JPH0446721Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、内視鏡に送水タンクを接続し、該
送水タンクからの送気送水により観察窓の洗浄を
行なうことができるようにした内視鏡用送気送水
装置に関する。

［従来の技術］ 内視鏡検査では、観察窓が装着された先端部を
体腔内に挿入して使用するために、観察窓に汚
物、粘液等が付着する。このため、一般に内視鏡
には送気送水装置が設けられ、これにて観察窓の
表面を洗浄して汚物、粘液等を除去することが行
なわれている。

具体的には、内視鏡のコネクターに送水タンク
を接続する他、この送水タンクに送気ポンプを接
続して、送気ポンプの吐出側を送水タンクの空気
層、送気管路、送気送水操作部を通じて窓噴射ノ
ズル（観察窓に向けて配置されたノズル）に連絡
させる他、送気タンク内の液層を送水管路、送気
送水操作部を通じ同じく窓噴射ノズルに連絡させ
ることが行なわれている。

ところで、こうした送気送水装置は空気層に注
入される空気の圧力によつて送水タンク内部の水
を加圧し、これを観察窓に吹き付けて汚れを落と
し、その後、送水タンクに注入した空気で水を拭
うようにしているが、洗浄後、観察窓の表面に水
が残つて視野が妨げられることがある。

このようなことが生じると、明瞭な観察像が得
られないので、正確な診断ができない他、たとえ
ば高周波処置具、レーザー処置具等の処置の際で
は患部以外を傷付ける等のおそれがある。

そこで、こうしたことに有効とされる手段とし
て、高圧送気を使つて水切りを行なうようにした
技術が提案されてきている。従来の技術には、実
開昭59−64101号公報にも示されるように高圧送
気手段を内視鏡の送気管路あるいは送水タンクに
設けることが行なわれている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、前者の技術は、送気管路の途中、た
とえば操作部に設けると、操作部が重たくなつて
その分、操作性が悪くなる欠点をもつている。ま
た後者の技術は、単純に送水タンク内に高圧送気
を行なうので、操作してから実際に高圧の送気が
なされるまでに時間的な遅れが生じる欠点をも
つ。このため、有効な手段で有りながら高圧送気
手段をうまく利用できなかつた。

この考案は、上記事情に着目してなされたもの
で、良好な操作性と応答性とを両立しつつ、高圧
送気を行なうことを目的とする。

［問題点を解決するための手段及び作用］ この送気送水装置では、送水タンク２０の空気
層内に区画壁２８を設けて、空気層に内視鏡１の
送気管路８，１０と開口する小室２９を区画形成
し、この区画壁２８に、残る送水タンク２０の空
気層部分３４と連通する高流通抵抗部３０を形成
し、かつ前記送水タンク２０に前記小室２９内へ
高い圧力の気体を送気する高圧送気手段３１を設
けて、高流通抵抗部３０による逆止作用を利用し
て、高圧の送気を小容積な小室２９を通じ送気管
路８，１０へ一定の量、速やかに送るようにす
る。

［実施例］ 以下、この考案を第１図に示す第１の実施例に
もとづいて説明する。図中１は操作部２に挿入部
３およびユニバーサルコード４を連結してなる内
視鏡、５はその内視鏡本体に内蔵された送気送水
系である。

送気送水系５は、操作部２に送気送水操作部６
を設ける他、この送気送水操作部６から挿入部３
の先端に設けたノズル７（この考案の窓噴射ノズ
ルに相当）渡り下流側流路を設ける。そして、さ
らに送気送水操作部６からユニバーサルコード４
の先端に渡り上流側流路を設けた構造となつてい
る。

具体的には下流側流路は、ノズル７に下流側送
気管路８を接続する他、この下流側送気管路８の
ノズル７に近い部分に下流側送水管路９を接続し
て構成される。また上流側流路はユニバーサルコ
ード４内に渡り上流側送気管路１０および上流側
送水管路１１を挿通して構成される。なお、下流
側送気送水管路８，９はいずれも挿入部３内に挿
通される。一方、送気送水操作部６には、下段に
上記上下流側送気管路８，１０の端部が接続さ
れ、中段に上記上下流側送水管路９，１１の端部
が接続されるシリンダ１２を操作部２内に設け
る。そして、このシリンダ１２内に、外周部の中
段に周回溝１４が設けられたピストン１３を嵌挿
して、ピストン１３の軸方向の位置変化により上
下流側送気管路８，１０同志を連通、あるいは上
下流側送水管路９，１１同志を連通できるように
している。なお、１５はピストン１３を操作部２
から外方へ付勢するコイルスプリング、１６はピ
ストン１３の内部に軸方向に渡り形成された貫通
孔（送気を制御するためのもの）、１７はピスト
ン１３の外周部に嵌挿されたＯリング（シリンダ
１２とピストン１３との間をシールするもの）で
ある。

他方、２０は送気送水タンク（この考案の送水
タンクに相当）である。送気送水タンク２０に
は、水（液体）を収容した容器２１の開口部に栓
体２２をねじ込みにより着脱自在に設けて、シー
ル性を保つ構造が用いられている。そして、この
栓体２２に上記上流側送気管路１０および上流側
送水管路１１の残る端部が接続される他、比較的
ゆつくりとした流れで吐出する平常送気ポンプ２
３が接続され、送気送水系統の全体を構成してい
る。

すなわち、上流側送気管路１０の端部ならび平
常送気ポンプ２３の吐出部に接ながる平常送気管
路２３ａの端部は容器２１内の空気層に開口する
ように栓体２２に接続され、また上流側送水管路
１１の端部は容器２１内の液層２４に開口するよ
うに栓体２２に接続されていて、上下流側送気管
路８，１０が連通するよう送気送水操作部６を定
めることにより平常送気ポンプ２３からの空気を
ノズル７に導き、また上下流側送水管路９，１１
が連通するよう送気送水操作部６を定めることに
より平常送気ポンプ２３からの空気で加圧した水
をノズル７に導くことができるようにしている。
そして、ノズル７は、挿入部３内のイメージガイ
ドフアイバー２５の端面と対向して挿入部３の先
端に設けた観察窓２６に向かい開口していて、送
気送水から観察窓２６の表面を洗浄できるように
している。なお、２７は平常送気管路２３ａの先
端に設けた容器２１内からの逆流を防ぐための逆
止弁２７である。

またこうした容器２１内の空気層の栓体２２側
には、空気層を上下２つの空間に区画するよう規
制板２８（この考案の区画壁に相当）が設けられ
ている。具体的には、規制板２８をねじ込部に介
装して、容器２１と栓体２２との間に配してい
る。この規制板２８により、空気層内に上流側送
気管路１０に連通する小室２９（容積の小さな空
間）を形成している。そしてこの規制板２８に
は、空気層から下流側送気管路１０に至る管路抵
抗よりも大きな抵抗をもつ流通部、たとえば微細
孔３０（この考案の高流通抵抗部）が設けられ
る。また栓体２２には、内視鏡１の外に設けた高
圧送気ポンプ３１（この考案の高圧送気手段に相
当）が接続され、先のオリフイス抵抗をもつ小室
２９と併せて高圧の送気を上流側送気管路１０に
送ることができるようにしている。すなわち、高
圧送気ポンプ３１には上記平常送気ポンプ２３よ
り高出力（急速な流れで高い圧力の空気が出る）
のものが用いられる。そして、その高圧送気ポン
プ３１の吐出部が高圧送気管路３２を介して小室
２９に開口していて、微細孔３０の逆止作用なら
び小室２９を利用して、上流側送気管路１０に高
圧の空気が速やかに流出するようにしている。な
お、３３は高圧送気ポンプ３１を作動させるため
のスイツチで、このスイツチ３３は、たとえば操
作部２上の操作パネル等、あるいは外部にフツト
スイツチとして設けられる。

しかして、このように構成された内視鏡用送気
送水装置を使い観察窓２６を洗浄するときは、ま
ず、あらかじめ平常送気ポンプ２３を作動させ
る。これにより、平常送気ポンプ２３からの比較
的ゆつくりとした流れの空気が小室２９、さらに
は微細孔３０を通じて残る空気層部分３４に至
る。つまり、空気は貫通孔１６から大気へ放散さ
れる一方、同時に送気送水タンク２０の液層を加
圧する。

そして、こうした状態から手指で貫通孔１６を
塞ぎつつ、ピストン１３を押し込む。これによ
り、上流側送気管路１０と下流側送気管路８との
間が遮断されるとともに、今まで遮断されていた
上流側送水管路１１と下流側送水管路９との間が
連通されていく。しかるに、先に加圧されていた
送気送水タンク２０内の水が、上下流送気管路１
０，８を通じノズル７から観察窓２６に吹き付け
られ、表面の汚れ（汚物、粘液等）を落とす。

この後、手指で貫通孔１６を塞いだ状態のま
ま、ピストン１３を復帰させれば、上流側送水管
路１１と下流側送水管路９との間が遮断されると
同時に、上流側送気管路１０と下流側送気管路８
との間が連通して、貫通孔１６から放散されてい
く空気がノズル７から観察窓２６に吹付けられ、
観察窓２６の表面に付着した水を除く。

こうした水切りを行なつたにもかかわらず、観
察窓２６の表面に水が残ることがある。こうした
水切りが悪い場合には、貫通孔１６を手指で塞ぎ
つつ、スイツチ３３をON側へ操作する。これに
より高圧送気ポンプ３１が作動して、高い圧力の
空気が小室２９内に急速に流出していく。ここ
で、微細孔３０の流通抵抗は送気流路の抵抗に比
べて高く定められているから、微細孔３０をほと
とんど通らずに高圧空気の大部分が上流側送気管
路１０へ流れていき、ノズル７から観察窓２６に
吹き付ける。

かくして、確実なる観察窓２６の水切りができ
る。しかも、高圧空気は小室２９の小容積で瞬間
的に高圧となつていくから、時間的の遅れがすく
なくてすむ。

そのうえ、水量の変化にかかわらず、高圧空気
が流入する容積は一定であるから、常に良好な状
態の送気を行なうことができる。すなわち、水量
の変化に伴つて容積が変化すると、たとえば空気
層の容積が大きいとき（水量が少ないとき）と、
逆に空気層の容積が小さい（水量が多いとき）と
きとでは、空気層の差分、高圧空気がノズル７か
ら送気されて臓器の過膨張を招くおそれがある
が、一定な送気となるのでこうしたことが改善さ
れる。

さらに送気送水タンク２０から、外部に設置し
た高圧送気ポンプ３１を使い高圧空気を送るよう
にしたので、操作部２が大形になつたり、重量が
増したりしないですむ。

これ故、良好な操作性と応答性、さらには良好
な送気性を両立させつつ、高圧送気ができること
がわかり、正確な診断、安全な処置（治療）を行
なうことができる。

なお、この考案は第１の実施例に限らず、第２
図に示す第２の実施例、第３図に示す第３の実施
例、第４図に示す第４の実施例、第５図に示す第
５の実施例のようにしてもよい。

すなわち、第２の実施例は平常送気ポンプ２３
につながる平常送気管路２３ａの先端部を延長し
て規制板２８の直下の空気層部分３４に開口した
ものである。

第３の実施例は、高圧送気ポンプの代わりに、
ゴム球で構成される手動ポンプ４０（高圧送気手
段）を小室２９に接続したものである。手動ポン
プ４０は空気層の容積が大きいときはゴム球から
の拍出量を多くしなければ有効な高圧送気をする
ことができないことが懸念されるが、本考案では
小室２９の容積が小さいので拍出量が少なくてす
み、その分、手動ポンプ４０で低下する操作性を
改善している。

第４の実施例は、規制板の代わりに、平常送気
は通すが高圧送気時の空気は通しにくい布４１
（流通抵抗が上流側送気管路１０からノズル７ま
での一連した送気流路の抵抗よりも大のもの）を
用いて、高流通抵抗部自体も兼ねようとしたもの
である。もちろん、抵抗の条件さえ満たせば、布
４１以外に合成樹脂膜、金網等を用いてもよい。

第５の実施例は、微細な孔を用いないで高流通
抵抗部を構成したものである。すなわち、規制板
２８に小孔４３を設ける他、この小孔４３に該小
孔４３から高圧空気２９が空気層部分３４に流れ
るのを防ぐ逆止弁４４を設けて、規制板２８から
空気層部分３４側に対する流通方向に特に高い抵
抗を示すようにしたものである。こうした構造は
小孔４３による効果に加え、逆止弁４４の働きで
小室２９から圧力が逃げないようになるので、さ
らに時間的な遅れのない高圧送気を行なうことが
できる利点がある。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案によれば、空気層
における時間的遅れを少なくすることができるよ
うになる。しかも、送気送水タンクから、外部に
設置した高圧送気ポンプを使つて高圧送気するの
で、操作部が大形になつたり、重量が増したりし
ない。

この結果、良好な操作性と応答性とを両立しつ
つ、高圧送気を行なうことができる。しかも、水
量の変化にかかわらず、高圧空気の流入する容積
は一定であるから、常に良好な状態の送気を行な
うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１の実施例を内視鏡用送
気送水装置を示す構成図、第２図はこの考案の第
２の実施例の要部を示す断面図、第３図はこの考
案の第３の実施例の要部を示す断面図、第４図は
この考案の第４の実施例の要部を示す断面図、第
５図はこの考案の第５の実施例の要部を示す断面
図である。 ３……挿入部、７……ノズル（窓噴射ノズル）、
８……下流側送気管路、９……下流側送水管路、
１０……上流側送気管路、１１……上流側送水管
路、２０……送気送水タンク（送水タンク）、２
６……観察窓、２８……規制板（区画壁）、２９
……小室、３０，４１，４３，４４……微細孔、
布、小孔、逆止弁（高流通抵抗部）、３１，４０
……高圧送気ポンプ、手動ポンプ（高圧送気手
段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液体が貯留された送水タンクの空気層へ送気し
   て、送気管路、送水管路を通じ、該気体、加圧さ
   れた液体を内視鏡の窓噴射ノズルへ導くようにし
   た内視鏡用送気送水装置において、前記送水タン
   クの空気層内に該空気層を区画して前記送気管路
   に開口する小室を形成する区画壁を設け、この区
   画壁に、残る空気層部分と連通する高流通抵抗部
   を形成し、かつ送水タンクに前記小室内に前記送
   気圧力より高い圧力の気体を送る高圧送気手段を
   設けたことを特徴とする内視鏡用送気送水装置。