１内で他部
分に衝突させたり、他部分に絡ませたりすること
なしにかご２に近付けて、最終的には主ロープ７
をかご２と連結させることが出来る。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 前述せる従来の主ロープ掛け工法では、昇降路
１の下端部の近くでウインチ１０を操作する作業
者１２と、機械室５内で主ロープ７の送り込みを
する作業者１３との２名の作業者が必要であつ
て、人件費が嵩む。

また、作業者１２によるウインチ１０の巻付け
作業と、機械室５内における作業者１３による主
ロープ７の送り込み作業をタイミングを取つて同
時に行なう必要があり、作業も複雑で熟練を要す
る。さらに、作業者１３は狭い機械室５内で身を
屈めて作業をしなくてはならず、しかも機械室５
が昇降路１の上端部にあるために作業の危険性が
大きい。

本発明は前述せるようなエレベータの主ロープ
掛け工法の現状に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は１名の作業者で安全且つ容易にかごに対
して主ロープを連結させることが出来るエレベー
タの主ロープ掛け工法を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 前述せる問題点を解決するために、本発明では
昇降路上端部の機械室に配設される巻上機のシー
ブに主ロープを巻回し、該主ロープの一端に前記
昇降路下端部においてつり合い重りを連結し、該
つり合い重りに吊り上げロープの一端を連結し、
該吊り上げロープの他端側をウインチで巻き取る
ことにより、前記主ロープの一端側、前記つり合
い重り及び前記吊り上げロープの一端側で構成さ
れる吊り上げ系を吊り上げ移動させ、該吊り上げ
移動の距離に対応して前記主ロープの他端を前記
昇降路下端部に配されたかごに対して送り込んで
前記かごに連結する、据付時におけるエレベータ
の主ロープ掛け工法において、前記昇降路内にお
いて前記かごの上方に仮設プーリを配設し、前記
主ロープの他端に仮設ロープの一端を連結し、該
仮設ロープの他端を前記仮設プーリを巻回経由し
て前記吊り上げ系に連結させ、前記ウインチの巻
き取りによる前記吊り上げ系の吊り上げ移動の距
離に対応して、前記仮設プーリを介して前記仮設
ロープが移動することにより、前記主ロープの他
端を前記かごに接近させて連結するような構成を
とつている。

＜作用＞ 本発明では、ウインチを作業者が操作すること
によつて、吊り上げロープが巻き取られて吊り上
げ系が昇降路を上方に移動する。そして、この吊
り上げ系の上方への移動に対応して、仮設プーリ
を介して仮設ロープが主ロープとの連結側で引き
下げられる。

このようにして、ウインチの巻き取り距離に対
応して巻上機のシーブに巻回されている主ロープ
が、自動的に引き下げられるので１名の作業者に
よつて安全且つ容易に据付時におけるエレベータ
の主ロープ掛け作業を行なうことが出来る。

＜実施例＞ 以下に本発明の実施例を第１図に用いて、詳細
に説明する。

ここで第１図は本発明の実施例の構成を示す側
面説明図であり、第２図と同一部分には同一符号
が付されている。

第１図に示すように、本発明の実施例では第２
図に示す従来のエレベータの主ロープ掛け工法に
対して、かご２の上部に組立てられる作業床３に
仮設プーリ１４を固定配設し、この仮設プーリ１
４に仮設ロープ１７を巻回させる。

このようして、仮設プーリ１４に巻回させた仮
設ロープ１７の一端は、主ロープ７の重り８が取
り付けられている他端に連結される。また、仮設
ロープ１７の他端は、主ロープ７のつり合い重り
４が取り付けられている一端に連結される。

このような設定状態において、本発明の実施例
では、ウインチ１０を操作する１名の作業者１２
のみで、エレベータの主ロープ掛け作業が行なわ
れる。

即ち、作業者１２がウインチ１０を操作して吊
り上げロープ１１の他端側を巻き取ると、吊り上
げロープ１１の１端はつり合い重り４を昇降路１
内を上方に引き上げ移動させる。

第１図で実線で示す位置から二点鎖線で示す位
置につり合い重り４が上昇すると、仮設ロープ１
７も実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に上
方に引き上げられる。また、この引き上げ移動に
よつて、主ロープ７の他端は引き下げられて重り
８は実線で示す位置から、二点鎖線で示す位置に
移動する。

この場合、作業床３上における仮設プーリ１４
の取り付け位置、つり合い重り４に対する重り８
の重量比を選定することにより、ウインチ１０の
巻取り操作で主ロープ７は円滑に降下して、かご
２の所定位置に到達する。

この状態で、作業者１２はウインチ１０のロツ
ク状態とし、作業床３上において主ロープ７とか
ご２との連結作業を行なうことが出来る。

このようにして、本発明の実施例においては、
危険な機械室５内に作業者を配置することなし
に、１名の作業者１２によつて安全且つ容易に、
エレベータの据付時における主ロープ７とかご２
との連結作業を行なうことが出来る。

実施例においては、仮設ロープの他端を主ロー
プのつり合い重りが取り付けられている一端に連
結した構成のものを説明したが、本発明の構成は
実施例のものに限定されものでなく、仮設ロープ
の他端がつり合い重り、吊り上げロープの一端側
及び主ロープの一端側よりなる吊り上げ系に連結
された各種の構成をとることが出来る。

従つて例えば、仮設ロープの他端をつり合い重
りに連結した構成のもの、或は仮設ロープの他端
を吊り上げロープの一端側に連結した構成のもの
とすることが出来る。

＜発明の効果＞ 以上詳細に説明したように、本発明によると１
名の作業者による簡単で安全な作業により、工事
費用を大幅に削減して据付時における主ロープと
かごの連結作業を行なわせることが可能な、エレ
ベータの主ロープ掛け工法を提供することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の構成を示す側面説明
図、第２図は従来のエレベータの主ロープ掛け工
法の構成を示す側面説明図である。 １……昇降路、２……かご、３……作業床、４
……つり合い重り、５……機械室、６……シー
ブ、７……主ロープ、８……重り、１０……ウイ
ンチ、１１……吊り上げロープ、１２，１３……
作業者、１４……仮設プーリ、１５，１６……そ
らせ車、１７……仮設ロープ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 昇降路上端部の機械室に配設される巻上機の
   シーブに主ロープを巻回し、該主ロープの一端に
   前記昇降路下端部においてつり合い重りを連結
   し、該つり合い重りに吊り上げロープの一端を連
   結し、該吊り上げロープの他端側をウインチで巻
   き取ることにより、前記主ロープの一端側、前記
   つり合い重り及び前記吊り上げロープの一端側で
   構成される吊り上げ系を吊り上げ移動させ、該吊
   り上げ移動の距離に対応して前記主ロープの他端
   を前記昇降路下端部に配されたかごに対して送り
   込んで前記かごに連結する、据付時におけるエレ
   ベータの主ロープ掛け工法において、前記昇降路
   内において前記かごの上方に仮設プーリを配設
   し、前記主ロープの他端に仮設ロープの一端を連
   結し、該仮設ロープの他端を前記仮設プーリの巻
   回経由して前記吊り上げ系に連結させ、前記ウイ
   ンチの巻き取りによる前記吊り上げ系の吊り上げ
   移動の距離に対応して、前記仮設プーリを介して
   前記仮設ロープが移動することにより、前記主ロ
   ープの他端を前記かごに接近させて連結すること
   を特徴とするエレベータの主ロープ掛け工法。