JPH0452171B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、連続鋳造機の鋳型直下ないしは２次
冷却帯に設けられるガイド装置と合体した構成の
電磁撹拌装置に関し、特に鋳型から抽出される内
部に未凝固金属溶湯を残す鋳片をブレークアウト
等を起させることのないようにガイドするととも
に、凝固組織を改善し鋳片の品質を向上させるた
めにかかる溶湯を撹拌するのに用いる電磁撹拌装
置に関するものである。

背景技術 近年、鋼などの連続鋳造の分野において、鋳片
品質とくに凝固組織の改善のために電磁力を利用
して金属溶湯、例えば溶鋼を撹拌する技術が広く
用いられるようになつた。この電磁撹拌を適用す
る目的は、設置場所によつても異なるが、例えば
鋳型を対象とするときは主として溶鋼を流動させ
ることにより気泡や介在物の浮上を促進し、ピン
ホール、ブローホール等の気泡欠陥および非金属
介在物の除去を促進することにある。また、鋳型
下の２次冷却帯に設置された電磁撹拌装置は、主
に等軸晶率の増加を目指すことにある。

連続鋳造機に対して電磁撹拌装置を取付ける思
想自体ごく最近になつてから採用された技術であ
り、まだ装置の具体的な構造が一般化されるまで
には至つていない。したがつて本発明が対象とす
るような鋳型下のガイド装置部に併せて設置した
具体例についても、公知技術は明確ではないが、
従来技術の延長として、鋳型直下に配設する場合
は第１図および第２図に示すような形式が考えら
れている。

かような鋳型直下におけるガイド装置は、鋳型
出口直下の薄い凝固シエルをもつ鋳片が、内部に
残つている未凝固の溶鋼によつてブレークアウト
または変形するのを防ぎ、鋳型内壁下端部の摩擦
を防止するために必要であり、一般的にはフツト
ローラー（第１図）を列設するか、ガイドプレー
ト（第２図）を採用している。

第１図は、鋳型２直下の鋳片支持をフツトロー
ラ３としたガイド装置の例で、その背後（外側）
に回転磁界方式のリング形式のコイル４を配置し
た形式である。この例で示す形式では、コイル４
が鋳片１から遠すぎるので、磁力減衰が大きく撹
拌力が低下すること、およびフツトローラ３に融
起電流が生じ、電触等のトラブルが生じやすいこ
と、さらに鋳片１へのスプレー冷却が構造上困難
なことがあげられる。

第２図は、回転磁界式コイル４の前に、鋳片ガ
イドを兼ねたコイル保護用のガイドプレート６を
設けたガイド装置の例である。この形式だとコイ
ル４を鋳片１に近づけられる利点はあるものの、
ガイドプレート６は鋳片１の冷却ができないの
で、鋳片１の冷却が不十分となり異常バルジング
を起こす危険がある。またガイドプレート６を鋳
片冷却可能な水冷構造とすると、厚みが増して、
コイルを鋳片に近付けられると云う利点がなくな
る。

そこで本発明は、従来のような鋳型下設置の電
磁撹拌装置が抱える問題点がなく、好ましくは水
冷されたガイドプレートによる本来的なガイド機
能にあわせ、かつ品質改善のための必要な撹拌力
が効果的に得られるコンパクトな構成にかかる電
磁撹拌装置を提供することを目的としているもの
である。

上述の目的を実現するために本発明は、連続鋳
造用鋳型の下方にて、該鋳型より引き抜かれた鋳
片の内部における未凝固溶鋼の撹拌を担う電磁撹
拌装置であつて、 内部に冷却液流通路を有する複数個のガイドプ
レートを、該鋳片に近接させて包囲するように配
設し、このガイドプレートそれぞれの背後に電磁
コイルを、各電磁コイルの内部にそなえるコアの
前端面が上記ガイドプレートの背面に向かうべく
配置して、上記ガイドプレートと電磁コイルとを
ボルト結合により一体構造にしたことを特徴とす
る連続鋳造機の電磁撹拌装置を提案する。

かような構成とすることで本発明は、ブレイク
アウトを阻止し、バルジング防止に十分な冷却と
等軸晶率の高い凝固組織を得る効率のよい撹拌が
可能な；いわゆる電磁撹拌装置とガイド装置の合
体した構成のコンパクトな装置が得られる。

発明の構成 以下図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明は、既知ガイド装置としてのガイドプレー
トと電磁コイルとを合体させてコンパクトなもの
にした点に特徴がある。

図示１１で示すガイドプレートは、鋳片１を冷
却するものであり、第４〜５図に示すように、内
部に冷却液の流通路１２が設けてあり、一般には
上部の供給チユーブ１３から冷却水を導入し下側
の排出チユーブ１４より抜き出して、該ガイドプ
レート１１自身を冷却すると同時に鋳片１を冷却
して凝固を促進する。このガイドプレート１１
は、ブラケツト１５，１６ならびにピン１７，１
８にて、上側は鋳型下側に上下動可能に係合支持
させるとともに下側はサポートロール１９のセグ
メント２０上端に設けたサドル２７に載せること
により、その前面を内部に未凝固の溶鋼等を残す
鋳片１に近接させ、複数個を組にして該鋳片１を
包囲するように、鋳型直下ないしは２次冷却帯の
所望の位置に架空支持する。

上記ガイドプレート１１の背後には電磁コイル
２１が一体構造で配置される。すなわち、この電
磁コイル２１は、コア２２と巻線部２３とからな
り、さらに該コア２２は、第３図もしくは第６図
に示すように、好ましくは外側部が円形、角形の
リング状の共通部材２２ａで連結した方が支持構
造が簡便であるが、独立しても懸架支持してもよ
い。

ガイドプレート１１と電磁コイル２１のコア２
２との一体取付けは、共通部材２２ａからボルト
２４ａ，２４ｂをガイドプレート１１に向けてね
じ込んで行うが、コア２２の前端面とガイドプレ
ート背面との間にはボルト２５を介してシム２６
を介在させる。このシム２６は、ガイドプレート
１１が摩耗したようなときに、鋳片１とのギヤツ
プ調整をするようなときに利用する。図示の例で
は、該シム２６をコア２２の前端面に取付けたも
のを示すが、逆にガイドプレート１１の方に取付
けてもよい。

上述した構成において、コア２２前端面とガイ
ドプレート１１，１１′との間に介在させるシム
２６は、厚肉のライナーにすれば芯出しアライメ
ントの他、鋳片サイズ替えのときの調整に対して
も用いられる。

上述した本発明電磁撹拌装置は、電磁コイル２
１に交流電流を流すことにより、回転磁界を発生
させ、ストランド内の溶鋼１０を第３，６図のよ
うに矢印の水平環流となるように撹拌することが
できる。

発明の効果 以上説明したように本発明によれば、ブレイク
アウトを起させることがないようにガイドし得る
とともにバルジング防止に十分な冷却も果せ、さ
らには鋳片品質を改善するために等軸晶率の高い
凝固組織を得ることができる。その他、 () 鋳片のガイド装置を電磁撹拌コイル本体と
一体に組込んでいるので装置がコンパクトであ
る。そのため、従来装置に比べコイルを鋳片に
一層近づけることができるので、撹拌効果があ
がると共にコイルの小容量化で装置が小型化す
る。

() 鋳片ガイドプレートは、密閉式の鋳片の水
冷機構を有しているので鋳型直下以降２次冷却
帯域の鋳片冷却を必要とする任意の場所に取付
けて使用することができる。

() ガイド装置としても、シム等の採用によつ
て摩耗にも対応できる構造としてあるので、十
分実操業に適用できる。

() 装置がコンパクトなので既設連鋳機への設
置が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はいずれも既知装置を示す
略線図、第３図は、本発明装置の１例を示す平面
図、第４図は、本発明装置の一実施例を示す略線
図、第５図は、第４図示の例の拡大断面図、第６
図は、丸型ビレツトを鋳造する本発明具体例の平
面図である。 １……鋳片、１０……溶鋼、１１……ガイドプ
レート、１２……冷却液の流通路、１３……供給
チユーブ、１４……排出チユーブ、１５，１６…
…ブラケツト、１７，１８……ピン、１９……サ
ポートロール、２０……セグメント、２１……電
磁コイル、２２……コイルのコア、２２ａ……コ
アの共通部材、２３……コイルの巻線部、２４
ａ，２４ｂ……ボルト、２５……ボルト、２６…
…シム、２７……サドル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 連続鋳造用鋳型の下方にて、該鋳型より引き
   抜かれた鋳片の内部における未凝固溶鋼の撹拌を
   担う電磁撹拌装置であつて、 内部に冷却液流通路を有する複数個のガイドプ
   レートを、該鋳片に近接させて包囲するように配
   設し、このガイドプレートそれぞれの背後に電磁
   コイルを、各電磁コイルの内部にそなえるコアの
   前端面が上記ガイドプレートの背面に向かうべく
   配置して、上記ガイドプレートと電磁コイルとを
   ボルト結合により一体構造にしたことを特徴とす
   る連続鋳造機の電磁撹拌装置。