JP4704593B2 - ディスク式スチームトラップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧室すなわち熱力学的蒸気室の圧力変化に応じて開閉動作を行う弁ディスクを用いて、各種蒸気使用機器や蒸気配管で発生する復水を自動的に排出するディスク式スチームトラップに関し、特に高温高圧の蒸気系(一般にスチームトラップにおいては16kg/cm2、220°C以上)に使用するものに関する。
【0002】
ディスク式スチームトラップの基本的構成は、入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を形成すると共に、環状溝の外周囲に内輪弁座と同一平面の外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室と出口を連通し、内輪弁座と外輪弁座に離着座する円板状の弁ディスクを変圧室に配置したものであり、弁ディスクを変圧室の圧力変化によって自力式に制御して内輪弁座と外輪弁座に離着座させ、復水を自動的に排出するものである。このディスク式スチームトラップを高温高圧の蒸気系に使用すると、弁ディスクと内輪弁座の間に僅かな隙間を生じ、蒸気を漏洩してしまう問題があった。これは、閉弁時に弁ディスクの下面中央には高温高圧の入口側圧力が作用し、弁ディスクの上面には変圧室の圧力が作用するために、弁ディスクが上に凸状に湾曲し、外輪弁座には密着しているが内輪弁座との間に僅かな隙間を生じるためである。
【0003】
【従来の技術】
そこで、従来は特公昭59−7078号公報に示されているような技術が用いられていた。これは、外輪弁座に比較して内輪弁座の熱膨張が大きくなるよう内外輪弁座を異種金属で形成し、内輪弁座を外輪弁座よりも高膨張させて高くすることにより、閉弁時に弁ディスクが上に凸状に湾曲しても、弁ディスクが内輪弁座と外輪弁座に密着できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のディスク式スチームトラップにおいては、閉弁直後は弁ディスクと内輪弁座及び外輪弁座との密着を維持できるが、変圧室の圧力低下に伴って外輪弁座と弁ディスクとの間に僅かな隙間を生じるために、変圧室の流体が出口に排出され、比較的早期に開弁してしまう問題があった。これは、入口に連通する噴出孔の温度低下に比べて入口と遮断されている変圧室の圧力低下が速く、弁ディスクの湾曲度合の減少が内輪弁座の熱膨張度合の減少よりも大きいために、弁ディスクが内輪弁座には密着しているが外輪弁座との間に僅かな隙間を生じるためである。従って、本発明の技術的課題は、弁ディスクが内輪弁座から離座するまで変圧室の流体を排出しないディスク式スチームトラップを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を形成すると共に、環状溝の外周囲に外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室と出口を連通し、内輪弁座と外輪弁座に離着座する円板状の弁ディスクを変圧室に配置したものにおいて、外輪弁座に比較して内輪弁座の熱膨張が大きくなるよう内外輪弁座を異種金属で形成し、外輪弁座の外周囲に外輪弁座の外周壁を摺動するシールリングを配置し、弁ディスクの開弁時にシールリングの上端を外輪弁座よりも僅かに突出させる弾性部材としてのバネを、外輪弁座の外周囲の底壁とシールリングの下面との間に設けたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、外輪弁座に比較して内輪弁座の熱膨張が大きくなるよう内外輪弁座を異種金属で形成し、外輪弁座の外周囲に外輪弁座の外周壁を摺動するシールリングを配置し、弁ディスクの開弁時にシールリングの上端を外輪弁座よりも僅かに突出させる弾性部材としてのバネを、外輪弁座の外周囲の底壁とシールリングの下面との間に設けたものである。そのため、閉弁直後は弁ディスクが弾性部材としてのバネの付勢力に抗して内輪弁座と外輪弁座及びシールリングに密着している。変圧室の圧力低下によって弁ディスクと外輪弁座との間に僅かな隙間を生じると、シールリングが弾性部材としてのバネの付勢力によって弁ディスクとの密着を維持し、変圧室の流体を排出しない。そして、変圧室の圧力が所定の開弁圧力に低下してから弁ディスクが内輪弁座とシールリングから離座して開弁する。
【0007】
【実施例】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。
本体1に蓋体2をねじ結合して内部に変圧室3を形成する。本体1に入口4と出口5をほぼ同一軸上に形成する。本体1に変圧室3の中心に開口する噴出孔6を開け、噴出孔6を介して入口4と変圧室3を連通する。噴出孔6の外周囲に環状溝8を設けて、噴出孔6と環状溝8の間に環状の内輪弁座9を形成し、環状溝8の外周囲に内輪弁座9と同心円状で内輪弁座9よりも僅かに低い環状の外輪弁座10を形成する。外輪弁座10は本体1と一体成形し、内輪弁座9は外輪弁座10よりも熱膨張率の大きい金属で形成して本体1に接合する。内輪弁座9を本体1と一体成形し、外輪弁座10を内輪弁座9よりも熱膨張率の小さい金属で形成して本体1に接合してもよい。また、内輪弁座9と該内輪弁座9よりも熱膨張率の小さい金属で形成した外輪弁座10を本体1と別体に形成して夫々本体1に接合してもよい。環状溝8の終端を排出孔7を介して出口5に連通する。内輪弁座9と外輪弁座10に離着座して開閉弁を行う円板状の弁ディスク11を変圧室3内に自由状態で配置する。
【0008】
外輪弁座10の外周囲に外輪弁座10の外周壁を摺動するシールリング12を配置し、外輪弁座10の外周囲の底壁とシールリング12の下面との間に、弁ディスク11の開弁時にシールリング12の上端を外輪弁座10よりも僅かに突出させる弾性部材としてのリング状の波形バネ13を配置する。シールリング12は、変圧室の圧力低下によって弁ディスク11と外輪弁座10との間に僅かな隙間を生じたときに、波形バネ13の付勢力によって、弁ディスク11との密着を維持する。
【0009】
次に作用を説明する。変圧室3内に蒸気が滞留していない場合、噴出孔6を介して弁ディスク11に作用する入口4側の流体圧力により、弁ディスク11は内外輪弁座9,10から離座して低温復水を環状溝8と排出孔7を介して出口5へ排出する。
【0010】
復水が排出されて変圧室3内に蒸気が流入してくると、変圧室3内の圧力が上昇すると共に、弁ディスク11下面を高速の蒸気が流下して静圧低下を来たすことによって、弁ディスク11は波形バネ13の付勢力に抗して内輪弁座9と外輪弁座10及びシールリング12に着座して閉弁する。
【0011】
変圧室3内の蒸気が放熱等により凝縮しその蒸気圧力が低下してくると、弁ディスク11は図1に示すように外輪弁座10との間に僅かな隙間を生じるが、シールリング12が波形バネ13の付勢力によって弁ディスク11との密着を維持し、変圧室3の流体を排出しない。そして、変圧室3の圧力が所定の開弁圧力に低下してから弁ディスク11が内輪弁座9とシールリング12から離座して開弁する。以上のような開閉弁のサイクルを繰り返す。
【0012】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、弁ディスクと外輪弁座との間に僅かな隙間を生じてもシールリングが弁ディスクとの密着を維持して変圧室の流体を排出しないので、早期に開弁することを防止できる。そのため、頻繁な開閉弁を防止でき寿命を長くすることができると言う優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク式スチームトラップの実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 蓋体
3 変圧室
4 入口
5 出口
6 噴出孔
7 排出孔
8 環状溝
9 内輪弁座
10 外輪弁座
11 弁ディスク
12 シールリング
13 波形バネ
Claims (1)
- 入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を形成すると共に、環状溝の外周囲に外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室と出口を連通し、内輪弁座と外輪弁座に離着座する円板状の弁ディスクを変圧室に配置したものにおいて、外輪弁座に比較して内輪弁座の熱膨張が大きくなるよう内外輪弁座を異種金属で形成し、外輪弁座の外周囲に外輪弁座の外周壁を摺動するシールリングを配置し、弁ディスクの開弁時にシールリングの上端を外輪弁座よりも僅かに突出させる弾性部材としてのバネを、外輪弁座の外周囲の底壁とシールリングの下面との間に設けたことを特徴とするディスク式スチームトラップ。
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