JPH04360723A - ピストンリングの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関等に使用され
るピストンリングの製造方法、特にリング合口近傍のシ
リンダ壁との接触圧を低下させ又は低接触圧とすること
の可能なピストンリングの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダに吸気、又は掃気及び排気孔等
のポートが設けられた２サイクルエンジンでは、ピスト
ンリングがこれらのポートを通過する時、リング合口先
端部がポート内に突出し、ポート端部に強く干渉してリ
ングを折損することがある。その対策として、リング合
口近傍だけ、シリンダ壁と非接触状態とする方法が採用
されている。

【０００３】又、４サイクルエンジンについても、高出
力化に伴って、燃焼圧力の上昇や、リング溝の温度上昇
に伴う潤滑上の問題が顕著になってきている。特に、ピ
ストンリングに就いて云えば、温度上昇と背圧の増加か
ら、ピストンリングとシリンダ壁との間でのスカッフィ
ング（すりへり）が問題となってきている。リング合口
部は、燃焼ガスを伴うブローバイガスが通過するため、
高温になり易く、またブローバイガス吹下げによる油膜
破断、さらにはピストンリング合口部が自由端であるた
め、局部的に高面圧となり易いところから、この部分は
特にスカッフィングが発生し易い。

【０００４】この問題を解決する手段としては、ピスト
ンリングの合口近傍の接触面圧を他の部分よりも低下さ
せたリングを使用し、合口部近傍のシリンダ壁への当り
を弱めるか、防止することが行なわれている。

【０００５】さて、ピストンリング合口部近傍のシリン
ダ壁に対する面圧を他の部分よりも低下させあるいは非
接触とするための、従来のピストンリングの製造方法は
、図３に示す如く、ピストンリング１を合口２を通る軸
線３の方向に加圧することにより、破線１′で示すよう
に僅かに楕円形に変形させ、これをピストンのリング溝
に装着して、シリンダ内に嵌合させた場合、合口部近傍
の面圧が減少し、あるいは非接触とするようにした方法
が知られている。

【０００６】この方法の場合、ピストンリング表面を形
成する硬質被膜に損傷を与え易く、又、合口の内方への
飛び出し量の制御が難しいと云う欠点がある。又、ピス
トンリング全体が僅かに楕円形に変形するため、アンダ
ーサイズ加工されたリングと同じ状態になり、ピストン
昇温時にシリンダが充分暖っていない状態では潤滑油膜
の形成が不充分であり、リングの熱膨張とともに合口部
がシリンダ壁に強く当る状態になる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のピス
トンリングの合口端近傍のシリンダ壁との面圧を減少さ
せ又は非接触とするようにした製造方法の上記の欠点に
かんがみ、ピストン昇温時、シリンダが充分暖っていな
い状態でも潤滑油膜が充分形成され、リングが熱膨張し
た状態でも、合口近傍が吸気又は掃気及び排気孔に飛出
したり、シリンダ壁に強く当ってスカッフィングが発生
したりすることのないピストンリングを製造することの
できる製造方法を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によるピストンリ
ングの製造方法は、上記の課題を解決するため、外周面
が所定外径の概ね真円状をなし、製品状態に仕上げられ
たピストンリングを、内径がリング呼称径とほゞ等しい
、剛性を有する円筒ゲージに装入し、リングの合口近傍
所定の範囲の内周局部を短時間で高温加熱及び冷却を行
なうことにより、リング合口端近傍をシリンダ壁と非接
触状態又は低接触圧状態とすることを可能とするように
したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】上記の如く、概ね真円状に製品状態に仕上げら
れたピストンリングを、内径がピストンリングの呼称径
とほゞ等しい剛性を有する円筒ゲージに装入した状態で
合口近傍内周局部を短時間に高温加熱することにより、
加熱局部には圧縮応力限界以上の熱応力が発生し、塑性
変形状態となる。次いでその状態から冷却すると、圧縮
残留応力の作用によって、リング合口部近傍は内側に向
って湾曲した状態になり、円筒状ゲージ内面と非接触又
は低接触圧の状態となる。

【００１０】この場合、局部加熱、冷却範囲を合口近傍
の範囲に限定することにより、ピストン昇温時シリンダ
が充分暖っていない状態でも充分潤滑油膜が形成され、
リングの熱膨張時にも合口部近傍がポート内に飛出した
り、又はシリンダ壁に強く当ってスカッフィングが発生
することは防止される。

【００１１】局部加熱、冷却位置は、リング合口中央よ
り両側に５°から２０°の範囲とするのが適当である。

【００１２】短時間に局部を高温に加熱する手段として
は、円筒ゲージとリング外周とを絶縁状態に保持し、高
周波加熱法により加熱するのがよい。

【００１３】

【実施例】以下に本発明の製造方法の実施例を図面に基
づいて詳細に説明する。図１は、本発明のピストンリン
グ製造方法を示す図である。ピストンリング１は、呼称
径よりも若干大きい所定の外径の概ね真円状をなし、製
品状態に仕上げられた後、該リング１の呼称径とほゞ等
しい内径Ｄを有する真円ゲージ４内に装着される。ゲー
ジ４は、樹脂又はセラミック等の絶縁体で実質的に剛体
として形成される。

【００１４】リング１の合口２の中央より５°から２０
°の範囲内に、リングの内周面に高周波コイル５が取付
けられ、極く短時間高周波加熱が行なわれた後放冷する
ことにより、リングは剛性の高いゲージ４により外側へ
の変形を拘束された状態で合口の両側を高温に加熱され
圧縮応力限界以上の熱応力が発生し、塑性変形する。そ
の状態で冷却されると、図２に示す如く、圧縮残留応力
の作用で内側に湾曲し、合口の近傍のみにいわゆるだれ
が発生する。

【００１５】高周波コイルによる加熱位置を種々に変え
て実験を行なった結果、合口より５°以下の位置で加熱
した場合はゲージ内面からの間隙は殆んど発生せず、合
口より２０°以上の位置では間隙が大きくなり過ぎるこ
とが判ったので、局部高温加熱位置は合口中心より５°
〜２０°の範囲とするのが適当であると判断される。

【００１６】急速高温加熱手段としては、上述の高周波
加熱の他、酸素−アセチレン燃焼ガストーチも使用可能
であり、高周波加熱と同様、リングの内周加熱に対して
、外周表面処理皮膜の硬度低下、密着性劣化、酸化防止
は達成されるが、熱影響部が少ないと云う点で、高周波
加熱やレーザ加熱の方が適切である。

【００１７】具体的実施例として、呼称径１２０ｍｍ、
断面寸法３ｍｍ×５ｍｍの鋳鉄ピストンリング（外周ク
ロムメッキ）を用い、内径１２０ｍｍの真円ゲージに装
着後、高周波コイルをリングの合口中央より１５°の位
置にセットし、電圧１２．５ＫＶ、周波数２００ＫＨｚ
の高周波電圧を０．５秒印加し、加熱を行なった。加熱
前に全周に亘ってゲージ内面に均一な圧接力で接触状態
であったリングが、上記条件で加熱、冷却後合口部のゲ
ージ内面との間隙を計測したところ、０．０１５ｍｍか
ら０．０４０ｍｍで、平均０．０２６ｍｍであった。し
かも、処理前後のリング外周クロムメッキ硬度は変化が
なかった。

【００１８】

【発明の効果】以上の如く、本発明によるピストンリン
グ製造方法によれば、リング合口部近傍にシリンダ壁と
の非接触部又は低接触圧部が形成され、ピストン昇温時
、シリンダが充分暖っていない状態でも潤滑油膜が充分
形成され、リングが熱膨張した状態でも合口がシリンダ
のポートに突入してピストンリングが折損したり、シリ
ンダ壁に強く当接してスカッフィングが発生する不具合
を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製造方法を説明する説明図である。

【図２】その作用を説明する説明図である。

【図３】従来のピストンリングの合口部面圧を低下又は
非接触とする製造方法を説明する説明図である。

【符号の説明】

１　　ピストンリング ２　　合口 ３　　軸線 ４　　真円ゲージ ５　　高周波コイル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　外周面が所定外径の概ね真円状をなし
   、製品状態に仕上げられたピストンリングを、内径がリ
   ング呼称径とほゞ等しい、剛性を有する円筒ゲージに装
   入し、リングの合口近傍所定の範囲の内周局部を短時間
   で高温加熱及び冷却を行なうことにより、リング合口端
   近傍をシリンダ壁と非接触状態又は低接触圧状態とする
   ことを可能としたピストンリングの製造方法。
2. 【請求項２】　　上記の局部加熱冷却位置がリング合口
   中央より両側に５°から２０°の範囲であることを特徴
   とする請求項１に記載のピストンリングの製造方法。
3. 【請求項３】　　上記の局部加熱が上記円筒ゲージとリ
   ング外周とを絶縁状態に保持し、高周波加熱法により行
   なわれることを特徴とする請求項１に記載のピストンリ
   ングの製造方法。