JPH0459367B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（技術分野） 本発明は誘導加熱装置に係り、とくに断面の形
状が丸材、扁平材などで所定の長さを有する被加
熱材の端部を連続的に加熱する誘導加熱装置に関
する。 （従来技術） 所定の長さと断面を有する被加熱材、例えば丸
棒状金属材、扁平金属板等の端部を加熱する手段
として誘導加熱装置が使用されるが、従来の装置
は被加熱材を加熱するための搬送装置が複雑で、
コストアツプとなり、またコイル効果が悪いとい
う欠点があつた。 従来の誘導加熱装置を第１図〜第３図を参照し
て説明すると次のとおりである。各図において、
１は誘導加熱用のコイル、２は例えば金属丸棒の
ごとき所定長さの被加熱材である。図ので示す
矢印は被加熱材２が移動しながら送られている方
向を示している。 第１図の誘導加熱装置はいわゆるオープンタイ
プと呼ばれるもので、同図ＡおよびＢに示すよう
にコイル１が被加熱材２を挾んで上下平行に配設
され、かつ被加熱材の軸線方向と直交するように
配設してある。このオープンタイプによると、図
から判るようにコイル１は被加熱材２が一方向に
連続移動するのを妨げないように配設してあるの
で、被加熱材２の搬送装置は、シンプルかつ安価
にできるが、コイル１内に位置する被加熱材２の
占積率が小さくなり、そのためコイル効果が悪い
という欠点がある。 第２図はいわゆるセミオープンタイプと呼ばれ
るもので、この場合も第１図のオープンタイプに
近い程度にコイル効果が悪いだけでなく、同図Ｂ
から判るようにコイル１の一部は被加熱材２の一
方向の移動を妨げるところに位置しているので、
図のように被加熱材２を横方向のみならず軸方向
にも移動させることが必要となり、このため搬送
装置が複雑かつコスト高となるという欠点があ
る。 上記搬送装置を簡単にし、かつコイル効率を高
くするには、第３図のような構成になるが、この
場合は、被加熱材２がライン上を横方向に流れる
途中において、ラインから外れた位置にある各誘
導加熱のコイル１を被加熱材２の端部の位置まで
出し入れする移動機構が余分に必要となり、全体
的にみて決して構成が簡単になるとは云えない。
このように、従来の誘導加熱装置のいずれにもそ
れぞれ一長一短があり、必ずしも満足できるもの
ではなかつた。 （発明の目的） 本発明は上記従来の欠点を改良したもので、被
加熱材の搬送機構は、従来のオープンタイプと同
様簡単な一方向の送り機構ですみ、しかもコイル
効率が従来に比べて著るしく高く、よつて設備コ
スト及びランニングコストが高周波に比べて安く
てすむ中周波を使用できる誘導加熱装置を提供す
ることを目的とする。 （発明の概要） 上記目的を達成するため本発明に係る誘導加熱
装置は、所定の長さを有する適宜断面形状の被加
熱材の端部を上下側から挾み、かつ被加熱材の軸
方向と平行するコイル導体部分からなる誘導加熱
コイルを相対向して設け、この相対する各コイル
導体に流れる電流の方向を同一とすることにより
被加熱材の軸方向と直交する磁束を形成して、該
被加熱材の端部を誘導加熱することを第１の特徴
とする。 また、上記の被加熱材とコイルとの位置関係
は、被加熱材の断面の中央部に磁極を形成し、被
加熱材の磁極を挾んだ両端部に誘起２次電流通路
を形成して発熱させることを第２の特徴とする。 さらに、上記被加熱材とコイルとの位置を被加
熱材の断面に複数の磁極を形成し、被加熱材の端
部の各磁極を挾んだ部分に夫々の誘起２次電流通
路を形成して発熱させるようにしたことを第３の
特徴とする。 （実施例） 以下本発明の実施例を第４図〜第７図を参照し
て説明する。 図において、コイル１は扁平な角筒状で、内部
に冷却水孔３を有し被加熱材の軸方向と平行な導
体１ａの外側にコ字状断面の鉄心１ｂを積層した
部分と連結部の導体１ｃで構成される。このコイ
ル１は図に示すように被加熱材２の両側を挾んで
平行に相対して配設されたコイル１と１とからな
る。各コイル１，１はそれぞれ平面上に配設され
ており、したがつて、被加熱材２が連続的に一方
向に移送されていくのを遮えぎるコイル導体はな
く、したがつて被加熱材２は一方向に連続して移
送できる。さらに、コイル１は、被加熱材２の軸
方向に平行に設け、かつ相対するコイル導体１
ａ，１ａに流れる電流の方向を同一とすることに
より、任意長さの被加熱材２の軸方向と直交する
磁束を形成するように設けている。 第４図、第５図には、それぞれ丸材及び扁平材
の２種の被加熱材２，２のピツチとボールピツチ
Ｓを同じに合せることにより被加熱材２の断面の
中央部に被加熱材２の軸方向に直交する磁極を形
成し、磁極を挾んだ両端部に電流通路を形成し発
熱させるコイル１と被加熱材２との配置関係及び
電流の流れる方向を示している。 被加熱材２を挾んで相対向して配設するコイル
導体１ａ，１ａは任意の複数列だけ配設するがよ
く、一方それに合せて被加熱材２がボールピツチ
Ｓと等しい間隔で複数個配設され、この複数の被
加熱材２は、これらが一組をなして、多数組の被
加熱材２が連続してコイル導体１ａのボールピツ
チまたはその整数倍ごとに間欠移送されながら加
熱処理されるのである。 被加熱材２とコイル導体１ａの関係は、上述の
ように該被加熱材２の中央部に磁極を形成してお
り、これにより、コイル効果が最もよいが、これ
に限定されるものではなく、磁極が被加熱材２の
一部にかかつていればもちろん誘導加熱される。 つぎに、第７図は異形の被加熱材２の一例とし
て中央部が突出して肉厚部となつている偏平材と
コイル導体１ａとの配置関係を示している。すな
わち、この場合は磁極中心を異形位置、つまり肉
厚部からずらすように配置する。前述の関係は第
７図Ａ，Ｂに示すようにコイル導体１ａの幅を大
小に変えて配置するか、または第７図Ｃに示すよ
うにコイル導体１ａの間の配置を適当に選択する
ことによつて実現することができる。 上記第７図の場合は、被加熱材２のピツチはボ
ールピツチの２倍の関係であり、被加熱材中の誘
起電流の通路を有効に設けるため肉厚の厚い部分
と磁極センターとはなるべく、≧Δ／２（但
し、は肉厚部の中心と磁極中心間の距離、Δ
は電流の滲透深さである。）の関係が成立するよ
うにずらすことが望ましい。このように被加熱材
２とコイル導体１ａを配置すると、コイル電流と
被加熱材２に誘起される２次電流は第７図Ｂ，Ｃ
のように流れ、図から分るように異形被加熱材２
の肉厚部はより多くの電流が流れ、したがつて肉
厚部もその両側の肉薄部と均等に加熱される。 なお、上記においては異形の被加熱材２の一例
として、偏平金属材の中央部が肉厚部となつた例
を示し、それに対応したコイル導体１ａの配置例
を示したが、異形の被加熱材２は上記構造のもの
に限定されず、それ以外、例えば肉厚部が中央部
から外れた位置にあるような断面形状のものであ
つてよく、この場合は、その断面形状に対応して
コイル導体１ａの配置間隔を変え、肉厚部も均等
に加熱されるように配慮するものである。 しかして、例えば第２図に示す従来のオープン
タイプの誘導加熱装置と本発明に係る装置とのト
ータル効率を比較すると次のようになる。 すなわち、被加熱材２として、幅ｂ、厚さａの
フラツトバーまたはa〓の丸バーにおいて、上記従
来の加熱方式によると、誘起電流は被加熱材の断
面は流れるので ａ≧2.5Δ ≧158ρ／μa² （lx，μ（透磁率）＝１、ρ（比抵抗値）＝100、
ａ＝0.6cm（周波数）≧43889Hz） と高い周波数となり、トータル効率＝0.336 （変換効率＝0.6、伝送効率＝0.8、コイル効率
＝0.7）となる。 これに対して、本発明の誘導加熱装置による場
合は、誘起電流は被加熱材の軸方向に沿つて流れ
るので加熱のための周波数として中間波（例えば
50〜20000Hz）を使用できるので、変換効率、お
よび伝送効率が格段に良くなることなどから、ト
ータル効率＝0.737（変換効率＝0.97、伝送効率＝
0.95、コイル効率＝0.8）と高くできるのでその
ランニングコストは従来の高周波数を用いた装置
に比べ1/2以下にすることができる。 （発明の効果） 以上の通りであり、本発明に係る誘導加熱装置
によると、被加熱材を挾んで相対峙するコイルは
互に上下側に分離した構成であつて、被加熱材を
連続的に移送する方向に、その移送を妨げるコイ
ルが位置することがないので、被加熱材の搬送機
構は単なる横送り機構で材料の端部を揃えるのみ
の簡単な機構を使うことができ、装置のコストダ
ウンが図れる。また、相対するコイルが互に分離
しているので、その間隔を自在に調整することが
できて、被加熱材の径の変化に対しても容易に適
応することができる。 しかも、上記コイルは、被加熱材の軸方向に対
して平行に配置し、直交磁束を形成するように設
けたので、前述の通り高周波でなく中周波を使用
して誘導加熱することが可能となり、従来に比べ
てコイルのトータル効率が向上し、したがつて従
来の高周波に比べて設備コスト、ランニングコス
トを著るしく低廉ならしめることができる。 因みに、本発明の装置と従来装置との比較例を
示すと下表のようになる。

【表】 本発明は従来装置に比べ上記のような諸効果を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂ、第２図Ａ，Ｂ、第３図Ａ，Ｂは
それぞれ従来の誘導加熱装置の平面図と斜視図、
第４図Ａと第５図は本発明に係る誘導加熱装置の
説明図、第４図Ｂは斜視図、第６図はコイル導体
の詳細を示す斜視図、第７図Ａ，Ｂは他の実施例
の説明図と斜視図、第７図Ｃはさらに別の実施例
の斜視図である。 １…コイル、１ａ…コイル導体、２…被加熱
材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定の長さを有する棒材条材等の被加熱材の
   端部を上下側から挾み、かつ被加熱材の軸方向と
   平行するコイル導体部分からなる誘導加熱コイル
   を相対向して設け、この相対向する各コイル導体
   に流れる電流の方向を同一として被加熱材の軸方
   向と直交する磁束を形成することを特徴とする誘
   導加熱装置。 ２ 上記コイル導体は、被加熱材の断面の中央部
   に磁極が形成されるよう所定の間隔を隔てて配設
   したことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記
   載の誘導加熱装置。 ３ 上記コイル導体は被加熱材の断面に複数の磁
   極が形成されるように所定の間隔を隔てて配置し
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の誘導加熱装置。