JPH0436521Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、スイツチ装置に係り、特に自動車の
座席の位置調整およびシートバツクの角度の調整
用に使用されるパワーシートスイツチに好適なス
イツチ装置に関する。

〔従来の技術〕

自動車の座席、特に前座席は、各人の体型や運
転の容易さ等の点から座席を前後に前進または後
退させる機構とシートバツクを適度の角度に傾斜
させる機構とを有している。このような機構とし
て座席の側面部に所謂、パワーシートスイツチが
設置され、このスイツチを操作することによつて
座席の位置およびシートバツクの角度が調整され
ている。パワーシートバツクには、その内部に２
つの摺動素子が設けられ、これらの摺動素子は通
常はそれぞれ中立点に位置している。座席の位置
を調整する場合、パワーシートスイツチを座席の
移動方向側に操作すると、一方の摺動素子が一定
のストロークでスライドし、リレーを介して座席
の位置を移動させるために駆動されるモータに接
続された接点と接続し、モータが作動して座席は
所定の位置まで移動し停止する。また座席のシー
トバツクの角度を調整する場合、パワーシートス
イツチをシートバツクを傾斜させる回動方向側に
操作すると、他方の摺動素子が一定のストローク
でスライドし、リレーを介して座席のシートバツ
クを傾斜させるために駆動されるモータに接続さ
れた接点と接続し、モータが作動して座席のシー
トバツクは所定の角度に傾斜する。

従来、このような機構のパワーシートスイツチ
において、スイツチの操作により座席の位置およ
びシートバツクの角度を調整した後、２つの摺動
素子は、それぞれ中立点に復帰するようになつて
いる。このため、パワーシートスイツチには２つ
の摺動素子をスイツチの操作時には基板上をスラ
イドし、スイツチの操作終了時には中立点に復帰
させるために摺動素子にはそれぞれ引張コイルば
ね又は圧縮コイルばねが架設されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような引張コイルばねまたは圧縮コイルば
ねを有するスイツチ装置において、引張コイルば
ね又は圧縮コイルばねは、通常その一端部が摺動
素子に固定され、他端部がスイツチ装置の本体に
固定される。引張コイルばね又は圧縮コイルばね
を固定する手段として、固定用のフツクやピン等
によつて引張コイルばね又は圧縮コイルばねをス
イツチ装置本体側に対して固定する方法やスイツ
チ装置本体側の成形時等に引張コイルばねまたは
圧縮コイルばねをスイツチ装置と一体的に固定す
る方法が採用されている。このため、スイツチ装
置に引張コイルばねまたは圧縮コイルばねを設置
するための作業が極めて繁雑となり、スイツチ装
置の生産効率が低い問題があつた。また摺動素子
近傍における引張コイルばねまたは圧縮コイルば
ねの設置のためのスペースを要するので必然的に
スイツチ装置を小型化するのに限界があるという
問題があつた。

本考案の目的は、上記した従来技術の問題点を
解消し、スイツチ装置におけるばねの設置作業と
摺動素子付近の構造を簡便化し、かつ装置の小型
化を図ることができるスイツチ装置を提供するこ
とにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案はスイツチ
装置内に設置される摺動素子を、スイツチの操作
時に所定の位置までスライドさせ、操作終了時に
は所定の位置に復帰させるためのばね部材として
ねじりコイルばねを設けることによつてばねの設
置スペースを小さくし、かつ摺動素子内にねじり
コイルばねを挿入固定するに際し、摺動素子に凸
部を有する弾性部材を設け、ねじりコイルばね挿
入時に前記弾性部材を弾性変形させ、ねじりコイ
ルばねが所定の位置まで挿入されたときに前記凸
部がねじりコイルばねのコイル部分内の空間部に
位置させ、ねじりコイルばねの付勢力方向側は摺
動素子に形成された空隙部の内側面より支持し、
ねじりコイルばねの線状部分は摺動素子に設けら
れた空隙部に連通する開口部に係止するようにし
たものである。

〔実施例〕 以下、図面に基づいて、本考案の一実施例を説
明する。

第１図は、本考案の一実施例を示す平面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。

このスイツチ装置は、スイツチ装置本体１と、
レバー２とからなつている。スイツチ装置本体１
は、自動車の座席の側面部に設けられ、そのスイ
ツチ装置本体１の内部にはスライド方向が異なる
２つの摺動素子３および摺動素子４が設けられて
いる。これらの摺動素子３，４はそれおれ中心部
に空隙を有し、その空隙にねじりコイルばね５，
６のコイル部分が嵌挿され、ねじりコイルばね
５，６の線状部分はそれぞれ摺動素子３，４を摺
動させるための摺動面に設けられた開口部に係止
されている。

前記摺動素子３，４に連結されたスライド軸
７，８は、それぞれスイツチ装置本体１のケース
９からほぼ水平方向に延設され、レバー２の内部
に収納されている。スイツチ装置本体１には、
各々の摺動素子３，４がスイツチ操作によりスラ
イドしたとき接続される接点（図示せず）が設け
られ、これらの接点は図示していないリレーを介
してそれぞれモータに接続されている。

第３図は、第１図および第２図における摺動素
子３とねじりコイルばね５との設置状態を示す要
部拡大図、第４図は第３図のＡ−Ａ線断面図、第
５図は第３図のＢ−Ｂ線断面図である。

摺動素子３には空隙が設けられ、この空隙部に
ねじりコイルばね５が嵌挿され、摺動素子３には
スライド軸７が連結されている。ねじりコイルば
ね５の付勢力方向側は第４図に示すように摺動素
子３に形成された空隙部の内側面により支持され
ている。またねじりコイルばね５の付勢力方向側
と直交する方向側は上部摺動素子３Ａと弾性部材
３Ｂによりそれぞれ支持され、ねじりコイルばね
５のコイル部分内の空間部には弾性部材３Ｂの先
端部に形成された凸部が配置された状態となつて
いる。

第６図は、第３図〜第５図に示す摺動素子３と
ねじりコイルばね５との設置状態にするためのね
じりコイルばね５の固定方法を示す説明図であ
る。第６図において、摺動素子３に形成された空
隙部に図中矢印で示す方向からねじりコイルばね
５が挿入される。この際、第４図に示すようなね
じりコイルばね５の線状部分５Ａおよび５Ｂを把
持し、これらの線状部分５Ａおよび５Ｂ間の間隔
がコイル部分５Ｃの内径以下の状態とされる。ね
じりコイルばね５が摺動素子３の空隙部に挿入さ
れるに従い、弾性部材３Ｂは弾性変形し、ねじり
コイルばね５は摺動素子の空隙部にスムースに挿
入される。そして、ねじりコイルばね５が所定の
位置に達すると、弾性部材３Ｂは元の形態に復元
され、弾性部材３Ｂの凸部３Ｃはねじりコイルば
ね５のコイル部分５Ｃ内の空間部に配置され、コ
イル部分５Ｃを支持する。同時にねじりコイルば
ね５の付勢力方向側は摺動素子３に設けられた空
隙部に内側面より支持され、ねじりコイルばね５
の線状部分５Ａおよび５Ｂは、それぞれ摺動素子
３の空隙部に連通する開口部に係止される。第１
図および第２図におけるねじりコイルばね６も同
様にして摺動素子４にセツトされる。

次にこのようにしてねじりコイルばね５，６が
セツトされたスイツチ装置の動作について説明す
る。

まず、スイツチを操作しない通常の状態では、
レバー２は摺動素子３，４はそれぞれ中立点に位
置している。座席の位置を前後に移動調整する場
合、レバー２を水平方向に移動させると、摺動素
子３はスライド軸７の動作によりスライドし、図
示していない接点に接続され、モータの回転によ
り座席は前後の所定の位置に移動し停止する。そ
の後、摺動素子３はねじりコイルばね５の付勢力
により中立点に復帰する。

一方、座席のシートバツクを所定の角度に調整
する場合、レバー２を回動させると、摺動素子４
はスライド軸８の動作により、図示していない接
点に接続され、モータの回転により座席のシート
バツクは所定の角度に傾斜し停止する。その後、
摺動素子４はねじりコイルばね５の付勢力により
中立点に復帰する。以上のようなスイツチの操作
により座席の前後の位置および座席のシートバツ
クの角度が調整される。

本実施例によれば、摺動素子３，４をそれぞれ
所定の方向にスライドさせ、かつ所定の位置の中
立点に復帰させるためのばねとしてねじりコイル
ばね５，６を用いている。ねじりコイルばね５，
６は摺動素子３，４内に収納され、摺動素子３，
４の両サイドに配置する必要がないのでばねを設
置するためのスペースを小さくできる。またねじ
りコイルばね５，６は、摺動素子３，４の空隙部
に挿入するのみでワンタツチによりセツトでき
る。

以上の動作例において、ねじりコイルばね５は
第７図に示すように中立点を中心そのスライド方
向に対して対称な位置に配置されている。したが
つて、ねじりコイルばね５はスイツチの操作後、
復帰する際、確実に中立点に復帰するためスイツ
チ動作の精度が向上する。また特に図示していな
いが、ねじりコイルばね６の場合も同様である。

上記した実施例では、特にパワーシートスイツ
チの例を示したが、本考案はパワーシートスイツ
チに限定されるものでなく、摺動素子を有し、こ
の摺動素子をねじりコイルばねにより中立点に復
帰させる機構のスイツチ装置に適用できる。した
がつて、スイツチ装置内の摺動素子は２個に限ら
ず１個又は３個以上でもよい。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、ばねおよび摺動
素子を含む領域を小さくできるため、スイツチ装
置を小型化でき、またばねの設置作業をワンタツ
チで行うことができ、スイツチ装置の生産効率を
向上させることができるとともにねじりコイルば
ねの特性によりスイツチ動作の精度が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスイツチ装置の一実施例
を示す平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面
図、第３図は本考案におけるねじりコイルばねと
摺動素子の設置状態を示す要部拡大図、第４図は
第３図のＡ−Ａ線断面図、第５図は第３図のＢ−
Ｂ線断面図、第６図はねじりコイルばねの固定方
法を示す説明図、第７図は本考案におけるねじり
コイルばねの動作例を示す動作説明図である。 １……スイツチ装置本体、２……レバー、３，
４……摺動素子、３Ａ……上部摺動素子３Ｂ……
弾性部材、３Ｃ……凸部、５，６……ねじりコイ
ルばね、７，８……スライド軸、９……ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スイツチ装置本体内に摺動素子が設置され、こ
   の摺動素子を操作部のスイツチ操作により所定の
   方向にスライドさせ、スイツチ操作終了後に摺動
   素子を中立点に復帰させるためのばねを備えたス
   イツチ装置において、前記ばねがねじりコイルば
   ねからなり、該ねじりコイルばねは摺動素子の空
   隙部にそのコイル部分が挿入され、該空隙部の内
   側面によりねじりコイルばねの付勢方向側を支持
   するとともにねじりコイルばねのコイル部分内空
   間部に弾性部材の凸部が配置され、前記空隙部の
   開口部にねじりコイルばねの線状部分が係止され
   ていることを特徴とするスイツチ装置。