JPH0450288B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は紫外線紅斑抑制作用及び過酸化脂質生
成抑制作用を有し、皮膚や粘膜の抵抗性増強、老
化防止に有効な化粧料に関する。 近年、種々の生理活性を訴求したクリーム、化
粧水、パツク、乳液、石けん、歯磨などの化粧料
が市販されている。しかし、これら従来の化粧料
はこれを皮膚や粘膜に適用したときの実際の効果
が使用者に充分満足されるものではなく、特に機
能の衰えた皮膚に適用して肌荒れ防止、日焼け防
止、シミやソバカスの防止を計つたり、歯肉を消
炎するなどの効果を充分満足させるものは少な
い。 一般に皮膚や粘膜組織の衰えは、細胞そのもの
の衰え、紫外線その他の外的刺激に対する抵抗性
の減弱、過酸化脂質などの皮膚に悪影響を与える
物質の増大などが重なつて生じてくる。特に、皮
膚は皮脂線より分泌された皮脂により皮脂膜を形
成しており、この中の過酸化脂質含量は加令と共
に多くなる傾向があるが、皮膚は常に紫外線の照
射を受けており、紫外線の照射を受けることによ
り更に皮脂膜中に過酸化脂質が生成され、これが
日やけ、紅斑、化粧品障害、老人性色素斑、角化
症などの皮膚疾患や皮膚の老化のひとつの原因と
なつている。 本発明者らは、皮膚や粘膜機能の衰えたいわゆ
る老化皮膚、粘膜に対し組織抵抗性を高め、外界
刺激を緩和し、更に積極的に皮膚や粘膜の新陳代
謝促進作用を有する生理活性物質の探索を行なつ
た結果、７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシ
クマリン及び７−ハイドロキシー６，８−ジメト
キシクマリン−が良好な紫外線紅斑抑制作用及び
過酸化脂質生成抑制作用を有し、組織賦活、皮膚
及び粘膜の新陳代謝促進に有効で、これらの物質
を配合した化粧料が皮膚や粘膜の抵抗性増強及び
老化防止に効果的であることを知見し、本発明を
なすに至つたものである。 以下、本発明につき更に詳しく説明する。 本発明の化粧料は、有効成分として７−ハイド
ロキシー６，８−ジメトキシクマリン及び／又は
７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリン
−Ｄ−グルコサイドを含有させたもので、これら
の物質の含有により紫外線紅斑抑制作用及び過酸
化脂質生成抑制作用を付与したものである。 ここで、前記有効成分の配合量は、化粧料全体
の 0.001〜１％（重量％、以下同じ）、特に 0.01〜0.3％とすることが好ましい。 本発明において、前記有効成分は、これを含む
植物から単離したもの或いは合成したものを配合
するようにしてもよいが、前記有効成分を含有す
る植物抽出物を配合することによりこれら有効成
分を配合するようにしても差支えない。 この場合、植物の抽出物としてはエゾウコギ
（Acanthopanex Senticosus Harms）の抽出物、
特にエゾウコギを水又は有機溶媒で抽出したもの
が有効に使用される。ここで、抽出原料として
は、エゾウコギの茎、根及び葉などの粉砕物、こ
れらを水蒸気蒸溜処理することによつて得られた
蒸溜物及び残渣、エゾウコギの茎、根、葉などを
非極性溶媒で抽出することによつて得られた抽出
物及び残渣などが用いられる。また、抽出に用い
る有機溶媒は極性溶媒でも非極性溶媒であつても
よく、またこれらの混合溶媒であつてもよいが、
特にメタノール、エタノール等の低級アルコー
ル、プロピレングリコール、１，３−ブチレング
リコール、グリセリン等の多価アルコールなどの
アルコール類が好ましく、更にこれらのアルコー
ル類と水との混合物や水も好適に用いられる。抽
出方法は特に制限はなく、エゾウコギを温浸する
など、公知の方法が採用される。本発明はこのよ
うにして得られる抽出物（抽出液或いはこれから
溶媒を留去したもの）を配合することもできる
が、更にこの抽出物を活性炭や酸性白土等を用い
て吸着処理したもの、水蒸気蒸溜処理して得られ
る残渣などを配合することもできる。 なお、エゾウコギの抽出物中には７−ハイドロ
キシー６，８−ジメトキシクマリン及び７−ハイ
ドロキシー６，８−ジメトキシクマリン−Ｄ−グ
ルコサイドが通常0.1〜８％、或いはそれ以上含
まれており、これらエゾウコギの抽出物を使用す
る場合は化粧料中に通常0.01〜５％配合すること
ができる。 本発明の化粧料は、上述したように７−ハイド
ロキシー６，８−ジメトキシクマリン及び／又は
７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリン
−Ｄ−グルコサイドを含有させるものであり、こ
れにより紫外線紅斑抑制作用及び過酸化脂質生成
抑制作用が優れ、しかも皮膚や粘膜にマイルドな
化粧料が得られるものであるが、この場合本発明
において、適用される化粧料としては、エモリエ
ントクリーム、クレンジングクリーム、フアウン
デイシヨンクリーム、マツサージクリーム、バニ
ツシイングクリーム、ニユートリエントクリー
ム、ハンドクリーム、サンスクリーンクリーム、
シエービングクリーム等のクリーム、エモリエン
トローシヨン、クレンジングローシヨン、フアウ
ンデイシヨンローシヨン、ハンドローシヨン、ア
ストリンゼントローシヨン、アフターシエイビン
グローシヨン、サンタンローシヨン、アフターサ
ンバーンローシヨン等のローシヨン、石けん、パ
ツク、フエイスパウダー、コンパクトパウダー、
タルカムパウダー、ベビーパウダー、デオドラン
トパウダー等のパウダー、リツプステイツク、デ
オドラントステイツク等のステイツク、ルージ
ユ、マニキユア、アイコスメテイクス、デオドラ
ントスプレー等のスプレー、バスソルト、バスオ
イル、その他の皮膚用化粧料、歯磨、その他の口
腔用化粧料などが挙げられる。 また、本発明化粧料は水性タイプ、アルコール
タイプ、Ｗ／Ｏエマルシヨンタイプ、Ｏ／Ｗエマ
ルシヨンタイプ、Ｗ／Ｏ／Ｗの分散態様を有する
多層エマルシヨンタイプ、粉状タイプ、スチツク
タイプ、スプレータイプ、ペーストタイプ等の形
態に調製され得る。 更に、本発明化粧料の成分としては、上述した
有効成分以外に、調製されるべき化粧料のタイプ
に応じた公知の成分が配合され得る。例えば、蒸
溜水、脱イオン水、エタノール、イソプロピルア
ルコール、グリセリン、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の
多価アルコール、動物性油脂、植物性油脂、鉱物
油、硬化油、カルナウバワツクス、ミツロウ等の
ワツクス、液状パラフイン、パラフインロウ等の
高級炭化水素、ステアリン酸等の脂肪酸、乳化
剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、
非イオン界面活性剤、両性界面活性剤といつた界
面活性剤、トラガカントガム、キサンタンガム、
アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ハイドロ
キシエチルセルロース、ソジウムカルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水
溶性高分子化合物、タルク、カオリン、炭酸カル
シウム、リン酸水素カルシウム、スターチ、及び
他の無毒性担体が化粧料のタイプに応じて選択使
用される。パーフユーム、フレーバー、色素、甘
味剤、保存剤も必要により配合され得る。更に、
上述した有効成分に加え、ビタミン、ホルモン、
抗ヒスタミン剤、アストリンジエント、酵素、ア
ラントイン、ヒノキチオール、β−コレスタノー
ル、紫外線吸収剤、殺菌剤等の有効成分も化粧料
に配合され得る。 以下、実験例を示し、本発明の効果を具体的に
示す。 ［実験例 １］ エゾウコギの根の乾燥粉末100ｇに70％エタノ
ール水溶液700mlを加え、50〜60℃の水浴上で冷
却管を付けて６時間温浸した。次いで抽出液画分
から残渣を濾別し、残渣には新しい70％エタノー
ル水溶液を加えて同様の温浸を２回繰り返し、計
３回の抽出操作を行なつた。抽出液画分はまとめ
て40〜50℃で減圧濃縮し、淡褐色の粉末エキス８
ｇを得た。このエキス中には、７−ハイドロキシ
ー６，８−ジメトキシクマリン及びそのＤ−グル
コサイドが５〜８％含有していた。 次に、得られたエキス５ｇを60メツシユのシリ
カゲル150ｇを用いてカラムクロマトグラフイー
を行なつた。なお、溶出溶媒として酢酸エチル及
びメタノールを用いて溶出させ、７−ハイドロキ
シー６，８−ジメトキシクマリン−Ｄ−グルコサ
イドの白色粉末0.25ｇ及びそのアグリコン0.15ｇ
を得た。 次に、前記エキス及び７−ハイドロキシー６，
８−ジメキシクマリン−Ｄ−グルコサイドを用い
て紫外線紅斑試験を行なつた。 紫外線紅斑試験 試 料 No.１：親水性クリーム基剤のみ No.２：親水性クリーム基剤に前記エキス
0.1重量％配合 No.３： 〃 〃
0.5重量％配合 No.４： 〃 〃
2.0重量％配合 No.５：親水性クリーム基剤に７−ハイドロキ
シー６，８−ジメトキシクマリン−Ｄ
−グルコサイド 0.01重量％配合 No.６： 〃
0.05重量％配合 試験方法 モルモツトの背部を９cm×６cmの広さに除毛し
たのち、除毛部に20cmの距離から紫外線ランプ
（305nm）を１分間照射した。照射後、直ちに試
料を照射部位に0.1ｇづつ塗布し、照射時から４，
６及び７時間後に下記評価基準で紅斑の程度を判
定した。結果を図面に示す。なお、結果は１匹に
ついて８部位を評価した場合の平均値で示す。 評価基準 評 点 ０：紅斑なし １：かすかな紅斑 ２：中程度の紅斑 ３：境界明瞭な紅斑 図面の結果より、７−ハイドロキシー６，８−
ジメトキシクマリン及びその誘導体（Ｄ−グルコ
サイド）を含むクリームは、エゾウコギエキスを
含まないクリーム基剤単独のものと比較して、有
意な紫外線紅斑抑制効果を示し（図面の結果、No.
２〜６のものはNo.１のものに比べて危険率５％で
有意である）、外界刺激の一つである紫外線によ
る炎症反応を緩和することが認められた。 ［実施例 ２］ 実施例１で得られたエゾウコギエキス及び７−
ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリンを使
用し、過酸化脂質生成抑制試験を行なつた。 過酸化脂質生成抑制試験 試 料 No.７：リノール酸（純度90％） （対照） No.８：リノール酸（純度90％）に前記エキス
0.1％配合 No.９： 〃 〃
0.5％配合 No.10： 〃 〃
１％配合 No.11：リノール酸（純度90％）に７−ハイド
ロキシー６，８−ジメトキシクマリン
0.01％配合 No.12：リノール酸（純度90％）に７−ハイド
ロキシー６，８−ジメトキシクマリン
0.05配合 試験方法 試料２mlを計量ビンに取り、室温で攪拌しなが
ら紫外線（305nm）を照射し、照射開始６時間後
の試料中の過酸化脂質量を測定した。過酸化脂質
の定量は、紫外線照射試料0.1mlをエーテルーメ
タノール（容量比２：１）溶媒で1000倍に希釈
し、その１mlを採取し、溶媒を減圧留去した後、
八木法による比色法でTBA値を求めることによ
り行ない、次式により抑制率を算出して効果の指
標とした。 結果を下表に示す。 抑制率％＝Ａ−Ｂ／Ａ×100 Ａ：試料No.７（対照）のTBA値 Ｂ：試料No.８〜12のTBA値

【表】 表の結果より、７−ハイドロキシー６，８−ジ
メトキシクマリン及びそのＤ−グルコサイドを配
合したリノール酸が紫外線照射過酸化反応を顕著
に抑制し、外的刺激による皮膚疾患や皮膚の老化
を有効に防止し得ることが認められた。 ［実施例 ３］ 実施例１で得られたエゾウコギエキスをそれぞ
れ0.1，１，２重量％及び７−ハイドロキシー６，
８−ジメトキシクマリン0.01重量％、７−ハイド
ロキシー６，８−ジメトキシクマリン−Ｄ−グル
コサイド0.05重量％の割合で親水性クリーム基剤
に配合し、これらクリームを外的刺激に対し抵抗
性の低くなる年齢層（30〜40代）の女性を対象と
してクローズドパツチによる刺激試験を行なつた
ところ、15名の被験者に対していずれも陰性で、
皮膚に対する刺激の少ないことが認められた。 以下、実施例を示す。なお、下記の例におい
て、エゾウコギ抽出物は、いずれも実施例１に準
じて抽出することにより得られたものである。 ［実施例 １］ 化粧せっけん カルボキシメチルセルロース ８％ 過脂肪剤 ２ 石けん素地 50 ラウリル硫酸トリエタノールアミン 30 ７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリ
ン−Ｄ−グルコサイド 0.01 色素、香料 適量 水 残 合 計 100％ ［実施例 ２］ 洗顔クリーム 牛 脂 40％ ヤシ油 15.0 セタノール 1.0 オレイルアルコール 1.0 精製ラノリン 1.0 水酸化ナトリウム 2.0 水酸化カリウム 6.5 エゾウコギ水抽出物 1.0 （７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマ
リン及びそのＤ−グルコサイド５％含有） 香料、防腐剤、酸化防止剤 適量 水 残 合 計 100％ ［実施例 ３］ ハンドローシヨン セチルモノステアレート 1.0％ イソプロピルパルミテート 4.0 ポリエチレングリコール400ジステアレート2.0 グリセリン 8.0 セチル硫酸ナトリウム 5.0 エゾウコギグリセリン抽出液 2.0 （７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリ
ン及びそのＤ−グルコサイド0.5％含有） 色素、香料、防腐剤 適量 水 残 合 計 100％ ［実施例 ４］ アフターシエービングローシヨ
ン エタノール 40.0％ メントール 0.05 ベンジルアルコール 0.25 グリチルレチン酸 0.05 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログル
タメートモノイソステアレート 0.7 香 料 0.1 エゾウコギ70％エタノール抽出物 0.1 （７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリ
ン及びそのＤ−グルコサイド７％含有） 水 残 合 計 100％ ［実施例 ５］ 化粧水 クエン酸 0.1％ パラフエノールスルホン酸亜鉛 0.2 ソルビツト 2.0 グリセリン 3.0 ポリオキシエチレン（20EO）オレイルエーテ
ル 1.0 エタノール 15.0 エゾウコギエタノール抽出物 0.5 （７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリ
ン及びそのＤ−グルコサイド８％含有） 香料、防腐剤 適量 水 残 合 計 100％ ［実施例 ６］ エモリエントクリーム ミツロウ 6.0％ セタノール 5.0 還元ラノリン 8.0 スクワラン 37.5 脂肪酸グリセリン 4.0 モノステアリン酸グリセリン 2.0 ポリオキシエチレン（20EO）ソルビタンモノ
ラウリン酸エステル 2.0 プロピレングリコール 5.0 エゾウコギ50％エタノール抽出物 0.2 （７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリ
ン及びそのＤ−グルコサイド6.5％含有） 香料、防腐剤、酸化防止剤 適量 水 残 合計 100％ ［実施例 ７］ 歯磨 第２リン酸カルシウム 45.0％ 無水硅酸 2.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3 カラギーナン 0.8 ソルビツト 20.0 プロピレングリコール 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 エゾウコギ50％エタノール抽出物 0.5 香料 適量 水 残 合計 100％

【図面の簡単な説明】

図面は７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシ
クマリン及びそのＤ−グルコサイド配合及び無配
合クリームの紫外線紅斑試験結果を示すグラフで
ある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマ
   リン及び／又は７−ハイドロキシー６，８ジメト
   キシクマリン−Ｄ−グルコサイドを含有すること
   を特徴とする化粧料。 ２ エゾウコギの抽出物を配合することにより、
   ７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマリン
   及び７−ハイドロキシー６，８−ジメトキシクマ
   リン−Ｄ−グルコサイドを含有させた特許請求の
   範囲第１項記載の化粧料。