JPH0453507B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規なシガレツトフイルターに関する
ものであり、詳しくは、喫煙者に濃厚な香喫味を
与えながら、タール、ニコチン成分の流出を低減
させるシガレツトフイルターに関するものであ
る。 喫煙が健康に及ぼす有害性は従来から論議され
ており、そのため、シガレツトにフイルターを付
け、喫煙時の口腔中への煙成分の流出（デリバリ
ーと称す）を低減させることが、一般に行われて
いるが、近年さらにタール、ニコチンのデリバリ
ーを減少させたたばこに対する要求が高まつてき
ている。 タール、ニコチンのデリバリーを減少させる最
も簡単な方法は、トウの充填密度を高くして高通
気抵抗フイルターを装着するか、或は繊維（以下
フイラメントと称す）の断面積を小さくしたり、
断面形状を変えたりして単位重量あたりの表面積
を増やし、高濾過効率のフイルターを装着するこ
とで達成できるが、この方法でタール、ニコチン
を物理的に除去できるとしても、喫いずらく、か
つ喫味の異なつたフイルターになつてしまう。ま
た別の手段としてフイルターの外周に小さな通気
孔（ベント孔と称す）を設け、喫煙時の煙をベン
ト孔からの空気で希釈し、タール、ニコチンのデ
リバリーを減少させることも行われているが、単
にたばこ煙を希釈するだけでは、たばこの持つ本
来の味が薄められる香喫味が損なわれる。 特に、空気希釈の場合、ニコチンの成分の低減
が選択的に大きくなり、香喫味のバランスを崩す
傾向がある。 一方、フイルターの中央部に中空管を配置し、
フイルター中心部の通気抵抗を減少させることに
より、周辺部は希薄な煙を、中心部は濃厚な煙を
流出させるようにして、全体としてのデリバリー
を低減しながら、喫煙者の味覚を満足させるよう
な構造のフイルターが、いくつか提案されてい
る。例えば特開昭57−132872号公報に開示された
ものは、フイルタープラグの周縁部にベント孔を
介して外部と連通するフイルタープラグの長さ方
向に延びる溝が設けられ、フイルタープラグの中
央部に中空管を配置しているが、この場合、溝を
介して空気は喫煙者の口腔に入り、中空管にはた
ばこの煙が集まり、濃縮された煙が喫煙者の口腔
に入るようになつている。ベント孔から流入した
空気はフイルター内で煙と混合することなく直接
口腔に達し、これでは煙が単に空気で希釈される
だけであり、やはり香喫味のバランスを損じる傾
向がある。 発明者は、上述の問題点につき鋭意研究の結
果、フイルターをデユアル構造にすることによ
り、中空管配置、ベント孔併用フイルターであり
ながら、トータルのタール及びニコチンの流出量
を減少させると同時に、タールデリバリーの減少
率を香喫味成分であるニコチンのそれよりも大き
くさせ、喫味のよいフイルターの開発に成功し
た。 即ち、本発明は、たばこ部側繊維束と、たばこ
部側繊維束の吸口側に設けられ、たばこ部側繊維
束の繊維よりも太い繊維からなる吸口側繊維束
と、吸口側繊維束の中央に配設される空気不透過
材質の中空管と、たばこ部側繊維束と吸口側繊維
束とを包む空気不透過性の外装部材のたばこ部側
繊維束の部位に設けれたベント孔とを具備したこ
とを特徴とするシガレツトフイルターに関するも
のである。 本発明の実施に使用する繊維束は、現在市販の
フイルター付きシガレツトのフイルターに使用さ
れているセルロースアセテート繊維が特に適して
いる。 中空管としては塩化ビニール樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性プラス
チツクが有利に使用できる。 尚、中空管を吸口側繊維束の中央に配置するに
は、例えば、特開昭54−37900号公報に記載され
ているように開繊された捲縮連続トウに可塑剤を
施し、ラツパ状のガイドへ送り集束する際に、ト
ウを巻き締め成型部に受け入れる押さえ蓋と前記
ガイド部との間に、設けた中空管挿入ガイドから
中空管をトウの流れの中心に挿入して巻紙で巻き
締める方法がある。 繊維束のみからなるフイルター部の製造時の一
次ラツパー、及び所定の寸法に切断された吸口側
繊維束中央に中空管を配置したフイルター部と繊
維束のみからなるフイルター部を連結包巻する二
次ラツパーはいずれも空気透過性の良好な紙を用
い、最後にフイルター部分とたばこ部分を連結す
る最外層ラツパーは空気不透過性のチツプペーパ
ーを用いる。この際繊維のみからなるフイルター
部上にベント孔が位置するようにあらかじめ孔あ
けしたチツプペーパーグを用いるが、ベント孔の
ないチツプペーパーで包巻した後に繊維束のみか
らなるフイルター部上に穿孔してもよい。 以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。第１図は本発明のフイルターを用いたフイル
ター付きシガレツトの断面図、第２図は比較実験
に使用した市販のフイルター付きシガレツトの断
面図である。 第１図において、Ａは吸口側繊維束２中央に中
空管１を配置したフイルター部分、Ｂはたばこ部
側繊維束６のみからなるフイルター部分、７はた
ばこ部側繊維束６の部位に設けられたベント孔を
示す。Ｃはたばこ部分である。３は多孔紙で一次
ラツパーであり、吸口側繊維束２及びたばこ部側
繊維束６をそれぞれ巻包む。４は多孔紙の二次ラ
ツパーで、フイルター部分Ａ，Ｂを連結巻包す
る。５は外周被覆紙で空気不透過性の外装部材と
してのチツプペーパーであり、たばこ部分Ｃとフ
イルター部分Ａ，Ｂを連結巻包する。 第３図は本発明のフイルターを用いたシガレツ
ト喫煙時の空気及び煙の流れ方を模式的に示した
ものである。 たばこ部Ｃの先端から流入する空気ａ及びたば
こ部Ｃの巻紙８を通して流入する空気ｂと共に、
たばこ部Ｃから喫煙者の口腔へ向けて流れるたば
こ煙はフイルター部Ｂを通過する際、ベント孔７
から流入する希釈空気Ｃと部分的に合流しその影
響をうけ、たばこ部側繊維束６長手方向に対して
斜に横断する部分を生じる。またフイルター部分
Ａは中空管１内部がその周辺よりも格段に通気抵
抗が小さいのでフイルター部分Ｂにおける中央部
の煙は中央に集まり、中空管１を経て口腔に達す
る。フイルター部分Ｂにおける周辺部の煙はフイ
ルター部分Ａにおける周辺の吸口側繊維束２を通
過して口腔に達する。この結果、フイルター部分
Ａからは、中央部に濾過の程度が低く、濃厚な味
の煙ｄが、周辺部に濾過の程度が高い煙ｄが喫煙
者の口腔に流入する。これにより喫煙者の香喫味
に対する要求を満足させながら、全体として、タ
ール、ニコチンの流出を少なくすることができ
る。 本発明のフイルターにおいて、タール、ニコチ
ンの濾過の大部分は、フイルター部分Ｂにおいて
行われる。現行市販の標準的なフイルター付きシ
ガレツトのフイルターチツプの長さが17mmである
ことを考慮するとフイルター部分Ｂの長さは５〜
15mmが適当である。 一方フイルター部分Ａの長さは、10〜20mmが適
当であり、フイルターチツプ全体の長さは15〜35
mmが適当である。またフイルター部分Ａに設置す
る中空管１は内径0.3〜3.5mmが適当である。この
範囲より小さい内径の中空管１では、充分な煙量
が管内を通過しないので香喫味が充分でなく、径
が大きすぎるとフイルター全体の濾過機能が低く
なる。 本発明のフイルターを喫煙に使用後分解してみ
るとフイルター部分Ｂのほかフイルター部分Ａと
フイルター部分Ｂの境界に多くのタールが吸着さ
れ、また中空管１内部にも沈着している。本発明
のフイルターの特徴は、ニコチンデリバリーに対
するタールデリバリー比の小いことであるが、上
記のようなタール沈着機構が関与しているものと
考えられる。 本発明のフイルターにおいて、フイルター部分
Ａのフイラメントはフイルター部分Ｂのフイラメ
ントよりも太いフイラメント（好ましくは1.5デ
ニール以上離れたフイラメント）を使用しなけれ
ばならない。この理由はフイルター部分Ａ，Ｂを
単にトウの充填密度を変えることにより通気抵抗
を調節しただけでは、流出量の絶対値の減少は達
成されるが、香喫味の点（ニコチン／タール比）
で問題がある。 即ちフイルター部分Ａのフイラメントがフイル
ター部分Ｂと同じか、より細かいフイラメントで
あると、中空管１内部に煙が集まりすぎ、徒らに
刺激が強くなり、異和感を生じる。フイルター部
分Ａのフイラメントが、フイルター部分Ｂよりも
太いフイラメントであることにより、フイルター
部分Ａの周辺フイラメント部分にも煙が流入し、
さらに濾過されて口腔に達し中空管１内部に煙ｄ
が集中しすぎるための弊害を除くことができる。 実施例及び比較例 実施例として断面形状Ｙ型、４デニールのフイ
ラメントを束ねたトータルデニール43000デニー
ルのセルロースアセテート捲縮繊維束をフイルタ
ー部分Ａの吸口側繊維束２に用い、塩化ビニール
樹脂製中空管１（内径１mm．２mm．３mm）を用
い、中空管１を中央に配置したフイルタープラグ
を作成し、長さ15mmに切断した。また断面形状Ｙ
型、2.2デニールの太さのフイラメントを束ねた
トータルデニール40000デニールのセルロースア
セテート捲縮繊維束をフイルター部分Ｂのたばこ
部側繊維束６に用い、通常の方法で均質構造のフ
イルタープラグを作成し、長さ10mmに切断した。
この両者を多孔紙４で接合した後市販のたばこの
巻紙８で巻かれたたばこ部分Ｃをチツプペーパー
５を用いて接合し、フイルター部分Ｂにベント孔
７を穿孔し、ベント孔７は針で６ケ所設置した。 上記の方法で作成したフイルター付きシガレツ
トを用いて、喫味試験を行いフイルターの濾過特
性及び香喫味評価を行つた。尚、比較例として第
２図に示すように、断面形状Ｙ型で４デニールの
フイラメントを束ねトータルデニール43000デニ
ールの繊維束６で25mmの多孔紙３で包まれたフイ
ルター部Ｄを作成し、実施例と同様に巻紙８で包
まれた市販のたばこのたばこＥをフイルター部Ｄ
にベント孔のないチツプペーパー５で接続したも
のを用いて喫味試験を行い、フイルターの濾過特
性及び香喫味評価を測定した。尚、トータルデニ
ール43000デニールは、フイラメント（４デニー
ル）×10750本である。 上記喫味試験は、実開昭56−31326号公報記載
のベンチレーシヨンメーターを用いて行い希釈率
を測定した。このベンチレーシヨンメーターは、
円筒状のホルダの試料のたばこを収納し、たばこ
の吸口から17.5ml／SECの空気量を吸引し、トツ
プ（たばこ先端をいう）、カラム（たばこの巻上
げ部分をいう）、フイルター側面からたばこ内部
への流入空気量を測定する。 その結果を第１表に示す。

【表】 第１表において、測定項目の定義及び測定方法
は次の通りである。 空気流入量（％）：吸口部で17.5ml／secからの流
速になるよう吸引した時、ト
ツプからの流入空気ａ、カラ
ムからの流入空気ｂ、ベント
孔７より流入する空気ｃの空
気量の割合を％で示した。 通気抵抗：流速17.5ml／secで吸引した時のフイ
ルター部分Ａ及びＢを通しての通気抵
抗を水柱計の目盛をもつて表示した。 タール、ニコチン、デリバリー量：定流量定時間
型自動喫煙器
により、流量
17.5ml／sec
吸煙回数毎分
１回、１回の
喫煙時間２秒
間（35ml）、
喫煙長50mmの
条件で自動喫
煙させ、フイ
ルターを通過
した煙中のタ
ール及びニコ
チンをガラス
繊維濾紙（ケ
ンブリツジ・
フイルター）
で補集し、タ
ール量は重量
法で、ニコチ
ン量は液体ク
ロマトグラフ
で測定した。 タール、ニコチン、濾過率：上記の方法で、フイ
ルターで補集された
タール、ニコチン量
及びケンブリツジフ
イルターで補集され
たタール、ニコチン
量を測定し次式で算
出した。 濾過率（％）＝たばこフイルター中に補集された量／
ケンブリツジフイルター中に補集された量＋たばこフイ
ルター中に補集された量×100 ニコチン／タール比（デリバリー）：ケンブリツ
ジフイルタ
ーで補集さ
れた同一サ
ンプルのタ
ール及びニ
コチン量を
重量比で示
した。 上記特性値はそれぞれ別個の試料を用いた３回
の測定の平均値である。 本発明のフイルターを用いた場合のタール、ニ
コチン濾過率は、比較例のものに比べて高く、か
つニコチンよりもタールを選択的に除去する性能
を示した。 別にパネラー20名による香喫味試験を実施した
が、実施例は比較例例に比べ、香喫味良好と回答
したものが18名、逆の回答をしたものが２名であ
つた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のフイルターを用いたフイル
ター付きシガレツトの断面図、第２図は市販フイ
ルター付きシガレツトの断面図である。第３図は
本発明のフイルターを用いたシガレツト喫煙時の
空気及び煙の流れ方の模式図である。 Ａ：中空管設置フイルター部分、Ｂ…繊維フイ
ルター部分、Ｃ：たばこ部、１：中空管、２：吸
口側繊維束、３：多孔紙（一次ラツパー）、４：
多孔紙（二次ラツパー）、５：外周被覆紙（チツ
プペーパー）、６：たばこ部側繊維束、７：ベン
ト孔、８：巻紙、ａ：たばこの先端から流入する
空気、ｂ：たばこ巻紙を通して流入する空気、
ｃ：ベント孔から流入する空気、ｄ：口腔に入る
煙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ たばこ部側繊維束と、たばこ部側繊維束の吸
   口側に設けられ、たばこ部側繊維束の繊維よりも
   太い繊維からなる吸口側繊維束と、吸口側繊維束
   の中央に配設される空気不透過材質の中空管と、
   たばこ部側繊維束と吸口側繊維束とを包む空気不
   透過性の外装部材のたばこ部側繊維束の部位に設
   けられたベント孔とを具備したことを特徴とする
   シガレツトフイルター。