JPH0442353Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は軟弱地盤の改良構造に係り、更に詳
述すれば湿地帯等の超軟弱地盤上に構造物を構築
するに適した軟弱地盤の改良構造に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

軟弱地盤の改良に当つては、古くより基盤近ま
での軟質土をそつくり良質土に入替える置換法
や、薬液を注入したり基礎くいを打込む科学的あ
るいは物理的改良法が実行されている。これらの
工法は時間と費用を費すばかりでなく騒音、水質
汚染等の公害をも誘発し好しくない。

このような欠点を解決する工法の一つとして、
特公昭43−11620号公報に記載のように、水上ま
たは湿地帯に浮上する所要の広さの木製基板を作
り、この基板上に箱型の木製仮枠を設け、この仮
枠内にウレタンホームの溶液を注入して発泡硬化
後、この硬化ウレタンホーム上に建造物を構築す
るものであるが、この従来例ではウレタンホーム
が連続気泡のため防水性に劣り、浮力も小である
ため、軽量建物しか構築できないと思われる他
に、老化が早く耐久性に乏しいものである。さら
に他の一つとして特公昭58−33328号公報に記載
のように、軟弱地盤上に耐水性キヤンバスを敷設
し、この上に吸水性の少ないセメントコンクリー
ト製の軽量人工地盤を形成し、この上に構造物を
構築するものとが提案されている。

しかし、いずれの工法も耐久性に欠け、積載重
量耐力が小さいと云う欠点がある。

〔考案の目的〕

この考案は上述した従来工法の欠点を除去し、
剛性があつて耐久性に富み、耐重量性が大きい割
には施工費用の安い軟弱地盤の改良構造を提供す
るものである。

〔考案の概要〕

この考案は目的を達成するために、矢板囲みし
た所要の広さの軟弱地層の表面部分を撤去して得
た升状凹所内に（内部に鉄筋を配筋した）第１の
転圧土砂層を設け、前記転圧土砂層上に耐水性シ
ート部材を敷設し、更にこのシート部材上に板上
に加工した非透水性発泡樹脂板を敷詰めて非透水
層を形成し、この非透水層上に敷設した耐水性シ
ート部材上に第２の転圧土砂層を形成して地盤補
を行なつて人工地層を形成するものである。

〔考案の実施例の構成〕

この考案は第１図ａに示すように、軟弱地盤１
に所要面積を囲むように矢板２を打込み、この矢
板２で囲まれた部分の軟弱地盤の上層部を取り除
いて得た升状凹所３の表出地面４上に内部に編組
鉄筋５を配筋した第１の転圧土砂層６を形成し、
この転圧土砂層の全面に耐水性シート部材７ａを
敷設したあと、この耐水性シート部材上の全面に
厚板状に加工した非透水性独立発泡樹脂板８を敷
詰めて非透水層９を形成し、この非透水層上に耐
水性シート部材７ｂを敷設し、この耐水性シート
部材上に第２の転圧土砂層１０を形成して人工地
層１１を構築することで軟弱地盤を改良せしめる
ものである。

次に、前述した河川敷や湿地帯のような軟弱地
域に経済的にかつ短期間に人工地層を得る作業手
順を第２図ａ〜ｇを用いてより具体的に説明す
る。

まず、第２図ａに示すように必要とする面積を
得る部分を囲むように鉄製あるいはコンクリート
製で幅250mm、長さが4500mm程度の矢板２を杭打
機を用いて打込む。次にこの矢板２で囲まれた部
分の軟弱地層の表面層部分に当る地表より矢板長
さの略半分に相当する2100mm程度までの部分を掘
出して撤去し第２図ｂに示すように升状凹所３を
形成する。

このように上層軟弱層を撤去して得た升状凹所
３内に第２図ｃに示すように山砂や土砂を投入し
てブルトーザを投入して地均しした上でロードロ
ーラやランマで転圧し400mm程度の下部転圧土砂
層６ａを作り、この下部転圧土砂層上に第２図ｄ
に示すように縦、横方向に鉄筋５を配筋し、更に
この上に第２図ｅに示すように前述と同様に山砂
や土砂を投入して地均しして再び転圧し上部転圧
土砂層６ｂを作つて第１の転圧土砂層６を得る。

このようにして得た第１の転圧土砂層６上に耐
水性のよい厚さが0.08〜0.1mm程度のポリエチレ
ンあるいは塩化ビニールシート等の第１の耐水性
シート部材７ａを前記土砂層６の表面の全域に亘
つて敷いてからこのシート部材上に独立発泡スチ
レンあるいはスチロール製で厚さが400mm程度の
通常サブロク版と称する非透水性独立発泡樹脂板
８を敷詰めてから更にこの上に前述と同様の耐水
性シート部材７ｂを敷くことにより、第２図ｆに
示すように非透水層９を形成する。この場合耐水
性シート部材７ａ，７ｂと非透水性独立発泡樹脂
板８とは、静電吸着力で妄動せず、作業性を損う
ことはない。

更に、第２図ｇに示すようにこの非透水層９上
に土砂を投入して転圧し、1200mm程度と前記第１
の転圧土砂層６の２倍強の厚さの第２の転圧土砂
層１０を形成することで全体としてこの考案によ
る人工地層１１を得る。

このあと、第１図ａおよび第１図ｂに示すよう
に、この人工地層１１上に構築する建物の基礎工
事として、通常の基礎工事と同様根伐、割栗１２
および捨コン、鉄筋１３を施したあと、布基礎１
４を仮枠を作つて形成し、この布基礎内に割栗石
１５、床敷コンクリート１６を打つたあと、前記
布基礎１４に予め植込んだアンカーボルトに土台
１７を取付け、この上に図示してない構造物を構
築する。

尚実施例においては、第１の転圧土砂層６と、
非透水層９と第２の転圧土砂層１０とを順に重積
した例を示したが、軟弱度に応じ独立発泡樹脂板
とシートとを二重に重ねることにより、浮上力を
増加し積載重量耐力の大きい人工地層が得られ
る。

なお鉄筋５は第２の転圧土砂層１０の下部だけ
に配筋し、第１の転圧土砂層６には配筋しないで
もよく、または、第１および第２の転圧土砂層６
および１０の両方に鉄筋を配筋してもよい。

〔考案の効果〕

以上述べたようにこの考案は矢板囲みした所要
広さの軟弱地層の表面部分を撤去して得た升状凹
所内に（内部に鉄筋を配筋した）第１の転圧土砂
層と、耐水性シートと、非透水性発泡樹脂板とを
重ねて得た非透水層と、第２の転圧土砂層とを重
積した人工地層を形成したので、河川敷や湿地帯
のような軟弱地を経済的かつ短期間に建造物の構
築し得る積載重量耐力の強い地層（例えば１m²当
り６トンから20トン）に改良し得ると共に、化学
的な改良や大規模な物理的改良を伴なわないので
地下水の汚染等の公害が発生がないし、安価に形
成できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図はいずれもこの考案の一実施例を示すもの
で、第１図ａは人工地層形成部分に布基礎を形成
した状態の断面図、第１図ｂは同じく縮小平面
図、第２図ａ〜ｇは改良工事の順次を示す説明図
である。 １……軟弱地層、２……矢板、３……升状凹
所、５……鉄筋、６……第１の転圧土砂層、７
ａ，７ｂ……耐水性シート、８……非透水性発泡
樹脂板、９……非透水層、１０……第２の転圧土
砂層、１１……この考案による人工地層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 矢板囲みした所要広さの軟弱地層の表面部分
   を撤去して得た升状凹所内に第１の転圧土砂層
   と、耐水性シートと、非透水性発泡樹脂板とを
   それぞれ順次に重ねて得た非透水層を形成し、
   この非透水層の上に第２の転圧土砂層を重積し
   てなる人工地層を形成したことを特徴とする軟
   弱地盤の改良構造。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項記載のものに
   おいて、前記非透水性発泡樹脂板を升状凹所内
   に複数層形成したことを特徴とする軟弱地盤の
   改良構造。