JPH0435244B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明な内燃機関のカムシャフトとして中空の
管材を用い、これにバルジ加工等を利用して別体
のカム部および軸受部材等を固着した組立カムシ
ャフトに関する。

従来の技術 この種のバルジ加工による組立カムシャフトと
しては、特公昭55−46767号などがある。また軸
端部材をバルジ加工時に同時に結合する製造方法
としては、本件出願人による特願昭60−109086号
などがある。

発明が解決しょうとする問題点 軸端部材をバルジ加工により結合すると、軸端
部材と中空軸との強固な結合が得がたく、さらに
その結合の際に中空軸と軸端部材との対接部のシ
ールの信頼性が低いため、完成された組立カムシ
ャフトの軸端部材結合強度にバラツキが生じ、品
質に不安が残される。

この点、軸端部材と中空軸との結合状態は外観
上全く判断できず、かつ結合状態の非破壊検査も
困難なことから、製造工程での結合強度の信頼性
を高めることが望まれていた。

なお、軸端部材の結合強度を高めるために、バ
ルジ加工における流体加圧力を高めると、カム駒
が割れ易くなるためその流体加圧力にも自ら限界
があり、またカム駒割れを防止できる流体加圧力
レベルでは前述の如き結合強度の信頼性が不足す
る問題があつた。

問題点を解決するための手段 中空軸を軸方向にすえ込拡管して軸端部材及び
カム駒を仮固定、その後流体圧を加え軸端部材及
びカム駒を確実固定する。

作 用 中空軸のすえ込拡管の進行に伴い中空軸がカム
駒内周に当接する如くなると、中空軸は軸端部材
が外嵌された軸線方向端で変形が著しく進行し、
流体加圧では成形抵抗が高く所望形状への成形が
困難な中空軸軸端を軸端部材内周にほぼ沿わすこ
とができる。

また中空軸のすえ込み拡管により中空軸軸端と
軸端部材の対接部に中空軸の反発力も加わりその
間のシールを完璧にすることができる。

実施例 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は組立カムシャフト１の一実施例をバ
ルジ金型と共に表すもので、２は鋼管等の中空
軸、３はカム駒、４および５は軸端部材、６はジ
ヤーナル駒である。

カム駒３は、鋳鉄、鍛造あるいて焼結成形など
によつて、所望のカムプロフイールが略形成され
ていると共に、拡径前中空軸２の挿通可能な通孔
が設けられている。

その通孔には、断面六角形など中空軸との結合
後の相対回転防止を目的とする手段が付与されて
いる。

ジヤーナル駒６にも、上記カム駒と同様の相対
回転防止手段が付与されている。

軸端部材４は、第２図および第３図に示される
ように、ジヤーナル部１０と歯車部１１とから成
り、ジヤーナル部１０にはセンター穴１６および
雌ねじ１７が形成されている。

歯車部１１にはその軸線方向端面から底付き円
筒状の穴１２が形成されている。

この穴１２の入口付近は第３図に示される如
く、多角形孔部１３と成つており、その目的は中
空軸との結合後に相対回転防止することにある。
なお穴１２の入口付近の内周形状は、断面六角形
および多角形で無くとも良い。

多角形孔部１３の奥には環状凹部１４が断面半
円形状の環状溝として形成されており、その形成
目的は中空軸との結合後に軸線方向相対移動を防
止することにある。環状凹部１４は、断面半円形
状に限定されるものではなく、他の形状でも良
い。

環状凹部１４の奥には中空軸２を挿通可能な円
筒形孔部が形成され、その奥には軸端内底面１５
が形成されている。

他方の軸端部材５は、歯車部が無いことおよび
穴が貫通している点を除き前述の軸端部材４と略
同一である。

つぎに、上記組立カムシャフトの組立につい
て、第４図によつて説明する。

まずバルジ金型について説明する。

バルジ金型は上下に分割されており、２０は上
金型、２１は下金型である。この上下金型２０，
２１はその外周が型ホルダ２２，２３によつて受
けられる。

また上下金型２０，２１の内周は、所望カムシ
ヤフト形状に型彫りされており、型彫りの両端に
は軸端押え２４と軸端押えを兼ねた注入ノズル２
５が対向配置されている。

なお注入ノズル２５と軸端部材５との間には両
者を接続するカプラ３０が介装されている。

この軸端押え２４と注入ノズル２５は、図示さ
れてない油圧シリンダにより、中空軸２内周に充
填される液圧に対抗して押圧できるように成つて
いる。

カムシヤフトの組立てにあたり、まず中空軸２
の所定位置にカム駒３、およびジヤーナル駒６を
挿入し、つづいて軸端部材４，５を中空軸軸端に
外嵌する。

そしてこれをバルジ金型内にセツトし、第４図
に示される如く各矢印方向に加圧して型閉めす
る。

このとき軸端部材４，５は、カムシヤフト完成
時の位置よりも離れているが、これは中空軸２が
バルジ加工による全長の縮みを見込み所定量長く
形成されていることによると共に、そのことによ
りバルジ加工初期に中空軸端面と軸端部材の内底
面１５との押圧当接を可能にし、その間のシール
を達成させるためである。

ついで型閉め状態にて、軸端押え２４および注
入ノズル２５を同時に中空軸２を圧縮する方向
に、それらが金型２０，２１によつて停止される
位置まで押し込む、いわゆる中空軸のすえ込み拡
管を行う。

このすえ込み拡管により、中空軸２の適所が外
周方向に膨出し、カム駒３、ジヤーナル駒６およ
び軸端部材４，５が仮固定されるとともに、この
時点でカムシヤフト１の全長が決定され中空軸軸
端は対向する軸端部材４，５の軸端内底面１５，
１５と強力に当接した状態となる。

つづいて型閉め圧力及びすえ込圧力を保持した
型閉め状態にて、上記中空軸内に乳化液等を注入
し、かつこの乳化液を圧縮加圧する、いわゆるバ
ルジ加工を行う。

すると中空軸２は第１図に示される如く細部ま
で拡径され、カム駒３、ジヤーナル駒６および軸
端部材４，５との結合力を強化する。

およびバルジ金型の型面に沿つて塑性変形す
る。

特に軸端部材４，５の内周部分においては、多
角形孔部１３に沿つて断面六角形状に成形される
と共に環状凹部１４に沿つて断面半円形の環状膨
出部７が成形される。

なお、このバルジ加工による中空軸２の全長の
縮みは、事前にすえ込拡管を実施しない場合に比
較し極めて小さくなる。

その理由としては、すえ込拡管により各駒の側
面に膨出形成された張り出しが、バルジ加工時に
は駒や軸端部材の口縁部に係合して、中空軸２の
全長縮小に抵抗するためと考えられる。

またこのように、中空軸２の縮みが減少したこ
とにより、軸端部材環状凹部１４への中空軸の張
り出しが良くなつたと考えられる。

これにより各カム駒、ジヤーナル駒、軸端部材
が中空軸に堅固に固定される。

そして、バルジ金型から取り出した後、必要に
よりカム面およびジヤーナル部を研削仕上げし、
油穴等を加工して所望のカムシヤフト１が完成す
る。

効 果 以上のように本発明によれば、中空軸のすえ込
拡管の進行に伴ない中空軸がカム駒内周に当接す
る如くなると、中空軸は軸端部材が外嵌された軸
線方向端で変形が著しく進行し、流体加圧では成
形抵抗が高く所望形状への成形が困難な中空軸軸
端を軸端部材内周にほぼ沿わすことができ、また
中空軸のすえ込拡管により中空軸軸端と軸端部材
の対接部に中空軸の反発力も加わりその間のシー
ルを完璧にすることができるので、組立カムシヤ
フトの結合に当り流体加圧力を低下しても無理な
く堅固に軸端部材が中空軸に結合され、しかもバ
ラツキの少ない高い結合強度が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を表すもので、第１図は
バルジ金型内で結合を完了した組立カムシヤフト
の一部断面平面図。第２図は軸端部材の断面図。
第３図は第２図の−断面を表す断面図。第４
図は各部品をバルジ金型にセツトし型閉めした状
態の一部断面平面図である。 記号の説明、１……組立カムシヤフト。２……
中空軸。３……カム駒。４，５……軸端部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 予め中空軸２にカム駒３を挿入し、かつ該中
   空軸軸端に軸端部材４，５を外嵌すると共に金型
   ２０，２１内に装着し、ついで前記中空軸２を軸
   線方向両端から圧縮して該中空軸をすえ込拡管し
   もつて前記カム駒３および前記軸端部材４，５を
   仮固定状態とし、続いて前記中空軸２をバルジ加
   工で細部まで拡径させて前記カム駒３および前記
   軸端部材４，５との結合力を強化することを特徴
   とする組立カムシャフトの製造方法。