JPH04350399A - シロッコファン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空調装置のブ
ロアファン等に使用されるシロッコファンに係り、詳し
くは、ブロア騒音の低減及び効率向上を可能にするシロ
ッコファンの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】シロッコファン（多翼通風機）は、多数
の前向き翼を取付けた翼車がケーシング内で回転して送
風するもので、小形で安価にできるといった利点がある
。このため、自動車用空調装置のブロアファン及び船舶
や建築物の給・排気用等に広く使用されている。

【０００３】そこで、自動車用空調装置のブロアファン
として一般的に使用されている片吸込形のシロッコファ
ンを図８及び図９に基づいて説明する。図８において、
１はケーシング、２はベルマウス、３は翼車、４は駆動
モータを各々示している。翼車３は、回転軸方向の翼幅
Ｈが長くかつ半径方向の高さＷが小さい多数の翼５を、
回転方向前向き（翼車外周先端が回転方向に傾斜）にし
て円筒状に配列したもので、その端部は、たとえば図９
に示す如くリング状のフレーム６に固定されている。駆
動モータ４の回転軸に直接翼車３を取付けて回転させる
と、矢印７で示す流入風は、ベルマウス２から吸引され
て白抜矢印８の方向へ送風される。そして、図示省略の
エバポレータやヒータコアを通って調温された後、ダッ
シュボード等に設けた吹出口から車室内へ吹出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の自動
車においては、エンジン音等の各種走行音を低減し、静
かで快適な車室内環境を提供することが求められている
。このような状況では、空調装置から発生する騒音の低
減も当然必要となる。自動車用空調装置の場合、ブロア
ファン（すなわちシロッコファン）が主な騒音源となっ
ており、従って、ブロアファンの騒音低減が空調装置全
体の作動騒音低減に大きく貢献することが期待される。 また、他の用途に使用されるシロッコファンにとっても
、運転騒音の低減は大変好ましいことである。そこで、
本発明は、ベルマウスから吸引された流入風が、ベルマ
ウス側の翼車端部付近で矢印７ａ（図８，９参照）の如
く剥離すること、それに加えて、その乱れた流れがフレ
ーム６と干渉することが騒音の発生の原因の重要な因子
であることに着目し、ベルマウス２からフレーム６へ至
る流れを整流することを効率の低下を伴うことなく実現
することによって、シロッコファンの騒音を低減するこ
とを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決するもので、回転軸方向の翼幅が長くかつ半径方向
の高さが小さい多数の翼を回転方向前向きに配置して翼
車を形成し、当該翼車をケーシング内で回転させてベル
マウスから吸引した流入風を送風するように構成された
シロッコファンにおいて、前記翼車のベルマウス側端部
に、該端部から翼幅の１０〜２５％の長さに相当する範
囲を全周にわたって遮蔽する遮蔽板を設け、前記流入風
の流路を制限し、整流したことを特徴とするシロッコフ
ァンである。

【０００６】

【作用】前述の手段によれば、翼車のベルマウス側端部
から翼幅の１０〜２５％の範囲では、全周にわたって設
けた遮蔽板によって流体の流れが遮断される。これによ
り、流れの大きな障害物で騒音の発生源であったフレー
ム６を取り除くことが可能となる一方、流体は翼面から
の剥離が多く騒音発生の原因となっていた領域を通れな
くなり、翼全体としての剥離が減少する。また、遮蔽板
を設けた領域は、従来より翼の機能が有効に発揮されて
いなかったため、効率の低下をまねくようなことはない
。

【０００７】

【実施例】本発明によるシロッコファンの一実施例を図
１ないし図４に基づいて説明する。なお、従来例と同一
の部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。本
発明による翼車３には、図１に示す如く、翼車のベルマ
ウス側端部に、全周にわたって薄板からなるリング状遮
蔽板９を設けてある。この遮蔽板９は、翼幅Ｈの翼５に
対して、翼幅方向の長さＬの範囲に設けられている。翼
幅Ｈに対する長さＬの割合は、１０〜２５％の範囲で適
宜設定すればよい。遮蔽板９の取付けには、たとえば図
２に示した第１実施例のような構造がある。図２は、図
１のＡ部を拡大して１枚の翼５を示したもので、該翼の
ベルマウス側上端部を切欠いた切断面を遮蔽板９に固定
している。破線で示した翼５の切欠部１０は、翼車の内
側上端部から外側へ略円弧状の曲線を形成し、外側の最
大カット長さがＬとなっている。この曲線は、流入風７
の流れと略並行となるように設定するのが好ましい。

【０００８】次に、上述した遮蔽板９を備えた翼車の作
用を説明する。自動車用空調装置においては、駆動モー
タ４の作動によって翼車３が回転すると、図示省略の内
外気切換ダンパの開閉に応じて外気又は内気が吸引され
、流入風７がベルマウス２から翼車３を通って白抜矢印
８の方向へ送風される。白抜矢印８の先方には、やはり
図示省略のエバポレータやヒータコアが配設されており
、ケーシング１からダクトで導いた流入風７を調温して
、車室内へ吹出すように構成されている。ベルマウス２
から吸引されて翼車３を通る流入風７は、鉛直方向（翼
車の回転軸方向）から水平方向（翼車の半径方向）へ向
きを変えながら翼５の面に沿って流れる。そして、翼５
のベルマウス２側の上端部付近では、Ｒの小さい急激な
方向転換が求められるなどの理由により、翼面からの剥
離が発生しやすかったため、この領域に遮蔽板９を設け
て流入風７の流れを制限している。これにより、流入風
７は翼５の中心部の翼面に沿って流れる割合が大となり
、全体としては比較的Ｒの大きな方向転換が可能となる
。従って、翼全体としては流入風７の剥離が減少し、該
剥離を原因とする騒音は低減される。また、遮蔽板９を
設けてフレーム６を取り除き翼全体としての剥離を減少
させることは、流入風の流れがスムーズになってシロッ
コファンの効率向上にも有効に作用する。なお、本発明
における遮蔽板９は、従来構造におけるフレーム６と同
様に補強材の機能を兼ねることができる。

【０００９】遮蔽板９の翼車３への取付けは、上述した
第１実施例の他にも、図３に示す第２実施例及び図４に
示す第３実施例などが可能である。図３の第２実施例は
、翼５の上端部を矩形状に切欠いて内側に遮蔽板９を設
けたもので、切欠部１０の翼幅方向の寸法Ｌは、やはり
翼幅Ｈの１０〜２５％の範囲としてある。この場合も、
ベルマウス２から吸引された流入風７は、ベルマウス２
側の流路が遮蔽されているため、翼５の中心部側を比較
的大きなＲの方向転換をして流れる。従って、翼全体と
しての剥離発生は減少し、第１実施例と同様に騒音低減
及び効率向上を実現できる。また、切欠部がない場合も
同様の効果が得られる。図４の第３実施例は、翼５の上
端部外側に長さＬの遮蔽板９を設けたもので、Ｌは翼幅
Ｈの１０〜２５％の範囲に設定している。図４では、遮
蔽板９の板厚分だけ翼５を切欠いた取付構造を示してい
るが、翼５の切欠きをやめて遮蔽板９をその板厚分だけ
外側へ突出させた取付構造であってもよい。この場合も
、第１実施例及び第２実施例と同様に流入風７の流路を
遮蔽でき、騒音低減及び効率向上を実現できる。

【００１０】なお、流入風７の遮蔽範囲を翼車３のベル
マウス２側端部から翼幅Ｈの１０〜２５％としたのは、
１０％未満の遮蔽では騒音低減効果がほとんど期待でき
ず、反対に２５％以上の遮蔽では効率に悪影響を及ぼす
ためである。

【００１１】

【発明の効果】前述した本発明によれば、翼車のベルマ
ウス側端部を１０〜２５％の範囲で全周にわたって遮蔽
することにより、翼車を通る流体の流路が制限されて、
騒音の低減及び効率の向上を両立したシロッコファンを
提供できる。この効果を図５ないし図７の実験結果に基
づいて説明する。図５は、横軸を流量係数φ、縦軸を効
率α（％）及び比騒音β（ｄＢ・Ａ）として、同一条件
における従来構造と本願構造とのシロッコファンの性能
を比較したものである。この実験結果によれば、流量係
数が０．３〜０．４の領域において、効率αが５％程度
向上し、比較音βが２ｄＢ程度低減しているのが認めら
れる。また、図６及び図７においては、自動車用空調装
置に採用したシロッコファンの騒音が周波数別に示され
ている。図６は低風量（Ｍａｘ．Ｈｏｔ）時上端遮蔽の
低周波音低減効果を示すため横軸のスケールを拡大した
もので、０．１ＫＨｚ周辺の低周波音が低減している。 図７は高風量（Ｍａｘ．Ｃｏｏｌ）時の上端遮蔽効果を
示したもので、３ＫＨｚ以下の騒音低減が認められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す図である

【図２】遮蔽
板取付構造の第１実施例を示す図である。

【図３】遮蔽板取付構造の第２実施例を示す図である。

【図４】遮蔽板取付構造の第３実施例を示す図である。

【図５】本発明の効果を示す図である。

【図６】低風量（Ｍａｘ．Ｈｏｔ）時の上端遮蔽による
低周波音低減効果を示す図である。

【図７】高風量（Ｍａｘ．Ｃｏｏｌ）時の上端遮蔽効果
を示す図である。

【図８】従来例を示す図である。

【図９】図８のＢ部を拡大して１枚の翼を示した図であ
る。

【符号の説明】

１　　　　ケーシング ２　　　　ベルマウス ３　　　　翼車 ４　　　　駆動モータ ５　　　　翼 ７　　　　流入風 ９　　　　遮蔽板 １０　　　　切欠部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸方向の翼幅が長くかつ半径方向の高
   さが小さい多数の翼を回転方向前向きに配置して翼車を
   形成し、該翼車をケーシング内で回転させてベルマウス
   から吸引した流入風を送風するように構成されたシロッ
   コファンにおいて、前記翼車のベルマウス側端部に、該
   端部から翼幅の１０〜２５％の長さに相当する範囲を全
   周にわたって遮蔽する遮蔽板を設け、前記流入風の流路
   を制限したことを特徴とするシロッコファン。