JPH04346774A - 雰囲気調整貯蔵装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は雰囲気調整貯蔵装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に青果物や加工食品の貯蔵は低温に
保持することより鮮度低下や腐敗を防止するようにして
いる。しかし、この場合でも雰囲気中に酸素が存在する
と、青果物は呼吸作用により、加工食品等では酸化劣化
が進む。これを防ぐためには雰囲気中の酸素濃度を適度
に下げる必要がある。このための手段として窒素富化技
術を利用することは有利であり、家庭用冷蔵庫に応用す
ることにした。また雰囲気調整貯蔵法は省エネ的な貯蔵
法であり、今後生産者や流通分野での普及が期待される
。

【０００３】従来、家庭用にＣＡ貯蔵した公知例は、特
開昭５９−１４７４９号や実開平１−１３６３７８号公
報があるが、これらは何れも窒素富化には分子ふるい活
性炭を用いた圧力差吸着方式（以下ＰＳＡ方式と略す）
を採用し、本装置により得られる窒素濃度９０％以上の
ガスを、冷蔵庫全体、もしくは、区切られた空間を低酸
素雰囲気に調整するもので、貯蔵する食品も野菜や果物
等青果物に限られていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ＰＳＡ方式による窒素
富化装置は吸着塔を二塔と圧縮機等から構成されるため
、装置もそのものがかなり大形となり、現在の冷蔵庫の
箱体構造で装着することはかなり困難であり、あえて組
込ませようとすればその部分が出っ張ることになるので
装置の小形化が望まれる。

【０００５】また、雰囲気貯蔵では青果物以外の加工食
品や魚介類も、酸素濃度を適当に調整することにより保
存寿命を延ばす効果があるので、貯蔵食品に応じて雰囲
気の酸素濃度を検知して適切な濃度範囲に保つことが必
要である。その場合の貯蔵容器もかならずしも冷蔵庫に
固定したものだけでなく使い勝手を考えて着脱自在の貯
蔵容器やフレキシブル性に優れる袋も便利と考えられる
。

【０００６】

【課題を解決するための手段】窒素富化ガスをＰＳＡ方
式で得る場合、性能を保持しようとすると吸着塔の容積
を確保する必要があり、圧縮機も小形化には限度があり
、装置全体の小形化はかなり困難である。これに代わる
ものとして分離膜を利用した窒素富化法が考えられる。 すなわち、平板板上組立てられた膜モジュールを貯蔵容
器の内、外部に二個セットしてそれらの連結した系の先
端に取付けたポンプで空気を吸引することによって、窒
素富化が進行する。この時の雰囲気の酸素濃度の検知に
はジルコニア固体電解方式酸素センサを用いて行う。

【０００７】なお、食品によっては酸素濃度をさらに低
くしなくてはならないものもある。その場合、分離膜方
式では性能的に無理なのでＰＳＡ窒素富化装置を冷蔵庫
本体とは別個に備え、これより得られる窒素富化空気を
ワンタッチで接続可能な継手を備えたプラスチック容器
もしくは袋を冷蔵庫に貯蔵するようにする。この場合も
内部の酸素濃度は雰囲気空気が吐出される排出口にジル
コニア固体電解質方式の酸素センサによって検知し、ポ
ンプ制御して目標酸素濃度に調整する。

【０００８】

【作用】空気中の酸素と窒素とを分離するのに使う分離
膜は酢酸セルロースやシリコーン等有機系の薄膜（０．
１〜０．３μ）をモジュール化したもので、貯蔵容器と
組合わせてコンパクトなシステムが作れる。

【０００９】膜分離の原理は酸素と窒素とが薄膜を透過
する時の速度の差を利用するもので透過速度と分離係数
（ＰＯ２／ＰＮ２）とが性能を決定する。貯蔵容器内雰
囲気を窒素富化するには容器の外側に窒素濃縮用のモジ
ュールを容器内に酸素除去用のモジュールをセットして
、この両者をチューブで結んでポンプに導き吸引すれば
よい。容器内の酸素濃度は酸素センサで検出してその電
気信号によりポンプを制御する。酸素センサはジルコニ
ア固体電解質をセンサ素子として用いたもので、この素
子に電圧を与えると酸素イオンをキャリヤとするイオン
電流が流れ、この時の出力電流は酸素濃度に応じて限界
電流を示すため、その電流値を検知しポンプにフィード
バックして運転を制御し、雰囲気の酸素濃度を一定範囲
に維持するようにする。

【００１０】雰囲気の窒素濃度をさらに高めたい場合は
、ＰＳＡ装置を使う。この場合、冷蔵庫とは別個になる
ので、冷蔵庫に容易に着脱できる容器や袋に食品を入れ
、その後、ＰＳＡ装置より生成する窒素富化空気で内部
の空気を置換して冷蔵庫内の所定の場合に納めるように
する。この時の容器や袋には、ＰＳＡ装置の窒素富化空
気を採り入れるため取付け、取外しがワンタッチ操作で
でき、しかも、バルブの開閉が自動的に行える構造の継
手を備えるようにする。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１２】〈実施例１〉本発明に基づく雰囲気貯蔵法
の一実施例を図１ないし図４により説明する。図１は雰
囲気調整システムの原理構成図、図２は窒素、酸素の分
離膜モジュールの構造図、図３はジルコニア固体電解方
式酸素センサの構造図、図４は本雰囲気調整システムを
装着した冷蔵庫の横断面図である。

【００１３】雰囲気調整システムは、貯蔵容器１、外部
分離膜モジュール２、内部分離膜モジュール３、連結チ
ューブ４、ポンプ５、酸素センサ６から構成される。こ
こでポンプ５を起動させると外部分離膜モジュール２の
膜面に沿って空気が流れる。分離膜２および３の構造は
図２に示すようにシリコーン系高分子膜２ａ、ポリスル
ホン系多孔質膜２ｂ、ポリプロピレン不織布２ｃの三層
からなる。ここでシリコーン膜は気体透過性が大きく、
酸素と窒素との親和性に差があることから酸素の多くは
膜を透過しポンプ側に流れ、窒素富化となった空気が貯
蔵容器１内に入りさらに内部分離膜モジュール３によっ
て酸素が透過除去されるので窒素濃度が高まることにな
る。この時の容器内の酸素濃度はジルコニア固体電解方
式による酸素センサ６によって検知される。酸素センサ
６は安定化ジルコニア７、陰極８、陽極９、直流電源１
０、加熱ヒータ１１、セラミックケース１２、キャンプ
１３から構成される。雰囲気中に酸素が含まれている場
合、陰極８で電子を受け取って酸素イオンになり、安定
化ジルコニア７の固体電解質のなかを移動して陽極９で
電子を放出し酸素に戻る。この時に陰極側と陽極側の酸
素分圧の差に応じた起電力が発生するのでそれを出力と
して取り出し、酸素濃度が一定の範囲（０２：６〜１０
％）になるようポンプ５の起動並びに停止を行う。なお
、ジルコニア酸素センサでは低温では出力が低下するの
でヒータ１１（３Ｗ）によって加熱し３００℃程度で使
用する。この熱が放散すると容器内の温度が上昇するこ
とになるので、しゃへいするためセラミックケース１２
で覆う。

【００１４】このようにシステム化された貯蔵容器１は
冷蔵庫１４の冷蔵室１５に装着される。この貯蔵容器１
の前面には前倒しになる扉１６があり扉は止め金具１７
で固定され、また気密性を保つため容器と扉の間にパッ
キン１８を介するようにする。食品の出し入れに際して
は容易にするため容器内にさらに収納ボックス１９を設
け、これを手前に引出すようにする。なお、今回貯蔵容
器１は冷蔵室１５に装着したが、装着の場所はかならず
しもこれにとらわれることなく、５〜１０℃の温度範囲
で使用すれば本貯蔵法の特徴が生かされる。

【００１５】〈実施例２〉図５ないし図７に本発明の一
実施例を示す。本実施例では冷蔵庫本体とは別に独立し
たＰＳＡ方式の窒素富化装置２０によって冷蔵庫内に容
易に装脱着が可能な収納式貯蔵容器２０、袋３０内の雰
囲気調整を行い実施例一の場合よりさらに酸素濃度を下
げることが可能で、しかも、使い勝手の向上を図るもの
である。

【００１６】ＰＳＡ方式窒素富化装置２０は吸着塔２１
、圧縮機２２からなり、吸着塔２１にはモレキュラーシ
ービングカーボンが充填され圧縮空気が送り込まれると
酸素のみ吸着保持され、窒素富化空気が生成され、排出
口２３につながれたチュープ２４を通して取出すことが
できる。

【００１７】貯蔵容器２５はプラスチック製の容器で空
気吸入口２６とそれに対向した位置に排出口２８が設け
られ、容器のふたは止め金具２９によって固定され気密
が保たれる。窒素富化装置からのチューブと貯蔵容器吸
入口２６とは継手２７によりワンタッチで接続できる。 排出口２８にも酸素センサ６がワンタッチの継手２７を
介して取付けられ、予め酸素濃度を所望にセットしてお
けば自動的にＰＳＡ装置２０が停止し、チューブ２４、
酸素センサ６を外して、冷蔵庫内に収めるようにする。

【００１８】貯蔵袋３０は塩化ビニリデン等のビニール
製で、空気吸入口３１、排出口３２が設けられ、気密は
ファスナ３３を閉じることで保たれる。この場合でもチ
ューブ２４や酸素センサ６はワンタッチの継手で行える
。継手は図８のような構造で、押し棒２７ａ、弁２７ｂ
、スプリング２７ｃ、Ｏリング２７ｄ等から成り、富化
装置側を貯蔵容器側に差し込むと押し棒２７ａで弁２７
ｂを押して生じ隙間を通して空気が流れる。また外すと
弁２７ｂはスプリングの働きで閉じてシールされる。

【００１９】〈実施例３〉図１雰囲気調整システムにお
いて、ポンプ５（流量１２ｌ／ｍｉｎ、到達真空度−７
１０ｍｍＨｇ）を運転し貯蔵容器の酸素濃度を調整した
。図９は容器の内容積を１０〜５０ｌに変えた場合の運
転時間と酸素濃度の関係を求めたものである。これより
内容積が３０ｌ程度のものであれば１．５時間運転すれ
ば酸素濃度は約１０％になることがわかる。

【００２０】容器にほうれん草、みつ葉を入れて酸素１
０％に調整し、温度５℃で４日間保存した。また、刺身
の盛り合わせ（マグロ、ハマチ、エビ、イカ、タコ、具
）を同様に１０％に調整して温度−１℃で８日間保存し
た。大気雰囲気で同条件で保存したものと外観の観察を
行ってみると、ほうれん草、みつ葉は対照に比較菜の黄
化やしおれが抑制され、また刺身ではマグロ、ハマチ、
エビ、具等の変退色が少なかった。

【００２１】〈実施例４〉ＰＳＡ方式窒素富化装置２０
で生成された空気で貯蔵容器２５の雰囲気を窒素濃度９
９％以上にして、かつお節、ハム、紅鮭、あじのひらき
等を−１℃で７日間保存した。同様に保存した大気雰囲
気のものと比較すると何れも外観的に初期の状態を保ち
変退色が少なかった。また、蒸しパン、切りもちについ
てやはり９０％以上の窒素雰囲気で常温で十日間保存し
た結果では大気保存のものはかびが発生したのに対して
雰囲気調整したものはかびの発生は全くなかった。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、貯蔵容器に窒素−酸素
分離膜を組み込んだコンパクトな雰囲気調整システムで
あるため、冷蔵庫内の装着も容易で、温度と雰囲気の相
乗効果により食品の風味や鮮度を損なうことなく長期の
保存が可能となった。

【００２３】また、冷蔵庫と別個のＰＳＡ窒素富化装置
を利用することによってプラスチック製容器や袋内の窒
素濃度を９９％までの任意の値に調整できるので、青果
物、魚介類、肉類、加工食品等それぞれの食品の応じた
窒素濃度で、温度の方もその時の季節に応じ冷蔵庫内や
室温で保存するといったフレキシブルで経済的な使い方
が可能である。なお、窒素濃度の調整には直線性、応答
性に優れ、しかも、メンテナンスの容易なジルコニア固
体電解質を採用したため雰囲気調整貯蔵法の効果を一層
確実なものとし省エネルギ的に有利さを発揮できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の雰囲気システムの原理説明
図、

【図２】窒素−酸素分離膜モジュールの説明図、

【図３
】ジルコニア固体電解方式の酸素センサの説明図、

【図４】本発明の雰囲気調整システムを装着した冷蔵庫
の横断面図、

【図５】ＰＳＡ窒素富化装置と貯蔵容器の斜視図、

【図
６】貯蔵袋の斜視図、

【図７】ＰＳＡ窒素富化装置と貯蔵容器との配管系統図
、

【図８】ワンタッチで接続可能な継手の断面図、

【図９
】雰囲気貯蔵システムにおいて貯蔵容器の大きさを変え
た場合のポンプ運転時間と酸素濃度との特性図。

【符号の説明】

１…貯蔵容器、 ２…外部分離膜モジュール、 ３…内部分離膜モジュール、 ４…連結チューブ、 ５…ポンプ、 ６…酸素センサ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】区画されたいくつかの室から構成される冷
   蔵庫において、３〜１０℃の温度域をもつ室の一隅にふ
   た付の密閉構造の貯蔵容器を収納するようにして、前記
   の容器に二個の分離膜モジュールと、これらと連結され
   たポンプと、前記ポンプに制御信号を送るジルコニア固
   体電解質方式による酸素センサとを設けたことを特徴と
   する雰囲気調整貯蔵装置。
2. 【請求項２】請求項１において、前記冷蔵庫の一室に着
   脱自在でふた付密閉構造容器の内部空気を、吸着塔、圧
   縮機から成る圧力差吸着装置で生成される窒素富化空気
   で、ワンタッチ操作で接換できる連結管を設けた雰囲気
   調整貯蔵装置。
3. 【請求項３】請求項１において、可とう性をもち、しか
   も、ガスバリア性に優れた高分子材から成る袋の内部空
   気を、圧力差吸着装置で生成される窒素富化空気で、ワ
   ンタッチ操作で接換できる連結管を設けた雰囲気調整貯
   蔵装置。